2003年05月12日
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パンやお菓子が好きなみなさん、すみません、今日は靴の話です。

先日、3年間のロンドンでの駐在を終えて帰国する知人が「記念に靴を仕立てようと思ったが、出来上がるまでに3ヶ月もかかるので諦めた」と言っているのを、よいアイデアだと思ったらしい夫。そうはいってもそんなの10万、20万するんだろうなぁ、とため息をつきつつ、「ジアン(フランスの陶器工場)で買ったようなB級品ってないんだろうか?」と考えてネットで調べたところ、あったあった!
イングランド中部ノーサンプトンNorthamptonに多くある靴工場では、エルメスのブティックや銀座のトラッド系セレクトショップにぴかぴかと鎮座ましますJOHN LOBBやChurch’sの高級既製靴を作っているが、小さな傷や色あせ、縫い目の不揃いなどの理由で検品ではじかれた靴やサンプル品を、お買い得価格で売っているらしい。
それらは夫が4年前に就職を控えて会社に履いていく靴を探したとき、憧れながらも手が出なかったブランドだという。夫は、だっさい“なり”をした貧乏性のくせして、靴だけは洗練されたものを履くやつで、初めてウチにあがったときに脱いだところをチェックしたら、バーニーズ・ニューヨークのだった。「あら、この子見所があるわ」とそれで合格点を出し、結局結婚してしまった。そんなわけで、夫に「いい靴が欲しい」と言われると弱いのだ、わたしも(以上のろけ)。

ノーサンプトンまで車で行って、まず街のインフォメーションセンターに行く。そこで「靴工場めぐりをしたいんだけど」と言うと、地図と何十軒も載ったリストをくれる。その日はもう夕方だったからJOHN LOBBとCrocket&Jonesの2軒のみ、翌日Church’sほかに行くことにする(随分離れたところに泊まったので何マイルも車で延々戻ってくることになった・・・)。

まず、 JOHN LOBB 。エルメス傘下の超高級靴メーカー。結果からいうと、ここでは1足も買っていない。すべての靴は箱に入ったまま、うず高く棚に積まれ、目ぼしい靴を探すためには、細かく箱に書いてある「型、色、サイズ、ワイズ」などの情報を読み取り、苦労して箱を抜き取り、狭い通路でためし履きをしなければいけない。紳士靴は200ポンド(3.8万円)と150ポンド(2.8万円)の2種類の値づけがされていた。B級品といっても高い。日本では15~20万円するものらしいから、それでも「安いっ!!」と大喜びする人はいるんだと思うけれど。黒のビジネス向きはあまり数がなく、色モノのカジュアルシューズが多いようだ。「欲しいものが見つからないし、高くて買えない」と夫。ブローシャーだけもらって後にする。

次は、 Crocket&Jones 。ここは、右足用の靴が見やすくサイズ別に並べてあって、いいと思うものは頼んで左足用も出してもらう。腰掛けて履き、歩いて試せる広いスペースがある。夫は2足、カジュアルのブーツを90ポンド(1.7万円)で、黒のストレートチップを70ポンド(1.3万円)で買う。聞いたら値付けはイギリスの正価の1/3だそう。日本だと関税がかかるから、1/5と思ってよい。後で調べたら夫が買った70ポンドの靴を、日本で6.9万円で売っていた。消費税もあるからほんとに1/5以下だ。傷はどこにあるのかわからない。「だいたい靴なんて、1回履いたら傷だらけだから、陶器のB級品よりさらに気にならないね」と満足する。ちなみに女性用のタウンシューズはデザインがいけてなくて見る気にならないが、メンズライクなショートブーツはかなりかっこよかった。

Church’s へ。M&Aでプラダ傘下に入ったらしい。Crocket&Jonesほど広くはないが、ここもじっくり選べる店構え。夫、黒のビジネス向きバックルシューズを120ポンド(2.3万円、高いと躊躇するので買ってしまえとけしかけた)で、モカシンのドライビングシューズ(イタリア製、サンプル品)をなんと30ポンド(5500円)で獲得。外反母趾のため、普段スニーカー以外はほとんど既製靴を履かないわたしも、あまりの安さと、なかなかの履きやすさと、姿の美しさにつられて、かちっとした茶の紐靴を40ポンド(サンプル品、7500円)で購入。ついでに旅行用革スリッパを25ポンド(4700円、これは検品合格品。なんて素敵な贅沢)、シューキーパー1個を10ポンド(1900円)にてゲット。4足合わせても4万円ちょっとしか払わなくて、ああ、いい買い物をしたねと喜びあう。

ほかにも周る予定でいたが、すでにふたりで6足買って「おなかいっぱい」の気分になり、これで買い物は終了。別ブランド名の靴を作る下請け工場を通りがかりに見たら、イタリア製のパンプスやミュール、ブーツなど女性らしいおしゃれな靴もたくさん並んでいた(紳士靴は英国がよいけど、女性用はイタリアですね)。
昨夜家に帰って、夫は買ってきた靴を全部出して並べて、クリームを塗って手入れして、履いてみてニコニコしていた。憧れだった靴をいっぺんに4足も手に入れて、嬉しくてしかたがないのだ。早速旅行中に使ったドライビングシューズは、びっくりするくらい快適だったらしい。友だちがイギリスに遊びに来たら、ぜひノーサンプトンまで案内したいとしきりに言っていた。

ところで、JOHN LOBBとCrocket&Jonesで若くてかわいい日本の女の子数人と男の子ひとりのグループに会った。OLや学生だったが、靴作りを学ぶために、ノーサンプトンの隣町のカレッジ(専門学校)に留学しにきたという。みんな一所懸命靴を選んだり観察したりしている。こんなふうにがんばる人たちがいるのはいいなあ。みんなよい靴を作ってね。

【ノーサンプトン、靴工場めぐりのTIPS】

(1) 工場は街のあちこちに点在している。歩いて周るにはちときついので、バスや電車でノーサンプトン入りする人は、インフォメーションセンターでレンタサイクルの情報をもらって、自転車で回るとよいかも。でもたくさん靴を買ったら、自転車では運べないなあ・・・。

(2) 靴工場の入り口は、ほとんど看板がなく小さな表札があるだけのところが多いので、注意して探そう。でも1~2軒見ているとだいたい靴工場らしい建物が見分けられるようになってくる。いくつかの工場ではインターホンを押して、「ファクトリーアウトレットのお店に来ました」と言わないと、入り口のドアを開けてくれない。

(3) 今回、TRICKER’Sが4時クローズ、土曜はやっていないということで残念ながら見られなかった。事前にノーサンプトンの地図(AtoZ)を入手して、工場の住所や場所を調べておき、早い時間に街に到着するようにすればよかった。靴選びは結構時間がかかるもの。

(4) 検品落ちも悪くないが、サンプル品は傷もないうえにより安い。サンプルのサイズは男女で決まっているので、そのサイズに合う人は、ラッキー!と思ってサンプル品をよく探そう。

(5) ノーサンプトンのインフォメーションセンターと同じ建物内にある美術館は入場無料。靴作りの歴史や工程が学べる、なかなか素敵なミュージアムがある。こちらにもぜひ。置いてあるお土産も(靴型の針刺しなど)かわいかった。





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最終更新日  2003年05月14日 21時21分21秒
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