内田百けんの短編集 『東京日記』
に収録されている 「南山寿」
を読んでいて
ああ、おんなじだぁと思ったわ
まず「南山の寿(南山のじゅ)」という四字熟語の意味をネットで調べた
「詩経 小雅,天保」にある語で、終南山がいつまでも崩れないように、事業が永遠である意から、 人の長寿を祝う言葉。(大辞林 第三版より)
だそう
「終南山」というのは実際に中国にあって漢詩に多くうたわれるとある
韓国にも南山という山があるらしいし、日本の名古屋にも南山という地名がある
(蛇足)
この「南山寿」という百けんの短編は
「最早世間に用のない身体である」という退官したばかりの元先生が
雨のひどい吹き降りの家の中で
「じっと座っていて何を考えると云う取りとめもない」生活をしているのだが
妻には先立たれるわ、後任の先生にはおちょくられるし
職探しをしてもうまくいかずでもやもやとしている様子が
百けん独特のぞわっとするような調子でたらたらと続くのである
戦前の作だから主人公は50歳代だ、今の65歳くらいにあたるのか70歳代かもしれない
昔も今もおんなじだ(ということを発見した)
この主人公は恩給があってさしあたりの生活に困らないけれども何か張り合いのあることがないか、どうかと、もがきにもがくのである
ま、結末はあっと驚く(笑っちゃう)のではあるが
やっぱり特異なうまい作家
しかし、長寿って寿(ことぶき)かねえ
先日104歳の姑を見舞って、つくづく思ったわ
よみがえり 2023年12月21日
こういうエンタメが好き 2023年12月19日
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