投資逍遥

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2008/09/27
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カテゴリ: REIT
FX取引を行う際に必ずついてくる「スワップポイント」。その定義を述べるとすると「当該通貨ペアの2通貨間の金利差を、為替レートのポイントに引きなおした数値」といえます。これは双方の通貨の期間に応じた金利差から計算されます。

 FXにおいては、一度約定した取引はその日のうちに決済しない限り、毎日ロールオーバーを繰り返してゆきます。その際に発生するスワップポイントの数値は、インターバンク市場における超短期(1日~2日間)の金利から算出されるもので、いわゆる政策金利や、3カ月、あるいは1年物の金利から導き出されるものではありません(もちろん政策金利が市場金利を支配はしていますが) 。従って、スワップポイントとは本来、ほぼ毎日の短期金利市場の動向によって上下動を繰り返してゆくものなのです。

 またFXは相対取引であるため、FX取引業者によってスワップポイントの違いがあるのは当然で、そこには各社の市場における競争力(≒カバー先の競争力)、会社の方針などが反映されるため、同じ通貨ペアであっても会社によって様々なポイントが提示され、加算されるのが普通です(複数のFX業者で取引されている読者の方なら、経験あることでしょう)。

 実際のインターバンク市場においては、短期金利市場とは別に銀行間で様々な期間
(1日から1週間、1カ月、3カ月、1年まで)のスワップだけを取引する市場が別にあり、
そこでは日々、巨大な金額の取引がなされています。そして、その市場での動向がFX取引のスワップポイントに反映されてゆきます。

 為替取引市場と同様に、スワップ市場、金利市場においても流動性が最も大切な要因で、ドル、円、ユーロなどは潤沢な流動性が確保されているので、スワップポイントも継続的に狭いスプレッドで提供されています。一方、いわゆるOECD諸国ではない通貨になると、レートもワイドになるのは致し方の無いことと言わざるを得ません。


 さて、9月末に多くのFX投資家が取引している通貨ペアであるドル/円、英ポンド/円、豪ドル/円などのスワップポイントが急落した場面が見られました。それまで、ドル/円で1万ドル当たり1日130円以上ついていたのが、9月28日に120円台に、また英ポンド円でも1万ポンド当たり1日310円以上ついていたのが、同じく9月28日に280円台に縮小し、円を売り持ちし、金利の高い通貨を買い持ちにして、日々スワップを受け取っていた投資家をヒヤッとさせた場面がみられました。これは、まさしく「短期金利の変動」によるスワップポイントの急変だったのです。

 9月末は日本では四半期末に当たり、多くの金融機関が円資金の調達に動くため、超短期(この場合は9月28日~10月1日の3日間)の円金利が通常よりも0.25%あまり高く推移しました。その半面、ドルや英ポンドなどの外貨の調達金利はさほど上昇しなかったため、結果的にこの3日間のスワップポイントが縮小したのでした。



 金利が動けばスワップポイントが変動するというのは分かりやすと思いますが、もう一点スワップポイントの変動の大きな要因に為替相場自体の変動があります。

 多くのFX投資家が取引をしているNZD(ニュージーランドドル)の、ここ数カ月のスワップポイントの変動は金利の動きとは一切関係がありませんでした。

 皆さんもご存知のように、NZD/円は買いのスワップポイントが高いため人気がある通貨ペアです。今年の7月26日に政策金利がそれまでの8.0%から0.25%引き上げられ8.25%になりましたが、皮肉なことに7月24日に高値97円75銭を付けて以後下落を続け、8月17日の急落の際には74円20銭の安値を付けることとなりました。

 この間の下落幅は23円55銭。下落率にして約24%ものダウンです。このように為替レートの変動が大きい通貨ペアですと、たとえ金利差が変わらなくてもスワップポイントも同様に下落を続けます。事実NZD/円のスワップポイントは7月後半には1万NZD当たり1日197円台であったものが8月の半ばには160円台に、9月の末には150円ほどにまで縮小しています。この間NZDの金利水準はほとんど変わっていません。にもかかわらず、スワップポイントは減少を続けています。始めにも述べたようにスワップポイントとは金利差を為替レートに引きなおしたものですから、レート変動の割合が高い通貨ペアになるほど、スワップポイントに影響する割合が高くなってゆきます。その意味で、英ポンド/円よりも豪ドル/円やNZD/円などの通貨ペアのほうが、スワップポイントに対する影響力は大きくなります。

 極端なことを言えば、たとえ外貨の金利が上昇して円との金利差が広がっても、為替レートが円高方向に進めば、スワップポイントが縮小する可能性もあるわけです。金利が上がればその通貨が必ず上昇するとは限りません。金利上昇の打ち止め感が出てくれば、たとえ金利が上がったとしても、その通貨が売られる場面は往々にして見られるものです。

 スワップ狙いでFX取引をする投資家が長期的に買いポジションを保持する場合、金利の変動について注意を払う以上に、相場自体の動向にも注意を払ってゆく必要があります。

 分かっているようで分かっていないスワップポイントの性質について、最近の市場の動きから垣間見えた動向を2点ほどご紹介いたしました。(日経マネー誌のウエブサイトより)


【上記の感想】

およそ1年前の記事である。
最近の豪ドル/円のスワップポイントがマイナスになったりと、良くわからぬ動きがあったため、勉強しておいた。
簡単に考えすぎていたようだ。





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Last updated  2008/09/27 11:38:37 AM
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