ミステリの部屋

ミステリの部屋

2005年11月29日
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カテゴリ: 日本ミステリ
かつて子どもだったあなたと少年少女のための……ミステリーランド

どうみても子供向きではないものを続けて読みましたが、今回は子供が読んでも大丈夫です。ちょっとほっとします。

「四人ゲーム」とは
まっくらな部屋の四隅に四人の人間が立ち、一人が壁に沿って隣の隅まで歩いて行き、そこにいる人の肩をたたきます。たたかれた人が歩いて次の人の肩をたたく、というように順番に回ります。
実はこれは成立しません。
4人目が肩をたたこうにも、1番目の角に人はいないからです。最初に動いて次の角に行っていますから。

四人が雪山で吹雪にあい、山小屋に閉じこめられたおり、眠りこまないようにするため、この方法を取って生き延びる。ところがあとで気づく。もう一人いたはずだ。それは誰だったのか?というのを映画「世にも奇妙な物語」で見ましたが、かなり怖かったのを覚えています。

ところがこの話では怖くはありません。
古い豪壮な屋敷に、後継者選びのため親族一同が呼び集められ、大人の話に入れない子供達は蔵座敷で「四人ゲーム」をためしてみることにします。

どうも座敷童子の仕業らしいのです。

同じ頃、大人たちの夕食のお浸しに毒ゼリが混入していたため、何人かが中毒するという事件が発生します。毒ゼリは間違えるようなものではないし、お浸しを作ったという人も名乗り出ません。

この事件、相続問題がからんでいるのか、それとも伝え聞いた行者の祟りなのか。

子供たちは大人を守ろうと、秘密の場所に集まり、団結して立ち向かうべく作戦をねります。誰かはわからない5人目のメンバーも一緒に。


お盆やお正月に親戚が集まって大人たちは忙しく立ち働き、子供達は一緒に遊んですごしたこと、そんな記憶がよみがえり、とても懐かしくなりました。

丁度いいところに地図がはさまれ、人物相関図やアリバイ表まであって楽しめます。
ミステリとしてもしっかり成立しています。
座敷童子も、無理なく真相を解明するためのキーとなっており、見事でした。

推理に頭をひねるのもいいけれど、懐かしい雰囲気に浸るのもなかなか楽しい、そんな作品でした。


くらのかみ  くらのかみ : 小野不由美










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最終更新日  2005年11月30日 21時57分17秒
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