やっぱり読書  おいのこぶみ

やっぱり読書 おいのこぶみ

2005年07月10日
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カテゴリ: 名作の散歩道
これもそんな「恋」をしてみたいという時期(若さゆえに恋におちる時と申そうか)に読みたくなる本ではあるが、ほんとうにわかるのは年経て後。

なぜならば物語の諸所に挿入されているフレーズが、まるで人生老いた人の御託のごとくである。恋愛の指南書的なところがいちいちうなずいてしまうのである。

この本の価値は内容が16歳の少年が、20歳の人妻に恋をし、それなりに堕落(懐かしい響き)していくさまを18歳の天才、レイモン・ラディゲが書いて、本人は20歳で死んでしまったということにありそうだ。

が、そのセンセーションな生涯を抜きにしても、フランス心理小説の雄(ゆう)たる所以のうまさが在る作家なのだ。多分多くの作家が影響を受けていると思う。


私が読むきっかけとなった パティさんの感想 をごらんあれ、パティさんぐらいの時代に読むのがよいだろうとつくづく思った。


だから、感想はこのくらいにして私の書きたかったことは下記。

パティさんのを読んで私は思い出した。「ラディゲ ラディゲ…」忘れもしない堀辰雄の「美しい村」

の「序曲」に印象深く登場するのだ。



机の上にマダム・ド・ラファイエットの「クレイヴ公爵夫人」が読みかけのまま開いてある。その本はあなたに無理やりお読ませしたラディゲの「ドルジェル伯の舞踏会」のお手本なのだ。

とある。実はこの「序曲」高校の現国の教科書にあったのだ。無味乾燥な教室でこの一文に接した私はイチコロとなった。

読んだ読んだ。「風たちぬ」「ドルジェル伯の舞踏会」「クレーヴの奥方」みんな新潮文庫の古いもの。その中に「肉体の悪魔」もあって(今回見つけた)それだけは読んでいなかったのが不思議といえば変。(若き羞恥が避けたとでも?)

「ドルジェル」「クレーヴ」のすじはすっかり忘れてしまったけれど、今「肉体の悪魔」を読了し、ラディゲの作品が堀辰雄にそこはかとない影響を与えているのがわかる。心理小説での表現を思い「風たちぬ」(内容はぜんぜん違うが)のなりたちを考える。

「美しい村」の次に書かれた「風たちぬ」、これこそそのころの私を魅了した恋愛小説である。

「風たちぬ、いざ生きめやも」

ちょっと辻邦生に似て、時のうつろいのなかに真実をみつめ、変らないものに恋をして。

この本(堀辰雄)はもう読まれないのだろうか…。

私は「ドルジェル伯の舞踏会」「クレーヴの奥方」も再び読みたい。





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最終更新日  2005年07月10日 10時43分33秒
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