ミステリの部屋

< 新しい記事

新着記事一覧(全1108件)

過去の記事 >

2005年11月16日

光と影の誘惑：貫井徳郎

(4)

テーマ：ミステリはお好き？(1644)

カテゴリ：日本ミステリ

ここのところ掃除と片付けでくたくたです。

丁寧なはたきがけから、風呂のカビとりから、庭の花の植え替えまでやりました。
日ごろ手抜きなのに、そんなに良く思われたいのでしょうか。それが、思われたいんですね。
見栄は私にとって、頑張るための立派な動機になるのです。
あとは料理のメニューを考えなくてはいけません。頭が痛いです。

さて、「光と影の誘惑」は福岡に行った時に読んだので、記憶が薄れないうちに書いておきます。
せっかく面白かったんですから。

大分前に「慟哭」を読んで感動したのですが、そのとき、これを書いた人はきっと年配の人だと思い込んでいました。

創元推理掲載の中編二本に、書き下ろし二本を加えた中編集。
・長く孤独な誘拐
・二十四羽の目撃者
・光と影の誘惑
・我が母の教えたまいし歌

・長く孤独な誘拐
不動産会社で働く森脇の元に息子を誘拐したという電話が掛かってくる。驚いたことに、誘拐犯は、なんの面識もない羽村公彦という人物の子供、羽村裕貴也を誘拐しろという。犯人に言われるがままに誘拐に手を染めてしまう森脇。果たして誘拐犯の本当の目的は？
この子供を誘拐しておいて第三者に誘拐をさせるというのはどこかで聞いたような気がしたが、どうもテレビドラマ化されたらしいです。
重いけれど胸に響くラストです。

・二十四羽の目撃者
舞台はサンフランシスコの動物園、探偵役は保険調査員のオレ。事件は異様な様相を示していた。ペンギンと熊の檻に挟まれた事件現場で保険をかけたばかりの男が射殺されたが、第一発見者たちの証言を元にすると密室という状況だったのだ。調査にあたりサンフランシスコ警察の知り合いのロナルドに状況を聞きに行くが、オレの推理は見事に全否定されてしまう。
この作品だけはとっても軽いノリで、他3編と比べると異色です。軽いといえば、以前読んだ「被害者は誰？」が私にはピンとこなかったのですが、今回は西海岸のカラッとした雰囲気がユーモアにあっていてなかなか良かったです。

・光と影の誘惑
競馬場で知り合った銀行員の西村と小林は現金輸送車襲撃を計画する。ギャンブル狂いで生活が苦しい西村が、自分の勤める銀行で手引きをする。二人の立てた計画は実行され、見事襲撃に成功しカネを手に入れた。そこまでは順調だったのだが……

・我が母の教えたまいし歌
父親が亡くなり、葬儀のために帰省した皓一は、父親の元同僚から自分に初音という姉が居た事を知らされる。そのことを母親に問いただすが、曖昧な答えしか返ってこない。東京に戻った皓一は様々なつてをたどり、自分の出生の秘密を探ることになる。
最後の一行で驚くところでしょうが、解説を読もうとして、つい目立っていたその一行が目に入って読んでしまったため、面白さは半減してしまいました。（泣）
皆様もお気をつけください。

これまで2作しか読んでいない私が言うのはおこがましいのですが、この作品は貫井さんの入門編としてふさわしいように思います。
読み応えのあるしっかりとした本格物で、しかもバラエティに富んでいるからです。

貫井さんのファンになりそうです。