1
![]()
21世紀に入っても健在のフォガティ節 ジョン・フォガティ(John Fogerty)は、1960年代末からCCR(クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル)のフロントマンとして知られ、1972年以降はソロで活動を続けた。ソロとしてヒット作やグラミー受賞など輝かしいキャリアを持つものの、本邦では一般の認知度はあまり高くないのかもしれない。そんな彼が2004年にリリースしたのが、この『デジャ・ヴ・オール・オーヴァー・アゲイン(Deja Vu All Over Again)』で、21世紀に入ってから彼にとっての最初のリリース作品となった。 あくまで筆者の個人的印象なのだけれども、このジョン・フォガティという人はどうも“器用”とは反対側にいる人のような気がする。訴訟問題に端を発して音楽活動を休止したりしたのもそうなのだけれど、そもそも音楽表現がストレートで、一つのモチーフを広げて作品にし、それを1曲分の尺という一定時間(それが3分程度だったりすることも多い)に凝縮するという感じがするのである。それは、変な小細工や計算がないという意味でもある。本盤も、そういったフォガティらしさが表現されているのではないかと思ってみたりする。 アルバム表題曲の1.「デジャ・ヴ」はミディアム・テンポでこの人のヴォーカルの魅力がうまく生かされた好曲。続く2.「シュガー・シュガー」も、余裕というかリラックス感のあるヴォーカルが魅力となっている。その一方で、還暦寸前とは思えない勢いのあるロック・ナンバーも本盤の中核となっている。3.「シーズ・ガット・バッゲージ」、4.「レーダー」、6.「ノーバディズ・ヒア・エニモア」、9.「ウィキッド・オールド・ウィッチ」、さらには10.「イン・ザ・ガーデン」といった楽曲は、1960年代末から1970年代初頭に活躍したバンド、CCR(クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル)を彷彿とさせる部分も多く見られる。ロカビリーの雰囲気も含め、古き良きロックの伝統を現代に伝える仕上がりになっている好盤であると同時に、“時代の生き証人”たるジョン・フォガティが21世紀に入っても健在であることを示した1枚だと言えるように思う。[収録曲]1. Deja Vu (All Over Again)2. Sugar-Sugar (In My Life)3. She's Got Baggage4. Radar5. Honey Do6. Nobody's Here Anymore7. I Will Walk with You8. Rhubarb Pie9. Wicked Old Witch10. In the Garden2004年リリース。 【輸入盤CD】【新品】John Fogerty / Deja Vu (All Over Again) 【K2018/7/20発売】(ジョン・フォガティ) 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2025年11月28日
閲覧総数 87
2
![]()
伝統的クリスマス・ソング集 ジョーン・バエズ(Joan Baez)は、1941年生まれのシンガーソングライターで、フォーク、フォークロックの分野で1960年代から先駆的な活躍をしたアーティストである。そんな彼女は、6作目のスタジオ・アルバム作品として1966年にクリスマス盤を発表している。 本盤『クリスマス・アルバム(Noël)』は、スタンダードなクリスマス曲がずらりと並ぶといった内容に仕上がっている。米国では、クリスマス・アルバムを出すことはアーティストとして大きなステータスだと言われるが、このアルバムはコマーシャルな雰囲気を感じさせない盤に仕上がっている。もう半世紀以上前のものとはいえ、聴衆受けの商業的な部分が見られず、真摯に伝統的なクリスマス・ソングに取り組んだという印象を与える盤だと言える。 リュートやハープシコードなどの演奏をバックに、かの澄んだ声でクリスマス曲を歌い上げるというスタイルは、“フォークの女王”たるジョーン・バエズのイメージとは一線を画する。アレンジを担当したのは、ピーター・シックリー(クラシックのパロディなどで知られる作曲家で、今年2024年に亡くなっている)で、この後に発表されたバエズのアルバムでも制作に関わることになった人物である。そのようなわけで、トラディショナルな方向を向いた選曲・アレンジで、彼女の美声によるクリスマス・ソングを堪能する、そうしたアルバムだと言える。 いくつかの短いインストルメンタル曲(つまりはバエズが歌を歌っていない、演奏のみのもの)が、ところどころにインターヴァルもしくは次の曲の前奏的な感じで収められている。上記のような方向性を持ったアルバムであるということを踏まえれば、これもアルバム全体の流れの中で効果的に機能しているように思う。また、注目したい点としては、10.「シューベルトのアヴェ・マリア」ではドイツ語、15.「オー・ホーリー・ナイト」ではフランス語での歌唱に取り組んでいることである。冒頭の定番曲1.「来たれエマヌエル」から始まり、最後の17.「きよしこの夜」で静かにアルバムを締めくくるまで、安らかで静かなクリスマスを過ごしたい人には好適なクリスマス盤と言えるように思う。[収録曲]1. O Come, O Come, Emmanuel(来たれエマヌエル)2. Coventry Carol(コンヴェントリー・キャロル)3. Good King Wenceslas(よきかなウェンセスラス王)4. The Little Drummer Boy(リトル・ドラマー・ボーイ)5. I Wonder as I Wander(何ゆえ、イエスは)6. Bring a Torch, Jeanette, Isabella(たいまつを!ジャネット、イザベラ)7. Down in Yon Forest(あそこの森に行く)8. The Carol of the Birds(小鳥のキャロル)9. Angels We Have Heard On High(あら野の果てに)10. Ave Maria(シューベルトのアヴェ・マリア)11. Mary's Wandering(さまようマリア)12. Deck the Halls(お部屋を飾って)13. Away in a Manger(厩のみどり子)14. Adeste Fideles (O Come, all ye Faithful)(神のみ子はこよいしも)15. Cantique de Noël (O Holy Night)(オー・ホーリー・ナイト)16. What Child Is This(このみ子は誰なるぞ)17. Silent Night(きよしこの夜)1966年リリース。 【輸入盤CD】【新品】Joan Baez / Noel (ジョーン・バエズ) 【中古】 クリスマス・アルバム/ジョーン・バエズ 次のブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓
2024年12月15日
閲覧総数 288
3
![]()
最もアンプラグド向きのアーティストによるアンプラグド盤 ニール・ヤング(Neil Young)のイメージはというと、アコースティック・ギターを片手にステージで歌っている姿を思い浮かべる人も多いのではないだろうか。そういう意味では、わざわざ“アンプラグド”を銘打つ必要があるのかという、疑問の声も上がりそうなほどアンプラグド向きのアーティストによるアンプラグド盤が、ニール・ヤングの『アンプラグド(Unplugged)』だと言えるのかもしれない。 1989年に始まり、レギュラーの企画としては10年ほど続いたMTVアンプラグドには、幾多の大物アーティストが参加し、ヒット盤も生まれた。本盤もそうした大物による成功盤と言える。全英4位が最高位(全米チャートでは23位)で、英米双方でゴールドディスクとなった。 1993年リリースなので、既に四半世紀以上前の作品だが、全体としてはこのライヴ・コンセプトに合った選曲であるように思う。ただし、実際の演奏時のセットリストとは曲順が大幅に異なっている。結果、アルバムを聴くと、前半(1.~7.)に弾き語りスタイルの演奏が集められたという風になっている。 筆者の好みが存分に反映されそうだけれど、注目ナンバーを中心にざっと全体を見渡しておきたい。2.「ミスター・ソウル」は、1960年代後半、バッファロー・スプリングフィールドの一員だった頃の名曲。3.「ワールド・オン・ア・ストリング」は、名盤『今宵その夜』所収のナンバー。4.「優しきポカホンタス」は、1979年の『ラスト・ネヴァー・スリープス』の収録曲で、筆者のお気に入りの1曲。5.「ストリングマン」は、本盤で初披露となったナンバーで、本来は未発表となった1977年のアルバム『クローム・ドリームズ』に収録されていた曲。6.「ライク・ア・ハリケーン」は、個人的フェイバリット。7.「ダメージ・ダン」は、1972年の『ハーヴェスト』収録のこれまた私的お気に入り曲。 CSN&Y(元の盤はこちら)の8.「ヘルプレス」では、所縁の深いニルス・ロフグレンのゲスト参加が注目に値する。9.「ハーヴェスト・ムーン」は、このライヴ当時にはリリース後間もなかった同名アルバムの表題曲で、これまた名曲(なお、同じアルバムからは、11.、14.のほか、本盤に収められなかったナンバーも当日セットリストに見られた)。13.「太陽への旅路」は盟友スティルスと組んだ1976年発表のアルバムの表題曲である。 アンプラグド盤というと、本来のそのアーティストの演奏とは一味違った側面を見せるという印象がある。このニール・ヤングについては、いろんな側面があることを無視するわけではないのだけれど、ある種、“イメージ通り”の盤でもあるとも言えるだろう。そういう意味では、ニール・ヤングを初めて聴く人にも手を伸ばしやすいアンプラグド盤ではないかと思ったりする。[収録曲]1. The Old Laughing Lady2. Mr. Soul3. World on a String4. Pocahontas5. Stringman6. Like a Hurricane7. The Needle and the Damage Done8. Helpless9. Harvest Moon10. Transformer Man11. Unknown Legend12. Look Out for My Love13. Long May You Run14. From Hank to Hendrix1993年リリース。 【輸入盤CD】【ネコポス送料無料】Neil Young / Unplugged (ニール・ヤング) ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2020年04月04日
閲覧総数 840
4
![]()
コステロ、変化の兆候 1977年に『マイ・エイム・イズ・トゥルー』でデビューしたエルヴィス・コステロ(Elvis Costello)は、当初はパンク調の曲を演じる“怒れる若者”、ニューウェーヴのミュージシャンといった位置づけだった。だが、1980年代に入って徐々に作風を変えていき、若者向けというよりは大人向けの音楽を発信するようになっていった。 本盤『トラスト(Trust)』は、そのような変化の時期を迎える80年代初頭の作品である。セカンド作(過去記事はこちら)以来のエルヴィス・コステロ&ジ・アトラクションズ(Elvis Costello and the Attractions)の名義で、これまでと同様にニック・ロウのプロデュース(本盤では14.のみコステロ自身がプロデュース)で、1981年にリリースされた。この盤からのシングルのヒットがなかったこともあり、この時期の彼の作品としては売れた方というわけではなかったが、イギリスで9位、アメリカで28位となった。 筆者の考える注目曲をいくつか見ておきたい。1.「クラブランド」は、デビュー時からのコステロらしい曲調ながら、個々の音や演奏に耳を傾けると、いくつもの新しい工夫が感じられる。3.「ユール・ネヴァー・ビー・ア・マン」は楽曲そのもののよさが目を引くナンバー。これに次いで楽曲のよさが光ると思うのは、7.「足下に注意!(ウォッチ・ユア・ステップ)」や10.「ディファレント・フィンガー」といったナンバー。他に聴き逃がせない収録曲としては、グレン・ティルブルック(イギリスのバンド、スクイーズのヴォーカリスト)とのデュエットを聴かせる9.「フロム・ア・ウィスパー・トゥ・ア・スクリーム」、ピアノをバックに歌う12.「ショット・ウィズ・ヒズ・オウン・ガン」なんかがある。 アルバム全体としては、それまでのコステロの音楽性のベースは維持されているものの、ジャズ、ロカビリー、カントリーといった要素を取り込んだ作品に仕上がっている。そういう意味では、従来の作風を基本にして幅を広げつつあるコステロの姿を窺い知れるアルバムということができるかもしれない。[収録曲]1. Clubland2. Lover's Walk3. You'll Never Be a Man4. Pretty Words5. Strict Time6. Luxembourg7. Watch Your Step8. New Lace Sleeves9. From a Whisper to a Scream10. Different Finger11. White Knuckles12. Shot with His Own Gun13. Fish 'n' Chip Paper14. Big Sister's Clothes1981年リリース。 【中古】 トラスト/エルヴィス・コステロ&ジ・アトラクションズ,エルヴィス・コステロ,ジ・アトラクションズ 【中古】 Trust / Elvis Costello / Elvis Costello / Rykodisc [CD]【ネコポス発送】 ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2024年03月27日
閲覧総数 403
5
![]()
『ネブラスカ』全曲紹介(第3回) ブルース・スプリングスティーン(Bruce Springsteen)のアルバム『ネブラスカ(Nebraska)』の収録曲を順に紹介していますが、今回はその第3回です。元のアルバムの収録曲的には、A面の最後とB面の最初という、少々アンバランスな巡り合わせになってしまうのですが、それら2曲を見ていきたいと思います。 アルバムの5曲目で、LPのA面最後の曲に当たるのが、「ハイウェイ・パトロールマン(Highway Patrolman)」です。これもまた1人称の語りで進んでいく詞なのですが、表題通り、高速道路のパトロールをしているジョー・ロバーツなる人物がその語り手です。曲のテーマは、彼自身の弟で、問題児のフランキーです。フランキーの人生模様が語られ、最後は、警官をしている兄が弟の起こした事件現場に立ち会い、その弟は逃走犯となって姿を消していくというストーリーになっています。このフランキーというのは兵役から戻ってきた、つまりは帰還兵で、ヴェトナム戦争帰還者をモチーフにした「ボーン・イン・ザ・USA」と同じく、アメリカの影の部分を想起させます(実際のところ、「ボーン~」もこのアルバムの時期に書かれた楽曲でした)。 お気に入りの曲なので話が長くなってしまうのですが、この「ハイウェイ・パトロールマン」の詞で決め文句になっているのは“家族に背を向けるなんて、よくない奴だ(Man turns his back on his family, well he just ain’t no good)”という部分だと思っています。弟の過去の話を語るヴァースの最期にもこのセリフがあれば、事件の経緯が明かされた後の曲の最後の締めくくりにもこのセリフが出てきます。付属の歌詞カード(邦訳)ではあまり印象的ではないのですが、元の詞を見ると、個人的にはこのセンテンスがキーになっているように思います。ちなみに、この曲を元ネタに俳優のショーン・ペンが映画「インディアン・ライナー」の脚本を書き、監督デビューしているというエピソードもあったりします。 さて、ここからはアルバムの後半、LPではB面に収録されていた曲です。後半最初の曲は、「ステイト・トルーパー(State Trooper)」です。演奏は何ともおどろおどろしい感じなのですが、それもそのはず。詞の内容はというと、自動車の免許も登録もない男が、警官に怯えてどうか止められないようにと心で叫んでいる、その悲痛な声を歌にしたものです。下層労働者が苦しみの中、“最後の祈り”として、“このどうしようもない状態から抜け出させてくれ”という悲痛な声を発するところで曲は終わっているのが印象的です。 さて、今回はここまでということにします。続きは次の第4回で見ていくことにしたいと思います。元アルバム過去記事: ブルース・スプリングスティーン『ネブラスカ』(1982年リリース)『ネブラスカ』全曲紹介: 第1回(「ネブラスカ」)第2回(「アトランティック・シティ」、「マンション・オン・ザ・ヒル」、「ジョニー99」)第3回(「ハイウェイ・パトロールマン」、「ステイト・トルーパー」)(本記事)第4回(「ユーズド・カー」、「オープン・オール・ナイト」)第5回(「僕の父の家」、「生きる理由」) ネブラスカ '82 エクスパンデッド・エディション [ ブルース・スプリングスティーン ] 【送料無料】[枚数限定][限定盤]ネブラスカ '82:エクスパンデッド・エディション/ブルース・スプリングスティーン[Blu-specCD2+Blu-ray]【返品種別A】 ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2025年11月19日
閲覧総数 218
6
![]()
トム・ウェイツ初期の名盤 1973年に『クロージング・タイム』でデビューしたトム・ウェイツ(Tom Waits)のセカンド作がこの『土曜日の夜(The Heart of Saturday Night)』というアルバムである。1974年に録音、同年にリリースされ、初期のトム・ウェイツの代表盤と言われたりもする(とはいえ、セールス的にはいまひとつだった)。ファースト作の出来に満足していなかった彼は、ジャズ寄りのメンバーを揃えた。プロデューサーは、オーネット・コールマンの『ジャズ来たるべきもの』のレコーディング・エンジニアだったボーンズ・ハウ、演奏者にもトム・スコット(サックス奏者)やマイク・メルヴォイン(ピアノ奏者)などが参加した。 今でこそ“ジャジーなサウンド”のアルバムは広く存在するが、この当時はそうではなかった。ジャズそのものというわけではなく、ジャズ的な思考の音を持ったロック/ポップス系のアルバム。そういうものがあふれるようになった現在から見ても、これほど完成度の高いものは決して多くはない。トム・ウェイツの代表盤はどれかという議論は尽きないが、1枚に絞ること自体、無謀なのかもしれないと思う。筆者的にはスタジオ作では70年代は本盤、80年代は『レイン・ドッグ』、ライヴ盤の70年代『娼婦たちの晩餐』、80年代『ビッグ・タイム』も数えてもよいように思う。 さて、『土曜日の夜』の内容だけれども、全編が一つの作品として仕上がっているので、一義的には通して聴くのがいいと思う。その上で、あえて曲単位でいくつか挙げてみるとしよう。1.「ニュー・コート・オブ・ペイント」は、全体の雰囲気と流れを象徴するオープニング・ナンバーで、いわゆる“酔いどれ詩人”のイメージを冒頭からよく表している。2.「サンディエゴ・セレナーデ」は、本盤に限らず、初期トム・ウェイツの曲の中でも1、2を争う名曲(過去のトム・ウェイツのバラード曲選―過去記事(1) ・(2) ・(3) ・(4) ・(5) ・(6) ・(7) ―では、もったいない気がして温存してしまったナンバー)である。表題曲の6.「土曜日の夜」も外せない名曲で、淡々とした口調の中にジャケットの絵そのままの風景が描き出される。7.「ブルースを弾きながら」は、次作のライヴ盤『娼婦たちの晩餐』の雰囲気そのままに、弾き語りを得意とする酔いどれ詩人そのままの演奏と歌が印象的。ここまで書くと、全曲(1曲1曲すべて)触れたくなってきてしまうが、あと1曲だけ挙げるとすれば、10.「ドランク・オン・ザ・ムーン」は、6.と並んで本盤の全体像をよく映し出しているナンバーだと思う。 ともあれ、週末の酒にこれほどあう盤はなかなか思い当たらない。酒が先か、トム・ウェイツが先か(あるいは酒なしでその雰囲気に浸りたい人はそれでよし)は各自にお任せすることとして、“酔いどれ詩人”の最良の瞬間の記録であることに間違いはない。以上の雰囲気の盤であることを踏まえた上で、初めてトム・ウェイツに触れる人に“最初の1枚”を勧めるならば、やっぱり本盤か『娼婦たちの晩餐』かのどちらかではないかと思う次第である。[収録曲]1. New Coat of Paint2. San Diego Serenade3. Semi Suite4. Shiver Me Timbers5. Diamonds on My Windshield6. (Looking for) The Heart of Saturday Night7. Fumblin' with the Blues8. Please Call Me, Baby9. Depot, Depot10. Drunk on the Moon11. The Ghosts of Saturday Night (After Hours at Napoleone's Pizza House)1974年リリース。 ★7/28am9:59迄先着最大1500円クーポン★【送料無料】土曜日の夜<リマスター2009>/トム・ウェイツ[CD]【返品種別A】 下記のランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、バナーを“ぽちっと”応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓
2016年07月26日
閲覧総数 2681
7

偉大なるメキシコ人作曲家の訃報 昨年末にメキシコの有名な歌手で作曲家のアルマンド・マンサネーロ(Armando Manzanero)の訃報が報じられました。原因は新型コロナで、12月17日に入院後、12月28日に亡くなったとのことです。 86歳という高齢だったとはいえ、超大物有名人の、それも新型コロナ感染症による訃報です。現地では惜しむ声が絶えず、大統領も毎朝やっている会見で追悼の意を示しました。 本ブログでは、マンサネーロ名曲集などと銘打って過去にも取り上げてきたアーティストです(下のリンクを参照)。いずれ落ち着いてその続きをとは思いますが、ひとまずは、その死を悼んで、彼の楽曲を振り返ってみたいと思います。 一つ目の動画は、メドレー形式のものです。若いころから最近までの彼の姿とともに、名曲選をお聴きください。 続いては、亡くなるわずか数か月前、2020年10月のビルボードのミュージック・アワードでの映像です。既にビルボードの殿堂入りは2003年に果たしていましたが、同じくビルボードによる、生涯にわたる功績を称えるライフタイム・アチーヴメント賞の受賞時のものです。彼へのオマージュということで、いろんなアーティストが登場してマンサネーロ・ナンバーを熱唱しています。 最後は、アルマンド・マンサネーロ本人による「テ・エストラーニョ(Te extraño)」です。英語で言えば“I miss you”、つまりは「君がいなくて寂しい」という意味の表題の曲です。 彼の遺体は火葬され、故郷ユカタン半島に帰ったとのこと。どうか安らかに眠らんことをお祈りします。Q.D.E.P.[参考過去記事]「アドーロ(Adoro)」 「アマネセール(Amanecer)」 「コンティーゴ・アプレンディー(Contigo aprendí)」 「クアンド・エストイ・コンティーゴ(Cuando estoy contigo) 「ドルミール・コンティーゴ(Dormir contigo)」 「エスペラレー(Esperaré)」 「雨のつぶやき(Esta tarde vi llover)) 「メ・ブエルベス・ロコ(Me vuelves loco)」 「ミア(Mía)」 「ミ・イストリア・エントレ・トゥス・デドス(Mi historia entre tus dedos)」「ナダ・ペルソナル(Nada personal)」 「ノ・セ・トゥ(No sé tú)」 「ノス・イソ・ファルタ・エル・ティエンポ(Nos hizo falta el tiempo)」 「ソモス・ノビオス(Somos novios)」/「イッツ・インポッシブル(It’s Impossible)」 「テ・エストラーニョ(Te extraño)」 「ボイ・ア・アパガール・ラ・ルス(Voy a apagar la luz)」 【輸入盤CD】ARMANDO MANZANERO / LO MEJOR DE LO MEJOR Manzanero: Su Voz Su Piano Y Sus Mejores Interpret by Armando Manzanero 下記ランキングに参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”お願いいたします! ↓ ↓
2021年01月05日
閲覧総数 1907
8
![]()
濃くとも品位を失わず… キング・カーティス(King Curtis)といえば、R&B、ファンク、ソウル・ジャズの巨匠。ジミー・フォレスト(Jimmy Forrest)もR&B色の強い、ソウルフルなテナーマン。これら二人に加えてオリヴァー・ネルソン(Oliver Nelson)がテナー3管で共演しているのが、本盤『ソウル・バトル(Soul Battle)』という作品である。 テナー3管という時点で、既にこの盤に拒否感を示す人もいるかもしれない。実際、このアルバムは、タイトルが示すように、いわゆる同一楽器(テナー・サックス)による“バトルもの”である。バトルものの難点は、時に“濃くなり過ぎる”ことにある。いや、それはそれで筆者は嫌いじゃないのだけれど、名の知れた盤で言うと『テナー・コンクレイヴ』(ハンク・モブレー、アル・コーン、ジョン・コルトレーン、ズート・シムズの共演盤)みたいにしかめっ面で聴かなきゃいけないみたいな印象を与えるのは事実だろう。あと、バトルものは一つ間違えば、各々が吹き散らかし放題の、聴き手が疲れるばかりの演奏になりがちというのも、傾向としては確かにそうだと思う。おまけに、本盤に参加のキング・カーティスとジミー・フォレストはソウルフルな演奏を得意とするミュージシャンである。つまり、楽器編成からしても、演奏者の面子からしても、“濃い盤”になるようにしか思えない組み合わせのセッションだったと言える。 ところが不思議なことに、本盤は“濃過ぎない”。程よい濃さにとどまっていると言った方が正確かもしれない。コーヒーに喩えれば、苦味がしっかり感じられるが苦過ぎない、ラーメンに喩えれば、こってりしているが後で胃にもたれないスープではない、といったところか。コーヒーのつぼを押さえた苦味も、こってりもたれないラーメンも、ある種の職人芸で、その道を極めた人のみが編みだすものである。そして、それを見事に仕上げた職人とは、このアルバムでは、オリヴァー・ネルソンに他ならないと思う。 オリヴァー・ネルソンは、別の機会(過去記事『ミート・オリヴァー・ネルソン』)にも書いたように、サックス奏者としてのみならず編曲家としての才能も存分に発揮した人物である。言い換えると、個の演奏を紡ぎだす以外に、演奏されて出来上がってくる音楽全体に目配りのできるミュージシャンだった。本盤の演奏に関して言えば、オリヴァー・ネルソンも“黒っぽく”演奏しようとしている。けれども、全体の“濃さ”を調節し、ソウルフルさが過ぎる出来にしなかったのもまた彼であった。 いちばんバトルっぽいのは、4.「パーディド」であろう。この曲の演奏を聴く限り、確かに盛り上がり抜群のバトルが展開されている。けれども、他の曲の演奏を聴いていると、ふっと緩む瞬間というのが随所に見られる。その時にカギとなっているのが、柔らかに吹かれるネルソンのテナーなのである。それゆえ、本盤に収録されている演奏の中では有名な4.が一般には注目されがちだが、実は筆者はもう少し別の曲の方がより好みだったりする。もっと言えば、本盤の真髄は上記の曲ではなく、他のところにあるのではないかとすら考えてみたりする。具体的には、1.「ブルース・アット・ザ・ファイヴ・スポット」、2.「ブルース・フォー・M・T」、5.「イン・パッシング」といったところがお勧め。アレンジもよく、テナーの競演がスリリングさを見せながらも、どこかに和やかさが残されている。[収録曲]1. Blues At The Five Spot2. Blues For M.F. (Mort Fega)3. Anacruses4. Perdido5. In Passing 6. Soul Street (CD追加曲)[パーソネル・録音]Oliver Nelson (ts)King Curtis (ts)Jimmy Forrest (ts)Gene Casey (p)George Duvivier (b)Roy Haynes (ds)1960年9月9日録音。 Oliver Nelson / King Curtis / Jimmy Forrest / Soul Battle 輸入盤 【CD】下記のブログランキングに参加しています。応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2013年05月25日
閲覧総数 618
9

70万アクセス記念~いま聴きたいナンバー(その6) 今回は、1974年発表のジョージ・ハリスンのソロ第5作、『ダーク・ホース』からの表題曲を取り上げたいと思います。実は、この曲は、一度過去記事(こちら)になっているのですが、当時はビデオの貼り付けがこのブログではできませんでしたので、あらためて今回取り上げようと思った次第です。 何だか“ジョージ・ハリスン・ヒストリー”みたいな映像ですが、彼が2001年に58歳で亡くなってから、もう13年以上も経過しました。曲自体は、喉の状態も不調な頃で、アーティストとしても私生活でも決して順風満帆ではなかった時期の作品ですが、個人的には強く印象に残っていて、お気に入りのナンバーなのです。 以下、マニア向けです(笑)。この同じ曲のアーリー・テイクなるものです。飾りのないこの初期テイクは、完成度は最終的なものに比べ低いですが、妙にジョージ色が強く出ているという気がします。 [収録アルバム]George Harrison / Dark Horse(1974年) 【RCP】【送料無料】DARK HORSE(2014 REMASTER)【輸入盤】▼/GEORGE HARRISON[CD]【返品種別A】 下記のランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、バナーを“ぽちっと”応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓
2015年05月30日
閲覧総数 2323
10
![]()
全盛期を代表するスティットらしい一枚 ソニー・スティット(Sonny Stitt, 1924年生、1984年没)は、ビバップ~ハードバップで活躍したジャズ・サックス奏者。チャーリー・パーカーに似た演奏をすることから“バードのコピー”みたいな言われ方をされてしまうことが多いが、実際のところは、パーカーを模倣したわけではなく、偶然同じような演奏スタイルにたどり着いただけで、スティット自身が述べているところでは、パーカーとの間でも互いにそれを認め合っていたとのこと。とはいえ、パーカー存命中はアルト・サックスの演奏を意図的に避け、しばしばテナー・サックスに持ち替えた。 本作『ナウ!(Now!)』は、1963年、インパルスへ録音のワンホーン(カルテット編成)盤。スティット自身、40歳手前という年齢の頃で、ここでもアルトとテナーを持ち替えながらの演奏が繰り広げられている。まさに脂の乗り切ったころのワンホーンがしっかり堪能できる盤といった作品である。 冒頭の1.「サーフィン」からして、その軽妙さに思わず乗せられてしまう。3.「エストラリータ」の軽やかさも、6.「ネヴァー・シ!」や7.「マイ・マザーズ・アイズ」のベタベタな感じのサックスの加減も、全編を通じてスティットのサックスはストレートで正直だ。ついでにもう一つ個人的お気に入りも挙げておくと、8.「アイム・ゲティング・センチメンタル・オーヴァー・ユー」の軽妙さなんかは非常に気持ちいい。 でもって、この作品の演奏を聴いていると思い浮かんでくる感想なのだけれど、“スティットを聴く”ということを馬鹿にするジャズ・ファンがいるのも分からないではないという気がしてくる。小難しくジャズを聴きたい人には、スティットの演奏はしばしばストレートで正直すぎる(悪く言えば、“わかりやすすぎる”)部分もあるのだろう、という意味でにおいて、そう思ったりする。けれども、ビバップ的な演奏の醍醐味は、わかりやすく楽しく聴かせる部分にあるとういのも一理あるんじゃないだろうか。 新しいことや革新的なこと(それは時に小難しい聴き方を聴き手に要求することにもなる)を追い求めつつ、演奏を楽しむのもいいだろう。けれども、その一方で、こういう素直な演奏を素直に楽しむという発想もあってもいいように個人的には思う。シンプルに楽しく軽妙なスティットのワンホーンに乾杯![収録曲]1 Surfin'2 Lester Leaps In3 Estralita4 Please Don't Talk About Me When I'm Gone5 Touchy6 Never -Sh!7 My Mother's Eyes8 I'm Getting Sentimental Over You[パーソネル、録音]Sonny Stitt (ts, as)Hank Jones (p)Al Lucas (b)Osie Johnson (ds)1963年6月10日録音。 Sonny Stitt ソニースティット / Now & Salt & Pepper 輸入盤 【CD】 下記ランキングに参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓
2013年05月03日
閲覧総数 1327
11

50万アクセス記念~ロック&ポップスの名ナンバーをカバーで聴く(その10) 50万アクセス記念と称して10回シリーズをやってきましたが、最後は今年(2014年)になってからリリースされたこのナンバーで締めくくりにします。元々はブルース・スプリングスティーン本人の曲なので、本シリーズの「その8」と同様に“セルフカバー”ということになってしまうのですが、今年になってから聴いた“名ナンバーのカバー”という意味では、ぜひとも取り上げたいと思う次第です。 元の曲(演奏)は1995年のアコースティック色の強い静かな調子の同名アルバムに収められていました。その激変ぶりをまずは比較してみてください。 表記の演奏でとにかく大きな存在感を発揮しているのが、トム・モレロ(元レイジ・アゲンスト・ザ・マシーン、元オーディオスレーヴ、現ストリート・スウィーパー・ソーシャル・クラブ)の存在です。ここ数年来、B・スプリングスティーンと共演したり、リトル・スティーヴン不在時のギタリストを務めたりしています。 そのようなわけで、最後はトム・モレロがライヴでスプリングスティーン・バンドと共演している模様で締めくくりたいと思います。 [収録アルバム]Bruce Springsteen / High Hopes(2014年)Bruce Springsteen / The Ghost of Tom Joad(1995年)←元バージョン収録 送料無料!!【CD】ハイ・ホープス/ブルース・スプリングスティーン [SICP-4070] ブルース・スプリングステイーン 下記ランキングに参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓
2014年08月24日
閲覧総数 1100
12
![]()
私的好みのライヴ盤の一つ 唐突かもしれないが、実は、筆者はボブ・ディラン(Bob Dylan)のライヴ盤が好きである。通常、ライヴ盤と言えば、当たりはずれがある。オリジナル・アルバムの演奏の方がよかったとして酷評されたり、原曲をスクラップ&ビルドして新たな演奏の提示が好評を得たりと、様々な評価を受ける。といえば聞こえはいいのだけれど、要するに、ライヴ・アルバムとはこうした相反する評価のリスクを常に抱えるものでもある。 個人的な思い込みと言われればそれまでのかもしれないが、ボブ・ディランのライヴ盤はたいていどれを聴いてもハズレと感じることがなく、単なる元の曲の再現としてではない形で楽しめることが多い気がする。そんなことを思い起こしつつ、今回は1976年発表の『激しい雨(Hard Rain)』という名ライヴ盤を取り上げてみたい。 まず、表題は、“納得”でもあり、同時に“羊頭狗肉”でもある。“納得”というのは、コロラド州フォートコリンズでの野外ライヴの音源が本盤の中心となっているが、そのライヴは雨の降りしきる中で行われたという点。まさしくそのシチュエーションにぴったりの、相応しいタイトルだと言える。その一方、“羊頭狗肉”というのは、同ライヴで「はげしい雨が降る(A Hard Rain's a-Gonna Fall,旧邦題:今日も冷い雨が」が演奏されたにもかかわらず、この曲は本盤には収められなかった点である。 当時の受容はいまひとつだった(ローリング・サンダー・レヴューと題されたライヴの第2期ツアーも、本盤についても)のだが、今から見ると、ボブ・ディランのライヴ盤の中でも特に優れた作品だと思う。何よりどの曲もパフォーマンスのレベルが高い。ちょうど時期的には、前年に『欲望』をリリースし、その荒々しい感じをそのままライヴにもち込んでいると言っていいように思う。 最初に述べたように、“アルバムの再現”ではないライヴらしさがちゃんと実践されている。例えば、1.「マギーズ・ファーム」や5.「レイ・レディ・レイ」なんかは、アルバムで聴くのとは明らかに違う演奏で、本盤で聴いて別物として感動できる。なお、激しさの針が最も触れているのが、9.「愚かな風」。10分越えの長尺だが、過激にぶちまけていく感じの演奏からは、なぜか聴き終えた後に不思議な爽快感が得られる。ボブ・ディランについてはいろんな人がいろんなことを言うけれども、何と言われようが、彼のライヴ盤、とりわけこのライヴ盤は聴かねばもったいない。キャリアが長いだけに、いろんな作品があっていろんなイメージがあるだろうけれど、ボブ・ディランはこんなにまで力強いアーティストでもあるのだ。[収録曲]1. Maggie's Farm2. One Too Many Mornings3. Stuck Inside Of Mobile With The Memphis Blues Again4. Oh, Sister5. Lay Lady Lay6. Shelter From The Storm7. You're A Big Girl Now8. I Threw It All Away9. Idiot Wind1976年リリース。 激しい雨 [ ボブ・ディラン ] 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2019年09月29日
閲覧総数 2613
13
![]()
多彩な曲とヴォーカルの名作 ハース・マルティネス(Hirth Martinez)は、1945年、ロサンゼルス出身のシンガーソングライターで、残念ながら、2015年に死去している。1970年代に2枚のアルバムをひっそりと残したが、決して多くの聴衆の人気を集めたりしたわけではなかった。むしろ愛好家の間でこの『ハース・フロム・アース(Hirth From Earth)』が隠れた名盤として語り継がれてきた。ザ・バンドのロビー・ロバートソンに見いだされ、彼のプロデュースで1975年にリリースされたのが、この盤ということになる。 表題の『ハース・フロム・アース』は最初の語(アーティストの名前)と最後の語(“地球”)が韻を踏んでいるが、日本語に訳すと“地球からやってきたハース”といったようないみになる。しかもジャケット写真は、何やら海から姿を現した杖を手にした謎の人物(というかハース本人)なわけで、“地球外生命体ではなくて、海から出てきた謎の人物(生物)?”などという想像をさせかねないものである。 ところが、実際に曲を聴いてみると、そんな不気味な想像とは正反対に、優しい素朴なヴォーカルの1.「オルトゥゲザー・アローン」からアルバムが始まる。とはいえ、彼のヴォーカルが柔らかく聴きやすいだけというのは間違いである。シンプルで朴訥に見える部分がある一方で、時としてR&B的であったり、南部っぽかったりと、泥臭さを含んでいる。そういう観点から気に入っている曲をいくつか挙げておくと、2.「ウィンター・アゲイン」、3.「ジンジ」、7.「ザッツ・ザ・ウェイ」、9.「ピティ・オン・ザ・フール」、12.「コールド・ダーク・モーニン」といった具合だろうか。 “七変化”とまでは言わないが、多様な顔をさりげなく覗かせるヴォーカルがいい。その理由は、収録曲の多様さということなのだろうけれど、いずれも自作曲であり、なおかつそれをすんなり表現できてしまっているところに、本盤の素晴らしさがある。決してメジャーなアルバムではないけれど、聴き継がれたい名作の一つだと思う。[収録曲]1. Altogether Alone2. Winter Again3. Djinji4. Be Everything5. Comin Round the Moon6. It7. That's the Way It's Gotta Go8. Silent Movies9. Pity on The Fool10. I Don't Know Why the Hell11. Saturday Night12. Cold Dark Mornin’13. You Are a Star1975年リリース。 【国内盤CD】ハース・マルティネス / ハース・フロム・アース 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2021年04月25日
閲覧総数 802
14
![]()
1978年発表のサード作 ジョン・ライオン(John Lyon)ことサウスサイド・ジョニー(Southside Johnny)率いるバンド、サウスサイド・ジョニー&アズベリー・ジュークス(Southside Johnny & the Asbury Jukes)。彼らが1978年に発表した3枚目となるスタジオ作品が、この『ハーツ・オブ・ストーン(Hearts of Stone)』というアルバムである。 ニュージャージー出身のサウスサイド・ジョニーは、ブルース・スプリングスティーンやリトル・スティーヴン(スティーヴ・ヴァン・ザント)らと交流し、地元ニュージャージーからメジャーへと躍り出たアーティストだった。実際、本作でも彼らとの絡みが顕著である。演奏面では、リトル・スティーヴン(ギター、ヴォーカル、さらにプロデュースも担当)、そして同じくスプリングスティーンのバンドのマックス・ウェインバーグ(ドラムス)が参加している。楽曲面では、2曲(4.と6.)がスプリングスティーン作、1曲(8.)がサウスサイド・ジョニー、スティーヴ・ヴァン・ザント、ブルース・スプリングスティーンの共作となっている。 注目曲というと、どうしてもスプリンスティーン作曲のものに衆目が集まってしまうが、6.「トーク・トゥ・ミー」はアルバム発表の翌年にシングルとしてもリリースされたナンバー。アルバム表題曲の4.「ハーツ・オブ・ストーン」も同じくスプリングスティーンの作で、サウスサイド・ジョニーのヴォーカルが本領発揮されている。 さらに、これら以外の注目曲もいくつか挙げておきたい。2.「ベイビーズ・ゴーン(ディス・タイム・ベイビーズ・ゴーン・フォー・グッド)」は、ホーン・セクションを生かしたこのバンドらしい曲調と演奏。実際、“マイアミ・ホーンズ”と名付けられたホーン・セクションは、このバンドの演奏の大きな特色で、他の曲でもホーンが大きくフィーチャーされているものが多い。このバンドらしい曲と演奏と言う意味では、5.「テイク・イット・インサイド」も外せない1曲で、ロック音楽の中でのホーンとギターの組み合わせがカッコよく決まることのお手本とも言えそう。他には、3.「道化役の恋(アイ・プレイド・ザ・フール)」はテンポよい好曲でシングル・カットもされた。最後に、共作曲の8.「騙されるのも悪くない(トラップト・アゲイン)」は、サウスサイド・ジョニーの曲の中で筆者的にはかなり上位の好みのナンバーだったりする。[収録曲]1. Got To Be a Better Way Home2. This Time Baby's Gone for Good3. I Played the Fool4. Hearts of Stone5. Take It Inside6. Talk To Me7. Next To You8. Trapped Again9. Light Don't Shine1978年リリース。 Southside Johnny & Asbury Jukes - Hearts of Stone CD アルバム 【輸入盤】 【中古】(CD)I Don't Want To Go Home/This Time It's For Real/Hearts Of Stone/Southside Johnny & Asbury Jukes 次のブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓
2023年02月22日
閲覧総数 220
15
![]()
『ネブラスカ』全曲紹介(最終回) ブルース・スプリングスティーン(Bruce Springsteen)のアルバム『ネブラスカ(Nebraska)』の全曲紹介を目指してきましたが、この5回めがようやく最終回となります。 残る2曲のうち最初の曲は、「マイ・ファーザーズ・ハウス(My Father’s House)」です。邦盤では「僕の父の家」という日本語訳のタイトルが与えられています。この曲は、アルバム完成前に追加で録音されたナンバーとのことですが、割合いにシンプルな弾き語り形式でストーリーが語られていきます。 その詞のストーリーはというと、昨晩見た夢の中の、幼いころの父の家の記憶から始まります。目が覚めた主人公は、その場所へと向かいます。おそらくは何らかのわだかまりか何かで絶縁していたであろう父を訪ねに行くわけです。けれども、そこにはもう父はいません。その家には見知らぬ女性が住んでいて、主人公が自分の経緯を話した末にドアチェーンの向こうから“お気の毒だけれど、そんな名前の人はもうここには住んでいないわ”と告げられてしまうのです。それでも主人公にとって“父の家”は輝いて見えているという、なんとも悲しげな結末のストーリーです。 さて、アルバム最後のナンバーは、「リーズン・トゥ・ビリーヴ(Reason to Believe)」です。邦盤では「生きる理由」という日本語のタイトルがついています。直訳なら“信じる理由”なのですが、意訳されてこのような表題になっているということなのでしょう。小刻みなギター、ハーモニカの間奏とともに心情を吐露するかのような調子で歌詞が紡がれていきます。 その詞の内容を少し見てみたいと思います。辛い労働に追われる人たちが“ハードな一日の終わりに、それでも人は何がしかの信じる理由を見出そうとする”という現実が果たして妥当なのかを問いかけるものです。具体的ないくつかの人生ストーリーが語られているのですが、例えば、突然姿を消した愛するジョニーを待ち続けるメアリー・ルーの話が出てきたりします。男性の名が「ジョニー99」の“ジョニー”と重なり合いますが、もしかすると同一人物なのかもという印象を聞き手は持つかもしれません。また、別の人生模様の描写には、罪を背負った赤ん坊を川で洗うという話が出てきます。そして、これと並行して人知れず死んでいく老人の埋葬が描写されます。筆者には、誕生と死の間(つまりは人が生きている間)にある、辛い人生の苦悩というのが婉曲的に語られているというように見えるのですが、印象的なのは埋葬時の“主よ、これが何を意味するのか、お教えください”という意味深な台詞。この台詞の直後に“ハードに働いた一日の終わりに、あなたは何がしかの信じる理由を見出す”の決め文句(邦訳歌詞カードには反映されていませんが、この箇所だけはアレンジが加えられていて、“人々は”ではなく“あなた”が主語になっています)が続くというものです。 最後に、この「生きる理由」の中で、筆者がいちばん印象に残っている詞に触れておきたいと思います。それは、結婚式に新婦が現れなかったストーリーの部分に含まれています。新婦が現れなかった末に、祝福に訪れていたはずの人たちは去ってしまい、“泣いている柳”の向こうに陽が沈んでいきます。最後に呆然と立ち尽くす新郎の脇で“川は苦も無く流れ続ける”という詞が出てきます。この“苦も無く(effortlessly)”というのが、努力(effort)を払って必死に生きて、それでもなお希望を持ち続けようとしている姿と痛々しいほどの、けれどもはっきりとした対比となっているところが印象的だったりします。 以上、全5回にわたって、『ネブラスカ』の全曲を見てきました。今回のリマスター版リリースを機に改めて聴き続けられる古典的アルバムであってほしいと思っています。元アルバム過去記事: ブルース・スプリングスティーン『ネブラスカ』(1982年リリース)『ネブラスカ』全曲紹介:第1回(「ネブラスカ」)第2回(「アトランティック・シティ」、「マンション・オン・ザ・ヒル」、「ジョニー99」)第3回(「ハイウェイ・パトロールマン」、「ステイト・トルーパー」)第4回(「ユーズド・カー」、「オープン・オール・ナイト」)第5回(「僕の父の家」、「生きる理由」)(本記事) 【送料無料】[枚数限定][限定盤]NEBRASKA 82: EXPANDED EDITION (4CD+BLU-RAY)【輸入盤】▼/ブルース・スプリングスティーン[CD+Blu-ray]【返品種別A】 ネブラスカ [ ブルース・スプリングスティーン ] ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2025年11月22日
閲覧総数 220
16
![]()
玄人好みの真摯でハードなロック 1973年、セカンド作に続いて同年に発表されたのが、ジョ・ジョ・ガン(Jo Jo Gunne)のサード作となる『ジャンピング・ザ・ガン(Jumpin' the Gunne)』だった。前作に続き、ビル・シムジク(イーグルスの作品などで知られるプロデューサー)がプロデュースを担当している。 部屋に置かれた大きなベッドにメンバー4人がいて、その上を太った裸の(靴だけ履いている)女性が飛んでいるという、シュールかつ、今の時代だと“人を不快にさせる”というクレームがつきそうなジャケット(さらに、ジャケット内側では、曲目やクレジットの文字が体に書かれたこの女性がうつ伏せになって子豚?と向き合うという構図の写真で、今のどきの世の中だと受け入れられないかもしれない)。この見かけとは裏腹に、本盤の内容は真摯なロック・アルバムだったりする。前作よりもややキャッチーな部分が強くなっているように思うところもあるが、全体として骨のあるしっかりとしたハードなロックを聴かせてくれる。 筆者の好みに合致するナンバーをいくつか挙げておきたい。2.「トゥ・ジ・アイランド」は、ジョ・ジョ・ガンらしいナンバーの一つ。派手にパフォーマンスをするというよりも、真摯に、そして(もちろんいい意味で)下を向きながらこつこつと演奏してそうな雰囲気が想像されるところが個人的にはプラスの評価ポイントだったりする。 楽器音の厚み、とりわけ低音の“圧”を感じる演奏は彼らの身上である。そんな点から筆者の好みはというと、5.「ビフォー・ユア・ブレクファースト」、7.「モンキー・ミュージック」、11.「ターン・ザ・ボーイ・ルーズ」といった楽曲が挙げられる。ある程度の音量と低音を感じられる装置で聴くと、このバンドの演奏の分厚さはてきめんに浮き彫りになる。決して万人受けしそうなスタイルではないし、広く人気を得そうな派手さもない。けれども、こうした玄人受けの良質な演奏というのは、聴き継がれてもらいたいところだと思ってみたりする。[収録曲]1. I Wanna Love You2. To the Island3. Red Meat4. Getaway5. Before You Get Your Breakfast6. At the Spa7. Monkey Music8. Couldn't Love You Better9. High School Drool10. Neon City11. Turn the Boy Loose1973年リリース。 【中古】【非常に良い】Jo Jo Gunne/Bite Down Hard/Jumpin the Gun & So [CD] 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2025年11月25日
閲覧総数 140
17

若き日のボス、必聴の名チューン 1980年、ブルース・スプリングスティーンが発表したアルバム『ザ・リバー』は、彼の最初の多作期を示す作品だった。スプリングスティーンは、1975年の『明日なき暴走』で有名アーティストとなっていたが、1980年のこのアルバムからは、彼にとって初の全米TOP10に入るシングルが生まれた。LP2枚組の『ザ・リバー』で、1枚目のB面の冒頭を飾る若々しくも郷愁溢れるナンバーがこの「ハングリー・ハート」であり、実は筆者が最初に聴いたスプリングスティーンの曲である。 まずは、アルバム『ザ・リバー』に所収のオリジナル・ヴァージョンから。画像は動かないが、曲に合わせて詞が出るので、こちらをご堪能あれ。 続いては発表当時(1980年)のライヴから。ボス本人はもちろん、既に鬼籍に入ったメンバー(ダニー・フェデリシ、クラレンス・クレモンズ)もみんな若々しい。時期的には、『明日なき暴走』で既に名声は確立しているけれど、『ボーン・イン・ザ・U.S.A.』での異常なブームはまだ起こっていない段階といったところで、何とも生き生きしている。 最後は90年代に入って、シングルとして再発された時(1995年)のビデオクリップ。演奏はいつものE・ストリート・バンドではなく、ドイツのBAPなるバンド。飛び入りなどのハプニング的なものを除き、こうした無関係のバンドでのこの曲の演奏はレアだが、何でもこのバンドがスプリングスティーンのフォロアーだそうで、見事なまでに、オリジナルの雰囲気を再現した“完コピ”といった風情で、“ボス”も気持ちよさそうに熱唱している。 [収録アルバム]Bruce Springsteen / The River (1980年)←スタジオ収録のオリジナル・ヴァージョン 下記のランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、ひとつでも“ぽちっと”応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓
2012年05月21日
閲覧総数 1650
18
![]()
フォリナー最大のヒット・バラードは"名曲"か、それとも"堕落"か 1977年にデビューし、70年代後半から80年代後半にかけて一世を風靡したロック・バンド。結成当時としては珍しい、英国人と米国人の混成であったことからフォリナー("外国人"、カタカナ表記はなぜかフォーリナーではなくフォリナーで定着)と名乗った。初期のアルバムから売り上げを伸ばし人気を誇っていたが、シングル曲としては唯一の全米No. 1ヒットになったのが、1984年発売のアルバム『プロヴォカトゥール~煽動(Agent Provocateur)』からシングルカットされた「アイ・ウォナ・ノウ(I Want To Know What Love Is)」である。何週も1位の座にいたマドンナの「ライク・ア・ヴァージン」を引きずり下ろし、年間チャートでも4位に入る大ヒットとなった。 フォリナーは"産業ロック"とか"商業ロック"の代表格と言われる。"産業ロック"という表現は、ロック批評家の渋谷陽一により一般化したもので、商業化によって大衆に媚びることでロック本来の姿が失われている様子を批判したものである。けれども、そうした産業ロックを聴きながら大人になった(?)筆者にとっては、そうした批判は知っていながらも、気がついたら、空気のような普通の存在と化してしまっていた。つまりは"産業ロック"に毒されているだけかもしれないわけだが、この「アイ・ウォナ・ノウ」などはリアルタイムで自然に聴いた全米No. 1ヒット曲といった具合で、現在たまに聴いても違和感もなく、自然にしっくりとくる、そんな曲なのである。 以上のような個人的経験があるのもお含みの上で、ご判断頂きたいが、「アイ・ウォナ・ノウ」は、やっぱり名バラードであると思う。アルバム単位で見れば、これ以前のものの方が出来がいいのは事実だし、この頃からますます売れ先に走ったバンドに不満を持ったヴォーカルのルー・グラムはやがて1990年に脱退するのも確かである(バンド自体は、ルーの一時復帰やメンバーの入れ替えをしながら現在も続いている)。つまりは、フォリナーのバンド史や80年代の音楽シーンの流れの中で見ると、微妙な評価がなされうるのだけれども、この曲を単発で見れば、文句のつけようのない名ロック・バラード曲なわけで、それはそれでいいような気がする。 超有名曲なので断片だけでも聴いたことのある方は多いと思う。一度通して聴いてみてはいかが。[収録アルバム]Foreigner / Agent Provocateur(プロヴォカトゥール~煽動) (1984年)Foreigner / The Very Best And Beyond (1992年)ほか 【メール便送料無料】フォリナーForeigner / Agent Provocateur (輸入盤CD)【★】 (フォリナー) 【楽天ブックスならいつでも送料無料】アンド・ビヨンド(ベスト・オブ) [ フォリナー ]
2009年11月05日
閲覧総数 826
19
![]()
人生迷走(?)はたまた瞑想(?)の地味な好盤 70年代に『明日なき暴走(ボーン・トゥ・ラン)』でブレークし、80年代に『ボーン・イン・ザ・U.S.A.』でスターダムにのし上がったブルース・スプリングスティーン(Bruce Springsteen)。アメリカン・ロック界の寵児から全米音楽シーンの顔と言えるまでになったところで、普通なら、前作を超えるスーパースターらしき作品が出てきそうなものである。わかりやすい例を挙げると、マイケル・ジャクソンが『スリラー』で大人気を博した後には、この流れを進化させたさらなる快作『BAD』という作品をリリースしたように。 けれども、スプリングスティーンの場合は少し違っていた。“アメリカン・ヒーロー”としての存在が政治的(レーガンの選挙キャンペーン)にも利用され(参考過去記事)、本人に迷いが生じた。単純に行ってしまえば、彼は創りだされたヒーロー像を演じることはできず、等身大のアーティストに戻ろうとする。『ボーン・イン・ザ・U.S.A.』のヒットの後、5枚組の集大成ライブ盤を挟んで、1987年に急きょリリースされたのが、バンド演奏というよりは、バンド・メンバーがゲスト的に演奏参加するというスタイルの本作『トンネル・オブ・ラヴ(Tunnel of Love)』だった。 全編通じて大人の男の恋物語(?)風で、1.「エイント・ゴット・ユー」や2.「タファー・ザン・ザ・レスト」のような相手女性へのメッセージ的な曲もあれば、男女の愛の破綻や人生の山(苦難)をテーマにしたような、8.「トゥー・フェイセズ」、10.「ワン・ステップ・アップ」、11.「ホエン・ユー・アー・アローン」もある。途中には、4.「スペア・パーツ」や7.「トンネル・オブ・ラヴ」といった様々な男女の関係を描き出した詞の楽曲が並ぶ。 アーティスト本人の人生の事情と、作品として描き出された楽曲や楽曲群の内容を重ね合わせるというのは、そういう聴き方が好きな人とそうじゃない人がいるだろう。とはいえ、実際のところ、本盤については、スプリングスティーンの人生の迷い具合(迷走&瞑想)がそのまんまに反映されたアルバムになっている。その意味では、アメリカン・ロック界の“ボス”と呼ばれる人の作品だという先入観で安易に手を伸ばすと肩透かしを食らうに違いない。 でも筆者は本盤が好きなのである。全米のヒーローとなり、地位も名声も手に入れた彼が、いま一度、一人の男に戻り、人生の苦悩をそのままストーリーに仕立てた作品。『ボーン・イン・ザ・U.S.A.』でセレブの地位を獲得し、トップ・モデルと結婚し、ちょうど離婚へと向かっていく時期の心情がそのまま反映された作品というわけである。ストーリーテラーとしての原点に返るとともに、その時の人生の苦悩をそのまま作品に反映させるというのは、スプリングスティーンがヒーローを演じ続けられるタイプではない人間だったということの証明だったと言える。 そのようなわけで、スプリングスティーンを初めて聴いてみるには「絶対に」向かない盤。だけれども、彼が曲に描き出す人間的な部分をいいと感じ始めた人には、何が何でも試してもらいたい(その結果、きっと繰り返し聴ける盤になるであろうこと間違いなし)という、ある種特殊な盤である。ちなみに、こんなに特別な思い入れのあるアルバムになった事情を紹介しておこう。リリース当時、筆者が骨折して自宅で動けなかったおかげで繰り返し聴いたというもの。おかげでリリース早々にこの盤の価値がよくわかった。ギプスで動けなかったのはつらかったけど(笑)。 [収録曲]1. Ain't Got You2. Tougher Than the Rest3. All That Heaven Will Allow4. Spare Parts5. Cautious Man6. Walk Like a Man7. Tunnel of Love8. Two Faces9. Brilliant Disguise10. One Step Up11. When You're Alone12. Valentine's Day1987年リリース。 【Aポイント+メール便送料無料】ブルース・スプリングスティーン Bruce Springsteen / Tunnel Of Love (輸入盤CD)【YDKG-u】 下記のランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、ひとつでも“ぽちっと”応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓
2013年04月06日
閲覧総数 2333
20
![]()
ギターとコーラスの美しさに素直に耳を傾ける アメリカ(America)とは何ともベタなグループ名だけれども、実はアメリカで結成されたのではない。ロンドン駐留の米軍で仕事をしていた父親たちとイギリスの母親たちの間に生まれた少年たち3人がアメリカの地を思いながらつけた名前である(ただし、全員かどうかはわからないが、米国は“まだ見ぬ地”という訳ではなかったらしい)。その3人とはジェリー・ベックリー、デューイ・バネル、ダン・ピークであり、ロンドンのアメリカン・スクールの仲間だった。 「名前のない馬(A Horse With No Name)」は、アメリカの1stアルバム所収のシングル曲であると同時に、彼らの代表曲である。細かいことを言うと少々ややこしいのだが、実はセルフ・タイトルのデビュー・アルバム『アメリカ』は1971年末にいったんリリースされ、この曲は含まれていなかった。たが、年が明けてから1972年初頭にシングル「名前のない馬」がヒットし、その結果、この曲を加えてアルバム自体が再リリースされたという経緯を持つ(その結果、同アルバムの邦題も『名前のない馬』となった)。 当時はサウンド面でCSNY(クロスビー、スティルス、ナッシュ&ヤング)と比較されたり、その弟分的に見られたりしたという。確かに、音楽的な展開を考えると、西海岸サウンドの流れの中に位置づけられるというのも納得できる部分はある。また、この曲のタイトルにある“馬”が当時の隠語で“ヘロイン”を意味しており、したがってドラッグ・ソングではないかとの噂も飛んだ(それゆえ話題を集めてヒットにつながったとの見方もある)。 筆者はこの頃をリアルタイムでは知らず、そのせいかもしれないが、最初に聴いて以来ずっとこの曲にはほんの少しの“陰り”を湛えた“爽やかさ”というイメージを抱いている。砂漠を行く無名の馬に乗っての旅。素直にそのメッセージを字義通りに受け、見事なコーラスワークと12弦ギターの響きに身を任せる。そんな素直な聴き方しかしていないのだが、それでも名曲は名曲。他にない美しさを醸し出していると思う。この手のサウンドの曲がヒットしたというのは1970年代初頭ならではの現象だったかもしれない。けれども、時代を反映していながらも、何十年経った現時点でこれだけ懐かしさや素朴さの感覚がすんなり聴き手に届き続けている曲はそう多くない。他にもこのグループの名曲と言えるものはあるのだけれど、この「名前のない馬」はとりわけ、これからも聴き継がれていく名曲なのだろうと思う。[収録アルバム]America / America (1971年)America / History America’s Greatest Hits (1975年、ベスト盤)その他のベスト盤類にも収録。 【送料無料】名前のない馬/アメリカ[CD]【返品種別A】 下記ランキング(3サイト)に参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓ ↓
2010年09月08日
閲覧総数 4128
21
![]()
2枚組ではなく、2枚同時発売の地力(前編) 1980年代、『ボーン・イン・ザ・U.S.A.』で予期せぬ形でヒーローに祭り上げられたブルース・スプリングスティーン(Bruce Springsteen)は、1987年に『トンネル・オブ・ラヴ』を発表後、沈黙に向かっていった。それどころか、1988年には長年一緒に活動してきたバンド(E・ストリート・バンド)を解散してしまい、文字通り迷走(瞑想?)してしまった。 ところが、1992年にその創作意欲が爆発した結果がもたらされる。2枚の新作を同時発売という、ある種、驚きの展開であった。その2枚のアルバムのうち、先に企画されたのが、この『ヒューマン・タッチ(Human Touch)』という作品だった。 前作『トンネル・オブ・ラヴ』の内省的な部分を引き継いでいるように思えるところがこの作品には認められる。表題曲の1.「ヒューマン・タッチ」や4.「クロス・マイ・ハート」、6.「ウィズ・エヴリ・ウィッシュ」や11.「アイ・ウィッシュ・アイ・ワー・ブラインド」なんかはその例と言えるだろう。他方、スプリングスティーン節が全開のロック調ナンバーも見られる。個人的な好みでは、6.「ロール・オブ・ザ・ダイス」や10.「マンズ・ジョブ」はまさしく本領発揮のロック・チューンに仕上がっている。他には2.「ソウル・ドライバー」と5.「グロリアズ・アイズ」も聴き逃がせない好曲である。 上述の通り、E・ストリート・バンドの演奏ではないので、以前やバンド再集合以降の作品の演奏に見られるあの一体感に欠けるのは事実である(ただしロイ・ビタンが全面的に、パティ・スキャルファが一部で参加している)。とはいえ、腕の立つミュージシャン(その中には、ジェフ・ポーカロ、ティム・ピアス、初期E・ストリートのメンバーのデヴィッド・サンシャスなどの名がある)が揃っていて演奏の完成度は非常に高い。なおかつ緩急使い分けられていて、曲数も収録時間も長めだが、誰が聴いても退屈しないように仕上がっているように思う。[収録曲]1. Human Touch2. Soul Driver3. 57 Channels (And Nothin' On)4. Cross My Heart5. Gloria's Eyes6. With Every Wish7. Roll of the Dice8. Real World9. All or Nothin' at All10. Man's Job11. I Wish I Were Blind12. The Long Goodbye13. Real Man14. Pony Boy 1992年リリース。 【メール便送料無料】Bruce Springsteen / Human Touch (輸入盤CD) (ブルース・スプリングスティーン) 次のブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、“ぽちっと”クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓
2018年11月09日
閲覧総数 1458
22

It’s Christmas Time~2018年(その2) ザ・フー(The Who)の名盤『トミー』にさりげなく収録されている(といってもアナログ盤ではB面冒頭なので印象が強かった)けれど、実は「クリスマス」という表題のナンバーを今回は取り上げてみます。 ロック・オペラ『トミー』という作品からすると、三重苦を背負ったトミーのストーリーの一部なわけで、クリスマスをテーマにしていて、“トミー、聞こえるかい”の問いかけに、はじめてトミーが“自分を感じて”と思い始めるという、ロック・オペラのストーリーの一部に該当します。とか何とか言って、筆者的には、クリスマスというよりも、完全に『トミー』の一部というイメージの方が強かったりはするのですが。 ともあれ、同ナンバーの別ヴァージョンもご覧ください。1989年、アメリカ・ツアーでの演奏シーンとのことです。 [収録アルバム]The Who / Tommy(1969年) トミー [ ザ・フー ] 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 “ぽち”応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2018年12月21日
閲覧総数 774
23

500万アクセス記念~いま聴きたい曲(その15) 30回を目標に進めている“いま聴きたい曲”ですが、この15回目で、ようやく折り返し地点ということになります。今回は、1990年代初頭、フィル・コリンズ脱退前のジェネシス(Genesis)にとって最後のスタジオ作となった『ウィ・キャント・ダンス』からのシングル曲です。 「ジーザス・ヒー・ノウズ・ミー(Jesus He Knows Me)」というナンバーですが、この表題は“イエス様は私のことを知っている(=私はイエス様の使い)”と言った意味です。けれども、純粋なクリスチャン的な話とは違っていて、TVで説教をしてお金を集める新興宗教系の布教の怪しさをパロディにしたような内容です。そのような内容とともに、この頃のジェネシスは、ポップさが続きながらもプログレ色がいくぶん戻ってきたような感じがしていて、その後に活動が途絶えた(1996年にフィル・コリンズ脱退、1998年に活動休止)のは、残念な限りでした(その後、2006年に復活するも、数年後にはフィル・コリンズが後遺症から演奏に支障が出て、活動が止まってしまいました)。 さて、もう1本、今度はライヴでのパフォーマンスをご覧ください。往時のライヴ演奏での「ジーザス・ヒー・ノウズ・ミー」です。 [収録アルバム]Genesis / We Can’t Dance(1991年) 【輸入盤CD】Genesis / We Can't Dance (w/DVD) (ジェネシス) 【中古】 ウィ・キャント・ダンス /ジェネシス 【中古】afb ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2020年08月11日
閲覧総数 2013
24

500万アクセス記念~いま聴きたい曲(その29) 日本列島では残暑が続きます。湘南の海でも加山雄三でも、はたまたハワイの海でもサーフ・サウンドでも何でもいいのですが、暑さの中の海を感じる1曲をと考えての選曲です。ついでに時代も感じてしまいますが(笑)、ザ・ベンチャーズ(The Ventures,ザ・ヴェンチャーズ)による有名曲、「ダイアモンド・ヘッド(Diamond Head)」です。 1964年の曲ですので、もはや半世紀以上前の曲ですが、何と言ってもすごいのは、結成から60年以上を経ても今でもこのバンドが存続しているということでしょうか。 かつて日本でもこのサウンドは一世を風靡しました。“テケテケ”というギターが特徴的ですが、ギターでこれをコピーして楽しんだのも、筆者の懐かしい思い出の一部です。 最近の、とは言い難いですが、バンド結成45周年(したがって2000年代初頭)時点のライヴの映像をご覧ください。 [収録アルバム]The Ventures / Walk, Don't Run, Vol. 2(1964年) ↓いずれもこの曲を含むベスト盤です。↓ Ventures ベンチャーズ / Pipeline 〜ventures Best 【CD】 【輸入盤CD】Ventures / Greatest Hits (ベンチャーズ) Ventures ベンチャーズ / プレミアム ツイン ベスト シリーズ ダイアモンド ヘッド〜ベンチャーズ ベスト 【CD】 下記のランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、バナーをクリックして応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓
2020年08月25日
閲覧総数 1218
25
![]()
トロンボーン奏者の密かな好演 ベニー・グリーン(Bennie Green)は、1923年シカゴ生まれのトロンボーン奏者で、1977年に亡くなっている。1950年代から60年代にかけて、自身のリーダー作を多く残したほか、様々なミュージシャンのサイドマンも務めた。ちなみに、同姓同名のピアノ奏者も存在するが、そちらは全くの別人である。 ベニー・グリーンは、J・J・ジョンソンとは違った流れに位置するトロンボーン奏者ということになるが、小気味よいスウィング感、優れた演奏技術、そしてソウル感のあるバックグラウンドを感じさせる演奏の組み合わせがその特徴と言える。本盤『ウォーキング・ダウン(Walking Down)』は、1956年プレスティッジでの吹込み盤で、彼のトロンボーンに加えてテナーが入ったクインテット演奏盤である。 全部で5曲(自作が1曲で、残りはスタンダード曲)が披露されているが、特に素晴らしいのは、前半(LPだとA面)の2曲の演奏。いずれも12分ほどの長めの尺の演奏なのだけれど、1.「ウォーキング」も2.「過ぎし日の夏の思い出(ザ・シングズ・ウィー・ディド・ラスト・サマー)」も、演奏の流れや展開が絶妙で、曲の途中で大きく変化をつける工夫もいい。トロンボーンをしっかり聴かせる部分があるだけでなく、サックスのエリック・ディクソンの見せ場、ピアノがいい味を出す箇所、といった具合で、とにかく聴き手を飽きさせない10数分をそれぞれ展開している。とりわけ、1.のエリック・ディクソンのテナーは聴きどころになっていると言える。 ついでに面白いのは、ベニー・グリーン自作曲の3.「イースト・オブ・ザ・リトル・ビッグ・ホーン」。短いながら、トロンボーンのよさに加え、テナーのエリック・ディクソンの演奏も冴えている。ベニー・グリーンの魅力を楽しみ、なおかつマイナーなサックス奏者エリック・ディクソンのテナーも堪能できるという、決して有名な盤というわけではないかもしれないが、なかなか贅沢な好演奏盤ということができるように思う。[収録曲]1. Walkin' (down)2. The Things We Did Last Summer3. East of The Little Big Horn4. It's You or No One5. But Not for Me[パーソネル、録音]Bennie Green(tb) Eric Dixon(ts) Lloyd Mayers(p) Sonny Wellesley(b) Bill English(ds)1956年6月29日録音。 【中古】 Bennie Green / Eight Classic Albums 【CD】 下記ランキングに参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓
2021年07月01日
閲覧総数 758
26

クリスマス・ソング選2023(その1) 街に出れば、クリスマス向けの曲があちらこちらから聞こえてくる時期になりました。本ブログでも、クリスマス曲をいくつか取り上げてみたいと思います。 最初は、陽気なラテンのクリスマスということで、キューバの歌手セリア・クルス(セーリア・クルース,Celia Cruz)によるナンバーです。セリア・クルスは、1925年キューバのハバナ生まれで、米国で幅広く活動した歌手で、2003年に77歳で没しています。20世紀最大のトロピカル・ミュージックのシンガーとも言われ、“サルサの女王”などの愛称があります。 1961年に “セリア・クルス&ラ・ソノラ・マンテカ”名義で発表された「クリスマスのチャチャチャ(El cha cha cha de la Navidad)」です。 クリスマスが迫ってくるまで、数日おきのペースで更新できれば(あくまで希望的観測)と考えています。何曲ピックアップできるかわかりませんが、ぜひお付き合いください。[収録アルバム]Celia Cruz / Fiesta de Navidad(クリスマスのフィエスタ)(1992年、日本盤) ↓ベスト盤です(今回の曲が含まれるわけではありません)↓ 【輸入盤CD】Celia Cruz / Exitos Eternos (セリア・クルース) 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2022年12月10日
閲覧総数 378
27
![]()
半世紀以上前の音楽的胎動 “1966年×ブルース・ロック”と訊かれて、“ジョン・メイオールとエリック・クラプトン”と答えられるのは、よほどのブルース・ロック好きの人かもしれない。さらに前後を見れば、前年にはポール・バターフィールド率いる名盤『イースト・ウエスト』、翌年にはサヴォイ・ブラウンのデビュー盤など、ブルース・ロック史的には大きな胎動の時期だった。 そんな1966年の盤として、ぜひこれも忘れてはならぬと思うのが、ザ・ブルース・プロジェクト(The Blues Project)の『プロジェクションズ(Projections)』というアルバムである。このバンドは、1964年にエレクトラ・レーベルが企画したその名も“ザ・ブルース・プロジェクト”に端を発し、そこにあのアル・クーパーも合流していく。 実はこの盤は厳密な意味では、ザ・ブルース・プロジェクトのファースト作ではない。1965年末に録音され、66年になってから発売されたライヴ盤がデビュー作であった。その時点でメンバーだったトミー・フランダース(ヴォーカル)は脱退し、仕切り直しでアル・クーパー(Al Kooper)とダニー・カルブ(Danny Kalb)をヴォーカルとしてアルバム制作を行う。その結果が、最初のスタジオ録音作となる本盤だったというわけである(結局、アル・クーパーもその2年後には抜けていってしまうわけだけれど)。 全体的な印象としては、ムーディーなブルースを志向している曲が多めで、演奏面で決して“派手でない”。とはいえ、結果的にはそれがいいと言えるように思う。もう少し踏み込んで言えば、上記のメイオール盤やバターフィールド盤と比べて、それほどまでの“勢い”がない。ギター(ダニー・カルブに加え、スティーヴ・カッツ(Steve Katz)がギターとハーモニカを担当)が出しゃばり過ぎないないというのも、それを表していると言えるのかもしれない。“派手さがない”というのは、別に悪い意味で言っているわけではなくて、実のところは、意図的なものだったのではないかと感じている。つまりは、ノリで聴かせる部分を敢えて抑え、腰を据えて聴くタイプの、より“玄人”なリスナーを意図していたのではないだろうかと思ってみたりもする。 ぜひ注目してほしいナンバーとしては、まずは、1.「泣かずにいられない」。派手にならず地味な曲調でじっくり聴かせる点と、ハモンドオルガンのカッコよさが個人的には強く印象に残る。あとは、4.「二つの列車」に見られるような、まったりとした雰囲気が個人的には好みである。この“まったり感”というべきものは、表題通り大幅にフルートをフィーチャーした7.「フルート・シング」なんかでも面白い形で展開される。さらに、上記1.と並ぶスリリングさという点では、8.「やさしく抱いて」、同じく上述の“まったり感”という観点では、9.「フライ・アウェイ」もお勧めと言えるように思う。 [収録曲]1. I Can't Keep from Crying2. Steve's Song3. You Can't Catch Me4. Two Trains Running5. Wake Me, Shake Me6. Cheryl's Going Home7. Flute Thing8. Caress Me Baby9. Fly Away1966年リリース。 プロジェクション(モノ・ミックス) [ ザ・ブルース・プロジェクト ] 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2023年08月22日
閲覧総数 401
28
![]()
渾身のデビュー作 テン・イヤーズ・アフター(Ten Years After)は、一昨年(2013年)死去したアルヴィン・リーが中心となって1960年代に形成されたイギリスのブルース・ロック・バンド。その命名には“10年後も続くように”との願いが込められていたらしいが、結局は10年持たずに(1974年)解散していくことになる(なお、バンドとしては、後に再結成され、アルヴィン・リー以外のメンバー主導となってメンバーチェンジをしながら現在存続している)。 そんな彼らのデビュー作がセルフタイトルの本盤『テン・イヤーズ・アフター(Ten Years After)』である。プロデューサーに迎えられたのはマイク・ヴァーノン。この人物は、当時のブルース・ロック・シーンの牽引者で、本盤の前年には『ブルースブレイカーズ・ウィズ・エリック・クラプトン』のプロデュースに携わったほか、フリートウッド・マック(例えばこちら)、チキン・シャック、サヴォイ・ブラウン(例えばこちら)らの初期作も手掛けている。テン・イヤーズ・アフターの作品としては、本盤でガス・ダッジョンと共にプロデュース、さらに第2作にあたるライヴ盤『アンデッド』、さらには第3作の『ストーンヘンジ』もマイク・ヴァーノンのプロデュースである。 本作の全般的特徴としては、ブルース・ロックらしい勢いと“音の塊”といった印象が挙げられる。それに加えて特徴となっているのとしてが、アルヴィン・リーの速弾きプレイを含むギターワーク。4.「スプーンフル」(ウィリー・ディクソン作)はその典型であり、ちょうど前年にクリームがデビュー作で取り上げていた曲で、本盤収録曲の中でも聴き逃せない1曲。さらにソニー・ボーイ・ウィリアムソンIIの9.「ヘルプ・ミー」の気迫と渾身の演奏も必聴。他に個人的好みとしては、ブルース・ロックの王道といった雰囲気の1.「アイ・ウォント・トゥ・ノウ」がお気に入り。 他方、よく言われるように、アルヴィン・リーはそもそもジャズ好きの両親の家庭に育った。つまりブルース、ロックという素養以外に音楽ジャンルを越えたプレイやアプローチが見られるのも、このバンドが時折垣間見せる魅力だと思う。そんなジャンルに縛られない側面が現れているナンバーとしては、3.「若者の冒険(アドヴェンチャーズ・オブ・ア・ヤング・オーガン)」がおもしろい。[収録曲]1. I Want to Know2. I Can't Keep from Crying, Sometimes3. Adventures of a Young Organ4. Spoonful5. Losing the Dogs6. Feel It for Me7. Love Until I Die8. Don't Want You, Woman9. Help Me1967年リリース。 【楽天ブックスならいつでも送料無料】【輸入盤】Ten Years After - Remaster [ Ten Years After ] 次のブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、“ぽちっと”クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓
2015年02月16日
閲覧総数 589
29
![]()
12月の詩(うた) ~その2~ 前回のSION「12月」に続き、邦楽の"12月もの"をもう1曲取り上げたい。曲のタイトルは同名だけれども、今回は漢字表記で「十二月」。1988年発表の中島みゆきのアルバム『グッバイ・ガール』からの1曲である。いわゆる"ご乱心"直後の時期のアルバムで、曲によってはロック色もわりに濃い作品である。収録曲の中には美しい曲も複数含まれているのだけれど、とりわけ異色な輝きを放っているのが、この「十二月」である。 ドラマチックな曲調の中、とにかく歌詞が暗い。のっけから「自殺する若い女が この月だけ急に増える/それぞれに男たち 急に正気に返るシーズン」である。話は少し脱線するが、中島みゆきの"暗い歌"といえば、「うらみます」(1980年の『生きていてもいいですか』に収録)が有名である。けれども、「うらみます」と「十二月」の間には根本的に違っている点がある。それは、「うらみます」が1人称で語っているのに対し、この曲は客観的に3人称を語る形式という点である。実際の詞を見ると、「うらみます」では、「うらみます あんたのこと 死ぬまで」と"私"が主語になっているのに対し、この「十二月」では、「何万人の女たちが あたしはちがうと思いながら/何万人の女たちと 同じ時がついてしまう月」といった具合だ。 思うに、中島みゆきの詩人としての真骨頂はこうした第三者的語りの中によく見られる。そしてヴォキャブラリーの豊富さと、時折はっとさせられる詞的技法が組み合わさって、鋭い風刺や世の中に対する見方となって現れているように感じる。こうした観点から優れた曲と言える中島みゆきの作品は、他にたくさんあると思うのだけれど、この曲に関して述べれば、クリスマス・年末といった世の中の騒ぎの中で、世間が触れたがらない暗い部分を平然と歌ってのけるところに魅力があるのだろう。 上の冒頭部分の詞の後のフレーズは、「大都会の薬屋では 睡眠薬が売り切れる」というものだが、その後には「なけなしのテレビでは 家族たちが笑っている」という鋭い風刺めいた詞が続く。かと思うと、セカンド・ヴァースでは、実にストレートに「付き添いの誰もいない女たち 運ばれてゆく」と歌ってみせる。最後は「人恋しと泣け 十二月」と各ヴァースを締めくくる。 暗い内容ではあるが、詩人としての中島みゆきの本領が発揮された曲の一つだと思うし、12月に年末を迎える喧騒の中、世のこうした"暗い側面"にも目を向けるいいきっかけの曲かもしれない。[収録アルバム]中島みゆき 『グッバイガール』 (1988年)関連記事へのリンク:12月の詩(うた) ~その1~ へ 【送料無料】グッバイ・ガール/中島みゆき[CD]【返品種別A】 ↓ ランキングサイトへのリンクです。↓ ↓ 気に入ったらぜひクリックで応援お願いします! ↓
2009年12月30日
閲覧総数 2089
30
![]()
いろいろ意見はあるけれど、バランスのとれたライブ盤 この時期のマイルス・デイヴィスのライブ演奏盤として有名なのは、『フォア&モア』と『マイ・ファニー・バレンタイン』の二部作で、これらは同じライブ演奏の音源を一定のコンセプトに沿って2つに分けてアルバム化したものである。つまり、前者には躍動感ある楽曲群を集め、後者には、よりおとなしめのバラード曲などを配置したというものだ。これら2枚は数あるマイルスの実況盤の中でも名盤として知られ、実際にそれぞれが見事な演奏を収録している。けれども、見方を変えれば、コンセプトにそった選曲という要素が濃く、その結果、各々の盤の曲の傾向に偏りがある。これに対し、本盤『マイルス・イン・トーキョー(Miles In Tokyo)』(演奏は1964年だが、レコード化されたのは1969年)は、この頃のマイルスのライブ演奏がより自然な雰囲気に近い形で再現されたものであり、そのバランス感ゆえに、筆者にとってはたまに聴きたくなるアルバムとなっている。 本盤の欠点としてよく指摘されることとして二点ある。一つはサム・リヴァースの参加である。サム・リヴァースというテナー・サックス奏者は、ドラムのトニー・ウィリアムスの推薦でクインテットに迎えられた。ところが、マイルスが本当にメンバーに迎え入れたかったのはウエイン・ショーターであった。この演奏からの帰国後のマイルスには、ショーターの移籍OKとの返事が待ち受けており、結果的に、サム・リヴァースはわずか1カ月ほどでこのクインテットを去ることになる。確かにこの当時のマイルスが目指していた音楽にはマッチしない人選だったということなのだろう。 もう一つ本盤が時として非難を浴びるのは、マイルスの演奏そのものである。アドリブがアドリブなのか、はたまたルーティーン化したいつものフレーズとなっているのかよくわからないような演奏だと言われる。マイルスを神格化する人の中には、“安定を嫌う”、“常に進化を目指す”という風に言う人もいるけれども、個人的には、混乱の中から新たなものはそう簡単に生まれてこないように思う。安定、つまりはある種の定式化が一定レベル存在して初めて進化が生まれる。その意味で、、マイルスのパターン化されたアドリブはそうした“安定”の一端だったのかもしれないように感じる。 実際、この演奏を聴いてみると、サム・リヴァースがしばしば“はみ出している”。ピアノのハービー・ハンコックなどはその“はみ出し具合”につられている場面もあるのだけれど、マイルスの方はいたってマイペースで、やはり上記のように安定した中でどんな新たなものをクリエートしていくかを見据えていたのではないかと感じる。こう考えながら、本盤の演奏を聴くと、マイルスが(無論いい意味で)“手を抜いて”パターン化された演奏をしている部分と、ここぞとばかりに狙い撃ちやたたみかける効果的演奏をやっている場面とがあることがわかる。そして、その“狙い”の部分のマイルスの演奏は滅法カッコよく、繰り返し聴いてもぞくぞくさせてくれるものだ。 いずれにせよ、1964年はマイルスのライブ演奏が冴えわたっていた時期だった。それは、ライブの中でこそ次の進化が生まれてくるという確信に基づいていたのだろう。そうした“安定の中での進歩”という概念は、毛色の違うサム・リヴァースすら飲み込んでしまうものだった。アップテンポありスロウあり、静けさもあれば豪快さもある、バランスのとれたライブ盤で、巷の評だけでスルーしてしまうのはもったいない1枚だと思う。[収録曲]1. Introduction / If I Were A Bell2. My Funny Valentine3. So What4. Walkin’5. All Of You[パーソネル・録音]Miles Davis (tp)Sam Rivers (ts)Herbie Hancock (p)Ron Carter (b)Tony Williams (ds)1964年7月14日、新宿厚生年金会館でのライブ録音。 【楽天ブックスならいつでも送料無料】マイルス・イン・トーキョー [ マイルス・デイビス ] 下記3つのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、ひとつでも“ぽちっと”応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓ ↓
2011年03月01日
閲覧総数 2857
31

It’s Christmas Time~クリスマスソング集(その7) うってかわって、再び“しっとりな”洋楽クリスマス・ソングを取り上げたいと思います。ロック界の姉御ことクリッシー・ハインド率いるプリテンダーズ(The Pretenders)によるクリスマス・ナンバーです。 彼らには「2000マイルズ」という、クリスマスによく取り上げられる名ナンバーもあるのですが、今回はこちらのカバー曲を選んでみました。元々は1940年代にミュージカル映画用にレコーディングされ、後にフランク・シナトラが歌って定番曲となり、現在まで様々なアーティストによってカバーされてています。 クリッシー・ハインドのヴォーカルはシャウト系でもなく、声質もストレートで澄んだ感じなので、こういう曲をやるときれいに決まりますね。比較的最近(といってももう5~6年はなるでしょうか)では、クリスティーナ・アギレラもこれをやっていましたが、少々ねっとりしすぎていて、個人的にはこのプリンテンダーズのヴァージョンのようなシンプル&クリアなものの方が好きだったりします。 ちなみに、上記のオリジナルはジュディ・ガーランド(Judy Garland)による、『若草の頃(Meet Me In St. Louis)』の挿入歌です。せっかくですので、そちらもよろしければご覧ください。 [収録アルバム]Various Artists / A Very Special Christmas(クリスマス・エイド1)(1987年) 【RCP】【Joshinはネット通販部門1位(アフターサービスランキング)日経ビジネス誌2013年版】【送料無料】クリスマス・エイド/オムニバス[CD]【返品種別A】 次のブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、“ぽちっと”クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓
2013年12月19日
閲覧総数 1560
32
![]()
聴き手の心を鎮めて癒す超名盤 ケニー・ドーハム(Kenny Dorham, 1924年生まれ1972年死去)という人は、不遇なジャズ奏者だと思う。いろんな録音に参加しつつも脇役としてしか認知されず、自分のグループ(ジャズ・プロフェッツ)を形成するも長持ちせず、50歳手前で亡くなったせいもあって、“往年のジャイアンツ”的な存在となることもなかった。ところが、そんな中、わが国のジャズ・ファンは彼に熱い眼差しを向けてきたため、日本では比較的認知された存在である。米国での評価と日本での評価(と一面的に言いきれない部分もあろうが)の違いは、どこから来るのであろうか。よく言われるように、ドーハムはとりたてて革新的なプレーヤーではなかった。その点で評価が高くならないのはわからないでもない。しからば、何が日本人に受けてきたのか。このアルバムを聴けば、納得する人は多いはずだと感じる。 『静かなるケニー(原題:Quiet Kenny)』は、タイトルからわかるように、“静かな”演奏を集めたものである。別の有名盤『アフロ・キューバン』が熱く明るい方の彼であるとすれば、本盤は静かで物悲しい方の彼である。メンバーは、トミー・フラナガン(ピアノ)、ポール・チェンバース(ベース)、アート・テイラー(ドラム)の3人に、ケニー・ドーハムのワン・ホーンという編成。つまりは、安定した最高のリズムセクションの上にケニー・ドーハムの存在が際立っている。そのプレイは平凡と言えば平凡なのだが、“ありきたり”というわけではない。静かにめらめらと揺れる炎、内に秘めた情念みたいなものが演奏の向こう側に透けて見える。そして、普通に吹いているようでいて、人の心を鎮め落ち着かせるようなトーンが聴き手に投げかけられる。 1.「蓮の花(ロータス・ブロッサム)」の音色に癒しを感じられるかどうか。2.「マイ・アイディール」が醸し出す雰囲気にリラックスして入り込めるか。3.「ブルー・フライデイ」で思わず中空を見つめぼーっとしてしまえるか…。延々書いても仕方ないので、以下は省略するが、要するに、この雰囲気自体に入り込めるか(あるいはそのフィーリングを塊として受け入れられるか)が、本盤をいいと感じるか否かの最初の境目なのだと思う。その際に、ジャズの“進歩”や“進化”、演奏内容の“革新度”を真剣に考えすぎる聴き手は、先に述べたような決して高くはない評価を与えることになるのだろう。また、米国での注目度の低さは、単に米国人の中にこのフィーリング自体に馴染まない人が多いということなのかもしれない。この陰気くさい雰囲気もまたジャズであると筆者は思うのだが、それをまず認めてからでなければ好きになれない、ある意味では厄介な盤とも言える。 いずれにしても、そのフィーリングをいち早く嗅ぎとった日本のファンは、目ざとかった。米国ではメジャーにならない盤を、本邦では名盤に仕立て上げた。『静かなる~』という巧みな邦題も人気に寄与したのだろう。日本での評価に間違いはなかったと思う。いったんはまってしまえば、目を閉じて、ゆっくりと癒されるしかない。そうなれば、一気に最後の8.「マック・ザ・ナイフ」(別名を「モリタート」と言い、ソニー・ロリンズの『サキソフォン・コロッサス』に収められた演奏が有名)まで、時間の流れの止まったかのような一時を過ごすことができる。目を閉じて静かに癒されたい人にお勧めしたい一枚。[収録曲]1. Lotus Blossom2. My Ideal3. Blue Friday4. Alone Together5. Blue Spring Shuffle6. If I Had The Craziest Dream7. Old Folks8. Mack The KnifeKenny Dorham (tp)Tommy Flanagan (p)Paul Chambers (b)Art Taylor (ds)録音: 1959年11月13日New Jazz 8255 【楽天ブックスならいつでも送料無料】静かなるケニー [ ケニー・ドーハム ] 下記ランキング(3サイト)に参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓ ↓
2010年03月25日
閲覧総数 3037
33

200万アクセス記念 いま聴きたいあのナンバー~拡大版(22/30) 今回は、デトロイト出身のアメリカン・ロッカー、ボブ・シーガー(Bob Seger)のナンバーです。最近は好爺な外見になりつつも相変わらず演奏を続けている彼ですが、全盛期はというとやはり70年代から80年代までという印象でしょうか。とはいえ、今回は敢えて1990年代に入った頃のアルバムに収められたこのナンバーです。 この頃は人気のピークは過ぎていたのかもしれません。けれども、円熟味が増して若い頃の勢いだけではないいい魅力が出てきた頃だったと、今になってみて思ったりしています。 でもって、最近のこの曲のライヴ映像を探しては見たのですが、どうも見当たりません。と言っても、引退したわけでもないし、ボブ・シーガーは相変わらず元気に活動しているはずなのですが…。 そんなわけで、別の曲ではあるのですが、今年(2017年)のライヴ映像をもう一つ取り上げたいと思います。「ロール・ミー・アウェイ」という、過去に取り上げたことのあるナンバーです。しばらく前からは座って演奏することも増えたボブ・シーガーですが、ライヴのオープニングらしきこの映像では、直立の往年を思わせる雄姿を見せています。 [収録アルバム]Bob Seger & the Silver Bullet Band / The Fire Inside(1991年)←「テイク・ア・チャンス」収録 Bob Seger & the Silver Bullet Band / The Distance(1980年)←「ロール・ミー・アウェイ」収録 ↓『ファイアー・インサイド』は絶版の模様。以下は2つめの曲のオリジナル収録アルバム。 【輸入盤】Distance [ Bob Seger ] 下記ランキングに参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓
2017年11月17日
閲覧総数 560
34

カーティス・フラー追悼(後編) 前回記事に続き、ジャズ・トロンボーン奏者、カーティス・フラー(Curtis Fuller)追悼の後編です。彼の精力的な吹き込みは、特に1950年代後半から1960年代初頭に集中しており、筆者のお気に入りもそのあたりに集中していますが、2000年代に入っても演奏を続け、70歳代後半や80歳過ぎになっても、亡くなって妻に捧げたアルバム(2011年の『ストーリー・オブ・キャッシー・アンド・ミー』)などに見られるように吹き込みを残しました。 つい先日(2021年5月8日)、デトロイトの介護施設で息を引き取られたとのことですが、以下、一気に半世紀以上(というか60年超ですね)の時をさかのぼり、在りし日の演奏に耳を傾けてみたいと思います。 まずは、「ジュディフル(Judyful)」です。これが収録されているのは、『イメージズ・オブ・カーティス・フラー』という1960年のサヴォイ盤です。実に彼らしい演奏で、「ファイヴ・スポット・アフター・ダーク」、「12インチ」など『ブルースエット』に含まれる複数のナンバーと並んで、個人的に好きな演奏の一つです。 続いては、少し趣向の異なる「べサメ・ムーチョ(Bésame Mucho)」というラテンの有名曲です。カーティス・フラーは、1961年にズート・シムズを迎えて『サウス・アメリカン・クッキン』というラテン風味盤を吹き込んでいるのですが、その中に収められているものです。 最後は、「オスカリプソ(Oscalypso)」という曲です。ブルーノートから出された最初のリーダー作品『ジ・オープナー』(1957年吹き込み)に収録されています。 年齢を考えれば、天命を全うしたということなのかもしれませんが、カーティス・フラー死去というのが悲しい報せであることに変わりはありません。偉大なジャズ・トロンボーン奏者のご冥福をお祈りいたします。R.I.P. 【中古】 ジ・オープナー /カーティス・フラー,ハンク・モブレー,ボビー・ティモンズ,ポール・チェンバース,アート・テイラー 【中古】afb [期間限定][限定盤]サウス・アメリカン・クッキン/カーティス・フラー[CD]【返品種別A】 【中古】イメージス / カーティス・フラー ブルースエット [ カーティス・フラー ] Curtis Fuller カーティスフラー / Eight Classic Albums 輸入盤 【CD】 ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2021年05月15日
閲覧総数 897
35

INDEXページ(ジャンル別、アーティストのアルファベット順)を更新しました。ここ最近の記事を追加しています。INDEXページへは、下のリンク、もしくは本ブログのトップページ(フリーページ欄)からお入りください。 アーティスト別INDEX~ジャズ編(A-G)へ → つづき(H-M)・つづき(N-Z) アーティスト別INDEX~ロック・ポップス編(A-B)へ → つづき(C-D)・つづき(E-I)・つづき(J-K)・つづき(L-N)・つづき(O-S)・つづき(T-Z) アーティスト別INDEX~ラテン系ロック・ポップス編(A-L)へ → つづき(M-Z) アーティスト別INDEX~邦ロック・ポップス編へ 下記ランキングに参加しています。応援くださる方は、各バナー(1つでもありがたい です)をクリックお願いします! ↓ ↓
2021年07月18日
閲覧総数 366
36
![]()
死後10数年を経て世に出たお蔵入り盤 兄リチャードと妹カレンによるデュオ、カーペンターズ(Carpenters)のカレン・カーペンター(Karen Carpenter)による初ソロ作となるはずだったのが、1980年に一度は完成した『遠い初恋(Karen Carpenter)』というセルフタイトル作(邦題は、収録ナンバーの邦訳がそのままアルバムのタイトルとなっている)である。 本盤作成の経緯というのは、次のようなものだった。1979年、薬物依存症からの回復のため、カンザス州のリハビリ施設に留まり、カーペンターズの活動は一時的に休止することになった。その間にカレンはニューヨークへ渡り、フィル・ラモーンをプロデューサーとしてソロ作の制作に取り掛かった。けれども、完成したアルバムは、レコード会社(A&M)にとっても、兄リチャードにとっても納得のいくものではなく、結局カレンは発表しないことを決断してお蔵入りとなった。 1983年のカレン死去の後、本盤の収録曲のうち1.「ラヴラインズ」などいくつかのナンバーは、未発表曲集アルバム『ラヴラインズ』に収められた。そして、カレンの没後13年が経った1996年、お蔵入りとなった1980年作の本盤は正式リリースとなった。その背景には、日本でカーペンターズのリヴァイヴァルがあり、これに伴って日本だけでなく米国でもリリースされることになったらしい。 お蔵入りとなったこのアルバムのどこがよくなかったのか。その当時はカレンも悩んでいたというが、全体としてカーペンターズと大きく作風が違っているのは明白である。1980年頃のディスコ調サウンドやフュージョン的なサウンドが特徴的である。このイメージチェンジの捉え方は、聴き手によってさまざまなのだろうけれど、少なくとも当時のレーベルや兄リチャードには前向きに捉えられるものではなかったということなのだろう。カレンの没後となっては、貴重な音源ということでリリースされたが、聴衆にとってみれば、おそらくはカレンの歌声がさらに聴けてよかったという人もいれば、カーペンターズとのイメージの違いに違和感を感じる人もいるという、そんな作品と言えるのかもしれない。[収録曲]1. Lovelines2. All Because of You3. If I Had You4. Making Love in the Afternoon5. If We Try6. Remember When Lovin' Took All Night(愛の想い出)7. Still in Love With You8. My Body Keeps Changing My Mind9. Make Believe It's Your First Time(遠い初恋)10. Guess I Just Lost My Head11. Still Crazy After All These Years(時の流れに)12. Last One Singin' the Blues1996年リリース。 遠い初恋 [ カレン・カーペンター ] 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2022年02月11日
閲覧総数 610
37
![]()
詩人サビーナの魅力が詰まった一枚 ホアキン・サビーナ(Joaquín Sabina,本名ホアキン・ラモン・マルティネス・サビーナJoaquín Ramón Martínez Sabina)は、1949年、スペイン南部出身のシンガーソングライター。若い頃には、文学を学び、フランコ独裁体制に抗してロンドンへ亡命するなどした経歴を持つ。フランコの死後に帰国し、1970年代末から現在まで音楽活動を続けている。その一方、詩人としても活動していて、詩集を出版したりもしている。 スペインのアーティストで、アルバムもたくさんあるので、限られた数の盤しか聴いていない。とはいえ、筆者は、ある時からホアキン・サビーナの世界に引き込まれていった。その最大の理由は、詩的世界の強さにあるように感じる。 冒頭の1.「ノ・ペルミタ・ラ・ビルヘン」からして、詩的な歌/語りの世界が展開される。2.「バモノス・パル・スール」のようにアップテンポの曲もあれば、13.「カマス・バシーアス」のようにラテン・スタンダード風の曲調のナンバーもある。これらを含めてどの曲も素晴らしいのだけれど、やはりアルバムの神髄は、作曲して自分で歌ってしまう詩人としてのサビーナの本領発揮の部分にあると思う。そうした観点からすると、上記の1.と併せて、3.「ラ・カンシオン・マス・エルモサ・デル・ムンド(世界でいちばん美しい歌)」、6.「ぺセス・デ・シウダー」、12.「クアンド・メ・アブラン・デル・デスティーノ」なんかが核になっていると言っていいだろう。 余談ながら、こうしたサビーナの魅力に主眼を置くならば、本盤のジャケットは少々ミスマッチな気がしなくもない。試合を終えたばかりのボクサーのような姿をしたサビーナ自身の写真がジャケット表面で、裏ジャケットもガウンを着たボクサー姿である。もっと詩的世界を表現するような、いわば“アーティスティック”なジャケットでもよかったのではないかと思う。実際、筆者もリリース当時にこの盤を見かけたのだけれど、ジャケットの印象から直感的に購入を後回しにしてしまった(今となっては後悔)。そんなわけで、ジャケット・イメージと盤の魅力は決して一致していないかもしれない、ということをぜひ記しておきたいとも思った次第である。[収録曲]1. No permita la Virgen2. Vámonos pa'l sur3. La canción más hermosa del mundo4. Como un dolor de muelas5. 69 punto G6. Peces de ciudad7. El café de Nicanor8. Lágrimas de plástico azul9. Yo también sé jugarme la boca10. Arenas movedizas11. Ya eyaculé12. Cuando me hablan del destino13. Camas vacías14. Semos diferentes2002年リリース。 Joaquin Sabina / Dimelo En La Calle 輸入盤 【CD】 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2022年09月02日
閲覧総数 326
38

70年代ロック&ポップス名曲選~Part 8(その4) 再び1970年代初頭のナンバーを取り上げます。ブレッド(Bread)というのは、デヴィッド・ゲイツ、ジェイムス・グリフィン、ロブ・ロイヤー(ロイヤーは1971年にラリー・ネクテルにメンバー交代)の3人が1960年代末に結成したバンド。1970年には、ドラムのマイク・ボッツも加入して、4人体制になっています。ゲイツとグリフィンの二人による美しいヴォーカル、ポップやソフトなロック調の演奏で人気を博しました。 そんな彼らのヒット曲の一つで、1972年のアルバム『ギター・マン(The Guitar Man)』に収録された同名曲が今回のナンバーです。シングルとして、ビル―ボード11位、キャッシュボックス10位という記録を残している楽曲です。 結局、この少し後にゲイツがバンドの解散を発表し、その歩みは止まってしまいました。1976年、1996年に期間限定で活動を再開したものの、本格的なバンド復活はありませんでした。解散時のメンバーのうち、グリフィンとボッツは2005年に、ネクテルは2009年に亡くなっており、ゲイツもこの前後に引退してしまっています。 ともあれ、以下の映像を見ながら、かつてのブレッドの雄姿を振り返ってみたいと思います。 [収録アルバム]Bread / The Guitar Man(1972年) 【輸入盤CD】Bread / Guitar Man: The Best Of【K2017/11/17発売】(ブレッド) 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2023年09月14日
閲覧総数 582
39

70年代ロック&ポップス名曲選~Part 8(その5) 1970年代半ば、1976年のデュエット・ナンバーです。華々しいスター街道を歩んでいたエルトン・ジョン(Elton John)が、同じくイギリス出身の女性シンガー、キキ・ディー(Kiki Dee)と組んでヒットさせた「恋のデュエット(Don’t Go Breaking My Heart)」です。イギリスでは6週連続で1位、アメリカでも4週連続で1位という特大ヒット曲となりました。 続いては、ライヴでの歌唱もお楽しみください。ヒットから四半世紀近く、2000年のニューヨーク、マジソン・スクエア・ガーデンでのステージの様子です。 余談ながら、この曲はシングルとして発売され、70年代当時のどのアルバムにも収録されませんでした。エルトン・ジョン名義のアルバムに収められたのは、ずっと後の1993年のことでした。『デュエット・ソングス(原題:デュエッツ)』というのがそのアルバムなのですが、こちらの方には別のシンガーとのデュエットが収められています。そのようなわけで、最後に、同盤収録のル・ポール(RuPaul,有名なドラァグクイーン)と共演しているヴァージョンをお聴きください。いくつものパターンの衣装で登場しており、二人ともなかなかの弾けっぷりです。 [収録アルバム]Elton John / Duets(1993年) 【中古】 【輸入盤】DUETS/エルトン・ジョン 【中古】afb ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2023年09月15日
閲覧総数 1734
40
![]()
ギター・ヒーローのカッコよさ満載の推奨盤 ゲイリー・ムーア(Gary Moore)は、1952年北アイルランドはベルファスト出身のロック・ギタリストで、2011年に心臓発作により58歳で没している。1960年代末のスキッド・ロウ加入をはじめ、1970年代にはシン・リジィでの活動、1990年代にはブルースへの回帰と、ギタリストとして多様に活動した。 本盤『ワイルド・フロンティア(Wild Frontier)』は、いわゆる“ギター・ヒーロー期”のもので、1987年にLPとCDの両方でリリースされた。本人によれば、“アイルランドの伝統音楽へのオマージュ”とのことであるが、1980年代当時のきらびやかなサウンド作りの時勢もあってか、現在からするとケルト音楽の影響的なものが決して前面に出ている感じではない。また、ドラムマシンの使用が本作のマイナス要素とされることもあるが、筆者的にはとにかく文句なしにカッコいいギター・ヒーロー盤というのがずっと変わらぬ印象である。 お薦めの曲を中心に何曲かに触れておきたい。1.「望郷の果て(オーヴァー・ザ・ヒルズ・アンド・ファー・アウェイ)」は、このアルバムの雰囲気を代表する1曲。先行シングルとして英チャートで20位となったほか、北欧で大ヒットし、特にノルウェーのシングルチャートでは7週連続1位になったとのこと。表題曲の2.「ワイルド・フロンティア」(12インチ・ヴァージョンも5.として収録)は、とにかく疾走感を含む曲調とギターのカッコよさが見事に組み合わされたナンバー。 インスト曲の4.「ザ・ローナー」は、本盤の大きな聴きどころの一つ。コージー・パウエルのアルバムに収録された曲のカバーだが、ムーアの自在なギター・プレイが堪能できる。後半(LPのB面)は出来がやや小粒な感じのナンバーもあるが、注目したいのは、伝統音楽を意識した9.「ジョニー・ボーイ」。さらに、少々余談ながら、CDのみに収録された11.「クライング・イン・ザ・シャドウズ」は、ムーアが本田美奈子に提供した「the Cross -愛の十字架-」のセルフ・カバーだったりする。[収録曲]1. Over the Hills and Far Away2. Wild Frontier3. Take a Little Time4. The Loner5. Wild Frontier -12" version-6. Friday on My Mind7. Strangers in the Darkness8. Thunder Rising9. Johnny Boy10. Over the Hills and Far Away -12" version-11. Crying in the Shadows*5.,10.,11.はCDでの追加トラック。1987年リリース。 ワイルド・フロンティア [ ゲイリー・ムーア ] ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2024年01月20日
閲覧総数 349
41
![]()
カントリーに傾倒したコステロ盤 デビュー以来、エルヴィス・コステロ(Elvis Costello)は年に1枚のペースでアルバムを発表していったが、1981年は年頭に『トラスト』を発表し、さらに秋になってもう1枚、この『オールモスト・ブルー(Almost Blue)』というアルバムを発表した。コステロ自身としては通算6枚目、エルヴィス・コステロ&ジ・アトラクションズ(Elvis Costello & The Attractions)名義としては5枚目のオリジナル作となった。 表題の“オールモスト・ブルー(ほぼブルー)”というのを耳にすれば、なんだかブルージーな演奏を想像する人が多いかもしれない。けれども実際に聴いてみればすぐさまわかるように、見事なまでのカントリー曲集である。事のいきさつはと言うと、コステロ自身によれば、メランコリーを主題とした様々な曲からなるアルバムを作ろうと考え、このタイトルにしたのだという。ところが実際にアルバムを制作する段になると、カントリーに魅かれていってこのような内容の作品になったのだという。 そのようなわけで、デビュー当時の作風とはかなり雰囲気の異なる楽曲・演奏が繰り広げられている。実際、当初のLPジャケには“警告:このアルバムにはカントリー&ウエスタンが含まれており、了見の狭い人はラディカルな反応を起こすかもしれません”と記されたシールが貼られていたという。確かに、ニュー・ウェーヴや“怒れる若者”を求めるファンは面食らうことになるが、コステロのキャリア、作風の幅を考えたとき、このアルバムはきっと大きな意味を持つものだったんじゃないかと思う。さらに、後世の作品も聴いてから再びこの盤に戻った筆者は、最初に聴いた印象よりもはるかにすんなりとこれらの楽曲を楽しめた。 本盤からは都合3曲がシングル・リリースされた。本盤全体を通して見られるコステロの歌心が存分に発揮された7.「グッド・イヤー・フォー・ザ・ローゼズ」は、英チャートで6位(さらにアイルランドでは5位)となった。残る2曲のシングルは、2.「スウィート・ドリームス」、4.「アイム・ユア・トイ」だった。 なお、蛇足ながら、1994年のリイシュー時には、元の収録曲数がほぼ倍増するほどのボーナス・トラックが加えられた。アバディーンでのライヴ、アウトテイク曲、さらにはシングル発売されたロイヤル・アルバート・ホールでの4. (これがなかなかの名バラードだったりする)のライヴ・テイク、あわせて11曲が追加収録されている。[収録曲]1. Why Don't You Love Me (Like You Used to Do)?2. Sweet Dreams3. Success4. I'm Your Toy5. Tonight the Bottle Let Me Down6. Brown to Blue7. Good Year for the Roses8. Sittin' and Thinkin9. Colour of the Blues10. Too Far Gone11. Honey Hush12. How Much I Lied1981年リリース。 【輸入盤CD】Elvis Costello / Almost Blue (エルヴィス・コステロ) 【中古】 【輸入盤】Almost Blue/エルヴィス・コステロ&ジ・アトラクションズ 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2024年05月01日
閲覧総数 343
42

70年代ロック&ポップス名曲選~Part 9(その9) 今回はビリー・ジョエル(Billy Joel)の曲ですが、決してメジャーなナンバーというわけではありません。大ヒットアルバム『ストレンジャー』の収録曲で、シングル「ムーヴィン・アウト」のB面(米盤)だったという曲です。 まずは、「エヴリバディ・ハズ・ア・ドリーム(Everybody Has A Dream)」というその曲をお聴きください。アルバム『ストレンジャー』のクロージング・ナンバーで、6分超えの力作です。 続いては、この曲のライヴでの演奏です。ヒット曲ではないせいか、動画のものが見つけられず、画面は静止画なのですが、1990年代初頭のライヴでのパフォーマンスの音声です。 でもって、これはこれで名曲なわけですが、実は「エヴリバディ・ハズ・ア・ドリーム」は、1977年リリースの収録アルバムよりもはるか昔に書かれたものでした。いわくつきの彼のデビュー盤(過去記事)の時に既にこの曲の最初のレコーディングが行なわれていました。その1971年ヴァ―ジョンの「エヴリバディ・ハズ・ア・ドリーム」をどうぞ。 [収録アルバム]Billy Joel / The Stranger(1977年) ストレンジャー(Blu-spec CD2) [ ビリー・ジョエル ] ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2024年10月02日
閲覧総数 318
43

1000万アクセス達成記念~いま聴きたいナンバー(その4) 先週のことですが、ビーチ・ボーイズ(The Beach Boys)の中心人物だったブライアン・ウィルソン(Brian Wilson)が82歳で亡くなったと報道されました。その天才的な音楽性、それと同時にドラッグなど問題を抱えた人生でしたが、昨年には認知症の進行が報じられ、そして今年(2025年)6月11日に逝去ということになってしまいました。 代表的な1曲ということで、「素敵じゃないか(Wouldn't It Be Nice)」を取り上げたいと思います。ビーチ・ボーイズの名盤『ペット・サウンズ』に収録されたナンバーです。 続いては、後世のライヴでのパフォーマンスです。2001年、エルトン・ジョンとの共演の様子をご覧ください。 この曲、発表当時はシングルカットされて全米ビルボードでは8位のヒットとなりました。ライヴではアル・ジャーディンがリード・ヴォーカルを担当したりしたのですが、発表から50年を経た企画(2016年の『ペット・サウンズ』50周年)での、アル・ジャーディンとブライアン・ウィルソンの共演映像をご覧ください。 謹んでブライアン・ウィルソンの冥福をお祈りいたします。[収録アルバム]The Beach Boys / Pet Sounds(1966年) ペット・サウンズ [ ビーチ・ボーイズ ] 【送料無料】ペット・サウンズ<50周年記念デラックス・エディション>/ビーチ・ボーイズ[SHM-CD]通常盤【返品種別A】 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2025年06月18日
閲覧総数 314
44
![]()
実力に裏打ちされたサード作 フリートウッド・マックへの加入によって、『ファンタスティック・マック』(1975年)以降のこのバンドの躍進を支えた重要人物が、スティーヴィー・ニックス(Stevie Nicks)だった。“歌姫”とか“妖精”とか呼ばれるものの、こうした形容は、バンドのお飾り的な“顔”という意味ではなく、ヴォーカリストとしての力量を称えるものと捉えたものと考えるべきであろう。 1985年発表の『ロック・ア・リトル(Rock A Little)』は、フリートウッド・マックが各メンバーのソロ活動を活発化させた時期の作品である。大きなヒットとなった『麗しのベラ・ドンナ』(1981年)から数えて、スティーヴィー・ニックスのソロ・アルバムとしては3作目に当たる。 ジミー・アイオヴィンら複数のプロデューサーを起用しているが、全体的に1980年代特有のきらびやかなサウンドが展開されている。聴きどころとしては、シングルとして全米4位を記録した7.「トーク・トゥ・ミー」。それから、同じくシングル・カットされて米国で16位となった1.「アイ・キャント・ウェイト」。いずれもリスナーのツボを押さえた楽曲で、スティーヴィー・ニックスのヴォーカルの魅力が全開のナンバーだと思う。 他に個人的にいいと思う曲をいくつか挙げておくと、アルバム表題になっている2.「ロック・ア・リトル」、オーストラリアのみでシングル発売された5.「インペリアル・ホテル」、8.「ザ・ナイトメアー」。あと、アルバムの最後を飾る11.「誰かあなたに(ハズ・エニワン・エヴァー・リトン・エニシング・フォー・ユー?)」。この曲は、シングル・カットされたものの、大きなヒットとはならなかったのだけれど、アルバムの中で聴くと存在感の大きいスロー・ナンバーだ実感する。[収録曲]1. I Can't Wait2. Rock a Little (Go Ahead Lily)3. Sister Honey4. I Sing for the Things5. Imperial Hotel6. Some Become Strangers7. Talk to Me8. The Nightmare9. If I Were You10. No Spoken Word11. Has Anyone Ever Written Anything for You?1985年リリース。 【中古】CD Stevie Nicks Rock A Little CP325098 EMI, Modern Records /00110 ロック・ア・リトル【CD、音楽 中古 CD】メール便可 ケース無:: レンタル落ち 【ご奉仕価格】 次のブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓
2025年07月25日
閲覧総数 216
45
![]()
イングヴェイ節が冴える21世紀盤 スウェーデン、ストックホルム出身のロック・ギタリストであるイングヴェイ・マルムスティーン(Yngwie J. Malmsteen)。彼は、アルカトラスでの活躍(参考過去記事)を経て、1984年にファースト作(過去記事)を発表して以降、バンド名義でしばしば作品をリリースしてきた。とはいえ、バンド名義の下であっても、実質はイングヴェイの作品(あるいはイングヴェイのバンド)であり、メンバーは頻繁に変わっていった。21世紀に入って最初のスタジオ盤となった本作『アタック!!(Attack!!)』においても、前作の『ウォー・トゥ・エンド・オール・ウォーズ』(2000年発表)からメンバーを総入れ替えし、ヴォーカルはドゥギー・ホワイトとなっている。 ひとことで言えば、イングヴェイ節が冴えわたるといったところだろうか。ヴォーカルのホワイトとの相性も悪くないように思える。1.「レイザー・イーター」の流れるようなギターのメロディに始まり、表題曲の5.「アタック!!」でもイングヴェイ節が存分に発揮されている。インスト曲の6.「バロック&ロール」は本盤の聴きどころの一つで、「ファー・ビヨンド・ザ・サン」などインストの名演を残してきたこのギタリストの本領発揮のナンバーだと言える。 イングヴェイのギター・プレイという観点では、8.「マッド・ドッグ」、インストルメンタルの10.「マジェスティック・ブルー」といった曲も要注目である。また、上記のホワイト(ヴォーカル)との相性およびバンドとしての演奏という点では、13.「タッチ・ザ・スカイ」の出来が特によいと感じる。アルバム締めくくり(ただし日本盤ではこの後にボートラが続く)となるインスト・ナンバーの15.「エア」は、バッハの「G線上のアリア」が原曲となっている。 [収録曲]1. Razor Eator2. Rise Up3. Valley of Kings4. Ship of Fools5. Attack!!6. Baroque & Roll7. Stronghold8. Mad Dog9. In the Name of God10. Freedom Isn't Free11. Majestic Blue12. Valhalla13. Touch the Sky14. Iron Clad15. Air16. Nobody's Fool 〈日本盤ボーナストラック〉2002年リリース。 【中古】CD Yngwie J. Malmsteens Rising Force Attack!! PCCY01582 CANYON Japan /00110 【中古】CD▼アタック!! レンタル落ち 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2025年11月09日
閲覧総数 165
46

70年代ロック&ポップス名曲選~Part 5(その6) この辺りで、シングルのヒット曲ではないものの、1970年代と言えば外せない(と個人的には思う)名曲の一つを取り上げてみたいと思います。ザ・バンド(The Band)の1975年作の『南十字星』に収録された、「アケイディアの流木(Acadian Driftwood)」です。 アケイディア(アカディア)というのは、カナダとアメリカの東部の国境地帯で、フランス系の人々が入植したけれども、英仏の戦いで住民が追われていったという複雑な歴史を持つ場所だそうです。それが詞の「流木」、「ジプシー(放浪者)」、さらには「カナダの寒冷前線」などの悲しげな表現になっているのでしょう。曲自体はロビー・ロバートソンのペンによるもので、3人(リチャード・マニュエル、リヴォン・ヘルム、リック・ダンコ)がヴォーカルで登場しますが、明るめの曲調でありながら悲しげなヴォーカルが印象的です。 続いては、ザ・バンドの演奏の様子(映像は白黒だったりしますが)をご覧ください。1976年、サンフランシスコのウィンターランドでのライヴ演奏です。 [収録アルバム]The Band / Northern Lights-Southern Cross(南十字星)(1975年) 南十字星 +2 [ ザ・バンド ] 下記のランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、バナーを“ぽちっと”応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓
2017年09月03日
閲覧総数 4202
47
![]()
ジャズ・ピアノの豊かさをわかりやすく伝えてくれる好盤 ドン・ランディ(Don Randi,本名ドン・シュワルツ)は、1937年ニューヨーク生まれのピアノ・キーボード奏者。混同する人はいないと思うけれど、カタカナ表記するとほぼ同じドン・ランディーとなる、ヴァン・ヘイレンのプロデューサー(原綴はDonn Landee)とは別人なのでロック・ファンの方は念のため(笑)。 ジャズ・ファンの間では“隠れ名盤”的な扱いがされる本盤『枯葉(原題:Where Do We Go From Here?)』は、ドン・ランディが1962年にヴァーヴ・レーベルに吹き込んだピアノ・トリオ盤。最新の日本盤では、帯にずばり“これぞピアノ・トリオの隠れ名盤!!”などと記されていて、しかも発売のコレクション名が“Verveお宝コレクション”となっている。さほど有名な盤ではないので、そんなものかと思いつつも、実際に聴けば聴くほど本盤はジャズ・ピアノの入り口にもなり得るほどとっつきやすいものではないかとの考えが筆者としては強い、そんな1枚である。 ジャズ・ピアノと聞いて、ジャズ愛好者以外の一般の人たちのイメージとはどんなものであろうか。BGM的なものをイメージする人も多いだろう(その時点で、正座して聴くようなイメージが多数派とは思えない)。そんな人にはぜひ本盤を勧めたい。ジャズにおけるピアノ・トリオ盤の多彩さがしっかり盛り込まれている。明るくアップテンポで盛り上げる1.「T・Jズ・ブルース」からして、聞き流せない曲であることがありありとわかる“ノリの演奏”である。2.「ワルツリング・マティルダ」はナイト・クラブでの出演中に最もリクエストが多かったという曲で、さらりとした感覚から次第に盛り上がっていくところは、ピアノ演奏の醍醐味がよく味わえる。3.「アイ・ラヴ・パリ」は、どんランディの本領発揮の勢いいっぱいの演奏。以下で述べる7.「枯葉」と並んでこのアルバムの聴きどころと感じる 後半の聴きどころは何と言っても7.「枯葉」。ノリを保ちながらいろんな要素を絶妙に取り込んだ絶妙の5.「テイク・シックス」から、突然落ち着いた荘厳な6.「インタールード」を経て、名曲の7.「枯葉」という流れからして実によい。この「枯葉」は、ある意味、忠実な展開をしながらも、しっかり個性を織り込むことに成功していて、過去に紹介した他の「枯葉」の名演(参考過去記事:マイルス・デイヴィス、チェット・ベイカー、ウィントン・マルサリス、アート・ファーマー)と比べても遜色のない、ピアノでの表現としては実に見事な展開だと思う。 全編を通して、ドン・ランディのピアノはファンキーと言えなくもないが、ファンキーでは済ませられない懐の深さが随所に滲み出ている。その要素はきっと二つあって、一つはただ跳ねているだけではないドライヴ感。もう一つはじっくり聴かせる場面で、本当にじっくり聴かせられるという実力のほどなのだろう。本盤を未体験のジャズ愛好家にも、そして試しにピアノジャズを聞いてみようかという向きの人にもどちらにも感動を呼ぶこと間違いなしの好盤だと思う。[収録曲]1. T.J.'s Blues2. Waltzing Matilda3. I Love Paris4. That's All5. Take Six6. Interlude7. Autumn Leaves8. Gypsy In My Soul[録音・パーソネル]Don Randi (p)Leroy Vinnegar (b)Mel Lewis (ds)1962年1月31日・2月1日録音 【送料無料】枯葉(初回限定) [ ザ・ドン・ランディ・トリオ ] 下記ランキングに参加しています。 お時間の許す方は、“ぽちっと”クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓
2012年10月31日
閲覧総数 2045
48
![]()
デスモンドとマリガン(その2) ポール・デスモンド(Paul Desmond)とジェリー・マリガン(Gerry Mulligan)の『ブルース・イン・タイム』は1957年の吹込みだったが、そのアイデア自体は1954年には生まれていたという。そしてその1957年の録音からおよそ5年後に、二人の共演が再び実現した。その結果がこの『デスモンド・ミーツ・マリガン(Two of a Mind)』という盤である。 先の盤と同様にピアノレスでの演奏であるが、前回との違いは、それぞれの自作曲よりもスタンダードが優先されていて(本来収録の6曲のうち、デスモンドとマリガンそれぞれの曲は、3.と4.のみ)、聴きやすさ、とっつきやすさという点では、本盤の方が上だと言える点だろう。また、演奏面についても、聴き手を楽しませようという意図が前作よりも強いように思う。マリガンのアレンジというのもあるのだろうけれど、安心して聴ける理由としては、5年の歳月を経ての再会というせいか、二人の演奏にいっそう余裕が感じられる。ユニゾンもハーモニーも、他の絡み方の部分も、いっそう息が合っているように思われる。 聴きどころと言えそうなのは、1.「君はわがすべて(オール・ザ・シングズ・ユー・アー)」、表題曲でデスモンド作の3.「トゥー・オブ・ア・マインド」、そして、6.「アウト・オブ・ノーホエア」。ちなみに、この盤は、現行CDでの追加曲も興味深い。本編の別テイクがいくつか入っているほか、7.「イージー・リヴィング」が入っているのが有難いし、何よりジム・ホールが参加した表題未定曲(10.,11.)が興味深い。 以上、2回にわたってジェリー・マリガンとポール・デスモンドの共演盤を見たけれど、特に後者についてはデイヴ・ブルーベックと組んでいる印象が一般に強いかもしれない。けれども、マリガンとのこれらのコラボレーションを聴くと、特にデスモンドについては、そのイメージが変わるに違いない。蛇足ながら、そんな観点からも推奨盤と言えそうな気がする。[収録曲]1. All the Things You Are2. Stardust3. Two of a Mind4. Blight of the Fumble Bee5. The Way You Look Tonight6. Out of Nowhere~以下、CD追加曲~7. Easy Living8. All the Things You Are [alternate take]9. The Way You Look Tonight [alternate take]10. Untitled Blues Waltz 111. Untitled Blues Waltz 2[パーソネル、録音]Paul Desmond (as) Gerry Mulligan (bs)Jim Hall (g, 10., 11.) John Beal (b, 4., 5., 7., 10., 11.)Joe Benjamin (b, 3., 6., 9.)Wendell Marshall (b., 1, 2, 8)Connie Kay (ds, 1., 2., 4., 5., 8.)Mel Lewis (ds, 3., 6., 9.)Ed Shaughnessy (ds, 10., 11.)1962年6月8日(10., 11.)、6月26日(4., 5., 7.)、7月3日(1., 2., 8.)、8月13日(3., 6., 9.)録音。 CD/ポール・デスモンド/デズモンド・ミーツ・マリガン +5 (解説付) (期間生産限定スペシャルプライス盤) 【輸入盤】Two Of A Mind [ Paul Desmond / Gerry Mulligan ] 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2018年01月22日
閲覧総数 1383
49
![]()
大人向きで涼風なMJQ盤 この暑さを吹き飛ばす盤が何かないかということで、これをお届けしたいと思いつき、今回はMJQ盤の話にお付き合いいただきたい。 MJQことモダン・ジャズ・カルテット(The Modern Jazz Quartet, 当初はミルト・ジャクソン・カルテット、どちらも略称はMJQ)は1950年代初頭に結成された。メンバーはミルト・ジャクソン(ヴィブラフォン)、ジョン・ルイス(ピアノ)、パーシー・ヒース(ベース)、ケニー・クラーク(ドラム、1955年からはコニー・ケイ)。20年以上活動をつづけた後、彼らは1974年に解散した。その解散直前の1973年の作品がこの『ブルーズ・オン・バッハ(Blues on Bach)』という作品。内容としては、前年のカーネギーでのコンサートで披露された内容のスタジオ録音盤である。ちなみに、MJQはこの解散後、1981年に再結成され、活動を再開した後、1993年に最後の作品を残したが、現在では既にメンバー全員が鬼籍に入っている。 モダン・ジャズ・カルテットは、リーダーのジョン・ルイスの精緻でクラシック寄りの趣向と、ヴィブラフォン担当のミルト・ジャクソンのブルージーさとの絶妙なバランス具合の上に成り立っていた。実際、MJQとしてではなくミルト・ジャクソンがリーダーを務めた際の演奏と、MJQの枠内での演奏では、明らかに本人がその違いをつけている(参考過去記事(1) ・(2) )。 そもそもヴィブラフォンという楽器の音は涼しげで、納涼にもぴったりということが多い。本盤ではバッハに敬意を表するジョン・ルイスのアイデアと、ブルースを得意とするミルト・ジャクソンの個性をうまく生かし、奇数曲と偶数曲の間で工夫された構成に仕上がっている。奇数曲(1., 3., 5., 7., 9.)はバッハのアレンジで、ジャズ盤としてはおとなしい(おとなしすぎる?)出来上がり。これらの曲ではジョン・ルイスのハープシコードが納涼感をいっそう増す心地よさがいい。これに対して偶数曲(2., 4., 6., 8.)はオリジナルのブルース曲で、ミルト・ジャクソンがより前面に出ている。とくに6.「Cマイナーのブルース」の繊細さ、8.「H(B)のブルース」のブルージーさはミルト・ジャクソンの本領が発揮されているが、これらがバッハ曲の解釈にはさまれているという巧妙な構成が本盤のミソなのだろう。 べったりブルージーになることもなく、だからといってクラシック(バッハ)に偏りすぎることもなく、という絶妙のバランス。純粋ジャズ主義な人には拒否反応を起こさせかねない盤であるというのも確かかもしれないが、地味な隠れた名盤の一つと言っていいように思う。[収録曲]1. Regret?2. Blues In B Flat3. Rise Up In The Morning4. Blues In A Minor5. Precious Joy6. Blues In C Minor7. Don't Stop This Train8. Blues In H (B)9. Tears From The Children[パーソネル・録音]Milt Jackson (vib)John Lewis (p, harpsichord)Percy Heath (b)Connie Kay (ds. per)1973年11月26・27日録音。 【送料無料】JAZZ BEST COLLECTION 1000::ブルース・オン・バッハ [ ザ・モダン・ジャズ・カルテット ] 次のブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、“ぽちっと”クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓
2013年07月14日
閲覧総数 1291
50

“ラテンの伝説”追悼(2/2) 先月末に亡くなったメキシコの国民的歌手にして“ラテンの伝説”と呼ばれるフアン・ガブリエル(Juan Gabriel)追悼の後編です。今回は、まずは若い頃のナンバーを一つ取り上げます。そもそも彼は貧しい農家の出で、10人兄弟の最年少だったそうです。13歳で歌手への道を掴み、いわば歌でのし上がった、そういう人物だったというわけです。 1971年、まだ20歳を過ぎたばかりの若いこ頃の彼の曲で、「ノ・テンゴ・ディネロ(No tengo dinero)」をどうぞ。タイトルの直訳は「金がない」…。詞は“お金もあげられるものも何もないけど、君を愛する気持ちだけはある”という、何ともべたな詞であったりします(笑)。 興味深いことに、この曲には“日本語ヴァージョン”が存在します。どういういきさつで吹き込まれたのかは不明ですが、“金がない、ない…”と、日本語で歌っています。もちろん、フアン・ガブリエルは日本語を話せるわけではないのですが、頑張って日本語で歌っているのです。 上の日本語のレコーディングに加えて、彼の器用さを示す映像をもうひとつお届けして、追悼特集の締めとしたいと思います。CCRの「ハヴ・ユー・エヴァー・シーン・ザ・レイン(雨を見たかい)」のカバー(スペイン語でのタイトルは「グラシアス・アル・ソル(Gracias al Sol)」)です。 これが彼本来のイメージかと言われると、それは違う気がしますが、器用さと歌の上手さというのがこういうジャンルのカバーからよく分かったりするように思います。 ともあれ、文字通り伝説の歌手となってしまったフアン・ガブリエルのご冥福をお祈りします。Q.D.E.P. 【メール便送料無料】Juan Gabriel / Juan Gabriel: Para Ti (輸入盤CD) (フアン・ガブリエル) Juan Gabriel / Historia Del Divo 輸入盤 【CD】 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、“ぽち”応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2016年09月10日
閲覧総数 1188
![]()
![]()
