アラ還の独り言

アラ還の独り言

2017年05月10日
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カテゴリ: お勉強
2,000年に骨髄細胞が肝細胞に変化することが報告されています。(Theise ND, et al. Hepatology. 2000; 32: 11-16)

女性の骨髄幹細胞を移植された患者の肝生検を行ったところ、女性の骨髄幹細胞から増殖したとみられる肝細胞が発見されました。

これはiPS細胞細胞の発見(2,006年)に先立つものです。

この論文を読んだ肝臓外科患者から肝臓がんは比較的大きく切除できるが(再増殖が盛ん)、肝細胞癌の場合には広範に広がっているので、もう少し切れたら完全切除のところで切り残しができてしまう。骨髄細胞から肝細胞が作れないかと相談を受けたことがあります。

研究所に相談を回しましたが、量的な問題や基礎的な研究が必要なので、優先的にはできないとお断りしました。

現在、自己骨髄幹細胞を肝不全患者の肝臓に移植する研究が人で行われています。(肝細胞研究会:骨髄細胞の臨床応用(http://hepato.umin.jp/kouryu/kouryu06.html) )

その中で骨髄間葉系細胞はさまざまな細胞に変化することが判明しているが、実際に骨髄幹細胞が直接その他の組織の細胞に変化しているのか、いったん各組織の幹細胞に変化するのかは不明です。

しかし、後者の場合には、万能幹細胞が組織的な幹細胞に変化した後にまた万能幹細胞になり、組織の刺激に寄りその組織の幹細胞になっている可能性があります。刺激のみで別の幹細胞になり得る可能性があるということです。STAPは普通の細胞を刺激することによって万能幹細胞を作ろうとする試みでしたが、特定の組織の幹細胞は刺激によって万能幹細胞に戻る可能性もあるということは事実である可能性があります(骨髄間葉系細胞だけかもしれませんが)

一般的な細胞から万能幹細胞に戻すiPS細胞に比べると、組織的な幹細胞を使用する必要があります。一方iPS細胞にくらべて、違う組織に幹細胞を移植するだけで組織培養の必要がない可能性があります。






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最終更新日  2017年05月10日 14時48分48秒
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