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秋深まる印旛沼を訪ねました。すでに冬鳥の代表、トモエガモの大群が水面を埋め尽くす状態となっていました。このほか、マガモ、カルガモ、ハシビロガモ、オナガガモ、コガモ、ホシハジロ、キンクロハジロ、カイツブリ、カンムリカイツブリ、ハジロカイツブリ、カワウ、モモイロペリカン、カワウ、ダイサギ、コサギ、アオサギ、オオバン、クイナ、ヒクイナ、トビ、チュウヒ、ハイイロチュウヒの出会いを楽しみました。なお、前回11月4日に姿を観察したシジュウカラガンの姿はすでにありませんでした。(観察メモより)・葦原の上を飛翔して後水面の杭に止まったチュウヒは頭頸部がバフ色で体下面に茶褐色の縦斑があったことから雌成鳥と思われました、また、葦原と沼の水面上空を飛翔した後水面の杭に止まったハイイロチュウヒは頭部に暗褐色の軸斑があり、顔盤が淡色の雌成鳥でした。・トモエガモ、ヨシガモの雄はエクリプスが生殖羽に換羽中の個体が大半でした。・カンムリカイツブリは、頭から頸に白黒のまだら模様が残る若鳥が大半でした。・マガモ、オナガガモは大半が生殖羽に換羽後の個体が大半を占めていました。(写真)2024年11月22日撮影
2024.11.22
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タヒバリ類に野外で出会った際にどんなところに注意して観察したらよいかと質問をもらいことがあります。出会った際に注目するポイントを整理してみました。あわせて、タヒバリ冬羽と夏羽の特徴、参考としてビンズイの特徴も記しました。A.タヒバリ類の注目するポイント(1)背の縦斑の明瞭度背の縦斑が不明瞭なのがタヒバリとビンズイで、背の縦斑が明瞭な種類はムネアカタヒバリ、セジロタヒバリ、マキバタヒバリ、ヨーロッパビンズイということになります。(2)体を立てた姿勢体を立てた姿勢で縦斑が胸だけとなると、マミジロタヒバリ、コマミジロタヒバリということになります。B.タヒバリの冬羽と夏羽全国的に渡来する冬鳥ですが、春先に見かける夏羽は別種と思う個体を見かけます。(1)冬羽一枚目と二枚目の写真は都内で撮影した冬羽です。頭上から背にかけて暗色で、背の縦斑は不明瞭です。眼の下にうっすらと細い線があり、顎線は黒い。足は肉色からオレンジ色味を帯びた個体を見かけることがあります。(2)夏羽三枚目から四枚目の写真(いずれも2023年4月に柏市内で撮影)は、上面の灰色が増し、下面の縦斑は冬鳥に比べると少なくなっており、パフ色に変化しています。五枚目から六枚目の写真(いずれも2019年4月茨城県稲敷市で撮影)も夏羽です。こちらは三枚目、四枚目の写真と比べると上面は淡灰色で、顔から下面が橙褐色で縦斑はより少なくなっています。C.タヒバリとビンズイの比較五枚目、六枚目の写真は2014年、2015年冬に松戸市で撮影したビンズイです。タヒバリとの比較で写真をアップします。その特徴は、上面は緑灰色、背中の縦斑は不規則で、眉斑で明瞭長い。眉斑の上が黒っぽい印象があり、頬に白斑と小さな黒斑があります。
2024.11.21
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今月上旬に松戸市内でルリビタキの姿を目撃したとニュースをもらいました。そろそろ、手賀沼沿岸の林などで姿を見かける時期となりました。図鑑類に四国・本州から北海道にかけての高山や亜高山帯で繁殖するものが、関東地方以南の山地や低地の林で越冬する、本州において高山で繁殖した個体は、低地に降りて越冬するとありますが、渡りのルートの裏付けはどうかと調べてみても限られた標識回収記録が存在するだけでした。文献を紐解いていくと、つぎのようなものを見つけました。参考までに紹介します。佐藤(1994)は、北海道函館山で標識放鳥した調査結果を整理し報告しています。函館山では繁殖も越冬もしないため渡る経路の中継地として積極的に選択し、渡りの時期に多くの個体が函館山を通過していると述べています。また、ルリビタキの秋季渡りは10月中下旬に始まりII月中旬にほぼ終わり、10月下旬~11月上旬が最盛期と記しています。さらに、本種が海岸伝いを東から西に移動しているためではないかと思われるとも述べています。調査結果から秋季の渡りについては日本海側を主経路として渡りをしていると思われ、その移動は、北~南への平行的なものであることを意味していると結んでいます。過去の回収記録はつぎの3例を報告しています。函館山放鳥023-0429581-10-27→82-02-06宮崎県南国市桑の川函館山放鳥1A-1172489-10-21→89-10-28山形県酒田市飛島函館山放鳥28-0681689-11-01→89-12-14愛知県豊田市長根なお、森本(2007)がルリビタキの分布や生息環境の知見を整理し報告している中で、「日本で記録されている亜種ルリビタキ(T.c.cyanurus)は日本、中国、モンゴル、ロシア等で繁殖し、この中でも北方の個体群は越冬期は南下、拡散する」と記しています。また、「北海道などでは夏鳥であるため、北海道を通過する個体群は比較的長距離を移動する」と報告しています。(引用)佐藤理夫.1994.函館市における鳥類の渡りについて.市立函館博物館研究紀要.第4号.p1-23.森本 元.2007.ルリビタキ.Bird Research News Vol.4 No.4.p3-4.(写真)2015年12月12日手賀沼沿岸、2018年1月28日野田市内、2020年1月12日松戸市内、2021年2月8日松戸市内で観察・撮影
2024.11.20
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もう少しで12月なのに千駄堀池周辺が紅葉がいまひとつと嘆いていましたが、先週から朝晩の気温差が大きく変化したことでようやく秋らしい景色に。11月に入りベニマシコが飛来したことや先週ミコアイサ雌が池に飛来したと聞きましたので松戸市の21世紀の森と広場を訪ねました。しかし、到着した9時すぎはカモの姿はなかったものの、園内を一巡した後再び探索してみると、葦の中にマガモ、カルガモ、コガモが潜んでいる姿を見つけました。千駄堀池で羽を休めるカモたちは夜、近郊の河川、水田、調整池等に出かけて餌を捕食した後再び帰還するのが行動パターンです。このためだったことがわかりました。このほか、ダイサギ、コサギ、アオサギが池の周りの枝にとまり羽を休めていました。コガモは肩羽が細い横斑の傾向がわかる成鳥雄、頭頂から過眼線までヘルメットをかぶったように一様に濃い雄エクリプスなど目をこらして観察しないと特徴が分かりずらい個体でしたが、観察し識別するのも醍醐味でした。水鳥のほかは、ハクセキレイ(成鳥雄冬羽)、ヒヨドリを見かけたのみで、ジヨウビタキ、ツグミ、ベニマシコといった姿はみつからず。次回のお楽しみとなりました。(写真)2024年11月19日撮影
2024.11.19
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狩猟解禁となり手賀沼の水鳥、冬鳥の様子を見に手賀沼とその沿岸を探索しました。手賀沼東端の最も水面の幅が広いエリアでツグミが鳴きながら電線に降り立つ姿を目撃しました。この10年間の初認と終認日を整理するとも次の通りで、ほぼ平年並みの初認となりました。(2014年から2023年のツグミの初認、終認日と滞在期間( )内の数字は日数)2014年初認11/4、終認2015年4/22(169日)2015年初認11/16、終認2016年4/25(161日)2016年初認11/13、終認2017年4/15(153日)2017年初認11/13、終認2018年4/14(152日)2018年初認12/3、終認2019年4/24(142日)2019年初認11/16、終認2020年4/25(161日)2020年初認11/16、終認2021年4/25(160日)2021年初認11/28、終認2022年4/8(131日)2022年初認12/15、終認2023年4/27(133日)2023年初認11/15、終認2024年4/28(165日)(手賀沼と沿岸で観察できた鳥類)冬季は沿岸の水田エリアを中心に複数の猛禽類を観察できます。今日は、ミサゴ、ノスリ、チョウゲンボウの姿がありました。真冬にはチュウヒ、ハイイロチュウヒ、コチョウゲンボウも加わり楽しみが増えます。・スタートした手賀沼西端のエリアでは、沼にマガモ、カルガモ、コガモ、ユリカモメ、電柱にとまり餌を狙うチョウゲンボウの姿を見つけました。・その次に手賀沼大橋東側の沼の水面と田んぼでは杭の上にミサゴの姿、マガモ、カルガモ、コガモ、オカヨシガモ、オオバンの姿を観察しました。・沼東端の沼の水面と隣接する水田では、水面にカンムリカイツブリ、ハジロカイツブリ、マガモ、カルガモ、ヒトリガモ、オナガガモ、上空をミサゴが飛翔し、水田脇の電柱にはノスリが長時間止まり獲物を狙う姿を目撃しました。(写真)2024年11月18日撮影
2024.11.18
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ハンノキやヤシャブシの種子を好んで食べるマヒワ、実につかまり逆さになって種子をつまみ出す姿に出会うと釘付けになります。雄は顔から体下面が黄色で額から頭頂、目先、喉が黒く、雌は全体に黄色味が薄く下面が白くて褐色の斑があるアトリ類です。多くのファンが存在しますが、日本への飛来は規則性がなく、群れで観察できた年、まったく見かけない年といろいろです。(マヒワの飛来には木の実をなり具合が影響する)バードリサーチ(2011)は、2011年の冬鳥の観察記録をなり整理し報告しています。その中で「マヒワは本州中部以北の山地帯でも少数が繁殖していますが、日本に飛来するマヒワの繁殖地がどこか良くわかっていません。しかし、ともすると今冬の少なさは、食物の関係で日本から遥か離れた場所で繁殖したために越冬地が変わり、本州以南へはほとんど飛来しなかったのかもしれません。今冬のマヒワの状況は,日本の森林にマヒワの食物となる木の実が少なかったために、秋に渡ってきたものの素通りしてさらに南へ移動した可能性も考えられます」と報告しています。その後、バードリサーチ(2024)が、2023年から2024年冬の小鳥たちの観察記録を整理し報告しています。その中でマヒワについて、「マヒワの情報件数は近年減少傾向でしたので、繁殖環境が悪化して繁殖成功率が低下しているのかもしれないと懸念していましたが、23年冬は21年冬や22 年冬よりも多くの情報が寄せられました」と述べています。ただし、多くの情報が寄せられた要因については触れられていません。木の実は豊作傾向と聞いていますから、晩秋から冬にかけてその姿と出会えたらいいのにと思っています。フィールドを探索する際には、大好きな杉の実、ハンノキ、松の木などを注目してみようと思っています。(引用)バードリサーチ.2011.2011年冬鳥ウオッチ.pp6バードリサーチ.2024.2023年冬⿃ウォッチ.pp4.(写真)2019年10月20日柏市内、2011年2月14日柏市内で観察・撮影
2024.11.17
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埼玉県の鳥友から野鳥の会の資料で「ミカヅキ斑のあるハシビロガモ」に関するものがあるが、柏市近郊などでそのような個体を見かけたことがあるかと問い合わせをもらいました。日本野鳥の会埼玉県支部ホームページに掲載されているコンテンツを閲覧してみました。2023年6月20日付けの「頬にミカヅキ斑のあるハシビロガモの経過観察とその考察」と題するリポートでした。(以下、埼玉Rと略)https://www.wbsj-saitama.org/yacho/yacho_no_heya.html内容に目を通すと、2022年11月18日に館林市で観察したハシビロガモ成鳥雄の顔に細く白いミカヅキ模様がある個体、2022年12月15日に館林市で観察の同様の個体、2023年1月18日に渡良瀬遊水地で観察した生殖羽に換羽が進行した個体でも斑がしっかりある個体、2023年1月24日渡良瀬遊水地で観察したミカヅキ斑がしっかり残っている個体、2023年3月3日の渡良瀬遊水地で観察した雄個体でミカヅキ斑の上半分が消えてしまったとの個体などが掲載されていました。(千葉県と埼玉県でのハシビロガモで頬に斑のある個体)2024年11月10日埼玉県吉川市で埼玉Rが報告している頬の位置に白い斑のある個体、2021年12月10日に千葉県柏市柏の葉公園で埼玉R報告のミカヅキの白い斑に近い個体、2020年11月7日に柏の葉公園で埼玉R報告しているミカヅキ斑の上半分が消えた個体、2024年4月1日柏の葉公園で埼玉R報告のミカヅキ斑が薄く残る個体を観察しています。吉川で観察した個体(一枚目の写真)は、嘴が黒色、上面が暗色、虹彩は黄色の幼羽がエクリプスが生殖羽に換羽中の個体と思われました。二枚目の写真の柏の葉公園で観察した個体は、埼玉Rが報告している2022年11月18日の個体とほぼ同様の個体でした。(埼玉Rが述べているミカヅキ斑の考察)埼玉Rは、ミカヅキ斑を持ったハシビロガモはサブエクリプス期にミカヅキ斑が認められたが、換羽が進み夏羽になるに従いミカヅキ斑は消え、普通のハシビロガモと見分けられなくなった。親よりもさらに数世代前に交雑し、その時の遺伝情報が現れたか、古い昔に分化した折の遺伝情報がサブエクリプス期の羽衣に現れたのでは言及しています。DNA分析などを通じてルーツの解明が進めばいいのにと思いました。
2024.11.16
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鳥友から今年も手賀沼にミサゴの姿が見られるようになったが、いつ頃から秋・冬に滞在するようになったのかと質問をもらいました。(1880年代から2000年までの手賀沼の猛禽類)文献を振り返ると、我孫子市(1995)に1880年代に手賀沼で記録されたワシタカ目の鳥類はオジロワシのみ、1959年から1969年の間ではトビ、クマタカ、チュウヒ、ハヤブサの4種の記録があると報告があるのみです、ところが、1970年から1980年代になるとワシタカ類の種類は非常に増加しミサゴ、トビ、オオワシ、ツミ、オオタカ、ノスリ、サシバ、チュウヒ、ハヤブサ、チョウゲンボウの10種の記録があると記され、ミサゴについては1977年以降断続的に記録があると報告されています。また、我孫子市(1995)が引用した手賀沼の記録に原典と思われる手賀沼の鳥(1994)に1977年9月11日現在の柏市大井新田先の手賀沼、1978年9月10日同地で観察記録があると記されています。ただし、1981年1月までは断続的に観察されたものでした。ところが、1985年9月以降2001年までは9月から12月の期間に滞在と思われる報告があり、さらに2002年以降では翌年3月ごろまで滞在と思われる観察報告が寄せられています。(2001年以降の手賀沼でのミサゴの観察記録)2001年以降になると、1月から4月、8月から12月の間で姿が観察されています。しかも、2003年10月には沼で魚を捕獲し水面の杭に止まって食べている姿が目撃されています。2000年から運用が開始された北千葉導水路による利根川の水の沼への導水により、水位が上昇するとともに沼に放流されているコイやぎんぶな等が増殖したなどにより、ミサゴの餌場としての条件が揃ったものと思われます。千葉県(2011)が県内のミサゴについて数少ない旅鳥または冬鳥と報告していることを考えると、繁殖期を除く期間に滞在しているのは貴重な記録と言えます。(引用)手賀沼の鳥.1994.20年の観察記録.p26.我孫子野鳥を守る会.我孫子市.1995.我孫子市自然環境調査 鳥類調査報告書.p81.千葉県.レッドデータブック鳥類.p30-124.千葉県生物多様性センター.(写真)2021年1月2日、2019年11月10日、2018年10月7日いずれも手賀沼で撮影
2024.11.15
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ひと月ぶりに水元公園にカモと冬鳥の小鳥を探しに出かけました。JR金町駅から三郷団地行バスで桜土手で下車すると水元公園東端に到着です。ごんぱち池でヨシガモ、ヒドリガモの姿を観察し、小合溜方面に移動しました。公園展望台近くの東屋がある近くではホシハジロ、キンクロハジロの400羽を越える群れが羽を休め、カイツブリ、カンムリカイツブリが水面を移動する姿、ユリカモメが水際で小合溜の水面を凝視していたと思ったら水面に降り立ち餌をゲット。水元大橋が工事で通行止めとなっているため、大回りしてメタセコイヤの森方面へ。途中の湿地でヒクイナの鳴き声、ジヨウビタキ、アオジが姿を現してくれました。さらに、帰路でバス停にむかう道すがら、オオタカが林の上部に止まり小合溜で羽をやすめているカモを凝視する姿がありました。(カモの羽衣メモ)・ヨシガモ:ごんぱち池にはエクリプスが生殖羽に換羽している個体が休んでいました。小合溜にも雌、雄幼羽が第一回生殖羽に換羽中の個体の姿がありました。・ヒドリガモとオナガガモの交雑個体が小合溜の水面を移動したり、水際で休んだりを繰り返していました。(写真)2024年11月14日撮影
2024.11.14
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昨日手賀沼でオシドリ、トモエガモの姿を観察しましたが、鳥友からぜひ見てみたいと連絡をもらい現地に出かけました。今日は沼中央部の水面にオシドリ雌がマガモと行動をともにしていました。このほか、カンムリカイツブリ45羽を目撃しました。そのうち、5羽は頭から頸に縞模様のある若鳥でした。沼の鳥に出会った後、広大な水田地帯に毎年飛来しているタゲリを探索しに移動。採食場所にしている田んぼ、塒にしている田んぼを巡回していると、上空からタゲリ21羽が塒としている田んぼに降り立ちました。成鳥冬羽は雌雄とも喉が白く白色部が胸の黒色部に食い込んでいました。雄成鳥に比べて雌成鳥の頭頂・顔・胸は褐色味が強くて冠羽は短め。このほか、背・肩羽・雨覆の羽縁の内側に黒色のサブターミナルバンドが見える幼鳥の姿も観察。その後、コブハクチョウ、カモが羽をやすめているエリアでコブハクチョウ、コガモ、ホシハジロ、チョウゲンボウにも出会い、本日のフィナーレとなりました。なお、タゲリの採食場所および塒の場所は、タゲリ保護の観点から非公開とします。あしからず。(写真)2024年11月13日撮影
2024.11.13
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11月に入ってはじめてホームグランド手賀沼を訪ねました。沼西端から東端まで約8kmを探索して歩きました。まだ葦原の丈が高く我孫子市側からは観察条件がよくないので、柏市側からの観察としました。我孫子市側の対岸を見ていくと、オシドリ雄、トモエガモ雌雄の姿を発見。オシドリは生殖羽、トモエガモもほとんど生殖羽に換羽した個体でした。さらに、コガモ、ホシハジロ、ハジロカイツブリが水面を移動する姿を観察。このうち、ホシハジロ9羽のうち1羽虹彩が黄色で胸が赤褐色、下尾筒などはホシハジロとほぼ同じ個体でした。国内で複数の観察例のあるホシハジロとメジロガモの交雑個体と思われましたが、そうであれば嘴先端の黒色部が嘴の外縁にそってU字に広がっているはずですが観察距離の関係で確認できずでした。このほか、オオバン、葦原の中で羽を休めていたゴイサギ、水面に浮かんで休んでいるユリカモメ、2羽のミサゴの姿を見つけました。(写真)2024年11月12日撮影
2024.11.12
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そろそろ、ツグミが渡来する時期となりました。埼玉県草加市に住んでいる鳥友から市の刊行物にツグミの滞在期間が短くなっている(*)と説明があったが柏市、手賀沼と周辺地域ではどうかと質問をもらいました。手元の観察記録を振り返り、柏市でのツグミの滞在期間を掲載してみました。(柏市でのツグミの滞在期間:初認から終認日までの日数)2000-2001滞在143日、2001-2002滞在160日、2002-2003滞在178日、2003-2004滞在160日、2004-2015滞在182日、2005-2006滞在173日、2006-2007滞在167日、2007-2008滞在174日、2008-2009滞在164日、2009-2010滞在172年、2010-2011滞在178日、2011-2012滞在162日、2012-2013滞在185日、2013-2014滞在163日、2014-2015滞在169日、2015-2016滞在161日、2016-2017滞在153日、2017-2018滞在152日、2018-2019滞在142日、2019-2020滞在161日、2020-2021滞在160日、2021-2022滞在131日、2022-2023滞在133日、2023-2024滞在165日最も長い期間滞在した年:2004-2005の182日最も短かったか年:2021-2022の131日最も長い年と最も短い年を比較すると51日短く(71%)なっています。(いつ頃から温暖化が顕著となったか)気象庁がホームベージで公表している内容を見てみると、つぎのように記されています。「2000年前後から2010年代前半にかけて世界の平均気温上昇は停滞しましたが、その後は急激に上昇し、2016年から2020年の5年間は、1850年以降で最も高くなったとみられています(IPCC, 2021)」(温暖化が顕著となった2016年から2020年と2000年から2010年の気温上昇が停滞した期間)温暖化が顕著となった2016年から2020年でのツグミの滞在期間は平均147日、気温上昇が停滞した2000年から2010年でのツグミの滞在期間は平均167日で、約20日短くなっています。(吉川市の報告しているとの比較)鳥友から閲覧した資料の提供をしてもらい、内容に目を通すとつぎのように記載されていました。「最近では気候変動の影響で冬が暖かくなってきているため、ツグミの日本での滞在期間が短くなってきているようです。23年間で40日以上も短くなったと言われています」(そうかいきものだより2023年11月第26号.p2)柏市でのツグミの滞在期間に注目してみると、最も長い期間滞在した年:2004-2005の182日、最も短かったか年:2021-2022の131日で、最も長い年と最も短い年を比較すると51日短く(71%)なっています。柏市での滞在期間が吉川市よりもさらに短くなっていると言えます。(写真)2023年12月20日柏市内で撮影
2024.11.11
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霜月となって初めて吉川美南駅西口と東口の調整池を探索して歩きました。西口調整池でマガモ70羽+、カルガモ37羽、コガモ16羽、カワウ、アオサギ、ダイサギ、コサギ、ハクセキレイ、セグロセキレイを観察した後、東口の調整池に移動し、オシドリを初めとするカモ類、アオサギ、ダイサギ、コサギ、タシギ、チョウゲンボウとの出会いを楽しみました。オシドリは、調整池の水面を端から端を移動し草陰で休憩をとったり、時折池の上空を飛翔しまた水面に降り立つといった繰り返しでした。オシドリの観察で興味を持ったのは他のカモの近く水面を通過する時には銀杏羽を立てて移動するのに、他種がいない場合には銀杏羽を立てずに移動していたことでした。他種に体をできるだけ大きく見せようとする意味合いのものでしょうか。この他、カモ類では、コガモ雄エクリプスが生殖羽に換羽している個体で、頭部の栗色が整ってきた個体とまだ整っていない個体を観察しました。また、ハシビロガモでは30羽もの個体が水面でぐるぐる回って採食している様子、成鳥雌個体、虹彩が黄色で黒い嘴でエクリプスでもないし生殖羽でもないサブエクリプス個体の姿を観察できました。また、池の近くにある水路で6羽ものタシギが座り込んで休んでいる姿を発見しました。背の羽縁がクリーム色の帯を構成していて太く目立ち、雨覆・肩羽の淡色部が笹の葉のような感じに見えました。(写真)2024年11月10日撮影
2024.11.10
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和田(2016)は、潜る水面採食ガモについて研究者の報告を整理し報告しています。水面採食ガモの体は浮かび方や脚のつく位置も潜水ガモと違い、潜水用にできているとは思えないのに、水面に浮かんだ姿勢のまま翼をふるわせて水しぶきをあげて潜水すると述べ、弾みをつけて水しぶきを立てず潜るキンクロハジロとはまったく異なると記しています。つぎに和田(2016)が報告している潜水時間、どうして潜るのかについて述べいる内容を紹介します。(潜水時間について)潜水時間に着目すると、マガモで2~12秒(平均5.8秒)、コガモで2~8秒とホシハジロやキンクロハジロが10秒以上潜水することが多いのと比べるととても短いと報告しています。(どうして潜るのか)潜る理由は、捕食者からの回避、採食の2つがあげられると記しています。コガモでは浮かんできてから採ってきた藻類を食べていたのが観察され、潜水したマガモの80%が二枚貝を採食していたと述べています。しかし、いつも潜っているわけではなく、食物が乏しくなる厳冬期に潜水して二枚貝を食べるようになる可能性を指摘しています。(水面採食ガモと潜水採食ガモについて)氏原(2015)は、カモ類は水面採食ガモと潜水採食ガモに大別されるが、それは採食方法の違いでの表現であり、以前淡水ガモ、海ガモとの表現では海ガモてでも淡水を好む種もいるし海に浮かぶ淡水ガモがよく見られるので言い方を変更しているのが一般的と指摘しています。また、水面採食ガモと潜水採食ガモの違いについて、水面採食ガモは足が体のほぼ中央にありバランスが良い、潜水採食ガモは足がより体の後部にあるため体が立ち気味となっていると説明をしています。(柏の葉公園で観察したオカヨシガモとオナガガモの採食について)2021年1月5日に柏市柏の葉公園で30羽ものオカヨシガモの集団が池の水面で逆立ちをして水底で採食している光景を目撃しました。以降、同年11月にも同じ光景を観察しました。また、オナガガモも2021年1月5日に同様の行動をしていました。写真でわかりずらさがあると思いますが、池の底に付着していた藻を嘴で剥がし取るように採食していたことがわかりました。和田(2016)がコガモが藻類を食べていたと報告していると同様でした。ただし、その後は大雨の影響などの要因で藻の生育が不良となったのか同様の光景は見かけていません。(引用)和田岳.2016.身近な鳥からの鳥類学.第30回潜る水面採食ガモ.むくどり通信第241号.日本野鳥の会大阪支部報.2016年1-2月号.氏原巨雄・氏原道昭.2015.日本のカモ識別図鑑.p29.文一総合出版.(写真)オカヨシガモ一枚目:2021年11月18日、二枚目:2022年1月5日、三枚目2022年2月19日、オナガガモ:2022年1月5日いずれも柏市柏の葉公園にて観察・撮影
2024.11.09
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10日ぶりに松戸市千駄堀池のある松戸市の21世紀の森と広場を訪ねました。池には、マガモ、カルガモ、コガモ、オオバン、カイツブリの姿を観察しました。ハイライトは、カワセミ成鳥雌と雄若鳥の熾烈な縄張り争いでした。広い水面を成鳥雌が鳴きながら雄若鳥を何度も追い払い、しまいには葦原の中に雄を追い詰め成鳥雌はすぐ近くの小枝にとまり監視しているようでした。その迫力に圧倒されました。もっとも、カワセミのように、個々にえさ場としての縄張りを持つ鳥は雌雄関係なく縄張り争いを展開し、激しい場合には斜面や木に激突し死亡に至る場合もあり縄張り確保は命がけというところでした。このほか、マガモ一羽の雌をめぐって3羽のオスが取り囲みますが、好みじゃないとばかりに水面を移動する姿やコガモ成鳥雄の頭部が生殖羽の色、模様となってきている姿、成鳥雌非繁殖羽の嘴が黒くなっていた個体を目撃したり、ハクセキレイとセグロセキレイの姿を観察した、楽しい時間を過ごしました。(写真)2024年11月8日撮影
2024.11.08
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そろそろ、カシラダカの姿を目撃する時期となります。過日の読書会で鳥友たちと山階鳥類研究所著「足環をつけた鳥たちが教えてくれること」の中でメンバーの注目を集めたのが、尾崎(2024)が報告している「激減するカシラダカに何が起きている」でした。1980年には標識調査で捕獲された67000羽のうち、カシラダカが18000羽(27%)を占めていたが、2017年には約4000羽と激減したと報告されています。また、北欧フィンランドとスウェーデン、日本の双方で1985年からの30年間に75~87%減少していることが判明したと記しています。2017年以降は、山崎・平野(2023)が野鳥の個体数を調査している情報を使って分析したところ、個体数は有意に減少していると判定され、今もなお個体数は減少し続けている可能性があると指摘しています。また、その要因は、カシラダカの群れが越冬していた場所の中には,草地が縮⼩し数も減少している場所もあると報告しています。(手賀沼沿岸でのカシラダカ)1972年から2024年の間の手賀沼と周辺地域におけるカシラダカの観察記録を振り返ると、2001年1月28日降雪の影響で30羽の群れを観察した以外は10羽未満の観察であり、遊歩道脇にわずかに残されている水田環境がほとんどで採食環境が乏しいことを表していると言うことができます。これに対して、隣接する茨城県菅生沼では2023年2月8日に250羽のカシラダカが葦原の中に降り立った光景を観察しています。また、上村(1989)が千葉県野田市と流山市の境にある調査地で約400羽のカシラダカを観察したと報告しています。いずれも、カシラダカが草の種子を食べることができる環境と群れが退避できる林が残っており、手賀沼と周辺地域との違いとなっていると思われます。(引用)上村 孝.1989.越冬カシラダカ群中にみられる鳥.Strix第8巻.p292-293.日本野鳥の会.⼭﨑優佑・平野敏明.2023.2023年冬⿃ウォッチ.https://www.bird-research.jp/1_katsudo/fuyudori/img/fuyudori2023.pdf尾崎清明.2024.激減するカシラダカに何が起きている?.足環をつけた鳥たちが教えてくれること.p100-103.山階鳥類研究所著.山と渓谷社.(写真)一枚目:2016年12月18日手賀沼沿岸、二枚目:2018年1月28日野田市、三枚目:2017年1月28日流山市撮影
2024.11.07
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佐倉市の川村美術館を訪ね、毎年飛来しているオシドリを観察してきました。但し、保有するDICが東京に移転するか運営を中止するかを検討すると表明していて最悪の場趾、2025年1月下旬に休館となります。その場合、オシドリをはじめとする水鳥との出会いを楽しんできた敷地中央の池に出入りができなくなるのてはと心配する市民や多くのウオッチャーが存在しているのも事実です。今日は、オシドリ34羽、ハシビロガモ1羽、キンクロハジロ2羽、コブハクチヨウ4羽、シナガチョウ3羽、隣接する公園でハゼと思われる実をついばんでいたシジュウカラ2羽、エナガ7羽の姿を目撃しました。オシドリは雄成鳥の見事な銀杏羽のある個体、雄の銀杏羽のない個体、嘴の赤い雄エクリプス個体といろいろな羽色を観察できました。モミジが色づいていないので、オシドリと秋景色のコラボとはいきませんでしたが、秋を実感してきました。(写真)2024年11月6日撮影
2024.11.06
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昨日、印旛沼でシジュウカラガンを観察しました。シジュウカラガン大形亜種は北アメリカ大陸原産の水鳥で、観賞や展示目的で輸入されたものが逃げ出し野生化したもので、生態系への影響でもっとも危惧されるのているのは、在来種のシジュウカラガン小型亜種ガン)との交雑です。在来種シジュウカラガン小型亜種とはきちんと識別される必要があります。シジュウカラガンの亜種は8~12亜種(研究者によって見解の違い)に分けられています。野外で識別可能なヒメシジュウカラガン、オオカナダガンとの違いを整理したものを提供します。(1)亜種シジュウカラガンBranta hutchinsii成鳥には首の付け根に白線の輪があり、普通は幅が広くはっきりしています。(ただしその年生まれの若鳥は翌春までの間は白輪はないか、あってもまだらにある程度の個体も存在します)この他の特徴は、胸の色は変化に富むが、普通は灰褐色で紫色味を帯びることはない。くちばしの長さは普通32~38mm、左右の頬の白斑はほとんどの場合顎の下で黒い羽毛で分断されています。一枚目から三枚目の写真は、昨日印旛沼で観察した個体です。首の付け根に白い輪がありました。このほか、頭から額は黒く、頬から喉に白斑があり、嘴は黒色、胸は灰褐色でした。四枚目から六枚目の写真は、2019年11月、2022年11月に伊豆沼沿岸で観察・撮影したシジュウカラガンです。(2)亜種オオカナダガンB.h.moftitti亜種シジュウカラガンの2倍の大きさがあり、鳴き声は鳴り響くようにホーンクと鳴く、胸の色は淡い、くちばしと首は長い。胸が白い。七枚目と八枚目は、山梨県山中湖で2009年2月に観察・撮影した亜種オオカナダガンです。(3)亜種ヒメシジュウカラガンB.h.minuma(ご指摘をいただきB.h.moftittiを訂正します)マガモの1.5倍程の大きさで、甲高い音でキャク、キャクと鳴く。胸は暗褐色か赤褐色であるが、しばしば紫色味を帯びる。くちばしは短くて太く、その長さは普通32mmを越えることはない。首の付け根に白い輪が現れることもあるが、あっても非常に細いか不完全であることが多い。くちばしから前頭部にかけての形と頭部は全体的に丸味をおびている。左右の頬の白斑はしばしば顎の下でつながっているが、黒い羽毛で分断されていることのほうが多い。九枚目と十枚目の写真は、2022年1月印西市で観察・撮影した個体です。頸に白い輪はなく、胸が褐色でした。嘴は比較的短い印象で、亜種ヒメシジュウカラガンではないかとの印象を持ちました。しかし、体の大きさがマガモの1.5倍程度かどうか、近くにマガモの姿はなく比較できませんでした。(参考)シジュウカラガン亜種の特徴は、雁を保護する会が作成したガン類調査マニュアルのカリフォルニアに現れるカナダガンの亜種に付いての野外での特徴の記載を参考に記しました。
2024.11.05
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鳥友から印旛沼にシジュウカラガンと思われる個体を観察したと教えてもらいました。ようやく今日、現地に足を運ぶことができました。姿は沿岸の入り江近くのポイントにありました。頭から額は黒く、頬から喉に白斑があり、嘴は黒色、胸は灰褐色でした。このほか、ヨシガモ、マガモ、カルガモ、オナガガモ、コガモ、カンムリカイツブリ、モモイロペリカン、アオサギ、ダイサギ、コサギ、オオバン、トビ、チュウヒ、カワセミ、モズ、ヒヨドリ、ジヨウビタキ、スズメ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、タヒバリ、オオジュリンを観察できました。アップした画像は、シジュウカラガン、ヨシガモ(エクリプスが生殖羽に換羽中)、マガモ、オナガガモ、カンムリカイツブリ、オオバン、ホオジロ、モズ、帰り道に立ち寄ったハクチョウの里で見かけたコハクチョウです。(写真)2024年11月4日撮影
2024.11.04
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バードリサーチが実施しているベランダバードウォッチは、身近な鳥たちの年ごとの変動を記録し報告しています。2014年冬の報告に冬季に全国的に生息し個体数も多い冬鳥のツグミとシロハラを対象に記録率と記録個体数の年変動を取り上げて報告しています。2014年冬は、住宅地にツグミが多かったと述べています。報告のうち、ツグミとシロハラは少なくとも2009年以降は1年毎に記録率が変動し、それが個体数の変動とも関係していたと言えそうだと記されています。2015年冬から2023年冬のベランダウオッチの報告のツグミに関する記述を整理し仮説との関係を整理してみました。今冬は、1年毎に変動する仮説通りならば多い年ですが、さて。(仮説)多い年:2016年、2018年、2020年、2022年少ない年:2015年、2017年、2019年、2021年、2023年(2015年から2023年冬のツグミの記録)2015年から2023年冬のベランダウォッチの報告を振り返ると、多かった年:2016年、2019年、2020年、2023年少なかった年:2015年、2017年、2018年、2021年、2022年と整理できます。植物の種子の豊凶、ベランダバードウォッチの調査地の多くは市街地付近に位置し郊外の林や農耕地には木の実や植物の種子が多くあった等の要因で市街地付近を利用しなかった可能性などにより、仮説通りにならなかった可能性があります。(年ごとのツグミの記録について)2015年はピーク時の記録が低い2016年は2015年に比較して顕著に高かった。2017年は2016年冬より低い2017年冬:16年冬より低いが、1月下旬や2月上旬に記録率が一時的に高くなった。2018年冬:11月下旬から1月上旬の記録率が低く、1月下旬に17年冬より一時的に高くなったなったが、その後は17年冬より低い。2019年冬:19年冬の方が 18年冬より記録個体数がやや多い傾向にあった。2020年冬:20年の方がやや高い傾向で、12月中旬から2月上旬には19年より記録率がやや高くなった。2021年冬:身近な環境に生息する冬鳥は予想に反して個体数が少なかった。2022年冬:2020年冬などと比べると記録率や記録個体数がやや少ない傾向だった。2023年冬:渡来数は23年冬では22年冬よりやや多かった。(引用)バードリサーチ.2023~2014冬のベランダバードウォッチ報告.バードリサーチ・日本野鳥の会栃木.(写真)2010年2月18日柏市内、2022年2月26日柏市内
2024.11.03
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一昨日茨城県菅生沼でツールーズガチョウ2羽を観察しました。2022年10月30日にも同地で同一と思われる2羽を目撃しています。ハイイロガンとの違いについて質問をもらいましたので、その違いを整理しました。ただし、野外でハイイロガンを観察したことがないので撮影画像で比較することがかなわないので図鑑に掲載されている写真、文献で報告されている特徴と観察した個体の特徴を比較したものを記しています。(観察した個体の特徴)写真のうち、一枚目は2022年10月30日観察したもの、2枚目、3枚目は一昨日撮影した個体です。2羽のうち1羽はピンク色、もう一羽は嘴がベースが黄色で黒いまだら模様があり、2羽ともに下嘴は薄く、上面は褐色、足はピンク色でした。また、目の周りはオレンジ色の輪がありました。なお、2022年10月に観察し際には嘴先端が黒色となっていた部分は今回はそう見えませんでした。菅生沼の個体は上面は褐色で、文献が記している灰色味はありませんでした。叶内(2012)がツールーズガチョウと掲載している写真とほぼ同一でした。(ハイイロガンの特徴)高野(1980)は、ハイイロガンについて「体は灰色味が強い。嘴、足共に淡紅色である(ヨーロッパ西部の亜種は嘴がオレンジ色を帯びる)目の周りに黄色の輪がある。幼鳥は成鳥より暗色で嘴の根元の白い線はない。」と報告しています。桐原(2000)は、ハイイロガンの特徴について「全身が灰褐色で、下面は淡い。嘴と足のピンク色が目立つ」と報告しています。叶内(2020)は、ハイイロガン若鳥について「嘴先端が黒く腋羽(わきばね)には丸味がある」と報告しています。(引用)高野伸二.1980.野鳥識別ハンドブック.p65-66.日本野鳥の会.桐原政志.2000.日本の鳥.550.水辺の鳥.p100.文一総合出版.叶内拓哉.2012.カモハンドブック.p88.文一総合出版.叶内拓哉.2020.フィールド図鑑日本の野鳥.第2版.p18-19.文一総合出版.
2024.11.02
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宮城県伊豆沼に9月22日マガン6羽が飛来が観察され、10月25日現在92000羽超のガン類が飛来していると鳥友から便りをもらいました。越冬期のマガンの食物内容はどうなっているのか、春の渡りの中継地ではとげうなさているか文献に目を通し、鳥友とも情報交換をしました。(越冬地での食性)嶋田・鈴木・石田(2002)は、糞分析法をもちいてマガンの食物内容の季節変化を調査した結果を報告しています。マガンの採食行動の活性は早朝から10時ごろまで高く,11時から14時まで一度低下した後15時から夕方にかけて再び増加したと報告しています。マガンの糞内容物は、10~1月にかけてどの月もモミの削合がもっとも高く、全体の40.0~53.8%を占め、イネの葉と単子葉類、双子葉類の葉の占める割合は26.0~47.0%であり,イネ葉の割合の減少にともなって単子葉類と双子葉類の割合が増加する傾向が認められたと記しています。また、糞にはどの月もある一定の割合で草本類が含まれており、タンパク質を含むいろいろな栄養素を含む草本類を積極的に摂食している可能性があると指摘しています。また、積雪のためモミが採食できなくなり、畔などの草本類に食物が移行すると採食時間は増加したことが判明したとも述べています。(春の渡りの中継地での食性)先日、北海道の鳥友と情報交換していたら、春に美唄市宮島沼周辺や十勝地方で見かける個体では、下腹部のふくらみのある個体を多く見かけると教えてもらいました。ガン類が植食性ですが、春の中継地で多大なエネルギー摂取を必要とするので小麦の葉を摂取するのだそうです。質の高い食物を大量に摂取する採食し下腹部に脂肪を蓄えるのだそうです。下腹部が膨らんでいる個体が目撃されるのはこのためです。(引用)嶋田哲郎・鈴木康.石田みつる.2002.糞分析法による越冬期のマガンの食性.Strix第20巻.p137-141.日本野鳥の会.(写真)2023年12月7日伊豆沼沿岸、2014年12月14日伊豆沼沿岸
2024.11.01
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宮城県伊豆沼に9月22日マガン6羽が飛来が観察され、10月25日現在92000羽超のガン類が飛来していると鳥友から便りをもらいました。越冬期のマガンの食物内容はどうなっているのか、春の渡りの中継地ではとげうなさているか文献に目を通し、鳥友とも情報交換をしました。(越冬地での食性)嶋田・鈴木・石田(2002)は、糞分析法をもちいてマガンの食物内容の季節変化を調査した結果を報告しています。マガンの採食行動の活性は早朝から10時ごろまで高く,11時から14時まで一度低下した後15時から夕方にかけて再び増加したと報告しています。マガンの糞内容物は、10~1月にかけてどの月もモミの削合がもっとも高く、全体の40.0~53.8%を占め、イネの葉と単子葉類、双子葉類の葉の占める割合は26.0~47.0%であり,イネ葉の割合の減少にともなって単子葉類と双子葉類の割合が増加する傾向が認められたと記しています。また、糞にはどの月もある一定の割合で草本類が含まれており、タンパク質を含むいろいろな栄養素を含む草本類を積極的に摂食している可能性があると指摘しています。また、積雪のためモミが採食できなくなり、畔などの草本類に食物が移行すると採食時間は増加したことが判明したとも述べています。(春の渡りの中継地での食性)先日、北海道の鳥友と情報交換していたら、春に美唄市宮島沼周辺や十勝地方で見かける個体では、下腹部のふくらみのある個体を多く見かけると教えてもらいました。ガン類が植食性ですが、春の中継地で多大なエネルギー摂取を必要とするので小麦の葉を摂取するのだそうです。質の高い食物を大量に摂取する採食し下腹部に脂肪を蓄えるのだそうです。下腹部が膨らんでいる個体が目撃されるのはこのためです。(引用)嶋田哲郎・鈴木康.石田みつる.2002.糞分析法による越冬期のマガンの食性.Strix第20巻.p137-141.日本野鳥の会.(写真)2023年12月7日伊豆沼沿岸、2014年12月14日伊豆沼沿岸
2024.11.01
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茨城県南西部にある菅生沼にでかけました。面積85ha、水深 1 mに満たない沼で、ヨシ ・マコモ が 生い 茂っていて水鳥に採食 可能 な 環境が残っている環境です。今月20日にハクチョウが飛来し、その後も次々に個体数を増やしています。今日、観察した結果では、コハクチョウ34羽の姿を観察しました。内訳は成鳥32羽、若鳥2羽でした。水面で音を休めるもの、水面で羽づくろいするもの、葦原の中で餌を物色するものと実にいろいろな過ごし方を観察しました。このうち、初めて目撃したのが、体上面を水面の中に、下面を水面の上に出しての背面羽づくろい。また、2022年2月以来、滞在しているハイイロガンを家禽化したツールーズガチョウ2羽を観察できました。目の回りのリングが橙色でハイイロガンに似ていますので、時として珍鳥とされていまいます。このほか、全体的に色味の乏しい雌非生殖羽が浅瀬で休んでいました。また、葦原の中からキジの雄が登場し、陸の鳥と思っていたら意外に水辺の鳥の雰囲気をまとっていました。(写真)2024年10月31撮影
2024.10.31
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昨日、吉川美南でハシビロガモの水面採食を観察しました。以前、探鳥会リーダーが「ハシビロガモは水面採餌ガモ類でも濾過機能の優れた嘴を持っていて、表層水を濾過し動物プランクトンを主に採餌します」とガイドしてくれたことを思い出しました。石田(2015)をはじめとする文献が、ハシビロガモについて「群れでくるくる回って水面採食する行動がみられる。集団で渦をつくってプランクトンや植物の種子などを渦の中に集め効率的に採食する行動で渦巻き採食と呼ばれる」と述べていることが背景にあるものと思われます。しかし、消化器官から動物プランクトンが検出された事例はほとんどないとされます。それは、文献をふりかえってみました。松原(1992)は、ハシビロガモの摂食行動と飛来する湖沼の動物プランクトンの季節変動などの関連はどうか等の食性を再検討する目的で調査を行い、結果を報告しています。調査は1991年3月1日から31日の期間で行われ、捕獲から消化器官の内容物摘出までの処理を行ったものと述べています。捕獲した7羽のうち、羽の胃内容はほとんど橈脚類(ききゃくるい:浮遊生物ケンミジンコ)によって占められており、その他の3羽からも橈脚類の断片が多数検出され、輪虫類(ワムシと呼ばれる水中の微小動物)、線虫類(長さ0.2から5mm程度の線形の小さな動物)に属すると思われるものが検出されたと記されています。また、植物性のものでは付着性の糸状緑藻が4羽から検出されたと報告しています。(消化器官から動物プランクトンが検出された事例はほとんどない要因)松原(1992)が報告するように、動物プランクトンを摂取しているのに消化器官から検出された事例がほとんどない要因は、つぎのような可能性があります。(1)捕獲対象の群れが採餌を開始して間もない群れで餌が食道内に蓄積されなかった(2)動物プランクトンの密度が低く摂取されたものがすぐに消化されてしまっていた(引用)松原健司.1992.手賀沼におけるハシビロガモの消化管内容物.日本陸水学雑誌 53巻.p373-377.石田光史.2015.野鳥図鑑.p44.ナツメ社.(写真)1枚目:2024年10月29日吉川市吉川美南2枚目:2015年1月10日、3枚目2019年2月28日、4枚目:2022年1月30日いずれも成田市
2024.10.30
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(1)東口調整池(第一調整池)まず向かったのは駅東側にある調整池です。池にむかうエリアは、造成中であちこちに荒地が存在しています。草むらの中の小動物をねらってチョウゲンボウがホバリングする姿があり、スズメが群れで餌探しに余念がありませんでした。さて、調整池には、マガモ、カルガモ、ハシビロガモ、コガモ、ハシビロガモ、ホシハジロ、キンクロハジロ、バン、アオサギ、ダイサギ、コサギが羽を休めていました。また、近くの荒れ地にタシギが降りたつ光景も目撃しました。アップした写真は、調整池から吉川美南駅方向の風景、マガモエクリプスが生殖羽に換羽中の個体(脇と肩羽がU字状で丸みあり)、コガモ雄エクリプス(嘴は黒色、大雨覆白色部が幅広い、頭頂から過眼線までヘルメットを装着したように濃く見えました)、ハシビロガモは雌雄ともに円を描くようにぐるぐる回って水面採食をしていました。このほか、ホシハジロ、キンクロハジロ、池の脇に広がる草はらで休んでいたアオサギ、コサギです。(2)西口調整池(吉川美南中央公園脇)東口を探索後、西口まで移動し調整池沿岸を探索。今日は水位が高く浅瀬でないのでシギ・チドリ類の姿はありませんでした。マガモ、カルガモ、コガモ、ヒドリガモ、ホシハジロ、アオサギ、ダイサギ、カワウが羽を休めていました。また、池の脇の住宅にアンテナにジョウビタキが止まり、カッカッカッと鳴いている姿を発見。アップした写真は、マガモ、コガモ、ヒドリガモ、ホシハジロです。ホシハジロは、雌冬羽で目の周囲が白く口角上から眼の下に向かい頬線が伸びる顔のパターン、体上面と脇に波上斑がありました。(写真)2024年10月29日撮影
2024.10.29
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もう少しで冬シーズンが到来しますが、越冬する鳥たちが何を食べるいるか、外敵からどのように逃げて暮らしているかは、興味のあるテーマです。沼、湖沿岸で見かけるホオジロ類は、比較的姿を見かけやすいので観察するにはもってこいです。山岸ほか(1969)は、千葉県印旛沼沿岸でホオジロ類について何を食べ、どのように暮らしているのかなどについて調査を実施し結果を報告しています。その内容の一部を紹介します。(ホオジロ類が目撃された環境)印旛沼沿岸の沼沢地帯、水田地帯、山麓地帯にまたがる広い範囲を調査した結果は、つきのように整理できると述べています。(1)オオジュリン沼沢地帯と水田地帯の中にモザイク状に残されている沼沢部に限って出現し、きわめて環境選択の巾が狭いと記しています。さらに、採食地、第1避難所、第2避難所をもっていて3つの区分をもつ単位行動圏があることも報告しています。(2)カシラダカ三地帯にわたって巾広く出現し、出現個体数も他の4種に比べて一番多い。しかし量的に沼沢地にかたよる傾向は明らかと記しています。このほか、あまり乾燥していない地上をえらぶ一方で山麓地帯の田の表面にいて林内へ隠れ、他方では沼沢地帯のヨシ、ガマの倒れた地域へ大群であらわれたとも報告しています。(3)ホオアカ沼沢地帯の1か所で記録されたのみで、ペアで出現したと記しています。(4)ホオジロカシラダカと同様に3地帯にまたがって出現するが、3地帯の中では荒地、路傍、林縁等が選択される傾向があると記しています。(5)アオジ沼沢地帯には出現せず、主として山麓地帯で記録されたが水田地帯の隔絶された松林のと堤防に沿った溝の中で観察したと記しています。また、開けた地上で採食し、ブッシュの中へ隠れ、ほとんどペアーで出現していると報告しています。(沼沢地帯でのオオジュリンとカシラダカ)採食場所が違っていること、群れの構造が違い、生態的に分離していると報告しています。具体的には、オオジュリンは高桿植物で採食ができるが、カシラダカは地上へおりる。オオジュリンは採食場所と避難場所をわけて個々バラバラにその間を往復している。カシラダカはその区別がなく、食物とするイネ科とカヤツリグサ科の分布の大きさに応じて大きな集合をつくっていると述べています。(引用)山岸哲・中村登流・須山才二・飯島一良・牛山英彦・香川敏明.ホオジロ属5種の越冬生態の比較研究.山階鳥研報.第5巻.第6号.p585-601.(写真)オオジュリン:2018年3月12日手賀沼沿岸カシラダカ:2016年1月7日野田市ホオアカ:2022年11月7日手賀沼沿岸ホオジロ:2014年1月27日手賀沼沿岸アオジ:2019年2月27日さいたま市
2024.10.28
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鳥友からケリの嘴近くにある黄色部分と現れる時期について質問をもらいました。まず、ケリの嘴と目の間に黄色の部分がありますが、これは肉垂(にくすい)と呼ばるものです。通称にくだれと呼ぶ方もいらっしゃいます。獣医師の友人によると、羽毛の生えていない裸出部の突出している部分を指すと教えてもらいました。なお、キジの顔の赤い部分も肉垂なのだそうです。(ケリの肉垂の出現時期)肉垂は繁殖期に見られ、大きいで雌雄の識別ができると説明をしてあるSNSもあります。しかし、秋から冬に観察するケリには肉垂が見られる個体、見られない個体の両方を目撃します。また、サイズも大きいもの、小さめの個体と両方を目撃することもあります。歴然としたサイズの違いはないように思います。(雌雄の翼爪)くわえて、翼角の小翼羽近くにある翼爪の長さを確認できれば雌雄の判別は可能と聞いたことがあります。しかし、野外で小翼羽に隠れる翼爪を観察するのは困難です。(虹彩の色による幼鳥、若鳥、成鳥の識別)ケリは、成長にするにつれて虹彩の色が変化します。幼鳥の暗褐色、第一回夏羽の明るい赤、成鳥の橙色に変化していきます。この点は、齢を識別するうえで有効だとされています。(写真)ケリ一枚目:2019年11月17日流山市、二枚目:2020年11月7日流山市、三枚目:2021年12月16日流山市で撮影キジ一枚目:2011年6月12日手賀沼沿岸、二枚目2005年10月23日手賀沼沿岸
2024.10.27
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閲覧しているブログに10月23日茨城県涸沼にてミヤマガラスを観察したと記事があり、その後25日流山市で私共がミヤマガラスを観察しました。渡りのルートがどうなっているかと文献に目を通してみました。(西日本から東進し拡大した時代と北日本から太平洋側に拡大した時代)高木(2010)が、ミヤマガラスは1970年代には主に九州地方に渡ってくる冬鳥として知られていたが、越冬地は1980年代に中国・四国地方や北陸地方へ拡大し、その後、1990年代に北日本から本州太平洋側へと拡大したと報告をしています。その後、高木ほか(2014)が東日本の渡り経路を解明するために衛星による追跡調査を行い報告しています。調査は、秋田県八郎潟でミヤマガラス20羽に装着した送信機により動きを追跡したものでした。追跡した20羽のうち11羽は日本海を渡りロシア沿岸地方に到達するまで追跡ができ、11羽のうち8羽は繁殖地に到達したことを追跡できたと報告しています。八郎潟のほか男鹿半島、能代平野に滞在したあと北上をスタートさせたと記しています。北上した個体のうち日本から渡去した地域を特定できたのは8羽で、飛び立ち地域は8羽のうち2羽が青森県津軽半島、5羽が北海道渡島半島、1羽が積丹半島だった述べています。その後、沿海地方にたどり着いた11 羽のミヤマガラスのうち、5羽はハンカ湖とアムール川にかこまれた中国黒竜江省三江平原に到達し、3羽は三江平原を越えてアムール川を遡ってロシアのブラゴヴェシェンスクの東の一帯に到達し、その地域が繁殖地と考えられる旨を報告しています。この結果から、東日本に渡来するミヤマガラスの繁殖地がこれらの地域と推定されたとの結論に至ったと結んでいます。以前は、西日本の九州地方から東に向けて分布が広がったと考えられていました。しかし、高木ほか(2014)によって大陸から渡来するミヤマガラスの繁殖地が推定され、東日本越冬個体群は西日本越冬個体群とは別に拡大した可能性が高まったと述べています。ちなみに、私が閲覧しているブログに10月23日に茨城県涸沼にてミヤマガラスを観察したとあり、その後25日流山市で私共がミヤマガラスを観察しています。大陸から同じルートで渡ってきたのかと思っています。(引用)高木憲太郎.2010.日本におけるミヤマガラスの越冬分布の拡大.Bird Research Vol. 6.pp. A13-A28.高木憲太郎・時田賢一・平岡恵美子・内田 聖・堤 朗・土方直哉・植田睦之・樋口広芳.八郎潟で越冬するミヤマガラスの渡り経路と繁殖地.日本鳥学会誌.第63巻.第2号.p317-322.(写真)2019年1月23日手賀沼沿岸で撮影、2012年11月25日流山市市内で撮影
2024.10.26
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田尻(2007)が述べているようトモエガモは、極東アジアにのみ分布.東部シベリアを中心に繁殖し、東はチュコト半島からカムチャツカ半島,西はエニセイ川流域まで.越冬地は朝鮮半島西~南岸の湖沼、中国南西部、日本では主に本州日本海側と九州北部で越冬するガンカモ科の鳥類です。近年、千葉県印旛沼にトモエガモがの大群が飛来することで知られていますが。2016年以前は姿を見かけないか、限られた個体数が記録されるのみでした。ところが、2019年以降、個体数が急激に増加しています。今シーズンの動向が注目されます。(絶滅が危惧された時代)トモエガモは、かつては環境省(2002)が報告しているように1930年前後を境に渡来数が急激に減少し、国内に飛来していたトモエガモの個体数は1000から2000羽飛来していたものが1990年代前半には300から400羽に落ち込んだと報告しています。さらに、先行きを注視する必要があるとして絶滅危惧種Ⅱに区分されました。(日本の越冬数が増加)ところが、環境省(2021)が実施したガンカモ科調査の結果、2010年ごろから数千羽以上のサイズの群れの記録が増え、神山・櫻井(2023)が報告しているように2017/18年の越冬期から急に数が増えていると述べ、最大の越冬地韓国の最近10年くらいの越冬数は毎年30-40万羽で安定しており韓国の越冬群が日本へ分散してきたのではなく、トモエガモの総数が増えたために日本の越冬数が増加した可能性を指摘しています。(印旛沼の越冬個体数)環境省(2021)は、調査地以外でも千葉県北印旛沼で毎年数千~数万羽が飛来しているとの情報もあり 、太平洋側でも飛来数の多い場所があるかもしれないと記しています。印旛沼での観察記録(私信、未発表)を振り返ると、2016年12月24日に10羽、2019年12月28日に沼で1羽、沼近郊の公園の池で38羽、2020年2月29日に636羽、2021年11月28日8988羽を観察しています。それが、2021年12月19日に3万羽を超える個体数、2022年1月13日5万羽を超える個体数、2023年12月13日64000羽の個体数を記録しています。印旛沼では2019年から2020年冬に増加傾向が見られ、2021年11月に急増しました。(他地域の動向)読売新聞(2024)が報じた記事によると、2024年1月に島根県内7か所で水鳥個体数調査の結果では2022年度より6万9043羽多い11万9458羽の野鳥をち約半分がトモエガモで、このうち宍道湖では5万8000羽だった。県によると、県内7か所のトモエガモは19年度が2羽、20年度が8002羽、21年度が000羽、22年度が4023羽で今年度の数が突出していると述べています。(読売新聞2024/01/18)(引用)環境省.2002.改訂日本の絶滅のおそれのある野生生物.p150-151.田尻浩伸.2007.トモエガモ Bird Research News Vol.4 No.12.p4-5.環境省.2021.モニタリングサイト1000 ガンカモ類調査 ニュースレター2021年10月発行.神山和夫・櫻井佳明.2023.トモエガモ全国調査がスタート.バードリサーチ 水鳥通信.2023年1月号.p1.(写真)2枚とも2024年1月27日印旛沼で撮影
2024.10.25
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埼玉県松伏町の公園に飛来しているカモ、水辺の鳥、江戸川をはさんで広がる広大な水田地帯に渡り鳥の姿を探しに出かけました。松伏町では、マガモ雄エクリプスが生殖羽に換羽中の個体、マガモ雌幼羽が生殖羽に換羽中の個体、コガモ雄エクリプス個体を観察できました。その後、訪ねた流山市の水田地帯では、ミヤマガラスの小群が電線に止まっているのを発見しました。黒い嘴基部が盛り上がっており、独特の形をしているので近くに姿のあったハシボソガラスと区別できました。このほか、ダイサギ、チュウサギ、アマサギが水田で餌を物色している姿もありました。ミヤマガラスは時折水田に降り立ち、ハシボソガラスに比較すると地面をつつく頻度が多いように思えました。また、飛翔している姿を見ていると、翼長が短いのでひらひらと飛んでいる印象があります。(写真)2024年10月24日撮影(3枚目、4枚目のミヤマガラスは2015年1月流山市、2016年1月柏市で撮影のもの)
2024.10.24
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12日に引き続き、吉川美南駅西口と東口の調整池を探索して歩きました。カモ類の羽衣のいろいろを比較的近い距離が観察できるので大好きなフィールドです。西口の調整池では、マガモ、カルガモ、コガモ、ハシビロガモ、イソシギ、ダイサギ、アオサギ、水路で餌を物色していたセグロセキレイの姿がありました。その後、東口の調整池に移動すると、マガモ、カルガモ、コガモ、ハシビロガモ、ホシハジロ、バン、ハクセキレイの姿を観察できました。(カモの羽衣メモ)(1)マガモ・雄エクリプスが生殖羽に換羽中(写真一枚目、脇と肩羽がU字型で丸み)の個体・雌幼羽が第一回生殖羽に換羽中の個体(写真二枚目、肩羽の羽縁が幼羽と橙褐色の新羽が見られた)・雌非生殖羽(写真三枚目、胸から腹にかけての斑が大きめ)の個体・雄幼羽が第一回生殖羽に換羽中(写真四枚目、肩羽の模様が横斑)の個体(2)ハシビロガモ・雄エクリプスが生殖羽の換羽中(写真五枚目、虹彩は黄色、嘴は黒色、三列風切は黒味が強い)個体・雌幼羽(写真六枚目、嘴は成鳥のような小さな斑はなく、三列風切は黒褐色)の個体(3)コガモ・雌幼羽(写真七枚目と八枚目雨覆が褐色味があり淡色の羽縁が目立つ)個体(4)ホシハジロ・雄生殖羽(赤褐色の頭、灰色の体)の個体・雌冬羽(目の周囲に白っぽさがあり、口角から眼の下に頬線がある)個体(写真)2024年10月23日撮影
2024.10.23
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今月発売された新刊「足環をつけた鳥が教えてくれること」を鳥仲間で目を通し、興味深く感じた内容について情報交換する集いを開催し、東京と福岡のユリカモメの体サイズの違いの件を紹介しました。もうひとつ注目を集めたのがフエノロジカルミスマッチについての報告でした。温暖化で気温が上がっても渡りの時期が変わらない渡り鳥が存在しており、繁殖期に子育てのための食物を確保できず個体数を減らす減少が起きています。これをフエノロジカルミスマッチと呼んでいます。澤(2024)は、出口ほか(2015)が報告しているカッコウの出現時期が晩期化している点、ツバメ、オオヨシキリ、コムクドリの出現および繁殖時期が早期化していることを紹介しています。具体的には、ツバメ、オオヨシキリ、コムクドリの成鳥および巣内雛の出現時期は国内の気温が高い年ほど早期化する傾向が見られているという内容です。また、北極圏で繁殖しているコオバシギが、フエノロジカルミスマッチの影響で食物が十分摂取できず生まれてくる幼鳥が嘴が短く体も小型化している事例、温暖化の影響で北極連で繁殖しているシギ・チドリ類の巣へのげっ歯類レミングなどによるによる捕食圧が上がっていることを紹介しています。(手賀沼とその周辺地域でのツバメの初認、オオヨシキリの初鳴き)我孫子野鳥を守る会(2024)に収録されている観察記録を振り返ると、1978年から2000年の間でツバメの初認日では、最も早かったのは1989年3月19日、最も遅かったのは1998年3月31日でした。これに対して2000年から2023年の間の観察記録を振り返ると、最も早かったのは2021年2月9日でした。なお、初認日は3月3週から4週が大半を占め、顕著に遅い年は見当たりませんでした。また、オオヨシキリの初鳴き日を見返すと、1978年から2000年の間では5月連休頃が最も多い傾向でした。対して、2020年以降に注目すると、2020年4月21日、2021年4月23日、2022年4月15日、2023年4月21日に初鳴きを観察したとの報告があります。気象庁がホームページで発表している内容によると、2021年の日本の年平均気温偏差(1991~2020年の30年平均値からの偏差)は+0.65℃(1~11月の期間から算出した速報値)で、統計を開始した1898年以降、2020年と並び、最も高い値と報告があります。前記に述べたように、外気温が高くなることとオオヨシキリの初鳴きが早くなったことには相関があるように思えます。(引用)出口智広・吉安京子・尾崎清明・佐藤文男・茂田良光・米田重玄・仲村 昇・富田直樹・千田万里子・広居忠量.2015.日本に飛来する夏鳥の渡りおよび繁殖時期の長期変化.日本鳥学会誌.第64巻.第1号.p39-51.澤 祐介.2024.足環をつけた鳥が教えてむくれること.山階鳥類研究所著.p112-115.山と渓谷社.(参考)我孫子野鳥を守る会.2024.会報.no1-300.1975年-2024年9-10月号.(写真)ツバメ:2024年7月13日、2024年7月29日いずれも柏市内で撮影オオヨシキリ:2枚とも2024年6月9日茨城県稲敷市で撮影
2024.10.22
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10月も後半にさしかかり、そろそろ複数種のカモの姿が観察できる時期を迎えた松戸市の21世紀の森と広場を訪ねました。千駄堀池には、マガモ、カルガモ、コガモ、オカヨシガモ、カワウ、アオサギ、コサギ、オオバンの姿がありました。また、カワセミペアが鳴きながら池の水面を全速力で飛翔する姿、畑地でセグロセキレイとハクセキレイが縄張り争いを展開している光景を観察できました。(観察できたカモについて)・マガモ:写真をアップした個体嘴が橙色で雄の黄色とは違うこと、不明瞭な過眼線があったこと、脇の羽が丸みがあったことなどから雌非生殖羽と思われました。・写真をアップしたコガモは、嘴が黒色、脇の羽が尖り気味に見えたので雄幼羽が生殖羽に換羽中の個体と思われました。・写真をアップしたオカヨシガモは、胸にうろこ模様があり、尾筒の黒色が目立ち、頭の模様が額から頭頂、後頸が暗色、耳羽のあたりが茶色となっていた個体で、雄生殖羽でした。(その他山野の鳥)・写真をアップしたハクセキレイは、顔のあたりに黄色味がある若鳥と上面が灰色が多くなってきた夏羽から冬羽に換羽中の雄と思われました。(写真)2024年10月21日撮影
2024.10.21
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柏の葉キャンパス駅近くの調整池を探索して歩きました。最も面積の大きい調整池は、まだ草刈りが行われていないので草丈が高く、しかもフェンスごしなので観察・撮影には条件としてはいまひとつ。それでも、草地で休むカルガモ、コガモは雄エクリプスが生殖羽に変化しつつある個体、脇の羽が丸みを帯びていた雌非生殖羽と思われる個体、嘴が黒く胸の斑が大きめの雄エクリプスと思われる個体、ヒドリガモ雄エクリプスの頭や脇の赤味が強い特徴などをこの時期でしか観察できない個体を観察できるのがここの魅力です。このほか、草刈りが済んでいない調整池の水面を移動し小魚を捕獲しようとしていたダイサギ、浅瀬を移動し足を震わせて追い出し漁を披露していたコサギ、道路を挟んで反対側の調整池ではバンの親子連れの姿を観察できました。バン若鳥は成鳥に比べると嘴がまだ短く、違う鳥にも見えました。(写真)2024年10月20日撮影
2024.10.20
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今月発売された新刊「足環をつけた鳥が教えてくれること」を鳥仲間で目を通し、興味深く感じた内容について情報交換する集いを開催しました。標識個体を観察したことで判明した内容は、ひとつひとつが宝物。関心を集めたのが、東京と福岡のユリカモメがどこか違うと題した報告でした。澤(2024)は、標識調査で福岡県で捕獲したユリカモメを計測し、東京の個体と比較した結果を報告しています。内容で注目されるのが「雌雄ともに東京の個体よりも福岡の個体が有意に小さいという結果が得られた。(中略)仮説として考えられるのが東京と福岡では異なる繁殖地の集団が渡ってきているというものです」「東京で越冬する個体群は体サイズの大きいカムチャッカ半島繁殖群由来のものが多く、福岡では体サイズの小さいシベリア内陸部の繁殖個体群由来のものが多い可能性が考えられる」という部分です。続いて2021年3月韓国から一通の連絡が届き、2019年2月に福岡で足環を装着したユリカモメ(45A)が韓国慶州(きょんじゅ)で観察できた内容でした。福岡で越冬した後、春の渡りで韓国東海岸に移動したものと考えられました。このことから福岡で越冬するユリカモメは朝鮮半島を経由し北上することが判明し、東京越冬個体(夏はカムチャッカ半島で、春秋は道東や東北地方沿岸で観察され越冬帰還は東京に戻ってくる)とは違う渡りのルートを持っている可能性が高いということが判明したといのです。今後、朝鮮半島の渡りのルートがどうなっているか、同じ種類でありながらルート、繁殖地が異なることで種の保全をどうしていくかという点の宿題があるねと鳥友の間で意見の一致を見ました。(引用)澤 祐介.2024.足環をつけた鳥が教えてくれること.東京と福岡のユリカモメがどこか違う.p34-37.山と渓谷社.(本文とは関係はありませんが、過去に観察したものから抽出した標識装着個体の写真)1枚目:2013年11月27日不忍池で観察した標識L72枚目:2014年2月26日不忍池で観察した標識DP3枚目:2014年11月16日北浦で観察した標識E54枚目:2022年1月17日水元が観察した標識T95枚目:2024年2月7日水元で観察した標識A04(標識装着個体の概要)カラーリング青 L7、足環番号8A-33154、性別:不明、年齢:成鳥、放鳥日:2013年2月11日、放鳥場所:墨田区吾妻橋隅田川カラーリング青 D/P、足環番号8A-32814、性別不明、年齢:初年度冬羽放鳥日:2013年3月8日、放鳥場所 千葉県市川市福栄カラーリング青 E5、足環番号8A-33080、性別 不明、年齢 成鳥放鳥日:2012年3月20日、放鳥場所 東京都墨田区吾妻橋隅田川カラーリング青 T9、標識番号8A34804、性別不明、2歳以上の成鳥放鳥日2013/04/06、放鳥場所 東京都墨田区吾妻橋隅田川カラーリング青 A04、足環番号8A-37132、放鳥日2023/01/6放鳥場所:水戸市千波湖、性別不明、2歳以上の成鳥
2024.10.19
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千葉県東葛地区のある駅前にはイソヒヨドリが2006年以降、営巣、抱卵、子育てをしています。ところが、昨年から先月まで建物壁面の塗りなおし工事が行われていたので今シーズンの繁殖はできないままでした。ところが今週火曜日駅前の空間を飛翔する姿を見かけたので、その姿を確認しに出かけました。駅北北西方向から出現し、鳴かずに西方向にある高層住宅の避雷針のてっぺんに止まる姿を見つけました。その後、採餌のため出かけた模様でした。雨が降り出したのでそれ以上の行先を追跡できずとなりました。8階相当の高さに位置するいたソングポストにしていた場所に止まった痕跡が認められるのであらためて訪れたいと思っています。イソヒヨドリの餌は地表性の動物ですが、観察しているイソヒヨドリがどこで餌を獲っているのかは不明なので、何を食べているのかの解明とその動向に注目していきたいと思います。(写真)1枚目から3枚目は2024年10月18日撮影3枚目、4枚目は2023年9月17日、2023年8月24日撮影
2024.10.18
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10月に入り、カモの姿を見かけるようになりました。この時期は、雄エクリプス、雌非繁殖羽、幼鳥の姿があり、識別だけでも一苦労。でも識別のポイントを習得することで観察の楽しさが倍増します。カモをめぐっては日本に飛来する種類は、雄が多いのか、雌が多いのかと質問をもらうことがあります。少し前の報告で興味深いものがありますので、紹介します。バードリサーチ(2015)は、2014年に調査した日本国内の調査地でのオスの割合と緯度・経度、雌雄の合計個体数との関係に関する結果を6区分をあげて報告しています。(1)北の地域、または東の地域へいくほどオスの割合が高くなる種類としてコガモ、ホシハジロをあげています。(2)北の地域にいくほどオスの割合が高くなる種類としてヒドリガモ、マガモをあげています。(3)西の地域にいくほどオスの割合が高くなる種類としてオシドリ、ヨシガモをあげています。(4)南の地域に行くほどオスの割合が高くなる種類としてオシドリをあげています。(5)総個体数が多いほどオスの割合が高くなる種類としてマガモ、ヨシガモをあげています。(6)傾向が見られない種類としてオカヨシガモ、オナガガモ、キンクロハジロ、ハシビロガモをあげています。さらに2015年に調査した結果では、ホシハジロでは昨年と同じ傾向が得られ、緯度から見ると北に行くほど群れの中のオスの割合が高くなる傾向が、経度から見ると東に行くほど群れの中のオスの割合が高くなる傾向がみられ、コガモでは、北に行くほどオスの割合が高くなる傾向が得られたと報告しています。(身近なフィールドでの雌雄の割合)今月に入り、水元、吉川美南、柏の葉を訪ねました。水元で見かけたホシハジロは6羽中雌が1羽、キンクロハジロは雌1羽、ヨシガモ5羽中3羽が雌と思われる個体、吉川美南ではマガモ雌1羽、ハシビロガモ6羽中1羽が雌2羽、柏の葉ではヨシガモ4羽中雌は1羽でした。個体数の分母が小さいので雌雄の比率について言及するのは適当ではありませんが、これからどのように変化するのか注視していきたいと思っています。バードリーチ(2014)が述べているように東の地域にいくほどコガモ、ホシハジロの雄が多いのであれば、千葉県ではこの2種の雄が目立つはずです。これからのシーズンでは注目してみたいと思います。(引用)バードリサーチ.2014.カモの性比国際調査調査報告書.pp8バードリサーチ.2015.カモの性比国際調査2年目調査報告書.pp5(写真)コガモ:2020年12月12日手賀沼、2016年9月14日手賀沼で撮影ホシハジロ:2022年11月16日、2021年11月23日いずれも水元公園で撮影
2024.10.17
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水元公園にカモと水辺の鳥を探しに出かけました。グリーンプラザ付近からサンクチュアリー、メタセコイヤの森、水元大橋を経由し三郷市高須までの水面と隣接する林を探索しました。カモの仲間では、ヨシガモ、カルガモ、ホシハジロ、キンクロハジロの姿、くわえてカイツブリ若鳥が水面で休んでいるカモに接近し遊ぼうよとぱかりコンタクトをしますがカモの方はかまってくれず。また、せせらぎ広場から小合溜の水域では、コサギとダイサギの狩りを観察。最初コサギは忙しく歩き回り水面に嘴を差し込んで餌の捕獲をしていましたが失敗ばかりで足で水をかき回し浮き上がってくる餌を捕食するスタイルの変更したところスムーズに採餌。ダイサギの方は水面近くで待ち伏せし捕食するスタイル。待機時間は長かったのですが見事に魚をゲット。平年であれば、カッコウ科やヒタキ類が姿を見せてくれるのですが、今日はシジュウカラ、メジロ、カケスといった種類が登場したのみでした。(カモの羽衣)・ヨシガモ:合計5羽の姿を観察。雌非生殖羽(大雨覆が雌幼鳥よりも白色部が多い)と雌幼羽(大雨覆は羽先以外は暗色)の姿を観察しました。・ヒドリガモ:雌非繁殖羽(脇の羽が丸みが強い)、雄生殖羽を観察・ホシハジロ:雄生殖羽(赤褐色の頭、黒い胸と尾筒、グレーの体)と雌(目の周囲が白っぽい)個体を観察。・キンクロハジロ:雌(嘴基部が白く、虹彩は黄色、上面が黒っぽい)を観察(写真)2024年10月16日撮影
2024.10.16
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柏市北西部にある柏の葉公園を訪ねました。県民プラザ前の調整池、野球場北にある調整池、そして公園内の日本庭園、パラ園周辺と探索しました。県民プラザ前の調整池では、まずヨシガモの羽衣のいろいろを観察。頭部が褐色(角度によっては黒)で、上面は暗色、嘴は黒、三列風切が下方にカーブしはじまっている雄エクリプスと思われる個体をはじめ、上面が黒っぽく飾り羽はほとんどない印象の若鳥などの姿がありました。続いてヒドリガモの姿を発見し、その羽衣のいろいろを楽しみました。雨覆各羽に白い羽縁が目立つ雌非生殖羽、頭部が赤茶色で頭から頭頂がクリーム色の雄生殖羽、脇の羽が成鳥に比べると小さく雨覆が白くない雌幼羽と思われる個体と観察。また、上尾筒、下尾筒が黒褐色のカルガモ雄、上尾筒、下尾筒が淡色のカルガモ雌が池の杭に止まって休んでいる姿もありました。このほか、新しくオープンしたバーベキュー場のそばではカワセミが鳴きながら飛翔する姿やカワウが羽を広げて日光浴をしている姿、シジュウカラが木のまたに何度も飛来し餌を貯食しているのではないかと思う姿も観察しました。(写真)2024年10月15日撮影
2024.10.15
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稲敷市稲波干拓地は、広さ230haの水田地帯で1985年2月に34羽のオオヒシクイの姿が目撃されて以来、毎年越冬しています。平年では11月に入るとその姿を見せてくれる時期となります。、ところが、2010年代半ば頃から越冬生活に変化が見られ、今シーズンはどうか注目しています。変化の中身は、2015年シーズン後半から原因不明の飛び出しが続き、稲敷雁の郷友の会が要因を調査し報告しています。その内容の一部を紹介します。稲敷雁の郷友の会(2016)は、大別すると、2つの要因を指摘しています。(1)外的圧力による要因稲波干拓内やその周辺の環境(外的 圧力)に敏感に 反応し、さまざまな要因で飛び出し、稲波干拓から飛去する回数が増加している。今シーズンの飛び出し 件数 は、干拓から北東方面に飛去した回数が114回、干拓内の移動に留まった回数が39回で合計153回を記録したと述べています。(2)稲作から蓮田への転換による変化稲作から蓮根栽培に転作する農家が増加傾向にあり、年々蓮根田が増加 している。栽培田の分布は越冬地北東側と南西側の一部に栽培が行われているだけだったが徐々に栽培面 積が広がり、従来オオヒシクイが越冬期間中に餌場やねぐらに80%以上も利用する区画の中心に蓮根 栽培が始まり、オオヒシクイの行動に変化が起きていると記しています。具体的には、オオヒシクイが越冬する時期と蓮根収穫時期が重なり、干拓地内の農作業が途切れないこと、作業車 が通過することから警戒した飛去が発生していること、収穫作業中の人や車 ポンプ用発動機の音等に警戒し、干拓 地上空を周回し 降りるのを諦めて北東方面に引き返した事例が発生していると報告しています。(3)休耕田の分布と影響越冬地南西部にある水田は、放置され田は葦類が茂り藪化しており、オオヒシクイに影響があるのではないかと危惧されています。(引用)稲敷雁の郷友の会.2016.国の天然記念物 オオヒシクイ越冬観察記録.2016年度シーズン.pp21.(写真)2023年12月8日、2015年11月21日、2013年12月23日撮影
2024.10.14
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山路(2015)をはじめとする図鑑類などで「ジョウビタキは越冬地には10月中旬ごろ渡ってきて渡来とともにオスとメスは別々になわばりを構えて生活する」と記されているものかほとんどです。ところが、村上(2015)が岡山県岡山市犬島で非繁殖期のジョウビタキを観察した結果を報告している中で、「非繁殖期である秋季でも雌雄ともに複数個体の集団で生息しており、囀り行動や縄張り争いが盛んであった。このような光景は本土では報告がなく、島だけで見られる姿の可能性がある」「非繁殖期でのジョウビタキは単独性とされているが、犬島では集団で生息することが確認できた。本州本島側の岡山市街にもジョウビタキは生息しているが、これほど集団で生息している場所の報告はない」と報告しています。他地域では同じような行動が見られているのか、注目されます。(引用)山路公紀.2015.ジョウビタキ 生活史 社会システム.Bird Research News Vol.12 No.11.p1-2.村上良真.2015.岡山市犬島で確認された非繁殖期におけるジョウビタキの集団囀りと縄張り争い.岡山理科大学.:研究・社会連携機構 自然フィールドワークセンター 研究報告.第19巻.p37-39(写真)2023年12月25日柏市内、2017年2月3日柏市内で撮影
2024.10.13
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鳥友から吉川美南駅東口から徒歩5分ほどのところにある調整池で10日にガンカモ科シマアジを観察したとニュースをもらい、現地を訪ねました。西口は戸建や高層住宅の戸数が多いエリアとなっていますが、東口はまだ造成工事中で、草地や空いている土地が多いエリアです。第一調整池はそんな環境にありました。周囲の道路からくぼんだところに池があり、マガモ、カルガモ、コガモ、ハシビロガモ、バン、カイツブリ、カワウ、電線に止まり高鳴きをしているモズの姿を見つけました。お目当てのシマアジの姿は見つかりませんでしたが、駅から近い距離に鳥たちを観察できる環境があることに感謝です。その後、西口にある調整池に移動し、コガモ、ダイサギ、コチドリ、オジロトウネン、カワセミ、セグロセキレイ、カワラヒワと遭遇できました。中でも、下面が白い以外は全体的に灰色で目立つ斑もないオジロトウネンとの出会いは、想定外でした。今後、一定期間滞在してくれるのか期待が膨らみます。(写真)2024年10月12日撮影
2024.10.12
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朝から青空が広がりました。先月20日以来の浮島の蓮田の探索を楽しみました。下面が白いのを除くと全体的に灰褐色のオオハシシギ冬羽、下嘴基部か朱色で上面が灰色で白斑が点在するツルシギ幼羽、針のように尖った嘴と上面が淡灰色と変化してきたコアオアシシギ幼羽が第一回冬羽に換羽中の個体、各羽の羽縁が尖り気味のアオアシシギ幼羽、上面の羽縁に淡色斑のあるタカブシギ、肩羽に赤褐色味があるトウネン(今日観察した個体では肩羽と背にはうっすらしたV字の帯はなし)、7羽のセイタカシギ、ピョッピヨッと声を出しながら蓮田の上空を飛翔していたミサゴ2羽を観察しました。(写真)2024年10月11日撮影
2024.10.11
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10月に入って初めて都内水元公園を訪ねました。水面にはヒドリガモ、カルガモ、カルガモ☓マガモ交雑個体、ハシビロガモ、ホシハジロ、カイツブリ、ユリカモメ、カワウ、ダイサギ、コサギ、アオサギ、バン、オオバン、カワセミの姿がありました。このほか、林の中では少なくとも2羽以上のヒタキ類、シジュウカラ、コゲラ、モズの姿、声を観察しました。ヒドリガモはも雨覆が白く頭部・脇の褐色が赤みが強い雄エクリプス、雨覆に羽縁が目立たなず一様に見える雌非繁殖羽、ハシビロガモでは全体に雌よりも暗色の雄エクリプス、カルガモ☓マガモ交雑個体は全体的にはカルガモに近似していましたが嘴基部が黄色っぽいこと、胸がマガモのように赤茶色が強いこと、耳羽下から側頸が黒っぽいことなどの違いがありました。(写真)2024年10月10日撮影
2024.10.10
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手賀沼でヒクイナを冬季に姿を見かけるようになったのは2011年1月~ほぼ通年で姿を見かけるようになったのが2017年からのことです。ところが警戒心が強く、なかなか姿を見せてくれないこともあり、羽色や生態をじっくり観察できるが少ないのが現状です。そんなヒクイナについて鳥友と話しをしていたら、成鳥と幼鳥の羽色の違いや風切の形状が違うのかどうか、嘴の色に違いがあるのか等が話題になりました。図鑑類を復習してみると、第一回冬羽と思われる写真と解説があるもの、幼鳥の写真と解説の掲載のあるものが計2冊ありました。まだ、文献に2件報告が記載されています。(第一回夏羽と若鳥の特徴)桐原(2000)では、愛知県で撮影された写真とともに「体の赤みが弱く、顔から腹は白っぽい」と記され、第一回夏羽ではないかと述べています。また、叶内(2011)が幼鳥の写真を掲載し、頭から上面は成鳥より黒味があり、喉から下腹部まで白っぽい。下尾筒に白黒の横斑模様で、嘴はピンク色で上嘴には黒味があると述べています。(成鳥の羽色、風切について)上出(2017)は、和歌山県で観察したヒクイナの風切の状態について報告しています。10月に観察した成鳥は、「初列風切の換羽を終了しており、羽色は幼鳥より赤みが強かった」「風切先端の形状を判別できたP10(内側から外側へ向かって10枚目の初列風切)は、先端の幅が広くて尖りが緩やかであり,摩耗や褪色はみられなかった」と述べています。(第一回冬羽について)上出(2018)は、和歌山県で観察したヒクイナ第一回冬羽の風切の色彩と形状について報告しています。それによると、「第1回冬羽の風切の色彩は、体羽や雨覆に比べて暗い色彩であり外側風切の先端は細く尖った形状であった」と記しています。あわせて、「上嘴に黒みがある一方で下嘴は白っぽい色をしており、幼鳥と成鳥の中間的な特徴を示した。また、虹彩と脚は赤茶色」と述べ、第1回冬羽の未成鳥と判断した。なお、顎から胸の羽色は栗色をしており成鳥に近い特徴を示していた」、「幼羽から第1回冬羽への換羽では風切を換羽しないというクイナ類に一般的に認められる特徴と矛盾しなかった」と述べています。(掲載した写真のヒクイナの齢)7日に手賀沼で観察したヒクイナ、2023年2月から9日に手賀沼で観察した個体、2022年3月に松戸市で観察した個体、2023年3月に手賀沼で観察した個体の写真をアップしました。いずれの個体も嘴は黒く、虹彩は赤く、頭部から腹が赤褐色、上面は緑暗褐色で成鳥個体でした。なお、上出(2017)が報告している風切先端の形状は確認できませんでした。今後、風切先端の幅が広い点や尖りが緩やかな点の確認は課題です。なお、撮影場所については、撮影者がヒクイナの生息場所に長時間陣取って市民の歩行を妨げるなどが見受けられるので非公開とします。(引用)桐原政志.2000.日本の鳥550.水辺の鳥.p170.文一総合出版.叶内拓哉.2011.日本の野鳥.p221.山と渓谷社.上出貴士.2017.秋季に和歌山県で観察されたヒクイナ Porzana fuscaの風切の換羽状態.鳥類標識誌.第29巻p52–57.上出貴士.2018.和歌山県で観察されたヒクイナ Porzana fuscaの第1回冬羽の風切の色彩と形状.鳥類標識誌第30巻.p51-55.
2024.10.09
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昨日、手賀沼でマガモ雄エクリプスを観察できました。一枚目、二枚目の写真がその個体です。嘴は黄色で雄であることがわかります。(雌では嘴が橙色)次に嘴上辺に暗色班がなく脇の羽もV字に尖った羽もないように思われました。ただし、水面で隠れている胸部分が赤茶色のように見えることから雄幼羽の可能性も否定できないと思いました。(エクリプスが生殖羽に換羽中の個体)三枚目、四枚目は2020年11月2日に松戸市で観察・撮影した個体です。嘴は黄色、肩羽が幅広く丸みが強い印象がありました。胸も濃い赤茶色でした。五枚目の写真は、2022年10月20日手賀沼で観察・撮影した雄エクリプス個体です。嘴は黄色で、胸は焦げ茶色、脇がU字で丸みがありました。六枚目の写真は、2021年10月14日に手賀沼で観察・撮影した個体です。嘴は黄色で、胸は焦げ茶色、黒い中央尾羽がカールしています。七枚目の写真は、2021年10月14日に手賀沼で観察・撮影した個体です。六枚ロとは別個体で、頭が緑光沢のある色に変化しています。(雌幼羽個体について)八枚目の写真は、2021年11月4日に手賀沼で観察・撮影した個体です。嘴が橙色と黒色で、胸が赤茶です。肩羽や脇に丸みが認められませんでした。これらのことから雌幼羽と思われました。
2024.10.08
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久しぶりに晴れたので手賀沼沿岸を探索しました。しかし、昼前から南よりの風6mで沼の水面は波立ち、水鳥の姿は少なめ。それでも、沼の西側ではミサゴが飛翔する姿、河川が沼に流れ込むエリアにできた干潟でコガモとカルガモの群れが羽を休めているのを目撃しました。その後、先月観察したノビタキが飛来しているエリアに移動しましたが、複数の田んぼで稲刈りが行われいるからなのか姿を見つけられず。このため、沼北側の我孫子市側に移動してカモ、サギがエスケープしているエリアを探索しました。マガモエクリプス(雌に似た羽衣ですが嘴が黄色で肩羽に丸みがあり)、コガモエクリプス(嘴基部が黄色味を帯びる)、コサギ、ダイサギ、ゴイサギが葦原の中で羽を休めている姿、浅瀬を移動していたヒクイナの姿を観察でき、楽しい時間となりました。また、帰り道、沿岸の一角で複数のモズ雌個体が縄張りで熾烈な争いを目撃。成鳥雌がけたたましい鳴き声を上げているのに対して、モズ若鳥(下面の鱗模様が目立つ)は鳴き声はあげるものの控えめな振る舞い。タカ派のモズ雌成鳥、ハト派のモズ雌若鳥は、タカ派に軍配が上がったようでした。(写真)2024年10月7日撮影
2024.10.07
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以前、気温が高いほどモズの高鳴きは遅くなるとのりボートを目にしたことがあり、今秋の高鳴きは遅いと思っていましたが、バードリサーチ(2024)が、モズの高鳴きを東京都八王子市で8月初旬に高鳴きを記録し、同じ時期に大阪、東京、大分からも報告があったと記しています。https://www.bird-research.jp/1_katsudo/kisetu/index_kisetu_kekka.html(東京の高鳴き初認日について)気象庁が2020年まで行っていた生物季節観測値の報告によると、東京の1966年から2020年の間では、最も早かったのが1967年9月9日、最も遅かったのが1982年10月21日でした。https://www.data.jma.go.jp/sakura/data/調べてみると1967年は夏の高温、5月から10月の少雨でしたから気温が高いほど高鳴きが遅くなるとの説明は理解できる側面があります。しかし、2024年8月は気象庁の速報値むによると平均気温33.4度と公表されており、高鳴きは遅くなるはずですが8月初旬に記録されたのは他に要因があるものと思います。(モズの雌の当年生まれかどうかの識別ポイント)高木(2006)は、モズの羽色、分布、生態などについての知見を整理し報告しています。その中で「雌の過眼線は焦げ茶色で、初列風切に白班を持たず、脇から下面にかけた波状斑が雄よりも明瞭。体に近い側の初列雨覆先端の褐色斑の有無により前年生まれ(斑有り)とそれ以前に生まれた個体(斑なし)の識別が可能」と報告しています。手賀沼沿岸での観察で2023年1月20日に高木(2016)が指摘している内容と同様のものと思われる個体を観察したことがあります。一枚目の写真を御覧ください。過眼線がこげ茶、初列風切に白斑があり、初列風切先端が褐色となっています。しかし、雌には初列風切の白斑がないとされている点との相違が気になっています。二枚目の写真は、2018年3月4日に松戸市で観察した雌個体です。過眼線がこげ茶、初列風切には白斑はなく、上面は生殖羽に換羽しています。なお、参考として雄の写真もアップします。2018年2月10日流山市、2021年12月16日流山市で撮影(引用)高木昌興.2006.モズ 形態と分類、羽色、生活史 Bird Research News Vol.3 No.6.p4-5.
2024.10.06
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3日谷津干潟でアカアシシギ幼鳥個体を観察しました。観察していて誤認しやすいツルシギ幼鳥との比較をしてみました。(嘴に注目)多くの図鑑で識別の決定打と解説しているのが、下嘴だけが朱色(ツルシギ)、嘴基上下が朱色(アカアシシギ)なのかという点です。ただし、アカアシシギは嘴基部の色が観察する角度でわかりにくさがあります。二枚目の写真では一枚目と同一個体ですが、朱色がかるという印象です。写真一枚目、二枚目が3日に谷津で観察したアカアシシギ、三枚目、四枚目が稲敷市で2018年10月に観察したツルシギです。(上面の特徴)アカアシシギは上面が褐色で羽縁が白色に見えます。対してツルシギの上面は暗褐色で小さな白斑があります。(体下面と顔、胸について)アカアシシギの下面は白く、胸に褐色の縦斑があります。対するツルシギは、灰褐色で褐色の斑が多くあり、全体的にアカアシシギより暗く見えます。写真五枚目は3日に観察したアカアシシギ、六枚目は2019年9月15日に稲敷市で観察したツルシギです。(眉斑の白色)アカアシシギ冬羽は眉斑の白色が目先で止ります。対するツルシギは目の後方まで伸びます。二枚目と六枚目の写真をご覧ください。(足の色)アカアシシギもツルシギも足の色はいずれも朱色から赤色に見えます。足の色だけでアカアシシギかツルシギかを識別するのは注意が必要です。
2024.10.05
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