ミステリの部屋

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2007年04月04日
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ダイヤモンド・ディーラー一家失踪事件を担当するデッカーは二つの謎を追うことになる。
捜査を進める彼が行き着いた先はイスラエル。
リナとともに飛んだ聖地で彼を待ち受けるものは?シリーズ第七弾。



この作品はフェイ・ケラーマンによる、ピーター・デッカー刑事とリナのシリーズ第七弾です。
デビュー作である『水の戒律』で初めて出会った二人は、刑事と犯罪事件の関係者という立場でした。
捜査が行われる過程で何度か顔を合わせるうちに次第に惹かれあうにもかかわらず、二人の仲はなかなか進展しませんでした。
と言うよりも、リナが進展させないように自分を抑えているように見えました。

二人とも結婚歴があって子供もいますが、障害があるとしてもそれだけではありません。
リナは敬虔なユダヤ教徒だったのです。

このシリーズではユダヤ教徒の生活も重要な背景となっているところが特徴です。
ユダヤ教徒はコミュニティを形成していて、特有の習慣を持ち、戒律に基づいて生活しています。


今回は弟一家が行方不明だという届けが姉から出され、同じ時期リナの旧友ハニーと子供達が失踪するという事件が起こります。
行方不明になった弟も、ハニーの夫も、ユダヤ人のダイヤモンド・ディーラーでした。

二つの事件を追うためにピーターとリナがイスラエルに飛ぶことになります。
ダイヤモンド業界とイスラエル社会のことがしっかり描かれており、これでページ数が多くなったのかとも思いますが、決して難しくはありません。

イスラエルで大活躍する二人の結びつきの強さはうらやましいくらいですが、いつもコンビを組む女刑事のマージも同僚としては最高の相性のようですから、ピーターは恵まれていますね。

これは人間を深く細やかに描きながら、もちろんミステリとしても面白く、読みごたえがあるシリーズと言えます。
この作品でも一見落着したのちにある人物の思いがあきらかになり、ぐっときてしまうのです。

フェイ・ケラーマンのご主人ジョナサン・ケラ-マンの「臨床心理医アレックス・シリーズ」も友人に勧められて読みましたが面白かったです。その登場人物がこの作品にもちょこっと顔を出すというサービスもあるようです。

本作品がアメリカで発売されたのは1994年、そしてシリーズは既に15作が発表されています。
早いうちに翻訳されることを切に願います。

興味がある方は第一作の『 水の戒律


 逃れの町 : フェイ・ケラーマン 








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最終更新日  2007年04月04日 18時41分15秒
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