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トリウム溶融塩炉ってご存じですか?正直いってこのような原子炉が存在しうること、それも何十年も前から多く核技術者が知っていることに驚いた。この2カ月ほど、いろいろ調べた結果を要約して『未来からのメッセージ』に『安全な原子炉』のコーナーを設け、関連するCO2による地球温暖化問題の記述もこちらに移動しました。このため『未来からのメッセージ:2021年版』として改定しました。以下は関連資料からの抜粋です。(1) 溶融塩原子炉の基本構造①溶融塩炉とは、一次冷却材として溶融塩(フッ素とリチウムなどの金属が結合した溶融状態の塩)を使用する原子炉のこと。②フッ化物の核燃料を一次冷却材に混合させ、液体燃料として使用。③一時冷却材として沸騰する水を使用しないので、格納容器は常圧容器とし、原子炉内の大部分が黒鉛からなる減速材で構成される単純な構造となっている。④この黒鉛の減速材で減速された熱中性子がウラン燃料に衝突と核分裂を起こし、核エネルギーを放出する。⑤ウラン燃料は高速の中性子には反応しにくいので、減速材を設置した原子炉内でしか核分裂の連鎖反応(臨界状態)は起こらず、原子炉下のドレインタンクに核燃料を排出すると、原子炉は停止する。(2) トリウム溶融塩炉が安全な理由①長期継続運転が可能で原子炉構造が単純なため、運転操作が容易で、操作の失敗による原子炉の暴走が起こりにくい。②液体原子炉なので、炉内の温度が上昇すると溶融塩が膨張し、核分裂反応は逆に遅くなるため、原子炉の暴走が起こりにくい。③冷却材に水を使用しないので原子炉内は基本的に常圧であり、原子炉からの溶融塩の漏洩や設備の破壊といった高圧に伴う事故の危険性がない。④溶融塩は化学的に安定かつ不燃性なので、火災の危険性がない。⑤溶融塩は、沸点が約1500℃と通常運転温度の約700℃に比べて十分高く、仮に温度の異常な上昇があっても、燃料の性質に大きな変化が発生せず、炉心溶融のような重大事故が起こりえない。⑥仮に異常が発生しても、燃料塩をドレインタンクへ排出することで、原子炉を容易に停止し無害化できる。⑦ドレインタンクへ排出した燃料塩は、減速材が適切な割合で存在しない環境では再臨界することはなく、燃料塩温度が融点より低下すれば、ガラス固化状態となり安定する。(3) 使用済み燃料・核拡散問題の解決が可能な理由①使用済み核燃料が劇的に少ない・長期間持続的に稼働し核燃料を燃やし尽くすので、軽水炉原発のように、定期的な燃料交換の度に、使用済み核燃料)他藩が燃え残ったU238や精製したプルトニウム等)大量に発生させるようなことがない。②高レベル核廃棄物の排出量が劇的に少ない・核燃料にU238をしようしないため、プルトニウムを生成しない。・その他の超ウラン元素も生成量が極めて少ない。③既存原発で生成したプルトニウムを燃やせる・U233の代わりの燃料としてプルトニウムを燃やせ、消滅できる。・原理的には、その他の超ウラン元素も少しづつ消滅させることができる。・軽水炉でのMOX燃料使用よりきわめて効率的にプルトニウム消滅が可能。(4) 圧倒的に安い発電コスト①核燃料に希少資源ウランに比べ極めて低コストのトリウムを使用でき、燃料費が安い。②軽水炉のように核燃料をペレット、燃料棒及び燃料集合体に加工するコストがかからない。③必要な核燃料のみを使用するため、軽水炉のウラン238のように核燃料を無駄に浪費しない。④基本的に使用済燃料の再処理を必要としないので、再処理コストがほとんどかからない。⑤高レベル核廃棄物等の排出量が少ないので、廃棄物処理/最終処分のためのコストが低い。⑥プルトニウムを扱わないので多くの国に輸出でき、構造が単純で小型炉に向いているため、モジュール化による大量生産が可能で、原子炉建設コストの低価格化が実現できる。⑦数十年の長期連続運転による高い稼働率を実現できる。⑧運転操作が比較的単純なため、運転要員が少なく、運転コストを低く抑えられる。4S炉というものも開発されている。●ウランを燃料に使う原子炉で安全なものもあるという。東芝が開発している4S炉(4S炉(Super Safe,Small and Simple)である。●これはウランを燃焼しつくして核廃棄物を出さないという。YouTubeにあった動画●原発安全革命:トリウム、液体燃料、小型化 (古川和男) https://www.youtube.com/watch?v=6nHhI4nvfpg●新型原子炉「4S炉」と「トリウム溶融塩炉」[H25.11.25] https://www.youtube.com/watch?v=FXlziUqZ_Agその他の関連サイト●原子力発電所は危険なのか?【日本科学情報】【科学技術】 https://www.youtube.com/watch?v=mYnKfp6fsMM●Takashi Kamei @ TEAC3 - トリウム溶融塩炉による日本のリバイバル戦略 https://www.youtube.com/watch?v=3TQNuaZ23j0●トリウム熔融塩炉は未来の原発か? https://wired.jp/2012/05/03/thorium/読んだ本原発安全革命【電子書籍】[ 古川和男 ]【中古】 平和のエネルギー トリウム原子力 ガンダムは“トリウム”の夢を見るか? /亀井敬史【著】 【中古】afb[書籍のゆうメール同梱は2冊まで]/平和のエネルギー-トリウム原子力 2[本/雑誌] (単行本・ムック) / 亀井敬史/著
February 7, 2021
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今回の話には真偽のほどは不明である内容を含んでいます。NESARA/GESARAという法律(案)をご存じでしょうか? NESAERAについては後段に紹介しておきます。ウィキペディアにも載っていますが、下記のサイトで詳しく解説されています。http://www.keimizumori.com/articles/nesara2008.htmlこの中には、政府が通貨発行権を銀行から取り戻す話をはじめ驚くべき革新的な内容が網羅されており、革命的であると言えます。とんでもない技術や特許も公開されるとか。J.F.ケネディ大統領が暗殺されたのは、ケネディがこのNESARAを実施しようとしたからではないかという説もあります。ところでアーリントン墓地にあるケネディの墓を上空から見ると"Q"の形をしてるように見えます。Qアノンというグループをご存じでしょうか? このQアノンはNESARA/GESARAの信奉者であるようです。J.F.Kジュニアは1999年7月の飛行機事故で死んだことになっているようですが、死亡が偽装で本当は生きているという情報もあり、最近の顔写真なるものも出てきています。そして、QアノンはこのJ.F.Kジュニア本人であるとも言われています。トランプ大統領はこのジュニアと親交があったようで、Qアノンのグループもトランプにシンパシーを持っているといわれています。トランプ大統領はここにきて、UFOなどの情報開示(下記の19番目の項目に該当する)をするといっています。そしてトランプ大統領2期目(があるのかな?残された任期はわずかだが)にはNESARAを数年かけて実行していくとか‥‥そんな話も出てきています。トランプの反転攻勢?反乱法が発動されたようです。参考)https://www.youtube.com/watch?v=mwLx8XIH2FU-------------------------------------------------------------------- NESARA = National Economic Security and Recovery Act (国家経済安全保障及び改革法) GESARA = Globel Economic Security and Recovery Act (世界経済安全保障及び改革法)NESARAは米国だけでなく私たちの惑星をその歴史全体において改革させる経験されたことがない改革です。この活動は連邦準備銀行(FRB)、IRS(国税庁)、影の政府を廃絶し以下の変化を起こします。 1.全てのクレジットカード、住宅融資などの銀行債務は銀行及び政府の不法行為によるものなので、ゼロにリセットされる。これはFRBによる最悪の悪夢である債務の免除である。 2.所得税の廃止。 3.国内歳入庁IRSの廃止。IRSの職員は米国財務省の売上税分野に転職する。 4.政府の収入用に14%(現在は17%?)の均一付加価値税のみが課される。食品、医療品、中古品には売上税は課税されない。 5.老齢者への年金支払いの増加。 6.全ての裁判所及び法的事項は憲法へ回帰する。 7.貴族称号に関する修正憲法の復帰。数十万人の外国勢力の支配下にある米国人は市民権を失い、他の国に追放され、生涯再入国出来なくなる。数百万の大学卒業の学位記は価値のない紙切れになる。 8.NESARAの宣言後120日以内での大統領及び国会議員選挙の実施。 9.選挙監視員の選出と特定の利益グループによる不法な選挙活動の防止。10.新しい米国財務省による金/銀/プラチナなどの貴金属の裏付けがある虹色通貨の発行と1933年のフランクリン・ルーズベルトから始まった米国の破産状態の終了。11.米国人の出生証明記録の米国運輸省証券としての販売禁止。12.憲法に沿った米国財務省銀行システムの創設。13.連邦準備システムの廃止。移行期間中には連邦準備銀行FRBは米国財務省の監視の下に一年間だけ旧通貨の回収と廃止のための運用を許される。14.金融に関するプライバシーの回復。15.全ての判事と検察官の憲法準拠のための再訓練。16.世界的な軍事攻撃行動の中止。17.世界平和の確立。18.人間性確保のための膨大な金額の資金の放出。19.国家安全保障の名目のもとに国民から隠蔽されていた6000件以上(現在は12000件以上)のフリーエネルギー装置、反重力装置、音響ヒーリング機械を含む特許の解放。20.地球上の現在および将来のすべての核兵器を排除する。
January 12, 2021
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YouTubeにちょっと面白い動画があったので紹介します。【財務省も黙る?】超・景気対策とは【WiLL増刊号#288】https://www.youtube.com/watch?v=jFfaEKcA3nYマイナンバーカートで減価する給付金を支給する仕組みですが、結構、説得力があります。国民、企業、子育て、財務省‥すべてにWin Winの提案です。
October 17, 2020
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新型コロナウィルスによる経済危機対策のため、公明党の度重なる要請に基づいて、政府による無条件での国民1人あたり10万円給付が現実味を帯びてきた。財政規律を声高に叫んできた財務省や経済学者(マスコミも含めて)は真っ青だろう。彼らは財政破綻を煽ってきたが、その嘘がバレバレになるからだ。家庭や企業の借金と国の借金を同じように考えていませんか。国は外国からの借金が膨大になるのでなければ破綻することなどないのです。日本は世界一対外純資産のある国です。‥‥財政規律論が嘘だとわかれば、延々と続いてきたデフレの脱却はもちろん、財源をどうするといったベーシックインカム(UBI)の導入反対論も消滅します。今回の10万円給付は一時的ものですが、これが今回のコロナ経済危機だけでなく、上記のような流れの糸口になることを期待しています。今回のパンデミックに対する経済対策のためスペインでは早々にベーシックインカムの導入を宣言しています。世界の流れになることもあり得ない話では‥‥。国の借金に関して疑問のあるかたは、下記のビデオでもご覧ください。第43回 税金で国の借金は返せない!? 〜そもそも国債って何?〜
April 18, 2020
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久々の投稿になります。海野幸彦さんのベーシックインカムのまとめと提案が素晴らしい!!CGSってご存じですか。YouTubeで毎日のように歴史や経済など様々な分野の客人を招いて1日15分ロングシリーズで講義している番組です。大西つねきさんも講義したことがあります。歴史のシリーズを聴いていて様々な事実を知り、私の歴史観も変わりました。昨日、海野幸彦さんの6回シリーズのベーシックインカム話が終わりました。非常によくまとめられていて、これまでの「ベーシックインカムの導入方法」の提案のなかで一番良い方法ではなかと思いましたので、紹介することにしました。1)経済危機の処方せん!?ベーシックインカムを今こそ!2)ベーシックインカムって良いの?悪いの?3)世界ではすでにベーシックインカムが始まってる!?4)2010年が日本のベーシックインカム元年だった!?5)私ならこんな形でベーシックインカムを導入します!6)ベーシックインカムのあらゆる批判にお答えします!尚、全番組一覧 | イシキカイカク株式会社 - CGSのページはこちらです。新型コロナウィルスに伴う、未曽有の経済危機に対して、収入保障のためベーシックインカムの検討がなされ、税金では対応できないことから赤字国債さらには政府貨幣の発行が現実味を帯びてきたかもしれない。スペインでは経済大臣が「ベーシック・インカム」導入を宣言しているようだが‥。
April 12, 2020
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著者(大西つねき)さんからのメールで、参議院選挙は「あるとすれば比例で検討しております」とのことでした。お詫びして訂正します。比例区で立候補するようでしたら、応援、投票をお願いします。
February 3, 2019
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私が総理大臣ならこうする 日本と世界の新世紀ビジョン [ 大西つねき ]●この著者は、金融資本主義の世界にどっぷりと浸かって株や債券先物のトレーダーをしていたビジネスマン出身であるが、これとは正反対の国や世界のありかたを提言し、その改革のため一人ドン・キホーテさながら政治の世界に身を投じている人である。そして、「私が総理大臣ならこうする」としてその考えを著したのがこの本である。●政治家を目指しているので、当然、お金や税金、国際収支、土地、相続税、防衛問題、人生のありかたなどを幅広く論じている。●私の小説「未来からのメッセージ」とオーバーラップするところが多く、その主張・主旨も同じ脈絡のなかにあると思えた。この物語の中には、配当(ベーシックインカム)、税金、いじめ(教育)、選挙制度、食料と不老長寿の問題、宗教、共産主義やユーロの問題、企業組織、家族関係、芸術、愛とセックスなどに関する話などが盛り込まれているが、考え方が少なからず一致する。●著者は金融取引の世界にいた人だけあって、国の借金の本質、黒字の意味、お金の本質、政府貨幣などについて、多くの誤解を解く形で詳しく説明されている。●日本の経常黒字は国民のため・世界のために使ってこそ意味があると主張し、政府通貨を発行して、一人100万円の黒字還付金の実施、ベーシックインカムの導入を提言している。●ベーシックインカムについては、「実現するのであれば、政府通貨で誰の借金でもないお金を作り、それを配る形で実施しなければならない」ということで、その財源論は政府通貨発行の話とセットの方向へと収斂してきているように思う。●国家経営のあり方として、郵便事業、鉄道事業、送電線、送金網などのインフラの国営・公営化も唱えている。これも当然のことであると思う。●特に新鮮に感じられたのは、土地の公有化と国の安全保障に関する記述である。土地の公有化については、具体的な実施プロセスまで書かれている。●その骨子は「土地の処分権の停止」と「政府の買取保障制度」で政府通貨による土地の買取である。土地を民間に売ってはならないとするもので、売りたい場合は政府に売ること。買いたい(使いたい)場合は、土地所有者がまずその土地を政府に売った後に、政府から借りるものとしている。●この政策を実施していけば、いずれ経済で流れるお金の多くを誰の借金でもないお金(政府通貨)置き換えることができる。体内に毒素をまき散らす腐った血液を抜き、新鮮な血液に置き換えることができるということになる。●安全保障や平和については、国ではなく、人のレベルの視点から見直すべきであるとしている。「国境など本当は存在しません。人間が勝手に引いた見えない線、概念でしかないのです」、「極論を言えば、私は長い目で見て、いずれ国土という概念すら時代遅れになると考えています。人間が勝手に見えない線を引き、その所有を主張し、利害を巡って争うなどという不毛なことは、未来人からすれば全く馬鹿げたことに映るだろう」と書かれているが、私もこのような境界線があると、必ずそこに利害が発生すると考えている。●昨今、日韓関係が様々な問題でギクシャクしているが。殆んどの人が1対1では親しくしていられるのに、国という括りになると、貿易摩擦、領土問題などで利害が全面にでてきて抜き差しならぬ関係に陥る。国益、愛国心、メンツとかでどうにもならなくなり、国防のために軍事力を強化しなければという話になってしまう。●ところで、私は、大きな組織の対立ほど大きな問題を引き起こすと考えている。組織は細胞と同じで有形・無形の境界線で囲まれる。組織の目的は自らの維持と拡大にあるので互いに協調できない場合は、縄張りを巡って競争的・排他的にならざるをえない。国は最も大きな組織と言っていいかもしれない。‥なので、最終的には国境に限らず、企業組織、宗教組織、教育組織‥あらゆる組織の境界線を無くすかぼやけたものにする必要があると考え、「未来社会は境界線のない社会」になると考えている。●著者は世界一の経常黒字国である日本がこのような世界の雛形の社会をつくり、世界を変えていく必要性を説いている。●本の最後にフェア党の理念が簡潔に掲載されている。●私は55歳でサラリーマンをやめてから「未来社会の仕組み」を考えてきたが、社会の仕組みを根本から変えるというような大それたことを行うには、まずはこのような考え方を知ってもらう必要があり、そのためには、小説のようなかたちにして読みやすいものにしてはと思って書いたのが「未来からのメッセージ」であるが‥。行動的で実行力がある大西つねきさんは、一直線に政治の世界に打って出た。●今年の参議院選挙にも出馬する意向のようなので、隣接選挙区に住むものとしてできることがあれば及ばずながら支援していきたい。
January 31, 2019
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●この著者は「ベーシックインカム・実現を探る会」で発表者になっていたので私の知らない人ではない。私の本(当時は「未来からの伝言」)も読んでもらった覚えがある。●この本の主要な提案はE円と名付けられた電子式減価貨幣にある。前回紹介した「ベーシックインカムの時代が始まる」も電子式減価マネー(仮想通貨)が含まれていたが、こちらの本の方が痒いところまで手が届いている。いずれもベーシックインカムの財源として、通貨発行益や減価貨幣などによる通貨改革を考えている。これらの点はベーシックインカムのトレンドなのかもしれない。ベーシック・インカムのある暮らし “生活本位制マネー”がもたらす新しい社会 [ 古山明男 ]●減価貨幣については20年近く前にNHKで放映された「エンデの遺言」とその出版物によって広く知れ渡ることになり、全国各地の地域通貨運動にも多大な影響を与えた。減価貨幣の歴史はベーシックインカムよりも遥かに古く、古代エジプトのオストラコンという陶片、ヨーロッパ中世のブラクティアン、シルビオ・ゲゼルの「自然的経済秩序」の影響を受けて第一次大戦後のヨーロッパで地域通貨として利用されたスタンプ貨幣などがある。減価貨幣が用いられた社会の経済は、貨幣が滞りなく循環するので経済活動がおしなべて活発になったようだ。●国債や通貨発行益の利用に関しては、高橋是清のデフレ対策が有名だが、現在もデフレ克服、日本経済の立て直しを主要な目的として丹羽春樹、小野誠司、三橋貴明、廣宮孝信、ななみのゆう‥などの錚々たる論客がいる。●減価貨幣にしても通貨発行益(政府貨幣)の利用にしても、「メジャー」な経済学者の殆どが話題にとりあげようともしない。ましてや国民一般になるとそのような話すら耳にすることがないので、ベーシックインカム自体への無理解の上にこれらを用いたベーシックインカムとなると、正直なところゴールが遠のくばかりになるといった感がある。遠路を牛歩の如く歩くしかないのかもしれない‥‥。●前置きが長くなったが、この本の目次構成は次のようになっている。第1部 ベーシックインカムのある暮らし●ベーシックインカムによる化学技術の成果の社会還元、賃金奴隷からの解放、贈与が人を助ける、公共経済の充実などについて分かりやすく解説されていて、説得力もある。第2部 経済成長の終わりとベーシックインカムの必然性●1980年代以降の経済統計をグラフ化して、経済の現状の分析を行っているが、この解説も面白くて分かりやすい。この経済の閉塞状況を打開するためにもベーシックインカムは必然性があるとしている。第3部 「生活本位制マネー」とベーシックインカムE円を発行するBI銀行をつくり、電子式減価マネー(E円)でベーシックインカムを支給する。E円と普通のお金は同額で買い物できることを法制化する必要がある。E円と普通のお金の両替業が自然発生し、E円は円との割引交換できるようになる。減価はお金の総量をコントロールするためです。つくったお金が消滅する仕組みです。両替によってE円を「乾燥保存」(割引いた額で減価しないようにする)できる。E円から普通のお金への両替には課税する。お金は、価値の乗り物であり、流れ道なのです。お金は、社会のインフラの一つです。お金の貸借はこれまで同様に円で行う。E円の金融が発達すると新しい経済世界ができる。例えば1万E円を借り1年後に同額の1万E円を返す約束をした場合、借り手にとって無利子の借金(で直近の支払いを済ませる)をすることになり、貸し手にとっては減価を免れることができる。このため、個人は主に時間経過によって減価(時間減価)を負担してもらうが、企業は主に(時間減価を免れる算段をするので)口座移転毎に減価させる「摩耗減価」によって減価を負担してもらう。輸出入の決済は普通の円で行うことになる。インフレやデフレの防止は日銀マネーを併用して生産と消費の両方から経済の調整することで行う。円が「生産本位制マネー」であるのに対し、E円は「生活本位制マネー」と呼ぶことができる。●ということで、利子貨幣と減価貨幣が共存する経済をどのように運営するかについて突っ込んだ考察をしている。●ベーシックインカムの財源はつぎのようになっている。支給額 8万円(9歳未満4万円/9歳以上18歳未満6万円):115兆円財 源 E円:42兆円 社会保障費減額の振り替え:29兆円 消費税増税(税率16%アップ):44兆円●消費税の増税については、ベーシックインカムとセットで考えれば「逆進性」の問題は解消され、消費税の長所を活かすことができるからだとしている。●ベーシックインカムの導入は少額から初めて段階的に増額していこうとする点は「ベーシックインカムの時代が始まる」と同様である。●ベーシックインカムに関してはこれまで様々な本が出版されてきた。少々難しくなるが、市民所得(ベーシックインカム)、公共通貨(政府貨幣)や減価貨幣を含めて総合的な通貨改革を唱えているジェイムズ・ロバートソンの下記の本が私の最もお勧めしたい本である。新しい貨幣の創造 市民のための金融改革/ジョセフ・フーバー/ジェイムズ・ロバートソン/石見尚【2500円以上送料無料】●私の「未来からのメッセージ」の中の「配当というお金」もこの著書の影響を最も強く受けている。ここでは完成された未来社会の姿を想定しているので、配当(貨幣)は全て減価貨幣である。財源という言葉は適切ではないが(税金の無い社会となっている)、リソースとして貨幣の時間減価、死亡時の財産返納、地球資源・環境の利用料などを考慮している。ベーシックインカム以外にも様々なお金にまつわる話を盛り込んでいるので是非一読をお願いしたい。
April 15, 2018
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●3年ぶりにベーシックインカムの本を2冊読んでみた。少しは新しい提案でも出てきただろうかと期待して。1冊目はAMZONのKINDLE版の下記の本である。ちょっと気になった点だけを書き出してみた。2冊目の本(「ベーシック・インカムのある暮らし」)については次回コメントすることとする。「ベーシックインカムの時代が始まる その理由と財源及び導入手順」テクノロジーの進化に伴う必定の帰結(著者:のらねこま)2017年3月 KINDLE版●著者はベーシックインカムの様々な社会的・経済的問題の解決や効果を整理して書き出しているが、そのうちもっとも力点を置いているのが技術的失業問題である。確かにこれは大きな問題には違いないが、昨今の人手不足問題を考えると、今のところあまり説得力があるとは思えない。ことによると技術が進歩すれば様々な分野で省力化していくが他方で新たな職業が生まれてくる可能性も否定できない‥そのような幻想が一般には根強く存在する。●一番の課題は貧困の解消ではあるけれど、私が最も重視するのは社会がお金至上主義になっていることであり、お金(利子貨幣)という絶対神によって人間の脳みそ(精神世界)、社会の隅々(現実世界)までが支配されてしまっていることである。それともうひとつこの本で不満に思うのは、隠然として存在する男女差別や親による子供の支配、つまり有史以来続いている稼得者たる夫の妻や子供に対する優越的立場の解消、女性や子供の自立を図る効果についての記述がないのは淋しい気がする。歴史は今も男性優位である。●著者の貨幣に対する認識にちょっと驚いた。さて、人間にはおカネを貯め込む性質があります。それが先天的な性質か後天的な性質かはわかりませ んが、人間にそのような性質があることは否定できません。そしてまた人々にとって貯蓄は必要不可欠 でもあります。●人間にお金を貯めこむ性質などあろうはずがないからである。有利子貨幣の世界では全てのモノは貨幣の僕であるから人が貯めこもうとするのは当然である。逆に減価貨幣の世界になれば人は貨幣をできるだけ速やかに手放そうとするであろう。●ベーシックインカムの導入方法には次のような方式が考えられるとしている。(1) 満額支給スタート方式(2) 小額スタート増額方式(3) 年金&子供手当て方式(4) 失業給付方式●基本的には導入に際して抵抗が少なくなるように段階を追ってということだろうか。●ベーシックインカムの財源としては以下のものを提案している。(1) 通貨発行と法人課税が基本財源(2) 金融資産課税の併用(3) 社会保障費の付け替え●通貨発行については賛成である。世の中の赤字国債の日銀引き受けや政府貨幣にたいする偏見が課題ではあるけれど。社会保障費の付け替えも当然であろう。●法人課税についてはどうだろうか?技術的失業問題によって失業者が発生すると生産者から消費者へ流れる賃金が減少してしまいます。そのため生産された財が売れ残り、その一方で財の分配を得られない貧しい消費者が生まれます。 そこで政府が仲介して、賃金の代わりに「ベーシックインカム」として 生産者( 企業)と消費者(家計)の間に循環するおカネの流れを維持するのです。ですから「 企業から政府へのおカネの流れ」 が必要になるのです。これが法人への課税です。●つまり儲かるようにしてやったのだから、税金を徴収してもよい‥ということだろうか。この点にかんして、C.H.ダグラスの場合‥A+B理論による価格と適正価格での差額(需給ギャップ分)を企業に補填する‥ということで真逆になっている。なっていてもかまわないが。●ゲッツ.W.ヴェルナーの場合‥法人税はすべて価格に転嫁されるので廃止した方が良い。人々のためになる生産的活動への課税は好ましくない‥ということではなかったのか。●金融資産課税は小さい税率で大きな財源になるが、これは減価貨幣と見なすこともできる。課税逃れのため外貨に換金し国外での資産とする流れが発生し、円安を招くことにもなる。これらの問題に対する方策が書かれていないのも残念である。●またこの本では、貯金以外の現金や有価証券などの金融資産への課税はどのようするのかも定かではない。●新たな提案として仮想通貨をベーシックインカムと結び付けている。この仮想通貨とベーシックインカムとの関連性はどこにあるでしょうか。ベーシックインカムの仕組み そのものを仮想通貨に組み込んでしまうことにあります。現在の通貨システムを用いてベーシックインカムを行おうとすれば、政府が企業や家計に課税してそれを家計などへ振り込む必要があり、手間と コストが必要となります。もし仮想通貨にこの仕組みを組み込んでしまえば、政府が関与することなくベーシックインカムの仕組みが実現できてしまいます。たとえばシステムとしておカネそのものを1% 減額することは簡単にできます。「おカネそのものが減額する」のですから、複数の口座に分散しようと外国のパソコンに送金しようと、誰が名義の口座であろうと関係ありません。そして世の中のおカネ が総額で例えば10兆円減少するならば、政府が10兆円のおカネを新たに発行してベーシックインカムの財源とすることができるのです。これは究極の財源と言えるでしょう。●政府が関与することなくベーシックインカムの仕組みが実現できる‥ということがひとつの提案理由と考えられるが。政府の関与に代わって国民から承認されたこの仕組みの管理者が必要なことには変わりがない。ビットコインなどの仮想通貨ではなく、国家公認の電子マネーでもよいのではなかろうか。●もうひとつの提案理由は、お金そのものを減額させてしまう話である。これは減価貨幣ということになり、単なる財源の問題だけではなく、貨幣の性格を変えてしまうことになる。ところが、貨幣の性格が変わった場合世の中がどのように変化するかといった説明はない。減価しないお金と減価するお金の関係をどうするかについても問題となる。提案については反対ではないが、こういった問題に対する説明がないのが残念に思う。●これは私の推測であるが、ことによるとこの著者はシルビオ・ゲゼルの「減価貨幣」を知らずに金融資産課税や仮想通貨の減額のような「減価貨幣」を発明したのではないかと思われる。そうでなければ人間にお金を貯めこむ性質があるなどとは書かなかったであろう。
April 12, 2018
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未だ2017年ですが、『未来からのメッセージ』を2018年版に改訂しました。主な改訂内容は下記の2つです。●主人公を高校生にしたこと●「アンドロイドの神」の最後に人間とアンドロイドが宇宙生命として進出していく話の追加モバイル版の他にPDF(442ページ)ダウンロードできます。●モバイル版 http://www7b.biglobe.ne.jp/~epocha/novel/●PDF http://docs.wixstatic.com/ugd/6d5fe6_f01715988e384ed7971503910483c154.pdf改めて、小説の内容について紹介しておきます。●親の勘当 子供が親を逆勘当するという話ですが、未来社会に至るプロセスも出てきます。●発明家 ちょっとコミカルな発明家の話に交えて未来の「投資」について紹介しています。●いじめ いじめを例に相手を理解するための立場置換トレーニングを扱っています。●不老長寿 医療技術の進歩に伴う不老長寿化にたいする問題などを扱っています。●市長の選挙 選択の自由と「救い」の論理、未来社会における選挙制度などの話がでてきます。●アンドロイドの神 宗教や組織の退廃などを扱っています。最後にアンドロイドと人間が宇宙に命を繋ぐ話を追加しました。●配当というお金 減価貨幣、ベーシック・インカム、政府通貨、地球税、社会主義やユーロに関心のある方必読のコーナーです。●ハイパーハウス 未来における会社組織、雇用形態、仕事の仕方などの話がでてきます。●魔女とピエロ 未来における芸術のありかた、愛やセックスに関する話を扱っています。
December 15, 2017
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下記の4つの通説がいかに日本だけでなく世界を歪めているか、テレビなどの報道に流されることなく自分で考えてみて下さい。1.国債の大量発行は子々孫々に借金のつけを廻すことになる●国債は国の借金なのであって、国民の借金ではない。国債を日銀が引き受ければ(赤字国債)、国が債務者で日銀が債権者になるが、日銀は民間銀行の扱いにはなっているが実質は国の機関である。つまり債務者と債権者が同一なので、元々自分自身が債権者であり債務者であるため借金など無いのである。この間に日銀が行ってきた、民間銀行に買わせた国債の大量買取は結局は日銀による国債の直接引き受けと同じことである。●もっとてっ取り早い方法もある。日銀券は日銀が発行するが、コインは政府(日本国)が発行している。製造原価を差っ引いた分は収入になるので、1兆円プラチナ硬貨を1000枚も製造すれば立ちどころ「借金」は帳消しになる。●自分自身からの借金などというものは存在しない。借金はあくまでも他人からのものである。従って、他国からの借金(円以外)は日本国の借金になるが、日本国は対外純資産が世界最大の富裕国なのである。●国の借金と個人や企業の借金とは全く性格が異なるにも関わらず、同一視しているところに問題がある。この通説は「財政悪化」を理由に福祉予算を削減したり、デフレ時に財政主導に臆病になったりするなど実害が極めて大きい。財政健全化を口にする政治家は貨幣とは何かをもっと勉強して欲しいものである。2.経済の自由貿易(グローバリズム)は良くて、保護主義は良くない●グローバリズムの行き着く先がどうなるかはEUを見ればわかる。国家の枠組みを残したまま経済がグローバル化(完全自由化)していけば、国でも企業でも少数の勝ち組と多数の負け組に分かれる。EUはドイツの一人勝ちで、ギリシャのような悲惨な状況になるだけでなく、スペインやイタリアなども財政悪化、経済の低迷に喘いでいる。●日本でも経済的に豊かな地域もあればそうでない地域もあるが、地方交付税のような所得再分配システムによって地域経済が守られるような仕組みになっている。グローバリズムを進めるのであれば、富める一部の国と没落する多くの国に分かれることになる。産業でいえば日本には農業など不要ということになるだろう。そうならないようにするには、国内と同様に国際的な所得の再分配システムが必要になるが、そんなことは望めそうにない。●国の基礎的な産業を守るには、関税や為替に関する政策は必要不可欠である。トランプがTPPを反故したのは日本にとって幸いなことである。自国には存在しないようなものは輸入せざるをえないので、貿易は必要だが自由貿易にする必要など全くない。3.化石燃料の大量使用が地球温暖化を加速している●IPCCの炭酸ガスによる地球温暖化説は「まず間違いなく間違い」であろう。本を買って読まなくても、YouTubeの下記の動画サイトをご覧頂きたい。このとんでもない「温暖化論」によって、日本では既に兆円オーダーの国家予算が投入されていることを考えると、これも実害が甚だしい。これも結果的にトランプの選択は歓迎すべきものといえる。●地球温暖化詐欺(The Great Global Warming Swindle)BBC(英国放送協会)で作成されたドキュメンタリー番組https://www.youtube.com/watch?v=P--pmZpwYEY&t=389s●地球温暖化の真相とは:元東京大学生産技術研究所教授、理科大教授 渡辺正(地球環境科学が専門)https://www.youtube.com/watch?v=FWSizFSkI_s●地球温暖化CO2犯人説のウソ:東京工業大学教授・放送大学客員教授 丸山茂徳(地質・地球科学が専門、プルームテクトニクス理論などで国際的に著名)https://www.youtube.com/watch?v=h6xFe6lXu1Y●地球は温暖化しているのか: 赤祖父俊一(アラスカ大学国際北極圏研究センターの所長などを歴任、オーロラ研究などで世界的に著名)https://www.youtube.com/watch?v=IvEVDYNIxGI4.北朝鮮の挑発行動という表現●北朝鮮は独裁政権であり、国外においても数々の国際的事件を引き起こしてきた問題の国である。何処の国であろうと核兵器の開発や軍事力の増強は世界の平和にとって良いものではない。ところが、日本は中国や北朝鮮を仮想敵国として米国と軍事同盟を結んでいるので、こちらサイドから見る見方が定着してしまっている。●現在のような大国が核兵器を開発保有するような世界を作り上げたのは元を質せば米国である。核兵器を使用した国は唯一米国である。圧倒的な核兵器とITで武装された強力な軍事力を背景にベトナム、アフガン、イラクなどに「自由主義」の押し売りを行ってきた。「非自由主義」の北朝鮮が安穏としていられないのは当然である。●テレビ番組だけ見ていると挑発は一方的に北朝鮮が行っているような報道だが、北朝鮮の膝元の韓国で実戦的な軍事演習を行い、斬首作戦を計画し、2隻の原子力空母で脅しをかけたりしている。どちらがより大きな脅し(挑発)をかけているかは誰でも分かるはずである。●核兵器にしても軍事力にしてもより大きなものを持つものがまず、削減の範を示すべきである。日本政府の米国追従路線は被爆国としてあるまじき対応ではなかろうか。●個人的には北朝鮮から攻撃を仕掛けることはあり得ないと考える。先手は反撃の口実を与え、北朝鮮体制の崩壊に直結するからである。恐ろしいのは米国が先手を打つことである。「窮鼠猫を噛む」である。トバッチリを受けるのは米国ではなく韓国と日本になる。ロケットマンではなく、「猫がネズミと互角に渡り合ってしまっている」トランプこそ最も危険人物である。このことに関するトランプの言動は結果オーライというわけにはいかない。
September 25, 2017
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●昨年、『生物はなぜ誕生したのか 生命の起源と進化の最新科学』というボリューム(400ページ以上)のある本を読んだ。地球と生命の歴史と未来に関する本である。読み応えのある知識欲をそれなりに満足させてくれる本であった。文字通り「地球と生命の歴史」を詳述している。生物はなぜ誕生したのか 生命の起源と進化の最新科学【電子書籍】[ ピーター・ウォード ]●しかし、今回紹介するのは放送大学の教材である下記の『地球史を読み解く』である。著者の丸山茂徳さんは、「CO2温暖化説は間違いで、これからは寒冷化に向かう」との説を唱え数冊の本を出版したり、ビートたけしのTVタックルなどにも出演していて(YOUTUBEに「地球温暖化 話題の"極論"バトルSP」を含め多くの「CO2地球温暖化説は嘘」がアップされている)、自らの説を展開していたのをご存知の方もいるのではないかと思う。(番組終了間際に傍聴者に賛否を求めたところ過半数が「地球温暖化は嘘」に賛同していた)●放送大学の番組のうち「宇宙」に関する番組は殆ど視聴しているが、この『地球史を読み解く』は宇宙とも密接に関係あるが、どちらかと言えば「地学や生物」の系統の番組になる。昨年も今年もこの番組を視聴し録画もした。これには大変な内容が含まれていると思うからである。本でも内容を確認できるように本も買った。ページ数は放送大学の印刷教材にふさわしい250ページに圧縮されている。●この『地球史を読み解く』が『生物はなぜ誕生したのか』と違うのは、歴史の解説ではなく、何故地球と生命の歴史がそのようになったのかまで踏み込んでその原因や理由を明らかにしている点である。●この理由や原因を解き明かすために、数々の新しい地質学的発見や実験、様々な分野で得られた科学的知見を総動員し、原因に迫っている。地球や生命の重要な歴史的イベントがどのような理由によってひきおこされてきたのかについて、これらの科学的知見に基づいて理論を組み立て、モデル化し説明している。地球史を読み解く (放送大学大学院教材) [ 丸山茂徳 ]
September 15, 2017
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「未来からのメッセージ」を2017年版に改訂しました。改訂内容は、地球温暖化問題の正しい理解のための簡単な会話を挿入したことに伴うものです。下記の「エポカ」の中での内容が主なものです。-----------------------------------------------------------「この基地のエネルギーはどのように調達しているのかなぁ。こんなに科学技術が進んだエポカの人達が造ったものだから、核融合エネルギーとか?」「ホホウ! 子供とは思えない質問だねぇ。期待はずれかもしれないけど、もっと原始的な海底のエネルギー資源、メタンハイドレートなんだ」「聞いたことあるような気がするけど、なんだっけ?」「ホーウ! メタンガスの塊だよ。化石燃料の一種で、海底基地にとっては重宝なエネルギー資源なんだ」「化石燃料ってのは燃やすと炭酸ガスを出すものですよね、地球の温暖化の原因とかいわれているけれど、地球環境への影響は考えなくてもいいんですか」「ホーウ! メタンガスを燃やしたときに出る二酸化炭素の排出量は石炭や石油の半分程度といわれているけれど‥‥。今の質問には3つの誤解が含まれているな」「えっ! テレビや新聞では人間が使用する化石燃料で大量の炭酸ガスが放出されて、地球が温暖化していき、地球環境が大変な問題になるっていっているけれど、これが誤解なの?」「誤解の1番目は、炭酸ガスが悪者扱いされていること、2番目は地球の温暖化の原因が化石燃料の消費にあるということ、3番目は地球が温暖化しているということ」「フーパがそんなことを言うなんて信じられないな、本当なの?」「ホホーウ! まあね。ここでは詳しく説明している時間がないんで、要点だけ言っておくことにするよ。最初の炭酸ガス悪玉論だけど、カズマは学校の理科の授業で植物の光合成について勉強したと思うけど。炭酸ガスがなければ植物は育たない、少なければ生育が悪くなる。つまり食料の生産量が減ることになる。地球の歴史で、地球が温暖であった時代には植物が繁茂、動物も隆盛した。逆に寒冷化しり、地球全体が雪玉のように氷ついた時代には多くの動植物が死滅したり、絶滅したりした。確かに極く少数だけれど温暖化によって生存が脅かされる動植物もいるかもしれないが、温暖な気候は生物にとっての楽園なんだ」「その話はなんとなく分かるな」「ホーウ! では2番目の問題だ。地球の気候変動に大きな影響を与えるのは、黒点の大小と関係する太陽活動の活発化程度、それと地球に降り注ぐ宇宙線の量だといわれている。このほかにも要因はあるけれど、ここでは触れないことにする。地球の磁場が宇宙線から地球を防護しているんだけどね。この磁場が弱まったりすると寒冷化を含む様々な問題がおきる。人間が排出する炭酸ガスが気候変動に与える影響はこれらから比べれば微々たるものなんだ。気候変動の要因について知りたければ様々な本が出版されているよ」「たしかにそういう話はテレビや新聞では報道されないな」「ホーウ! それでは最後の地球がどんどん温暖化しているという話だけれど、事実は違う。2番目の問題とも関係するんだけれど、既に太陽活動が非活発な状態になってきていること、地球磁場が弱まってきていることなどから、地球の温暖化は進んでいないどころか今後は寒冷化していく」「じゃあ、テレビや新聞の報道は嘘ってわけ! 国連の機関が予測していることが嘘ってことになりますよね」「ホーウ! そうなんだ。衛星や気球による全球的な観測データで見る限りそういうことになる」「‥でもテレビなどで映し出されている温暖化のために氷が融けたり、南の島が沈みそうになったり‥とかの話は?」「それらの多くは初めから地球温暖化によるものだとの決めつけによるもので、原因をよく調べると関連付けに無理があるものが殆どなんだ」「しょうがないから、今はフーパのような見方もあるんだということにしておくよ。でも嘘だとしたら、いったいなんでそんな嘘をつくんだろうか‥。世界中が、みんな騙されていることになってしまう」「ホホーウ! 勉強すれば全てわかることだよ。この話はこのへんで打ち切りにしようか」
June 27, 2017
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●アマゾンで調べてみたら14冊ほど「地球温暖化=嘘」の本が出版されている。●ということで、『地球はもう温暖化していない』に引き続いて、もう一冊読んでみた。著者は東京大学生産技術研究所教授の渡辺正さんで、専門は生体機能科学、電気化学、環境科学であるとのこと。●前回紹介した本「地球はもう温暖化していない」の3年前の平成24年に出版された本であるが、こちらの方が迫力がある。 「地球温暖化」神話 終わりの始まり /渡辺正【著】 ●IPCCよってすっかり悪玉にされてしまったCO2であるが、CO2は地球や人間にとってどのような意味をもつのか、地球温暖化といわれているものの実像、温暖化へのCO2の寄与の程度、造られた「地球の異変」、長期的な繰り返す気候変動の歴史、クライメート事件などについて言及している。●この後で、「IPCCは解体せよ」、CO2という集団催眠、再生可能エネルギーのCO2削減効果に対する疑問などについて説明し、最後に「地球温暖化」を狼少年に例えた話でまとめている。●再生可能エネルギー(太陽光や風力発電、バイオ燃料)はその生産プロセスや生産設備の製造・建設まで含めれば、決してCO2削減になっていないことや、太陽光や風力発電は供給の不安定さのため殆ど役にたっていないどころか、買取取り制度のために国民が高額な電気料金を支払わされていることは知っていた。●この本を読むまでは知らなかった話がある。DDT、酸性雨、ダイオキシンなども殆ど悪影響が無いにも関わらず悪玉にされてしまっているとのことである。逆にDDTなどは製造されなくなったことでアフリカではマラリアで死ぬ人が十万、百万人のオーダーででてきているという話である。●テレビのニュースや新聞の報道だけみていると、事実とは異なるとんでもない方向へと集団催眠にかけられてしまうということだろう。●「温暖化対策」のため、全世界では百兆円オーダー、日本でもすでに十兆円オーダーの金が投入されているにも関わらず、CO2は殆ど削減できていない。もっとも気候の寒冷化は人間を含めた生物を過酷な状況に追いやるが、CO2が増えれば植物の生育は良くなり、食料も増えるし、過ごしやすくもなるのでその方が良いのであるが‥。●こんなとんでもない無駄遣いをするくらいなら教育や社会福祉にいくらでも予算を回せるのにと思うとIPCCの「地球温暖化悪玉論」はとてつもなく犯罪的である。
April 13, 2017
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●私は宇宙、地球、生命などの自然科学にも興味があって、放送大学でこれらに関する番組をよく観ている。このなかに「地球史を読み解く」という講座があり、丸山茂徳という人の講義の新しい進化論を感心して視聴していた。●その彼が、「地球は温暖化していない、今後はむしろ寒冷化に向かうだろう。観測データは私の説を裏付けている」といったような趣旨の説明をした。IPCCの温室効果ガスによる地球温暖化と真逆のことを言い出したのでびっくりした。●放送大学のその筋の高名な学者がいい加減なことを言うはずがないと思って、WEBで、いろいろ検索してみると、「地球温暖化は嘘です」というサイトが多数あり、反環境主義的見地からではなく科学的根拠に基づものであると説明され、データも掲載されている。●これは事実を知っておく必要があると考え、「地球はもう温暖化していない」(著者:深井有)を購入して読んでみた。著者はその筋の学術的権威でもあるようだ。●読み進うちに、地球温暖化論の真相、IPCCの驚くべき実態が分かってきた。これは科学の仮面を被った政治である。 地球はもう温暖化していない /深井有(著者) ●IPCCはそもそもの設立目的が「CO2による温暖化ありき」でスタートした組織のようだ。地球の気温はCO2だけで決まるのではなく、太陽活動などの影響に依存していることが克明に論じられている。ところがIPCCはこれらのことはニグレクトして「人為的温暖化」が全てであるかの如くにCO2削減の必要性を訴えている。確かにCO2は人間活動による影響で増えてはいるが、ここ20年はそれにも関わらず気温が横ばいから低下にシフトしてきているようだ。CO2による温暖化が太陽活動の非活発化によって相殺されているらしい。●それとCO2というと温暖化の元凶の悪玉のようにみなされている風潮があるが、CO2はむしろ善玉であるようだ。CO2が少なければ植物の生育は悪くなる。CO2の濃度が高かった時代には動植物が繁栄した時代でもある。人間を含む生物にとって温暖化よりも寒冷化の方が深刻な事態を招くのも理解できる。●地球温暖化の影響とみられる島の水没、北極や南極の氷の融解などがしばしばニュースで報道されるが、著者はこれらの素朴な疑問にも、「事実」を逐一説明をしてくれている。●日本では政府、マスコミ、企業、国民を含めて「CO2温暖化」協奏曲を演じているが、このような国は日本だけらしい。ヨーロッパ、米国を含めてIPCCの温暖化には冷ややかな態度を示しているようだ。それというのも、IPCCのまとめ役であった英国のイーストアングリア大学気候研究所のコンピュータから1000通以上のメール記録が流出してIPCCとその主張に疑問が持たれるようになったかららしい。日本では何故かこのことはニュースにもならなかったようだ。●CO2の排出量が5%程度に過ぎず、限界まで削減している日本がIPCCの削減要請に積極的に応じて、税金から年間4兆円が温暖化対策のために投じられているという。大金を投じて真逆な馬鹿を演じているのがお目出度い日本という国のようだ。●このような簡単な紹介では多くを語れないので、時間のある方は是非この筋の本を読んで頂きたい。
February 9, 2017
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●今回も三橋貴明さんの最近発売された本の紹介です。とにかく出版スピードが速い。●この本ではトランプが大統領に当選したことの意味、イギリスのEU離脱、ドイツの政治・経済問題、中国や混迷する韓国政界の内膜などにも焦点が当てられている。彼の説く移民問題についても考えさせらることが多い。2017年が世界経済の転換点になってほしいものである。●安倍政権の経済失政、岩田規久男(リフレ派経済学者・日銀副総裁)に対する弾劾はいつもどおりである。●それにしても殆どの国民が「財政破綻」、「1000兆円の国の借金」に関する全くのウソを絶望的なまでに鵜呑みにしている現状はなんとかならないものかと、常日頃思うのであるが、ここをクリアしない限り日本の明るい未来はないのかもしれない。2017年 アメリカ大転換で分裂する世界 立ち上がる日本【電子書籍】[ 三橋貴明 ]
January 11, 2017
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●ここのところ三橋貴明の本ばかり紹介している。というのも「お金」とは一体何なのかを知ってほしいからです。「お金」が何かが分かれば、経済が変わり、社会が変わる。その先には豊かな人間生活と希望に満ちた社会がある‥と思うからだ。●「お金」とは実際には「債務と債権の記録」に過ぎない。「一体どういうこと」と疑問に思われるかたは読んでみて下さい。目から鱗です。日本人が本当は知らないお金の話 [ 三橋貴明 ]
December 25, 2016
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●経済学者の言うことほどあてにならないものはない。多少とも政治の役にたっているならば世の中ははるかによくなっているはずだ。最近の経済学はむしろ経済を悪くしていることの方が多いと思う。●このことに関連して、すでに三橋貴明さん本を数冊読んでいるが、今回も彼の本を紹介することにした。アベノミクスの行き詰まり、TPPの問題、ヨーロッパ経済の深刻な問題も非常によく理解でき、解決策も納得がいく。●お偉い経済学者達は、こぞって彼の言う「常識」の呪縛に囚われているのだから、国のリーダー達も右に倣えである。そして、おそらく「あなたも」である。一度だまされたと思って彼の本を読んで頂きたい。●原発問題については思想的に賛同しかねるが、彼の論理はそれなりに理解もできる。●彼は、「なんとかして日本(そして世界)のこの状況から脱出しなければ‥」という思いからか、猛烈な勢いで本を書き続けている。あなたの常識を論破する経済学 指標が物語るウソと真実/三橋貴明
October 12, 2016
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●ベーシックインカムのある社会、公共通貨の社会、減価貨幣の社会、税金の無い社会などを目指してはいても暫くは難しそうなので、現実的なところから‥ということで当面の経済のありかたの参考になりそうな本として、三橋貴明さんの本を読んでいる。彼とは根本的に世界感が違う(国家や原発に対する考え方)ところがありますが、これも理想的な姿と直面する現実的な答えの違いにものかもしれない。●しかし、現下の財政・経済の在り方に関しては三橋さんの考えに大いに賛同できる。この本は「新」社会主義と銘打ってはいるが、従来の社会主義では勿論ない。新古典派経済学、フリードマン流の小さな政府・完全競争社会では、人々の幸福は得られない。今日の状態は、かつて帝国主義黎明期に幸徳秋水が指摘した状態と驚くほど類似している‥という。日本「新」社会主義宣言 [ 三橋貴明 ]●目次の構成は次のようになっている。 「金融製政策」ではデフレは脱却できない 「新」社会主義で日本は再び成長する 「構造改革」主義者たちがこの国をだめにした 「グローバリズム」がもたらした「絶対零度の世界」 「豊かさ」とはなにか TPPは帝国主義のシステム 日本国繁栄の道●多くの国民が常識と考えているような国家レベルの「構造改革」、「経費節減」、「規制緩和」、「自由競争」、「財政赤字」などの意味することをゼロベースで考えてもらいたい‥おそらく多くの読者にとって「目から鱗」になるはずである。主流派経済学者と言われている人種が、いかに間違っているか、いかに多くの罪を犯しているかも理解できると思う。
August 20, 2016
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●ベーシックインカムの話は直ぐに財源論の話になってしまう。現行制度の手直しでもできるとかできないとか‥。スイスでは国民投票までこぎつけたようだが、結局はこのへんの議論で挫折してしまう。●関曠野さんはもともと通貨改革論者で、ベーシックインカム導入以前に租税国家を改めなければならないと力説している。私も全く同感である。ところが、通貨改革もベーシックインカムも財政・金融制度改革が前提になるので、実現するのはまだまだ先の話になる。●遠い未来の話よりも実現可能なことからということで、「改革なし」でもいける直近の問題から見直した方がリアリティがあるのではないかとも思う。●間違いだらけの経済政策、経済評論など‥。三橋貴明さんの本は何冊か読んだが、久しぶりに下記の本を読んでみた。いつものように実証的で説得力があるだけでなく非常に分かりやすい。【図解逆説の経済学 [ 三橋 貴明 ]●経済学者の大半は、経済システムの在り方を歪める方向でしか活動していない‥と思える。存在異議しかない。
July 18, 2016
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●この2~3年、宇宙論に関心が移っていて、未来社会の方は置き去りになっています。最も、宇宙の話も未来社会と密接な関係があると思っている。宇宙の不思議を知れば、人間の存在及び自分自身が超奇跡的存在であることを認識し、利潤追求に明け暮れる生活、地球環境、戦争や紛争の愚かさ、宗教の在り方…について大いに反省させられるようになると思っているのであるが…。●1カ月ほど前にテニス仲間の老人たちとカラオケ店で『宇宙の不思議』というパワーポイントをネタに宇宙について3時間ほど雑談しました。参考までにその時の『宇宙の不思議』PDFファイルへのリンクを張っておきます。●本題に戻り、今年なってNHKの『NEXT WORLD』に関連して、不老長寿の社会について考えてみたり、未来社会の出版物についても触れてきた。この『NEXT WORLD』は、超弦理論研究者であり未来の科学技術の研究者でもあるミチオ・カクの著作物などがバックボーンになっている。●そこで、『NEXT WORLD』よりも出版時期は古い(2012年)が網羅的に近未来から遠未来までの科学技術の姿がどうなるかについてまとめている『2100年の科学ライフ』を読んでみた。【送料無料】 2100年の科学ライフ / ミチオ・カク 【単行本】価格:2,808円(税込、送料込)●多岐に亘る内容であるため、ここでは内容の紹介には立ち入らないが、内容の構成は次にようになっている。これまで知らなかった本当にそうなるのだろうかと思えるような科学技術も多数散見できる。100年前に現在のような科学技術の大部分が思い至らなかったのだから、思えなくても当然かもしれない。1.コンピュータの未来…心が物を支配する2.人工知能の未来…機械の進歩3.医療の未来…完璧以上4.ナノテクノロジー…無から万物5.エネルギーの未来…恒星からのエネルギー6.宇宙旅行の未来…星々へ向かって7.富の未来…勝者と敗者8.人類の未来…惑星文明9.2100年のある日●世界でもトップクラスの科学者や思想家など300人以上のインタビューや様々な最新技術開発の現場見学を通じて得られた知見に基づいて未来予測を行っている。その意味ではミチオ・カクの未来予測とは言えないが、研究者としての彼自身の判断に基づく取捨選択を行っているという意味では彼の予測も混入している。●未来予想に当たって、彼は近未来(現在から2030年)、世紀の半ば(2030年から2070年)、遠い未来(2070年から2100年)に時代区分をして予測している。●彼はSF的な科学技術ではなく、極めてリアリスティックに推論しており、例えば、ロボットと人間の能力と違いについての考察からSFの世界のようなロボットにつては懐疑的である。遠い未来といえどもロボットは人間のもつ知能に遠く及ばないと考えている。●未来の科学技術がどのようになっていて、人間の生活スタイルがどのように変化しているかを描こうとしているわけであるが、未来の生活スタイルは科学技術の姿だけで語れる訳ではないことはミチオ・カクも十分に承知している。科学技術は社会や経済のシステムを変化させ、変化した社会や経済のシステムは科学技術のありように影響を及ぼす相互関係がある。●彼の未来予想は科学技術偏重といえなくもないが、現下の世界的・社会的問題である温室効果ガスによる地球温暖化がもたらす問題については「エネルギーの未来」で触れており、簡単にではあるが、最低限所得保証の話とかテロや独裁政権、イスラム原理主義の問題についても簡単に触れている。●例えば、インタビューでの話として…まず考えられたのは、働かなくても最低限必要なそこそこの所得をだれにでも保証するほど、富が存在するようになるということだ。…人口の一部は、働くことをひたすら拒む人からなる、生涯変わらぬ階級を形成するだろう。一方で、貧困の束縛から解放され、学問や芸術で創造的な成果を追求する人もいるかもしれない…と述べている。これはベーシック・インカムについて述べていると捉えることもできる。●現時点で実現が予想される科学技術をベースとした推論なので、彼の予想が十中八九的中していてもおかしくはないし、現代の科学者が予想だにしなかった科学技術が実現してもおかしくはない。●科学技術は社会システムを改善も悪化もさせる両刃の剣であるが、彼は未来への鍵として、知恵の必要性について記している。…では、知恵はどこからもたらされるのだろう? 一部は、対立する立場同士による、理屈と情報にもとづく民主的な議論から得られる。この議論はめちゃくちゃで見苦しいことも多く、つねに騒々しいが、そんな稲妻と煙のなかから真の洞察が生まれ出る。われわれの社会では、こうした議論は民主主義の形態をとって生じる…と述べている。●人間の未来について知りたければ、まずはこの本からということになるだろうか。
November 14, 2015
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●ひところに比べてBIの話は下火になってきたのであろうか…と思いつつ、久しぶりに「ベーシック・インカム」の本を読んでみた。●人の思想を左右で分類するのは良くないが、左側にいると思っている人は今回紹介する著者(原田泰)を間違いなく右側の人物に分類するであろう。ウィキペディアに著者の略歴が次のように記載されている。原田泰は、日本の経済学者、エコノミスト、日本銀行政策委員会審議委員。元早稲田大学政治経済学術院公共経営研究科特任教授。経済学(学習院大学)博士[2]。研究分野は経済政策[3]。岩田規久男とともに[2]、「リフレ派」の一人とされる。バブル崩壊直後より一貫して日本銀行の金融政策を批判していた。【楽天ブックスならいつでも送料無料】ベーシック・インカム [ 原田泰 ]価格:799円(税込、送料込)●一般的なベーシック・インカムの説明ではなく、前提を首肯すれば、説得力のある論理を統計数値等を駆使して展開しているようにみえる。本文中から抜き書きしたものを以下に掲載してみた。企業に、無理やり正社員を採用するよう求めることには無理がある。企業には、雇わないという選択もあるからだ。国家が直接、人々の安心を保障するべきだ。個人を老後や疾病や失業から保護するのは企業ではなくて政府の直接の仕事とすべきある。日本の一人当たり公的扶助給付額は主要先進国のなかで際立って高いが、公的扶助を実際に与えられている人は少ないということになる。これは極めて奇妙な制度である。私は、日本も、イギリス、フランス、ドイツ、アメリカのように給付水準を引き下げて、生活保護を受ける人の比率を高くすべきであると考える。これまで日本n奇妙な制度が続いてきたのは、おそらく、高い給付水準のままで実際の支給要件を厳しくし、保護を受ける人の比率を下げていたほうが、給付総額が減るという財政的な要請があるからだ。本の著者:自分の所得×0.7+BI(84万円/年)小沢教授:子供を含むすべての国民に8万円/月(96万円/年)を給付するためには税率を50%にすることが必要現在、中央政府のしていることは、地方の市役所と農協と建設業を通じて所得をつくることである。BIは究極のバラマキ政策である。広く薄く配るのがバラマキで、限られた特定のところに大きく配るのはバラマキではないということになる。世間の心配とは異なり、広く薄く配るバラマキ政策が悪いと考える根拠は何もない。●確かに、企業に最低賃金を引き上げさせたり、非正規社員を正規採用するように迫ったりすることは、左翼の人々の意に反して貧困救済の目的からは逆効果であるかもしれない。貧困問題解決にむけて企業に協力を求めることはお門違いで、貧困問題は国家が直接解決すべき問題である。●更にはゲッツ・W・ヴェルナーのように、企業の所得にさえ課税すべきではないのかもしれない。企業に対する課税は商品価格に転嫁され、最終的には消費者が負担することになるから、消費税だけあれば良いということである。この場合、ベーシック・インカムの財源は所得税ではなく消費税で賄うべきだということになる。●さらに言えば生産活動等の結果として得られる一切の所得(個人所得も企業所得も)に課税すべきではないということも言える。外部経済扱いされていて、人間が創造したものではない自然資源(土地、大気、自然資源・環境)の利用に対してこそ課税すべきであり、そうすれば地球環境問題なども起きなくなるからである。●最終的には、「地球税+政府貨幣」を財源とすべきで、ばら撒いたお金の回収は減価貨幣を用いればよいということになる。国全体の生産余力を活用した政府通貨(公共通貨)の活用が究極のバラマキである。未来の経済システム又は配当というお金(1)+配当というお金(2)参照●このように、BIの財源問題は給付水準だけの問題ではなく、政治や社会のありかたと密接な関係があり、思想的な問題とも絡んでいる。●租税を財源の基本とする限りにおいてはこの著書のBIはかなり説得性のあるものになっていると思う。しかし、この程度の給付額で最低限度の安心できる生活ができるようには思えない。84万円は現行の基礎年金に若干上乗せされた程度の金額(満額の老齢基礎年金で78万円)であるが、ベーシック・インカムの導入に伴い生活保護の支給は無くなるわけであるから、この程度では老後の生活が保障されると思う人は殆どいないのではなかろうか?●現在の年金程度の低額BIであれば生活できないということで、新幹線の車内で抗議の焼身自殺をするような老人だって出てくるかもしれない。それでも当面は無いよりましなので、給付額に不満は残るが、早期に実現できるならば、少なからぬ人が救われることになるのかもしれないので頭から反対とは言えない。フリードマンの負の消費税であっても無いよりはましである。●結局、どの段階での行財政制改革に対応したBIかということになる。税制改革のレベルが低ければベーシック・インカムのレベルも低くなる。理想を言えばレベルが高くなってBIの実現は遠のく。現実性をもたせて早期にBIの実現を図るのであれば、この著者の言うようなものですませるしかないのかもしれない。
July 7, 2015
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●私は未来の社会の姿には関心があるが、未来の技術がどのようになるかについてはそれほど興味をもっているわけではない。というのも、技術は常に両刃の剣で、技術の進歩が必ずしも人間を幸福にするとは限らないからである。貧しいなりに、社会や経済のシステムが人間的であれば、相応の幸福は得られると考えている。しかし、技術が社会の在り様を変えずにはおかないために、関心をもたざるをえない。●NHKが今年番組放送した『NEXT WORLD』を本にまとめたものがNHK出版から出版されている。番組放送されていない内容のものも含まれている。46項目が次の3つに分類されて紹介されている。 1.命と身体 15項目 2.生活とフロンティア 16項目 3.人工知能と未来予測 15項目【はじめての方限定!一冊無料クーポンもれなくプレゼント】NEXT WORLD 未来を生きるためのハ...価格:1,350円●ここに紹介されている技術はそれなりに根拠があり実現可能なもののようだ。これらの技術が実現される未来の世界は、確かに現在の世界とは次元の異なる世界になるのかもしれない。素晴らしいと思うよりも何か恐ろしさを感じる。というのは肉感的な世界ではなく、SF映画のマトリックスのような超技術が人間社会を支配しているような世界に見えるからだ。人間が生きたままアンドロイドのようなものになったり、寿命が何百歳にもなったり、人間の五感だけでなく感情や心の領域にまで進入してくる時代になるのかもしれない。●技術の進歩は人間社会を物質的のみならず精神的にも豊かにするものでなければならないと思っているのだが、人間の関係性が資本主義経済システムに支配され、利潤追求動機で動いている社会にこのような超技術が世界の隅々まで普及したらどうなるのだろうか…とそら恐ろしく感じられる。●ミチオ・カクさんは物理学者で未来の技術に明るい人のようだが、社会や経済の未来の姿にもうすこし興味をもっていただけないものだろうか。
June 14, 2015
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人間が「若返り薬」などにより不老長寿化していくことが予想されるため、未来社会のあり方を少なからず変更する必要が生じました。このため、昨年8月に改訂した「未来からのメッセージ」を更に改訂し、2015年改訂版として変更することにしました。
April 7, 2015
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7.不良長寿の社会の姿不老長寿の薬は古今東西を問わず夢の薬に違いない。しかし、いざそのような薬が発明されれば、人類の歴史命を劇的に変えてしまう。自然の摂理に反するが故に種の自然な環境適応能力を損なう恐れがあるのかもしれないが、一旦使用が開始されれば、麻薬以上にその使用をやめることは難しくなる。その使用禁止は核兵器の使用禁止や温室効果ガスの排出禁止よりも難しい。懸念されるはるかな後世への未知の影響よりも現世の人にとっての夢の薬であることが優先されるからだ。寿命があることが前提の社会・経済システム、家族形態、人生は、不老長寿の社会ではその前提が異なってくるので、根本的に異なったものとならざるを得ない。(1)地球の管理人類が社会生活を持続させるには、有限な地球の資源や環境を保全することが必須であることはいうまでもないが、この資源や環境を与件とした人口規模の管理も不可欠になる。このため、前述のように、宇宙船地球号の乗組員の数に定員を設け、厳密に定員管理を行うことになる。当然、子供の誕生は人が死んだ場合とセットになる。誰の遺伝子をもつ子供を誕生させるかが問題になるが、このような重要な問題の決定権を特定の組織や人間に与えるのは難しいであろうから、特別な問題(遺伝子不良など)がない限り、やはり前述のように死んだ人の意志(遺言)に基づいて、新しい命の作成方法(卵子と精子の特定、IPS細胞の利用など)を決定することになるだろう。(2)家族の形態人口に占める子供の割合は圧倒的に小さくなるので、夫婦には子供がいないのが通常の姿になる。それ以前に家族というものが成立しなくなる。夫婦と子供という家族形態は無くなる。更に、夫婦という形態さえなくなるだろう。かすがいとなる子供はいない。S・E・Xは男女の愛の確認行為と快楽のためだけに行われる。そうなったとき、そもそも結婚という形式は必要なくなる。好きな男女がカップルをつくり、2人の合意に基づいて同棲したければすれば良いし、飽きがきたら別れれば良い。カップルでもトリプルでも問題が起きなければかまわない。現在でも子育てを終えた中年ともなると、倦怠期が訪れるのが一般的であるので、人生が何百年になるか分からないのに、また若い肉体をいつまでも保持できるのであればなおさら生涯伴侶を変えずにいるなんてことは不自然に思える。結婚制度がなくなり、相手を時々変えるような同棲生活やセ・フ・レとの付き合いが一般的になるのではなかろうか。(3)子供の養育生まれた子供に両親はいない。いても片親だけになる。従って、誕生した子供が夫婦の下で成長するというパターンはありえない。子供の養育はその子供の誕生のきっかけになった人の遺言によって指定された人が行うか、養育施設でその筋のプロが行うことになるのではなかろうか。人にとって子育ては、めったにない不慣れなことになるだろうから、おそらく後者になると思う。子供にとって希に親はいても片親だけになり、しかも育ての親ではない。ということは子供にとって親という概念が消失することになる。子供の養育も教育も、今でいう宿舎(子供養育所)暮らしで行われるようなことになる。子供にとっての家は宿舎以外にない。このため血縁関係にあるものがいれば、時々訪問して様子を見に来るということになるだろうか。いずれにしても世の中は何百歳もの若者ばかりになり、子供は圧倒的少数になるので、極めて貴重な存在になる。(4)愛玩動物子育てを奪われた長寿社会の人々は家族という慰め・憩の場所がなくなる。同棲相手もいつまでも続く関係ではない。一般に人は自分の子供はおろか他人の子供でさえ養育する機会をもてなくなる。このため、人間の子供の代わりに愛玩動物や愛玩ロボットなどが代用物になり、疑似家族として過ごすようなライフスタイルが流行るのではなろうか。現在でも、子供のいない老人にとってペットは家族同然に扱われていることが多い。(5)教育機関現在のような幼稚園・小学校・中学校・高等学校・大学といった教育システムも様変わりする。子供の数が少ないわけだから、幼稚園から中学校レベルまでの教育施設は圧倒的に少なくなり、特定の施設で行われることになる。高校以降の高等教育については様々な教育機関が整った姿になるであろう。教育機関の殆どは成人のためのものになる。(6)男女平等男女平等などはあたりまえのことだといわれそうであるが、現在でも実質的な女性差別は様々存在する。企業の多くが、実体は女性差別を行っていて、言い逃れできる理由を用意しているにすぎない。女性が企業などで差別される原因は出産と子育てのハンディにある。不老長寿の社会では、女性がこれらから解放されるので、実質的な男女平等が実現することになる。(7)職業人生は延々と続くことになるわけだから、人生を何度でもやり直せることになる。寿命が延びたり老化したりしないのであれば、人生観や世界観も変わる筈である。「過去を悔いても仕方がない、時は戻らないのだから」なんてことは無くなる。やり直したい過去があれば、何度でもやり直すことができるようになる。科学者としての人生に飽きたら、好きな音楽で身を立てるためゼロから音楽家を目指して修行することだってできる。時間はたっぷりあるのだから、人生設計をせせこましく立てずに、ゆったりとしたものになるのではないか。終身雇用などというものがなくなり、企業も個人も期間での雇用契約を結ぶようになる。(8)社会保障制度不良長寿の社会は、ごく少数の幼児・年少者と身体障害者を除けば、見た目に健康な若者が圧倒的多数を占める社会になっていて、年齢構成のピラミッドなどなくっている。肉体的に若いままでいるということは活動し続ける(働き続ける)ことができるということなので、年金問題など起こらない。幼児・年少者と身体障害者のための社会保障制度は必要である。医療保険や雇用保険のような制度に関しては、不老長寿の社会では医療費が無料化されていたり、ベーシックインカムのような配当支給システムが導入されていたりするかもしれない。8.国家と経済システム温室効果ガスの削減、原子力発電所の廃棄などが進むどころか、促進されているような状況で、地球規模の資源・環境管理や人口増加の抑制策に関する世界的合意などできるものであろうか?端的な例として、ナチスに戦車、オーム真理教にサリン、アルカイーダに自動小銃を与えたらどうなるか明らかなように、未熟な社会体制や拙い社会制度に中に、極めて強力な近代兵器や化学薬品がもちこまれた場合に一体どうなるかと同じことである。近代科学技術はその使用を誤らない経済システムや政治制度(人間的な社会システム)に先行するようなことがあれば災いをもたらすことになるであろう。災いをもたらすのではなく、災いの元凶になるといった方がよいかもしれない。子供に危険な玩具を与えてはいけない。現在の西欧諸国はナチス、オーム、アルカイーダほど未熟ではないと考える人もいるかと思うが、数多の動物種を絶滅の危機に陥れ、地球の資源を荒廃させ、環境を修復できないまでに改変してきたのは日本を含む経済先進国である。これまでのトレンドに従うならば、発展途上国で人口増加が続くだけでなく、西欧諸国でも不良長寿の薬などによって人口が減少から増加に転じるような事態になる。地球の居住可能人口を増やすための様々な開発が行われる一方で、温室効果ガスの国別削減目標、排出量の上限設定と同じように、人口についても削減目標や上限設定を巡って、各国の利害打算が飛び交うことになりかねない。前述のように、資源を巡る分捕りあいの国境紛争・戦争さえ勃発するかもしれない。温室効果ガス、人口問題にせよ地球規模の問題解決を行うには、地球の表面を線引きし、縄張り争いするような国家などという枠組みを廃止しなければならない。人類全体にとってのためよりも自分の利害、企業の利害、国の利害を優先させざるをえないような動機で動く国家・社会システム、あくことなき利潤を求めて資源獲得競争を繰り広げる資本主義経済システムも廃棄する必要があるだろう。温室効果ガスの削減は技術や排出量の取引などでは決して削減できない。この問題は国家の枠組みと資本主義経済という人間が構築したシステムに起因する問題だからであり、不老長寿の人口問題もいずれ同じようなことになる。参考資料●NHKスペシャル:『NEXT WORLD 私たちの未来』●『長生きが地球を滅ぼす』●『人類はこの危機をいかに克服するか』●『未来からのメッセージ』
March 25, 2015
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5.不老長寿社会の人口問題全ての人間が年をとっても老化するどころか若返るような事態になったら人間の社会はどうなるかということについて考えてみる。合計特殊出生率(一人の女性が一生に生む子供の数)は世界平均では現時点(2005-2010年)で2.56程度であるが、経済的に豊かな国々ではこれより小さい。アメリカ合衆国は2.08、一人っ子政策を推し進めている中華人民共和国が1.77、日本は1.27の低レベルである。人間の平均寿命とこの特殊出生率のレベルによって将来の人口推移は決まる。寿命が延びない状況で特殊出生率が2を下回るのであれば人口は増えない。寿命が延びていく場合にはその延び率に応じて特殊出生率を下げていく必要がある。若返りの薬が普及して寿命が大幅に伸びても、特殊出生率が1程度の状態が継続すれば、人口増加は抑えられる。発展途上国ではいまのところは人口増加が著しいが、避妊器具や避妊薬が普及したりすればおのずと特殊出生率が低下するかもしれない。しかし、特殊出生率が2程度の状態で、若返りの薬が普及すれば、人口増加に歯止めがかからなくなる。人口増加に歯止めがかからなくなれば、地球環境問題とは別に、不老長寿によって増え続ける人口問題が未来世界の重大問題になる。現在以上に人口が増え続ければ、個人レベルから国家レベルまでの様々なレベルで争いが起きるようになるであろう。ここで人間が不老不死であるものとし、男女比率を1:1、特殊出生率を1に抑制するものと仮定し、未来の人口規模を計算してみる。これは次の簡単な級数の式で表現できるが、未来の人口(Nf)は人口抑制策開始時点の人口(Nn)の2倍に収束する。?つまり、厳密に一人っ子政策を継続的に推し進めていけば、人間が不老不死になっても、人間の総数は政策開始時点の2倍に抑えられる。但し、一人っ子政策の行きつく先は、次のように子供がいなくなる社会になる。64人→32人→16人→8人→4人→2人→1人→0.5人→0.25人…生まれた人間はめったなこと、つまり不慮の事故と自殺以外では死ななくなり、これまでどおりの出生率が継続するならば人口は増える一方になる。このため、若返りの薬や不老不死の薬の開発・販売はこのような人口抑制策と一体に行われる必要があり、これに失敗すれば人口爆発が制御不能になり、地球が人間で溢れ返るような事態になる。しかし、特殊出生率を1程度に抑えられれば、人口はこの人口抑制政策開始時点の2倍程度で抑えられ、何百歳にもなるが見た目には若い人間がウヨウヨいる社会になるかもしれない。いずれにしても子供の姿は殆どなくなる。世界的規模で特殊出生率を1に抑え込むのは極めて困難なことになるであろう。全体主義国家ならばいざしらず、民主主義と人権を建前上後生大事にする国々で、一人っ子政策を採用することなど果たしてできるものであろうか? 人口爆発よる人類の危機が予想されていても、多少とも時間が残されているうちは、このような際どい選択を避けて、これまでの延長線上で次のような対策が採用されるのかもしれない。●資源開発・地球の生態系を豊かにして食糧を確保・これまで居住や食料生産に適さなかった地域や場所の開発・砂漠のオアシス化や海洋を居住可能な場所とするための洋上都市開発●資源の有効利用・資源のリサイクル・肉食から菜食主義に切り替えて食料の総量を増やす●人口抑制策・薬の使用が進んでいる国から順に一人っ子の奨励これらは比較的穏便な対策であるが、破局の先送りに過ぎない。破局が近づけば、国家間での資源争奪を巡る国境紛争の挙句の果てに核戦争を勃発させ、これで人口問題を「解決」するというような乱暴な方法だって絶無とはいえない。いずれにせよ、どのような対策を実施しようが、地球の資源は有限であるため、人口が増え続ける限り最終的には地球での居住可能人口の上限に到達してしまう。このため、なんとしても人口が一定程度以上に増えないようなルールづくり、世界システムをつくりあげる必要がある。6.子供を産まなくなる地球の環境と資源は有限であり、現時点でも十分に人口過多だから、不老長寿の薬が栄養剤でも服用するように使用されることになれば、特殊出生率を継続的に下げるようなことをしなければいずれ宇宙船地球号から人間があふれ出てしまう。なんとか特殊出生率を下げることができたとしても、今度は数世代後に子供が殆どいない社会になる。何百歳もの若者ばかりで、子供が殆どいない奇妙な社会になる。死なない命のため、新たな多数の命が生まれることができなくなる。生きているものの特権により、多くの新しい命の開花が許されなくなる。ここまでくるのであれば、一人っ子政策と出産禁止が同じことになってしまう。つまり、人間は赤子を生まなくなる。人間はS・E・Xによって赤子を生み・育てるという世代交代を放棄することになる。但し、不慮の事故や自殺で死んだ人がいる場合にのみ、その補充が許可されて新生児を誕生させることができる。この誕生は妊娠・出産という形態をとらなくなっているかもしれない。宇宙船地球号に定員を設け、定員割れになった場合にのみ、その不足を補うことが許されるということである。死んだ人の遺言により、どのように子供を誕生させるかを指定できるようになっているかもしれない。新しい子供は冷凍保存した卵子と精子を使うかもしれなし、IPS細胞から卵子をつくり、試験官などで培養して製造するようなことができるようになっているかもしれない。セックスは人生の楽しみだけのためにあることになり、生殖行為としては行われなくなる。女性は月経が始まる年齢に達すると不妊手術を受けることになるのかもしれない。他の動物と異なり人間のS・E・Xはすでに生殖行為としてではなく99%以上が楽しみのためのものになっているので、意外にすんなり受け入れられるのかもしれない。ところで、IPS細胞から人間を製造できるようになり、死んだ人間が遺言で、自らの細胞を元に、新生児を誕生させることができれば、死というものが受け入れやすくなるかもしれない。安楽死の技術がこれをサポートするであろう。子供は死んだ人の生まれ変わりということになる。遺伝子は同一なので、記憶だけが引き継がれないということになる。子供は前世の親の経歴をトレースすることにより、その人の生まれ変わりであると考えるだろう。
March 24, 2015
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3.若返り薬医療技術の進歩、生活環境の改善などにより、いまや人間の平均寿命は動物種としてデザインされた30歳の倍以上の80歳に達するまでになった。人間社会は完全に長寿社会になったといえる。癌、糖尿病、認知症など高齢者特有の病にかんしても何れ十分な対策が出てくると思われる。将来の医療技術などの進歩を考慮すると人間の寿命は更に伸びる可能性がある。人間の寿命のアッパーリミットを決定づけるテロメアもどうやら制約ではなくなりそうである。テロメアを操作して生物の寿命を延ばす実験はすでに成功しているようで、テロメアとともに「スーパーp53」という遺伝子を活性化したマウスは、通常のマウスよりも13~24%も長生きするという研究結果が発表されている。「テロメアが活性化すると、細胞の寿命が延びるとともに、がん化しやすくなるのが問題でした。しかし同時にスーパーp53を活性化すると、細胞ががんにならないよう監視してくれる。テロメアが長いほど細胞は若いということですから、寿命も延びる」というような報告がインターネットに載っている。そしてまた、寿命を延ばすだけでなく若返りをもたらす衝撃的な薬が開発されている。年初(2015年)のNHKの番組、「NEXT WORLD 私達の未来(2)-寿命はどこまで延びるのか-」を観た人も多いのではないかと思うが、寿命革命がおきているのとのことである。この番組では、長寿遺伝子の発見、3Dプリンターを活用した臓器製造による再生医療、手術ロボット、ナノマシーンによる病気の監視と根絶などの話が出てくる。副作用が問題とされている抗がん剤も、ナノテクノロジーが発達すれば、がん細胞にのみ作用するようになるという。日本でも研究されている「体内病院」はまさに夢の技術のようだ。これらはいずれも人間の寿命を大幅に伸ばす作用がある。老化を止め、病を治し、病を予知する時代が到来するとのことである。このうち、特に気になったのは、長寿遺伝子(NMN)についての話である。NMNの分子構造は下記のようなものである。ビタミンB3(ナイアシン)の一種であるこのNMNには、加齢によって低下するさまざまな機能を活性化させる「若返り」の効果があるという。人間が若返ることができるというのであれば、一大事である。有限な地球での人類の在り方そのものが問題になるように思える。NMNは若返りのために視床下部から指令を出す7種類のサーチュイン遺伝子なるものを目覚めさせるという。このNMNはアルツハイマーにも有効だとのことである。すでにマウスの実験で実証済みであるようで、生後22カ月のマウスが生後6カ月に若返ったという。これを人間の年齢に換算すると60歳が20歳に若返ったことに相当するらしい。早ければ年内にも臨床試験を行う予定になっていて、既に日本の食品メーカーがNMNの大量生産体制を準備している。番組では社名の紹介はされていないが、この食品メーカーはオリエンタル酵母工業(日清製粉グループ)だとのことで、番組放送後にこの薬を買いたいなどといった多くの問い合わせがきたらしい。今の所、残念ながら研究目的でしか提供されないようである。しかもかなり高額のようだ。NHKが番組放送後に行った、この薬を利用したいかどうかについてのアンケート調査結果によれば、70%以上が利用したいとの回答であったという。薬の臨床試験が終わり、市販され、やがて価格も低下してくるようになれば、大半の人が利用するようになるのではないかと考えられる。肉体の若返りは健康の回復にも資するわけであるから、利用に否定的な人は老いて健康を維持できなくなっていくのに対して、利用者はますます若く元気になっていくのであるから、種の設計思想を後生大事にして薬の利用に反対することは愚かに思えてくるのは自然の流れであろう。人間社会は現在の長寿社会から遠からず不老長寿社会になるのかもしれない。秦の始皇帝や卑弥呼は不老長寿の薬を求めたという。このまま推移すれば、特別な人物だけでなく全ての人が、不老どころか若返ってしまう薬がこの50年以内に安価に服用できる時代になるであろう。まるで栄養剤でものむように。科学技術は知識と技術の累積資産を活用して幾何級数的に進歩する。近未来に出現する技術であろうとも必ずしも予測できない。ゲノムの解読に基づく医療や生命工学などの進歩により、将来どのような薬が登場しても不思議はない。このNMNが即不老長寿の薬ではなくても、様々な薬や医療技術との組み合わせによって、やがては不老不死の社会が実現するかもしれない。人間の歴史区分には様々ある。古代→中世→近世→現代とか原始共産制→封建制→資本主義といったような区分の他にもいろいろありえるだろうが、寿命の長さによる時代区分もありえる。平均寿命30未満の動物的ヒト社会→長寿社会→不老長寿社会→不老不死社会の時代区分である。現在は不老長寿社会の入り口にあたる。4.種の意図と個体の意志生物にとっての死は個体の意志とは無関係にプログラミングされた宿命である。老いた個体の死は新しい個体の誕生のためであり、個体の死は種の保存と発展ための効率的かつ最も優れた方法である筈だ。ところが人間は自身の意志によってこのプログラムを改変し、宿命ではなく自身で選択可能なものに変えようとしている。死が宿命ではなく、避けることができるものになったととき、人間は種の意図に基づいて、生物種としての健全性の維持のためだからという理由で、敢えて死を選ぶだろうか? NHKのNMNの利用に関するアンケート調査で30%程度の人が利用しないと回答したとのことである。実際に「若返ることができるにも拘わらず老いを選ぶ」かどうかは疑問であるが、このような回答をした理由として考えられるのは次のような点ではなかろうか。●不自然に人間が生きながらえることが種の本来の姿に反している。●不老長寿や不老不死の薬は、人間社会を歪んだものに変貌させ、ことによると人類を滅亡に導くことになりはしないか。NHKの番組でも若返りを選んだ人と老いを選んだ人の2種類のタイプの人をドラマ仕立てで登場させていた。このような懸念はあっても、誰しも若くて健康でいたいという欲求を否定できないため、哲学者や生命倫理学者などが何と言おうとも、その使用を禁じることはできないであろう。薬の利用をやめるべきだという哲学的、生命倫理的反対意見は少数派にとどまらざるをえない。個人にとって自らの死は世界の終りを意味する。自然の摂理に反するという理由で、永遠の命の断念、つまり自然死を強要することはできないからである。このような反対意見に対しては次のような反論が待っている。●誰にとっても生を受けた命は何にもまして大切なものであり、いつまでも若くて健康であり続けたいと考えるのは無理からぬことである。●種の意志なるものがあるとしても、何故人間の意志が種の意志を超えてはならないのか。そのような理由などない。●長年、人間は自然の摂理に逆らうことばかりを行ってきたのに、許されてきた。不老長寿の薬に限って、自然の摂理に反することは行うべきではないというのは理解できない。●種の存続のためには環境に適した遺伝子が選択される必要があり、それが今までは自然淘汰であった。しかし、人間は自然淘汰よりも効率的な人工的な遺伝子選択を行っている。環境への適応能力が問題であれば、遺伝子操作によって対応することだってできる。確かに永遠の命を断念し、「種によかれと思って私は死を選ぶ」などという少数の奇特な人がいないとも限らない。病気で苦しんで死ぬということがなくなるならば、自然死を選択することの抵抗感は小さくなるかもしれない。いずれ「病死はすべて安楽死」という時代にもなるであろう。死は新たな命の誕生への橋渡しになることもあり、人々の死生観が変わらないとは言えないが、圧倒的多数は「若返りや永遠の命」の方を選ぶに違いない。
March 23, 2015
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はじめに人間の長い歴史のなかで時の支配者が最も欲したのが不老長寿の薬ではなかろうか。現在でも、そこそこ楽しい人生を過ごしている人にとって不老長寿の薬があるとすれば何よりも欲しいものに違いない。そんな夢のような不老長寿の薬が最近の医療技術や薬学の進歩によって現実のものになろうとしている。そのような夢の薬が出現したときに、人間の社会はどのように変化するのだろうか? 素晴らしいことだと思いつつも、ことによると人間はとんでもない過ちを犯すことになるのではという危惧を抱くのは自然なことであると思う。1.人口爆発下の図は「ネットワーク『地球村』」に掲載されている紀元後の地球人口の推移であるが、西暦1800年以降劇的に人口が増加していることがみてとれる。まさに人口爆発である。次の図からは、世界人口が西暦1800年から1920年の80年間に倍増し(10億人から20億人に)、1960年から2000年の僅か半分の40年間に30億人から60億人へと加速・倍増していることがわかる。1900年以降の劇的な増加は化石燃料などの大量使用と科学技術の進歩がもたらした「豊かさ」によるものと言えよう。今後の年平均増加率が1%程度でも100年経てば人口は3倍近くに増加する。2%の増加率であれば、100年で7倍以上の人口になってしまう。現時点では発展途上国での人口増加が著しく、経済先進国では人口減少傾向になっている。発展途上国が経済的に豊かになれは避妊器具や避妊薬などの普及、人口抑制政策により人口増加が頭打ちになり、やがては減少するようになるかもしれないが、予断は許さない。科学技術の発展はこれまでのところ断然プラス側に作用してきたが、この図のオレンジやグリーンの線のように使い方によってはマイナス方向に作用する可能性がないとはいえない。しかし、多分に希望的観測であろう。科学技術の発展は、このような急激な人口増加に加えて地球資源の大量消費と地球環境の深刻な汚染をもたらしてきた。次の2つの図は世界のCO2の排出量の推移である。地球の長い歴史の中で蓄積されてきた化石資源(石炭、石油、天然ガスなど)を瞬く間に消費尽くそうとしている。これらの枯渇に備えて、数度の原発事故もなんのそのと原子力開発が行われている。農業の発明、大量生産技術の開発、情報通信技術、生命科学などに基づく科学技術文明、飽くことを知らない利潤追求動機に基づく資本主義経済システムにより資源の大量消費は留まるところをしらず、地球の資源を貪り尽くそうとしている。?ところで、動物が消費する「エネルギー(酸素消費量で計測される)/体重」、つまり体重あたりの消費エネルギーは、動物が変温動物から恒温動物へと進化したときに30倍になったという。人間は、ヒトサイズの動物が消費するエネルギーの更に40倍(日本人の場合)のエネルギーを消費するという。こんな動物が異常繁殖したわけであるから、資源が枯渇するのは無理からぬことである。例えば、熱帯雨林は焼畑や様々な開発行為による伐採のため、このままのペースでいくと西暦2040年頃には完全消滅してしまうという。地球の歴史は生物種の大量絶滅を幾度となく繰り返してきた。その原因は、地球全体が雪玉のように氷ついたり、火山の大噴火があったり、小惑星が激突したりしたことなどであった。そしていつのまにか今また生物種の大量絶滅の時代になっている。今回の大量絶滅は人類という地球の寄生生物の大繁殖が原因である。人間は自然的な地球環境をとめどもなく破壊し続けることで、自らの生存をも脅かす様々な環境改変を招来している。下に過去5回の大量絶滅のグラフがある。恐竜が絶滅した白亜紀のような小惑星の衝突によるものは短期間に起きた絶滅のようだが、他の大量絶滅はかなり長期間かかっているようだ。人類の活動が引き起こした今回の6回目の大量絶滅はこの200~300年の間の出来事であり、目下進行中であるが、地球の歴史からみれば一瞬のうちの突発的な大量絶滅ということになる。地球上の哺乳類で最も多いのは人間で、現在67億人、2番目が牛の13億頭、ニワトリが162億尾ぐらいらしい。哺乳類では人間が突出して多い。家畜は人間が飼育しているものであるから自然の中で生存する動物の頭数はごく少数に過ぎないといえる。海洋生物の大半も人間の餌になっている。長い歴史の中で、かつて陸上に君臨した動物の中で、このような単一種の異常増殖は、かつてなかったことに違いない。2.生物の寿命殆どの生物の遺伝子は紐状のDNAからなっている。染色体の末端にはテロメアと呼ばれる繰り返しの塩基配列があって、細胞が分裂すると染色体の末端のこのテロメア配列が少しずつ失われていくという。テロメアの長さは、細胞分裂の回数を測る尺度として機能し、細胞の寿命を調節しているとのことである。人間の場合、テロメアDNAが 5000塩基くらいになると、細胞が寿命に達し、それ以上の分裂が起こらなくなるという。寿命に達しなくても、細胞がテロメアの長さで分裂時計の進行を感知し、老化が進むようになっているらしい。環状のDNAを持つ細菌などは、末端が存在しないのでテロメアのようなものは無く、分裂寿命がないのだそうだ。だから環状のDNA生物の個体は永遠の命を持つといってもよいのかもしれない。このような環状のDNAをもつ生物は原始的な単細胞生物に限られる。紐状のDNAを持つ生物は環状のDNA生物から進化したという説明を若い時にテレビで見たことがある。雌雄を獲得するには環状ではなく二重螺旋の紐状のDNAになる必要があったようだ。生物は雌雄を持つことで、交配可能になり、バラエティに富む遺伝子をもつことができ、進化し易くなった。個体としての永遠の命を放棄する代わりに、世代交代によって遺伝子を変化させ、環境適用能力を獲得し、種の発展の道が拓かれたということである。動物にはそのサイズに応じた自然の年齢というものがあるようだ。寿命は小型動物では短く、大型動物ほど長くなる。面白いことに、哺乳類の場合、寿命の長短はあっても生涯の心拍数は20億回位で同じだそうだ。大きさから推定するとヒトの自然の寿命は20歳くらいだという。動物は子供を産み・育て終えた段階で、個体としての役割は終えたはずなので、存在意義を失い、死すべく運命づけられている。老化し機能しなくなった個体は、初期セットをしなおすため子孫を残すことで、新たな若い命に交換するように設計されている。自らの遺骸を子孫のために役立てる生物もいる。生物の遺伝子はそのようにプログラミングされている筈である。『「長生き」が地球を滅ぼす』(本川達雄)によると。動物の寿命は体重の1/4乗に比例するのだそうだ。ヒトサイズの動物の平均的な寿命は26.3年になる。文明がなければヒトの寿命はこの程度のものなのかもしれない。因みに縄文時代から室町時代までの日本人の平均寿命は30~33歳、江戸時代で45歳(15歳以上生き延びたものの平均値)、50歳を超えたのは昭和22年頃、そして今では80歳になろうとしている(幼児も含めた全員の平均)。人類の歴史上、このような急激な寿命の延びは尋常なことではない。種の意図、自然の摂理に反して、所定の年齢で死すべき運命づけられた個体が孫やひ孫の世代まで無用に生きつづけ、彼らに残された自然資源をいたずらに食い潰しているということになる。種の存続目的に反した行動である。
March 22, 2015
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●新年になった3日のNHKの番組、「NEXT WORLD 私達の未来(2)-寿命はどこまで延びるのか-」をご覧になったでしょうか? 寿命革命がおきているのとのことである。この番組では、長寿遺伝子の発見、3Dプリンターを活用した臓器製造による再生医療、手術ロボット、ナノマシーンによる病気の監視と根絶などの話が出てくる。いずれも人間の寿命を大幅に伸ばす作用がある。老化を止め、病を治し、病を予知する時代が到来するとのことである。●このうち、特に気になったのは、長寿遺伝子(NMN)についての話である。ビタミンB3(ナイアシン)の一種であるNMNには、加齢によって低下するさまざまな機能を活性化させる「若返り」の効果があるという。…であるのならば、人類の在り方そのものが問題になるように思える。●DNAと進化との関係から、雌雄をもつ生物には寿命があると思っていた。これまでは…原始的な単細胞生物に見られる環状の遺伝子から、雌雄に分かれるために二重らせんの紐状の遺伝子を獲得し、多様な発展を遂げることができるようになった生物の宿命として、寿命をもつことになった…と説明されてきたと思う。これは遺伝子の紐の先端にあるテロメアという部分が細胞分裂を繰り返すうちに少しずつ欠落していくことで寿命が決まってくると理解してきた。●NMNは、若返りのために視床下部から指令を出す7種類のサーチュイン遺伝子なるものを目覚めさせるという。このNMNはアルツハイマーにも有効だとのことである。すでにマウスの実験で実証済みであるとのことで、生後22カ月のマウスが生後6カ月に若返ったという。これを人間の年齢に換算すると60歳が20歳に若返ったことに相当するらしい。早ければ年内にも臨床試験を行う予定になっていて、既に日本の食品メーカーがNMNの大量生産体制を整えている。●全ての人間が年をとっても老化するどころか若返るような事態になったら人間の社会はどうなるのであろうか。社会の在り方が根底から覆ることになると思われる。生まれた人間はめったなことでは死ななくなる。人間が不慮の事故以外では死ななくなれば、これまでどおりの出生率ならば人口は増える一方になる。何百歳もの人間がウヨウヨいる社会になる。●しかし地球の環境と資源は有限である。人口過多だから、一定の年齢になったら自殺を強要するようなことでもしない限り人口は減らくなる。こんなことにはさすがに全ての人が抵抗するであろうから、赤子を生まないようにするしかなくなるのではないかと思う。人間が老化しなくなるのであれば、論理的にはこのようにならざるをえない。●赤子を生んでも良いとされるのは、不慮の事故で死んだ人の補充に限られるのかもしれない。あるいは、人間は赤子を生み・育てるという世代交代を放棄しなければならなくなるのかもしれない。つまり、女性が妊娠して出産することは許可制になる。●IPS細胞から卵子をつくり、試験官などで培養して製造するなんてことになる。性生活は人生の楽しみだけのためにあることになり、生殖のための行為としては禁止される。IPS細胞から人間が製造できるのだから、女性は月・経が始まる年齢に達すると不妊手術を受けることになったりするのかもしれない。もっとも他の動物と異なり人間の性生活はすでに生殖のための行為としてではなく99%以上が楽しみのためのものになっているので、すんなり受け入れられるのかもしれない。信じがたいことだが、こんな時代が遠からず到来するのかもしれない。
January 11, 2015
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●高校時代からなんとなく、戦争、テロ、独裁と弾圧、排他的な愛国主義や宗教、飢餓と貧困、環境破壊、権威主義や驕り、利害と打算、人間性を無視した競争、失業、嘘や詐欺、憎悪、虚飾や虚礼といった世界のあらゆる問題から自由であるような社会の姿はどうあるべきかということに関心があった。一言でいえば現代版ユートピアを求めていた。●大学時代の前半だったと思うが、近所で読書会のようなことをやっいて社会問題などを議論していた。そんな中に、国会議員になってしまった女の子がいるのでびっくりなのだが。名前は中川智子。たけしのTVタックルにも何度か出演していたようだ。現在は宝塚市の市長をしている。自身の半生を描いた赤裸々な自伝『びっくり』の中に私も登場している。●大学時代は理工学部にはいたが、前半は小説・哲学・社会学などの本を読んだりして、民主政治研究会なんてサークルにも入っていた。そんなことで学業の方はおろそかにしていた。大学・大学院時代の後半は、今から思えば見当違いの学生運動にのめりこんだりした。●サラリーマンをやめてから、未来企画という会社をつくった。仕事の中身はサラリーマン時代の延長線であるが、未来社会のことを考えて本を出版しようという意図があった。そのほか進化論や宇宙のことにも興味があって、運動不足の書斎派であった。●この頃、NPOネットワーク『地球村』の代表をしている高木義之さんの本を何冊か読み、『地球村』の講演会にも参加したことがある。この『地球村』にもシンパシーは感じたが、私の問題意識の部分でしかなかったので、のめり込むようなことはなかった。●減価貨幣やバーシックインカムのことは知らないで本を出版したが、未来社会のキーワードである基本配当とネーミングしたものがベーシックインカムであり、貨幣の回収率が減価貨幣の減価率に相当していること、この通貨が公共通貨と呼ばれるものであることを後になって知って驚いた。ベーシックインカム、減価貨幣、公共通貨の3つを発明していたことになる。投資配当とネーミングしたものは誰も提案していないので、これはオリジナルな発明になるかもしれない。●テニスとの出会いは6年前に、友人から中里介山の『大菩薩峠』にユートピアの話がでてくるというので、20巻もある長編小説をなんと2か月で読んでしまったのだが、その直後にパニック障害になりかけた。その対策と一環としてはじめたのがテニスで(軟式から始めて今は硬式)、今ではすっかり打楽人生になってしまった。●今月、大学のクラスメートの一人が共同著者になっている本が出版されたということで、久しぶりに地球環境問題に関する本を読んだ。『人類はこの危機をいかに克服するか』というけっこう大上段なタイトルの本である。人類はこの危機をいかに克服するか 地球環境・資源、人類社会への提言価格:1,944円(税込、送料別)●主要な地球環境問題について本の半分ほどを費やして解説したあとで、問題解決にむけて世界連邦政府構築の提案、GDPに代わる新しい評価基準としてグローバル最大幸福(GGH)という指標を提案し、代表的な国々を例に指標の計算をしている。それなりに得心のいく指標になっている。●『地球村』の方も飢餓、貧困、戦争、環境破壊などのない、持続可能な世界を目指している点は変わりがないが、こちらは世界政府の構築とGGHの提案まで踏み込んでいる。『地球村』も問題の根っこには経済がGDP至上主義であるとの認識や人間の生活スタイルはLOHASであるべきだという点も当然共通している。●但し、GDP至上主義を問題にしてはいるが、資本主義そのものが問題であるとか、マネーシステムや所得配分システムが問題であるという主張はしていない。所謂エコロジストの主張には全面的に賛成ではあるが、今一つのめり込めないのはこの点にある。あまり突っ込み過ぎると運動の幅が狭まるという考えがあるのかもしれない。高木義之さんは、『地球村』の基本理念は「非対立」にあると言っているが、このことが関連しているかもしれない。●私は資源・環境問題を含めて世界の諸問題の大半は「資本主義経済システムと国民国家という枠組み」の結果であると捉えている。従って結果だけでなく仕組みそのものを変える必要があると考える。ベーシックインカムの唱える人の中にはマネーシステムまで問題にする人もいればそうでない人もいるが、ベーシックインカムの運動は、貧困や経済的格差の解消だけでなく、結果的に人間の活動動機を変えることになるので、経済システムの組み替えを目指す運動であるとも言える。国家の枠組みを無くすには経済システムの変革が先行する必要があると思っている。●地球の資源・環境問題の原因が「自然を外部経済として扱い、利潤追求動機で動く経済システムがもたらした必然」であるならば、解決方策の要点は次ようになる。(1)外部経済を内部化するために、地球税(地価税、資源利用税、環境負荷税など)を税の基本とする。逆に人間の有用な活動及びその結果に課税するような所得税を含めた全ての税金を撤廃する。(2)地球の自然資源や環境は空間的に世界に跨るので、その問題解決には国民国家という枠組みでは対応不可能である。その意味で世界政府の構築、更に言えば国境のない世界にする必要がある。(3)利潤追求動機で動く経済システムは地球資源・環境問題だけでなく、犯罪、戦争、貧困、差別などあらゆる問題の元凶でもあるが、この経済システムは利子貨幣がその根幹にある。経済という土台があくことなき利潤追求、利害打算、弱肉強食なので、自由・平等・博愛などの理念がお題目だけのものになるのは避けられない。このためには、マネーシステムを公共通貨とベーシックインカムなどをベースとする経済システムに転換する必要がある。●このへんの事情を詳しく知るには「21世紀の経済システム展望」(ジェイムズ・ロバートソン)などを読まれるとよいかもしれない。21世紀の経済システム展望 [ ジェ-ムズ・ロバ-トソン ]●日々生活のために忙殺されている多くの人にとって、未来の人類のことを心配するよりも明日のパンや老後の生活がどうなるかといった問題の方に関心があるのは無理からぬことである。そういう意味ではベーシックインカムのような日々の生活に関わる所得保障制度の方が地球環境問題よりも身近な問題の筈である。C.H.ダグラスが国民配当を提唱して以来、再びベーシックインカムが世界的に認知され運動の広がりをみせてきている。●残念なことにベーシックインカムの運動の方は、原発の被災者に対してベーシックインカムの支給を訴える運動などはあるものの、地球環境問題についてのコミットはあまりない。●いずれにしてももどかしい話で、未来の世界はこうなってほしいという姿を思い描いてあの世まで持ち込むしかないだろうと思っている。そんなわけで、現世でたかがしれたことしかできないのであれば、今は余生を楽しくということで、テニス三昧の日々を過ごしています。
September 24, 2014
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●スマフォなどのモバイルユーザーに読みやすいように、小説『未来からのメッセージ』のモバイルサイトを作成しました。●『はじめに』より 近未来ではなく、五百年とか千年年先の未来の社会の姿がどのようなものになっているか興味ありませんか?現在の社会をどうにかしてほしいのに、自分が生きてはいない社会の姿などどうでもよいと考える人もいるかもしれません。しかし、思い描いた未来の社会の姿から、現在の社会を改造していく道筋が明らかになってくることもあるのではないでしょうか? 未来は非常に科学技術が進歩していることは間違いないでしょう。だが、それだけでは決してないはずです。封建制社会に生きた人々は現在のような社会の姿を想像できたでしょうか。同様に、五百年以上未来の世界は、経済や政治の仕組み、世界の仕組みが根本的に異なったものになっているだけでなく、ものの考え方、つまり価値観や社会規範といったものがが劇的に変化し、家族関係、会社組織、宗教すらも変貌を遂げている筈です。 ここに描いたのはそのような世界です。小難しい未来社会論としてではなく、物語をとおしてこのような未来社会の姿を紹介したいと考えてこの小説を初めて本にしたのは平成17年です。その後少なからず書き足し、タイトルなども変えて今日に至っています。
August 29, 2014
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●ロバート・B・ライシュはベーシックインカムの賛同者であるとのことなので、下記の本を読んでみた。原題は「Supercapitalism」であり、本の帯には「東洋経済ベストセレクション」と書かれている。暴走する資本主義ロバート・B・ライシュ●大企業と労働組合がもちつもたれつの関係を保ち、大企業は安定性を堅持し、労働者は将来設計が見通せた戦後の「黄金時代」を経て、情報通信技術を含む技術革新は、大企業と中小企業の垣根や国境の壁を低くし大競争時代を招来した。新自由主義思想がもてはやされ、企業は投資家からの配当期待と消費者からのお買得商品の選別というプレッシャーを受けて、利潤追求のため優秀な経営者を求め、様々な法規制を自社に有利なものとするためロビー活動に大枚の資金を投入するようになった。著者は資本主義が超資本主義として、政治をも呑み込んでいる実態が明らかにされている。●このような超資本主義の下で繁栄の中で、多くの人が格差や貧困に悩まされると同時に市民は投資者や消費者として企業に飽くことなき利潤追求とお買得商品漁りを通じてその原因の拡大再生産を助長している。●企業の目的は利潤追求にあり、人間と同じような社会的責任などを持たせるべきではなく、企業収益は株主に全て還元すべきであり、逆に法人税などはなくすべきであるとの著者の主張にはある程度納得がいく。●このような超資本主義の越権行為を止めるには法規制による縛りが必要になるが、その法整備を行う政治家が企業献金などに依存している現状があり、改革は容易ではない。全てが…社会や政治の隅々まで利潤追求動機によって暴走する超資本主義に席巻されている。新自由主義のような思想が繰りかえし勢力を増してくるのは情報通信インフラをベースとしたな経済システム上の特性による。●しかし、ちょっと考えてみればあたりまえのことである。経済システムが利潤追求を原動力としている限り、それを担う人間の活動動機が利潤追求になるのは当然ことであり、人間的な正義感や温情・同情といったものは人道主義者やロマンチストの感傷に過ぎなくなる。●超資本主義は利子貨幣が当然にもたらす社会の姿である。便利な交換手段として誕生した貨幣がモノの上に君臨し、富の貯蔵手段となり、利殖手段となって、人間の精神と社会の隅々までを支配するようになるのは必然である。人間の動機の大半は利子貨幣の意志である。人間的な社会規範を求めても経済規範が非人間的な利益至上主義である限り人間的社会には逆立ちしてもなりようがない。●この状態を打開する有力な手段のひとつがベーシックインカムであり、もう一つが減価貨幣である。ベーシックインカムは全ての人に生活上の所得保障を行うことによって人間を生きるための利潤追求の脅迫から解放し、減価貨幣はモノが貨幣のしもべの状態からから解放する。おそらくこれ以外に人間が利子貨幣の奴隷から解放される道は無い。減価貨幣の減価率は配分されるベーシックインカムの回収率になる。●人間の創造的活動に課税するのはそもそも問題がある。企業に税を課しても結局は巡り巡って消費者が負担するだけのことである。それよりも地球環境の保全と公正な地球資源の利用のために、地球資源利用料の形へと全面的に置き替えるべきである。ベーシックインカムとこの地球資源利用料によって税金なるものを一掃し、無税社会を実現することもできる。●このことは利子貨幣の誕生以来、貨幣に支配され権力者や富者に支配されてきた人間の歴史の一大転換点になる。おそらく、人間の活動動機や社会規範が有利子貨幣から解放されれば国などというものも単なる地方境界線に過ぎない世界になっていく。
May 11, 2014
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関曠野さんが京都の仁和寺で行った講演(『成長幻想から仏教経済学へ』)の中で、私が関さんと意見を異にする点について整理してみた。●関曠野さんの講演内容は下記のリンクをクリックして下さい成長幻想から仏教経済学へ●未来社会での考えは下記の文書に記載されています。未来からの伝言3種類の配当未来社会の経済システム以下で、関曠野さんの考えと未来社会での考えを対比してみました。1.企業への融資関曠野さんの考え●自治体の首長が管轄し、自治体の職員、市民と議会の代表および金融専門家の四者で構成する融資協議会をつくったらどうか。そして企業から申請があった融資条件を四者で審査して、公共的意義が認められた企業に政府通貨を融資する。未来社会での考え●一般に言われる「公共性」や「公益性」は現在の資本主義経済・社会で、役所が定義するそれに過ぎないのではなかろうか。企業を公益的な企業とそうでない企業に分類することができるだろうか。大半の企業が社会のためになる有用な仕事をしているのではなかろうか。●だとすれば膨大な数の企業が融資対象になる筈で、このような膨大な融資検討作業を「融資協議会」のようなものが行えるか甚だ疑問である。また融資協議会が大きな権力を持ってしまう恐れはないのだろうか。●関曠野さんは「普通収入権」を唱えているが同感である。但し、未来社会では投資も投資家や銀行など金融力による特権ではなく、更には役所的な「融資協議会」による専権事項でもなく、全ての人が参加して行う「民主主義的投資」を提案している。このため、投資配当をベーシックインカムと同様に希望する全国民に一律に定期的に配分するものとしている。膨大かつ広範囲な分野の投資は市場の仕組みを利用する方が合理的である。●但し、全ての人が全ての投資対象企業について詳細な情報を調べたりすることは難しいので、投資代行機関のようなものが、人々から委託されて投資活動を代行することになる。もちろん個人が直接投資しても良い。この投資代行業務を行うのは、姿を変えた銀行や投資信託会社、投資コンサルタントなどになる。2.ベーシックインカムと議会政治関曠野さんの考え●政府通貨は経済的には特効薬でも政治的には劇薬なんです。というのは政府通貨を議会制の枠内でやると政権与党の利権のばら撒きに使われて経済は滅茶苦茶なことになるからです。未来社会での考え●社会規範は経済システムが変われば大きく変貌する。利子貨幣による資本主義経済システムは人間を利潤追求動機に駆り立て、人間の意識、考え方、社会秩序などを規定する。関廣野さん自身が仰っているように政府通貨とベーシックインカムが一体的に導入されれば社会の在り様が根底から変化することになる。●政府通貨だけを先行的に行わないことが肝要である。ベーシックインカムが導入されれば社会規範は大きく変貌し、従来の様々な社会階層の利害を代表するような政党はその存立意義がなくなる。政党はベーシックインカムがもたらす社会の変化、人々の心の変化、行動規範の変化に順応せざるをえなくなる。従って従来の議会政治はより人間的なものに変化するので、議会政治それ自身を否定する必要は無いと思う。3.皇室券としての政府通貨の発行関曠野さんの考え●日本には皇室という政治を超越した権威があります。また現行の日本国憲法でも天皇は「国民統合の象徴」とされています。それなら日本国通貨の発行権は皇室にあるとしたらどうか。皇室直属の国家信用局を作って政府通貨を皇室券として発行する。未来社会での考え●天皇家は明治維新から第二次大戦の間に薩長、明治政府、軍部などに利用された苦い経験があるだけに、政治や経済に直接関与しないことを旨とした皇室にとって、これに深く関わるような発行権を持つことにはたじろがざるをえないのではないかと思える。●それはともかくとして、天皇や国王と言われる人が人民の幸福を願う尊敬すべき人物であるかどうかということとは関係なく、人を貴族と平民に分けたりする貴賤の区別に類するようなことは「全ての人は平等である」とする思想と反するように思う。であるからして世界中の国王や皇室に類する人たちは、自ら国民に敬愛されるようにふるまわなければ、存在意義を失うようになっている。そ皇室は歴史的に抹消されずに残った過去の遺物といえる。そのようなものを今一度歴史の表舞台に敢えて引き出すようなことはしない方がよいのではなかろうか。4.ベーシックインカム経済のインフレ対策関曠野さんの考え●通貨の価値を安定させることも国家信用局の課題です。そしてこの機関はソロバン勘定で動いているわけではないから、事態をコンピュータで適切に分析し、それに応じていくらでも通貨の供給量を調整できます。●景気の過熱を修正するための臨時措置として企業に利子を付けることもありうるかもしれない。場合によっては一時的にベーシックインカムを減額することもありうるかもしれません。未来社会での考え●基本的にはベーシックインカムを減価貨幣として発行し、減価貨幣の減価率を調整することで貨幣流通量を調整する。但し、減価率を上げすぎると消費を促進してしまう面もあるので次のような方法を併用する。●未来社会では税金は全廃されて、地球資源利用料に置き換わる。これは土地や資源の利用、地球環境への排出量に応じた料金であるが、この利用料を調節する。●但し、減価貨幣や地球資源利用料などが導入されるまでの経過措置として消費税率の調整も考えられる。仏教経済学については、なるほどと思うところが大部分で特に異論はない。いずれにしても競争や経済成長を強制されるような経済システムは、人間の社会規範を醜悪なものに変形し、効果ガスの問題ひとつをとってみても地球の自然環境と相いれないものであることは明らかだ。関曠野さんはシューマッハーの『スモールイズビューティフル』に描かれるような人間中心のありかたや仏教の中にそれを見出したということなのであろう。
April 17, 2014
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●すっかりこのブログから筆が遠のいてしまいました。身体が動く限りテニス三昧の打楽人生で通そうと思っています。20代は学生運動で棒にしてしまいましたが、余生を遅まきの青春時代として楽しく過ごそうと思っています。●最近は社会や経済の仕組みから宇宙の成り立ちや仕組みに興味の重心が移っています。●HTMLを知らない人でもWebサイトが作れるCMS(Content Management System)なるものがあり、その代表的なものに『wix』があります。このシステムを使って『打楽人生』というホームページをつくってみました。
March 27, 2014
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●15年ほど前に『超ひも理論と宇宙』(裳華房:吉川圭二著)という本を読んだ。究極の理論としての「超ひも」ということであったが、数式や難しい図がやたら多いので、究極の理論の雰囲気を味わった程度であったかもしれない。●今回は、先に紹介した『重力とは何か~アインシュタインから超弦理論へ、宇宙の謎に迫る』著者:大栗博司さんの最新作『大栗先生の超弦理論入門~九次元世界にあった究極の理論』(2013年8月出版)を読んだ。●こちらの本は小難しい数式や図はほとんどなく、それでいて超弦理論の現状を素人にも分かってもらえるようにとの意図で書かれている。15年の歳月は超弦理論にとって長足の進歩があったようで、以前にはなかった次のような面白い話が出てくる。・弦ではなく膜・10次元の超重力理論・力の強さが空間の次元を変える・重力のホログラフィー原理【送料無料】大栗先生の超弦理論入門 [ 大栗博司 ]価格:1,029円(税込、送料込)●この本に次のような不思議な「オイラーの公式」が紹介されている。 1+2+3+4+5+6+7+8+… 無限に足していく =-1/12●こんな妙なことって誰も信じないだろうが、中学校レベルの数学によっても証明できる…とのことで、数式の展開を追っていくと、確かにそうなる。(*^_^*)
October 20, 2013
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●「未来社会」からはだいぶ遠ざかってしまった。社会の仕組みを変えるのは容易ならざることであり、世紀オーダーの時間がかかることなので…としばらく距離をおくことにしています。●そんなわけで、ここのところ宇宙論に関する次のような本を読んでいました。放送大学のテレビ授業などで見たり読んだりしてはいたが、下記の7冊のうち、後半の4冊はけっこう面白く読ませてもらった。そういえば、最近NHKで「神の数式」とかいう2回シリーズの番組もやっていた。●超弦理論が神の数式に近づきつつあるように思えますね。それとこの宇宙の元になっている各種パラメータがあまりにも都合よく微調整され過ぎていることから人間原理とかマルチバース(無数の宇宙)についても、ありえないことではないのかなと思えてきますねぇ。系外惑星/井田茂宇宙のはじまりの星はどこにあるのか/谷口義明狂騒する宇宙/Robert P.Kirshnerダークマターとは何か/郷田直輝宇宙のダークエネルギー/土居守・松原降彦宇宙に外側はあるか/松原降彦重力とは何か/大栗博司
October 2, 2013
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●ベーシックインカム・実現を探る会からのメールニュースに次のようなタイトルのニュースがありました。『米大統領が1兆ドル硬貨発行』---------------------------「財政の崖」第2幕 米大統領に奥の手 1兆ドル硬貨発行---------------------------東京新聞が報じるところによると、オバマ米大統領が政府借り入れの法定上限(債務上限)をめぐる議会との交渉を回避する手段として、一兆ドル(約八十八兆円)のプラチナ硬貨発行を検討しているとのことです。●『未来からの伝言』の「談話室 三種類の配当」で日本政府の借金帳消し対策として日本政府の借金が千兆円もあるということでしたが、日本の場合には外国から借金しているわけではありませんから政府が一兆円金貨でも考案して千枚もつくれば、それで借金は帳消しにできます。と提案していますが、オバマ大統領はさすがに慧眼ですねぇ!●日本政府にとっての円での借金は政府通貨の発行でいつでも帳消しにできる代物であり、米国政府にとってのドルでの借金も同じである。家計や企業の借金と政府の借金が同じ借金であると信じて疑わないマスコミはいいかげんに勉強しなおしてはいかがかな。●財政規律の呪縛から解き放たれることなしに、社会福祉も震災復興も経済再生もありえない。
January 12, 2013
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●下記の本はの初版は1962年で60年も前の本であるが、現在のデフレ経済対策にも少なからず参考になるかもしれない。●ケインズの生い立ち、思想、ケインズ革命と言われた経済理論の骨子、現代資本主義経済政策とケインズ経済学の修正点などが分かりやすく簡潔に記述されている。『ケインズ』-”新しい経済学”の誕生-伊東光晴著●自民党の国家観、原発問題、社会福祉政策などいずれにも賛同できかねる。しかし経済政策に関する限りは財政規律主義の呪縛から逃れ、ケインズ理論を適用しようとしている点は民主党よりましかもしれない。●アベノミックスと言われているデフレから脱出ケインズの次の3つの政策に他ならない。(1)消費性向を高めること(2)利子率を下げて民間投資を増やすこと(3)政府が進んで投資を増やすように、公共投資を行う。または、財政赤字を人為的につくって有効需要をつくりだす。
December 30, 2012
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●自民党の安倍総裁が衆議院選挙に向けて「大胆な金融緩和策」を唱えている。建設国債などを大量に発行して日銀に協力させようとの提案である。これに対して日銀の白川総裁や野田首相は、おきまりの「財政規律を破壊するものだ」とか「日銀の独立性を損なうものだ」といった論調で反対している。デフレが解決されない原因はどこにあるのか、たまにはこのような本でも読んで経済や財政の常識を疑ってみてはいかがなものであろうか?●日本経済を凋落させた自民党ではあるが、今回のこの安倍発言だけは多少評価しておきたい。政権を取った後で財政規律論者を説得できるかどうかがみものではあるが…。お金を配れば日本復活
December 5, 2012
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●前回の「さっさと不況を終わらせろ」(ポール・クルーグマン)と今回の「世界の99%を貧困にする経済」(スティグリッツ)はともにノーベール経済学賞の受賞者であり、これら2冊の本も今年になって出版されたものである。ということは両方ともアメリカ大統領選挙をターゲットとして米国民に訴えかけるために書かれたものであることは間違いない。●「さっさと不況を終わらせろ」がデフレ下での財政緊縮論の誤りからの脱却を説いているのに対して、「世界の99%を貧困にする経済」ではいかに最上層1%の富裕層が残り99%から富の収奪を政治的に行ってきたかを克明に分析し、公平な社会とするための政策提言を行っている。●日本共産党が泣いて喜びそうな本でかもしれないが、共産党が共産主義を放棄しているにもかかわらずいまだイデオロギー的であるのと対照的に、スティグリッツは読者を首肯せずにはおかない実証性と説得性をもっている。世界の99%を貧困にする経済 ジョーゼフ・E.スティグリッツ
October 17, 2012
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●「未来からの伝言」改訂版全文の「3種類の配当」のものと同じような経済システムの提案をしている論文があるので、紹介することにした。偏見なく素直に考えていけば、同じような経済システムに辿りつくのではなかろうか。貨幣レジームの変革とベーシックインカムの持続可能性―文明の未来はマルクスではなくダグラスが握っている―井上智洋「未来からの伝言」改訂版全文の「3種類の配当」
October 17, 2012
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●ノーベル経済学賞受賞者でもあるポール・クルーグマンはケインズ派である。世界恐慌を体験してその不況克服方法についてケインズから多くを学んだはずの世界各国の政府・経済学者の多くが、いつの間にかケインズから離れ、それを異端とし、深刻なデフレ期に財政再建・増税に走り、デフレをますます深刻なものとしている。●今年は世界の主要な国でトップの座をかけた選挙がおこなわれているが、米国でも大統領選を控えている。今年出版されたこの本は明らかに、米国の大統領選挙をターゲットに大統領候補者達に物申すことを主目的して書かれたものではないかと推察される。共和党のロムニーが掲げる財政、社会保障、安全保障などの政策はいずれをとってもとんでもない代物ばかりである。●クルーグマンは世界の『常識』になっている「デフレ期の財政規律・増税政策」についての問題や「政府の不況対策のための財政出動に対する危惧」などについて実証的かつ分かりやすく解説している。さっさと不況を終わらせろEND THIS DEPRESSION NOW!ポール・クルーグマン●アメリカにもクルーグマンや同じくノーベル経済学賞受賞者のスティグリッツのような人がいることに多少救われる思いがする。
September 5, 2012
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●関廣野さんの講演ではじめ「ダグラスの社会信用論」を知った次第であるが、その後「ベーシックインカム・実現を探る会」に掲載されている関さんの論説などを読ませてもらった。下記の本は単行本であり、原発、歴史、世界経済、国家などに関して独自の論を展開している。フクシマ以後 エネルギー・通貨・主権関曠野1.ダグラスの社会信用論に関して●ここでは、関曠野さんの「ダグラスの社会信用論」に関して疑問に感じていることを書いてみた。●関さん自身の考えも含めて次のような主旨になっていると思う。(1) 個人へは国民配当というベーシックインカムが支給される。(2) 国家信用局が企業に融資する。(3) 融資された企業は国家信用局に返済しなければならない。(4) 支給された国民配当(BI)は企業への法人税を通じて回収される。●上記の点に関して次の2つのことを疑問に思っている。(1) 国が企業に融資するということが望ましい姿なのであろうか?(2) ベーシックインカムの回収方法には他の方式が考えられないのか?●上記の点に関して、未来社会(エポカ)では次のように提案している。(1) 国が企業に融資するということが望ましい姿なのであろうか?●星の数ほど存在する企業に対する融資を国が取り仕切ることができるとは思えないし、取り仕切るべきではない。●この融資作業は、従来は全国津々浦々の銀行などによる直接融資や株式市場等を通じて行っていたものを代行しようということになるので、巨大な官僚機構が必要になるかもしれない。●こんなことをするのであれば、融資予算を投資配当という形で希望するすべての国民に配分し、投資を行ってもらう方が良い。この方が中央集権的な融資ではなく、民主的な融資が可能になる。もっとも、私が考える国家信用局の中央集権制は社会信用論で想定しているような姿ではないのかもしれないが…。●希望するすべての国民に配分された投資配当の大半は、実際には投資信託会社のような組織が個人に代わって運用することになるであろう。(2) ベーシックインカムの回収方法には他の方式が考えられないのか?●関さんは「減価貨幣は消費の強制になる」と考えておられるようだが、強制になるかどうかは減価率にも依存する。また、無条件のBIが支給されるような社会ではお金が減価していくことがあったとしても「減価しないうちに早く使ってしまおう」という動機は薄れていくように思える。●支給されるBIの回収方法としては法人税以外に、消費者から回収する消費税のような形もあると思う。私は減価貨幣を使用するのが一番良いと考えている。電子マネーの世界では消費税や付加価値税よりも通貨管理局によって一元的に管理される減価貨幣での回収が最もシンプルであると思うからである。減価率の調整によってインフレやデフレの制御がしやすくなるメリットもある。●この回収方法であれば、モノに対する貨幣の優位性をなくし、貨幣を交換手段としての機能に留め置くことができるようになる。●地球税(地価税、資源利用税、環境税)はBIの回収を目的としたものではないが支給したBIの回収手段としても利用できる。■参考:未来社会の経済システム未来の経済システム(説明文)未来からの伝言(三種類の配当)2.議会制と政党政治に関して●関さんの『フクシマ以後』には議会制と政党政治に関して次のようなことが書かれている。そして政党政治の枠内でBIを実現する予算を編成せよと要求することは政治的ポーズに終わるのもでしかない。他方でありえないことだが、議会制国家の枠内で政府通貨が実現したと想定してみよう。その場合、政府通貨は選挙で勝った政党に無制限の経済的権力を与えることになり、これは危険極まりないことである。(p214)●独裁政権であればそのようなことになるのであろうが、選挙によって政権交代が可能な状態が保たれているのであれば、政党の暴走を止めることは可能である。議会制と政党政治は近代租税国家の一構成要素であり、税収に基づく会計としての国家財政を前提として成立している制度である。政党の主な課題は税の徴収とその配分をめぐって争うことである。ところが公益事業としての政府通貨の発行は、税収に制約された会計としての国家財政の観念と両立しない。(p238)●となると政治の仕組みが変わらなければ政府通貨もBIの導入もあきらめなければならないということになるのだろうか?●私は経済・社会制度などの下部構造が変われば、自ずから政治の仕組みなどの上部構造も変わらざるをえなくなると考えている。現在の貨幣制度のもとでは利潤追求型の経済、働かざる者食うべからずといった社会になるのは当然のことである。●しかし、政府通貨を用いれば丹羽春喜氏が言うような需要制御型の経済システムに転換していくであろうし、その財源を用いてBIが導入されれば政治家を含めて人々の価値観は歴史的大転換をすることになるであろう。●関さんの言う「現在の議会制と政党政治の関係」は現状という時間断面では首肯できるものであるが、財政や通貨の性格、BIの導入は「議会制と政党政治」そのものを変えることになるであろうから、現在の政党には任せておけないから「BIを実現する予算を編成せよ」と要求しても徒労に終わる…といったような論調には少々抵抗を感じる。●問題は社会制度としての民主主義の質にあるのではないかと思う。現代社会の民主主義は虚構であり、持たざる者には形式的自由はあっても実質的自由はない。企業組織などは完全な封建制である。●少々遠い未来の姿になるかもしれないが、私の考える未来社会は国境や組織に境界の無い姿を想定しており、選挙制度も根本的に異なっている。■参考:未来社会の政治と選挙制度未来からの伝言(市長の選挙)
February 5, 2012
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●昨年『文明崩壊』(ジャレド・ダイアモンド)と『地球の論点』(スチュアート・ブランド)を読んだが、この二人の著者に共通なのは、詳細な情報収集に基づいて実証的に分析していく語り口である。●彼等は二酸化炭素による地球温暖化への警鐘を訴えていること、原子力発電に対しては肯定的な考えの持ち主であることも共通している。●スチュアート・ブランドはかつての反原発論者から賛成論者に転身したこともあって、賛成するに至った論拠を具体的に論述している。このため彼らの主張は説得力を持っているようにみえるかもしれない。文明崩壊ジャレド・ダイアモンド地球の論点スチュアート・ブランド●1月3日の朝日新聞にジャレド・ダイアモンドへのインタビュー記事が載っていたので、簡単に紹介する。「放射能の危険性と同時に、化石燃料の危険性も考えるべきです。二酸化炭素による地球温暖化はすでに、大きな被害をもたらすサイクロンなどの熱帯性低気圧を増やしています。放射性廃棄物は地下深くに封じ込められますが、放出された二酸化炭素は200年間は大気中にとどまるのです」「いま一度、『現実的になろう』と言わせてください。原発事故や地震で、文明が続く可能性がそこなわれることはありませんが、二酸化炭素は現代文明の行く末を左右しかねない問題なのです」●ジャレド・ダイアモンドは、巨石像のイースター島やマヤ文明、ノルウェー領グリーンランドなどの社会の崩壊はいずれも環境破壊が原因であると分析している。「亜熱帯雨林に覆われていたイースター島では燃料や巨石像を運ぶ資材にするため、すべて切り倒されたのです」「古代マヤ文明の人々は、増えた人口を支える燃料や建材を得るため、丘の森林を切り倒しました」●これらの文明が終焉するにいたったのは環境問題を解決できなかった社会システム・人々の考え方に原因があるとのことである。ところで、二酸化炭素による地球温暖化という環境破壊は、これらの環境破壊の比ではなく、全地球規模のものであるが、現代世界で人類が歩んでいる道はこれらの文明崩壊に至ったものと基本的には同じである。●おそらくイースター島、マヤ、グリーンランドの場合も、住民たちは年々破壊されていく自然環境のことを考えれば「このままいったら滅びるかもしれない」と感じていたに違いない。現代の地球温暖化問題も同じである。従って、滅びるのが分かっていながらそうせざるをえないように人間を駆り立てたものは何かということが最も問題の筈である。●人は社会的動物であり、基本的には自らが属する社会の仕組みの中でしか生きられない。社会の外から傍観者的に「社会の仕組みをかえれば生きながらえることができるのだが」という訳にはいかないもののようだ。●今日の大多数の人間にとって、環境破壊がもたらす結末が局所的か全地球的であるかに関心はあっても、当面のさしせまった問題ではない。一番の関心事は今日のパンである。今日のパンが充分確保できるのであれば明日の環境のことも考えても良い…といったところであろうか。●明日のことよりも今日を如何にして生きのびるかに集中せざるをえない資本主義経済システムでは、人は今月の給料、今月の売上、今年の企業利益、今年の国家財政がすべてであり、地球環境が日々破壊されていようが今日・明日どうのこうのというわけではない…ということになる。経済成長は資本主義の至上命令であり、かくして破局に向かって加速度的に歩みを早めることになる。分かっていても、止められないし、止まらない。●1980年に国民投票を踏まえて原発の廃止を決定した北欧の福祉国家スウェーデンも原発存続に逆戻りした。日本の民主党は原発の廃止をめざすと言っているようだが、その舌のねも乾かぬうちに原発の輸出は積極的に行うという。国内で害が出るものでも国外ならば構わないらしい。政策の無矛盾性に対する頓着などまるでない。喉元すぎれば暑さ遠のくで、原発廃止を打ち出したドイツなどもいずれは原発存続に回帰するに違いない。●少々危険な代物かもしれないが、地球温暖化で人類全体の生存が脅かされることに比べたら原子力発電所の事故などは局所的で、被害の程度もしれたものだ、少々騒ぎすぎではないのか…ということになるのであろう。既存のシステムの枠内で真面目に考えるとジャレド・ダイアモンドやスチュアート・ブランドのような結論になるのが落ちである。●ジャレド・ダイアモンドは「最善のシナリオは持続可能な道です。先進国の人々が資源やエネルギーの消費を落とす一方で、途上国の人々は消費水準を上げ、両方をバランスさせることです…」と言うが、世界中で何百万回「持続可能な社会を!」という掛け声が連発されても、その具体的な解決にむけての動きが一向に見られないのは、原因を不問にして結果だけを問題にしているからである。経済先進国の大量生産・大量消費は経済システムの結果なのであって、結果だけを正せといっても意味のないことである。●資本主義経済システムを前提とする限り、システムの命ずるままに成長にみあった電力を確保せざるをえない。二酸化炭素の排出を抑えようとするのであれば化石燃料に替る十分な代替エネルギー源を確保するしかない。太陽光や風力などの自然エネルギーはコストアップになる上に心もとないので、原子力発電に頼る以外に有力な手立てが無いということになる。●従って、「二酸化炭素の排出を削減し原子力にも頼らない世界をつくる」には、現在の資本主義経済システム以外のシステムを考える以外の方策はない。そうでなければ、人間は奴隷のように命令に従っているだけであるにも拘わらず、自分の意志で動いていると思っているその活動動機を変えることはできない。●環境問題に限らず、貧困問題、金融不安、国家の財政破綻、社会福祉財源不足…顕在化するすべての問題の原因になっていて、奈落の底に向かって文明を、人々を駆り立てるのは銀行が発行する利子貨幣をベースとした経済システムである。人間から自由意志を奪っているのはこのマネーシステムである。
January 8, 2012
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1.ユーロ誕生の条件●統一通貨とすることによって各国は通貨発行権を失う。●各国の税率などについても格差がないようにする必要がある。EU域内では関税も無くなっている。●国の自由になるのは財政政策のみとなるが、上記の条件の下での自由であって、実質的にはかなり制限されたものにならざるをえない。財源調達を国債に依存する場合には金融不安を招かないように財政規律の遵守を求められる。2.ユーロが発足時から抱えている問題●関税を撤廃したり通貨を統一したりするのであれば、域内では弱肉強食の競争状態になる。強い国や強い企業はより強くなり、弱い国や弱い企業は衰退するのは必定である。●大きくなった市場で蓄えられた競争力はユーロ圏外に対しては効果を発揮するかもしれないが、関税や為替レートによって防護されてきた域内の国の産業は強い域内の他国や産業に対して無防備になる。域内では勝ち組と負け組みにはっきりと分かれるようになる。結果として国ではドイツの一人勝ちになった。●ここに一つの通貨圏ではあっても一つの国でないことに大きな矛盾が生じる。3.ユーロの悲劇●最近のニュースによると、ユーロ各国の国債は優等国のドイツ国債でさえも売れ残るような事態になったということである。国債が市中消化されなければ、税金の他に財源の調達手段がなくなる(とだれしもが考えている)ので、税率のアップや社会保障費の削減によって経済は不活性になり、ユーロは全体として貧困が増す暗い社会になっていかざるをえない。●日本をユーロと見なし、都道府県をユーロ域内の国に置き換えてみよう。国であれば、豊かな経済地域(東京都)から貧しい地域(貧しい県)への交付金という形での財源移転も国民はある程度納得しうる。貧しくなった県には国から様々な支援の手が差し伸べられる。震災被害地などは全力で復興されることになる。●しかし、ユーロの場合には国が異なるためこのようなことはしない(できない)。ドイツ国民は無条件にギリシャなどへ支援することには強硬に反対することになる。所得移転や財政的支援など国内では許されることが、国家間になれば富んだ国の国民の猛反発を受けること必定である。●従って、通貨を統一するならばユーロ域内の国も統合し単一の国家(一朝一夕にできるわけがないが)にする必要がある。通貨を統一しておいて、財源調達は国債で国別に行えというのはそもそも無理がある。通貨を統一するならばユーロ共通債で調達した財源を各国に支給するというのがあるべき姿である。ところがユーロ共通債の導入についてはドイツが強硬に反対しているようである。●国の通貨がある場合、国内の産業競争力が弱くなれば貿易赤字になり、その結果として為替レートが変動し、弱くなった通貨によって輸出競争力が回復する。固定為替レートでは調整弁がなくなり、勝ち続けるか負け続けるかだけになる。●ドイツのメルケル首相やフランスのサルコジ大統領はユーロ共通債導入の前提として財政規律守れない国には制裁を課すと言っているようだがとんでもないことである。制裁の中身は定かではないが、経済力の無い国は関税と為替レートという国内産業の防御手段が無くなった上に、逼迫した時には追い討ち的な制裁まで課されるということになる。これは既に仲間の関係ではなく、支配者と被支配者の関係である。●財政規律を金科玉条のように振り回す人は、経済成長が無ければ税収は決して増えないことを知るべきである。経済成長が無いのにも拘わらず税収を増やそうとすれば増税するかしかない。増税すれば経済は減速し更に税収も減る負のスパイラルに陥る。同様に歳出削減は民需の落ち込みに輪を掛けて総需要を減少させることになるので、景気をどん底に落とし込むことになる。景気が一層悪くなり、所得はますます低くなり、失業率が高くなるにも拘わらず社会保障費が削減されるという事態になる。国民の不安・不満は頂点に達すること必定である。財政規律の名の下に貧乏な国民から身ぐるみ剥ぎ取る苛斂誅求でなくてなんであろうか。●国内の民間需要が落ち込んだ時に景気を回復させるには、国外の需要(輸出)を当てにするか政府の財政出動を期待するしかない。景気の悪い時は税収が不足しているかもしれないが、だからといって歳出削減をしていたのでは、景気は落ち込むばかりである。こんな時には国債を追加発行してでも需要を喚起する必要がある。●ところで、ギリシャ、イタリア、スペイン、ポルトガルなどのPIIGSは本当に豊満財政が原因で財政破綻や財政危機に陥ったのであろうか? これまで述べてきたように、統一通貨ユーロを導入したことに大きな原因があるといわざるを得ない●国内の社会保障は国として国民の基本的人権に関わる重要事項である。財源が不足する場合には、今のところ国債に頼らざるを得ない。この国債もユーロ以前であれば自国通貨建てで済んだものが、自国通貨が発行できなってしまったためにユーロ建てになる。これは外債と同じことである。輸出によって稼ぐしか国債の償還ができないことになる。ところが前述のような状態で、輸出競争力の回復手段も失われてしまっている。●財政規律の遵守をせまり制裁を課された国は袋小路に追い込まれ、国民の生活破産を招く。このような事態になるのであれば国はユーロから脱退し、借金を踏み倒し、自国の通貨発行権を取り戻す道を選ぶことになるであろう。ギリシャに引き続きPIIGS諸国がこれに習い、ものの見事にユーロは崩壊するに違いない。●ユーロ共通債が連邦国家に向かう糸口になる可能性を全否定はできないが、可能性は極めて低い。各国が主権を失うことに関してはナショナリズムを放棄することになるので、並大抵の抵抗ではすまないだろう。4.日本における財政規律の問題●ギリシャや日本に限らず多くの国が財源不足を国債の発行によって賄っているが、財政規律と社会保障費との間で政策の押し問答を繰り返している。●日本のように生産余力が充分にあるにも拘わらず、デフレを未だに脱却できないでいる国もある。1000兆円もの国債発行残高を抱えて問題だと言われている。実は「問題だと言われていることが問題」なのである。本当のところは何も問題などないからである。日本の場合はギリシャなどとは全く問題が異なり国債のほぼ全額が国内で消化されている。●「問題だと言われていることが問題」であるというのは、そのことによって財政規律なるものを持ち出し、社会保障費などを削減しようとし、デフレ脱却のための財政出動を拒んで景気回復を遅らせているからである。1000兆円の国債という借金は、いざとなれば政府が通貨発行権を出動し、1兆円金貨を1000枚も作ればいっぺんに帳消しできてしまうような代物なのである。因みに現在でも政府通貨としてコインは発行されている。…であるからして放っておいてもどうということのないものである。子孫に回るツケなどビタ一文ありえない。5.すべての原因は銀行の信用創造通貨にある●現在の世界経済および各国の財政問題の多くは、利潤追求動機で発行される銀行の信用創造通貨に基づく金融・財政システムに原因がある。●「税金で財源を賄うべきである」ということを見直す必要がある。同時に「やむをえない場合に国債というような形式で不足財源を調達する」ということも見直す必要がある。日本では税収と同程度の財源を国債に依存しているのであるからして、既に国債は不足財源を補うための便法以上のものになっている。逆に、今後ますます「主たる財源調達手段は国債による調達資金で、その支出の回収手段が税金」ということにならざるをえない。●さらに言えば、国債なとどいう回り道など本来必要はなく、政府貨幣(公共通貨)を発行した方が単純明快になる。政府貨幣という言葉を持ち出したとたんに「ハイパーインフレを招くような事態になる」とバカの一つ覚えのように反対する人達がいる。確かに、敗戦直後のような生産力を喪失した状態で大量の貨幣が発行されればハイパーインフレにもなるであろうが、現在は生産余力が十二分にあって長らくデフレに苦しんでいる状態にある。インフレは通貨発行量に比べてモノ不足の時に起きる現象であって今は状況が全く異なる。インフレを心配する前にデフレを心配するのが筋である。このような単純なことが理解できない「自分の頭で考えない先入観に洗脳された頭の持ち主」(特に経済学者といわれる連中)が実に多い。●市中銀行で信用創造されたお金に利子をプラスして払う借金という形式の国債でなければならない理由などない筈である。市中銀行の利潤追求動機に基づく信用創造マネーは、景気の良いときに必要以上の通貨供給を行い、景気の悪い時に出し渋る。まったくもって国民の期待と裏腹のことを行っているのである。ところが政府貨幣(公共通貨)は、政府が民意を反映するものである限り(戦時下の独裁政権のようなものでなく)国民の幸福を目的に通貨の供給量を調節できる利点がある。国家の財政を銀行支配の下から解き放つには通貨発行権を銀行から奪い返す必要がある。●参考までに下記の本を一読されることをお勧めします。『新しい貨幣の創造|市民のための金融改革』ジョセフ・フーバー/ジェイムズ・ロバートソン[著]石見尚/高安健一[訳]●銀行の信用創造機能を無くし、政府が通貨発行権を取り戻せば、環境、社会的公正、経済成長の3つを同時に達成できると説いている。
December 11, 2011
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●ギリシャ、アイルランド、ポルトガル、スペインなどの財政危機に起因する金融不安、デフレ化という「日本病」が進行するアメリカ経済、不動産バブルがはじけそうな中国経済などと対比し、日本経済のもつ健全性と可能性について明快に解説している。●日・米などの自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない。成長なき増税で財政はかえって悪化する。デフレのときこそ財政出動が必要である…とする点に関してはそのとおりであると思う。●但し、子供手当てや定額給付金、高校無償化などの所得移転系の政策は「非・有効需要」である。速やかに縮小した方がいい……という著者の「有効需要」になるかどうかといった点からのみ政策の是非を論ずる点に関しては承服しかねる。北欧の諸国であればこのような政策が無いのがおかしいくらいである。
November 21, 2011
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●POSSEのベーシックインカム特集号POSSE vol.8 マジでベーシックインカム!? ●ベーシックインカムについての様々な問題点を知る上で、非常に参考になる本である。右から左、賛成派、懐疑派、批判派まで、様々な立場から論評されているのでとても参考になる。
November 7, 2011
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●2005年に『未来からの伝言』を出版したときには、減価貨幣、政府貨幣、ベーシックインカムなどのことを知りませんでした。●知らないにも拘わらず「3種類の配当」にはこれらと類似する内容が盛り込まれていたことになります。このため、新しい知見及び考察に基づき、「3種類の配当」(未来の経済システムの解説)を修正・追加しましたので、一読をお勧めします。『未来からの伝言』…3種類の配当…の追加・修正
November 1, 2011
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●基本所得の財源に関しては、次のように述べている。……基本所得は、おそらく、少なくとも当初は、基本レヴェルをこえる所得への累進課税と、100パーセントよりは低いVAT税率の組合せを財源とするだろう。実際の目的にとっては、これがいちばん賢明な基盤だと思われ、それにもとづいて、GBI導入の次元への、おそらくは10年くらいの過渡的期間への準備が、いまなされるべきである。と述べたあとで、更に次のような財源にかんする提案をおこなっている。……基本所得を払うに必要な資金には、ほかに可能性のある2つの新しい財源があり、やがては個人所得税とVATの一部を代替するものとして導入されるだろう。第一は、新しい購買力がつくりだされる方法に関連がある。第二には土地にかける税金である。…として、政府貨幣と地価税の導入の話に進む。……なぜ、選別されたカテゴリーの人びと(と組織)すなわちカネを借りたいひとで信用に値する銀行顧客へのローンのかたちで、銀行が決める基準にしたがってマネー・サプライの増大分がチャンネルされねばならないのか。……あらゆる点からみて、もしマネー・サプライの増大が政府によって直接つくりだされ、基本所得の一部として、まず第一にあらゆる市民に平等に分配するかたちで経済に注入されるのが望ましいと考えられるとすれば、そのほうがベターなのではないだろうか。…ということで、市中銀行の信用創造による借金としてのマネー・サプライのあり方に疑問を呈し、政府が直接政府貨幣(発行益)によって、マネーを市民に配分する方がベターであるとしている。●ここで、同国人でもあり、歴史に埋もれた経済学者ともいえるクリフォード・ヒュー・ダグラスと、第一次大戦後の<ソーシャル・クレジット>運動によって提示された理念について紹介されている。ダグラスは、消費ギャップを埋める為の公共通貨、国民配当、正当価格など提案からなる社会信用論とA+B理論を提唱した人物である。ダグラスの説に関しては、関曠野さんがベーシックインカム・実現を探る会で詳しく紹介している個人所得についての私たちの結論として、GBIの導入は、第一級の重要性をもつ歴史の道標になるだろう。……それが、数百年前、一般の人びとが土地と自分自身の生計を調達する手段へのアクセスを剥奪され、したがって有給労働に依存するようになった、そのときにはじまったプロセスを逆転するスタートになるだろう。●ロバートソンのこのくだり(政府貨幣をベースとした基本配当と同義)は、私の未来社会(新時代=エポカ)への突破口になるとの認識で一致している。●新しい財源のもうひとつ土地課税(地価税)は、私自身は地球税(環境・資源利用料)の一部と考えている。これについてロバートソンは、ヘンリー・ジョージの『進歩と貧困』の説を取上げている。下記の文章は引用文である。生産および高官から土地の価値もしくは賃料への課税負担のシフトは、富の生産に新しい刺激をあたえるだけではない。それが新しい機会をひらくにちがいない。というのは、このシステムのもとでは、使用するのでなければ誰も土地を持とうとは思わないだろうし、いま使用を手控えられている土地がいたるところで、利用されるようになるだろうから。……土地の売価は下がるだろう。土地投機が致命的な打撃をうけるだろう。土地の独占化が、もはやひきあわなくなるだろう。土地課税を支持するジョージのもっとも重要な主張が、今日、私たちに有効である。それが土地価格の下落をひきおこすだろう。それが、土地を使うためにほしいひとに、もっとも土地に近づきやすくするするだろう。それが、資本価値が騰貴する望みをいだいて使わずに保有するのとは反対の、土地使用をうながすだろう。それがまた、その周囲のコミュニティ活動おこる未利用地の価格上昇が、そのためにないもしない所有者の利益ではなく、確実にコミュニティの利益になるようにするだろう。●最後のほうで、経済学、社会科学、経営学の改革を再度唱えている。経営学をふくめて経済学やそのほかの社会科学が、今日、仕事は雇用を意味するという想定にもとづいてる。雇用から<自身の仕事>へのシフトにともない、この想定は、捨てられねばならないだろう。……私たちは、これがマクロ経済学の概念に重要な変化を含意することをみた。もはや有給の仕事はすべて価値があり、無給の仕事はすべて価値がないという想定にもとづくのではない、経済的な達成と社会的な幸福の新しい指標が開発されねばならないだろう。これは「新経済学」の重要な様相として、早急に着手される必要がある。同時に、私たちは、経済学が雇用の時代と、さらに一般的には産業時代と表裏一体だったことを念頭におく必要がある。私たちは、経済学が、少なくともその現在のかたちでは、脱雇用、脱産業時代への移行に生き残らないかもしれない可能性を認識すべきである。●ロバートソン1985年の『未来の仕事』にはかれの思想の全貌が既に網羅されており、1998年年の『21世紀の経済システム展望』では市民所得(BI)・地域貨幣・資源・金融システムの総合構想が展開され、2000年には経済システムの核心をなす『新しい貨幣の創造』が共著として出版された。●翻って、日本でのベーシック・インカムの運動は彼のような体系的な思想のよるものでは決してない。社会保障制度の破綻を危惧した各方面からの危機感によるものと思われる。おそらく、日本のベーシック・インカム推進運動はいずれ財源調達のあり方をめぐって、枝分かれしていくような気がしてならない。というよりも、現行の金融・財政・通貨システムの分厚い壁の前で立ち往生する可能性もある。●ベーシック・インカム推進論者で、ロバートソンのように通貨改革を唱えているのはC・H・ダグラスの説の紹介している関曠野さんくらいかもしれない。●逆に通貨改革までいかないが、熱心な政府通貨発行論者はいる。しかし、ベーシック・インカムにはあまり関心がないように見える。政府貨幣発行論者の丹羽春喜教授、日本経済復活の会の小野盛司さん、国債発行論者の廣宮孝信さんと三橋貴明さん達は長らくデフレ経済下にある日本の経済を復活させることを目的としているので、経済成長路線の延長線にあるといえる。●このうち、小野盛司さんは「労働はロボットに人間は貴族に」といった未来社会の到来を予言しているが、ロバートソンの分類でのHE未来の延長線上にある未来の姿なのかもしれない。●私は彼らの言うことはもっともな点が多いと考えているが、思想的にはベーシック・インカム推進論者側にあって、政府貨幣発行論者とは一線を画しているつもりでいる。ピッタリ嵌っているのがロバートソンであると思っている。●私の考える「未来の経済システム」では、当初からこの2つ(ベーシック・インカムと通貨改革)が一体となっていたので、ロバートソンの著作に出会って、世界は広いもので自分と同じような考えを持つ先人がいるものだと感心した次第である。科学技術に関心が傾きがちな未来学者とは異なり、ロバートソンは人間社会の核心部分についての将来を見通した優れた未来学者であるといえよう。
July 22, 2011
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●今話題の原子力に関連して、エネルギーに関しては、次のようなことが書かれている。産業時代は、化石燃料の時代である。……脱産業社会のHEヴィジョンは、原子力が、既存の、更新不可能なエネルギー源を着実に代行すると想定する。このような社会は、したがって、中央集権化するだろう。……<自身の仕事>が規範であるSHEヴィジョンにそって私たちが瞼に描く方向の転換は、しかしながらエネルギーの調達と使用そのほかすべてにおいて、もっと”脱”中央集権的で、自己依存的な社会をめざす方向である。エネルギーの効果的な使用と保存が、その消費を、したがってその必要を減らすだろう。太陽熱や風力といった、更新可能なエネルギー源の開発が、原子力開発を必要ないものにするだろう。●従来の経済学の問題点として次のようなことを述べている。従来型の経済思想は正気ではない、人道的ではない、エコロジカルではないとする表明が、ますます大きな関心になっている。それは、人間の必要をみたす多くの有用な仕事、ことに非公式の仕事を無視している。それは、社会正義の価値を無視している。そしてそれは、地球とその資源を保存する価値を無視している。新古典主義のエコノミストたちは、前述のように、実質価値と自然価格の探求を捨てた。その代わり彼等は、市場価格の研究に集中した。……これが自動的に彼等の関心領域を、公式経済(そこでは価格が作用する)と、有給の仕事と、貨幣にささえられた「需要」にかぎることになったのだ。それが、労働付加のない自然資源を保存する必要可能性の問題ばかりでなく、モノとサーヴィス--効用、使用価値、満足感--を直接に自分自身とおたがいに供給する、非公式経済の無給の仕事についての問題をも、経済学から除外してしまったのだ。貨幣システムの改革と経済思想の概念的基礎の変化が、したがって、私たちが新しい未来の仕事に従事しようとし、それを評価する新しい方法を展開しようとするにつれ必要になるであろう、2タイプの変化である。マネーが、後期産業社会で、中世後期に宗教が演じた中心的役割を演じている。当時、地方の教会は、ほとんどの村でもっとも目立つ建物だった。今日、いたるところの大通りで一等地が、銀行、住宅信用組合そのほかの金融関係の支店に占領されている。●SHE未来観について、もう少し具体的な記述を紹介する。SHE見解は、雇用から自身の仕事へのシフトが重要なトレンドになる未来だが……雇用と失業、仕事と余暇のはっきりした選択区別が、しだいに、フルタイムの雇用ばかりでなく、パートタイム雇用、自己雇用、不定期や臨時の雇用、協同組合やコミュニティの仕事、ヴォランタリーな仕事、ドゥ・イット・ユアセルフ活動、生産的なレジャーをふくむ仕事と有益な活動の、弾力性ある広範な選択肢でおきかえられる、脱雇用社会を瞼に描いているのである。この自身の仕事へのシフトは、直接購入するか公費で支払われるかするモノとサーヴィスへの依存を減らすとともに、自助、相互扶助、世帯や地方単位の自給自足をめざすシフトをふくんでいる。HEヴィジョンとは対照的に、SHEヴィジョンは、こうして”無給”活動が”有給”活動を一部代替することを、したがって私たちの生活でのマネーの役割の一部衰退を予想する。それはまた、無給の仕事が今日より高く評価され、その結果、雇用と収入の現在の結びつきが、むしろいくらか弱まるだろうと予想する。●SHE未来観に基づく改革の方向性を次のように述べている。この所得と仕事の結びつきの弱まりは、失業や社会保障手当て、そのほかの譲渡給付の今日の資格基準をひろげることによっても達成されるだろう。今日では、これらの給付は。仕事から充分な所得のない特殊な人びと--たとえば年金生活者、失業者--に所得を供しているが、この譲渡給付システムが、なにか仕事をしているとしても、その仕事に関係なく、すべての市民に無条件にGBIを支給するよう拡大されるだろう。……貨幣システムと金融システムは、社会でもっとも効果的な社会選択のメカニズムのひとつでありうるし、あるべきである。人びとにその資格に応じて公明正大に購買力を配分し、彼等にその選択に応じてそれをつかう自由をあたえる勘定システムであり、資金と投資をもっとも必要なところに配給する配分システムでありうるし、あるべきである。実際には、それがとんでもないことになっている。結局のところ、HE未来への移行にともなう政治の隊列組替えは、疑いもなく、資本集約的な経済を意図し、計画し、管理し、運営する少数者と、彼等が供給するモノとサーヴィスへの依存者であり、余暇ある消費者たる大多数とのあいだにもちあがる、社会の分裂を反映しているにちがいない。新しいラインアップは、一方で二大生産要素--熟練した管理・技術労働者および資本--の利益を代表する政治家と、他方で消費者と福祉と環境の利益を代表する政治家のあいだにあるだろう。真の問題は、過去40年以上にわたって発展した後期産業社会での、仕事と所得のリアリティの偽りの知覚である。おおかたのひとが基本所得を得るノーマルな方法は、職についてそれを稼ぐことであるはずだという時代遅れの知覚から、あらゆる市民に充分な基本所得を提供する義務を解放するときが来ている。いいかえれば、金持ちも貧乏人も、男も女も、老いも若きも、あらゆる市民が、国家から、毎週、自動的に基本所得をうけとる無条件の<保障基本所得>を導入する時期である。(1) 最低生活水準にそなえるため、すべての市民は、各人の銀行口座または〒振替口座に、週間個人基本所得を払い込まれる。子供、年金生活者、身体障害者には、特別レートが適用される。この無条件の基本所得が、現行の手当て(=社会保険、保障による給付金)、補助金、課税控除のおおかたを代替する。これは課税対象外となろう。(2) すべての市民は、その基本所得に上積みするため、有給の仕事に従事する自由をもつ。基本所得をこえる所得はすべて、課税対象となるだろう。(3) 所得税収入、プラス現行の課税控除対象や補助金や手当ての廃止による節約分、およびそれらの管理コストの低減が、たぶん付加価値税(VAT)といった消費税のいくらかの増大と合算されて、基本所得の財源になるだろう。●…と述べ、ベーシック・インカムについての様々な賛成論と反対論についても詳述しているが、割愛する。現在、日本で行われているような種類の議論が、既に要領よく整理されている…とだけ述べておこう。
July 22, 2011
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