inti-solのブログ

inti-solのブログ

2025.08.06
XML
カテゴリ: 音楽
最近、フォルクローレに関する話題のかなりの割合が、演奏者の死去の話になってしまい、悲しい限りなのですが、その中でも最大級に悲しい話が飛び込んできました。

昨年7月に、人間ドックを受診したら重篤な病気が見つかったということで、それ以降入退院を繰り返しておられましたが、病状、その転移状況を聞くに及び、そう遠くない将来にこの日が来るのが避けがたいことは予期していました。
でも、人がいつかは亡くなることは宿命ですが、ものには順番ってものがあります。自分より年下の(それも、10歳も年下の!)方が亡くなるのは、やはり悲しいことです。

ゆなさんは、日本の女性サンポーニャ奏者としては間違いなくナンバーワンの存在であったと思います。男を含めても、あれだけ吹ける人は日本に何人もいません。そして、おそらく「女性」という括りで見れば、ボリビアでも彼女を超えるサンポーニャ奏者は、少なくとも私は知りません。日本では音楽は「女子どものたしなみ」的な価値観がないとは言えませんが(音大生は男性より女性の方が圧倒的に多いと言います)、ラテンアメリカでは音楽は男の世界であり、歌手を別にして、器楽演奏者で女性はかなり少ないのです。
サンポーニャは、音域別に、もっとも標準的な音域がマルタ(通常のケーナやアルトリコーダーに近い音域)、その1オクターブ上がチュリ、逆に1オクターブ下がサンカ、更に1オクターブ下の最低音域がトヨと名前が分かれますが、彼女の場合は、音域が下がるほど凄味かましていきます。


2017年「サンポーニャの集い」における彼女の演奏です。もっとも標準的なマルタを使っています。


同じステージでの別の曲ですが、先の演奏より1オクターブ低いサンカで吹いています。


更に1オクターブ低い「トヨ」。彼女はかなり小柄なのでやたらと楽器が大きく見えます。この楽器は通常2人一組で一人がドミソ、もう一人がレファ♯ラと、分担して掛け合いで演奏する楽器です。この楽器を1人で吹ける人はサンポーニャ奏者の中でもごく一部です(少なくとも私にはできません)。



これは通常のサンポーニャとは配列の違う二段式クロマチックサンポーニャで、どんな調でも簡単に対応できるのが強みではあるのですが、音の並びが通常のサンポーニャと全く違うので、持ち替えた際の難易度は高いです。わたしはかつて持っていたのですが、まったく吹きこなせなかったので、バラバラに分解して組み替えて通常のサンポーニャにしてしまいました。


名古屋では、普段は「チャスカ」というグループのメンバー(動画右から2人目)として活動していましたが、仕事でお金をためては10年おきくらいにボリビアに渡航しては、現地のトップクラスの演奏家とレコーディングを行い、CDを発表してもいました。
イラストを描くことを生業とされていて(イラストレーターとして独立していたわけではなく、勤務先での担当業務の一つにイラストを描くことがあったようです)その関係で自分のCDやコンサートチラシ等には、たいてい、独特の出演者の似顔絵が書かれていました。
病気の転移の関係で、晩年は右手が動かず、左手で仕事をされていたそうですが、「え、これ利き腕じゃない手で書いたイラスト?」とびっくりでした。

書いていても、本当に残念でなりません。ご冥福をお祈りします。あちらで、思いっきりサンポーニャを吹き続けてください。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2025.08.07 18:52:00
コメント(2) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: