イエメンを支配、事実上の政府として機能しているアンサール・アッラー(フーシ派)は8月9日、サウジアラムコの紅海沿岸の都市、ジザンにあるアラムコの製油所を攻撃したと発表した。そのほかモカ港やサウジアラビアのタンカーもアンサール・アッラーは攻撃、バブ・エル・マンデブ海峡を通過することが困難になっている。

イランとオマーンに挟まれたホルムズ海峡もアメリカがコントロールできない状態。この海峡を通る新たな航路の開設をイランとオマーンは協議しているようだが、アメリカと同じようにサウジアラビアも苦しい立場だ。
そのサウジアラビアはトルコやパキスタンと8月7日、「メッカ共同防衛協定」を締結した。この3カ国はいずれもスンニ派が支配、イランをはじめとするシーア派に対抗する形になっている。欧米諸国としてはスンニ派とシーア派、ふたつのイスラム宗派を戦わせ、共倒れさせようと目論んでいるだろう。これはイギリスの常套手段だ。
イラン外務省のエスマイル・バガエイ報道官はメッカ共同防衛協定について、アメリカを通じて安全保障を確保することはもはや不可能であるという地域諸国の認識から生まれたものであると記者会見で述べたのも、そう知った計略を感じてのことだろう。
ホルムズ海峡やバブ・エル・マンデブ海峡のようなチョーク・ポイントを回避する方策を少なからぬ国が考えているようだが、アメリカのスコット・ベッセント財務長官はホルムズ海峡を経由しているエネルギーの半分以上を地下パイプライン経由に切り替え、この海峡を2年以内に無意味な存在にすると語っている。
しかし、地下パイプラインを日本やアメリカまで敷設することは不可能であり、しかも肥料を生産するために必要な尿素、アンモニア、リン酸2アンモニウム(DAP)、硫黄などをパイプラインで輸送することはできない。LNGやヘリウムも生産設備が破壊され、生産再開には数年を要するとも言われている。パイプラインでの輸送が可能な原油にしても2年で設備を完成させることはできないと指摘されている。
ホルムズ海峡の閉鎖によって 世界の原油供給量が約20%減少し、化学肥料の製造に不可欠な尿素の供給は30%減少した。この海峡 を通過する石油の買い手は約80%が中国、インド、日本、韓国などのアジア諸国であり、LNG(液化天然ガス)はそれ以上の比率で同じ国々が輸入している。ロシアというエネルギー資源の供給源を持ち、備蓄も十分にある中国とは違い、日本は厳しい状況だ。現在の状況で最も大きなダメージを受けるのは日本だろう。
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【 櫻井ジャーナル(note) 】