のんびり生きる。

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長田弘


そうしたところでしか根付くことがなかった


誰の目の前にもある真実を


読みうるかぎりのじぶんの経験


むかしの話をしたいのではありません


ぬきさしならない決定的なイメージ


どれだけ少ない言葉でやってゆけるかで


からみあった枝の向こうの月を


あの絵は、人の表情の歪んだ部分を


ただし欠点があった。


猫にはユーモアのセンスがない


いたたまれなく神経をかき乱す声音なのだ


ドアを閉め切ったままにしておけば


大石圭


あなたの隣に埋めてあげますからね


人間は人間の法律に守られているのだから


そんなに嘆かなくていい・・・


「聖域」


記憶の底に生きているものは


生活を支えるものが、結果的に精神を支え


いつも、そう自分に言い聞かせてきた


読んだやつが死にたくなるような作品で


「火車」宮部みゆき


口ではね


あたし、ただ幸せになりたかっただけなのに


昔は話が簡単だったのよ


買い替えのきくものに、人は根をおろさない


立派に蛇なんだから


情報破産


ぶっこわしておいてから理由をでっちあげる


今でも忘れられません


君は学がない。その割に頭がいい。そのくせ


人の言葉はもう額面どおりには受け取れない


問題はそこにつきる


「斧」D.E.ウエストレイク


今よりも単純で清潔だったと思いたい


それが最初の質問だった


いつもいつもいつも


中流階級の生活は権利ではなく勝利品であり


何かがおかしくなった


ローレンス・ブロック


「だったらわたしは安全ね」


来るべきが時が来たら


そのどれもが


物はばらばらに落ち中心はそれを


佐々木譲


これ以上負け組みの側にはまわらない


つっぱねることはできなかった


きみはいつかはぼくから離れていくんだろう


ディック・フランシス


それに、君は助けてくれない、と思った


かりに今後彼女のために泣く事があっても


デイヴィッド・ハンドラー


だからこっちが好きにさせなきゃ


もう本当に長いこと


デニス・レヘイン


いつもすべてが堂々巡りで


それがなんなのか


生きていられるチャンス


目が覚めるほんの少し前


一度刻みつけられた醜さは


感情は決して去ることがなく


自分が観客になれる時だけなんだ


やつらが変わることは決してないんだから


そのよこしまな知識を武器に彼らは常に勝つ


今更?今更、そんなことをいうんですか


「海辺の骨」


「短期間で、圧倒的だ」と。


いつ死んでもおかしくないから


ちゃんと床に足を下ろして。


いいや、まだだ、これからだめになる


あるものは、なにがなんでも崩れていく


必死の思いで必要としていたことを


アン・ペリー


わざとやろうとは思わない。だからといって


そして心の力のありったけ。


「シルトの岸辺」


釣合いの実体は、


それは考えました。でも、はっきり言って、


ゆっくり急ぐのが安全だということを


なぜ時代が変わったかと言われれば


僕にはぜんぜんつかめない。しかし、


ささやかだけれど、役に立つこと


誰にそんな暇があるかしら?


それは原則の問題だと


僕の人生は


もう何も聞いていない。


これでもうおしまい、いなくなるんだと


そして未来に希望を抱くことができた


僕は約束する。


男の事情 女の事情


でもこの燃える感じが好き」そして


その思いが高まる前に、


いいえ。それができるのなら、


「じゃあ、いいけど、なんでなの?」


上にゆっくりと


「ねえ、そうだろ」と僕は繰り返した。


ただ無邪気に幸せに


その事実はあいまいに、


青首亭


もうそんな細い線でしか


風をにがしたにもかかわらず、


水面がどんどん上に上がっているのが


骨の埋まっている場所を勘違いしていた


永遠のとなり


ああいう人は


彼が死なねばならなかったのは、


私にはわかるもの


俺はまだまだ元気じゃないか


そうでなければ


とにかく最後まで描く


わしはもう安心なんかできんでも構わん


腹ん中に溜めとる怒りの量が


『土星の環』


機械であればわれわれは


この死者の半開きになった口の翳や、


あれは爾来、私の人生に入った亀裂の


時代おくれのがらくたが


どうしてこんな絶望的なことに


「山歩きの愉しみ」


寂しい谷を霧に濡れて歩いたことが


思うように彩られなかった過去と


アマンダ・クロス


「悪い時期を通り抜けてるの」


繰り返し耳をかたむける。


この正直さ。この冷静さ。むっとしたりせず


かけがえのない老いの時は一度きり、と


たぶんそのとおり。でも、彼も、あなたも、


年をとるのは楽しいことだということを


ものごとがいいほうに変わってほしいと


2009.10.09
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カテゴリ: 既読書
出だしが面白そうで借りた。作家と記者たちのインタビューが、言葉が辛らつであったり、くどかったり、意地悪だったりして、時に嫌いになったり、飽きたり、楽しんだりした。ストーリー自体は逆に好きではないのだけれど、(特に純情そうな人にはオススメしないけど)、本の中の「ダイビング式読書」という考えに、あぁそうかもしれない、と本当に納得したので、印象に残る本となった。



 世の中には読まずに読むというほど凝った連中が大勢いるからな。ダイバーみたいにウェットスーツに一滴も水を通さずに、本を通過していくんだ」
・・・
「そういうのをダイビング式読者というんだ。・・・わたしの読み方は食べ物をとるのと変わりなく、そのことはつまり自分にはそれがなくてはならないというだけでなく、それが体内の組織にまで入り込んで、それらを変質させるということも意味しているんでね。食べたものがブーダンかキャビアかで、人は変わる。それと同じで、今読み終わった本がカントか(できれば避けたいところだが)、クノーかで、人は変わる。<人>と言ったが、正しくは<わたしとほかの何人か>と言うべきだろう。なぜならたいていの人は読んだのがプルーストであれ、シムノンであれ、自己のひとひらも失わずに、ひとひらも新たに付け加えずに、以前といっこうに変わらない状態で浮上してくるからだ。本は読んでも、それだけのことで、いちばんましな場合でもせいぜい<これこれについての話>だとわかるくらいの程度なのだ。誇張していると思わんでくれ。何度、頭のいい人たちに向かって、<この本を読んで、きみは変わったかね>とたずねたことか。すると相手は<なんで変わらなくちゃいけないんですか>とでも言いたげに、目を丸くしてこちらを見返すんだからな」
・・・
「あまり賢いとは言えんね、きみも。じゃあ個人を変えられるのは<主義主張をふりかざず>本だと思っているのか。人を変える力にいちばん乏しいのが、その種の本だというのに。そうじゃないんだ、人に感銘を与え、人を変身させるのは、それとは別の本、欲望や快楽を描いた本、天才的で、まずなによりも美しい本だよ。・・・彼らは一読して、<なるほど、さすがセリーヌだな、たいしたもんだ>とひとこと感想を述べたきり、日常生活に戻っていく。・・・レオ・マレのような地味な作家でも、その本を読んだら、人は以前の自分と同じではいられない。・・・そう、そこが肝心なのだ!視線を変化させる、それが傑作というものなんだよ」

「・・・名前は忘れたが、ある知識人による秀逸な引用がある。いわく<結局、人々は本を読まない。もしくは読んでも理解しない。もしくは理解しても忘れてしまう>とな。状況を見事に要約している言葉じゃないか、きみはそう思わんか」
 (本文P66より)





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Last updated  2009.10.17 11:40:03
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