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お喋りは終わりにしましょう。わたしたちは必要な話をしなければなりませんわ。あなたは組織の統括者になるべき人間です。組織の中央委員になるべきなのです。……… わたしの組織は…究極の革命組織です。人類史が生み落とした最後の革命組織なのです。
その綱領は?
私たちはあらゆる革命の敗北の、その究極の根拠を発見したのです。なぜ、一切の革命は常に絶対に敗北するのでしょうか。歴史は、破れた革命の残骸に埋め尽くされているではありませんか。なぜ、革命はいつだってまるで悪い運命に呪われているかのように絞殺され続けてきたのでしょうか
なぜです?
理由は、そう、わかってしまえば実に簡単なことなのです。それは、革命の中にいつも解きがたい矛盾と背理が含まれていたからです。革命は、胎内に、敵対者の罠をはらんでいたのです。その罠とは、<革命は人民による人民のための事業である>という愚昧な命題です。この命題こそが、革命の敗北の根拠なのです。革命そのものとこの命題のあいだにあるものは、決して解くことのできない矛盾と撞着だけです。
そうです。革命と人民とは本質的に無関係です。いいえ、あらゆる歴史の現実が露骨に示しているのは、革命の最悪の敵が人民そのものであったという事実なのではありませんか。革命の真の敵は、刑務所や軍隊や政治警察や武装した反革命ではなく、…人民という存在だったのです。……………
<人民>とは、人間が虫けらのように生物的にのみ存在することの別名です。日々、その薄汚い口いっぱいに押しこむための食物、食物を得るためのいやいやながらの労働、いやな労働を相互の監視と強制によって保障するための共同体、共同体の自己目的であるその存続に不可欠な生殖、生殖に男たちと女たちとを誘い込む愚鈍で卑しげな薄笑いに似た欲情 …。この円環の閉じこめられ、いやむしろこの円環のぬくぬくした生温かい暗がりから一歩も出ようとしないような生存のかたちこそ<人民>と呼ばれるものなのです。つまり人民とは、人間の自然状態です。……………
だから人民は、本質的に国家を超えることができないのです。国家とは、自然状態にある個々の人間が、絶対的に自己を意識しえない、したがって自己を統御しえないほどに無能であることの結果、蛆が腐肉に湧き出すように生み出された共同の意志だからです。制度化され、固着し、醜く肥大化した観念、生物的存在と密通し堕落した観念、これが国家だからです。
あなたの理論によれば…人民と国家は永遠の共犯者なのですね。人民とは、国家の足元で、窮極のところ生物学的な殺人に還元される利害抗争に明け暮れ、ある時は飽食して眠り、ある時は飢えて暴徒化し、この両極を無意味に機械的に往還するだけの自然状態にあるような人間たちの別名なのですね。………
政治こそが革命の本質を露わに体現する場所です。組織は革命が棲まう身体です。私たちは、最後の、決定的な放棄を準備するための武装した秘密政治結社なのです。社会を全的な破滅へと駆りたてる武装蜂起こそ、観念の激烈な輝きが世界を灼きつくす黙示録の瞬間の実現なのです。
けれども、蜂起はいつも、あなたの憎悪する人民の反乱の頂点で、なんらかの政治スローガンを掲げて組織されたものです。
平和、土地、パン、自由ですか。いいえ、スローガンになど本当の問題はないのです。それは、季節に合わせて適当に着け替える衣服にすぎません。どんなスローガンでもいいのです。問題はただ蜂起が体現する観念の激烈さと純粋さだけにあるのです。………
しかし、蜂起の現実的目標は、権力です。
権力……。あなたは、わたしたちがあの愚かな髭面のユダヤ人やその使徒たちのように国家に身を売るとでも考えているのですか。あらゆる革命は、人民に拝跪することによって国家に粉砕されるか、国家に拝跪することによって人民を奴隷化するか、つまり敗北か堕落かのいずれかに逢着したのでした。しかし、これはただ、人民と国家とが革命にとって二重の敵であることを理解しなかったために惹き起こされた結果にすぎません。わたしたちは、違います。
すると、あなたたちの窮極の目標はなんなのでしょう。<赤い死>の最大限綱領は…
わたしたちが介在しなければ、どのように激しい反乱であろうといずれ沈静するものです。国家と人民は二本の脚のように互いを必要としているのですから。諍いは一時のもの、暗黙のうちに将来の和解を計算しながら、国家と人民は争うのです。
しかし、わたしたちは、この予定調和の円環を噛み破ってしまう。あらゆる詐術と陰謀によって、後戻り不能の場所にまで人民を駆りたて、暗黒と腐敗と<赤い死>の、混乱と暴力と破局の一時代を現出するのです。………そして革命は、内に向かっては社会の永続的な破壊を推し進め、外に向かっては、国際社会の秩序をずたずたに切り裂くための策謀を絶え間なく実践しなければなりません。その最大の武器が、そう核兵器です。あなたは、わたしたちが核戦争だけは避けねばならないといった迷妄に毒されていると思いますか。いいえ、全面核戦争こそが、世界革命の本当の中身です。核の炎となかで世界が焼け落ちることによってのみ、社会と文明は決定的に破壊されるのです。
私たちの最大限綱領は、 国家と人民の廃止 です。それはまた、文明と社会の窮極の、最終的な破壊でもあります。文明そして社会とは、国家と人民の永遠の共犯体制の別名なのですから。………全面核戦争を頂点とする世界革命戦争は、世界人口を少なくとも現在の4分の1以下、うまくいけば10分の1以下まで引き下げることでしょう。そして、1世紀にわたる混乱の時代から新しい集団が成長してくるのです。 ………
破局を生き延びた一握りの人々は、性によっても、労働によっても強制されることのない、ただ観念と意志にのみ依存した自由な集団を築くことになるでしょう。必然の罠はついに永遠に追放されるのです。………そのとき、全人類は単一の結社の成員になるのです。全人類はただ厳格な論理と理性によってのみ結合される。
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