1
コマドリの姿と雄同士のディスプレー、雌への求愛ディスプレーを期待して上高地に出かけてきました。パスタ新宿から夜行バスで現地に向かい、朝5時20分到着。往路は梓川左岸(河童橋から明神橋)、復路は梓川右岸(明神橋から河童橋)を探索しました。コース毎の観察種は下記をご覧ください。なお、コマドリのディスプレーに遭遇するのはかないませんでしたが、復路の小鳥の鳴き声、個体数の多さを堪能してきました。(往路)途中、3年前にコマドリの鳴き声を聞いたエリアは、土砂が流入した痕跡があり面影がなく環境が一変していました。それでも、鳥影の気配を感じたので待機していたら目の前にホシガラスが登場。木の枝に飛来した後、地面に降りて採餌している模様でした。その後、コマドリが合計6羽、ホトトギス、アカゲラ、コガラ、ヒガラ、シジュウカラ、ウグイス、ゴジュウカラ、ミソサザイ、アカハラ、クロツグミ、ヒタキ科、キビタキ、オオルリ、キセキレイ、アオジを観察。(復路)往路とは違い、コースはアップダウンがあるのと複数の遠足のお子さんたち、観光客がひっきりなしでしたが、小鳥の鳴き声は多く往路の比ではありませんでした。アカゲラ、コガラ、ヒガラ、ウグイス、メボソムシクイ、ゴジュウカラ、ミソサザイ、アカハラ、コマドリ、ホオジロ、ノジコを観察。(小梨平)散策路を探索した後、河童橋の明神寄りにある平坦地である小梨平内を探索。マガモ、イカルチドリ、イソシギ、ホトトギス、ヒガラ、ウグイス、メボソムシクイ、センダイムシクイ、ミソサザイ、カワガラス、アカハラ、コマドリ、キビタキ、オオルリ、キセキレイ、ハクセキレイ、セグロセキレイを観察。(写真)2024年6月6日撮影アップしたのはホシガラス、コマドリ、キビタキ、ウグイス、セグロセキレイ、イカルチドリ、イソシギ、キセキレイ。(コマドリは胸の境界線が明瞭で黒いので雄)
2024.06.07
閲覧総数 148
2
あこがれのコマドリに出会うため、5日夜から6日に長野県上高地へ出かけてきます。この記事は予約配信でしています。7日に観察リポートを配信する予定です。亜高山帯に生息するコマドリは、蒲谷(1995)が「雄同士のディスプレーは胸をそらし喉や胸を見せルルルルと強く鳴きくのに対して雌に対しての求愛ディスプレーは尾羽を扇子のように開いて下げ、翼を半開きにして羽ばたきルルルと鳴く」と報告されています。前者については、長野県上高地や長野県白駒池、福島県と山形県境で目撃したことがあります。今回の上高地行でも期待しています。駒鳥の名の由来について、蒲谷(1995)は、和漢三才図会にコマドリの囀りを必加羅加羅と聞き、この声を馬が走るときに鳴る口輪の金具の鳴る音に聞こえること、または頭を左右に振って鳴き姿が馬の走るときに似ているので駒鳥となったと記していることを紹介しています。(引用)蒲谷鶴彦.1995.日本野鳥大鑑下巻.p38-39.小学館.(写真)2021年6月29日長野県松本市上高地で撮影
2024.06.06
閲覧総数 267
3
鳥友からセイタカシギ雌は、大半が雄とヒナを残して立ち去ると聞いたと質問をもらいました。先月茨城源稲敷市で観察した際にもセイタカシギ成鳥雄と若鳥の姿を観察しましたが、そういえば雌の姿が見当たりませんでした。文献を紐解いてみると、北川(1991)が「育雛の途中でつがいの雌の半分ほどが雄と雛を繁殖地に残して立ち去ってしまう」と報告しているのを目にしました。また、「雛を育てる環境が排泄物で汚染されるのを減らしたり、雛をめぐる家族内の争いを少なくする利点がある」とも記しています。さらに、「早い時期に家出した雌は、行先で別の雄とつがい関係をむすび2回目の繁殖を行っている可能性もある」と述べています。セイタカシギは一夫一婦制が基本の婚姻形態と述べているものが多いのですが、実際はそれほど強固なものではないということになります。(引用)北川珠樹.1991.家族を基本とした群れ生活 セイタカシギ 雌の家出.動物たちの地球.通巻825号.6-198、6-199.朝日新聞社.(写真)2024年5月17日茨城県稲敷市浮島で撮影
2024.06.05
閲覧総数 244
4
今シーズン、手賀沼・印旛沼沿岸の水田地帯や茨城県南部の水田地帯でサギ科アマサギの姿をほとんど見かけません。なにかの要因で飛来が遅れているのか、それとも採餌環境が悪化して他地域に滞在地を移したのか、気をもんでいます。かつて、2001年春までは手賀沼沿岸の水田地帯で100羽前後の群れ、2008年8月に63羽の群れが見られていましたが、以降2011年から2019年の間は姿が見られず、2020年以降最も多かった2022年6月でも20羽前後の群れが観察されるのみと減少しています。バードリサーチ(2021)が、全国鳥類繁殖分布調査の結果から、アマサギ、コサギ、ゴイサギは、1970年代から1990年代にかけて確認メッシュ数が増加したがその後減少したと報告しています。減少の原因について、バードリサーチ(2019)は、湿地など開けた環境の悪化、食物の減少(畑の昆虫が減少)、大型のサギ類が増加し,小型のサギが減っている傾向があことからコロニーでの巣場所を巡る競争で小型のサギ類が大型のサギ類に負けてしまっていたなどが要因として考えられると指摘しています。(写真)1枚目:2014年4月20日印西市(夏羽:頭から胸にかけて橙黄色で背にも橙黄色の飾り羽があります)2枚目:2018年6月16日手賀沼沿岸(右側の個体が夏羽、左側の個体は頭が白色なので若鳥と思われますが、嘴が朱赤色になっていて婚姻色となっています)3枚目:2020年6月21日茨城県土浦市(頭にオレンジ色がまだらにあり、胸が橙黄色を帯びており、成鳥冬羽が夏羽に換羽中の個体と思われます)4枚目2018年6月16日手賀沼沿岸(嘴の色は成鳥に比べて淡く額にオレンジ色がないことから若鳥と思われます)5枚目:2019年9月14日印西市(頭から胸にかけての橙黄色と背の橙黄色が色あせてきており、夏羽から冬羽に換羽中の個体)
2024.05.28
閲覧総数 700
5
野田市生まれのヤマト(雄)と渡良瀬生まれのひなた(雌)が野田市で造巣、営巣、抱卵しジュニア2羽が誕生し、成長しています。昨日の土砂降りの雨で心配になり現地に出かけました。現地に到着した12時30分すぎは、気温25℃前後で、前回5月18日のような高温で直射日光が降り注ぐような条件ではなく、雌のひなたと幼鳥2羽の姿が巣にありました。地元の方によると、雄ヤマトは11時頃に出かけたまだ帰還していない由。ファミリーが勢ぞろいしたのは、14時30分すぎ。北西方向からコウノトリの姿が登場し巣に降り立ちました。リングの色から雄のヤマトでした。ヤマトが降り立つとひなたがクラッタリングをして大歓迎。今度はひなたが巣を離れて上空高く旋回。ヤマトが幼鳥に給餌しているので外敵の有無を上空から確認しているようにも見えました。その後、木野崎方面に渡去。2羽の幼鳥には左右の脚に黒いリングが装着されているのを観察しました。一羽はJ0760、もう一羽はJ0761と刻印されていました。コウノトリのほか、チュウサギ、アオサギ、そして林縁にサシバの姿もありました。アオサギもサシバもこの谷津田が子育ての拠点となっています。(写真)2024年6月3日撮影
2024.06.03
閲覧総数 357
6
サシバのペアが暮らす複数の谷津田を訪ねました。今シーズンは、まだ水田脇の電柱に止まる姿が観察できますが、地上に降り餌を捕獲した後、巣に持ち帰るとなかなか再登場してくれません。おそらく、ヒナが誕生しているか、抱卵中の雌に餌を食いちぎり与えているのかもしれません木陰で待機していると、比較的近い距離まで鳥たちが接近してきます。田んぼに餌を探しに飛来したカルガモ、農家の方と勘違いしているのか私の方に接近してきました。そして、なんだ違うおばちゃんかとばかりに鳴き声を一声。次に登場したのは、チュウサギ。まったく視線に入っていないようで忍び足で水田の中を移動し、餌探しに没頭。最後は、道にできた小さな水たまりに接近してきたカワラヒワ。雄のほうは頭がオリーブ色がかっていました。また、雌は全体的に緑色が乏しい感じがしました。雄の頭部の色から亜種カワラヒワと思われます。(亜種オオカワラヒワは頭部が褐色)いつの間にか、亜種オオカワラヒワが多かったのが、亜種カワラヒワに入れ替わっていました。(写真)2024年6月4日撮影
2024.06.04
閲覧総数 329
7
夏鳥のヨシゴイと出会える時期となりましたので、印旛沼沿岸を訪ねました。葦原を南東の風が吹き抜け、探索にはつらい条件でした。それでも5羽前後のヨシゴイが13時から14時の時間帯に29回/1h登場してくれました。2羽で広大な葦原を追いかけっこをしているように飛翔するもの、沼の縁で捕獲してきた獲物を巣の雌にプレゼントするものと実にいろいろでした。このほか、沼の入り江で巣をつくり座り込んでいたアオサギ、葦原のあちこちでテリトリー争いや宣言をしているオオヨシキリの姿、葦原の中からヒクイナの鳴き声が聞こえたり楽しい時間を過ごしました。(写真)2024年5月30日撮影(ヨシゴイの写真はすべて雄。頭上が濃紺、雨覆が黄褐色、上面が茶褐色)
2024.05.30
閲覧総数 634
8
昨日の雨がうそのように青空が広がる朝となりました。ツミのペアの様子を見に林に立ち寄りました。雌は巣の中で抱卵しておりに巣の外観にも異常は認められませんでした。雄は、営巣木の近くの木の枝にとまり、日光浴と羽づくろいをしている最中でした。それでも巣にカラスが接近した折には、すぐに枝から飛び立ちカラスを追尾。そのスピードはすさまじいものがあります。羽つくろいは、扇子のように尾羽を広げた後、翼を広げて内側・外側の順でメンテナンスをしていました。前日が雨で朝から晴れとなり、雌への餌のプレゼント後に羽づくろいを見ることができます。いつ外敵が襲来してもフルスピードで飛翔できるようにスタンバイしているのがよくわかります。ツミを観察した後は、近郊の砂利が敷いてある駐車場で抱卵中のコチドリの様子を見に移動しました。じっと抱卵しているのかと思いきや、短時間ですが巣を離れテリトリー内を巡回した後再度巣に腰を下ろす光景を観察。腰を下ろした際、嘴を少し開けて鼻歌を歌うのような感じに見えたのがチャーミングでした。(写真)2024年6月1日撮影
2024.06.01
閲覧総数 410
9
25日から26日にかけて夜行バスを使って長野県戸隠高原に出かけました。お目当ては野鳥はもちろんですが、ミズバショウの花です。5月上旬から中旬にかけて開花したそうで既に見頃はすぎている模様ですが、しっかり見られて満足。森林植物園71ha内の夏鳥たちの鳴き声を堪能して歩きました。園内では木道が車いすでも散策できるようにとリニューアルされていました。さて、夏鳥は、まだ外気温が低くすこし時期が早かったこともあり、最盛期は少しあとの時期となる印象でした。それでもノジコとアオジの囀りの違い、園内のあちこちでミソサザイ、キビタキの囀りと遭遇できました。あわせて、サンショウクイが何度も八十ニ森のまなびや付近からカラマツのこみちにかけて鳴きながら移動していきました。あたらしい発見だったのが、ミソサザイの囀る姿勢についてです。ソングポストはたいてい水平方向の枝や切り株がほとんどですが、今回発見したのが30メートルほどの木の幹にゴジュウカラのように止まって囀っていたことです。(観察できた鳥類)カイツブリ、カルガモ、ホトトギス、ツツドリ、カッコウ、コゲラ、アカゲラ、カケス、コガラ、ヒガラ、シジュウカラ、ヒヨドリ、ウグイス、センダイムシクイ、メジロ、ミソサザイ、クロツグミ、アカハラ、コルリ、キビタキ、ニュウナイスズメ、カワラヒワ、イカル、ホオジロ、ノジコ、アオジ(備考)今回はツキノワグマとは遭遇しませんでした。しかし、森林植物園内では複数箇所に足跡が認められました。特にカラマツ園地、高台園地付近の細い沢周辺は出現の確率が高いので単独では入らないことをおすすめします。(写真)アカゲラ雄、アオジ以外は2022年5月26日撮影
2022.05.27
閲覧総数 396
10
茨城県桜川市の雨引山の林道を探索しに出かけました。複数のホトトギスが鳴きながらと移動する姿、複数のキビタキの囀り、アカゲラ、アオゲラ、そしてお目当てのサンコウチョウも複数が鳴きながら移動していきました。そのあと、約5キロほど離れた山麓にある建物に営巣しているコシアカツバメに会いに移動。到着直後は、コシアカツバメが補強した巣、スズメに乗っ取られた巣(*)を見かけたのでは心配しましたが、ほどなくコシアカツバメが帰還し、既存の巣を使っている個体はその中に、新しく造巣している個体は壁面に唾液と土をミックスして貼り付けている光景を観察しました。(*)コシアカツバメの巣は出入り口が細長いとっくり型はスズメにとって好みのタイプのようで乗っ取っている数が多い傾向でした。カラスなどの外敵に襲撃されにくいので好まれているようです。(写真)2024年5月24日撮影コシアカツバメの営巣場所は、撮影者が殺到すると市民の方に支障があることから地名などは非公開とさらてもらいます。
2024.05.24
閲覧総数 719
11
柏の葉キャンパス駅近郊では、ツバメ、イワツバメ、ヒメアマツバメ3種のツバメ類が観察できます。このうち、ツバメ、イワツバメは商業施設前の調整池を囲む斜面の土を採取しに飛来し、ヒメアマツバメは池の空中で羽毛や植物の葉、茎などを採集し、唾液で貼り付けて少し離れた場所にある橋梁下のコンクリートにくっつけて巣をつくっています。この巣は、ツバメ、イワツバメと違って塒としても使っています。3種の様子を把握するとともに商業施設に営巣したツバメが巣立つ頃なのでその様子を見て回りました。すでに巣から巣立ったヒナは電線に止まり、全身でアピールし親鳥から餌を受け取っていました。ヒナは、成鳥に比べると下面に赤味が目立つような印象がありました。ツバメ類のほか、調整池の草むらに営巣中のバンが巣材を運搬する姿やアオサギが雨のやんでいる間に羽つぐろいし、その後ダイナミックに羽毛全体をばさばさとしていました。(写真)2024年6月2日(ただし、ヒメアマツバメとイワツバメの姿の写真は昨シーズン撮影のもの)
2024.06.02
閲覧総数 398
12
昨日、印旛沼でヨシゴイを観察しました。雄個体が時間あたり29回の出現するのを目撃。その後、ウーッウーッと鳴き声が聞こえました。しばらくすると、その光景は見られなくなり、何もなかったように静けさに戻りました。鳴き声はどんな意味あいを持つのかと鳥友から質問をもらいました。(オス同士の追い払い行動と鳴き声)上田(1996)が、埼玉県での調査結果を報告しています。その中で「渡来当初、アシやヒメガマの群落に定着したヨシゴイは、特に夕方から早朝、「ウ-ッ,ウ-ッ」という低い声で鳴き続けている。この声は配偶者を引き寄せる意味に加えて、オス同士の,巣を中心としたなわばり宣言にももちいられているものと思われる。事実,はじめにアシ原やヒメガマの特定の場所に定着したオスが、近づくほかのオスを追払う行動がよく観察された」と記しています。印旛沼での頻繁に葦原の上を飛翔する姿は、オス同士の追い払う行動ではないかと思います。一枚目の写真は、昨日葦原の上に移動した後、喉を膨らませて鳴いていた時の様子です。(擬態)ヨシゴイは擬態を行うことが知られています。蒲谷(1996)が、敵が近づくと首を上に伸ばし枯れた葦が風にそよぐように体を振ると述べているもの、佐原(2013)が警戒時にヨシゴイがとる体をまっすぐ立ててクチバシを上に向けヨシに擬態すると記している報告があります。二枚目、三枚目の写真は、印旛沼で観察したヨシゴイの擬態です。いずれも嘴は上には向けていませんが、ヨシと同化しているように見えました。(引用)上田恵介.1996.ヨシゴイはなぜ集団で繁殖するのか:巣場所選びと繁殖成功.Strix.第14巻.pp. 55-63.(財)日本野鳥の会.蒲谷鶴彦.1996.日本野鳥大鑑.上巻.p34.小学館.佐原雄二.2013.ヨシゴイ 警戒態勢.Bird Research News Vol.10 No.1.p4-5.(写真)2024年5月30日、2021年6月26日、2022年7月7日いずれも印旛沼で撮影
2024.05.31
閲覧総数 528
13
未明までの雨と強風がなくなり快晴の朝となりました。ササゴイを観察するため都内に出かけました。到着して北側エリアにササゴイ似のサギ科の鳥が羽をやすめているのを発見。虹彩が赤く、頭上と背が藍色のように見え、体下面が白く、顔、頚が白色で、ゴイサギ第二回夏羽と思われました。さて、お目当てのササゴイは、巣のあるエリアの高い木の枝に止まっていた後、餌を探しに池の工作物に移動したり、杭にとまり喉を膨らませてゴウという声を何回も出していました。ペアリングの時に出す声と思われました。ペア誕生後、巣作り、産卵、子育てがスタートするものと思います。ゴイサギ、ササゴイのほか、カイツブリの親子、バンの姿も観察できました。(写真)2024年5月29日撮影
2024.05.29
閲覧総数 463
14
かつて水戸街道の宿場町として賑わった街の橋梁で長年チョウゲンボウが営巣・子育てをしています。様子を見に出かけました。東南東の風が強く吹き抜け、橋梁の穴に入り抱卵している関係で姿は見られませんでした。30分ほど経過した時、雄がフックのような場所にとまり羽づくろいをはじめました。このほか、かなり離れたところに別ペアの雌が強風を避けて羽を休めているのを発見。その後、多くのペアが巣として使っている横方向の穴ではなく、上方向に空いている穴から一羽の雄が姿を現しました。その飛翔、ホバリングをする姿を観察。いくらホバリング(*)の名手である鳥でも縦方向に上昇し穴に入るのは至難の技なはずです。風上に向かってはばたいて、尾を制御しながら上方向への揚力を得るのかしらと頭の中で想像。今日はかなわなかったのですが、次回の宿題となりました。(*)ホバリングチョウゲンボウは、風上に向かってはばたき、速度を得ながら翼のまわりに空気の流れをつくるウィンドホバリングを行い揚力を得ています。1点にとまっているような動きとするために尾を使い制御します。(写真)2024年5月25日撮影
2024.05.25
閲覧総数 550
15
鳥友からカイツブリは双眼鏡を向けるとすぐに潜水してしまう。環境によって観察しやすいフィールドがあるのかと質問をもらいました。都内の公園でも釣人が多く見られるところとそうでないところでは潜水に違いがあります。釣人が多いところでは釣り糸に接近する動きが見られたり、水面をゆったり移動しているように感じます。この件で、文献を調べてみました。前田(2017)が滋賀県で行ったカイツブリの個体数や子育て、行動に関する調査結果を報告しています。その中で、「調査の結果からカイツブリには「人見知りが強いタイプ」と「わりあい人に慣れたタイプ」の 2 タイプがあることが見えてきました。人の近くで生息するカイツブリは、人の各種の行為が自分に利害を及ぼすものかどうかを学習するのではないでしょうか。「 釣り人の竿先から 10 mほどのところに近づき、そこで潜って採餌をした。釣り針付近に魚がいることを承知して、意図的に近づいているように見えた」という報告からカイツブリが人を利用している様子が伝わってきました」と記しています。報告の終わりに「調査地で地元の人に話しかけるとほぼすべての人がカイツブリという鳥を知って いて 、どこにいるか までご存知の方が 結構 いらっしゃいました。春から夏にかけては鳴き声が聞こえてくるからでしょうが、 漁業者や農家 の人 釣り人水辺に住む人 など 、普段自然に接する機会が多い方たちの目には留まっているということです」とむすんでいる点が印象的でした。(引用)前田雅子.2017.琵琶湖博物館フィールドレポーター2017年第1回調査「カイツブリに会いに行こう 」調査報告.pp22.滋賀県琵琶湖博物館.(写真)2021年8月5日柏の葉キャンパス駅近郊、2020年9月19日同左、2023年6月13日都内で撮影
2024.05.27
閲覧総数 630
16
1日から2日にかけて長野県戸隠高原に出かけました。長野駅前のアルピコ交通のチケット売り場で5日間有効の戸隠エリア内フリー下車が可能なフリーきっぷを求め、あちこちを見て歩きました。森林植物園内では、ホオジロ、ノジコ、アオジ、クロジの囀りの違いを堪能し、あちこちでテリトリーを主張していたミソサザイ、キビタキ、モズの若様が成鳥に対してテリトリーを懸命に防衛していた姿、遊歩道の上を鳴きながらエスコートしていれたキセキレイなど、次からつぎに出会いを楽しみました。鳥以外では、カラスアゲハの姿、みどりが池沿岸でモリアオガエルの卵をみつけたり楽しい二日間となりました。なお、1日と2日の両日、森林植物園内の散策路でツキノワグマの姿と遭遇しました。特に、随神門から鏡池方向の散策路、高台園地下の小さな小川付近、みどりが池近くの散策路で鳥見のため待機する時には厳重に注意が必要です。今シーズン、単独で散策していた地元の方が顔をひっかかれたことがあると耳にしました。(観察できた鳥類)カイツブリ、カルガモ、アオサギ、ホトトギス、ツツドリ、カッコウ、トビ、ノスリ、コゲラ、アカゲラ、モズ、カケス、ハシボソガラス、コガラ、ヒガラ、シジュウカラ、ツバメ、イワツバメ、ヒヨドリ、ウグイス、エナガ、ヤブサメ、エナガ、センダイムシクイ、メジロ、ミソサザイ、クロツグミ、アカハラ、コルリ、コサメビタキ、キビタキ、ニュウナイスズメ、キセキレイ、カワラヒワ、イカル、ホオジロ、ノジコ、アオジ、クロジ、コジュケイ(写真)2020年7月1日から2日撮影
2020.07.03
閲覧総数 541
17
近年、冬季にヒクイナが観察されブログに報告されているのを見かけます。私共がホームグランドとしている千葉県手賀沼や近郊の松戸市千駄堀、印西市印旛沼、都内水元公園といったフィールドでその姿を見かけています。ノートを見返すと、手賀沼で冬季に姿を見かけるようになったのは2011年1月から、ほぼ通年で姿を見かけるようになったのが2017年からのことです。かつて、環境省の自然環境保全基礎調査(繁殖地図調査)で1970年代後半、1990年後半の調査結果を比較すると生息していると報告されたメッシュ数が減少し、2007年改訂された環境省いわゆるレッドリストでは絶滅危惧2類に選定されました。しかし,2010 年代には,特に東日本で分布の確認が増加していたこともあり、レッドリスト2014 では準絶滅危惧に区分が変更されています。ヒクイナは、水辺の湿地、水田で繁殖し本州以北では夏鳥とされていましたが、2006年以降近畿地方を中心に1980年代と比べて拡大傾向となったことは研究者から報告されているところです。冬季、ヒクイナの行動は、湿地を歩行しながら採食する習性を持っている関係で凍結しない環境が必須とされています。近年の地球温暖化の影響で冬季にも観察できるようになったのではと推測できます。(写真)2022年2月4日手賀沼沿岸、2022年2月9日手賀沼沿岸、2022年3月9日松戸市で撮影(参考文献)バードリサーチ.2008.日本における2000年代後半のヒクイナの生息状況.pp11.環境省.1988.第3回基礎調査動植物分布調査報告(鳥類).環境省生物多様性センター.2004.第6回自然環境保全基礎調査(鳥類分布調査報告).環境省生物多様性センター他.2021.全国鳥類繁殖分布調査報告.日本の鳥の今を描こう. 2016-2021年.pp175.
2023.02.02
閲覧総数 448
18
来週15日前後までは雨降りが続くとの予報で思うようにフィードに出かけられません。そろそろ、千葉県内のアオバズクの若様たちが巣穴から外に出る頃です。曇り空でもいいから、会えないかなあと心待ちにしています。(写真)2017年7月15日撮影
2020.07.10
閲覧総数 169
19
(手賀沼とその沿岸で越冬期の分布が集中)近年、手賀沼で越冬するオオバンは沼本体の水面では姿はあまり見かけず、柏市と印西市の境界を流れる下手賀川に集中しています。これは、沼には浅瀬がになく陸上植物の植体や種子を食べることができないこと、沼では沈水植物・抽水植物・藻類等が豊富でないことと関連しているものと思います。全国的には橋本(2013)が1990年代、2000年代になるにつれ,西日本各地で越冬するだけでなく,越冬地が東北地方へと北上しており、各地でオオバンの越冬数が増加する湖沼がみられていると報告しています。にもかかわらず、手賀沼では顕著な増加傾向が見られないのは越冬個体を支えるだけの食物状況にないことが影響しているのではないかと推察されます。(繁殖期の深刻な食物状況との関係)北島(1994)は手賀沼におけるオオバンの繁殖について調査した結果を報告しています。その中に手賀沼に生息するオオバンの一腹卵数は,5.2±1.1卵でイギリスでは5.9卵、チェコスロバキアでは7.1卵、ラトビアでは7.6卵、西ドイツでは7.9卵の報告と比べると少ない状況となっており、その理由として冬季の食物状況の貧弱さを指摘しています。冬期も繁殖期いずれも食物状況が貧弱で深刻な状況となっています。(引用)北島信秋.1994.手賀沼におけるオオバンの繁殖生態.山階鳥研報.第26巻.p47-58.橋本啓史.2013.オオバン.Bird Research News Vol.10 No.2.p6-8.バードリサーチ.
2022.12.30
閲覧総数 211
20
コゲラの頭部にある赤い羽について、図鑑ではいろいろに記載があります。鳥友から斑点なのか、羽毛なのかと質問をもらいました。というのも、千葉県柏市内でコゲラが木の幹で巣穴をほっており、その際に見えたとのこと。現地に出向いて撮影したのが一枚目の写真です。二枚目の写真は、2013年4月に柏市内で撮影したものです。(主な図鑑、文献の記載)高野(1980)は、雄では目の後方に橙赤色の小斑があるが野外では普通の場合見えないと述べています。永井(2014)は、雄は後頭部側面に赤い羽。2-4月の求愛の季節や警戒時によく見られるが見えないことが多いと述べています。石田(2005)は、後頭には赤い羽がある。普段はほかの羽に隠れて見えない。興奮するなどして頭部の羽毛を逆立てると見えることもあると記し、頭部と赤い羽根のを図示し全長は7.5mm程度と述べています。叶内(2020)は、雄の後頭部両脇には赤い羽があるが、興奮したときや風が吹いたときなど以外は見えないことが多いと述べています。(結論)赤色の斑と記載しているものがありますが、石田(2005)が述べているように赤い羽が5-10枚存在していると理解するのが妥当だと思います。また、興奮した時や風が吹いた時以外は見えないとの記載がありますが、一枚目の写真を撮影した際は巣穴を掘っていたので興奮状態とも考えられますが、二枚目の写真の個体では無風で、興奮していた様子もありませんでした。(引用)高野伸二.1980.野鳥識別ハンドブック.p213.日本野鳥の会.石田 健.2005.コゲラ 分類と形態.Bird Research News Vol.2 No.5.p4永井真人.2014.比べて識別野鳥図鑑670.p64.文一総合出版.叶内拓哉.2020.フィールド図鑑 日本の野鳥.p260.
2023.07.22
閲覧総数 291
21
先月30日に柏の葉キャンパス駅近郊でイワツバメが巣を作っている旨を報告しました。記事を読んでくれた鳥友からイワツバメはどこで寝るのかと質問をもらいました。よく聞いてみると、ツバメやショウドウツバメ,コシアカツバメは渡りのコース上のヨシ原などに集まって休むことが文献や画像記録によって報告されているのに、イワツバメについてはねぐらに関するリポートもないとのことでした。西(2013)は、イワツバメの形態や分布、生息環境、生活史などを整理し報告しています。その中に「巣に入れなかった個体は、日没が近づくと小群になりコロニー上空へ飛び去り、この小群は日没後もコロニーに戻ることはない。さらに,ヒナの巣立ちが近づくと巣でねぐらをとらない親鳥が観察されるようになる」、「ヒナは巣立つと巣にはほとんど戻らなくなる」と報告しています。飛行能力に優れたアマツバメ類は、飛びながら睡眠をとると聞いていますが、イワツバメも同様に飛翔しながらの睡眠なのでしょうか?(引用文献)西 教生.2013.生態図鑑.イワツバメ.Bird Research News Vol.10 No.9.p4-5.(写真)2022年6月30日柏市柏の葉キャンパス駅近郊で撮影、2019年4月19日同地で撮影、2018年6月24日同地で撮影、2013年6月2日柏市柏にて撮影
2022.07.03
閲覧総数 145
22
同じような環境で観察することのあるコチドリとの識別について鳥友から質問をもらいました。2種の特徴を整理しました。(アイリング)イカルチドリは淡褐色のアイリングがあります。コチドリのように黄色が目立ちません。(上面)イカルチドリは全体に羽縁がバフ色ですが、コチドリは全体に羽縁が淡色です。(頭部)イカルチドリは前頭も褐色で不明瞭な淡褐色の眉斑があります。コチドリは額はバフ色で明瞭に眉斑もバフ色です。ほとんど見えない場合もあります。(胸帯)イカルチドリは褐色、コチドリは褐色で中央で切れている個体が多い傾向です。(その他)イカルチドリは尾が翼端よりも突き出ています。(コチドリ幼羽)コチドリ幼羽は淡褐色のアイリング、嘴も細めでイカルチドリの印象が似ています。しかし、胸帯は中央で切れています。(写真)イカルチドリ2022年12月茨城県菅生沼で撮影、コチドリ2020年3月手賀沼で撮影
2022.08.21
閲覧総数 405
23
ツミのペアの様子を見に林に立ち寄りました。ブランドから観察していると、巣には雌が座り込んでいました。時折、雌が鳴き声を出すと瞬時に雄が抱卵を担当する光景が見られます。今シーズンのペアは雄が巣の近くで雌の合図を聞き漏らさないように待機しているのが特徴です。抱卵を雄が担当した後、再び雌に交代すると、今度は雄が巣を見下ろす近くの木の枝に止まり、外敵などを監視するポジションについていました。成鳥雄の姿を観察していると、喉に1本の縦斑があるのに気づきました。若鳥の喉に縦斑があるのは観察していましたが、あらたな発見でした。くわえて、魅了されるのが雄の虹彩の暗赤色、鋭い爪。(写真)2024年5月26日撮影
2024.05.26
閲覧総数 536
24
これから関東近郊ではサギの集団繁殖地(コロニー)が形成され、子育てとジュニア誕生の時期を迎えます。毎年、ホシゴイはゴイサギですか?と質問をもらうことがあります。結論を申し上げると、ホシゴイもゴイサギで、写真で示した二枚目のものまでを私はそう呼んでいます。(ホシゴイについていろいろな記述)1年目の若鳥、成鳥になる前のゴイサギの俗称、幼鳥がホシゴイと呼ばれるなどなどとホームページやブログによってホシゴイの範囲もじつに様々です。その背景は、幼鳥の定義はあるものの、若鳥の定義が定まっていないことによります。(ゴイサギの羽毛などの変化)生まれた年のゴイサギの幼鳥は、羽の模様が星に見え、頭はボサボサで冠羽は無く、虹彩は黄色です。2年目に入ると、羽の星模様は消え、冠羽はありませんが、羽毛はかなり整い虹彩は橙色に変化します。その後、3年目になると、上面は紺色、下面は白色で3本の冠羽が出て、虹彩は真っ赤になります。(写真)一枚目:羽の星模様がありますが頭がボサボサのゴイサギ、2014年7月越谷市で撮影二枚目:羽が整ってきて羽の模様が星模様にみえるゴイサギ、2018年7月22日都内で撮影三枚目:第二回目夏羽に換羽しはじまったゴイサギ、2020年6月茨城県土浦市で撮影四枚目:成鳥と若鳥の中間的な個体、2020年6月茨城県土浦市で撮影五枚目:ゴイサギ成鳥、2017年8月茨城県土浦市で撮影(幼鳥と若鳥について)ヒナに最初に生えそろう羽が「幼羽」で、幼羽をまとっている鳥を「幼鳥」と呼びます。たとえば、スズメでは顔の黒い斑が薄い、カワラヒワでは腹に濃い斑点があるといった点で成鳥と異なっていますが、秋までに羽が抜け替わる(第1回冬羽)と成鳥とよく似た姿に変化し、翌年春には繁殖できるようになります。これに対して、繁殖できるまで2年以上かかるツル、サギ、カモメ、タカなどの仲間で、幼羽から成鳥の羽になる途中段階などを「若鳥」と記載している図鑑もありますが、若鳥の定義は定まっていません。(ホシゴイの名前の経緯)平家物語巻第五朝敵揃に記述がある内容は、つぎのとおりです。醍醐天皇が京都二条城近くにある庭園神泉苑での宴の折、池の水際にサギがいたので、六位の者に「あのサギを捕らえよ!」と命じたそうです。命令を受けた人は天皇の命令なのでサギに歩み寄り、天皇のの意向である旨を伝えたところひれ伏して飛び去りませんでした。早速捕らえてくると天皇に献上すると「命令に従ってくるとは、けなげなやつ。すぐに五位の位にせよ」と指示をし、「今日からサギの王」という札を天皇が作りサギの首につけて放鳥したとのことでした。なお、三省堂(1988)には、五位という名は醍醐天皇が神泉苑の宴の折、空を飛んでいたサギが勅命に従って舞い降りたのをたたえ正五位に叙したところ嬉しげに舞った故事にもとづくと記されています。平家物語の訳者によっての解釈が複数あり、記述に違いがあるようです。(引用文献:三省堂コンサイス鳥名事典.p214.1988年刊)
2022.05.16
閲覧総数 2135
25
鳥友からトラツグミとスズメ、シロハラ、ムクドリ、ウグイスの舌表面は類似していると聞いたがそれはどうしてかと質問をもらいました。江村(2011)は、トラツグミなどの鳥類の舌表面を電子顕微鏡で観察した結果を報告しています。それによると、ミミズなどを食べることが多いが柿などの奨果も食べるトラツグミの舌は、細長い矢じり状で舌尖の先端は幾つもの針状構造を呈していることがわかったと記し、スズメ目に属するスズメ、ツグミとシロハラ、ムクドリとウグイスと類似していると結んでいます。また、同じ鳥類でも食べ物により舌表面の構造は大きく異なり、草の葉や種子を主食とする鳥、水草あるいは肉などそのどれを主食とするかにより舌表面の構造は異なっていると報告しています。具体的には、昆虫類、ミミズ、種子を採食するトラツグミ、スズメ、ツグミ、シロハラでは舌先端は分離しているが、草の葉や種子を主食とする鳥でもキジの舌の先端は分離しないが、水草を主食とするオオヒシクイ、ハクチョウ、カルガモ には舌体外側面の毛状および鱗状の突起および隆起部が存在しているなどの内容を述べています。これらは、口腔内に入った食物が確実に食道に流れ込み、口腔外に押し出されないための装置と結んでいます。(引用)江村 正一.2011.トラツグミ、ハイタカ、オナガガモ、チュウサギの舌表面の走査型電子顕微鏡による観察.医学と生物学.第155 巻第 4号.p194-201.(写真)2023年2月19日千葉県柏市、2023年1月29日茨城県つくば市で撮影
2023.02.20
閲覧総数 386
26
明け方から9時頃まで小雨がふっていましたがその後やんだので春のシギ・チドリを探索しに茨城県浮島まで足を延ばしました。しかし、到着し小雨が降り出し風も吹き抜ける探索には不向きの条件となりました。それでも、セイタカシギ4羽、オオソリハシシギ1羽、タシギ8羽が蓮田と畔に見つけて現地を後にしました。手賀沼沿岸の谷津田まで移動し、サシバが飛来したポイントで待機。一羽は電柱のてっぺんに止まっている姿を見つけました。その後、2羽で上空を鳴きながら旋回していました。どうやらペアのようでした。しばらくその動きを観察していたら、木のへっぺんにキツツキの姿を発見。後頭部のみ赤い、上面は黄緑色で下面に波状斑があり、アオゲラ雌個体でした。(写真)2024年4月6日撮影(浮島、手賀沼沿岸ともに小雨、曇天で証拠写真です)(メモ)アオゲラは手賀沼沿岸とその周辺地域では、2014年12月、2015年3月に観察したことがあるのみです。
2024.04.06
閲覧総数 890
27
9月に入りはじめてホームグランド手賀沼とその沿岸を訪ねました。スタート地点の柏市側の水面の杭にミサゴが止まっている姿を発見、また入江になっている葦原の中に復数のゴイサギの姿を見つけました。その後、手賀沼大橋から東寄りの水面と沿岸を探索すると、浅瀬で餌を物色して歩いていたアオアシシギを発見しました。上面が褐色がかり各羽縁が角張っいる印象があったのでアオアシシギ若鳥と思われました。さらに水田との縁を探索すると、バッタやイナゴなどの餌を探すダイサギ、コサギ、電線に翼帯1本の小鳥の姿と電柱にはチョウゲンボウの姿がありました。小鳥は、お腹が黄色っぽく、翼帯は1本。田んぼのすぐ脇の電線に止まっていたこともあり、横顔だけ見ているとえっなんの種類だろうと思いましたが、シジュウカラと判明。(写真)2022年9月13日撮影
2022.09.13
閲覧総数 250
28
雨続きでなかなかフィールドに出かけられません。湖沼にはコガモなどのエクリプス羽を観察できる頃なのですが、かなわないので画像で復習しています。(1)成鳥雌エクリプス1枚目の写真は、2016年9月に手賀沼で観察したコガモです。下嘴の橙色が目立ちました。嘴は雄であれば、嘴全体が黒いですから、雌とわかります。また、上面は若鳥のほうがより黒っぽく見えますがそうではないで成鳥と思われます。また、最外三列風切の黒条の出方は長く、先端に届いています。アメリカコガモであれば、黒条の出方は短く、先端には届きませんのでコガモと同定できます。(2)成鳥雄エクリプス2枚目の写真は2020年10月に手賀沼で観察・撮影したコガモです。嘴全体は黒く、上面には黒っぽさがありましたので、コガモ雄のエクリプス羽とわかります。また、目より上の部分は暗色で眉斑はありませんでした。この点から不明瞭な過眼線と眉斑がある雌個体ではなく、雄とわかります。なお、三列風切が長い印象がありました。(3)雌生殖羽写真は、2014年3月に手賀沼で観察・撮影したコガモです。嘴基部と側面が黄色で三列風切に橙褐色の斑が表れています。1枚目の写真の個体の三列風切には橙褐色がないので違いがわかると思います。
2022.09.24
閲覧総数 262
29
10月11日に手賀沼沿岸にてヘラサギを観察しました。鳥友から過去の観察記録についてはどうなのかと質問をもらいました。過去の文献を紐解いてみた結果は次のとおりです。なお、昨年11月に永井真人さんが2021年11月6日に手賀沼で観察し撮影した旨が記事と画像がツイートがあります。我孫子市(1995)は、1993年と1994年に実施した鳥類の調査報告の結果を報告するともに過去の鳥類の生息状況について文献を調べた結果を整理し報告しています。それによると、昭和中期以降では1965年12月12日にヘラサギ、11月23日と12月29日にクロツラヘラサギ2羽が記録されていると報告しています。ただし、ヘラサギについては日本野鳥の会東京支部報(1966)にのみ記載されているもので、記録された時期・場所などからヘラサギの記録はクロツラヘラサギを誤認したものではないかと指摘しています。しかし、判断の方法がないので記載したとあります。(引用)我孫子市.1995.我孫子市自然環境調査 鳥類調査報告書.p63.(参照文献)斉藤吉永.1966.クロツラヘラサギ手賀沼にあらわる.野鳥.第31巻.235号.p57.日本野鳥の会.
2022.10.16
閲覧総数 212
30
ジョウビタキについて、鳥友から年によって雌のほうが飛来数が多い印象があるがどうしてかと質問をもらいました。文献を調べてみると、田中・佐藤(2013)が1999年秋から2011年春まで高知県内で観察したジョウビタキの渡来数と性比について報告しています。12年の越冬期合計で1173羽を記録し、年による増減が大きかったと述べています。この文献の中で、雄が越冬地に先に到着しなわばりを確保していると雌がなわばりを確保できる可能性が低いと記している点が興味深い部分です。このような要因で雌の割合が高い地域があると読み取ることができます。今シーズン、ようやくジョウビタキが飛来したばかりですが、観察した個体が雄か雌か、個体数はどうかを記録しておく価値があると思います。(報告概要)注目されるのは、2002年、2007年、2009年は高知県へのジョウビタキの飛来が多かったが平野部での越冬個体数は多かったのに、寒さが厳しい山地では少ない結果だったとの点、高知県では雌が雄より多かったと述べている点です。前記筆者は、鳥類の生まれた時点での性比には違いがなく、ジョウビタキも同様と考えられていると述べています。しかし、繁殖地により近い越冬地にいち早く到着した雄ほど繁殖に適した場所をなわばりとして確保でる可能性が高い。一方、雌も越冬地でなわばりを形成するが、越冬地に雄がすでに渡来していると雌がなわばりを確保できる可能性は低い。このため、雌は繁殖地からより遠い場所での越冬地に飛来すると記しています。ジョウビタキは中国北部からシベリア南東部などで繁殖し、日本、韓国、中国南部で越冬するが、高知県で越冬期で雌のほうが多かったのは、繁殖地に近い越冬地に雄が先に飛来していたために、繁殖地から遠い高知県では雌の個体数が多い結果となったものと思われると報告しています。(引用)田中正春・佐藤重穂.2013.高知県におけるジョウビタキの性比と越冬個体数の年変動.四国自然史科学研究.第7巻.p12-13.
2022.11.06
閲覧総数 175
31
お盆明けから9月にかけて桜の木にカッコウ科の鳥類が飛来します。過去、千葉県内で出会ったカッコウ、ツツドリ、ツツドリ赤色型の画像を復習してもみました。一枚目、二枚目は、カッコウです。後頭部に白斑が目立ちます。上面は褐色色がかったグレー色です。三枚目から五枚目はツツドリです。虹彩は赤褐色で下面の黒帯は荒く太い傾向です。四枚目、五枚目は胸から腹に褐色味のあり、雌と思われます。六枚目、七枚目はツツドリ赤色型です。頭にはっきりと黒い横縞があります。ホトトギスにも赤色型が存在しますが、頭の黒班は無班か不明瞭です。(写真)カッコウ:2017年9月撮影、ツツドリ通常型2016年9月撮影、ツツドリ赤色型2015年9月6日撮影
2019.08.05
閲覧総数 7076
32
茨城県南部の水田地帯に昨日オオヒシクイが飛来したとのニュースを耳にしたので現地に出かけました。昼過ぎに到着した時点では水田に5羽が田んぼで採餌。12月に入ってからの飛来ははじめてではないかと思います。昨年は12月3日時点で205羽が飛来していたので南下しない要因があるのかと思います。ヒシクイのほか、田んぼにはタゲリの姿、広大な水田の中央部にコチョウゲンボウ、ノスリ、上面が褐色で体下面に縦斑が密なハヤブサ若鳥、ミサゴの姿がありました。また、隣接する河川の水面にはカルガモ、オナガガモ、トモエガモ、ミコアイサ、カンムリカイツブリが羽を休めていました。(写真)2022年12月04日撮影
2022.12.04
閲覧総数 232
33
昨日寒さから一転の青空となり、冬の小鳥を探しに松戸市の八柱霊園に出かけました。園内は紅葉が終盤となっている中、エナガ、シジュウカラ、ヤマガラ、メジロの混群が林の中を移動していました。その中にキクイタダキ2羽の姿を発見しました。しかし、松などの木の枝に隠れてしまい思うように撮影がかないませんでした。このほか、上空をオオタカが旋回し、ノスリが市川市方向から松戸市千駄堀方向に飛翔し移動していきました。(写真)エナガ、シジュウカラ、景色は2023年11月27日撮影、キクイタダキ、ヤマガラは2019年12月16日、2023年2月19日撮影のもの
2023.11.27
閲覧総数 558
34
北よりの風約5メートルの強風が吹き抜ける日となりました。強風の影響を受けにくい茨城県南部の公園を訪ねました。越冬したルリビタキの姿は3羽まで観察てきました。尾羽をリズミカルに降って登場し、観察している面々を楽しませてくれました。このほか、林の中をフィフィと口笛のような声を出しながらウソが登場。このほか、桜の花の蜜を吸いに飛来したメジロ、地面で種子をついばむアオジ、貯蔵していたドングリの実を運んできてついばんでいたカケスを観察できました。カケスは、下面が橙色を帯びており、多くの図鑑類にある灰色がかった褐色とは違っていました。(写真)2024年3月9日撮影(ウソは2013年2月撮影のもの)
2024.03.09
閲覧総数 530
35
先週から姿を登場している首都圏でのミゾゴイの様子を見に出かけました。(なお、2月29日に観察したフィールドとは別の場所です。)(観察したミソゴイの特徴)・眼の周囲と眼先は水色でした。・頭上は淡い紺色で冠羽は短いのか目立ちませんでした。・頭頂から額にかけて暗青色。・下面に黒褐色の縦斑がありました。・嘴は短めでした。上記のことから成鳥雄と思われました。(2月に観察したミゾゴイの特徴)頭上が紺色(成鳥は暗赤褐色)で、後頭に冠羽(成鳥は短い冠羽あり)は認められません。また、若鳥の雨覆や肩羽には褐色斑がありますが、認められませんでした。このことと頭や翼に白と黒の虫食い斑があるので幼鳥と思われました。(写真)2024年4月25日撮影(最後の写真、幼鳥は2月29日撮影)今回も絶滅危惧種であり、観察地は非公開とさせてもらいます。
2024.04.25
閲覧総数 658
36
茨城県稲敷市浮島にコジュリン、オオセッカ、シギ・チドリを探索しに出かけました。湿原のあちこちでオオヨシキリ行々子と鳴き声をあげテリトリー争い、オオセッカもジュクジュクと鳴き声を出して垂直に舞い上がる姿を複数見かけました。また、お目当てのコジュリンは少し遠くの草原の上にその姿があり、囀りを披露。また、近郊の蓮田にセイタカシギ7羽の姿を見つけました。片足を羽の中に収納し人間でいうと寝落ちしている印象のある2羽、成鳥、若鳥などじつにいろいろな羽色でした。このほか、県道沿いの水田にチュウシャクシギの群れが休んでいたり、蓮田の上をオオタカが飛翔したり、楽しい時間でした。(写真)2024年5月17日撮影
2024.05.17
閲覧総数 836
37
昨日、千葉県松戸市と埼玉県三郷市の境にある江戸川の土手沿い訪ね、ベニマシコをたっぷりと観察しました。雌の成鳥冬羽と雌第一回冬羽、雄成鳥の特徴について整理してみました。野外で出会った折のご参考となれば幸いです。(1)雌個体について一枚目は昨日観察した雌第一回冬羽と思われる個体です。羽色と翼帯がバフ色がかっています。下面には縦斑は目立ちませんでした。これに対して二枚目の写真は2016年3月に印旛沼で観察した雌成鳥冬羽です。こちらは、下面に縦斑があり、白い翼帯が目立ちます。三枚目の写真は2020年1月に印旛沼で観察した雌成鳥冬羽です。二枚目とは上面の羽色に違いがありますが、下面に縦斑があります。(2)雄個体について四枚目は、昨日観察した雄成鳥冬羽です。頭から上面に褐色味がありました。なお、腰は繁殖羽と同様の紅色でした。これ対して五枚目は2015年11月に野田市内で観察した雄成鳥冬羽です。上面に繁殖羽の紅色味が残っていました。
2022.01.25
閲覧総数 753
38
鳥友から眼先のピンクになったコサギを見かけたけれどと質問をもらいました。初夏から夏にかけていわゆるサギの仲間では、目と嘴の間の皮膚などが種ごとに平時とは異なった一時的に現れるのがいわゆる婚姻色です。主なサギの婚姻色を整理すると、次のとおりです。ダイサギでは眼先が緑青色、チュウサギでは黄色、コサギではピンクまたは赤色、ヨシゴイでは眼先がピンク色、アオサギでは眼先から嘴、足が赤味を帯びます。(写真)一枚目:コサギ2022年4月8日手賀沼、二枚目:コサギ2017年8月2日成田市、三枚目:コサギ2016年7月12日葛西臨海公園四枚目:チュウサギ2017年6月12日柏市、五枚目:ダイサギ2021年5月2日成田市、六枚目:ヨシゴイ2021年6月26日印西市、七枚目:ヨシゴイ2020年7月19日印西市、八枚目:アオサギ2022年3月30日松戸市で撮影
2022.04.09
閲覧総数 678
39
かつて水戸街道の宿場町として賑わった街の橋梁で長年チョウゲンボウが営巣・子育てをしています。4週間ぶりに現地を訪ねました。本日出会ったのは、6ペアでした。巣の中からはジュニアの鳴き声が聞こえきていました。食欲旺盛のようで雌雄で餌を交互に持ち帰り、与えていました。餌をジュニアに与えた後は、雌は爪に付着した獲物に肉片が気になるらしく入念なお手入れ。その後、巣の入り口で雄の不在の間は、カラスが侵入しないようにガード。その後は、鳥友から案内されていた守谷市郊外の谷津田に立ち寄りました。利根川、鬼怒川、小貝川に囲まれた大地の上の自然林、昔は海だったという湿地、谷津田と里山を探索して歩きました。サシバと畦を移動するキジ、見事な鳴き声を披露してくれたキビタキなどを堪能し、楽しい時間を過ごしました。(写真)2022年5月18日撮影
2022.05.18
閲覧総数 456
40
鳥友から水元公園で複数の種類のカッコウ科の鳥類の姿を目撃しているとニユースをもらい、現地に出向きました。ツツドリとカッコウ若鳥の姿が合計5羽あり、メタセコイヤがある林縁を活発に動いていました。1枚目の写真はツツドリ、2枚目から4枚目がカッコウです。ツツドリは腹に白地に太めで間隔の広い黒色横斑があり、下尾筒にバフ色ベースに黒色横斑があります。一方カッコウは、後頭に白斑があり、上面に褐色味があり(ツツドリは暗色)、黄色のアイリング、虹彩は橙黄色で、幼鳥と思われました。このほか、林ではアカゲラが鳴きながら木の幹に止まったり、小合溜の水面にはヨシガモ、ヒドリガモ、キンクロハジロ、ホシハジロの姿を観察しました。(写真)2023年10月17日撮影
2023.10.17
閲覧総数 464
41
茨城県北部の那珂川沿いにある林道を訪ねました。お目当てはサンコウチョウは、杉林の一角に雄2羽、雌1羽、別の林で雄が各2羽を発見しました。林の中をギッギッと濁った声を出してからツキヒホシ、ホイホイホイと囀りを繰り返していました。夏鳥以外では、ミヤマカワトンボがじっくり観察できるフィールドです。写真は雌個体で雄ほど翅は濃くなく、薄い褐色に濃い褐色の帯が目立つのが特徴です。腹部は雄ほど金属光沢は強くありません。(雄の翅は濃い褐色をしており、腹部は青味がかった金属光沢色)国内のカワトンボの中では最大で、威圧感がある大きさです。(写真)2022年6月10日撮影
2022.06.10
閲覧総数 1337
42
鳥友から2019年11月6日に水元公園で観察したヌマアジサシについて質問をもらいました。当時、周囲で見ていた方からハジロクロハラアジサシと言われたが、図鑑を見ていてもなにかフィットせずもやもやしているとの由。当時私も現地で観察していましたので、その画像を復習しました。秋口どころで出会う可能性もありますので、参考になれば幸いです。(観察データ)観察日2019年11月6日12時10分から14時観察地:埼玉県三郷市水上テラス前の水面(観察個体の特徴)・目の周囲は黒っぽい・足は赤色に見える・頭の黒斑は目より下に及ばない・頭頂はごま塩状に見える・上面は褐色の幼羽が見える(種類の同定)写真の個体は次に示す特徴からクロハラアジサシの幼羽と思われます。(1)頭部の暗色の下縁がほぼ目の下縁にそろっていて、目の後方から後頭にかけて黒いが目よりも下に黒色部は及んでいません。ハジロクロハラアジサシ幼羽は、目の後ろの斑は縦長で、目の下縁より下に及び白地に黒々としたはっきりした斑となっているはずですが、そうなっていません。(2)背の褐色斑はまだらに見えます。ハジロクロハラアジサシでは、一様な暗色なはずでこの特徴も合致しません。(3)ハジロクロハラアジサシ幼鳥であれば翼のつけねの胸側の暗色斑があるはずですが、この点は認められません。
2022.08.31
閲覧総数 375
43
観察会の折、ハジロカイツブリが長旅に備えて胃や腸などの消化器官を大きくし、渡り直前に消化器官を小さくすると耳にしたがどうしてかと質問をもらいました。文献を調べてみると、フランク・B・ギル(2007)が研究者の報告を整理して紹介している内容と思われました。参考までに以下に紹介します。「長距離を渡る鳥は旅に先立ち脂肪をつけるだけでなく体の器官も組み替える。カリフォルニア州モノ湖に渡りのため集まるハジロカイツブリの研究がこの現象を明らかにした。大部分が脂肪を蓄えることで体重を約260gから600g以上にまですばやく2倍以上に増やす。このとき、この変化に必要な大量の食物(アルテミヤ*)を処理するために消化器の大きさをほぼ2倍にする。逆に胸部の飛翔筋は半分になり主要な換羽で風切羽を脱落させる前でも飛べなくなる。そして、渡りに出発する前の2-3週間、絶食する。体重を減らし脚筋も縮小する。一方で心臓を肥大させ胸部の飛翔筋は大きさを倍増してもとに戻す。ハジロカイツブリは、脂肪蓄積のために移動運動器官と筋肉を落として消化器官を発達させその後で消化器官を委縮させ渡りに必要な筋肉と心臓の力を増やしている」(ハジロカイツブリが三番瀬で採食していると思われる生き物)ハジロカイツブリは小魚や水生昆虫、甲殻類を食すとされています。このうち、三番瀬には千葉県(2020)が報告しているように、甲虫類ではコノハエビ、ドロクダムシ、ドロソコエビなど、動物プランクトン14種などが生息しています浦安、市川塩浜沖、ふなばし海浜公園沖に飛来しているハジロカイツブリはこうした生き物を採食しているものと思います。(引用)フランク・B・ギル.2007.鳥類学.p292.新樹社.千葉県2020.三番瀬再生会議資料.三番瀬における食物連鎖からみた種間関係.https://www.pref.chiba.lg.jp/kansei/shingikai/sanbanse-hyouka(三番瀬の自然環境の定期的なモニタリング手法の検討や再生事業の実施に伴う周辺環境への影響予測など、専門的な視点から検討する組織:すでに解散)(写真)2017年3月、2016年1月三番瀬で撮影、2016年11月旭市飯岡で撮影
2022.12.24
閲覧総数 397
44
かつて水戸街道の宿場町として賑わった街の橋梁で長年チョウゲンボウが営巣・子育てをしています。今シーズンの様子を見に現地に立ち寄りました。最寄り駅から向かうとチョウゲンボウが2羽、グランドで採餌をしていました。さらに、子育てをしているポイントに移動すると、雌がキュリリーキュリリーと鳴き声をあげ雄は呼応するようにキッキッと鋭く鳴き声を出していました。雄がグランドで獲物をゲットして帰還すると、跳ねるような感じで雌が接近し獲物を受け取る光景も目撃しました。あわせて、羽根の模様のいろいろを観察。尾羽の先端が黒いこと、初列風切のサメの歯のような模様などをじっくり観察できました。これから産卵、子育てとなるものと思います。見守りつつ、観察を続けていきます。(写真)2023年3月15日撮影
2023.03.15
閲覧総数 366
45
柏の葉キャンパス駅近郊を探索しました。お目当ては、ヒメアマツバメとイワツバメの巣をめぐる攻防を観察するためです。イワツバメ5羽、ヒメアマツバメ3羽が巣をめぐって熾烈な争奪戦を展開中。巣は確認できている範囲で4か所あり、うち2か所はイワツバメが巣を確保した模様で中に座る光景が目撃できました。それでも、ヒメアマツバメも巣に出入りするイワツバメを追い払おうとする行動を何度も試行していました。このほか、商業施設前の調整池では、コチドリがミミズを捕獲し丸のみする光景や、複数のオオヨシキリ、ホオジロが縄張りを主張している姿、近くに巣があるのか電線に止まって周囲を監視していたハクセキレイ、商業施設の一角でヒナが誕生したツバメの姿を見つけたり、真夏並みの暑さを忘れるような楽しい時間でした。(写真)2023年5月18日撮影
2023.05.18
閲覧総数 337
46
先週読書会を開催した後、山階鳥類研究所のおもしろくてためになる鳥の教科書(以下、山階2023)に所蔵されていたオナガの件で質問をもらいました。内容は、柏市の鳥がオナガと選ばれた経緯についてでした。ホームグランド手賀沼沿岸の千葉県柏市の鳥は、1994年11月に市制施行四十周年を記念して市民から募集し身近に見られる鳥であるなどの理由で市の鳥に制定されました。(オナガの世界的分布)茂田(2023)は、オナガが東アジアとイベリア半島のスペイン、ポルトガルに隔離分布している件を紹介しています。東西に分かれた分布は、人間によって持ち込まれた人為的なものと元々ユーラシア大陸に広く分布していたが両端を残して消滅してしまった自然分布なものという二つの説が存在していた件を記しています。その後、1997年にイベリア半島南端のジブラルタル付近の三ヶ所から約4万4000年前のオナガ4個体の化石が出土し自然分布であることが判明したと報告されしています。さらに、DNA解析によると100万年から120万年前にはユーラシア大陸東西の端に分布するようになったと推定され、イベリア半島に分布しているオナガは亜種ではなく独立種として扱われるようになっていると述べています。(国内の分布)原田(2009)は、オナガの分布、生態などの知見について整理し報告しています。分布については、「日本、朝鮮半島、中国北東部、アムール川流域の極東アジアとヨーロッパ西端のイベリア半島に隔離分布する。日本では、福井県、岐阜県、愛知県以東、青森県までの東日本に分布する」とし、「九州北部では1960年代まで生息し、島根県、兵庫県、和歌山県、愛媛県でも記録がある」とも報告しています。西日本に分布しなくなった理由については、言及されていないがカササギと競合していたことで消滅したなどの説をしていますが、定かではありません。(引用)原田俊司.2009.オナガ.Bird Research News Vol.6 No.6.p2-3.茂田良光.2023.山階鳥類研究所のおもしろくてためになる鳥の教科書.p243-244.ヤマケイ文庫.(写真)私のライブラリーより
2023.10.29
閲覧総数 324
47
かつて水戸街道の宿場町として賑わった街の橋梁で長年チョウゲンボウが営巣・子育てをしています。一ヶ月ぶりに現地を訪ねました。昨シーズンの今頃は、雌が巣に入り抱卵していましたが、今年は2ペアが飛来しているもののいまだ巣をどこにしようかと雌雄が牽制している状態です。雄が餌を捕獲し運搬し雌にプレゼントしペアリングを目撃しましたが、雌が短時間巣に入る光景は見るもののそれ以上ではありません。年により産卵の時期は大きく変動しているようです。本村(2012)が、産卵は早いつがいで3月、遅いつがいで6月に行われると報告しており、宿場町に飛来しているペアがどのタイミングで産卵するのか注目しています。(写真)2024年4月26日撮影(引用)本村 健.2012.チョウゲンボウ. Bird Research News Vol.9 No.8.p4.
2024.04.26
閲覧総数 816
48
空一杯の青空が広がる朝となりました。手賀沼沿岸の谷津田にサシバの様子を観察しに出かけました。到着直後、後ろ姿で電柱のステップにとまる猛禽を発見しました。シルエット、嘴の形状などサシバと思われました。待機して行動をしばらく見守ることにしました。すると、今度は電柱のステップに飛来。数度、地面や林縁部の草むらに降りて餌動物をゲットすると電柱のてっぺんに移動。餌を食べると、再び電柱のステップへ移動。餌動物との距離をできるだけ縮めようとする戦略なのかもしれません。抱卵期に入っているので、雌の姿を目撃できませんが、次回以降のお楽しみです。(写真)2024年5月4日撮影
2024.05.04
閲覧総数 668
49
11日に渡良瀬近郊で観察したアオバズクについて鳥友から質問をもらいました。あるwebページにアオバズクの雄には喉袋があるので鳴くが、雌には喉袋がないので鳴かないと記されていた。鳥類の発声の仕組みから考えると妥当なのかとの内容でした。(鳥類の発声機構)小西(1994)が小鳥の発声器は肺から出た二本の気管支炎が気管につながる鳴管という部分にあります。鳴管は気管支炎の上端と気管の下端の骨環を含んだ部分からなっており、音の発生源は鼓形膜という一対の膜です。(アオバズクの鳴き声)11日に観察したアオバズクは、嘴から喉の下あたりの部分を膨らませて鳴き声を出していました。鳥類の喉袋は、下嘴の付け根から首にかけて皮膚が露出している部位のことなので、喉袋があるから鳴くのではないと思います。小西(1994)が米国の研究者の気管や気管支炎の中の空気の流れを実験した内容を紹介しています。それによると、鳥の肺の中にある気嚢の中に蓄えた空気を気管支炎に流して鳴いていることが判明したと記されています。この点から、気管支炎に空気が流れている時にアオバズクの喉周辺が膨らんだと考えるのが妥当と思っています。(雌雄の鳴き声)ホッホッとの鳴き声は雄のみなのか、夜行性がゆえに検証できておらず、今後の宿題です。(アオバズク雌が喉を膨らます)青木(1991)が雄が雌に求愛給餌で雌が餌を受け取る際に喉を膨らませ餌をとることを紹介しています。(引用)青木 進.1991.青葉の頃、日本を訪ねる アオバズク.朝日百科 動物たちの地球.25号..p14小西正一.1994.小鳥はなぜ歌うのか.p117-126.(写真)2024年5月11日渡良瀬近郊で撮影鳴き声を出した時、アオバズクが少し上方向を向き、鳴き始め2枚目の写真の時が一番大きな声が出ていました。
2024.05.13
閲覧総数 820
50
柏市内でヒメアマツバメの姿が見られたのが2015年のことでした。以来、2021年繁殖期まで継続して観察されています。私が本格的に観察・記録をしはじめたのは2018年から、その習性が把握できていません。観察をスタートした2018年繁殖期7月4日に合計3羽が飛び回る光景を目撃し、うち2羽が巣に中に入り休憩していました。抱卵でも育雛でもなく巣で休憩する鳥は知りませんでしたので新鮮な驚きでした。2021年繁殖期も3羽が飛び交い、上空を活発に飛びまわていたかと思うと、うち2羽は羽だけを集めて作った休憩場所に入り、1時間近く休憩をしていました。とにかく、不思議な生態です。さて、ヒメアマツバメについて拙宅の亭主が得ている情報や文献資料などから東京近郊での動向を整理してみました。整理した結果からは、1988年にヒメアマツバメが東京に進出したことがわかります。しかし、イワツバメ集団営巣地で営巣したものの、繁殖したかは不明です。ただし、神奈川県厚木市が人工物に営巣し、繁殖期に2回から3回子育てをする報告していますから繁殖していた可能性は高いものと思います。あわせて、(1)ヒメアマツバメの東京進出八王子・日野カワセミ会の2016年会報第56号に東京進出について報告があります。報告では、1988年5月に東浅川町高尾線高架下に集団ねぐらを観察したとあります。以降、1994年までイワツバメ集団営巣地の中で40巣規模の営巣が続いたとの報告です。(2)神奈川県厚木市でのヒメアマツバメの子育て神奈川県厚木市自然保護課だより第20号(2020)につぎのように報告があります。「1年中見られ、市街地や大きな建物などの人工物に巣を作り、4月から12月頃にかけて2回から3回程度子育てをします」(3)山梨県での初認都留文科大学キャンパス周辺の鳥類相とその変化(2009)にヒメアマツバメを2006年8月にはじめて観察したことが報告されています。(4)柏市での営巣すでに述べたように、柏市での初認は2015年ですが、巣の中での休憩は認められるものの繁殖したかどうかは確証は得られていません。(5)高知県でのヒメアマツバメの繁殖スケジュールStrix(1987)に巣外から観察できた範囲での観察記録を報告しています。それによると、調査対象の24巣のうち20巣を利用し、17巣で繁殖が観察され、繁殖期は4月から11月で一巣で最大3回繁殖したとの結果となっています。Strix.1987.高知県でのヒメアマツバメの繁殖スケジュール.野村みよ子、内村満紀.第6巻.p32-42.(財)日本野鳥の会.(写真)2018年8月22日、2020年9月19日柏市にて撮影
2021.10.01
閲覧総数 381