ミステリの部屋

ミステリの部屋

2007年07月06日
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恩田さんは『 六番目の小夜子 』、『 球形の季節 』と続いた高校三部作の完結編といわれるこの作品で、第2回本屋大賞、吉川英治文学新人賞を受賞しました。
そして映画化もされ話題になった作品です。

リンクしていただいている方たちのブログでも評判が良く、読みたいと思っていました。

図書室の海 』にはこの作品の予告編ともいうべき「ピクニックの準備」という短編がありますが、微妙に違うので、あくまで別の短編として読んでいただければ、と恩田さんは仰っています。ネタバレがあるので後で読んだ方がいいかもしれないとのこと。


それは全校生徒が夜を徹して80キロ歩き通すという、北高の伝統行事だった。
甲田貴子は密かな誓いを胸に抱いて歩行祭にのぞんだ。
三年間、誰にも言えなかった秘密を清算するために―。
学校生活の思い出や卒業後の夢などを語らいつつ、親友たちと歩きながらも、貴子だけは、小さな賭けに胸を焦がしていた。
本屋大賞を受賞した永遠の青春小説。
(「BOOK」データベースより)

歩行祭とともに始まり、歩行祭とともに終わる物語でした。


休憩や仮眠はあるものの、丸一日ただひたすら歩くだけの行事。
つらくないわけがありません。

でも、読み進めるうちに、いつの間にか一緒に歩いているような気持ちになります。

そして読み終えたあとには、自分の学校にもこんな行事があったら良かったのに、と感じていました。

甲田貴子は小さな賭けをすることを心に誓って歩行祭に参加しています。
それでも、自分がはその賭けに勝ちたいのか、負けたいのか、まだ自分でもよく分からないまま歩き続けます。

いつもは一緒にいない夜の空気の中で友人と並んで歩いていること、普段見ることの無い景色を一緒に見ること。
それだけでも特別なことだというのが感じられるし、よくわかります。

彼らが歩きながら語る事はほとんどがたわいのない事だけれど、きっと一生忘れないのでしょう。

大事件が起こるわけではないし、ミステリでもないけれど、素直にいい話でした。

恩田さんにも、主人公達のように寝転んで満天の星を友人と眺めた思い出があるそうです。


今では毎日が充実していようがいまいが、時間はあっという間にすぎていきます。
この作品は「今を生きる」ことを大切に思う、忘れられない一瞬が自分にもあったことを思い出させてくれました。

これはおすすめです。


夜のピクニック:恩田陸









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最終更新日  2007年07月07日 23時21分39秒
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