真実一路

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2025.03.19
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カテゴリ: 物故

ゴールデン☆ベスト いしだあゆみ [ いしだあゆみ ]

歌手・俳優として活躍したいしだあゆみさんが3月11日に亡くなった。76歳だった。
天国で安らかに🕯
いしださんといえば、何と言ってもすぐに「ブルー・ライト・ヨコハマ」(昭和43年、1968)が思い浮かぶ。彼女の代名詞ともいえる昭和ムード歌謡の大ヒット曲だ。’70年に出された「あなたならどうする」もいい歌で、こちらは「ブルー・ライト・ヨコハマ」の続編のような作詞で別れの歌になっている。私はどちらかというと「あなたならどうする」のほうが好きだ。思うと、あの時代の空気感が甦る。また昭和の時代が遠ざかったように感じられる...

歌手としての活動が一段落した後は俳優業を中心に活躍された。いしださんの出演作品で私が印象に残っているのは、映画『男はつらいよ 寅次郎あじさいの恋』(昭和57年、1982)だ。
寅さん映画で毎度話題となるマドンナ役で、高名な陶芸家の家で働く影のある女中を演じている。いしださんは美人でいい女なのに、どこか薄幸な雰囲気があり’60~70年代にヒットした一連の持ち歌のように「尽くしても報われない女」のイメージがあった。この映画は、そんないしださんのイメージに合わせて脚本を書いたような恋物語で、寅さんよりもマドンナのほうが存在感の強い作品だ。

いしださんの一連のヒット曲で使われた「尽くしても報われない女」のイメージは、後に別の歌手に受け継がれた。日本で再デビューしたテレサ・テンだ。彼女のトーラスR時代のヒット曲「つぐない」「愛人」「時の流れに身をまかせ」はいずれもこのイメージで作られている。テレサは病のため早世したが、いしださん、テレサともに女性としての家庭の幸せを掴めなかった(私観)点は共通している。お二人が、もしもう一度同じ自分(自我)として生まれたならどう生きるだろうか...
人生は生まれた環境、才能の有無、機会の多寡などに大きく影響を受ける。あるはずの選択の自由もなかったりする。人は人生を選択できない。それを己の宿命と受け入れて生き続けるのもいい。また、それを途中で放棄することも、私は「あり」だと思う。「生まれ」を選べないなら、せめて「人生をやめる決断」は自分の意思によりたい。

ところで、歌から遠ざかっていたいしださんのソフトな歌声を、あるラジオ番組で思いがけなく聴いたということがあった。
NHKラジオ放送の『ラジオ深夜便』という番組のなかに「深夜便の歌」というコーナーがある。このコーナーのために制作された楽曲を、往年の名歌手・アーティストらが歌う企画で、歌は2・3か月ごとの入れ替えで放送される。いしださんも平成20年(2008)に「オアシス」という曲をそこで歌ったのだった(録音)。作詞・作曲は阿木燿子、宇崎竜童。これがほんわかとしたいい歌で、いしださんにピッタリの歌だった。宇崎・阿木夫妻はいしださんの雰囲気、イメージをよく醸し出した良い曲に仕上げたと、当時いたく感心した。





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Last updated  2025.03.19 10:03:50
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