ミステリの部屋

ミステリの部屋

2007年04月02日
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以前成風堂にいて、今は故里に帰り、地元の老舗書店に勤める元同僚の美保から、杏子のもとに一通の手紙が届いた。

杏子は気が進まぬながら、多絵を伴って信州の高原へと赴く。
そこで待ちかまえていたのは、四半世紀ほど前に弟子の手で殺されたという老大作家の死に纏
わる謎であった…!

(「BOOK」データベースより)

春まっさかりですが、夏のさわやかな高原、信州が舞台のミステリを読みました。

『配達赤ずきん』( 感想 )に次ぐ、成風堂書店事件メモの第二弾。前作は短編集でしたが、今回は長編です。

しっかり者の書店員・杏子と勘の良いアルバイト店員・多絵が、元同僚の依頼で彼女が勤める老舗書店に出るという幽霊の謎を解決するために出かけていきます。

この地域に密着した老舗書店「まるう堂」が実にいい雰囲気で、こんな心配りのある書店があれば行ってみたいものです。
小さな書店は、大型書店やチェーン店と比べると不利な点が多いこともわかりました。私もつい、大きなところに行ってしまいますが、近所の商店街にある書店も応援しようと思います。

さて、その幽霊ですが、どうも27年前に起きた作家殺人事件に関わりがありそうだとわかってきます。
作家を目指す者の心のうちや、作家と弟子の関係について描かれた部分も印象に残りました。



その事件というのが、全体のほのぼのした雰囲気に比べると、血なまぐさくどろどろしていていてトーンが違う気がしましたが、以前作者がインタビューに答えて「横溝正史みたいな小説を書くのが夢」と言っておられたことを思い出して納得できました。

書店員の思いや情熱も描かれていて、書店への思い入れは感じられますが、やはり書店でおこる事件や本にまつわる謎を解決するところが見たい、という気持ちもあります。

4月に刊行予定の第三弾『サイン会はいかが?』では、成風堂を舞台にした短編集に戻っているようなので、その点でも楽しみであります。


 晩夏に捧ぐ : 大崎梢 







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最終更新日  2007年04月03日 10時33分09秒
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