巨頭星団クラブ

巨頭星団クラブ

2002年12月12日
XML
カテゴリ: カテゴリ未分類



田中さんの受賞理由であった蛋白質の質量計測方法の発見について、某国営放送で特集で解説番組を流していました。
蛋白質の質量計測といっても、詳細にその内容を理解することは困難ですが、私が理解した範囲で分かりやすくここで述べてみたいと思います。

まず、蛋白質は分子量の大きなアミノ酸の高分子です。水などのような単純な化合物にくらべるとその分子はとても大きく、質量も巨大です。
しかも蛋白質は一様な構造ではなく、様々な分子量のものが集まった状態ですので、個々に分子量を測るのではなく平均的な分子量やその分布を求めなくてはなりません。

試みられていたのは、蛋白質にレーザー光線を当てて荷電、つまり電気を帯びさせ、その電気的な力によって電極に吸着させてその移動の状態から分子量を求めるというものです。
つまり、軽い蛋白質は早く、重い蛋白質はゆっくりと移動しますので、電極に集まってくる蛋白質の量の経時変化を細かく観察すれば分子量の分布がわかるのです。言い換えるとタンパク質分子の移動スペクトルのようなものです。

この方法の難しい点は、レーザー光線を蛋白質に当てたときに蛋白質がレーザー光線の熱によってたやすく分解してしまうことでした。田中さんが研究を行っていた当時は、この緩衝材としてコバルトという金属が用いられていました。
コバルトで蛋白質を保護することによって分解を防ごうとしたのですね。コバルトは金属の粉末ですので、なにかの溶剤を用いて均等に分散させてやる必要がありました。


すると、僥倖の極みか、蛋白質は分解することなく荷電し、電極に吸着されていきました。田中さんが偶然の産物だと言っていたのはこのことだったのです。

後は、この結果が再現性があるかどうかを繰り返し実験し、条件を変えて行うことによってグリセリンの効果を科学的に立証したというわけです。
その後、この原理をもとにさまざまな改良がなされ、世界中で蛋白質解析になくてはならない手法になったのです。今は遺伝子の解析や、人間の身体を構成する蛋白質の異変によって惹き起こされるパーキンソン病や癌などの病理学的解析におおいに貢献しているのです。ここまで書けば、ノーベル賞を受けるに足る大発見だったことを分かっていただけると思います。

番組の中では蛋白質をボールに例えて、軽いボールは早く投げられるが重たいボールはゆっくりとしか投げられないと説明していましたが、私の頭の中に浮かんできたのは砂漠の風紋でした。
砂漠の砂は大小さまざまな砂粒からなっていますが、砂が風に煽られて移動するとき、砂の大きさに従って重たいものはわずかしか動かず、軽いものはより遠くへ飛ばされ、その結果あの不可思議な模様の風紋が出来上がっているのです。
単純な物理の法則に従った結果とは言え、砂丘の起伏の上に広がる規則正しい幾何学模様はなにかしら自然の方程式で組み立てられた造形を見せられているような感興を覚えさせてくれます。

何事も自然のリズムの中に原理を見出し、そのハーモニーを乱さないような方法で問題の解決を図れば、いたずらに軋轢を生むことも、破綻を招くこともないのかもしれませんね。やはり我々はコスモスのシステムの中で生かされているのだということをもっと認識する必要があるのでしょう。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2002年12月12日 19時58分02秒
コメント(8) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

プロフィール

巨頭星人

巨頭星人

お気に入りブログ

幸せとは はざや(葉明)さん

サロン・ド・トーヘ… 武蔵野唐変木さん
しちぢら☆てら 売り子☆姫さん
アキハバラ的散財生活 たばきんさん
星と自転車のページ hillstarさん

コメント新着

jabanna @ Re:幼年期の宇宙を見る巨大な眼(11/08) お~ さすが巨頭さま、TMTの 説明が…
jabanna @ Re:星屑の末裔(10/27) おお なんと美しい・・・・・ まさに巨…
巨頭星人 @ Re[1]:オリオン座よ永遠に(10/24) たばきんさん わたしも以前原子力発電…
巨頭星人 @ Re[1]:オリオン座よ永遠に(10/24) jabannaさま お久しぶりでございます。…
たばきん @ Re:オリオン座よ永遠に(10/24) おひさしぶりでございます。 γ線ならす…

© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: