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2020年01月06日

太極拳論（たいきょくけんろん）というものがあります。
400字くらいの短い白文なので、これだけで本になる量ではありませんが、どこかで見聞きしたことがあるでしょうか。
実在したかどうか怪しい王宗岳（おうそうがく）という人が書いたといわれ、太極拳経（きょう）とも呼ばれます←「おおそうか」←言うと思った。

太極拳愛好者として一応、目を通しておきたいものです。
ただ、なぜか日本文としての意味が通じない訳ばかりです。
そこで手持ちのものをいくつか組み合わせ、意味が通るようにしました。
解釈的訳文です。

（1段落→）

■陰と陽を生み出すものである［陰陽之母也］
■動けば「分」の状態になり、静まれば「合」の状態になる［動之則分、静之則合］
■人に対するときには意識と動作を掌握して、
■人が屈すれば我はそれについて伸びていき、
■人が伸びてくれば我は屈してそれにしたがい、
■過ぎることも不足することもないようにする
■すなわち人に抵抗を感じさせないようにすると同時に人から離れないようにする
■人が剛ゆえに我が柔の態勢を取ることを「走」といい［人剛我柔謂之「走」］、
■我が自由自在で人が受動的態勢であるとき
■我は「粘」の態勢にあるという［我順人背謂之「粘」］
■人の動きが急であればそれに応じ、

■動作が千変万化（せんぺんばんか）しても、
■ただただこの道理で一貫している
■一つ一つの動作を熟知・熟練することで勁の本質を知るようになり、
■勁の悟りを経て自由に活用できるようになり、神技・神妙の境地に達する
■これは力を用いることのない久しい努力の成果で、突然に達するものではない

［］の中は原文の一部です。
この太極拳論が太極拳の名前の由来といわれ、この基礎理論は老子の思想にあるそうです。
何か深そうだということは伝わってきます。

そういえば「多くの人が太極拳の「拳」に影響されて脇道にそれている」と何かで読みました。
「争わないことの弁証法的な道理を知らないから太極拳の奥深い内容を理解できない人が多い」とも。
太極拳の出発点・スタンスは

「人と争うことがないから、天下に彼と争うことができるものはいない」

というわけです。

だから、「無敵の武術」と呼ばれるのかなあと思うわけです。
争わないことの道理を太極拳の土台にしているという考えは面白いです。

たしかに、相手が何もしなければ何もしないし、力で対抗しないということからもそれを感じます。
この土台は忘れないでおきたいことです。