ロシア海軍とインドネシア海軍は7月29日から30日にかけてウラジオストク沖で軍事演習「オルダ2026」を実施した。ドローン兵器への対応試験、臨検拿捕能力、砲撃、海上での医療後送などの訓練が行われたという。ウラジーミル・プーチン露大統領はNATOがアジア太平洋地域へ進出し、北極圏で緊張を高めていると非難している。
アメリカはインド洋から西太平洋にかけての軍事力を強化するために2017年11月にオーストラリア、インド、アメリカ、日本で組織されるクワドの復活を協議、アメリカ太平洋軍は18年5月にインド太平洋軍へ名称を変更、アメリカ、イギリス、オーストラリアの3カ国は21年9月にAUKUSなる軍事同盟を創設したと発表、その後JAPHUS(日本、フィリピン、アメリカ)なる軍事同盟も編成された。
その間、2020年6月にNATO(北大西洋条約機構)の事務総長を務めていたイェンス・ストルテンベルグは、オーストラリア、ニュージーランド、韓国、日本をメンバーにするプロジェクト「NATO2030」を開始すると宣言している。ロシア国家安全保障会議のニコライ・パトロシェフ議長はAUKUSが中国やロシアを仮想敵とする「アジアのNATO」だと批判しているが、間違いではない。

ウィンストン・チャーチルの側近でNATOの初代事務総長を務めたヘイスティング・イスメイはNATO創設の目的について、ソ連をヨーロッパから締め出し、アメリカを引き入れ、ドイツを押さえつけることにあるとしていた。NATOがソ連からの攻撃に備えるために組織したのではないことを認めている。実態はイギリスとアメリカがヨーロッパを支配するための仕組みだった。その結果がウクライナでの対ロシア戦争で現れている。
本ブログでは繰り返し書いてきたように、アングロ・サクソンの対ロシア戦争や中国への侵略戦争は遅くとも19世紀から始まっている。ユーラシア大陸の周辺を海軍力で支配、内陸部を締め上げていくというものだ。内陸国を崩壊させるため、彼らは対立を煽り、共倒れさせようとした。対ロシア戦争ではドイツが使われ、対中国戦争を実行するために日本で明治維新を仕掛けたと言えるだろう。イギリスやアメリカが明治体制を支援したのは必然だ。
明治体制は1871年7月に廃藩置県を実施したが、その翌年に琉球国王を琉球藩王として琉球国を消滅させた。その上で沖縄県を作り上げている。廃藩置県の段階で新体制は琉球を日本領と認識していなかったのだが、廃藩置県後、琉球を日本領だということにしなければならない事情が生じたと考えるのが自然だ。これが琉球併合である。
廃藩置県の直後、1871年10月に宮古島の漁民が台湾へ漂着、その一部が殺されたとして日本政府は清に抗議、被害者に対する賠償や謝罪を要求した。そして明治政府は漁民を「日本人」だと強弁、軍隊を台湾へ送り込んでわけだ。
この台湾への派兵にはアメリカの外交官が関係している。1872年秋に来日したチャールズ・ルジャンドルである。厦門の領事だった人物で、台湾から帰国する途中に日本へ立ち寄り、そこでアメリカ公使だったチャールズ・デロングと会う。その際、デロングはルジャンドルに対し、日本政府に対して台湾を侵略するようにけしかけていると説明している。ルジャンドルは1872年12月にアメリカ領事を辞任、外務卿の副島種臣に台湾への派兵を勧め、1874年に日本は台湾へ派兵した。彼は1875年まで外務省の顧問を務めている。(James Bradley, “The Imperial Cruise,” Little, Brown and Company, 2009)
その後、江華島への軍艦派遣、日清戦争、日露戦争、韓国併合を経て中国への軍事侵略へと続く。こうした日本の東アジア侵略の背後ではアメリカだけでなくイギリスの外交官や麻薬業者が暗躍していた。
そして第2次世界大戦後、アメリカはソ連や中国に対する核攻撃を計画した。1955年頃になるとアメリカが保有していた核兵器は2280発に膨らみ(Annie Jacobsen, “Area 51”, Little, Brown, 2011)、57年になるとアメリカ軍の内部でソ連に対する先制核攻撃を準備しはじめている。(James K. Galbraith, “Did the U.S. Military Plan a Nuclear First Strike for 1963?”, The American Prospect, September 21, 1994)
そして1957年の初頭、アメリカ軍はソ連への核攻撃を想定したドロップショット作戦を作成した。それによると300発の核爆弾をソ連の100都市で使い、工業生産能力の85%を破壊する予定になっていたという。(Oliver Stone & Peter Kuznick, “The Untold History of the United States,” Gallery Books, 2012)
そのころからアレゲーニー山脈の中、ウエストバージニア州のグリーンブライア・ホテルの地下に「地下司令部」が建設されている。いわゆるグリーンブライア・バンカーだ。1959年に国防総省が中心になって着工、62年に完成している。
1950年代に沖縄では「銃剣とブルドーザー」で土地が強制接収されて軍事基地化が推し進められ、今でも島民を苦しめている。1953年4月に公布/施行された布令109号「土地収用令」に基づき、武装米兵が動員された暴力的な土地接収で、55年の段階で沖縄本島の面積の約13%が軍用地になっている。こうした基地化はアメリカの先制核攻撃計画と無関係ではない。
テキサス大学のジェームズ・ガルブレイス教授によると、 統合参謀本部 のライマン・レムニッツァー議長やSACの司令官だったカーティス・ルメイなど好戦派は、1963年の後半にソ連を奇襲攻撃る予定だった という。その頃になればアメリカはICBMを配備でき、しかもソ連は配備が間に合わないと見ていた。ソ連が反撃するためにはアメリカの近くから中距離ミサイルを発射するしかない。そこでソ連はキューバへ中距離ミサイルを運び込み、キューバ危機になる。1962年10月のことだ。この危機を回避することに成功したジョン・F・ケネディ大統領は1963年11月22日に暗殺された。
そして現在。昨年7月26日に共同通信が報じたところによると、日米両政府は、東アジアで紛争が発生した際に米軍が核兵器を使用する可能性のあるシナリオについての交渉は2024年12月に始まったが、それは10年に開始された両国間の「拡大抑止」に関する協議の一環として行われているという。
最近の協議では、東アジアで紛争が勃発してアメリカが核兵器の使用を迫られるというシナリオを想定した机上演習が複数回実施されたとされている。アメリカが核兵器の使用を迫られるとは、ロシアや中国との戦争でアメリカや日本が敗北する事態だろう。
これも本ブログで繰り返し書いてきたが、日本が核兵器を開発している可能性は高い。アメリカの情報機関で分析官を務めた複数の人物は日本の核兵器開発は常識だと言っていた。中国政府もそれは知っているだろう。
すでにアメリカはウクライナにおける対ロシア戦争や西アジアにおける対イラン戦争で事実上敗北、窮地に陥っている。アメリカに従属することしか考えてこなかった日本は経済が破綻、石油は枯渇寸前であり、危機的状態だ。この状況から脱するため、アメリカが東アジアでギャンブルに出る可能性も否定できない。
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【 Sakurai’s Substack 】
【 櫻井ジャーナル(note) 】