ミステリの部屋

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2006年08月25日
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森さんの《S&Mシリーズ》は読んでいる途中ですが、ここらでちょっと気まぐれに、ノンシリーズに手を出してみました。

そしてこの「そして二人だけになった」は、8月11日の日記に織り込んだタイトルの答えでもあります。



「バルブ」は、実は最新の技術を注ぎ込んだ核シェルターとして作られており、科学者、医師、建築家など6名が集まって、テスト運用することになった。
プログラムの異常か、海水に囲まれて完全な密室と化した「バルブ」内で、次々と殺人が起こる。
残された盲目の天才科学者と彼のアシスタントの運命は…。



主役であるはずの、盲目の天才科学者・勅使河原潤とそのアシスタントの森島有佳ですが、実際はある事情で勅使河原潤の身代わりとして参加した弟と、森島有佳の身代わりとして参加した双子の妹が、交互に語り手となって話は進んでいきます。

アガサ・クリスティの『そして誰もいなくなった』に似たタイトルですが、同じように閉鎖された空間の中で連続して殺人が起こるため、犯人は誰なのかという疑心暗鬼と、次に犠牲になるのは自分ではないかという恐怖が渦巻いていきます。

代理で参加した二人とも、相手を本物だと思っているので、ばれないように慎重に行動しており、こういう状況になっても、自分が偽者だとは言い出せないままです。

一人また一人と被害者は増え、容疑者は減っていく……
これはどう考えても、誰も犯人でありえないのです。

ところが、ところが、驚かされます。離れ業です。
きっちりとすっきりと解決されるではないですか!



ところが、ところが……。
え~?

私はここで、右往左往する読者を尻目にほくそ笑む森さんの顔が浮かびました。

この結末には賛否両論あるようですが、私は初めて森さんらしさがわかったような気がしました。
親しみが沸いた、と言ってもいいくらいです。

ただし、あそこで○○っていたらすっきりできたのにな~、という思いはあります。
だって、未だに色々思い返しては、考え、迷い続けているんですから。



そして二人だけになった そして二人だけになった :森博嗣










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最終更新日  2007年09月24日 00時19分21秒
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