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今年は信州善光寺において、七年に一度のご開帳が行なわれた。時代の流れとともに変貌を遂げてゆく人・物・風景。だが神仏だけは、千年の時を経てもそのスタンスを変えることなく、救いを求める人々の傍におられるのだ。巷に吹き荒れる不況の嵐、混沌とした政治。何が正しく何を信じて良いのか分からない世知辛いご時世の中、人々は誰もが幸せになりたいと願い、宗派を超えて参拝する。ご開帳期間中、本堂前に凛と建立された回向柱。この回向柱と本堂内に安置されている前立御本尊の御手は結ばれている。そのため、この回向柱に触れることで御本尊のありがたい功徳を得ることができると信じ、人々は我先にと群がる。「苦しい時の神頼み」と言うだけあって、我々はふだん神仏に対し余りにもおざなりにし過ぎはしまいか。本来、順調な時ほど今ある幸せを感謝しつつ神仏に手を合わせる心がけが必要なのではなかろうか。しかし、かく言うこの吟遊映人も、ややもすれば仏壇にお線香の1本さえあげるのを忘れることもあり、日々の継続がいかに難しいことであるかを改めて思い知らされる。我々はいにしえより神仏を尊び、神仏とともにあることを善しとして来た。時を越え、古い伝統と新しい現代が共存する中、信仰のかたちは変わらない。その信仰は、人々に希望という光を与えてくれる。決して生き易い世の中ではないが、その一筋の光を支えに前進して行こうではないか。 さて、今年も残りわずかとなった。一年を通し、様々な映画と出会い、向き合うことが出来た。一つの映画は数ある作品のうちの一つでしかない。だが、その一作が我々に夢や希望、感動を与えてくれる宝の山となるのだ。本年も吟遊映人のつたない記事を閲覧していただき、誠にありがとうございます。どうか皆様、良いお年をお迎え下さい。合掌「希望はいいものだよ。多分最高のものだ。いいものは決して滅びない」~『ショーシャンクの空に』より~また見つかった、何が、映画が、誰かと分かち合う感動が。See you next time !(^^)
2009.12.31
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「(もう)ミサイルはないのか!?」「まだあるぜ大統領!・・・おれに任せろ!」「ミサイルを(持っているのか)?」「(ええ)しっかりと持ってますぜ」何だかんだ言いながらも、またたく間に過ぎ去ろうとしている2009年(平成21年)。本年最後のDVDは、これを観て締めとする。それは本作「インデペンデンス・デイ」である。愚かな人間が地球を汚染する中、エイリアンによって襲撃を受け、人類滅亡の危機に瀕するというストーリーである。内容そのものに斬新さは感じられないかもしれないが、地球への尊崇の念と感謝の気持ちを忘れがちな現代人には、今一度省みなければならない“エコ”意識ではなかろうか。本作に登場するエイリアンは、イナゴのように惑星から惑星へと移り、資源を食い尽くしてしまう凶悪な存在として描写されているが、実は利己主義に走る我々現代人のことを“エイリアン”として表現しているようにも感じられた。今年は環境問題が大きく取り沙汰された年でもあり、地球規模のテーマとして人類にとって何が一番大切なことかを考える時期が来ているのだ。普段と変わらない日常を送っていたところ、にわかに空模様が怪しくなり、各家庭のテレビの映り具合が悪くなる。原因はなんと、ワシントンD.C.を覆い尽くすほどの驚くべき大きさの未確認飛行物体の出現であった。アメリカ政府は和平交渉のため、UFOとの交信を試みたところ、容赦ない攻撃を受けてしまうのだ。本作のようなSF・パニックを鑑賞したところで、まずあり得ないのだが、吟遊映人は思わず目頭を熱くしたシーンがある。それは、ラッセル・ケイスという酔っ払いの農夫なのだが、元ベトナム帰還兵であり現在は農薬散布のために自家用小型飛行機のパイロットをしているという設定の人物。普段は変わり者で周囲からはバカにされている存在なのだが、ラストではミサイルを搭載した飛行機もろともエイリアンの円盤に突っ込んで行くという悲劇のヒーローなのだ。それはまるで、第二次世界大戦下の日本の悲劇、神風特攻隊のような有終の美であった。 我々は何気ない日常を当たり前のように暮らしている。だが、この地球を愛する気持ちがなければ、必ず隙をつかれて破滅の運命を辿るのだとこの映画は教えてくれる。実に有意義で、深いテーマの隠された作品であった。1996年公開【監督】ローランド・エメリッヒ【出演】ジェフ・ゴールドブラム、ビル・プルマン、ウィル・スミスまた見つかった、何が、映画が、誰かと分かち合う感動が。See you next time !(^^)
2009.12.28
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「俺にはあの本に書いてあることが他人のこととは思えねぇ! きっと俺たちも過去に行くことになるんだよ!」「過去に行けたとしてどうやって帰って来るの?」「知らん!」「はぁっ?」「しんのすけのいない世界に未練なんてあるか?」マンガの本領を発揮するのは、マンガを超える瞬間に遭遇した時かもしれない。単なる子ども向けアニメで終わらないマンガ、それこそが万人を感動させる術を持ち、末永く支持される所以なのだ。これまで「クレヨンしんちゃん」は、どちらかと言えば子ども向けの王道を行くアニメであった。しんちゃんの奇抜でユニークな言動や行為が、幼い子どもたちの共感を呼び、思わず笑いの渦を作り上げた。しかし本作、劇場版「クレヨンしんちゃん~嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦~」は、これまでの作品とは一線を画し、大人にも何らかのメッセージを与えるシリアスドラマに仕上げられているのだ。おそらく、黒澤作品の好きな方ならば、すぐにラストシーンの悲劇を観たところで「乱」を思い出したのではなかろうか。夢か現実か、しんのすけは池の畔に立っていた。とぼとぼと歩いているうちに、戦国時代の合戦シーンに遭遇。偶然にもしんのすけは、いじりまたべえと言う侍の命を救う。またべえは、しんのすけを不思議な子どもだと思いつつも、春日城に案内する。一方、しんのすけの両親ひろしとみさえは、しんのすけがいなくなってしまったことで、躍起になって捜していた。しかし、忽然と消えてしまったので、何の手掛かりもなく行き詰る。そんな中ひろしは、しんのすけの残した手紙の内容が気になり、図書館で文献をひも解く。しんのすけの手紙には、『おら、てんしょうにねんにいる』と書かれていたのだ。原作者である臼井儀人先生は、静岡市出身の春日部市育ちである。誠に残念ではあるが、本年九月に荒船山登山中、不慮の事故によりお亡くなりになった。 まだまだ続編を期待していただけに、ファンの間でもショックは大きい。この場をお借りして、臼井先生のご冥福を心よりお祈り申し上げます。合掌2002年公開【監督】原恵一【声の出演】野原しんのすけ・・・矢島晶子、みさえ・・・ならはしみき、ひろし・・・藤原啓治、ひまわり・・・こおろぎさとみまた見つかった、何が、映画が、誰かと分かち合う感動が。See you next time !(^^)
2009.12.22
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「用心してください。冷静にね」「ワハハハ・・・燃えとるよ! 71年のトランポリン大会で決勝に出た私だぞ」「・・・大昔です」「一度やれば体が覚えてる」今回も大物ゲストがチョイ役で出演している。それは、フランス代表のサッカー選手であるジブリル・シセである。映画冒頭でのこのサービスは、これから作品を観て多いに楽しもうと心躍らせている視聴者にとっては、実に嬉しい導入部である。さすがフランス映画なのだ。さて、本作ではダニエルのタクシーであるプジョー・406がプジョー・407にモデルチェンジした。しかし、車に疎い吟遊映人には、どこがどのように変わったのかは具体的に説明できないのであしからず。コンゴに護送途中のヨーロッパ史上最強の凶悪犯グループ一味のリーダーが、いったんマルセイユ警察に移された。犯人の監視を任されていたエミリアンは、当の凶悪犯の口車に乗り、まんまと逃がしてしまう。一方、エミリアンの妻ペトラは、秘密捜査のため犯人グループと接触し、潜入を果たす。 なんと凶悪犯らは、フランス警察でも捜査の及ばないベルギー王立銀行を狙っていたのだった。「TAXi」シリーズは本作で4作目になるのだが、出演する役者さんたちのことをあまりよく知らない。せっかくなので、この機会に調べてみようと思い、主役のサミー・ナセリについてウィキペディアを参考。正直、その経歴に驚いた。なんと20代で刑務所に入った経験があり、その後は薬物所持や暴行、飲酒運転等で検挙されている。さらに、今年に入ってからは男性を刺して逮捕されているのだ。そんなサミー・ナセリではあるが、役者としての実力が認められフランスという芸術の都で世界観を広げた。ストレートにアクション・コメディとして楽しむ一方で、その作品の内側に秘められた裏事情などを知っておくのもなかなかどうして一興なのだ。映画にはその作品そのもののストーリーと、さらには役者たちの秘めるドラマがあり、そんな様々な事情が絡み合い、スケール豊かな作品に仕上げられるのかもしれない。そんな中、骨までしゃぶり尽くすほど映画を楽しみたいと痛感した吟遊映人なのであった。2007年公開【監督】ジェラール・クラヴジック【出演】サミー・ナセリ、フレデリック・ディーファンタルまた見つかった、何が、映画が、誰かと分かち合う感動が。See you next time !(^^)
2009.12.19
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「(もしもし)破水したの。生まれるわ・・・!」「今すぐ? 出産?」「早く来て!」「ペトラ、待ってろよ!」今回は冒頭部から驚かされた。なんと、ハリウッド・スターであるシルヴェスター・スタローンが、ゲストとしてチョイ役で登場しているのだ。フランス映画にスタローンが出演と言うのも、なかなかどうしてオツなものである。ダニエルの運転する最速のタクシーに乗車し、物凄い勢いで空港まで突っ走り、到着。 スタローンらしく(と言うよりランボーみたいに)ヘリから降ろされた一本のロープにつかまって、颯爽と去って行くのだ。このわずかなシーンであってもスタローンの存在感たるや、完全に主役のサミー・ナセリを食ってしまっている。やはり、ハリウッド・スターたる所以なのだ。おそらくスタローンファンならば、このシーンを観るためだけにわざわざ劇場に出向いて、黄色い声を上げるのではなかろうか。そんなサービス精神旺盛のフランス映画「TAXi3」は、今回も実に愉快で笑わせてくれた。エミリアンは夜ごと悪夢にうなされていた。と言うのも、8ヶ月間も逮捕できずにサンタ強盗団と呼ばれる謎の集団に振り回されていたからだ。そのせいもあり、ペトラが妊娠していることにも気付かずじまい。一方、エミリアンの上司ジベール署長は、キウと言う中国人女性記者にメロメロで、実はキウがサンタ強盗団のリーダーであることに全く気付かない。タクシードライバーであるダニエルは、今回もエミリアンを助け、サンタ強盗団を追う。 今回の見どころは、ダニエルの運転するプジョー・406の改造車が、世界最速列車TGV(新幹線的な列車)を悠々と追い抜くシーンであろうか(笑)あるいは、とうてい無理かと思われた雪山を走行するため、なんとキャタピラーまで装備されているという徹底ぶりなのだ。本作は、カテゴリとしてアクションに位置づけたものの、内容が実に愉快でおもしろおかしいため、コメディ作品としても充実している。この冬、ぜひとも家族揃って「TAXi」シリーズを鑑賞していただきたい。そして、お腹を抱えて笑い転げていただきたい。“笑うかどには福来る”とあるように、きっと幸多き年を迎えられるであろう。2003年公開【監督】ジェラール・クラヴジック【出演】サミー・ナセリ、フレデリック・ディーファンタル、シルヴェスター・スタローン(カメオ出演)また見つかった、何が、映画が、誰かと分かち合う感動が。See you next time !(^^)
2009.12.16
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「こうやってドア越しだと気楽に話せる。面と向かうとアガって話せない。君の瞳が・・・あまりにブルーで、君の瞳に吸い込まれそうでドキドキするんだ。こうして話していると安らぎを感じる。・・・迷惑に感じる?」前作の続編である「TAXi2」は、さらにテンポアップした感がある。スリリングなアクションはよりエクサイティングになり、内容は視聴者を飽きさせないためにコメディ色が強くなった。度肝を抜いたのは、なんと日本のニンジャが登場!監督が親日家なのか、おかしな衣装を纏った催眠術師やニンジャ部隊が颯爽と現れるのだ。天下のフランス映画に日本の文化(?)が紹介されるのは大変喜ばしいことながら、なにぶんペコペコ頭を下げ続ける防衛庁長官や、「こんにちは~」とメロディアスなあいさつにはちょっと赤面(笑)日本人のイメージって、一体・・・(汗)陣痛の始まった妊婦とその夫を乗せたダニエルは病院へ急行。しかしこの時ダニエルは恋人リリーの父親と会う約束をしていた。出産の始まった妊婦のために自分のタクシーでお産をさせると、急ぎリリー宅へ向かう。 緊張しながらもリリーの父親とあいさつを交わすと、なんと、フランス陸軍のベルティノー将軍であった。一方、サミットのため日本から防衛庁長官が来仏。マフィア対策のためマルセイユ警察を視察に訪れたのだ。ところが日本のヤクザに襲われ、防衛庁長官が誘拐されてしまうのだ。今回もお色気官能シーンは満載で、世の男性陣の目を釘付けにすること間違いなしだ。 また、エミリアンがトイレのドア越しにペトラを口説くシーンは、実におもしろかった。 内容が無線機で他の同僚たちに筒抜けというのも、なんともマヌケでそそっかしくて、そして痛快なのだ。さらには、ダニエルのプロ並みの運転捌き、これもカーアクションとしてドキドキワクワクさせる。一介のタクシードライバーがこれほどの運転技術を披露してくれるのだから、ストーリー的にも意外性があり、興奮度は高い。本作「TAXi2」は、アクションのみならずコメディ作品としても評価の高い映画なのだ。 2000年公開【監督】ジェラール・クラヴシック【出演】サミー・ナセリ、フレデリック・ディーファンタルまた見つかった、何が、映画が、誰かと分かち合う感動が。See you next time !(^^)
2009.12.13
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「女をモノにしたけりゃ力ずくで奪え。ペトラに必要なのは男だ。胸を張って男らしく攻めろ。シャンとしろ! ・・・いいぞ、行って来い。押し倒して一発カマせ。ビンタを食らうか彼女がなびくか半々だ。答えはその場で出る。のるかそるかだ」フランスのアクション映画と言うのは初めて観た。もちろん、ハリウッドとは質感がまるで違う。何と表現したら良いのか非常に言葉に迷うが、要するに一人一人が独立した立場にあって、プライドとプライドのぶつかり合い、そして官能・・・と言う優雅なまとまり方なのである。スピード感の追求に止まらず、コメディタッチの笑いあり、あるいはお色気官能シーンもあると言う具合だ。また題材もユニークで、ピザ屋からタクシードライバーに転職した男を主人公に扱うと言うプロットもお見事。視聴者の意表をついた内容となっている。舞台はフランスのマルセイユ。スピード狂のダニエルは、ピザ屋を辞め念願のタクシードライバーに転職する。ダニエルの愛車はプジョー・406の改造車で、街をごきげんに疾走する。一方、新米刑事のエミリエンは何度も仮免の試験に落ちるほどの運転オンチ。そんな中、ドイツの窃盗団メルセデスの連続銀行強盗事件を解決するため、エミリエンはダニエルの協力を求めるのだった。年末に向けて、正に忘年会のシーズン突入である。“飲んだら乗るな、乗るなら飲むな”とあるように、飲酒の際は必ず公共の交通を利用するか、あるいは代行運転を頼むなど、ゆめゆめマナーを忘れないで頂きたい。一方で、本作に登場するダニエルのようなタクシードライバーがいたら、ぜひともそのスリリングな運転を堪能してみたいものだ。日頃のストレス解消にもなるし、帰路を急ぐ時などは持って来いの交通手段であろう(笑) 「TAXi」は、官能ありアクションありの、実にユニークなフランス映画なのだ。1998年公開【監督】ジェラール・ピレス【出演】サミー・ナセリ、フレデリック・ディーファンタルまた見つかった、何が、映画が、誰かと分かち合う感動が。See you next time !(^^)
2009.12.10
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「(あんたの)息子が心配だな」「離れ離れになったが、ボストンで会える・・・。あんたも・・・大切な家族を(失ったのか)?」「皆、死んだ」日本人の感覚からすれば、この手のパニック・ホラー的映画は、夏を舞台に繰り広げられるものだ。しかし、ハリウッドを動かす巨匠ともなれば、季節感よりも危機感、圧迫感、そして何より恐怖感を優先させる。真冬の凍てつく川に放り出される人々や、ぞろぞろと歩く人々の吐く息の白さに驚かされる。これは正に、冬を舞台にした氷のように冷たいホラー映画なのである。スピルバーグ監督は、何と言っても恐怖の正体を徹底的に見せ、そして語る。得体の知れない未知の生物も披露してくれるし、凄惨な殺戮シーンもいびつにならない程度に表現している。それが一体何を意味するものなのかは視聴者各人の捉え方にもよるが、一つにはやはり、世界最強の国と謳われた米国の落日を遠回しに象徴しているようにも感じられる。一介の労働者であるレイは、別れた妻が里帰りのためボストンへ行く間、息子のロビーと娘のレイチェルを暫らく預かることになる。子どもたちと上手くコミュニケーションを取ることもままならず、苛立ちを隠せないでいる中、外では異変が起きていた。嵐とも竜巻とも思えない暗雲が立ち込める中、突然稲妻が光った。そうこうするうちにアスファルトにひびが入り始め、地中から見たこともない三本足のマシーンが現れるのだった。本作「宇宙戦争」の魅力は、何と言ってもそのキャスティングにあるだろう。ややもすればB級になりがちなホラー映画を、名だたる俳優陣が体当たりの演技で作品を盛り上げるのだから、おもしろくないわけがない。レイチェル役のダコタ・ファニングの、健気で他を寄せ付けない迫真の演技は、大人顔負けなのだ。また、チョイ役でティム・ロビンスが出ているのも見逃せない。代表作に「ショーシャンクの空に」や「あなたになら言える秘密のこと」などがある。 本作におけるキャスティングにはちょっと勿体ないような大物俳優なのだ。凍えるような冬の夜、あったかいリビングで大切な人と肩を寄せ合い観ていただきたい・・・そんな作品なのだ。2005年公開【監督】スティーヴン・スピルバーグ【出演】トム・クルーズ、ダコタ・ファニング、ティム・ロビンスまた見つかった、何が、映画が、誰かと分かち合う感動が。See you next time !(^^)
2009.12.07
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「まずいことになった。努力はしたが・・・やつは消された。どうしようもなかった」 「何のことだ?」「始末されたんだ」スコセッシ監督の十八番とも言えるバイオレンス映画。アメリカ史において、イタリア系やアイルランド系の移民たちの役割は、とても重要なキーワードである。中でもマフィアの存在。一般市民には余り馴染みのない世界だからこそ、興味も湧き、注意深く視聴しようとする。暴力や殺人を生業とする職業なんて、倫理的に言えばあってはならないし、赦されることではないのだが、社会が混沌とすればするほど裏の社会も徹底的に悪の一面が増徴するわけだ。そんな闇の部分を、スコセッシ監督は鮮烈な暴力シーンの展開で視聴者の目を釘付けにする。アイルランド系のヘンリーは、N.Y.のブルックリンに家族と住んでいる。12歳の時から学校もろくに行かず、ブルックリンの街を仕切るマフィアのポーリーのもとで働き出す。その後、強盗を得意とするジミーや、高飛車のトミーとつるんでプロのマフィアとして幅を利かす。やがて、気性の激しいカレンと結婚し、外には愛人を作り、子どもを授かり、刑務所暮らしをしたり、その道を極めて行くのだった。“蛇の道は蛇”とは言ったもので、悪に手を染めた者の宿命は忍び寄る死の恐怖に怯えるのだ。主人公のヘンリーは、最終的に窮地に追い込まれる。相棒であるはずのジミーからも命を狙われ、いよいよ己の身の危険を悟る。結局、ヘンリーはマフィアと完全に手を切ることを条件に、連邦証人保護制度の下で証言台に立ち、仲間の名を売ることにしたのである。それにしても、この作品が実話に基づいて製作されたものであるというのも驚きだ。もしも本作が事実なら、平凡でも良いから額に汗して働くことが、どれほど尊いものであるかが理解できよう。スコセッシ監督も、実は、そういうシンプルな幸せを説きたかったのではなかろうか? 「グッド・フェローズ」は、極めて質の高い作品なのだ。1990年公開【監督】マーティン・スコセッシ【出演】レイ・リオッタ、ロバート・デ・ニーロまた見つかった、何が、映画が、誰かと分かち合う感動が。See you next time !(^^)
2009.12.04
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