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2025.12.02
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カテゴリ: USA
トランプの仰天発言「同盟国の多くも友達じゃない」…台湾有事発言で高市首相を諌めた電話協議、自分の都合で動く米国とどう向き合うべきか?


日本政府は対応に追われたが、発言を撤回するわけにもいかず難しい状況にあった。
そのような中、米側からの要請で、25日に高市・トランプの電話首脳会談が行われた。
この時、米国の支援により日中関係の事態打開が可能なのではと日本政府の中では期待する向きもあったはずである。

 何しろ、日本政府は巨額の対米投資を約束し、直近の大統領訪日時には礼を尽くしてもてなしたのだから、高市首相とトランプ大統領の間に良好な関係が形成されたはずであった。
同盟国米国の助けが必要な今こそと考えたとしても罰はあたらないだろう。

 ところが、今回の日米首脳電話会談の中身は、そのような日本側の期待を真っ向から裏切るものであった。
ウオールストリートジャーナル紙によれば、この電話会談において、トランプ大統領は高市首相に、台湾問題で中国を刺激しないよう諫めたというのである。

 実は、この日米電話首脳会談の数時間前、トランプ大統領は習近平国家主席と米中電話首脳会談を行っている。習主席は具体的に台湾問題に関して日本に圧力をかけるよう要請するようなことはなかったものの、台湾に対する中国の立場を改めて明確化すると共に、米中が第二次世界大戦において共に日本と戦ったことを想起させたという。


この日中対立時に、同盟国日本の肩を持ってくれると期待していた米国政府が、あろうことか中国の意図を汲んで、日本を牽制したということになる。
トランプは一連の関税問題を通して中国の強さと米国経済における重要性を理解した。
そしていまや米中貿易交渉は山場を迎えている。
改善しつつある米中関係を台湾問題で邪魔されたくないはずである。

 このような状況に、 日本政府が知らないところで米中が接近するという半世紀以上前の「朝海の悪夢」 がよぎった関係者もいた。
当時、米国は中華人民共和国と対立関係にあり、米国は日本が巨大な共産主義の隣国へ接近するのを嫌っていた。そのため米国政府に忖度する日本政府は、北京政府と距離を置いてきていた。

 ところが日本政府の知らぬ間に米中の和解は進行し 、1971年にニクソン大統領が突如として近々北京訪問予定と発表 した。これを日本政府が知らされたのは、発表の直前であった。

 駐米大使を務めたこともある大物外交官の 朝海浩一郎氏 が、 当時起こりうる日本外交における最大の悪夢 米中が日本政府のあずかり知らぬところで手を結ぶこと であったが、 その悪夢がまさにニクソンショックという形で現実 となったのである。米国と中国という巨大大陸国家の狭間に存在する日本にとっては、知らぬ間に日本の頭越しに二大国が手を結ぶというのは何としても避けたい事態であるのは今も変わらない。

 今回の一件もその 予兆 はあった。 11月10日放送のFox Newsのローラ・イングラムによる大統領インタビュー の番組内のことである。



 ところが、トランプは予想に反して「 同盟国の多くも友達じゃないんだよ、ローラ。同盟国は中国以上に貿易で我々を利用してきた 」と、暗に同盟国である日本を非難し、中国の肩をもったのである。そして「 見てくれ、私は習主席とも中国とも大変良好な関係を築いている 」と念押しした。これを視聴していた駐米日本大使館関係者や日本政府関係者がいたとすれば、日本に対する梯子が外されつつあるのを目にして暗澹たる気持ちになったはずである。

 イングラムはその後、話題を変えて、MAGA派に沿っているはずのトランプの考えをさらに確認していった。例えば、米国に大量の中国人留学生がいるという考えにMAGA派の人々はあまり乗り気ではないのに、最近、大統領は留学生の国外退去を撤回し、より多くの留学生が中国からくる可能性に言及していることについて質した。するとトランプは「米国には巨大な大学システムがあり、留学生を止めるとその半分が破産する」と述べた。

 米国内経済について、多くの人々が物価高による生活費不安を抱えている点を問われると、それは「民主党による詐欺」であり、「世論調査は偽物」と言い放った。移民についても、イングラムに「何万人、何十万人もの外国人労働者を国内に流入させるわけにはいかないでしょう」と問われると、「そうだが、才能ある人材をまねきいれなければならない」と反論した。

 そして、「国内には十分な才能ある人材がいます」との反論には、「いや、いない。失業者の列にならんでいる人を連れて来て、ミサイルをつくれ」というわけにはいかないと述べた。これはトランプの大量の移民が米国人の職を奪っているから移民を大幅に削減しなければならないというMAGA派に沿ったこれまでの主張とは大いに異なっていた。

 Fox Newsのトランプに対するインタビューは、多くの場合、トランプ寄りで、トランプが嫌がるような質問はしないため、自分のホームグラウンドでのインタビューと思っていたであろうトランプは、イングラムの質問に戸惑ったはずである。

 イングラムがなぜこのような質問をしたのか本当のところはわからない。彼女は、これまでそうしてきたように、MAGAという岩板支持層からずれていくトランプにそのような支持者たちが何を望んでいるかを伝え、トランプを支持層につなぎとめることでトランプの人気を保とうとしたのかもしれない。もしくは、今回はそうではなく、MAGAから離れていくトランプに対して、自分とトランプとの間に距離が生じようとも、自分はMAGAの民衆に寄り添うという姿勢を打ち出したのかもしれない。熱烈なトランプ支持者でありながら、最近袂を分かったマージョリー・テイラー・グリーン下院議員のように。

 このインタビューの中でトランプは、「 忘れるな、MAGAは俺のアイデアだ。MAGAは他の誰のアイデアでもない。MAGAが何を望んでいるか、俺ほどよく知っている者はいない 」と述べた。ただ、このインタビューからも明らかなように、トランプが自分を大統領に押し上げたMAGAの人々から離れつつあることだけは確かなようだ。

 自分の都合で揺れ動くトランプの率いる米国と、巨大な隣国中国の間に立って日本は難しい舵取りを迫られている。二つの超大国に挟まれ、資源や食料に乏しい島国日本は、常に微調整しつつ合わせていくしかないのである。





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最終更新日  2025.12.02 07:46:38


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