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(1)伴奏者泣かせ キリエと怒りの日
当時の高校合唱部には、ピアノの上手な諸先輩方が沢山いらっしゃったので、私がこの曲の伴奏を正式に担当することはありませんでした。とはいえ、放課後の練習で伴奏者が来なかったりしたときには、その場で誰かが弾かなければならなかったりするわけで、私も何度かピンチヒッターをつとめたことがあります。そんなにわか伴奏担当にとって、「キリエ」と「怒りの日」は、初見で弾くには恐ろしく手強いまさに「伴奏者泣かせ」の難曲でしたね。「キリエ」は細かい指の動きが複雑にからみあった四声の対位法でしたし、「怒りの日」はヴィルトーゾ的運指が要求されるこれまた大変な曲。よく仲間たちと、「バッハやツェルニーでもやっているような気分。毎日練習すると効果的かもね!」と話していたことを思い出します。衝撃の思い出といえば、一学年上だった某先輩のこと。今では世界的な指揮者となられたわけですが(リンクをたどっていけばお分かりでしょうが敢えて伏せておきますね)、この難曲の「キリエ」を、後輩の私たちの前で初見でよどみなく弾いていらっしゃったのでした。
(2)某先輩の含蓄の一言
某先輩の話題が出てきたところで、高校時代のエピソードを一つ。モーツァルトの「レクイエム」は、確かどこかの文化祭のステージで歌うために練習していたと記憶しておりますが、某先輩が人前(舞台)で指揮棒を振ったほとんど最初の作品だったのではないかと思います。それはさておき。放課後の練習の折だったか、休憩時間だったか、こんなことをおっしゃったのを今でも鮮明におぼえています。「キリエの最後の和音(D-A-D)は、これは長調なんだろうか、短調なんだろうか?」という一言でした。「確かに、どちらともいえるようなニュートラルな響きですよね」と返答したところ、「この曲単体としては、長調の可能性もありうるだろうが、怒りの日との続き具合からすると短調なのかもしれない。他の部分でも、調性の続き具合は考慮されているようだしね。いずれにしても面白い和音だ」というコメントが返ってきました。さすがの一言でしたね。
花火3発・金魚2匹 2012年08月26日
ディートリヒ・フィッシャー=ディースカ… 2012年05月19日
真っ黒な楽譜 2011年09月02日