ミステリの部屋

ミステリの部屋

2006年03月19日
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洒落のきいた軽口に負け惜しみ、アル中ならぬバジル中毒の私立探偵。
ハードボイルドの定番ですが、その正体は前代未聞なことに、人の扮装をした恐竜です。

6500万年前に死滅したはずの恐竜は、巨大隕石の影響を受けて数を減らしながらも、人間社会に紛れ込んで生き続けていたのです。
何とおかしな設定でしょう。


世界中で熱狂の渦を巻き起こした恐竜ハードボイルド。


いくら精巧でも、人型の皮の中に恐竜の身体をどうやって押し込むことができるのだろう、とか、立派なしっぽをどこにしまうのかとか、初めのうちは疑問が浮かんできたりもしましたが、読み進むうちにそんなことはどうでもよくなりました。
いつしかこのSFっぽい不思議な世界に、すっかりはまり込んでしまいました。

イグアノドン、トリケラトプス、ステゴザウルスなど数種類の恐竜が登場するのですが、主人公はヴェロキラプトル。
そうです、ジュラシックパークで頭の良さと獰猛さを披露したあの恐ろしい恐竜です。

恐竜たちは助け合い、人に存在を悟られないよう手を尽くしています。


怖い顔の恐竜が人間たちに本当の姿を見られないように苦労する姿は滑稽でもあります。
仕事中はトレンチコートと帽子にこだわるなど、ハードボイルドを気どるパロディとしての面白さもあります。

これらが混じり合い、ペーソス漂う独特のおかしさが感じられる作品でした。

ルビオは時には危険な目にあい、時には命をかけて闘い、そして恋もしますが、友人の命を奪った事件のことは決して忘れません。

きちんと伏線の張られた謎は、人々の中で恐竜が暮らしている、という設定ならではの解決を見せます。

最後はちょっとほっとするような洒落た終わり方で、次の作品も期待できそうです。

現在3作目まで刊行されています。

さらば、愛しき鉤爪 :エリック・ガルシア  表紙の写真がなくて残念!



2作目は 鉤爪プレイバック
3作目は 鉤爪の収穫

題名もハードボイルドのパロディですね。










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最終更新日  2006年03月20日 00時24分30秒
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