アラ還の独り言

アラ還の独り言

2017年11月06日
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2017年11月2日に明治が「乳酸菌OLL2716株入りヨーグルトによる機能性ディスペプシア症状の軽減効果を確認」という表題の​ プレスリリース ​を行いました。

きちんとしたプラセボ対照二重盲検群間比較試験です。

対象は「国際消化器病学会のローマⅢ基準で定義されたFD症状が1つ以上あるが治療を受けてない人を被験者」


例数設計は検出率80%で、群間の有意差が5%未満で検出できる例数(H. pyloriによる消化管不快感の効果を前提にして設計)。
患者背景で苦しいのは胸焼けのスコアが開始時に1と非常に軽い例が多かったことです。最高でも2。

結果は患者印象をWillcoxon順位和検定しています。(P=0.073)これは試験計画のミスだと思います。世界で始めて機能性ディスペプシアの改善薬として2014年に世に出た「アコファイド錠100mg(製造販売元:ゼリア新薬工業、販売:アステラス製薬)ではよくなった、非常によくなっ他を改善率としてプラセボと比較しています。今回は検定はしませんが、見た目プラセボよりも効果が上回っているように思います。
すべての症状が消えた人はプラセボ群17.3%、OLL2716群35.3%でこれは有意差があります。アコファイドでは3症状消失率を計算していてプラセボ群9.0%、アコファイドでは15.3%(P=0.004)、群間差は6.3%(95%信頼区間2.1~10.5)です。(ちなみに患者印象派プラセボ34.8%、アコファイド52.2%群間差17.4(95%信頼区間11.0~23.7% P<0.001)

機能性ディスペプシアのターゲットオーガンは十二指腸と言われています。そのことから、OLL2716は腸管細菌叢の改善以外の作用があると文献を書いた人は考えています。この菌は胃液や膵液、胆汁などの消化液に対して十分に耐えることから、消化管膜に影響を与えているのではないかと推測しています。

患者の印象をWillcoxon順位和検定で検討するのはいかにも機能性食品としての効果を見ようとしている感じがして気に入らない。

患者を用いているのですから、ちゃんと有効率として何かを出さないと、効果の大きさが分からない。

それから投与終了後のデータを取っていないので、この効果が持続するかどうかは分からない。(アコファイド錠は12週間の後観察でも有効例に再発は少なかった)特に、腸内細菌叢に影響を与えて、何かを改善する乳酸菌に関しては投与後6週間後で効果が消えてしまうことが多い。

副作用も少なそうなので、今回の試験を第Ⅱ相試験(POC試験)として位置付けて、用量設定試験や第Ⅲ相試験を行えばかなりお薬になる可能性は高いと思います。

参考資料
アコファイド錠100mgの​ 添付文書





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最終更新日  2017年11月06日 12時03分23秒
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