Fastest Lap

Fastest Lap

September 7, 2006
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カテゴリ: Engineering
第2話

4WDに対する認識や考え方、捉え方はメーカーによって微妙な温度差があります。
スバルはクルマの安全や理想を前提に、まず4WDありきの考え方があります。
ところが、昨夜ご紹介したホンダのレジェンドに搭載されたスーパー・ハンドリングAWDは舗装路でもニュートラル・ステアに近い形でコーナリング・フォースを得られるようなセッティングを実現するためのトルク・スプリット型4WDですが、4輪をそれぞれ個別コントロールしています。
これは、安定性を目指したものではあっても4WDの走破性を目指したものとは正確が違うと思います。
とは言え、昨夜の記事でも言ったようにどちらの考え方もヴィークル・ダイナミクスに対するアプローチであることに変わりはありません。

フェラーリをいとも簡単に置き去りにするブガッティEB110Sの登場後、スーパー・スポーツ4WD化の流れは止まりそうにもありません。コンセプト・モデルやスタディ・モデルまで含めるとかなりの数になります。
ランボルギーニのフラッグ・シップ、ムルシエラゴや、ポルシェ911ターボ(997)に至るまで現代のクルマにはもはやジャンルの垣根なく4WDは不可欠となり、これからも4WDのクルマが開発されていくことは必至です。

ハイブリッドを利用した4WDシステムも登場しています。

「私だけが実現可能かどうか分からないのに 4WDそれも個別に駆動していくものが良いなどと頭でっかちに言っていました
三菱の方は若造の意見を丁寧に聞いてくださいました(自然界で一番早い動物は4足で蹴り4足で操舵します) 30年たって思い返してみるといまそれに近づいて着ています」
という言葉も真実性を帯びます。

ハイブリッドはハイブリッドで、あくまでも単独で機能するわけではありませんが今の技術でも条件を整えて、短い時間に特定すれば瞬間的に100ps近い出力を搾り出すことが可能です。
無論システムの重量が問題になってきますが、これからもっと研究が進んでこれらのモーターを統合制御できるようになれば4輪それぞれを自由自在にコントロールして走り、曲がり、止まるを実現するようになるでしょう。

ただ、ここで記事を終えてしまっては「僕らしさ」がありませんよね。いつも、お越しいただいている方々にとってこれでは満足できないはずです。
安心して下さい。僕の見解はもうちょっと違った部分にあります。まだ、「何故、フェラーリの魅力の翳り」という記事を書いたのか、その本当の意味をまだ明かしてません。
単刀直入に申し上げます。
4WDというパッケージングは、今、自動車エンジニアリングやテクノロジーが直面している運動エネルギーの基本原理や法則という物理限界を人間自身の技術や英知で乗り越えようとする第一歩であると僕は考えています。
物理的法則の限界を少しずつ手を変え品を変え高めてきた人間がぶち当たっている壁は意外と高いものです。これを打破し、あるいは倒壊させるほどの英知を人間は持っているのか?ここへのアプローチとチャレンジの一端が「まずクルマのAWD化」なのです。
もう何度も言ってますので今更言うまでもありませんが、4輪でトラクションを得られるクルマと、2輪でしかトラクションを得られないクルマとでは限界は大きく変わってきます。

この一点をエンジニアリングやテクノロジーによってクリアできたとき、そこには新しい地平線(目標)が出現することは間違いありません。

ここまで書けば僕が「フェラーリの魅力の翳り」で書いたことの意味が見えてくるはずです。
今こそAWD化へのチャレンジを始めなければ、もう既にそのことにチャレンジしているライヴァルに大きく水を開けられてしまうことが目に見えているからです。
そうなれば将来、フェラーリのマシンは未だに2駆で乗れるノスタルジーはあるけど、速くも無く、安全でもないクルマへと成り下がってしまう可能性があるのです。

このことはクルマに関わる仕事をされている方ほど良く理解できるのではないかと思います。

価格は四捨五入すると2億円にも達するマシンで16気筒エンジンを4機のターボ・チャージャーで過給し、アウト・プット1,000psを超える代物ですが、4WDのため重量は約1,900kgに達してしまいます。ここがウィーク・ポイントですが、それでも0-100km/h加速をなんと3秒未満で実現し、F1マシンの加速さえも凌ぐ地球上の最速マシンです。ちなみに100km/hを超えてから、つまり速度が乗ってからの加速はF1のほうが速いです。念のため・・・


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Last updated  September 7, 2006 04:50:24 PM
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