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Rakugan is Kitten

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2008.09.17

２００４年１２月　文藝春秋より

カスミは、故郷・北海道を捨てた。が、皮肉にも、北海道で幼い娘が謎の失踪を遂げる。
罪悪感に苦しむカスミ。実は、夫の友人・石山に招かれた別荘で、カスミと石山は家族の
目を盗み、逢い引きを重ねていたのだ。カスミは１人、娘を探し続ける。４年後、元刑事の
内海が再捜査を申し出るまでは。話題の直木賞作ついに文庫化。
上巻・裏表紙の内容紹介より

野心家で強引な内海も、苦しみの渦中にあった。ガンで余命半年と宣告されたのだ。
内海とカスミは事件の関係者を訪ね歩く。残された時間のない内海は、真相とも妄想とも
つかぬ夢を見始める。そして２人は、カスミの故郷に辿り着いた。真実という名のゴールを
追い続ける人間の強さと輝きを描ききった最高傑作。解説・福田和也。
下巻・裏表紙の内容紹介より

全体的に暗い感じの小説です。

主人公・カスミは生まれ育った北海道の故郷が嫌で、高校卒業と共に家出して、東京で
暮らしています。
結婚して子供が２人。
しかし、楽ではないその暮らしに故郷の閉塞感と同じものを見て、裕福な暮らしをしている
石山との不倫に救いを見出そうとしている。

石山とカスミの夫は仕事上の付き合いが長く、２家族そろってその別荘を訪れる。
そこでカスミの長女・有香が突然謎の失踪。
幼い子供が１人でいなくなるはずがない場所で、犯罪が疑われるが、犯人も娘も見つからない。
そして、カスミは全てに優先して、いなくなった娘を捜し続ける、という話。

何というか、簡単には割り切れない人間の心理を描いた、長い人間ドラマといった感じかな。
楽しいテーマでもないですし、正解のない問いを探しているようでもあります。

家出したカスミが、最終的には故郷へ戻るんですが、その時に故郷の両親に対する負い目を
感じているんです。
自分がいきなり娘を失ったように、自分の家出は両親にとって突然娘を奪われたのと同じでは
ないか、と思うようになったから。
しかし母は、家出した娘に自分の人生を奪われてたまるかと、むしろ以前より明るくたくましく

そんな感じで、登場してくる全ての人々が、カスミの思いもしない形でそれぞれに生きている。
それらに共感できたり、できなかったりですが、たぶんこの登場人物達にはそれぞれの人生が
あって、他人の共感なんか関係ないんだろうな、と思わせる本でした。

自分では絶対選ばないタイプの本だな。
他人からのオススメって、そういう面白さがありますよね。

で、あまり本編には関係ないですが、表紙の挿絵が木の実にアリがたかっている絵で
怖かったです。
アリ、嫌いなんだもん。(T▽T)
表紙に触りたくない～～～～、という感じでした。