inti-solのブログ

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2023.04.09
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テーマ: ニュース(95884)
カテゴリ: 災害
もういつ噴火が起こっても全然不思議ではない――研究の第一人者に聞く、「富士山リスク」への向き合い方

富士山が最後に噴火したのは1707年のこと。富士山の南東斜面に新たな火口を開けた「宝永噴火」、山麓の村々はもちろん、当時の江戸にまで火山灰を降らせた激しいものだった。これ以降、現在に至るまで富士山は表向き静穏な状態を保ち続けている。

―― 300年以上も噴火を起こしていないので、富士山が活火山であるというイメージを持つのはなかなか難しい。
「この300年は、富士山にとっては非常に特殊な状況。5600年前まで調べたところ、平均30年に1回ぐらいのペースで富士山は噴火している。なぜ今、300年以上期間が空いているのか、よくわからない。今までの富士山の歴史の中では、非常に長い期間休んでいる状態」

―― もういつ噴火が起こっても全然不思議ではない。
「それがわれわれの理解。全く死に絶えた火山ならば、300年前の噴火を最後にもう何もない可能性もあるが、2000年~2001年に富士山の下で深部低周波地震と呼ばれる地震が頻発したことがある。この地震は、富士山の下でマグマ等が動いているときに起きると考えられる。つまり、富士山の深いところにマグマが存在している。300年前で全て終わったと考えることはできない」

―― 過去には30年に1回噴火していた火山が長い間噴火していない。それだけ噴火のエネルギーをため込んでいるという見方も可能か。
「米スミソニアン自然史博物館が、世界中の火山が噴火の前にどれくらい休んでいるのか調べている。巨大噴火は、その前にほとんどが100年以上休んでいる。場合によっては1000年以上休んでいた火山が大きな噴火を起こしている。このことから、長く休むとたくさんマグマがたまるので、いざ噴火が起きると大きな噴火になりやすいことがわかる。もちろん必ずではないが」

―― もし噴火するとして、それは事前にわかるものか。
「富士山のマグマがどの程度溜まっているかがわからない。たとえば桜島は深さ約10km、伊豆大島や三宅島も深さ約8~10kmにマグマが溜まっている場所があり、人工衛星で山の膨らみを測ることで変化がわかる。しかし、富士山は、20kmより深いところにマグマがあるので、測ることができない。本当に浅いところにマグマが上がってくるまでわからない」

―― 多くの人が「富士山が噴火する前にわかる」と思っているかもしれないけれどそれは誤りで、不意打ちで噴火することもあるということか。
「そう。不意打ちの意味にもよりますが、何週間も前から分かるとは思えない。ただ、いつとははっきり言えないとしても、数時間から数日前には噴火しそうだということは分かるだろう。
(要旨・以下略)

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東日本大震災の同じ日の晩(日付は12日になっていたかも)、富士山直下を震源とする大きな地震が観測されました。あのとき、多くの防災関係者がヒヤッとしました。宝永地震のすぐ後の放映大噴火の例を見れば一目瞭然ですが、大きな地震と火山の噴火は連動して起こることが非常に多いからです。あのとき、地震に引き続いて富士山の噴火も起こっていた場合、その噴火の規模にもよりますが、3.11と合わせて、災害の被害はさらに巨大なものになっていた可能性もあります。不幸中の幸いというか、富士山は噴火しないで済みましたが。
3.11のあと2~3年は「富士山が遠からず噴火するかも」という危惧は、ある程度世間一般に共有されていたように思います。私自身、それまで一度も登ったことがなく、あまり登りたいとも思っていなかった富士山に、「ひょっとして噴火なんか始まったら、もう登れなくなるかもしれないし、高さ3776mではなくなってしまうかもしれないかも」と考えて登ったのが2012年9月でした。

しかし、のど元過ぎれば熱さ忘れる、ではないですが、それが10年経ったら、富士山噴火の可能性は世間一般にはほとんど忘れ去られてしまっているのが現状です。でも、人間社会が覚えていようが忘れていようが、リスクの存在は変わりません。そして、いつかは富士山が必ず噴火するのは確かなことです。
引用記事の次のページに書かれていますが、富士山は「噴火のデパート」とも言われ、噴火のたびにタイプの異なった様々な噴火が起こっています。300年前の宝永噴火を参考に、それと同じタイプの噴火に対する備えをしておけばよい、というわけにはいきません。
宝永噴火の場合は、宝永地震の1か月半ほど後に噴火が起こっていますが、地震翌日には富士山でも地震が発生、更に噴火の約2週間前からは山麓での地鳴りがあったことが記録に残っています。そのようなタイプの噴火であればかなり以前から予知が可能でしょう。

しかし、それ以前の噴火については、時代が古く、また平安時代以前は畿内から見れば辺境であった富士山の噴火についての記録は少なく、噴火以前にどの程度の前兆があったのかは分かりません。
有名なのは864年の貞観大噴火です。この噴火によって、当時存在した剗の海と呼ばれる湖が溶岩に埋め尽くされ、その一部が西湖と精進湖となって残りました。また、青木ヶ原を溶岩で埋め尽くして、後の富士の樹海を生んでいます。この噴火の規模(噴出物の総量)は宝永噴火の2倍にも達します。
引用記事が書くように、「おそらく」噴火の数日か数時間前には噴火の予兆が顕在化する可能性が高いと思いますが、問題は人間社会の側がその予兆を「噴火の予兆」と正しく認識できるかどうか、というところになろうかと思います。


気象庁のサイト より)
この噴火規模は、実は桜島の大正噴火より小さなものです( 気象庁のサイト によれば、1914年桜島の大正噴火の噴出物総量はマグマ換算で1.58立方km)。そして、その桜島大正噴火も、桜島(を含む姶良カルデラ)の有史以前の超巨大噴火に比べれば、規模はごく小さなものです。

富士山は日本一高い山ですが、過去の噴火の規模においては、日本のほかの山々に比べれば、実はかなり小規模なものです。関東近辺でも、箱根山の方が過去にずっと巨大な噴火を繰り返しています。
ただし、あくまでも「過去においては」です。

過去において超巨大噴火を起こした山は、前述の箱根山と桜島(を含む姶良カルデラ)のほか、阿蘇山、霧島山を含む加久藤カルデラ、開聞岳を含む阿多カルデラ、鬼界カルデラ、十和田湖、洞爺カルデラ(洞爺湖)などがあります。
それらの火山の山容を見れば一目瞭然ですが、富士山のようなきれいな成層火山は一つもありません。いずれもカルデラつまり巨大なくぼ地になっています。阿蘇山や箱根山のように、そのくぼ地の中央に小規模な火山ができている(中央火口丘)場合もありますが。
端的に、莫大な量のマグマが噴出することで、底が抜けて陥没するわけです。
富士山はまだそのような超巨大噴火を経験していないからこそ、あのようなきれいな成層火山の形状を保っているわけです。が、そのまま永久にきれいな形状の成層火山の姿を保ち続けられるわけではありません。

すでに、富士山は2200年前から、山頂の噴火口からの噴火は止まっています。つまり、現在の山頂が、今後成層火山の姿をさらに発達させることはもうありません。2200年前以降は、山腹の色々な場所から噴火が起こっています。宝永噴火は言うまでもなく南西斜面6合目付近(宝永噴火口)からの噴火でした。
ということは、富士山がこれから超巨大噴火を起こし、成層火山の姿が吹っ飛んでカルデラになる、という可能性もあり得ないわけではありません。その場合、東京は壊滅し、日本全体も壊滅するでしょう。





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最終更新日  2023.04.09 20:40:45
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