ミステリの部屋

ミステリの部屋

2007年10月12日
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息子の住むタイで晩年を過ごすことになった老アメリカ人の孤独が胸に迫る「こんなところで死にたくない」。
失明間近の母と美しい海辺のリゾートへ旅行にでかけた青年の苦悩を描いた表題作「観光」他、人生の哀しい断片を瑞々しい感性で彩った全7篇を収録。
英米の有力紙がこぞって絶賛し、タイ系アメリカ人の著者を一躍文学界のホープに押し上げた話題のベストセラー
(出版社より)



表紙はまるでガイドブックのようですが、若きタイ系アメリカ人による、タイを舞台に描かれた小説です。

むしむしするタイの空気が感じられる中で、その視点はどこか醒めているかのよう。
けれども、淡々としているように見えて、人間というものの哀しさと気高さがひしひしと伝わってきます。

上にあるあらすじのほかには、タイ人の母とアメリカ人の男との間に生まれた混血の若者が、観光旅行でやってきたアメリカ人の女の子ばかりを好きになってしまう「ガイジン」。
徴兵に行かなければならないかどうかが決まる抽選会に、親友とともに参加する少年の苦い思いが切ない「徴兵の日」。
カンボジア難民の小さな女の子との出会いと別れを描いた「プリシラ」があり、すべてが心に残る作品です。

以前新聞で、「とてもいい作品なのに作者の名前が覚えられない。」というような内容のコラムを見て以来、気になっていましたが、作者の名前はやっぱり覚えられませんでした。

貧しさややりきれなさが描かれている作品にも、どこかキラリとした明るさがあります。
これはオススメです。




 観光 : ラッタウット・ラープチャルーンサップ /古屋美登里







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最終更新日  2007年10月14日 00時15分30秒
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