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付 録 中国向け輸出の流通制度1、日本の中国輸出制度中国への食品輸出制度について、食品衛生検査を原則受けなければ中国側で荷揚げ出来ない。また、日本側から輸出する際に、まず中国側の輸出条件を満たすための各検査を受ける必要がある。(1)植物検疫検査(農林水産省)各諸外国とも自国に病害虫を侵入させないため、植物の輸入について制限を設けている。中国における輸入植物検疫は、「中華人民共和国出入国動植物権益法」(1992年4月1日施行)の規定に基づき実施されている。日本での輸出植物検疫対象となるものとしては、a 中国の国家品質監督検験検疫総局及び同局が管理する委託機関の許可後、日本の植物検疫所の検査が必要もの、b 日本の植物検疫所の検査が必要なもの、という2つのケースがある。植物検疫検査の流れとしては、植物検疫所に輸出植物検査申請を行い、中国当局の要求に適合しているか否かの検査を受け、合格すれば合格証明書が発給される。(2)梱包用木材の熱処理と消毒証明書(全国植物検疫協会)中国では、日本の貨物の木材梱包の中から危険な有害生物である松材線虫が発見されたことから、国内の森林·環境·観光資源等を保護するため、2000年1月1日より日本から輸出される針葉樹梱包用木材について、熱処理と消毒証明書の添付義務づけている。輸出梱包用木材消毒証明書発給の流れとしては、a 全国植物検疫協会が認可する各消毒処理施設に予約後、消毒する木材を搬入、所定の消毒処理を行う。b 消毒終了後、木材を取引する。その際、「熱処理消毒実施表」及び「温度自動記録表」を受領する。c「輸出貨物梱包材等消毒証明書依頼書」と「熱処理消毒実施表」及び「温度自動記録表」を協会宛に送付する。d 受領希望日の前々日迄に受け付ければ、原則として希望日に発給される。2、中国の輸入関税制度中国では、輸入が許可される貨物について、「税関輸出入税則(関税率表)に従い、輸入関税が課せたれる。輸入貨物は、税関が決定した通常の成約価格を基礎とした運賃保険料込価格(CIF価格)を課税価格をする。次に、中国では、物品販売または加工、修理補修等の役務提供及び物品の輸出を行う団体及び個人に対して課す「増値税」という附加価値税がある。増値税の基本税率は、17%である。なお、一部の物品については、税率は13%となっている。関税支払いまでの流れとしては、輸入審査が完了し関税額が確定した段階で税関から関税及び増値税の納付書が発給される。関税の納付は、納付書発行の翌日から起算して7営業日以内に指定銀行にて手続きをすることとなっている。3、中国の輸入制度(1)貿易権中国では輸出入などの貿易業務は、許認可制となっている。また、自由に貿易をするためには国務院の対外経済貿易主管部門の許可を受ける必要がある。貿易権の自由化は、WTO加盟の基本的な用件であり、3年以内に外資系企業を含めて全ての中国国内企業に段階的に貿易権を認めることとなっている。現在、国内の非国有企業に対して貿易権の開放は、先行して始まっている。但し、個人に対する貿易権は、まだ開放されていない。(2)関税割当中国政府は、農産物の関税割当の管理暫定規則を発表している。関税割当の割当数量、申請条件、配分ルールは、毎年通達を公表している。なお、関税割当は、2006年までに段階的に撤廃されることとなっている。4、中国の販売促進費用(商慣習)中国の商慣習としては、スーパーマーケットなどの小売企業側は、食品販売に際して様々な販売促進費用を要求し、サプライ側の費用負担を大きくする。その中でも“入場料”は、小売の食品売場開設料的な対価として、納入商品の初回契約時ごとに必要な手数料である。小売企業側は、サプライ側に販売促進のため、様々な費用負担を求めてくる。上海の日系商社によると、入場料は納入品目の契約ごとに必要な費用であり、契約商品と異なる商品の納入を新たに始める場合、その都度必要となる費用である。その他の費用として、新品費、交際費(慶賀)、祭日祝い費、新店舗祝い費、マネキン管理費などがある。表5.1 中国小売店の販売促進費用(略)
2005年09月21日
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おわりに中国は予見しうる将来、引き続き日本の最大の貿易相手国になるだろうと見られている。しかしながら、日本産果物の対中輸出は引き続き増加していくものの、予見しうる将来、日本産果物が中国輸入果物にしめるマーケットシェアはあまり高くなれないと思われる。なぜなら、人件費が大変低い8億人口の中国農村は低コストの果物を国内市場需要量以上に生産しているからである。2004年日本産果物の対中輸出数量が日本産果物の輸出総量に対する割合は9.44%に達したものの、中国の輸入した果物に対する割合はわずか0.22%でしかない。ところが、増えつつある日本産果物の対中輸出は中日両国にとって有益なことである。日本の果樹農家と輸出関連会社にとって、これは新しいビジネスチャンスである。一方中国では、高価な日本産果物が売れることは、中国の果物業界にある程度の刺激を与えることができる。量の少ない日本産果物は中国の果物市場における経済面の影響は小さいものの、中国の果樹産業に示範効果を果たすことができる。私は農学部果樹専攻出身で、中国で果樹技術普及の仕事を10年間していた。6年前、中国農学会の研修生として、日本国香川県仁尾町の果樹農家で一年間研修した。中日両国が果樹に関わる技術や流通、そして貿易等、各方面で盛んに交流するようになり、両国の果樹農家がともに豊かになっていく、これは私の心からの夢であり、また、「日本産果物の対中輸出戦略」を研究テーマにした理由である。
2005年09月20日
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4.7 検疫問題相手国の検疫条件や市場アクセス手続き等輸出阻害要因への対応が必要である。果物などの生鮮食料品を中国に輸入する場合、輸入元の貿易会社(中国企業)はあらかじめ、中国国家品質監督検験検疫総局による「入境動物植物検疫許可証」を取得する必要がある。現在、この許可証を取得した日本の果物はリンゴとナシの2種類だけであり、事実上、他の果物は中国国内への持ち込みが許可されていない。中国では2003年2月から、「輸入植物及び植物生産物のリスク分析管理規定」が施行されており、中国として輸入事例がないか、あるいは少ない品目は、中国国家品質監督検験検疫総局のリスク分析を経なければならない。2005年7月5日から、中国は新しい「輸入果実検験検疫監督管理規定」を実施して、検疫管理を強化する。これまで日本産のモモ、スイカ、ブドウ、カキ、ミカンなどの検疫許可を申請したが、いずれも許可が下りなかった。検疫局は「輸入実績がないため、安全性が確認できない」ことを理由に、当面許可しない方針という。中国市場への全面的アプローチまでには時間がかかりそうである。2004年末から日本の果物の検疫許可申請が突然増え出したことで、検疫局は許可証発行に慎重になっているようである。現状打開には政府レベルの協議が必要だと考えられる。
2005年09月19日
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4.6 ブランドつくり新たな中国市場を開拓するために、日本産ブランドとしての統一した出荷表示等を推進すべきである。「日本ブランド」の信頼を高めるためには、正真正銘の「日本ブランド」、生産履歴の確かな「地域ブランド」の果物を、確かなチャネルのもとで流通させ、品質保持を徹底して、現地ではステータスのある店まで届ける、そして「日本産の本物」であることを表示し、分かり易い商品説明をつけて売ってもらう努力を継続させることが重要である。国内においては、各産地が連携して輸出に取り組む体制を整えて安定的な供給を確保するには、輸出に取組む人達はもちろん、国や地方自治体、関係団体などにもこうした一連の取組みや支援が求められている。例えば、青森県は「青森ブランド輸出促進事業」の実施により、青森ブランドのイメージアップにいろいろ工夫している。品種育成者や産地・企業ブランドの知的財産権の保護についても、対応が必要である。国際貿易のルールを遵守して「日本ブランド」のさらなるイメージアップをねらう。経済のグローバル化で貿易ルールの遵守は当然であり、日本の貿易諸規制や相手国の諸規制をクリアすることは必須条件である。最近、上海市内のスーパーで、産地表示を日本産と偽る梨が販売されたことがあり、ジェトロ上海の指摘により、表示を訂正する事件があった。今後、産地の偽装表示といった問題の発生が懸念されるため、日本産果物の中国への輸出にあたっては、あらかじめ適切な商標登録を行うなど、偽装問題の防止対策を講じることが肝要になっている。日本産のイミテーションなどに対しては、関係機関等と連携したガードも必要である。
2005年09月18日
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4.5 生産者・貿易実務者を支援守りから攻めの農政に転換することを目指して、意欲ある生産者や地域を支援していき、それに、グローバル化の進展の中で高品質な果物の海外への輸出拡大を視野に入れた政策を展開することが重要である。農林水産省では「輸出促進室」を立ち上げた。輸出に障害となる相手国の制度などを早期に把握し、迅速に対応する。また、海外市場の開拓、日本産品のPRによって輸出を促進する。中国市場における日本産果実の幅広い需要を開拓するための展示・商談会など消費宣伝活動の支援対策を実施する。各地方自治体も対中国農林水産物輸出促進事業を実施している。青森県はりんごなど青森産農産物の上海での展示・商談会、バイヤーの青森への招聘などを通じて農林水産物の輸出を促進するため、青森県農林水産物輸出促進協議会に対し経費の一部を補助する。また、ミッション団を派遣し、中国国内のりんご事情などについて検討する。鳥取県も中国における県産農産物の輸出環境調査を行う。それに、輸出梨貯蔵用の氷温庫を設置する。岩手県は県内企業の実務者を対象に、貿易の基礎、国際ビジネスなどの講座を開催し、国際ビジネスに関わる人材を養成する。輸出を促進する上で必要な情報の効率的な収集及びその共有化が必要である。生産者団体、都道府県、JETRO等関係機関が連携し、輸出に必要な情報の共有化を図るべきである。
2005年09月17日
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4.4 技術力に基づいた輸出現在繁栄している日本の輸出産業は、自動車であれ、機械であれ、エレクトロニクスであれ、いずれも優れた技術力により、優位を保っている。中国との労働コストの差などは、日本の関係者の努力の限界を越えている。それをカバーするのは技術力しかない。日本の果樹産業の中にも優れた技術を持っているところが沢山あり、新しい技術を生み出す力もあり、そんな技術力を背景に輸出を伸ばすことができる。日本は優れた果樹育種技術でたくさんの果樹新品種を育成した。その中、世界でも有名であり、中国にも人気のある品種もある。しかし、高品質の国産種苗を海外に持ち出して「海賊版」を生産する事態が増え、日本本場で生産された果物と競合している。種苗法の改正などで農作物の知的財産権の保護を強化し、安価な農産物が日本国内農業を圧迫するのを防ぐことが必要である。2003年6月10日、改正種苗法が日本国衆議院本会議で可決、成立した。2003年6月18日に公布された。育成者の許諾のない種苗から栽培した収穫物を販売した場合に、生産者だけでなく流通業者などにも罰則が適用され、法人の罰金は最高300万円から1億円へ大幅に引き上げられた。また、日本農水省は、独占的な販売などの権利を認める期間も延長することを検討している。現在は25年の樹木やぶどうの効力は30年に、そのほかの作物は現行20年を25年に延ばす。権利が長くなれば、すでに効力が切れていたいちごの「とよのか」や「女峰」、温州みかんの「上野早生」などが国内で独占的に栽培できるようになる。果樹種苗の権利保護を強化して日本果実の国際競争力の向上につなげることができる。高品質化への対応技術措置:優良品種の導入に加え、施設化や根域制限栽培等への取組みによる高品質果実の安定生産を行うとともに、産地における情報処理機能の高度化、光センサ-選果機デ-タの活用等による園地改善と品質管理の徹底等、消費者ニ-ズに即した高品質果実を生産する。 生産の安定化への対応技術措置:永年性作物であり、隔年結果を生じるという果樹の特性に配慮し、適切な剪定、摘果、土壌水分管理等の生産管理の徹底を図るとともに、近年、隔年結果等により大きな生産変動を生じている温州みかんについては、特に表年に重点をおいて、生産変動を抑制するため、全摘果による隔年交互結実技術の導入、改植による品種更新・優良品種への転換等を含め早期に生産安定のための管理に取り組む。
2005年09月08日
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4.3 流通システムの整備4.3.1 果実流通システムの整備日本では、青果物をめぐる流通システムはこれまでなかった構造変革期を迎え、これまでの主な担い手であった卸売市場と系統共販は輸入農産物の増加と市場外流通の拡大によって大きな改革を迫られてきている。こうした変革期中、果物輸出の流通システムを整備する必要がある。まず、地域の実状に応じて共販率の向上を図り、市場における適正評価を受けられる規模を持った産地育成を推進する。つぎは、品質や鮮度の保持に配慮した集出荷や輸送のための体制の整備である。集出荷施設については、産地の労働力事情、物流条件等の変化に留意し、高能率な集出荷施設及び貯蔵施設等流通施設の合理的な整備を図るとともに、その選果時期の労働ピークの緩和や高品質果実の生産振興及び効率的な選果に資するため、一括選果方式及び糖度・酸度等の内部品質の判別が可能な光センサーを利用した非破壊選果機の導入、バラ輸送等流通形態の簡素化等の促進を図ることも重要である。それに、集出荷所、選果機、貯蔵、予冷施設等を整備し、高品質低コスト流通体制の確立を図る。品質本位の生産流通、特に糖度・酸度等の内部品質を重視した出荷の徹底を図るとともに、市場取引の多様化、さらに産地直販やインターネット取引等新しい形態による物流の進展の中で、合理的な取引方法の選択、パレット・コンテナ輸送等による物流の効率化を通じて、日本国産果実の販路の確保や流通段階におけるコストの低減を図る。また、リレー出荷など産地間連携による年間を通じた果実の安定供給体制の整備、品種の適切な組み合わせにより出荷期の長期化による安定出荷なども必要である。4.3.2 輸出経路と輸出コスト(長崎発の場合)長崎·上海の輸出経路は、長崎発の海上または航空輸送や長崎から福岡へ陸上輸送した後に、福岡発の海上または航空輸送などの様々なチャンネルがある。長崎発の海上輸送:長崎港から上海港に直行している定期便はないが、釜山港行きの定期便があり、釜山港を中継港として上海向けの輸出が可能となる。長崎から上海までの輸送日数は、約1週間である。長崎発の航空輸送:長崎空港·上海浦東空港間の定期便が就航している。所要時間は、わずか1時間30分ほどである。福岡発の海上輸送:2003年11月より博多港·上海港間を結ぶ高速貨物船が就航している。所要時間は26.5時間である。同貨物船は貨物を積んだトラックやシャーシーを車体ごと輸送するローロー船(RORO=Roll On Roll Off)である。その特徴として、(1)航空便やコンテナ便に比べ荷役効率が格段に高い(簡易・迅速)、(2)航空便の離発着時やコンテナ便の積降時のような衝撃·縦揺れ等がなく、貨物へのダメージが小さい、(3)小口・混載貨物輸送からコンテナ便では困難な大型貨物輸送まで自在に対応できる、などがある。そのほか、日本通運では、2004年1月より新サービスの「さっと!上海」を開始した。「さっと!上海」は、明確な料金体系で小ロットでの対応でき、かつ航空輸送並のリードタイムを確保できる。航空輸送と同様に、小ロットな高級食材でリードタイムの短縮が求められる高級果実などには適している。 表4.1 長崎―上海間運輸会社別輸送コスト(略)
2005年09月05日
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4.2 中国市場のニーズに対応した生産体制の強化高品質の農産物に絞り込んで輸出することが輸出の可能性を大きくする方法であり、そのためには、農業試験場、果樹農家などの官民が一体となって高品質な果実を開発、生産する取り組みが必要である。近年では景気の低迷等により日本国内市場の卸売価格は低水準で推移していることから、永年性作物という特性はあるものの、樹園地の特性を踏まえた園地の再編・整備、機械化体系及び省力化技術の導入等により、低コスト省力的な果実生産体制の整備、特に中国市場のニーズに対応し、日本産地の実情に即した生産体制の強化が重要となっている。まず、日本の多様な自然・立地条件等を生かし、地域毎に新規作物の導入や特色ある新品種の開発とその権利保護を促進する。近年,特定の作型・品種への偏り等がみられ、時期別需給、労働配分及び危険分散の観点から問題が生じていることから、自然条件、市場条件等に応じて品種構成の適正化を図る。また、多様化する消費者ニーズに対応し、高品質な品種、食べやすい品種、農薬使用量の削減に資する品種等多様な品種の普及を推進する。つぎに、安全性や品質の向上に配慮した生産方式への転換を促進する。生産性向上のための取組と併せて、地域条件に応じ,土づくりと化学農薬・化学肥料の使用の削減とを通じた持続的な生産方式を導入し、環境に配慮した果樹農業の確立・普及を図る。第三に、栽培技術の改善。(1)普通栽培:高品質な果実生産を確実に図る観点から、「果樹農業振興基本方針」における自然的条件に関する基準を踏まえて植栽を行う。また、機械化体系の導入可能な園内作業道等の生産基盤の整備とともに、土壌・土層の改良及び堆肥等有機物の施用を十分に行う。特に、水田からの転換の場合は、耕盤破壊、暗渠排水等の排水管理を徹底するほか、既存園と併せて集団化を図る等、生産性の高い園地が形成されるよう努める。(2)わい化栽培等低樹高栽培:果樹栽培における省力化、軽作業化等を図るためには、りんごについては、わい性台木の利用を推進するとともに、他の品目についても、仕立て法等の改善により低樹高化を推進する。特に、りんごについては、挿し木繁殖が可能なJM系が育成され、本格的な種苗供給体制が整いつつあることから、その早急な普及推進に努める。(3)施設栽培:経営規模や労力配分に応じた種類・品種の選定を行い、樹勢の維持に努める。また、自然エネルギー・未利用資源の一層の活用を推進し、省エネルギー化に努める。特に、ハウスみかんについては、加温時期の前進化傾向が見られることから、加温時期の過度の前進化を抑制し、出荷時期のバランスに配慮する。
2005年09月03日
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