2006/12/22
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カテゴリ: ブラジル産
今日は、冬至。一陽来復。
陰が極まって再び陽が帰ってくる日であり、
この日を境にして太陽が力を取り戻し、
運気が高まってくる日。
そして当ブログ30万hit突破のめでたい日。

そんな日が重なったのは、なんとも偶然な幸運です。
一年前は、ガネーシュ・ヒマールの真っ黒水晶で大興奮していましたが、
一年後の冬至に登場いたしますは、対照的に真っ白な石。



2006年池袋ショーの戦利品、いや、あれば買おうと思っていた「捕獲品」。

はじめて見たのは、6月の新宿ショー。
どうしようかと悩みつつ、最終日にインド産の「▽付蝕像水晶」などを買ってしまって、
つい機会を逃してしまった石でした。

その後も何となく気になり続けていたので、
「あったら買おう」と、同じお店にいってみたところめでたくゲット。
ラベルと一緒にいただいた説明によると、
「普通の水晶として生成後、自然界で強いアルカリ性あるいは酸性にさらされ、
コロイド(ゼラチン)状に溶かされたのち硬化したもの」
……だそうです。
ラベルに書かれていた「turbid」は「濁った」というような意味なので、
この溶かされた云々ではなく、白く不透明な色合いを表す名前であるようです。


溶けたと言えばそんなような。
しかしながら「そうか、溶けてこうなったのか、ふむふむ」
で終わらせるわけにはいきません。

溶けた水晶といえば、いくつかあります。
こちらのブラジル産 とか、
なぜかセプターと言われているオーストリア産
実はあったりするぞ、ネパール産 とか、
ご存じ、 インド産、ほんのりピンク水晶 とか……。

こうして見ると、けっこう持っているなあ、溶け水晶。
それはさておき、ひとくちに「溶けた」といっても
その表情はさまざまです。あるものはスポンジ状になり、
あるものはごつごつと削ったようになり……。
もちろんトライゴーニック(「▽」)も溶けて現われるものです。
こうしてみると、水晶が溶けてゴツゴツすることはあっても、
こんな風につるりんと丸くなることはないような……。

本当に溶けているんでしょうか、この水晶。
もしかして、水晶の上にカルセドニーが被さって、
まあるくコーティングされちゃってるんじゃないだろうか。
そう思ってよくよく見てみましたが、偶然かけていたポイントの断面を見てみても、
水晶の上にカルセドニー……という感じの境目は見えません。
では、水晶に見えて丸ごとカルセドニーかというと、
まるくなってはいるものの、なんとなく水晶の六角形を保っているところもあり、
カルセドニーがたまたまこういう形になったとは思えません。

とかされ方が特殊なのでしょうか?
説明には「酸性化アルカリ性にさらされ……」とありますが、
水晶が溶かされるのは、たいていそういうものです。
では「コロイド(ゼラチン)状に」とは。
この説明を読む限り、酸ないしはアルカリによって、
一反水晶がぶよんぶよんに軟らかくなって再び固まった……と読めるんですが、
まさかそんなことがあるのでしょうか。
溶けた部分が溶け消えたり、流されて消えてしまうのではなく、
その場に留まり、徐々に内部まで溶けてぶよんぶよん……ちょっと想像できません。

ここで思うのは、水晶(石英)とひとまとめにしているものには、
実はいろいろなタイプがあるのではないかということ。
たとえば、カルサイトとアラゴナイトは、成分は同じでありながら
結晶の仕方が違う同質異像の鉱物です。
それを言うなら水晶にも右水晶や左水晶のような例があるわけで、
昔からよく知られているが故にひとまとめに「水晶(石英)」とされているものの、
そうではなく、後世になって研究された鉱物だったら、
別の鉱物に分類されていたりするかもしれません。
そこまではいえなくても、全部が全部同じ性質ではなく、
産地によって見えない特質があるのかもしれません。

もうひとつ思うのは、「やっぱり、リオ・グランデ・ド・スール……」
……というのも、この産地は実はブラジルの中でも個性派なのです。
たとえば、アメジストのジオード(カペラ)の産地もここ。
フラワー・アメシストの産地もここ。
ブラジルの中でみごとな犬牙状のカルサイトを産出するのもここ。
もちろんスタンダードな透明水晶も産出するようですが、
なかなか個性的な水晶を産出する地でもあるようなのです。
だから、こういう水晶が出てきても、ちっとも不思議ではありません。
(なぜ、こういう水晶ができたのかという理由にはなりませんが)

パッと見には変わらぬ水晶が、溶けたときに新たな個性を見せ始める不思議。
変わらぬもの、不動のものというイメージがつきまとう石が「溶ける」。
中には、地中深くで結晶し、ついに日の目を見ることなく
溶けて消えた水晶もあることでしょう。

生まれ、そして消える、それはまるで命あるもののよう。
溶け消える途中で時を止めて、手の中にやってきた水晶を見ていると、
新たなイメージが広がります。











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Last updated  2008/10/28 03:17:02 PM
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Re:実はマイブーム?(12/22)  
coron2003  さん
私は大阪展で多分同一業者から購入しました。
不思議ですよね。
私は、もともと白濁した水晶を故意に溶かしたのでは?と最初思いました。
次に想像したのは、別物(たとえばカルサイト)として成長したのち、瑪瑙に置換された仮晶ではないか?という事でした。
色々想像するのも楽しいですね。
(2006/12/23 11:48:31 AM)

Re[1]:実はマイブーム?(12/22)  
coron2003さん

どれもこれもあり得そうで……。
「鉱物は何でもあり」という石屋さんの言葉がよみがえります(笑)。 (2006/12/23 11:58:40 PM)

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