あま野球日記@大学野球

あま野球日記@大学野球

2009.08.01
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カテゴリ: プロ野球

前回の記事 の続き。


戦後復活した職業野球は、1945年(昭和20年)11月22日、神宮球場を
皮切りに、桐生、西宮(2試合)を転戦し、つごう4試合が行われた。


■その当時のことを 青田昇 氏が『ジャジャ馬一代 遺稿 青田昇自伝』
(青田昇著、ザ・マサダ刊)で次のように記している。


「それにしても、この東西対抗戦、あの戦後の混乱期の中で、よくぞ挙行し得た
ものだと思う。東京も大阪も満目荒涼(まんもくこうりょう)たる焼け野原。巷には
浮浪児とパンパン(街娼)と復員兵があふれ、闇市に人々が列をなして、一杯
の汁を争って得ていた時代だ。 『なんとしても野球を復活させたい』という熱病の
ような思い
がなければ、実現できるものではない。」


「野球の試合をやろうにも、東京にはボールもなければバットもない。そこで
当時、一番戦前のボールを保有していた わが阪急 が、ボール4ダースを提供
することになった。しかしこのボールを東京まで運ぶのが容易ではない。今日の
ように宅急便で送れば、明日には届いているといった時代ではない。列車という
列車は足の踏み場もない超満員。タラップに4、5人がぶら下がっている、と
いった現代では想像もつかぬ風景である」


「このボール運びの役を買って出たのが 鈴木竜二 日本野球連盟会長(当時は
専務理事)だった。会長は4ダースのボールをリュックに詰め、死に物狂いで
東京に運んできた」

「なんとしても野球を復活させたいといった熱病のような思い」。

その思いをもった中心人物は、 小西得郎 であり、 鈴木竜二 だった。
ボクのこれまでの認識では、小西得郎さんといえば江戸弁で名調子の解説を
する面白いおじいさんだった。そして鈴木竜二さんといえばセ・リーグの会長
として読売グループの番頭役をそつなく務めた人(多少の皮肉を込めて)としか
思っていなかった。だけど、この人たちが職業野球の復活に大きな貢献をした
ことをボクは初めて知った。

「わが阪急」。
え、わが阪急? 「青田さんは巨人の選手だった」。これがボクのこれまでの認識
だった。ところが、上記のとおり「わが阪急」という表記があって、ボクは初めてこの
書籍を読んだ時には驚いたものだった。


調べてみると、青田さんは滝川中を中退し、すぐさま1942年(昭和17年)に
東京巨人軍に入団している。そして44年(昭和19年)、陸軍航空隊に志願して
巨人軍を退団。その際、時のオーナーだった「大正力」こと 正力松太郎 から、
「戦争が終わったらまた巨人に戻ってこい」と言われ、青田さんもそのつもりで
退団した。


ところが終戦後、巨人は球団の体制復帰が遅れ、逆に早期に復帰のメドが立った
阪急に声をかけられ、一時的に在籍(46年~47年)した経緯があった。そして
48年、 三原脩 監督に呼び戻され、青田さんは巨人に復帰した。


青田さん、この一時的な阪急への移籍があったため、  「戦後、チームを代わった
者は、出場資格なし」
というルールに抵触。出場が叶わなかった青田さんは
寂しくスタンドから試合を観戦していた。

三原脩 の関連記事「あま野球日記」バックナンバーより。
「三原脩、職業野球選手になった頃」  (2009.7.14) → 
こちら へ。



この記事は『ボクにとっての日本野球史』の中で、次の期に属します。
→ (第5期) 1946年(昭和21年)、戦後、東京六大学リーグ・職業野球が復活した時以降


(第5期)に属する他の記事は以下のとおり。

◇  「ボクの日本野球史」  (2009.7.1) →  こちら へ。
「西本幸雄、職業野球選手になった頃」  (2009.7.18) →  こちら へ。
「関根潤三、職業野球選手になった頃」  (2009.7.18) →  こちら へ。
「豊田泰光、職業野球選手になった頃」  (2009.7.19) →  こちら へ。
「戦後、職業野球の復活」  (2009.7.24) →  こちら へ。
「戦後、職業野球の復活(2)」  (2009.8.1) →  こちらへ

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Last updated  2009.08.05 01:59:50
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