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2022年02月18日

わたしが小学一年生だった頃に

(2)

テーマ：最近、読んだ本を教えて！(24651)

カテゴリ：読書メモ

『戦中闇市日記』山田風太郎

昭和22年~23年（1947～48）の風太郎日記。
1月元日から12月の大晦日まで一日も欠かさない2年間の記述。

26歳の青年が東京新宿の医学校に通い、医学書をたくさん読み、小遣い稼ぎに探偵小説を書き、文学書を山のように読み、映画や演劇も頻繫に行く。しかも戦後の配給制度時代、親族からの仕送りも滞るような状態、闇市で日用品を補いながらの生活なのだ。

例えば始まりの昭和22年1月のところ

餅も酒もなき正月。阿部氏、石岡の松葉に手紙出す。午後渋谷東横デパート四階にムーラン・ルージュ見にゆく、くだらなし。

（中略）

五日（日）晴
安西より手紙来る。シオカラ十八円、サツマ揚二十円求む。

（中略）

二十一日（火）晴
大いに寒し。風強し。木々高太郎『文学少女』『永遠の女囚』読。

買った食べ物の値段を書き記したのがやたら多いのも、食糧不足のなか若者のひもじさがよく出ている。わたしたちが戦後の古い映像で見る汽車の混みようも、風太郎が故郷八鹿関宮（兵庫県）に帰る汽車旅の活写が圧巻で、網棚に登ったまま一昼夜、目的地に行く苦労など、聞きにしまさるものすごさ。

戦後の混迷深き世間を哲学的に思索する青年山田風太郎が居る、そして、アルバイトの小説書きだったのが、新人探偵作家コンクールで一等賞を取り、執筆依頼がどんどん増え、出版社、編集者たちと知り合い、有名作家（江戸川乱歩　横溝正史など）と交じわっていくのが読み取れる。

次々と小説の構想を練り執筆、出版社に掲載され、かなりな稿料貰うも、高い医学書を買い勉強に励み、世話になっている知人宅へもお金を渡し、無いないづくしの生活道具（本棚など）を買ったりするところは、真剣に生きている様子に泣けてきます。

そうして山田風太郎、まだ医者になるか作家になるかわからないまま、2年間の日記は終わります。

タダの日記なのに、只者ではない風太郎の日記なのだった。

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最終更新日 2022年02月18日 09時29分53秒
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■コメント

Re:わたしが小学一年生だった頃に(02/18)

オーキリさん

読みたーーい
ワタシは１９４８年１２月生まれです
日記の最後の月どんなことが書いてあるのだろう

山田風太郎さん「幻燈辻馬車」？他なん冊か読んで記憶

関宮のお生まれだったのね
養父郡（市)関宮は夫の故郷に帰る時
ああもうすぐ夫の故郷湯村だという
少し前にハンドルを左に切ったまま固定して
くるくる回った「関宮ループ橋」のことを今も忘れずにおります。
(それが楽しくて運転を代わってもらいました) (2022年02月19日 14時15分22秒)

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Re[1]:わたしが小学一年生だった頃に(02/18)

ばあチャルさん

オーキリさんへ

昭和23年の4月にわたしが小学校入学、オーキリさんは12月にご誕生！
7つ違いはともかく、親たちは食料確保で大変だったのね
よく育ててくれましたよ～

＊＊＊＊＊

風太郎の日記

昭和23年12月1日（水）晴
この一週、晩秋ようやく冬に移れるごとし。
「外科総論」読。

中略

12月4日（土）晴
夕、ホープの藤原氏「黒檜姉妹」稿料二万四千三百円、税三千六百四十五円、差引二万六百五十五円持参。
ルソー『エミール』二百五十円、『谷崎源氏』七百五十円求む。

後略

＊＊＊＊＊

風太郎さんこの頃はもう原稿が売れて、背広をあつらえたり、カバンを買ったり、名刺を作ったり、かなりゆとりが…

12月は谷崎の『源氏物語』を「桐壺」の巻から、「花宴」まで、日々読み継いでいました。
当たり前かもしれませんが、ほんとに文学好きでいらしたのですね～

「関宮」「八鹿」が時々日記に出てきて、そちらの地理に疎いわたくしは地図帳で確認して、やっと何処かわかった次第でした💦
(2022年02月19日 17時37分54秒)

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