海外旅行紀行・戯言日記

海外旅行紀行・戯言日記

2003.03.04
XML
テーマ: 本日の1冊(3697)
カテゴリ: Books
21世紀研究会編の「イスラームの世界地図」が文春新書として発刊されたのは今から1年前の平成14年1月です。

緒言で次の様に述べています。

東洋と西洋の間には、中洋と言うべき広大な地域が広がっている。東洋とも西洋とも違うこの領域は、イスラームの世界である。
610年にイスラームが誕生して以来、イスラーム諸国はヨーロッパと1400年にも亘る衝突を繰り返して来た。それは民族の衝突であり、宗教の衝突であった。
モーゼもイエスも自分たちの預言者とし、ムハンマドを最後の預言者とするイスラーム教をヨーロッパ人は奇妙な新興宗教と見ていた。
もしかしたら私達日本人は、西欧諸国によって造られた否定的なイスラーム像の影響を受けているのでは無いか。

第1章のイスラームの論理と心理では次の様に言うのです。

主権在民と言う言葉はイスラーム世界には無い。主権はアッラーに在り、法もアッラーの教えであるコーランに照らして制定され、判断されるからだ。
彼等の世界では、如何にアッラーの教えを忠実に実行出来るかと言うことが、何より重要なのだ。


ただし、エジプトの様に積極的に国際社会と関わりを持って行こうとする国もあれば、出来るだけ異教の国との接触を避けると言う国もあるなど、対応は様々である。
それでもイスラーム諸国の大統領、首相の権限は大きく、国家の方針は一人の首長に殆ど決められてしまう。一度大統領に就任してしまうと、どうしても独裁的な長期政権になりがちなのだ。
イスラーム過激派が反政府テロ等に訴えるのも、議会だけではどうにもならない、特に発言の機会のない貧困層の現実を見ない等と批判している訳で、視点を変えて見れば、原理主義と呼ばれる運動は、実は民主化を求めての闘いだとも言えるのである。

この本に当然のこととして結言は無いのですが、イスラーム過激派によるアメリカ同時多発テロ事件で始まった21世紀は、世界各地で、民族、宗教紛争が頻発する世紀となるのではないか、と危惧されています。

私達日本人が先進国として尊敬して来た西欧諸国のフィルターを掛けてイスラーム世界を見るのでは無く、直接に自分達の眼で直視することが必要だと主張しているのです。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2005.07.12 15:10:31
コメント(1) | コメントを書く


■コメント

お名前
タイトル
メッセージ
画像認証
上の画像で表示されている数字を入力して下さい。


利用規約 に同意してコメントを
※コメントに関するよくある質問は、 こちら をご確認ください。


Re:主権在民という言葉のない「イスラム世界」(3/4)  
この本も難しそうですね。<br>今日は<ヴィクトル・エミール・フランクル>の本を探しに行きます。難しそうですが・・・<br><br>マイルでの特典旅行海外のホテル簡単に安く取れるんですよ。私、結構利用させていただいています。<br>また、マイアミ、他にも友人がいるため安くとってもらったりしています。弟がサン・ディエゴにいるので良く行きます。この場合はまるっきりただですが・・・ありがたいことです。国内チケットは親に上げていました。 (2003.03.04 13:12:12)

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

Keyword Search

▼キーワード検索

Category

カテゴリ未分類

(205)

My Town

(583)

Little Journey

(798)

Overseas US

(238)

Overseas Europe

(195)

Opinion

(1335)

Classic Music

(531)

Technology

(204)

Flower

(619)

Books

(211)

Goto Islands

(268)

Gardening

(215)

PC

(176)

Social Security

(35)

Stock

(144)

Politics

(761)

技術士

(18)

Overseas Oceania

(19)

Paintings

(79)

TV

(74)

Profile

カーク船長4761

カーク船長4761

Favorite Blog

韓国の戒厳令 New! 七詩さん

今年200回目の半田山… New! 隠居人はせじぃさん

のどには、はちみつ… 福禄太郎さん

雲の上はいつも蒼空 蒼空0205さん
旅でのひとり言 旅行好き2002さん

Comments

ミリオン@ Re:「ガリバー旅行記」とニュートン(01/12) New! こんばんは。 アイルランドは素敵ですね。…
ミリオン@ Re:バッハの思い出-アンナ・マグダレーナ・バッハ(講談社学術文庫)(01/10) こんばんは。 音楽を聴くのが楽しいですね…
カーク船長4761 @ Re[1]:3段変速自転車と電動アシスト自転車(12/02) オジン0523さんへ ご指摘有難う御座います…
オジン0523 @ Re:3段変速自転車と電動アシスト自転車(12/02) 処分料金250年を支払って廃棄とし
ミリオン@ Re:教育と品質保証(01/09) こんばんは。 嬉しいです。頑張って下さい…

Freepage List

東京都多摩市


多摩市周辺


神代植物園


自宅周辺で良く行くお店


近くの低山


低山でも注意を


供養登山-低山トレッキング


西海国立公園


上五島日記


下五島日記


海外旅行の思い出


ホテルが見つからない


レンタカーが変調


大都会の一方通行


北米家族旅行


北米家族旅行(2)


ヒューストンの住居


アメリカは広い!


テキサス州の州花


Deep South


住み良い都市統計


パクス・アメリカーナ


キャンプ生活


カリフォルニア1号線


カナダお国自慢


温泉国立公園


化石の森国立公園


カールスバード鍾乳洞


Everglades国立公園


Great Smoky Mt.


ニュージーランド南島


珈琲が美味しくない


Kingston Flyer


南ヨーロッパ旅行


チロルでは寄り道


パンと湯はホテルで


ザルツブルクの魅力


美しい夏の行方


北ヨーロッパ旅行


夏の個人旅行は難しい


天才アーベル


Clara Haskil ?


ディヌ・リパッティ


ホルン信号


Charllote Church


ヨーゼフ・シゲティ


エミール・ギレリス


ナルシソ・イェペス


キリ・テ・カナワ


半額チケット


ブレンデル


Andras Schiff


バレンボイム


コレルリ


ヘルマン・プライ


へブラー


グレン・グールド


ラズモフスキー3番


デュ・プレ


カール・ライスター


油絵を描く楽しみ


美術館での写真


レンブラント


如意輪観音


拙いパステル画


スケッチと模写


ゲーテの詩は如何?


陶淵明の雑詩


奥の細道


ヨーロッパとは何か


魔法使いの弟子


ボードレール


杜甫


すみれ-ゲーテ


北米の国立公園


米国 国立公園


カナダ国立公園


ドイツ旅行


遅れてきた国民


プロテスタント


フランクフルトと京都


Riemenschneider


ドイツとゲルマン


ベートーベン生家


シュヴァイツァー博士


フランス旅行


星の王子さま


落葉


ボードレール


東欧旅行


幻想都市プラハ


スイス旅行


アインシュタイン


ハイジの道


シオンの城


ベネルックス三国旅行


夢の跡-ブリュージュ


英国旅行


三越のライオン


オーストラリア旅行


海外生活


JCBが使える


Globalization


レッド・ドラゴン


「大学」-宇野哲人


世界の美術館 訪問記


読書評


イタリア旅行


ポルチーニ


カナダ旅行


メキシコ旅行


インド旅行



© Rakuten Group, Inc.
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: