inti-solのブログ

inti-solのブログ

2021.03.16
XML
テーマ: ニュース(99436)
カテゴリ: 環境問題
田母神俊雄氏「放射線も塩と同じだ。毒ではない」


前日の11日で、東日本大震災から10年を迎えた。地震による津波は多くの尊い人命を奪っただけでなく、福島第一原発の炉心溶融、建屋爆発事故を引き起こし、放射性物質が拡散。今もなお故郷に帰ることができない人々が多くおり、増え続ける汚染水は頭の痛い問題だ。トモダチ作戦に参加した米兵の中には、被ばくによる健康被害を訴える人もいる。
一方でごく微量の放射線は自然界に存在(自然放射線)し、ラジウム温泉など健康利用も行われている。デリケートな問題だけに、フォロワーからは賛否両論が寄せられた。

---

例によって例のごとく、ネトウヨの親玉がトンデモ発言をしているようです。「放射線も塩と同じだ。毒ではない」とのことですが、そんなことはありません。
塩は、過剰摂取すれば健康を害するとはいえ、基本的に生命の維持に必須のものです。しかし、放射線はそうではありません。確かに、ごくごく微量の放射線はごくごく微量の健康被害しかもたらさず、自然放射線やそれ以外の様々な健康リスクに埋もれてしまうから、「さほど気にすることはない」ということは言えます。でも、必要以上に気にすることはないとはいえ、それが毒であること自体は間違いありません。塩を断ったら生命は維持できませんが、放射線を断って人が死ぬことはありませんから、両者は根本的に違います。

「ある強度の放射線までは健康を害することはない。」という言葉自体は間違いではないものの、その「ある程度」は、間違っても毎時200ミリシーベルト程度などというトンデモな数値ではありません。100ミリシーベルト以下の被爆の健康被害の程度はよく分かっていませんが(あくまでも分かっていないのであって、ないのではない)、少なくとも100ミリシーベルトでは発がんリスクが0.5%上昇することが分かっています。毎時200ミリシーベルトとは、その数字に30分で到達する放射線量です。丸一日浴びれば4.8シーベルト、多くの人が死ぬレベルです。そんな放射線量が「健康を害することはない」で済むはずがないのです。

引用記事に、ラジウム温泉など健康利用も行われているとありますが、ラジウム温泉の放射線量など、それこそごくごく微量です。調べたところ、玉川温泉浴室内の放射線量は、毎時0.3マイクロシーベルトです。毎時200ミリシーベルトというのは、この玉川温泉の放射線量の数十万倍に当たります。
そして、その玉川温泉の放射線だって、それが絶対に安全なものかどうかは、実際のところは分かりません。ただ、一日中お風呂に入りっぱなしという人はいないわけで、問題になるようなレベルではない上に、「温泉」「入浴」には健康面、心理面の様々な良い効果があります。あるかないか分からない、あったとしてもきわめてわずかな放射線の害よりも、温泉で入浴する効果の方が明らかに大きいから、問題にならないのです。
しかし、もし毎時200ミリシーベルトなどというラジウム温泉があったとしたら、当然立ち入り禁止になっています。温泉自体にどれほどの効用があろうとも、それを上回る健康被害が生じる放射線量だからです。もちろん、実際にはそんな温泉は存在しませんから安心していいのですが。

レントゲン撮影だって、1回の放射線量は胸部レントゲンでは0.1ミリシーベルト未満、CTスキャンでも1ミリから10ミリシーベルト程度です。そのレントゲン撮影だって、あくまでも病気やけがの状態を知る、あるいは健康状態に問題がないかどうかを知る、という明確な効果があるから、必要最小限度の回数だけ行うのです。何の効果も意味もないのにただレントゲン撮影をする人はいません。ガンの放射線治療も同じです。ガンの放射線治療はレントゲン撮影よりもっと強力な放射線を浴びせますが、それはあくまでも治療という目的のためです。放置すればもっと大きな健康被害(ガンの場合は確実に死ぬ)が生じるから許されるのです。死亡率100%に比べれば、死亡率20%ならはるかにマシです。でも、健康に問題のない人に死亡率20%のリスクを与えることは許されません。健康な人に抗がん剤を投与したり、手術でメスを入れれば、それは立派に傷害です。放射線治療も同じことです。

以前の記事で触れましたが、福島第一原発周辺の放射線量は、事故から10年を経て、やっとだいぶ減ってきました。だから、避難地区が解除された地域も結構あります。が、現在でもなお、毎時6マイクロシーベルト程度の放射線量を測定している地域があり、そういうところはおそらくあと数年、下手をすると10年くらい、避難地域解除に時間を要するでしょう。しかも、これは原発の敷地との外側の話です。原発の中は、まだまだ生身の人間が近付くこともできないところが山ほどある。廃炉まであとな十年かかるかも見当がつかない状態です。






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2021.03.16 19:00:06
コメント(2) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

© Rakuten Group, Inc.
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: