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鳥友から子どもたちが鳥類の嘴について文献を調べていて質問をもらったと問い合わせをもらいました。内容は、シャモジ型のヘラサギとハシビロガモについて採餌方法が同じと書いてあったけれど、実際観察していると違うのだけれどと聞かれた由。下記の採餌について整理してみました。(ヘラサギの採餌)ヘラサギは、嘴を半開きにして水中で左右に振りながら魚やカエル、カニなどを採餌することが知られています。(ハシビロガモの採餌)水面に平たい嘴を浸けて水面を進み、取り込んだ水からプランクトンだけを濾し取ります。(ヘラシギの採餌)波打ち際の砂泥地や干潟でヘラ状の嘴を少し水につけ、左右に振りながら、昆虫、甲殻類などを採食します。(ハシビロガモとヘラサギ、ヘラシギの違い)ハシビロガモは水面に嘴を浸けて取り込んだ水からプランクトンだけ濾し取る点がヘラサギ、ヘラシギとの大きな違いです。ヘラサギとヘラシギは、嘴を左右に振りながら採食する点は同様です。まったく違う種類が同じような嘴に進化し、同様の動作をすることはたしかに興味深い点です。それで、ヘラサギは魚、カエル、カニを採食、ヘラシギは昆虫、甲殻類を採食するので餌の内容は異なっています。(写真)ハシビロガモは2018年1月、2021年1月市川市中国分で撮影ヘラサギは2013年12月埼玉県川越市で撮影
2022.08.18
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昨日、茨城県南部でアオバズクを観察しに出かけました。巣から離れた木の幹周辺にクワガタなどの昆虫の食べかすを見つけました。番が飛来してから渡去するまでどの程度の餌を食べるものかと思い、文献を調べてみました。飯村(1984)は、アオバズクの繁殖に関する知見を整理し報告しています。報告によると、トノサマバッタ、スズメガ科3種、ヤガ科のキシタバ、カンキリムシ科3種、コクワガタ、コガネムシ科1種が餌の残骸として観察できたと述べています。アオパズクの体重は約350gで、食餌物1日1羽当たり28.7g、番の2羽で1日あたり57.4gを摂食していることが把握できたと記しています。さらに、アオバズクが日本に飛来し繁殖のために滞留する五ヶ月でコガネムシ(体重0.7g)に換算すると21525頭を食べていることになると指摘しています。なお、コクワガタの体重については調べてみましたが報告している文献はなく、オオクワガタが50g前後との記述のあるwebがあっただけでした。(引用文献)飯村 武.1984.アオパズクの繁殖生態に関する知見.p44-49神奈川県自然誌資料.神奈川県立自然保護センター.
2022.07.10
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先月30日に柏の葉キャンパス駅近郊でイワツバメが巣を作っている旨を報告しました。記事を読んでくれた鳥友からイワツバメはどこで寝るのかと質問をもらいました。よく聞いてみると、ツバメやショウドウツバメ,コシアカツバメは渡りのコース上のヨシ原などに集まって休むことが文献や画像記録によって報告されているのに、イワツバメについてはねぐらに関するリポートもないとのことでした。西(2013)は、イワツバメの形態や分布、生息環境、生活史などを整理し報告しています。その中に「巣に入れなかった個体は、日没が近づくと小群になりコロニー上空へ飛び去り、この小群は日没後もコロニーに戻ることはない。さらに,ヒナの巣立ちが近づくと巣でねぐらをとらない親鳥が観察されるようになる」、「ヒナは巣立つと巣にはほとんど戻らなくなる」と報告しています。飛行能力に優れたアマツバメ類は、飛びながら睡眠をとると聞いていますが、イワツバメも同様に飛翔しながらの睡眠なのでしょうか?(引用文献)西 教生.2013.生態図鑑.イワツバメ.Bird Research News Vol.10 No.9.p4-5.(写真)2022年6月30日柏市柏の葉キャンパス駅近郊で撮影、2019年4月19日同地で撮影、2018年6月24日同地で撮影、2013年6月2日柏市柏にて撮影
2022.07.03
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今月19日にアマサギの出会いたくて稲敷市まででかけたことをご報告しました。その際、バードリサーチ(2019)が、全国鳥類繁殖分布調査結果について紹介しました。「1990年代は34コースで記録されていたのが,今回は18コースと減少している。(中略)地域別に見ても特定の地域で減少しているわけではなく、全体的に減っており,特に関東や九州では大きく減っていると」報告しています。拙宅の亭主から1980年代には世界的に分布を拡大していたことが安齋知己さんが報告しているよと指摘をもらいました。安齋(1991)は、アマサギだけが急速な分布域拡大と個体数が増加していると指摘しています。「もともと1930年代に南アメリカ、50年代にフロリダ、メキシコなどの中央アメリカ、70年代には北アメリカで繁殖が報告されるようになった。アフリカから北には1961年にスペインで、69年にフランスで繁殖が報告されるようになった。日本で急速に個体数がふえたのも第二次世界大戦後のことである。(中略)アマサギの分布域はほぼ全世界に広がり、日本においても北へ北へと広がっている」と報告しています。ところが2000年代以降、特定の地域ではなく全体的に減少しているとバードリサーチが報告していることを考えると、わずか30年ほどの間に今度は減少に転じていることになります。アマサギは他のサギと混合でコロニーを作り繁殖します。ところが、近年は人間の生活域に近いところにコロニーが作られないように牽制される傾向もあり、そのような影響なのかどうか興味のあるところです。(引用)安齋知己.1991.世界的に分布域を拡大 アマサギ.動物たちの地球.第6巻.p72-73.朝日新聞社.バードリサーチ.2019.全国鳥類繁殖分布調査ニュースレター第14号.p6.
2022.06.28
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鳥友から昨日観察してきたアオバズクは、産卵後の子育て時期にはどんな餌を与えているのですかと質問をもらいました。夜行性の鳥なので、報告はあまり多くないと思いますが調べてみましょうと返事をしました。給餌に関する報告はかなり少なく、谷口一夫さんが1983年に日本鳥学会誌に繁殖期におけるアオバズクの残し餌と題する報告(第32巻.p145-152)と富沢章さんが2001年にStrixに報告しているアオバズクが捕食する落とし餌からの検討(Strix.2001.第19巻.p121-127.日本野鳥の会.)と題するものに記されていました。谷口(1983)および富沢(2001)によると、アオバズクは育雛期間中に甲虫類を主に給餌し、雛の生育初期にはガ類を高頻度に給餌すると報告されています。ただし、育雛期には給餌内容がどのように変化するのかがからなかったので文献をさらに調べました。すると、日本鳥学会誌の2020年第69巻第2号223-234に育雛期間の進行に伴うアオバズクの給餌内容の変化とのタイトルで報告がありました。育雛初期から中期は、チョウ目を主に給餌していたとありました。一方、育雛後期には営巣環境中での優占ていたコウチュウ目を高頻度にヒナに与えていたと記されていました。さらに、興味深かったのは、アオバズクは,育雛期間を通しチョウ目の頭部、胸部、腹部、およびコウチュウ目の腹部を給餌し、消化器官が未発達なヒナに柔軟な外骨格のみを選んで与えていたとの点です。消化器の発達具合を考えて与えているとも考えられる点が勉強になりました。
2022.06.23
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(若ツバメの喉の色)今朝、わが町のスーパーに隣接するビルの軒下に巣立ち間もないツバメの幼鳥がとまりしばらく休んでいました。喉の色も成鳥に比べると薄い黄土色で下面は白色。えっ、幼鳥の下面には赤褐色味があると記している図鑑があったことを思い出しました。帰宅してから画像ライブラリーと図鑑を何冊か復習してみました。確かに巣立ち間もない若鳥では黄土色のものが多い結果でしたが、2012年7月にわが町の一角で撮影したツバメの若鳥では成鳥並に赤褐色になっていました。(写真)2022年6月13日、2012年7月16日、2021年7月3日、2020年7月12日撮影(尾が長いツバメはもてる?)藤田(2008)は、ツバメの分布、生活史や興味深い話題を整理し報告しています。その中に、ヨーロッパのツバメでは尾羽の長いオスがメスに好まれることを紹介しています。ところが北米では、尾羽の長さではなく,オスの喉の赤さがメスの選り好みの対象になっている地域があることを述べています。地域差による選り好みの違いがあることが興味深いと指摘しています。(引用)藤田剛.2008.ツバメ.Bird Research News Vol.5 No.4.p4-5.
2022.06.13
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6月4日に柏の葉公園近郊でヒメアマツバメの巣を発見した旨をリポートしました。鳥友から巣はどのように作られているものなのかと質問をもらいました。堀田(2012)は、ヒメアマツバメの分布や生息環境、生活史などを整理し報告しています。それによると、巣は雌雄共同で、空中で羽毛や植物の葉、茎などを採集し,それらを唾液で貼り付けて半球状の巣を鉄筋コンクリートづくりの建造物の庇下などにつくる。造巣期間は長く,1歳のペアで約5か月,2歳以上のペアで約2か月かかると述べています。また、内部は羽毛などでしっかり裏打ちされている写真を掲載しています。写真は、一枚目はイワツバメの古巣の上から作った巣、二枚目は同日に観察した昨年使っていたものです。三枚目は昨年7月11日に観察した巣とヒメアマツバメ、四枚目は2019年9月19日に観察した巣とヒメアマツバメ、五枚目は2018年8月22日に観察した巣とヒメアマツバメです。柏市でヒメアマツバメが観察されたのは2015年のことですが、産卵・育雛した確証は得ていないので根気よく観察をしてまいります。(引用文献)堀田昌伸.2012. ヒメアマツバメ.Bird Research News Vol.9 No.6.p4-5.
2022.06.09
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昨日、野田市のコウノトリの里を訪ねたことをリポートさせてもらいました。鳥友よりヒナの喉の赤い部分はどうなっているのかと質問をもらいました。私も同じことを疑問に感じてセンターの方に質問したことがあります。喉の皮膚が裸出した部分が赤く見えているとのことでした。一枚目は昨日のヒナ、二枚目は2018年3月31日時点のヒナで誕生から一週間経過していたヒナ、三枚目は2016年6月12日に観察したヒカルで、誕生日2016年3月28日ですので誕生から56日目の状態です。四枚目は親鳥ペアです。個体を比較してみると、誕生から一週間ですと喉の赤い部分がない状態ですが、今年の24日目のヒナではもう喉の部分がかなり赤くなっています。2016年に観察したヒカルは角度の関係からか喉の赤い部分は目立たなかった印象です。(写真)2022年6月4日、2018年3月31日、2016年6月12日、2021年7月28日撮影
2022.06.05
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一昨日、柏市内の駐車場で毎年コチドリが繁殖している件を報告させてもらいました。2羽のコチドリが動き回り、羽毛を膨らませて鳴きながら移動したり、地面に腰をおろし、ピッピッと鳴き声を出して雄が雌への雌へのアピールをしていました。これからコチドリのペアは、体を水平にして互いに並走したり、胸を張って相対したりする場面が見られるものと思います。目撃できるかどうかはわかりませんが、巣の場所を決めるときには雄が胸を地面に押しつけて土を後ろにけとばし、くるっと体をまわして窪みを造ってから鳴き声をあげて雌を呼ぶ行動が見られる時期となります。雌が近くに来ると、くぼんだ縁に立って体を水平にして尾羽を扇のように窪みの上に開き、雌はその尾羽の傘の下に入って窪みに座るか掘る動きをしたら営巣場所が決定したと見てよいようです。写真は、柏市内の別の場所で営巣場所を決定したコチドリペアの様子です。(写真)2009年5月31日撮影
2022.05.31
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これから関東近郊ではサギの集団繁殖地(コロニー)が形成され、子育てとジュニア誕生の時期を迎えます。毎年、ホシゴイはゴイサギですか?と質問をもらうことがあります。結論を申し上げると、ホシゴイもゴイサギで、写真で示した二枚目のものまでを私はそう呼んでいます。(ホシゴイについていろいろな記述)1年目の若鳥、成鳥になる前のゴイサギの俗称、幼鳥がホシゴイと呼ばれるなどなどとホームページやブログによってホシゴイの範囲もじつに様々です。その背景は、幼鳥の定義はあるものの、若鳥の定義が定まっていないことによります。(ゴイサギの羽毛などの変化)生まれた年のゴイサギの幼鳥は、羽の模様が星に見え、頭はボサボサで冠羽は無く、虹彩は黄色です。2年目に入ると、羽の星模様は消え、冠羽はありませんが、羽毛はかなり整い虹彩は橙色に変化します。その後、3年目になると、上面は紺色、下面は白色で3本の冠羽が出て、虹彩は真っ赤になります。(写真)一枚目:羽の星模様がありますが頭がボサボサのゴイサギ、2014年7月越谷市で撮影二枚目:羽が整ってきて羽の模様が星模様にみえるゴイサギ、2018年7月22日都内で撮影三枚目:第二回目夏羽に換羽しはじまったゴイサギ、2020年6月茨城県土浦市で撮影四枚目:成鳥と若鳥の中間的な個体、2020年6月茨城県土浦市で撮影五枚目:ゴイサギ成鳥、2017年8月茨城県土浦市で撮影(幼鳥と若鳥について)ヒナに最初に生えそろう羽が「幼羽」で、幼羽をまとっている鳥を「幼鳥」と呼びます。たとえば、スズメでは顔の黒い斑が薄い、カワラヒワでは腹に濃い斑点があるといった点で成鳥と異なっていますが、秋までに羽が抜け替わる(第1回冬羽)と成鳥とよく似た姿に変化し、翌年春には繁殖できるようになります。これに対して、繁殖できるまで2年以上かかるツル、サギ、カモメ、タカなどの仲間で、幼羽から成鳥の羽になる途中段階などを「若鳥」と記載している図鑑もありますが、若鳥の定義は定まっていません。(ホシゴイの名前の経緯)平家物語巻第五朝敵揃に記述がある内容は、つぎのとおりです。醍醐天皇が京都二条城近くにある庭園神泉苑での宴の折、池の水際にサギがいたので、六位の者に「あのサギを捕らえよ!」と命じたそうです。命令を受けた人は天皇の命令なのでサギに歩み寄り、天皇のの意向である旨を伝えたところひれ伏して飛び去りませんでした。早速捕らえてくると天皇に献上すると「命令に従ってくるとは、けなげなやつ。すぐに五位の位にせよ」と指示をし、「今日からサギの王」という札を天皇が作りサギの首につけて放鳥したとのことでした。なお、三省堂(1988)には、五位という名は醍醐天皇が神泉苑の宴の折、空を飛んでいたサギが勅命に従って舞い降りたのをたたえ正五位に叙したところ嬉しげに舞った故事にもとづくと記されています。平家物語の訳者によっての解釈が複数あり、記述に違いがあるようです。(引用文献:三省堂コンサイス鳥名事典.p214.1988年刊)
2022.05.16
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鳥友からオオヨシキリの嘴の中は赤色ですが、どんな意味があるのですかと質問をもらいました。なにかご覧なりましたかと尋ねると、ある方のホームページに「諸説ありますが、嘴の中の赤色が健康のバロメーターであり、鳴くときに雌にみせることで求愛の意味と他の雄の侵入を防ぐ意味がある」と記されていた由。口内の色は、種類によって違いがあることをまず申し上げ、赤色だから健康とする検証をしたような報告文献は見当たらないこと、第一回冬羽の口内の色はオレンジ色で、二年目の個体が繁殖に入ったようなケースを想定すると口内の色が赤色ではない可能性もあると考えられることを申し上げました。むしろ、同様の環境で存在しているコヨシキリの口内は黄色であることを考えると種類の識別に役立っていると考えたほうがよいのではとお話ししました。(写真)一枚目:オオヨシキリ 2022年5月12日水元公園で撮影二枚目:フクロウ:2022年5月11日栃木県で撮影三枚目:ビンズイ2019年6月1日栃木県戦場ヶ原で撮影四枚目:ミソサザイ2015年5月23日栃木県戦場ヶ原で撮影五枚目:ホオジロ2020年7月1日長野県戸隠で撮影六枚目:アオジ2020年7月2日長野県戸隠で撮影七枚目:コマドリ2021年6月29日長野県上高地で撮影(参考:山野の鳥の口内の色について)文献と過去撮影したライブラリーからおもな種類を列記するとつぎのようになります。(1)赤色ツツドリ、ホトトギス、カワセミ、アカショウビン、カヤクグリ、オオヨシキリ、キクイタダキ(2)ピンク色フクロウ、オオコノハズク、コミミズク、ヤマセミ、カワセミヤマショウビン、モズ、セッカ(♀、非繁殖期の♂)、シメ、コマドリ(3)黄色サンコウチョウ幼鳥、コヨシキリ、メボソムシクイ、シマセンニュウ(4)オレンジ色ヨタカ、ツツドリ、ビンズイ、ミソサザイ、カワガラス、ジョウビタキ、ウグイス、センダイムシクイホオアカ、ベニヒワ(5)青色サンコウチョウ雄(6)黄緑サンコウチョウ雌(7)黒色ツミ、セッカ(♂繁殖期)、オオルリ、ノゴマ(♂成鳥)、カケス、ハシボソガラス、ハシブトガラス(8)炭色カワガラス
2022.05.13
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都内の公園に今年もササゴイが飛来し、巣作りのために枝を集める行動が見られていると鳥友から情報をもらいました。昨年7月に若鳥が水面に浮かんでいる葉を嘴でさらいとり、また水に戻す行動を自分よりも若く鳥に教えているような素振りを観察しました。今年も見られるのかどうか楽しみです。写真は昨年の観察した際に記録したものです。(写真)2021年7月5日撮影また、世界の文献と問い合わせをや行いササゴイの生態について整理している文献を紹介させてもらいます。参考となれば幸いです。黒澤・樋口(1993)は、ササゴイの撒き餌行動の観察例や撒き餌が見られた環境の特徴を整理し報告しています。(撒き餌の観察記録のはじまり)1957年にアメリカフロリダのエオラ湖でパンを水に浮かべて魚をおびき寄せたのが目撃されたのがその最初だったとあります。(日本での撒き餌が見られた場所)ササゴイのまき餌漁がみられた場所は、沼や池,あるいは川の流れの穏やかな場所などで日本では22か所中の15か所(68%)がそうした環境と述べています。また、その内訳は海外では川や運河などを含め、流れがあると思われる場所は19か所中の7か所(36%),その他は池や湖などのあまり流れのないと思われる場所と記されています。(撒き餌の種類)日本での報告例で最も多いのは植物質のもので、葉、小枝、草、コケなどが使われており、魚の餌になるものとしては,生き餌やパンなどが使われたと述べています。(撒き餌の扱い)国内で撒き餌の扱い方を大別するとつぎの3つの種類に整理できるとありました。(1)くちばしの先にくわえて落す型日本では東京の六義園で小枝や葉、熊本の五老ケ滝川で葉や土、熊本の御船川で枯葉を,熊本の井芹川で小枝や小石、熊本の水前寺公園と江津湖で小枝や葉、小石などをもちいていたのがその内訳と記されています。(2)くちばしの先にくわえた物を水面に放す,あるいはおく方法山梨県武田神社でセミをおいた例、兵庫姫路城でパンを使った例、北九州市の池で小枝や羽毛を使った例、熊本のハエなどの生き餌,小枝や小石,ゴミなどを使った例を紹介しています。(3)くちばしの先からとばす方法岩手の消養園、東京の六義園、山口の島田川、鹿児島の木之下川、熊本では球磨川、上江津湖,水前寺公園などでくちばしの先からとばす方法が観察されたとあります。なお、使われた餌は葉,小枝,コケ,ゴミ,ハエなどだったと記されています。(引用文献黒澤令子・樋口広芳.1993.ササゴイのまき餌漁の種類とみられる 地域の特性.Strix12巻.p1-21.日本野鳥の会.
2022.05.09
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昨日、渡良瀬でトラフズクを観察した旨の報告させてもらいました。過去の画像と一緒に復習をしていて気が付いたことがあのます。それは、トラフズク雛の虹彩は一体何色だろうということてです。一枚目は昨日観察した雛で虹彩は黄色です。ところが2018年4月に観察した雛の虹彩は橙色でした。三枚目、四枚目は成鳥の記録写真で、いずれも虹彩は橙色です。鳥類の目の色は、茶色、青色、グレーや緑色と多彩で、虹彩に含まれるメラニン色素の量によってかわり、太陽の光が強い暑い国ではメラニン色素が大量に蓄積されて黒や茶色などのひとみになり、逆に太陽光が弱い寒い国ではメラニン色素の量が少なく、グレーや青色のひとみになるといわれています。トラフズクの雛でメラミン色素の蓄積に違いがあり、虹彩の色に違いが出ると考えた方が一番納得できる理屈ではと思っています。(写真)一枚目:2022年5月5日、二枚目:2018年4月30日、三枚目:2021年7月10日、四枚目:2020年6月27日いずれも渡良瀬で撮影
2022.05.06
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昨日、谷津でコオバシギと出会いSNSでそのリポートを発信した後、生存危機のことを思い出したのでスクラップブックを見返しました。どうしてコオバシギが稀な鳥と言われるのか、皆さんにご理解いただたら幸いです。(ナショナルジオグラフィックの記事)ナショナル・ジオグラフィック(2016年5月17日付けWebニュース)にコオバシギは、毎年北極付近から南半球へ渡っては戻ってくる渡り鳥ですが、この数十年は、カニの卵などの主要な餌が移動ルート沿いの餌場で減少し生存の危機に瀕している旨が米国サイエンスに5月13日付けと掲載されたと報じました。オランダ王立海洋研究所の研究チームの研究によると、ふ化したひなの栄養状態が温暖化のせいで悪化し、体格やくちばしの小型化を引き起こしている。こうした変化により、はるか南にある越冬地での生存率も低下していると指摘しています。ロシア北部で営巣し、西アフリカ、モーリタニアの熱帯の海辺で越冬するコオバシギの亜種を対象とし、30年分以上の衛星画像を分析し、雪解けの状況とコオバシギのひなの成長に相関関係が見られるかどうか確認作業をしたところ、北極に近いコオバシギの繁殖地では、年に0.5日というペースで雪解けが早まっていることが分かった。この変化が、植物の開花が早め、その植物を食べる昆虫の出現も早まった。その昆虫を食べるコオバシギのひながふ化したころには時すでに遅く、昆虫の数はピークを過ぎてしまっていることが判明したと述べています。このため、コオバシギの幼鳥は体が小さく、くちばしも短くなってしまったと指摘しています。(写真)一枚目:2022年4月18日谷津干潟で撮影二枚目から四枚目:2019年8月31日三番瀬で撮影五枚目:2015年9月19日三番瀬で撮影
2022.04.19
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2日続きの雨の影響もあり、野鳥の鳴き声データの整理と読書三昧。小鳥の歌学習を長年研究している大家として知られている小西正一さんの著書「小鳥はなぜ歌うか」(*)に久しぶりに目を通しました。肺にはいくつかの気嚢と呼ばれる大きい袋がついており気嚢の中に蓄えた空気を気管支に流して鳴いているのが歌の仕組みと述べています。また、声が大きい種類(例えばツル)では、気管が長く、体内で螺旋状なっていて気管の中で管楽器のように共鳴が起こることを記しています。大きく口をあけて歌っている小鳥たち、喉だけではないのだと改めて学びました。(写真)ヒバリ:2021年5月8日茨城県甘田干拓地で撮影オオヨシキリ:2015年6月28日茨城県浮島で撮影ミソサザイ:2015年5月23日栃木県湯滝で撮影コマドリ:2021年6月29日長野県上高地で撮影キビタキ:2019年6月1日栃木県戦場ヶ原で撮影ホオジロ:2019年6月2日手賀沼で撮影ホオアカ:2016年7月11日栃木県戦場ヶ原で撮影コジュリン:2019年8月24日茨城県稲敷市で撮影(文献)小西正一.1994.小鳥はなぜ歌うか.岩波新書.pp185.
2022.04.15
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鳥友からコサギの飾り羽について質問を受けました。コサギの羽毛について整理しました。参考となれば幸いです。繁殖期のコサギには頭部に2本程度の飾り羽と胸や背に飾り羽がのびています。独身の雄が背と胸につけている蓑毛(繁殖羽)をディスプレーのときに広げてのダンスお見事です。なお、非繁殖期で灰黄色だった嘴基部が赤色に変化し婚姻色と呼ばれます。(飾り羽について)飾り羽は正羽と呼ばれるもので、1本の軸を中心に膜のように広がる羽毛です。これに対してダウンのような軸がない羽毛は綿羽と呼ばれます。(羽毛の種類)コサギの羽毛は正羽、綿羽、半綿羽(半正羽)、粉綿羽、糸状羽、剛毛羽の6種類から構成されています。正羽は,羽弁,羽軸,羽軸根(羽柄)で構成され、羽には分岐構造がある点で動物の毛髪と異なります。(写真)一枚目:飾り羽が長いコサギ、2022年3月21日谷津干潟二枚目:蓑毛と嘴基部がピンク色の婚姻色となったコサギ、2015年5月31日越谷市三枚目:上から見た蓑毛、2021年5月23日土浦市四枚目:後方から見た蓑毛、2021年5月23日土浦市五枚目:正面から見た蓑毛、2022年2月19日柏市六枚目:横方向から見たコサギ、2016年7月12日葛西臨海公園
2022.04.10
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複数の鳥友から今冬はカシラダカを見かけなかったと情報をもらいました。昨秋からのノートを見返してみると、ホームグランド手賀沼では東端と西端の水田地帯近くで5羽未満のカシラダカを見かけましたがそれ以外の地区では見かけませんでした。過去の観察記録を見返してみると、11月上旬頃カシラダカが鳴きながら通過(2004/11)、我孫子市と北新田の休耕田で80羽見かけた(2005/02/07)、我孫子市岡発戸の谷津田で30羽が枯れた葦に姿(2005/2/14)、我孫子市江蔵地で40羽(2009/11/27)、100羽の姿(2009/12/24)などの観察記録がありました。カシラダカは、九州以北の冬の農村ではごく普通に見られる種類として知られています。ところが鳥類標識調査(*)で,過去30 年の間に75‒87% もの個体数が減少したが明らかになり、北東シベリアで繁殖することが知られていますが、1990年代に入って大きく減少し、2016 年版のIUCN レッドリストで絶滅危惧II 類(VU)に指定され希少種となっています。研究者からは繁殖地での森林伐採、火災によって繁殖地が破壊されたなどがその要因として指摘されていますが、決定的な要因は解明されていません。(*)2016年鳥類標識調査報告書.2018.pp104.山階鳥類研究所.報告には、カシラダカは、日本の標識調査で最も普通に捕獲されてきたと記されています。1980年の全国での捕獲総数約67,000羽のうち、カシラダカが最多で約19,000羽(全体の28%)でした。それが、2015年には捕獲総数は12万羽余りと増加したにもかかわらず、カシラダカは約5,000羽(同4%)と激減しています。同時期での捕獲数はホオジロ科のアオジ7,700から26,000羽、オオジュリンでは3,200から12,000羽と増えているのと比べるとカシラダカのみが減少傾向を示したと指摘があります。
2022.04.04
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鳥友から手賀沼沿岸で観察した黒い頭巾について、冬羽が黒く変化したものですかと質問をもらいました。オオジュリンは、夏羽から冬羽になるときに、頭の羽が地味な色に生え替わるります。それぞれの羽の先端は褐色や白なのに雄だけ基部に黒が仕込まれていると表現したほうが理解しやすいと思います。仕込まれた黒が、春になると摩耗して表に出て、黒い頭巾をかぶっているように見えます。一枚目は、2014年1月に柏市側の手賀沼の葦原で観察した個体です。全体に淡色で、頭上・頬・喉の羽毛は基部が黒いのが特徴です。二枚目は、2018年3月に印旛沼北部調整池で観察した個体です。一枚目に比べると、喉の羽毛の基部の黒さがない個体です。三枚目は、2018年3月に手賀沼沿岸で観察した個体です。眉斑の白さがありますが、頭上・頬・喉の部分がだいぶ黒くなっています。四枚目は、2022年3月に我孫子市側の手賀沼で観察した個体です。眉斑の白い部分はなくなり、頭上・頬・喉の部分がだいぶ黒くなっています。五枚目も2022年3月に我孫子市側の手賀沼で観察した個体です。頭上・頬・喉の部分が黒くなっていますが、頭部の黒色に淡色の斑が混じっていた個体です。第一回夏羽と思われます。六枚目は、2021年1月に手賀沼沿岸で観察したオオジュリン雌個体です。眉斑が白く、頬の線と体下面が白いのが特徴です。(近似種のシベリアジュリンとオオジュリンについて)写真でシベリアジュリンとの違いをご案内できないのですが、野外で観察した際の違いでは上嘴と下嘴に注目するとよいと思ってます。オオジュリンの上嘴は暗色で下嘴は鉛色をしています。上嘴には丸みがあり、シベリアジュリンでは上嘴が直線的で黒く、下嘴がピンク色です。このほか、シベリアジュリンは腰と上尾筒が淡褐色で、オオジュリンは暗バフ色なのがポイントです。(参考:小鳥の換羽)ほとんどの小鳥たちは夏から秋に抜け替わりますが、少しずつ抜けて生えることを繰り返すので、風切羽、尾羽のように重なっているものにいては、広げないとわかりません。これに対して、スズメは先の白い雨覆羽に目をやると抜け替わりがわかります。換羽中のスズメでは、枝に横方向に止まった際には中雨覆1枚がぬけているのを目撃することがあります。
2022.04.04
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手賀沼沿岸にアリスイが飛来しており、外観上の特徴とその行動について整理してみました。(外観上の特徴)上面は褐色ですが、下面はそれに比べて淡色です。頭頂から後頭、背にかけておよび肩羽の黒線があります。尾羽は円尾でほかのキツツキのように尖っていません。(首をねじる行動)バードリサーチ(2015)は、アリスイの生態や食性、巣の防衛や行動についての知見と観察結果を整理して報告しています。中でも興味深いのはアリスイは首をクネクネとねじる奇妙な行動についてです。捕食者に対する防衛行動で行うものと考えられているので、巣箱の近くにカラス、イタチの剥製を提示しアリスイの行動を観察した結果を報告しています。それによると、剥製に対し警戒声を発したり,スズメやコムクドリなどとモビングをしたが、首ふり行動は観察されなかった。ただし、アリスイが標識調査の折、かすみ網にかかっているときに捕獲者が近づいた際に首ふり行動を確認していたことがあると報告しています。(引用文献)バードリサーチ.2015.Bird Reseach News Vol12.No8.p6-7.
2022.03.29
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もうそろそろ、フクロウと出会える季節を迎えます。鳥友からフクロウと出会うと大げさに首を回転させるのはなぜ質問をもらいました。フクロウ類は、目が前についている分、視野は110度しかなくシギ・チドリのように360度の視野で捕食者を監視できないので首をぐるりと回転させる離れ業を身につけたとされています。また、頚椎の骨が12~14個で鞍状になっており、容易に回すことができる背景だと思います。首の回転と目の網膜に弱い光を感じる桿体(かんたい)細胞が多く、大きな瞳孔が多くの光を通すこと、ハート型をした顔盤が発達して集音器の役割をして微細な音を耳孔に送りこむこと、全身の羽毛が柔らかで風切羽周辺に綿毛があり音無し飛行が可能であることが相まって夜間の狩りを可能としているとまとめることができます。(写真)2021年5月3日、2017年5月21日、2016年5月15日に栃木県で撮影
2022.03.18
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(1)手賀沼沿岸に滞在中のアカガシラサギ2022年1月26日に市民の方が遊歩道から観察したのが初認の模様です。以降、3月15日現在、滞在中です。個体は、頭から胸にかけて褐色の縦斑、背は褐色、上嘴は先端から基部が黒い冬羽です。これまでの手賀沼とその周辺地域では、限られた観察記録があるのみで、今回のように長期間滞在しているのははじめてと思われます。しかも注目すべきは、1970年以降は渡来季節が春型に変化しているとされている中、1970年以前のような秋・冬のいわゆる秋型渡来であることです。松戸市(2012)に2012年12月に観察記録があり、同じ秋型の渡来です。(2)アカガシラサギの渡来季節の変化新倉・中村(1987)は、アカガシラサギの観察記録を整理し、分布と生息状況について調査を行った結果を整理しています。報告によると、少くとも1960年頃までの記録数(南西諸島を除く)は10例にも満たず、記録の多くは,北海道,宮城,山形,八丈島など主として本州中部以北の北日本において,9~2月の秋冬期に採集さたものとしています。その後、1981年以降、記録数が増加し、渡来の季節も1970年以前は,9~2月の秋冬期の記録がほとんどであったが記録の増えた1970年以降は,5~6月の春から夏にかけての記録が多くなり,渡来季節が秋型から春型に変化している報告しています。(3)手賀沼とその周辺地域でのアカガシラサギの観察記録手賀沼とその周辺地域では、2012年2月以降観察されています。2012年2月(3例、2015年4月(3例)、2016年8月(1例)、2016年を除く記録はすべて手賀沼沿岸での観察記録です。(引用)新倉三佐雄・中村一恵.1987.日本におけるアカガシラサギの分布と生息状況.Strix.第6巻.p50-65.(財)日本野鳥の会.(参考文献)新倉三佐雄.1988.茅ケ崎市の湿田で観察された鳥類.神奈川自然誌資料第9巻.p 43~54.神奈川県.大迫義人.1992.福井県で観察されたアカガシラサギ.Ciconia.第1巻.p35-37.福井県自然保護センター研究報告.香川の野鳥を守る会.2018.香川の野鳥ファイルno36.アカガシラサギ.pp3.松戸市..2012.21世紀の森と広場パークセンターだより.pp8.我孫子野鳥を守る会.会報ほーほーどり.2012年-2021年.
2022.03.16
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鳥友よりカワセミの構造色について質問をもらいました。構造色について、基本情報を整理したものを提供します。なにかの参考となれば幸いです。(1)鳥の色を決定している要素光が当ったときに吸収されなかった色が反射して見える色素と細かい構造により強調された色が見える構造色によるものです。おもにメラニン(黒・茶色系)とカロテノイド(黄・赤系)で構成され、青や紫などのそれ以外の色は、ほとんどが構造色によって見えているとされています。(2)鳥の青色カワセミのようにキラキラ光る虹色の構造色と、コルリやイソヒヨドリのように非虹色のものがあることが知られています。近年、電子顕微鏡を使った構造研究と光の研究結果から、青色の構造色の場合にも羽毛の羽枝や小羽枝にある構造の種類によって色々なパターンがあることがわかってきました。カワセミの青色の羽毛は、スポンジ構造によって青色が強調されていること、カラスやハト類の首に見える金属光沢はケラチンが形づくる膜によって干渉されることでそう見えることが研究で判明しています。(参考文献)バードリサーチ.2007.バードリサーチニュース.vol4.no2.pp6.(写真)2022年3月13日松戸市で撮影
2022.03.14
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このところ、冬季にヒクイナが観察されブログに報告されているのを見かけます。私共夫婦がホームグランドとしている千葉県手賀沼や近郊の松戸市千駄堀、印西市印旛沼、都内水元公園といったフィールドでその姿を見かけます。観察した鳥類を書きとめているノートを見返すと、手賀沼で冬季にその姿を見かけるようになったのは2011年1月から、ほぼ通年で姿を見かけるようになったのが2017年からのことです。なお、手賀沼以外はスポットで訪ねているフィールドで、定期的には観察しておらず、冬季に姿を見かけるようになった年がいつからとのコメントは省略します。かつて、環境省の自然環境保全基礎調査(繁殖地図調査)で1970年代後半、1990年後半の調査結果を比較すると生息していると報告されたメッシュ数が減少し、2007年改訂された環境省いわゆるレッドリストでは絶滅危惧2類に選定されました。しかし,2010 年代には,特に東日本で分布の確認が増加していたこともあり、レッドリスト2014 では準絶滅危惧に区分が変更されています。ヒクイナは、水辺の湿地、水田で繁殖し本州以北では夏鳥とされていましたが、2006年以降近畿地方を中心に1980年代と比べて拡大傾向となったことは研究者から報告されているところです。冬季、ヒクイナの行動は、湿地を歩行しながら採食する習性を持っている関係で凍結しない環境が必須とされています。手賀沼で観察された地区はすべてそのような条件のあるフィールドです。そこに、近年の地球温暖化の影響で冬季にも観察できるようになったと推測できます。今後も恒常的に越冬するのかどうかは注目されます。(参考文献)バードリサーチ.2008.日本における2000年代後半のヒクイナの生息状況.pp11.環境省.1988.第3回基礎調査動植物分布調査報告(鳥類).環境省生物多様性センター.2004.第6回自然環境保全基礎調査(鳥類分布調査報告).環境省生物多様性センター他.2021.全国鳥類繁殖分布調査報告.日本の鳥の今を描こう. 2016-2021年.pp175.ヒクイナの動向について
2022.03.09
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現在、ロシアが侵攻しているウクライナ共和国。日本とあまりにも距離があるために身近に感じない方も多いと思いますしかし、渡り鳥にスポットを当ててみると、興味深い調査結果があります。オナガガモはユーラシアの寒帯・北アメリカ北部で繁殖し、冬はユーラシアおよび北アメリカの温帯から熱帯・アフリカ北部に渡るとされています。平成13年度 鳥類アトラス(環境省からの業務を山階鳥類研究所が受託)の報告書をみると日本国内放鳥・外国で回収された最も西からの回収記録が東経29度のウクライナからのもので、移動距離は8,414kmだった旨の報告があります。https://www.biodic.go.jp本種の国内放鳥外国回収のうち繁殖期の回収例はロシアの北東部にやや偏る傾向が認められ、カナダ・アメリカ合衆国からの回収は1例も得られませんでした。一方、越冬期の回収はロシアからはわずかに3例(うち2例は同一場所)でしたが、カナダ・アメリカ合衆国からは14例が得られ、多くはカリフォルニア州など中緯度の東海岸で回収されていました。ユーラシア西部からの回収が秋期に数例すると報告があります。ユーラシア西部の1例がウクライナのものでした。一度、戦争がおこると、国民が迫害され国土は荒廃することはもちろんですが、渡り鳥たちも大きな影響を受けるということです。
2022.03.01
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今日、千葉県松戸市内の公園のフィールド調査に立ち寄りました。その折、アオジが地面に落ちている種子を食べている際に尾を上げて仕草を見かけました。はじめて見かけました。いままで、たまたま見かけなかったのか、見逃していたのか、その意味はなんでだろうと思いました。尾をあげる小鳥として、オジロビタキが翼をさげた姿勢をとって伸ばした尾羽を上に数回振り上げてゆっくりと下げる仕草をすることが知られています。高野伸二さんが著書(*)の中で「枝に止まっている時には尾の白色部が見えにくいが、尾をあげて広げ気味にしながら下げる動作をよく行い、その時には尾の白と黒のコントラストが目立つ」と報告しています。オジロビタキの外側尾羽には白斑あります。この白斑または下尾筒の白を同じアオジが見せているかとも考えられます。(1)外側尾羽に白斑がある小鳥アカハラ(外側尾羽の内弁先端に灰白色の斑を持つ個体がいるとの報告があります)ホオジロ(外側尾羽2枚に白斑)、ベニマシコ(外側尾羽に白斑、3枚目に小さな白斑)、オオルリ(外側尾羽基部に白斑)、シロハラ、マミジロタヒバリ(外側尾羽2枚に白斑)、ムギマキ(外側尾羽基部に白斑)、オオルリ(外側尾羽基部に白斑)(2)外側尾羽に白斑があるが尾羽をあげる仕草をしないのはなぜ野外観察では解き明かすことは無理ですが、祖先がそのような行動したものが遺伝的に個固定されたか、なにかの要因で尾をあげることで利益があり行動が獲得されたという2つの考え方をあげられます。(*)高野伸二.1980.野鳥識別ハンドブック.p265.(財)日本野鳥の会.(写真)2022年2月22日撮影(オジロビタキは2016年2月千葉県松戸市で撮影)
2022.02.22
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今年の新年は朝寝、おせちとともにお神酒をいただき、まったり過ごしています。昨年撮影した鳥たちのデータを見ながら復習をしていました。鳥がはばたいている写真を見返していると、翼をまるごと煽っているのだと思っていたけれど、大きく振り下ろしているのは翼よりも先の部分だけなのだと改めて気が付きました。拙宅の亭主に教えてもらうと、主翼を構成している主なものは風切羽で、外側に(10枚位)ある長いものが「初列風切」、そこから胴体側に続く短めのものが「次列風切」と呼ばれる部分と教えてもらいました。「初列風切」は人間で言えば、手首から先に相当する手根骨・中手骨・指骨に付いて人が手のひらや指を折り曲げれるように動かすことが出来るので々な羽ばたきの操作が可能となっている由。また、肩側になる「次列風切」は肘から手首までの上腕にあたる尺骨にこちらは揚力を発生させる固定翼のベースなのだとのこと。骨格標本の画像をみせてもらうと、風切羽が骨に付く付根の側半分程度は、表と裏共に小さい羽に覆われ骨の側に密集していました。この部分が雨覆羽。初列風切の付根側半分を覆っている「初列雨覆」は、風切羽の植込部(羽柄)の隙間を埋め、風切羽が風圧に負けないように根元側を補強しているものとのことです。さらに、次列風切の付根は、「大雨覆」「中雨覆」「小雨覆」と呼ばれる3段重ねになり、羽の半分程度を覆う長さになっていました。雨覆は固定翼を空気漏れのない頑丈にし、多段構造となっていて骨の側が厚い翼形状をつくり、小さな羽を重ねて翼の表面をなめらかにして空気の流れを整えてを高めるのだとのこと。(写真)マガン:2019年12月手賀沼で撮影、 コクガン:2016年3月谷津干潟で撮影、ヒシクイ:2016年12月宮城県で撮影、2016年10月茨城県で撮影、2014年12月宮城県で撮影
2022.01.01
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大掃除、おせちの用意でなかなか野外に出かけるのがかないませんが、合間に我が家の庭のセンリョウの実を食べにメジロ、ヒヨドリ、キジバト、ジョウビタキなどの鳥たちが次々へと飛来しています。今日も赤いセンリョウの実を食べにメジロが複数飛来していました。センリョウは、赤い実は幸運のシンボルで、物事が実を結ぶ縁起物です。6月~7月になると茎の頂点からまばらに花茎を出して黄緑色の小さな花をたくさんつけます。花には花びらがなくあまり目立ちませんが、花粉が風で運ばれる風媒花です。ご近所のセンリョウ実を鳥たちが丸呑みして排泄した種がふえて実をつけたと思われるものともともとあったものと両方です。市販のものを求めると、高価なのでネットをかぶせる方も多いのですが、我が家では鳥たちが運んできた縁もあるので正月飾りとして使うものを確保した後は鳥たちに任せています。このため、厳冬期にはいろいろな鳥たちが姿を見せてくれます。(写真)2021年12月29日撮影
2021.12.29
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今日、外回りの合間に立ち寄った松戸市内の公園にある葦原を探索していたときのことです。えっとメジロの初列風切はこんな黒かったっけと思う個体を観察しました。一枚目の写真がその個体です。帰宅後、今年、柏市内の公園で観察した際に撮影したメジロの画像を復習。二枚目、三枚目の写真を見てみると、黒色は目立たずでした。四枚目、五枚目の写真では、黄緑色のふわふわとした羽毛が目立ち、黒味のある羽はあまり目立ちません。羽毛図鑑や羽根のコレクションを見返すと、メジロの場合は風切は地味で黒と白でした。ただし、外弁にメジロのシンボルカラーと言える、黄緑色が縁取られています。シジュウカラとメジロを比較すると、メジロは外弁の黄緑色の縁取りのがはっきりとして濃く、シジュウカラの初列風切は黄緑というより、ほぼ白でした。そのことから外弁の黄緑色の縁取りがはっきりとしているかそうでないのかの差ではないかと考えました。でも、それがどうしてかはわかりません。鳥類の羽毛、奥が深いものですね。
2021.12.27
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いつも鳥情報をくださる柏市内nankashibirdさん宅の近郊にある谷津田に立ち寄った折に30羽前後のメジロが屋敷林の中を移動し、その後次から次へと柿の木に飛来したと思ったら熟した実を食していたのを目撃しました。nankashibirdさんからメジロはどんなふうに味を感じるのでしょうかと質問をもらいました。帰宅してから拙宅の亭主の蔵書や資料を見返してみました。すると、鳥類にも味を感じる味蕾という細胞があり、口腔内に味蕾がある位置に食べ物が接触すると、刺激として味が感じられるとの記述がありました。また、種類によって数には差があり、ニワトリ:約24個、アヒルの味蕾:約200個、インコ・オウムの味蕾:約350個という具合で味蕾が多いほど味覚を感じやすいことがわかりました。また、メジロについては、研究者の実験した内容の報告がありました。その内容は、赤と白と緑に着色した糖度15%の人工果実を与えたところ、色による摂食量の違いはわずかだった、ただし、緑だけを糖度30%にすると、緑の果実がよく食べられたことから、メジロは色よりも栄養(糖度)に反応していることがわかりました。また、果実の大きさは、飲み込める範囲では大きい方が好まれたことが報告されていました。なるほど、谷津田の柿の実でメジロが好んで飛来して食されていたものとそうでないものがあるのはそういうことかと改めて勉強になりました。(参照文献)Stanley, M.C., Smallwood, E. & Lill, A. (2002) The response of captive silvereyes (Zosterops lateralis) to the colour and size of fruit. Aust. J. Zool. 50:205-213.
2021.12.17
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一昨日、手賀沼沿岸の公園でルリビタキと出会いましたが、その尾の動きを見ていると実に一定間隔で上限にリズミカルに尾を振っていました。しかし、写真の記録はかなわず、残念。写真のうち、2015年12月に撮影したものは尾のリズミカルな動きが少し伝わるのではないかと思ってアップしました。小鳥の尾の振り方に注目してみると、つぎのような特徴を整理できます。(1)歩いて尾を振るハクセキレイ特に警戒しているとき見られる時によく見られる印象があります。研究者から聞いたのは身をくらます意味があるのだそうです。(2)尾羽をバネのように振るジョウビタキ頭を下げてもとに戻すのと同時に尾を振るのがジョウビタキです。(3)尾羽を下に振るイソヒヨドリジョウビタキのようにおじぎをして尾を振りふわふわと飛ぶのがイソヒヨドリです。(4)翼を下げて尾羽を動かすオジロビタキオジロビタキは、翼を下げた姿勢をとり尾羽を上下に何回か振り上げ、ゆっくりと下げる仕草をします。尾を振るのとは違いますが、ご参考に。
2021.12.08
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短時間でしたが、ホームグランド手賀沼に立ち寄りました。かつては狩猟解禁となるといろいろなカモが手賀沼の水面に降り立ち羽を休める姿がありましたが、2000年年以降はその数も限られ、最近では淡水ガモの仲間も限られた種類が見られるだけとなっています。今日の沼の水面には、マガモ、カルガモ、ヒドリガモ、オナガガモの姿にくわえて、カンムリカイツブリ、ハジロカイツブリの姿がありました。このうち、カンムリカイツブリ冬羽は、頭が黒く、顔から前頸は白く、後頸が褐色でした。ところがこの個体、いつも見ているカンムリカイツブリに比べて首が太く、嘴が短めに見えました。最近の同時期で観察した個体と比較してみました。二枚目は、11月8日の手賀沼で観察したものですが、顔の飾り羽の後が残っており、首が太めに見えました。この個体と本日見かけた個体は近似していました。三枚目は2021年10月に手賀沼で観察した個体です。頭や顔の独特の模様と短い冠羽がある状態でした。四枚目は、2020年11月に手賀沼で観察した個体で、こちらは顔の繁殖羽の模様が少し残っています。五枚目は2020年12月に観察した個体で、こちらは四枚目よりも顔の模様が残っている個体です。六枚目は2021年3月に観察した個体です。こちらは繁殖羽で遠目に見てもその特徴がよくわかります。手賀沼ではほぼ通年、カンムリカイツブリが観察されています。その羽色は、年によっていろいろで、生殖羽の顔の模様が少し変化し、線のように残り、そして冬羽に換羽するというようになれば解りやすいのですが、今年の10月の個体にように顔の黒い縁取りのある赤い羽がかなり残る年もあります。
2021.11.16
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一昨日と昨日野田市と流山市の境界に飛来しているケリを観察した件を報告しましたら、知人のお子さんから野鳥は休んでいるときどうして一本足なの、折りたたんで座っているのはどうしてと質問をもらいました。たしかにそう言われてみると、思い調べてみました。(1)野鳥の一本足で休む理由確かにケリ、アオアシシギ、セイタカシギなどの足の長い鳥で一本足になって休む光景を見かけます。諸説あるようですが、体温調節のためとしているのが有力のようです。野鳥は、全身を羽毛で覆われていますが、足と嘴は肌が露出しており、外気温の影響を受けやすいので羽毛の中にしまい込んで、体温の放出を防止していると考えるのが順当なところのようです。(2)足を折りたたんですわれる理由知人に聞いてみると、ケリの足のくの字のように見える部分は、人間の足で言えば足首で、膝は羽毛に入ったあたりにあり、その上に人間で言えば大腿部となります。「く」から下は人間で言うところのまさに足で、先の広がった部分は、人間の足の指に相当するのだそうです。立っているのはつま先で立っていると理解したほうがよいのだそすうです。
2021.10.17
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柏市内でヒメアマツバメの姿が見られたのが2015年のことでした。以来、2021年繁殖期まで継続して観察されています。私が本格的に観察・記録をしはじめたのは2018年から、その習性が把握できていません。観察をスタートした2018年繁殖期7月4日に合計3羽が飛び回る光景を目撃し、うち2羽が巣に中に入り休憩していました。抱卵でも育雛でもなく巣で休憩する鳥は知りませんでしたので新鮮な驚きでした。2021年繁殖期も3羽が飛び交い、上空を活発に飛びまわていたかと思うと、うち2羽は羽だけを集めて作った休憩場所に入り、1時間近く休憩をしていました。とにかく、不思議な生態です。さて、ヒメアマツバメについて拙宅の亭主が得ている情報や文献資料などから東京近郊での動向を整理してみました。整理した結果からは、1988年にヒメアマツバメが東京に進出したことがわかります。しかし、イワツバメ集団営巣地で営巣したものの、繁殖したかは不明です。ただし、神奈川県厚木市が人工物に営巣し、繁殖期に2回から3回子育てをする報告していますから繁殖していた可能性は高いものと思います。あわせて、(1)ヒメアマツバメの東京進出八王子・日野カワセミ会の2016年会報第56号に東京進出について報告があります。報告では、1988年5月に東浅川町高尾線高架下に集団ねぐらを観察したとあります。以降、1994年までイワツバメ集団営巣地の中で40巣規模の営巣が続いたとの報告です。(2)神奈川県厚木市でのヒメアマツバメの子育て神奈川県厚木市自然保護課だより第20号(2020)につぎのように報告があります。「1年中見られ、市街地や大きな建物などの人工物に巣を作り、4月から12月頃にかけて2回から3回程度子育てをします」(3)山梨県での初認都留文科大学キャンパス周辺の鳥類相とその変化(2009)にヒメアマツバメを2006年8月にはじめて観察したことが報告されています。(4)柏市での営巣すでに述べたように、柏市での初認は2015年ですが、巣の中での休憩は認められるものの繁殖したかどうかは確証は得られていません。(5)高知県でのヒメアマツバメの繁殖スケジュールStrix(1987)に巣外から観察できた範囲での観察記録を報告しています。それによると、調査対象の24巣のうち20巣を利用し、17巣で繁殖が観察され、繁殖期は4月から11月で一巣で最大3回繁殖したとの結果となっています。Strix.1987.高知県でのヒメアマツバメの繁殖スケジュール.野村みよ子、内村満紀.第6巻.p32-42.(財)日本野鳥の会.(写真)2018年8月22日、2020年9月19日柏市にて撮影
2021.10.01
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昨日、茨城県浮島周辺でシギ・チドリを探索し、アオアシシギ、タカブシギ、イソシギ、などと出会えました。そのうち、アオアシシギの夏羽、冬羽、若鳥の識別について質問をもらいました。過去撮影した画像を復習しました。ご参考に紹介します。一枚目と二枚目は昨日観察した個体です。胸から喉まで細かい斑が密で、上面の軸斑など黒色部が多いことなどから夏羽から冬羽に移行しはじめの個体と思われます。三枚目、四枚目は夏羽で、頭部から首に黒くて細かい縦斑があり、体上面は灰色味のある褐色で白い羽縁があります。また、下面は白く胸には黒い斑があります。五枚目は成鳥冬羽です。上面は灰褐色で羽縁が白くて丸みがあります。また、下面は白さが特に目立ちます。顔から胸には縦斑がありません。六枚目は若鳥です。上面は褐色がかって各羽縁が白くて角ばっています。(写真)2021年7月31日撮影、2017年5月17日撮影、2019年10月21日撮影、2018年8月26日撮影
2021.08.01
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昨日、大磯町照ヶ崎海岸でアオバトとの出会いを楽しみました。復習で過去の撮影画像を整理してみました。(雌雄の比較)一枚目は成鳥雄で小雨覆・中雨覆は赤紫色、下腹は白く初列風切と次列風切、外側尾羽は黒いのでわかります。これに対して二枚目は雌で成鳥全身が黄緑でひと目見て識別することができます。写真1)2)(翼に注目)三枚目と四枚目は翼を広げた光景です。表から見た場合と裏から見た場合です。若鳥では雨覆に二本の白帯があります。写真3)4)(喉から胸にかけて赤くなつている個体)五枚目は2018年7月に観察したもので右端の個体の喉周辺が赤くなっています。六枚目は同じ年に観察したもので喉から下が子供がグレープジュースをのぼしたような感じになっていました。七枚目は2017年7月に撮影した個体で喉より少し下方の部分が赤くなっています。八枚目は2019年8月に撮影した画像で七枚目とほぼ同様です。写真5)6)7)8)(嘴の先端が紫色)嘴の先端が紫色になっていました。写真9)(市街地で見かけた個体)松戸市八柱霊園で観察した個体です。写真10)(喉の周辺が赤くになっている個体の考察)亭主の蔵書を見ていたら、BINOS(2017)にアオバトの喉の周辺が赤くなっている点についての調査報告が掲載されていました。それによると、果汁が赤い色の果実が食べられている時期、および幼鳥が巣立つ時期とに関連が認められたと記されています。具体的にはアオバト幼鳥の巣立ち~自立するまで(親鳥が果実を吐き戻して幼鳥に与える際に潰れた果実の赤い果汁が親鳥の口からこぼれ落ち喉や胸に赤い果汁が付着したと考えるのが妥当と結んでいます。私が過去撮影した個体で喉周辺の色のつきかたがいろいろなのは、こんなことによるのだと改めて学びました。(写真:撮影地のコメントがないのはすべて照ヶ崎)1)2018年7月3日撮影2)2019年8月3日撮影3)、4)2019年8月3日撮影5)、6)2018年7月3日撮影7)2017年7月22日撮影8)2019年8月3日撮影9)2018年7月3日撮影10)2016年10月23日撮影(引用文献)BINOS.2017喉周辺が赤くなっているアオバトの飛来について.日本野鳥の会神奈川支部研究年報 第24集.p15-25.
2021.07.27
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昨日、渡良瀬遊水池周辺のアオバズクの飛来地に立ち寄りました。出会う楽しみはもちろんですが、プレゼント品を探すのも密かな楽しみです。親鳥がじっと巣の方向を見守っている木や暗くなって餌を捕獲する街灯のまわりを探すとその羽毛を発見できるからです。昨日は、長4センチ程度の小翼羽を発見しました。(写真左側)拙宅の亭主によると、第一指骨に生えている羽毛でもともとは初列風切と同じような役割をしていて滑空するときの安定さに貢献しているのだそうです。写真右側の2枚は、初列風切で内弁な丸い黄白色の斑点が見られます。もう一枚の画像は、裏雨覆羽と思われるもので下からアオバズクを仰ぎ見るとちらっと見えるのだそうです。(こちらは2018年7月に千葉県で撮影)
2021.07.25
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雨降りが続き、野外に出かけられない日が続いており、過去撮影した画像の整理と復習に明け暮れています。昨日手賀沼沿岸の谷津田の一角でハクセキレイの若鳥を見かけました。口角が黄色で耳羽、眉斑があり、頭から上面がバフ色でした。同様の個体を2020年8月に柏市正蓮寺で見かけた個体と2008年8月に柏の葉公園で見かけましたが、これらの個体は耳羽の部分が黄色くなっていて耳羽を囲む不明瞭な線もありました。四枚目の写真は、2021年手賀沼沿岸で観察した個体で、上面は黒色で胸の黒色は広く白黒のコントラストがはっきりとした成鳥夏羽です。五枚目の写真は、2020年8月に柏の葉で観察した個体です。嘴がグレーで、喉の黒色部は広いものの、背が灰色で黒い羽がまじっている個体でした。成鳥雄の若鳥から成鳥への換羽中の個体ではと思います。六枚目の個体は、2007年に手賀沼沿岸で撮影した個体です。過眼線がほとんどなく、一見するとハクセキレイの亜種ホオジロハクセキレイ似に見えました。あとにも先にも同様の個体は見かけておらず、未だに?がノートについたままです。
2021.07.04
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6月30日にさいたま市彩湖で高原モズを見かけました。その羽色をいくつかのフィールドで見かけたものと比較してみました。参考になれば幸いです。一枚目は、6月30日に彩湖で見かけた高原モズです。頭部はグレー、黒い過眼線、背は灰色、風切は黒色、胸の一部に橙色が残っていました。二枚目は2015年7月に戦場ヶ原で見かけた高原モズです。頭部が橙色、背は灰色、黒い過眼線、風切の黒い部分が少し見えていました。三枚目は2019年6月に戦場ヶ原赤沼近くで見かけた高原モズです。頭部は橙色、黒い過眼線、黒色の風切が目立ちました。四枚目は、2021年4月手賀沼沿岸で見かけた高原モズです。頭部の橙色を除くと、彩湖で見かけた個体とほぼ同様です。5枚目は、2018年2月に手賀沼沿岸で見かけたモズです。頭部は橙色、黒い過眼線、黒い嘴、初列風切基部に白斑、胸から腹が橙色、下尾筒が白い雄成鳥冬羽です。なお、観察記録を振り返ってみると、春以降は標高の高いところで高原モズを見かけることが多い傾向にあります。皆さんのところではいかがでしょうか?
2021.07.03
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コマドリが囀るときは、岩や木、低木などの地上近くで上をむいて囀ることが多いと記述している図鑑、書籍が圧倒的だと思います。その記述は何からスタートしているのだろうと思いました。気になると、調べないと気がすまない性分なので、亭主に聞いたり、文献を調べてみました。拙宅の亭主によると、日本野鳥の会の会報野鳥1968年6月号p3-5に樹梢上で囀るコマドリと題して横田義雄さんが記事をかいてしらっしゃるよと教えてもらいました。また、蒲谷鶴彦さんの日本野鳥大鑑に文献を紹介している部分があるとも教わりました。調べてみると、羽田健三さんと工藤悦男さんが1976年発行の信州大学志賀自然教研業績P9-19に報告している内容と蒲谷さんが引用として紹介なさっていました。蒲谷さんの記述している内容によると、コマドリが囀るときには低い枝や倒木の上など地面に近いところでのことが多く、2m以下のところで囀るのが79%、2から4m6%、4から8mの高さが0%、8から16mほどの木の梢で囀るのが16%とありました。ということは、コマドリの姿と遭遇するには、地上2m以下のソングポストにとまる姿を待つか、木の梢にとまるりを待つのがポイントですね。
2021.07.02
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上高地でコマドリと出会い、記録した画像を復習してみました。鳴き声は何度も聞いていたのですが、今回のように姿をじっくり見たのははじめてなので羽色のいろいろを拙宅の亭主にレクチャーを受けました。(1)今回観察した個体の性別胸の境界線が雌よりも明瞭で濃い、頭部の橙色が鮮やかであり、雄の特徴がわかります。(雌では喉から胸の橙色と腹部の白灰色の境界線がはっきりとしていない、頭部の色は地味な色)(2)囀りの姿勢現地で囀っていた個体はいずれも地上近くの樹や低木の枝にとまり、胸をはって囀っていました。いわば決めのポーズなのだそうです。「ヒンカララララ」「チッツルルルル」と、よく響く大きな声でさえずりが特徴ですが、地鳴きは、「ピッ、ピッ、ピッ」「ツン、ツン、ツン」と細く高い声とのことです。そういえば、囀り前にいくつかの木を移動していたときに聞こえていました。(3)行動圏コマドリは、「一沢一駒」と言われ明確な縄張りを持つと聞いていましたが、上高地のコマドリは200メートル程度の範囲内に複数の雄の囀りが聞こえました。繁殖環境が狭くなってきていることで密集してきいているのではないかと仮説がたてられるのではとのことです。(4)コマドリの求愛ダンス亭主も鳥見をはじめた頃に師匠から教わったのだそうですが、雄が求愛ダンスを行うのだそうです。雄が、倒木の上などで尾を上げて扇形に広げ、頭を下げ、尾を広げたまま下げて翼を半開きにして震わせ、ルルル・・・と小声で鳴きながら同じ場所で一回転するの行動を求愛ダンスと呼んでいる由。雌は、求愛ダンスを見て、雄のプロポーズを受けるかどうかを決めるのだとか。亭主と出かけたフィールドは、福島県裏磐梯から米沢にぬける峠道の谷、国民休暇村裏磐梯近郊、長野県白駒池、亜種タネコマドリが生息する三宅島で出会ったことがあります。それらのフィールドで求愛ダンスを披露してくれるような舞台を探してみたいと思います
2021.07.01
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フィールドにでかけたリポートをブログにメインとしていますが、拙宅の旦那と食事しながら話題にのぼった鳥の話題を提供していこうと思い、綴ります。珍鳥や季節の鳥も魅力的ですが、皆さんの身近なフィールドにも目をむけていただけるといいなあと思っています。私の生まれ故郷の千葉県松戸市の千駄堀、ホームグランドの手賀沼沿岸、柏市内ではキセキレイ、ハクセキレイ、セグロセキレイがほぼ通年その姿を見るようになっています。拙宅の旦那が鳥を見始めた1970年代はじめは、わざわざハクセキレイを見に北海道まででかけたのだと話しを聞いたことがあります。それもそのはず、かつてはハクセキレイは北海道で繁殖し、本州には越冬のため飛来する冬鳥だったからでした。それが、私が鳥を見始めた1980年代に入ると繁殖分布が南下し、中部地方まで達したのでした。その後、内陸部や都市部への進出するようになりました。関東地方に進出してきた件は、中村一恵さんが1980年に野鳥誌に報告なさっている通りで、1970年6月に東京羽田河口部で観察なさったもの、1980年には内陸部に進出した個体を観察したとあります。ホームグランドの手賀沼のある柏市に旦那に連れられて1986年に柏駅前のビルにあったハクセキレイのねぐらを見に行ったことがあります。その頃は、松戸市、手賀沼沿岸などで通年、キセキレイ、ハクセキレイ、セグロセキレイを見かけることはありませんでした。それが、今やハクセキレイが通年で見られ、河川の中流域に生息していたキセキレイやセグロセキレイが見られるのですから、変化したものです。
2021.04.14
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新潟県長岡市の470年の歴史のある蔵元吉乃川の朱鷺が、最寄り駅のnewdaysで見かけ、思わず購入してしまいました。180mlのスリムボトルの水色のラベル(吟醸酒)、橙色のラベル(純米酒)の2種。本当は、新潟の鳥友のところを訪ねたいところですが、新型コロナウィルス感染拡大の影響があるので出かけるのを控えなくっちゃいけないし、でも会いたいなあと思いが強くなるばかり。帰宅してからさっとおかずを作って晩酌にしました。友達と朱鷺を思い浮かべて今夜は夢ん中~♫
2020.07.29
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どなたが、なかなかサンカノゴイの姿と出会う機会はないとブログでの報告を拝見しました。朝から雨降りなのでサンカノゴイの撮影画像を見返していました。拙宅の亭主と私がサンカノゴイとはじめて出会ったのは、1985年11月このことでした。印旛沼沿岸の葦原で待機していた時、ブオーと声を出して飛び立つ姿を目撃ました。以来、そのフィールドに通い詰めてたところ、11月から冬にかけて出会うのがほとんどでした。北海道で繁殖する、秋冬には本州に南下する報告されていましたので印旛沼のものもこうした個体と思われました。ところが、2005年以降、繁殖期に印旛沼で姿が見られるようになり現在まで継続して観察され、栃木県渡良瀬遊水池では2008年から2010年前後までは4-5羽、2013年以降は1-2羽の生息するとバードリサーチニュース2018年6月号に報告があり明らかにサンカノゴイの分布が変化したことが読み取れます。(写真)2013年1月20日撮影
2020.06.13
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6月8日栃木県小山市が渡良瀬遊水地でコウノトリの2羽のジュニアが誕生したと発表しました。雄ひかるは2016年野田市コウノトリの里生まれ、雌歌は2018年徳島県鳴門市生まれ。地元の見守り隊の観察報告によると、抱卵開始は4月27日、推定孵化日が5月30日頃、そして6月7日に孵化したものと推定されています。1971年に国内でのコウノトリが絶滅以来、野外繁殖は東日本ではじめての由。歌についてはその姿を間近で観察したことはありませんが、ひかるはこうのとりの里で孵化してからの様子やコウノトリの里のエリア内で餌を捕獲していた様子を画像におさめています。二羽の親鳥と雛が元気でありますように。
2020.06.08
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