July 7, 2015
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●ひところに比べてBIの話は下火になってきたのであろうか…と思いつつ、久しぶりに「ベーシック・インカム」の本を読んでみた。
●人の思想を左右で分類するのは良くないが、左側にいると思っている人は今回紹介する著者(原田泰)を間違いなく右側の人物に分類するであろう。 ウィキペディアに著者の略歴 が次のように記載されている。

原田泰は、日本の経済学者、エコノミスト、日本銀行政策委員会審議委員。元早稲田大学政治経済学術院公共経営研究科特任教授。経済学(学習院大学)博士[2]。研究分野は経済政策[3]。
岩田規久男とともに[2]、「リフレ派」の一人とされる。バブル崩壊直後より一貫して日本銀行の金融政策を批判していた。




●一般的なベーシック・インカムの説明ではなく、前提を首肯すれば、説得力のある論理を統計数値等を駆使して展開しているようにみえる。本文中から抜き書きしたものを以下に掲載してみた。

企業に、無理やり正社員を採用するよう求めることには無理がある。企業には、雇わないという選択もあるからだ。国家が直接、人々の安心を保障するべきだ。
個人を老後や疾病や失業から保護するのは企業ではなくて政府の直接の仕事とすべきある。

日本の一人当たり公的扶助給付額は主要先進国のなかで際立って高いが、公的扶助を実際に与えられている人は少ないということになる。これは極めて奇妙な制度である。
私は、日本も、イギリス、フランス、ドイツ、アメリカのように給付水準を引き下げて、生活保護を受ける人の比率を高くすべきであると考える。これまで日本n奇妙な制度が続いてきたのは、おそらく、高い給付水準のままで実際の支給要件を厳しくし、保護を受ける人の比率を下げていたほうが、給付総額が減るという財政的な要請があるからだ。


本の著者:自分の所得×0.7+BI(84万円/年)
小沢教授:子供を含むすべての国民に8万円/月(96万円/年)を給付するためには税率を50%にすることが必要

現在、中央政府のしていることは、地方の市役所と農協と建設業を通じて所得をつくることである。

BIは究極のバラマキ政策である。広く薄く配るのがバラマキで、限られた特定のところに大きく配るのはバラマキではないということになる。世間の心配とは異なり、広く薄く配るバラマキ政策が悪いと考える根拠は何もない。


●確かに、企業に最低賃金を引き上げさせたり、非正規社員を正規採用するように迫ったりすることは、左翼の人々の意に反して貧困救済の目的からは逆効果であるかもしれない。貧困問題解決にむけて企業に協力を求めることはお門違いで、貧困問題は国家が直接解決すべき問題である。

●更にはゲッツ・W・ヴェルナーのように、企業の所得にさえ課税すべきではないのかもしれない。企業に対する課税は商品価格に転嫁され、最終的には消費者が負担することになるから、消費税だけあれば良いということである。この場合、ベーシック・インカムの財源は所得税ではなく消費税で賄うべきだということになる。

●さらに言えば生産活動等の結果として得られる一切の所得(個人所得も企業所得も)に課税すべきではないということも言える。外部経済扱いされていて、人間が創造したものではない自然資源(土地、大気、自然資源・環境)の利用に対してこそ課税すべきであり、そうすれば地球環境問題なども起きなくなるからである。

未来の経済システム 又は
配当というお金(1) 配当というお金(2) 参照
●このように、BIの財源問題は給付水準だけの問題ではなく、政治や社会のありかたと密接な関係があり、思想的な問題とも絡んでいる。

●租税を財源の基本とする限りにおいてはこの著書のBIはかなり説得性のあるものになっていると思う。しかし、この程度の給付額で最低限度の安心できる生活ができるようには思えない。84万円は現行の基礎年金に若干上乗せされた程度の金額(満額の老齢基礎年金で78万円)であるが、ベーシック・インカムの導入に伴い生活保護の支給は無くなるわけであるから、この程度では老後の生活が保障されると思う人は殆どいないのではなかろうか?

●現在の年金程度の低額BIであれば生活できないということで、新幹線の車内で抗議の焼身自殺をするような老人だって出てくるかもしれない。それでも当面は無いよりましなので、給付額に不満は残るが、早期に実現できるならば、少なからぬ人が救われることになるのかもしれないので頭から反対とは言えない。フリードマンの負の消費税であっても無いよりはましである。

●結局、どの段階での行財政制改革に対応したBIかということになる。税制改革のレベルが低ければベーシック・インカムのレベルも低くなる。理想を言えばレベルが高くなってBIの実現は遠のく。現実性をもたせて早期にBIの実現を図るのであれば、この著者の言うようなものですませるしかないのかもしれない。





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最終更新日  July 8, 2015 10:06:52 AM
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