ミステリの部屋

ミステリの部屋

2008年05月09日
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できすぎたシチュエーションかもしれないけれど、すべてはそこから始まった。
彼女が自力で自分の人生を立て直すことができたなら、十年後、あるものを渡そう―そして十年が過ぎ、約束の日がやってきた。
しかし彼女は姿を見せず、代わりに彼女の夫と名乗る人物が現われる。
彼女は三年前から行方がわからなくなっていた。
居場所を捜し出そうと考えたとき、協力者として僕の脳裏にひとりの同級生が思い浮かぶ。かつて僕に、マッチブックの格好良い火の点け方を教えてくれた男が―
約束を果たすため、ニューヨークの「暗闇」から帰ってきた青年が巡り合う少年少女たち、そして最高の「相棒」。
期待の俊英が放つ、約束と再会の物語。
(「BOOK」データベースより)


10年前の約束を果たすために ニューヨークから帰ってきた青年の話と、幽霊騒動の起きる大きな屋敷で暮らす少年の話が並行して語られます。
二つの話は全く別のようですが、どこか繋がっているようで いないようで……。

彼らの体験することは、ゲームの中の出来事のようで現実感がなく、あっさりとした印象です。とても読みやすいので、スラスラ読んでしまったせいかも知れませんが……。

ところが最後に明かされる事実。
これには驚きました。
ただし、ミステリ読みとしては、多少引っ掛かりを感じてしまいました。
友人はある映画(洋画)を思い出したと、少し怒ったように言っていました。

ミステリ・フロンティアだということを差し引いても(ミステリ・フロンティアの作品にはミステリ色が薄いものが多いので。)ミステリを意識しないで読んだ方がいいかもしれません。
青春小説、または青春ファンタジーということもできます。


ラストに感じる切なさと、優しさは心にとどまり、さらにほんのりと温かいものが流れ込んできました。

「Can't You Hear My Heartbeat?」
冒頭に書かれたこの言葉は、タイトルの意味がわかって切なさが倍増でした。

ネタばれなしで書いたので、わかりにくくなってしまいましたね。



Heartbeat:小路幸也


完全な続編かどうかはわかりませんが、「Heartblue」という作品もあるようです。








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最終更新日  2008年05月09日 23時34分51秒
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