全35件 (35件中 1-35件目)
1
息子は念願かなってベントレー・コンチネンタル・スーパースポーツの助手席に乗った。息子の圧倒的な熱意に僕が負けた形となった。彼の熱意たるや半端ではない。パッセンジャー・シートではなく、ドライヴァーズ・シートに座らせろと要求してくる。とにかく座らせるまではベントレーから降りようとはしない。もはや35GT-Rは彼にとっては過去のクルマになってしまった。イタリアから帰ってきてからは僕の手を引いてベントレーの前に連れて行く。これじゃないとダメだ!といわんばかりに。一歩も引かない思いの強さはあらゆることを成就する上でとても重要なファクターなので僕はとても嬉しく感じている。十番界隈でもベントレー・コンチネンタルGTはよく見かけるが、ベントレー・コンチネンタル・スーパースポーツになるとなかなか出会うことはない。コンチGTは458イタリアの新車よりも400万円ほど安価なのでベントレーをあまり知らなくても、あるいは熱狂的なベントレー・ファンじゃなくても踏み込んでいけるモデルだが、スーパースポーツはフェラーリの最新鋭458スパイダーよりも高価で、最新鋭の12気筒モデルF12ベルリネッタと比べてもおよそ400万円安価に収まる程度だ。すなわち、F12に3,590万円投資するか?ベントレー・コンチネンタル・スーパースポーツに3,150万円投資するか?この領域になるとかなり明確な価値観や哲学、美学が購入の動機になる。だから、ベントレー・コンチネンタル・スーパースポーツはよほどベントレーというクルマが好きか、このクルマを選ぶ明確な理由がなければ買おうとは思わないクルマだ。そういう意味ではクルマ好きの目をかなり引くクルマなので下手なことはできない。だから街乗りは常にジェントルなドライヴィングを実践できるブレないモラルやマナーも持ち合わせていなければならない。言い換えれば、ストリートで安易なドライヴィングは許されないクルマで、試すならクローズドに持ち込んで余すことなくW12ツゥイン・チャージド・ターボの異次元体験をすべきクルマだ。そうすればコンチネンタルGTとスーパースポーツの間にある600万円の価格差がどこにあるのかをドライヴィング・スキルの高いドライヴァーならばハッキリと感じることが出来る。これは差という表現ではなく、壁という表現を用いたほうが適切であるように思う。ベントレー・コンチネンタル・スーパースポーツとコンチネンタルGTは似て非なるもの。911GT3RSと911GT3の違いではなく911GT3RSと911ぐらいの厚くて高い壁だ。コンチネンタルGTはあくまでもGTであり、ベントレー・コンチネンタル・スーパースポーツはその名の通りスーパースポーツである。サーキットでバトルすればその違いは明白で、ドライヴァーの腕が互角ならコーナーを3つ抜ければかなりの差が開く。一旦差が開いたら二度とその差を詰めることはできないほどの決定的な差である。無論その差に由来するのは馬力やトルクがベントレー・コンチネンタル・スーパースポーツのほうが上という部分や、補強された上で軽量化された堅牢なボディを持っている部分は否めない。ベントレー・コンチネンタルはスーパースポーツもGTも共にトルクスプリット型の4WDではなくバイアストルクであり前後の駆動配分は終始固定だ。どちらも6速オートマティックで強大なトルクを路面に伝える。35GT-Rのように無段可変するトルク・スプリット・スタイルのハイテク4WDが主流の昨今、言い方は悪いが骨董品と思えなくもない。実際、かく言う僕も最初はそう思っていた。実際にクローズド・コースに運び込みアタック・ラップを繰り返すまでは・・・。しかし、乗ってみてその考えは一変した。「こう来たか・・・」と思わずにはいられなかった。このベントレーが心底おもしろいと感じる部分は例えば鈴鹿の130Rや、富士のコカコーラで若干オーヴァー・スピードによるアンダーが出た場合も荷重移動をしっかり行い、落ち着いて適量のスロットル・オープンをすることにより自在にドリフトさせサイドウェイ状態に移行させることも可能なのだ。安定指向の4WDではなく積極的にコーナリングを楽しめるようにセッティングしている。もはや、かつての悪路で安定性を追究するための4WDシステムはどこにもなく、よりトルクとパワーを使い切るための絶対条件としてのパワー・トレーンなのだ。その代わりといってはなんだがクローズドを本気で攻め込むとその重さも災いしてミシュランは4輪とも半日でライフが終わる。違う銘柄のタイアも何種類か試してみたがライフは大きく変わらない。しかし、日常使用でタイアに頼りきった走りをしなければ、タイア・ライフはそんなに短くはない。また、クローズドを攻めると見えてくるのがコーナーやストレート以外のまったく目を向けないようなポイントでの身のこなし、いや調教といったほうが良いか?がベントレー・コンチネンタル・スーパースポーツはピカイチだ。クローズドに持ち込んでバトルすれば耐久レースでなければフェラーリ599もガヤルドもアウディR8もアストン・マーティンDB9もベントレー・コンチネンタル・スーパースポーツの前に出ることは簡単ではない。先ほども書いたがドライヴァーの腕が互角なら前に出られる可能性があるとすればベントレー・コンチネンタル・スーパースポーツのドライヴァーがミスをした時だけだ。ただし、耐久レースだと重さが災いしてタイアが早く終わるので勝負にならない。低ミュー路の耐久レースなら話は別だが・・・。なので、ベントレー・コンチネンタル・スーパースポーツの弱点はその重さである。続く・・・
September 12, 2012
コメント(0)
忙しいなんて言葉をブログの見出しにするものではないのでしょうね。とはいえ昨今の僕はPCに向かっているか、国内外を問わずにクルマに乗っているかのいずれかで毎日をリフレインしているかのよう・・・。5月上旬から今日に至るまでコンチネンタル・サーカスを転戦しつつ、フェラーリ599GTOと458イタリアにクローズドとロードの双方で試乗し、違う日時と場所で試乗できることを最も期待していた599XXは今回は物凄い雨量の雨に見舞われたため試乗を見送りました。このほかにもヴァレンシアではSLS AMGに試乗し、911GT3RSをターゲットに据えてロウンチされたライトウェイト・ヴァージョン、アウディR8GTにも乗る機会に恵まれました。国内においてはアストン・マーティンV12ヴァンテージ、SL65AMGブラック・シリーズ。そしてつい先日、伝統のシルバーストン開催の直前、ヨーロッパのある都市でムルシエラゴLP670-4SV(スーパー・ヴェローチェ)とガヤルドLP570-4スーパー・レッジェーラを体験してきました。SVはいささか暴力的な部分が目立つものの、厳しく己を律し摂生して手に入れた肉体美のような筋肉を宿す走りを見せてくれます。とはいっても、ガヤルドLP570-4スーパー・レッジェーラとは大きく違い、ムルシエは相変わらず直線番長的な部分が拭えなくもありませんが、僅かな生産台数しかなかったレヴェントンと比べれば世界中のランボの顧客にはより身近なスペシャル・マシンであることは間違いないでしょう。この他にも国産車ではマイナーチェンジを受けたレクサスIS-FやCR-Zにも乗りましたし、列記するのはきりがないほど。これだけ多くのクルマに試乗した中で最もセンセーショナルだったのは599GTOとアストンマーティンV12ヴァンテージ。アウディR8GTやSLS AMGもインパクトがありましたが前述の2台には及びません。乗らせていただいたクルマのインプレッションや感謝状を丁寧に書き上げていると本職も含めて1日24時間では足りない日が続いております。これからさらに暑い日が続きますので皆様におかれましてもくれぐれもお身体ご自愛くださいませ。間もなく更新できる時間が取れるかと思いますが、それもまた流動的なので気長にお待ち下さい。
July 14, 2010
コメント(2)
ホンダがスーパーGTのレギュレーションに合わせて送り込むHSV010GTはとても楽しみな仕上がりを見せていますね。ホンダが仕立てる初のFRレーシングカーというのも興味深い。鈴鹿テストの感触はそんなに悪くはないようなので#18と#17のコンビには特に期待したいです。#100も大化けする可能性もあるし。ところで再三伝えているスペックV。なかなかマイレージが伸びません。やはり昔から比べると全開アタックするためにクローズド・コースにでかける頻度は少なくなりました。とはいえスペックVは街乗りが物凄く難しいクルマではありません。むしろ拍子抜けするくらいスペシャル・スペックなの?と疑iいたくなるほど。ま、911GT3と911GT3RSの違いも似たようなものですが。しかし、普通に乗っている状態でも一定のアヴェレージに達しているドライヴァーならR35ノルマーレでないことは即座に解ります。いやでも解るのはステアリングのブーストアップを使ったとき。ひとたび使うと過給圧があがり中速域のピックアップが向上するので、それこそ狼としての野性の本能が剥き出しにされます。このときにしっかりボディ剛性を活かしながら足を十分に使う走りを心がけると普通に走っているときとは違ったスペックVだけの地平線が見えてきます。日常的に見えている限界も非常に高いのですが、ここまで使ってみてさらに見えてくる彼方の地平線。クルマを走らせて徹底的に楽しみたいドライヴァーにはたまらく面白い一品。(笑)マシンの限界域を引きだせるドライヴァーにしかスペックVの恩恵やスペックVたるエンブレムの価値は理解できないクルマに仕上がっている部分が玄人好みで良いです。走行距離は1,500km程度。まだまだこれからです。ノルマーレのR35ももっと走り込まないと。(笑)
February 8, 2010
コメント(0)
まず結論から言うとサーキットを攻略するための純然たるスポーツカーとしての資質やパフォーマンスではGT-Rのほうが1世代ぐらい先を行っています。しかし、公道におけるパフォーマンスではそこまでの差はありません。それでもGT-Rのほうが0.5世代ぐらいはR8よりも進化したポイントにいそうです。ただ、クルマの評価は必ずしも走りだけで決定されるものではありません。人間の五感に入力されてくる幾つものフィーリングの一つ一つを伝えるクオリティがアヴェレージの高いドライヴァーに伝達する情報量と、標準的なドライヴァーに伝える情報量は大きく変わりますし、そこで伝えられてくる情報のクオリティさえもドライヴァーのレヴェルが変われば変わってしまいます。このことからも当然、乗った人間のアヴェレージによって評価が変わることもありますし、単に好みの問題も含んでいることさえあります。ドライヴァーのセンシング能力は一様ではなく千差万別。この「人それぞれ・・」というポイントに作用するエンジン音の伝え方や聞かせ方、あるいは多くの振動や揺れなどのフィーリングの伝え方であったり、数値とは無縁のエモーショナルな部分の表現力が国産メーカーは未だ開発途上にあります。この点においてR8はGT-Rより表現力が豊かで密度があります。決してパフォーマンス的にR8はGT-Rよりも優れているわけではありません。むしろ、マシンの挙動を極限状態に追い込む作業をすればするほどGT-Rの懐の深さには驚かされます。それに比べR8の引き出しはGT-Rほど多くはなくカウンター・アクションも限定されます。マシンのポテンシャルやパフォーマンスとしてはどんな場合もGT-Rのほうが上を行っているといっても過言ではありません。そんな中、R8のほうが優れている点はドライヴァーにその情報を伝える際の挙動がとってもマイルドであることと、その挙動が的確で解りやすいことが挙げられます。少なくとも異母兄弟的な位置にあるランボルギーニ・ガヤルドよりも限界付近を引き出しながら乗り続けるアタックラップにチャレンジする際に911GT3よりも格段に乗りやすいことは明らかで、ガヤルドでさえもこの安定感と安心感は備えていません。ガヤルドはとてもいいクルマですが過渡領域でのマシンからのインフォメーション能力は物足りなく、僅かなインフォメーションをセンシングできるかなり高いドライヴィング・スキルが要求されます。ただし、逆に町乗りレヴェルのアヴェレージでは一転して乗りやすく、「おいおい・・・」と言いたくなるようなかつてのファイティングブルの血は希釈され洗練されています。言い換えればランボはドライヴァーに抜きん出たドライヴィング・スキルとセンスを要求してくるので、ドライヴァーがこれを満たしていない場合、平凡な走りしかできないルックスだけがスーパースポーツのGTカーになってしまいます。とはいえ、現在のスーパースポーツの傾向はみな同じ。お金があっても壊したくなければドライヴァーに最低限の努力を求めたかつてのスーパースポーツとは違い、現在は購入できるクラスにいるリッチなドライヴァーであれば大変な思いをしなくても気軽に乗ることができるように作られています。これも至極当然のことで、安全に乗るためにドライヴァーに多くのスキルやセンス、テクニックを求めるクルマでは売れるはずもなく会社の経営は一気に傾いてしまいますし、公道を走る危険性ばかりが上昇してしまいます。この部分に狙いを定めたのがランボルギーニの4WD化であり、異母兄弟R8の誕生であり、国内ではスカイラインGT-Rを祖とするNISSAN GT-Rです。このジャンルやセグメントには対象車がありそうでなかったのが現状です。ここから少しばかりGT-Rに関する記述とNSXに関する記述が増えますがお付き合いください。NSXは国産初のスポーツカーとして未踏の領域、そして独峰へと挑んできました。NSXはポルシェに肉薄し、フェラーリを超え、そしてヴァージョンアップを果たすうちについにスポーツカーの指標であるポルシェを超えて見せました。しかしながら、ポルシェを超えたものの、安全かつ安定した走りでポルシェを蹴散らすようなマシンではなく、どちらかといえば古典的な尖がったリアル・スポーツでした。そこに4WDの安定感をも取り込んで、かつての悪路走破用のイメージが強い4WDをブレイクスルーすべく登場したのがスカイラインGT-Rです。確かにポルシェ959やランチア・デルタの2番煎じと言ってしまえばそれまでですが画期的だったのは可変する前後の駆動配分。当時は50:50とか40:60とかの固定。それを電子制御で段階的にコントロールすることでリジッドな4WDからFRに近づけることまでやってのけました。このアテーサ・システムは新世代4WDの代名詞にもなり、後に日本から発するセリカやランエボ、インプレッサなどの4WDスポーツ・ブームの火付け役を担ったことも事実です。こういった細部の主義主張そのものがGT-RとR8、両者のキャラクターを似て非なるものとして表現し走りで体現しています。どちらが良いのかという判断は馬鹿げています。どちらを支持するかはドライヴァーの好みによる部分が大きいこと。さらにドライヴァーのスキルによって幅広く対応してくれる両者はこれからのスーパースポーツの先鋭的な位置に到達していますので、両者とも簡単にライヴァルに道を譲らなければならないような状況には陥りません。それは例え、メルセデスAMGであろうとBMWアルピナであろうとフェラーリであろうとポルシェであろうとです。直線番長的な勝負だけならこの2台を撃墜するクルマは少なくありませんがいろんな状況や路面コンディションでの勝負になればこの両者は共に譲らない戦いを見せます。F1に例えるならば、この2台は最後の最後ファイナルラップまで行方のわからないチャンピオンシップ争いとバトルを展開します。その結末を決するのはドライヴァーの技量とか、マシン性能とかではなく、単純な勝負の綾や運によって決定されるあっけない幕切れであるかもしれません。~続く~
February 1, 2010
コメント(0)
HALくんからリクエストがありましたので、年をまたいでの連載が終わってからの2010年最初の連載はAudi R8の試乗記から。こういう仕事をしているといろんなコネクションができます。クルマ業界やレース関係者はもとより、僕の場合はクルーザーやヨットの建造業界や海運会社、さらに知人の知人、またその知人などなど、ここでは書きつくせないほど超リッチな方々と接する機会が多く、信じられないハプニングやイヴェントに出くわします。そんな中でも僕との付き合いが長い方ほど僕が無類のクルマ好きにしてクローズドコースを走りこむマニアであること知っています。そんな僕の元に2009年のある日一本の電話が入りました。「良いブツがくるから試してみないか?」と。ちょっと意味深長で一歩間違えれば危ない取引に聞こえなくもありませんが、僕と彼の付き合いも長く、この一言でどんなイヴェントなのか推して知るべしです。今回、その良いブツはAudi R8 5.2 FSI Quattroです。ホィールスピンなどという言葉とは無縁のマシンは0~100km/h加速で4秒を切るアスリート純粋培養タイプのマシン。矢のように猛然と加速するR8の中でドライヴァーやパッセンジャーはシートバックに押し付けられたままになるので、シートポジションをしっかり決めて乗り込まないと肩こりや首の周りの筋肉痛を招くことになります。スーパースポーツを思いっきり走らせたことがないかたや、所有して乗ったことがないかたは解らないかもしれませんので書き添えますが、こういったマシンが時折魅せる闘争本能、あるいは資質の片鱗によってもたらされる強烈なGは、こちらが常に健全な肉体を維持し、深層筋に常に負荷をかけながら日々筋力維持に努めていなければ度々筋肉痛を引き起こすマシンも少なくありません。世界の選ばれたスーパースポーツだけがもたらす横Gの試練がR8には用意されています。Audiの中でこれほどのGがもたらされるクルマは僕の記憶の中にもありませんでした。ほんの僅かな短い加速区間でもR8は一気にスピードレンジを150km/h、170km/hと簡単にあげてしまいます。そこからタイトコーナーに進入するためにシフトダウン。2速まで落としながら右足の足裏に意識を傾注しながらフルブレーキング。シフトショックらしいシフトショックを感じることなく一気に減速し回転を合わせてくる。ここまでマネジメントがしっかりしているとかえってブレーキングの上手い下手ははっきりと出るでしょうね。適正速度まで落としてしまうと旋回性能がダルになるので、ややオーヴァースピードでR8をコーナーに放り込むと、アンダー気味になるR8。このあたりも良くできた4WDの見本といえます。しかし、スポーツカーとしてのパフォーマンスやポテンシャルだけの視点で判断するなら、残念ながらAudi R8はNISSAN GT-RスペックVはおろかNISSAN GT-Rにさえも総合的なインプレッションでは一歩譲るように思われます。特にステアリングの中立位置からの操舵感や反応は4WDをあまり感じさせないGT-Rに対し、R8は洗練されてこそいるものの依然として4WD。無論、3.9秒で100km/hに達する動力性能や4WD車としての最高到達速度などパフォーマンス・スケール的にはGT-Rと互角以上のクルマなのですが、むしろこのあたりのパフォーマンスにとどまっている部分がR8の価値に影を落とすことにならないとも言えません。なぜならR8はプライス面においてスペックVよりも高価となるためコスト・パフォーマンスの面において大きく水を開けられてしまいます。100km/hに3.9秒で到達する5.2リットルV10FSIエンジンは非常に魅力的ですが実質的なパフォーマンスにおいてGT-Rに楽勝というわけにはいきません。GT-Rが搭載する「VR38DETT」とエンジニアリング的なトピックスでも五分。もちろん最新鋭の5.2リットルV10FSIエンジンは大変素晴らしいエンジンです。しかし、この素晴らしいエンジンに対して互角の勝負に持ち込んでしまうGT-Rの資質はやはり侮れません。今回、改めて思いましたがNISSAN GT-Rというクルマは3,000万円未満クラスの4WDハイパースポーツの価値観や序列をブレイクスルーしてしまったことを痛感せずにはにいられませんでした。と、ここまでなら、おそらくはR8とGT-Rを乗り比べたアッパークラスのドライヴァー誰もが思うことで、僕までここで終わっては何の面白みもありません。さらにモノ、特にクルマのヴァリューはコスト・パフォーマンス、動力性能や到達速度によって決定されるものではありませんのでR8、GT-R惨敗ということではありません。続きはまた後日に・・・
January 18, 2010
コメント(2)
今回購入したレクサスRX450hはチョイスする手間を極力省略したかったのでカラーはすでに購入しているLS600hLと同カラー。LS600hL同様ハイブリッド車特有のスタートを見せます。スタートそのものはLS600hLよりジェントルだけれど走り始めるとSUVらしいチューニングが顔をのぞかせます。走りはスムースでパワフル。キャパシタ容量やハイブリッド・システムの効率などに関して書くことは時期尚早ですのでここではスルーしますが今のところ特に不満はありません。航続距離だけでなく、乗り心地やドライヴィングプレジャーなど様々な要素を加味して判断すれば無鉛プレミアム仕様車設定でハイオク・ガソリン代を払っても、LS600hL同様、十分な見返りがあるクルマであると僕は思います。室内やラゲージ・スペースのレイアウトや使い勝手、容量などには要改善と思われる点が多々ありますがハイブリッドのAWD車であることを前提に考えれば少なくとも及第点には達しています。僕のドラポジにも妻のドラポジにも対応する3人分記憶できるシートポジション・メモリーの立ち上がりも速やかかつジェントル。この手のクルマの持ち味はやはり余裕とか、ゆとりなのだと痛感させられます。SUVであるRXにやりすぎ?と思う方もいらっしゃるかもしれないし、まだ足りないと思う方もいらっしゃるでしょう。ちょうどいいと感じる方もいる・・・そんな十人十色の価値観や美意識のなかでゆとりや余裕を演出する難しさは携わった者でなければ解りません。レクサスRX450hはカイエンが作り出したセグメントに果敢に挑んでいますがまだまだ十分な競争力を持つにはいたっていません。僕はLS600hLを所有して乗ってみて、しかるべき期間、いろんな状況下で付き合ってみてやっとこのクルマがもたらす「クラス」を理解できるようになったと思います。かつてないクラスやキャラクターの構築に腐心し試行錯誤したトヨタの目論見は8割がた成功しています。あとは世界的な不景気に負けずにこの路線を踏襲し、きっちり継続していくことです。この継続こそがもっとも難しい。僕が危惧していた点もこの一点のみです。ところがRX450hを購入し、乗ってみた印象としては商標レクサスを訴え、存在価値や意義をメッセージとしてユーザーにアピールしうるキャラクターやクラスを与えることには成功していると思います。そしてそれはLS600hLもRX450hにも若干ながら一貫性が感じられました。今の段階でアイデンティティと表現するには大袈裟ですが、このクルマ作りを何世代も続ければ間違いなくレクサスのアイデンティティが形成されます。例えばLS600hL。所有して乗ってみれば解るメルセデスでもBMWでもない快適性やドライヴィング・ホスピタリティはちょっと試乗しただけでは解りません。あらゆるシチュエーションで使ってみて「なるほど・・」と思うことがあります。さらに言えばこのクルマの懐を知るのはもっと難しく、長期レポートが必要になりそうです。メルセデスやBMWの競合車種と比較してもスタート時の加速感はまったく引けをとらないばかりか、キャパシタに十分な蓄電量があればシティ・ユースのスタートダッシュにまったく不満はありません。無論、GT-Rのパフォーマンスと比べれば話は別ですがコンセプトや駆動レイアウト的に近いR6とも良い勝負。ただし、LS600hLとR6とでは乗り心地のキャラクターはまったく違います。RX450hを書くつもりだったのにLS600hLの話題になってしまいましたね。レクサスという価値、レクサスという美意識・・・それが真のドライヴィング・プレジャーに到達できるか否かに関して触れるにはまだまだ時期尚早。LS600hLやRX450hはクルマが向かおうとしている一つの指標の中継ポイントにいることは間違いありません。しかもその指標の中では見逃せない強力なスタンダードになりつつあることも疑いようがありません。また機会がありましたら書いてみようと思います。それでは、みなさんよい休日を!
September 20, 2009
コメント(2)
今回FSWの日本GPに一緒に行く友人から気になる話を聞かされました。僕が昔からNA1とNA2を乗り継ぐ熱烈なNSXファンであるのと同様、N(仮称)はGT-R馬鹿です。 今もNISMOのZ-tuneとMスペックNurのR34を2台所有しています。もちろんこの2台以外にも日常の足として他のクルマも所有しています。以前、僕のブログで紹介したGT-R所有者がこの方です。 彼の話ではすでに新型のGT-Rを予約する段階に入ったそうなのです。ま、GT-R馬鹿の彼のことですからその話に驚くわけではありませんでしたが、話を聞き進めていくうちに新手の詐欺まがいとも思える内容に唖然としてしまったのです。 しかも、予約を始めたにも関わらず価格が公表されておらず未だに知らされていないんだとか・・。 さらに最終的なボディ・カラーやグレード構成等のプレス・リリースもなく価格も決まっていないにも関わらず、予約の段階で「この予約はキャンセルできません」とかなり念を押されるんだとか。 現物が発表されておらず、細かい仕様、プライスまで決定していません。うがった見方をすれば商品があるかどうか解らない商品の予約を開始しただけでも???なのに予約はキャンセルできません、というのは一体どういうことなのでしょう。 クーリングオフの部分でも法律上抵触する可能性があります。価格が決まっていない、仕様も解らないという謎だらけのものですから契約自体が成立していないという司法判断もありえます。 ニッサンの台所事情は理解できなくもないですが、さらに話を聞くに連れて今回のGT-Rでニッサンはかなり採算利益主義に走っていることがうかがえましたが、まだNからの情報だけでここで書くのは時期尚早ですから控えますが、この予約形態だけはいかがなものか・・・。 しかも、これは仮予約の生産枠で実際に仕様が発表になってから予約すると1年程度待つと言われるそうです。そのために順番待ちの仮予約のようなものなのだそうですがキャンセルは出来ないと・・。 ディーラーやメーカーとしても冷やかしを防ぐための手段と考えられなくもありませんがNはそのディーラーで幾度と無くGT-Rを購入してますから冷やかしでないことは一目瞭然です。 そのあたりが彼にも腑に落ちないそうです。 彼の言葉をそのまま引用すれば「価格も800万前後と噂されてるから冷やかしで予約する人間なんていないんじゃないかな・・」と。さらに「この金額のクルマを買うからには思ったデザインではないから、という理由だけでキャンセルする客はいないはずだ」とも・・・。すべてごもっともです。 僕が初期型のNA1を予約したときも最初は2年待ちと言われてましたがバブルが崩壊したせいで価格的な面でキャンセルが多かったのか実質10カ月で納車されました。 NSXの場合も予約金が要りました。まず100万。この100万を入金して順番待ち状態になります。さらに自身の順番が近くなった状態で300万を内金として入金します。平成3年にNSXを購入したときは現金でもローン購入でも最低400万は現金で用意する必要がありました。 ローンの場合はこのときまでに審査を終了させますが僕の場合は納車日までに指定口座に全額を振り込みました。 その後幾度と無くNA1、NA2を購入した僕ですがディーラーによって微妙に流れが異なっているものの大体は同じ流れでした。 その後、外国産の車なども購入していますが、こういったスタイルから大きく逸脱するような予約方法は自動車販売においてはあまり聞いたことはありません。 なんだかトラブルを内包しかねないようなスタートのような気がしますが、今夜はブログ管理や更新のスタートが遅かったせいでこんな時間になってしまいましたので明日(もう今日だな・・)に備えてもう寝ます。 この件に関しては今後も進展があったら書いていきたいと思います。 それよりも僕としてはこの日本GPで本当にレクサスLF-Aが発表されるのかどうか気になりますね。
September 27, 2007
コメント(4)
随分前の話になりますがどうにも納得のいかない発言を垣間見たことがありました。「レーシング・カーが本物でチューニング・カーは偽物」のような安易な発言をされてる方がいらっしゃいました。 スーパーGT開幕戦後、僕はクローズド・コースで禊に励んでいました。僕の言う禊とは日頃のフラストレーションやストレスを落とすためにストイックにクローズド・コースを攻めることです。 昨年まではかなり頻繁に行ってましたが昨年6月にこのブログを始めてからはなるべく更新しようと思ってコースへ通う回数が減りました。 しかし続けてきたことを減らすとやはりフラストレーションは溜まりますので、今回久しぶりに通しで走ってきました。まだまだ走ります。 そんなときに前述した過去の言葉を想起させる納得のいかないことがおこったのです。いや、気に入らない出来事といった方が良いかもしれません。「本物のレーシング・カーを見るとチューニング・カーが馬鹿らしく見える」というような種類の言葉をもっともらしく言ったり書いたりする方がいます。そういった言葉を聞いたり読んだりすることでクルマに興味の無い方はそういうふうに考える方が増えます。 僕はチューニング・カーを推奨しようとは思いません。むしろ僕自身チューニングそのものを妄信する傾向はありません。 しかしです。 クルマを速く走らせるということはどういうことなのか?どんなドライヴィング・テクニックが必要で、どんなドライヴィング・スキルが要求されるのか解らない人間に前述したような偉そうなことを言われたくはありません。 ハッキリ言って「本物のレーシング・カーを見るとチューニング・カーが馬鹿らしく偽物に見える」というような安易な発言をする輩は得てして観戦しかしないモータースポーツ・ファンやマニアです。 自身のクルマでクローズド・コースを走ることはしない方々です。もっとハッキリ言えば自身ではクローズド・コースを攻めるなど問題外のレヴェルのドライヴァーでしょう。 クローズド・コースの難しさやマシンを速く走らせる難しさを知っていればレーシング・カーもチューニング・カーも関係なく難しいということがわかるはずですから。 安易にそういう言葉を吐いてしまう人ほどGT-RやZに乗ってます。まァ、僕も32のGT-Rに乗っていた時代があるのですが。 もし、今このブログを読んでいる中にGT-RやZのオーナーの方がいたらすみません。しかし、今までの僕の経験の中では極めて多いのです。この辺りも僕のニッサンに対するイメージを悪くするのに一役買っていると思います。 今回、コースで3人組の方々と一緒になりました。その3人は34GT-RのVスペック2とZ33NISMO仕様?(それとももどき?)、そしてランエボ6?(多分6・・)僕はランエボには興味がないのでそれが5なのか6なのかは解りませんがとにかくランエボでした。 その3人はかりっかりに仕上げてあるNA2を見て、前述したような言葉をわざと僕に聞こえるように言ってました。 弱い犬ほど吼えるとは正にこのことだなと思いました。 確かに僕のNA2のルックスは異常です。ヘタするとGTマシンにナンバーつけたようなものですから・・・。まァ、それはちょっと大袈裟ですがカーボン剥き出しで異様な雰囲気を持っていますし内装もレーシング・カーのように軽量化のために綺麗に取り外されています。即ち、道交法上問題の無い範囲で徹底的なリデューシングが行われていますし、サーキット適正を一番に考えたマシンになっていますので単なるチューニング・カーとも違います。 ようするに彼らはルックスだけレーシング・カーにした僕を小ばかにしていたのだと思います。「見掛け倒しだろ・・・」みたいなニュアンスだったのでしょう。 一緒に行った友人の話によれば僕がコース・インしてラップごとにタイムを刻んでいくのを驚きながら見つめ、ついには緘黙したそうです。 公式計時はなかったので彼らとのタイム差がいかほどだったのかは解りえませんが、レーシング・ドライヴァーだったころ良く使ったギャップ・チェック方法を用いた結果、裏ストレート1本分あった差がストレート・エンドでテール・トゥ・ノーズまで詰まり、最終コーナー手前まで後ろにくっついてペース・ダウンした区間があったことを考えると少なくとも25秒から30秒程度は僕よりも遅いのです。 僕の知人が同じVスペック2のミレニアムなんとかメタリックというカラーのクルマに乗っているので今回走りこんだコースで過去タイム・アタックをしたこともあります。その知人のVスペック2も強化クラッチと軽量フライホイールを組み込んだだけのドノーマルに近い状態でしたが僕は2分15秒台で周回した記憶があります。 偉そうなことを言ってた割にはたいしたことありません。 僕にしてみれば、もしかしてそれって自分自身が下手くそで遅いのをドノーマルのクルマのせいにするために手を加えてないの?とでも言いたくなります。 まァ、クローズド・コースを走ったことも無いくせに速い遅いを云々したり、本物(レーシング・カー)と偽物(チューニング・カー)と区別する輩よりはましですけどね。 ちなみに僕のNA2のアドヴァンテージはどのくらいかといえばエンジンはフルバランスをやってチタンのワンオフ・マフラーを装着。さらにROMで点火時期の最適化のリセッティングを施し、クラッチやフライホイールも軽量化していますが積極的なスープ・アップ対策はしていません。足回りはブレーキ、サス共にオーダー物です。シャシ・ダイナモ測定では340ps前後です。 レースを観戦する楽しみを否定しようとは思いません。それは純粋に楽しいことです。しかし、モータースポーツの何たるか?やスポーツ・ドライヴィングの何たるか?が解らない方々に安易に本物、偽物呼ばわりされたくはありません。 例えばNA2のタイプRはノーマル状態でもフロントのスプリング・レートが10kg/mm程度です。しかし国産量産市販車でフロントにスプリング・レート10kg/mmものハードなスプリングを装着しているクルマを見たことはありません。少なくとも僕は知りません。 RX-7やRX-8などの車種に装着するストリートや峠仕様のハードコアなアフター・パーツでも7kg/mmから8kg/mmが一般的で推奨されるスプリング・レートです。 すなわちタイプRは最初からチューニング・カーの領域に入ってますから、彼らの言い分ではすでに偽物扱いなのでしょうね。 ちなみに僕のタイプRはそれを凌ぐ13kg/mmです。これが何を意味するか即座に理解できない方々に偽物扱いされるのは大変不愉快です。 簡単に言ってしまえば扱うドライヴァーの技量で足回りの固さやセッティングは変わります。スピード・レンジが上がればコーナーでのGも、ブレーキング時のピッチングも大きくなるので必然的に固めてクリアランスも落とします。 僕がクルマを強化する本質的なポイントはそうしなければ、僕が望む運動性能或いはアヴェレージ・スピードには到達しないからです。 ただし、僕は速ければ良いという自己満足主義者でもありません。環境に関する面も頭の片隅にありますので安易なスープ・アップ(馬力アップ)はしないのです。単にタイムを削るだけならスープ・アップがもっとも手っ取り早い選択肢ですがタイプRは偽物チューニング・カーとしては驚異的な低燃費を実現していますので、それを損なってまでタイムを切り詰めるのは異常であると僕は考えます。全てはバランスです。 レーシング・カーもチューニング・カーもしかりです。 NA1もNA2もタイプRは耐久性を見限ったR32GT-Rの800psチューンの前に影を薄めましたが、何かに偏った安易な価値観しか持たない方々にはモーター・スポーツやスポーツ・ドライヴィングの本質が伝わるはずもないと思います。 知らない方々が偽物扱いするのは言うに及ばずですが、800psチューン等を平気でしている方々も僕には理解できませんし、峠にチューニングしたモンスターを持ち込んで走っている方々も同様に理解できません。これは自分自身だけの危険だけでは済まないからです。 日本のクルマ文化は未だに貧しい。悲しいことです。
March 22, 2007
コメント(2)
ちょっと先のことですがある方のご好意によってポルシェ最新モデルの911ターボ、ティプトロニックSとフェラーリF430F1をクローズド・コースで乗り比べることができる機会に恵まれそうです。 まだまだ先のことで本決まりではありませんがかなり楽しみです。 ここにアストン・マーティンDBSとランボルギーニ・ガヤルド、アルファ・ロメオ8Cコンペティツィオーネがあったら最高のカー・テイスティング・セレモニーなんですがね。(笑) 最新の911ターボのマニュアル・モデルは僕の印象としては比類ないほど世界最高のマニュアル・ミッション車ですので、それがティプトロニックSでどんなセッティングされているのか大いに注目です。 しかし、結果は乗る前からある程度明らかになってます。ポルシェ911ターボの強敵を挙げるならエンジン搭載位置が変わるもののガチンコのライヴァルはランボルギーニ・ガヤルドだからです。 F430ではドライヴィング・プレジャーと暖簾価値という部分以外では勝ち目はありませんし、例えフラッグシップの599を引き合いに出しても911ターボにパフォーマンス面で土をつけるのは極めて難しいでしょう。 911の価格はフェラーリF430よりも400万近くリーズナブルであるのに、ドライヴィングしたときの印象はとても400万安いクルマとは思えませんでした。フェラーリというブランドの失墜を見た瞬間であったかもしれません。 少なくとも911ターボはこれからの全天候型スポーツ・カーの試金石となるクルマであることに間違いはありません。全天候型スポーツ・カー、これからの時代はここが大事です。 僕には僕なりのスポーツ・カーへの厳しい分類があって、街乗りを何不自由なくこなせるクルマはルックスがスポーツ・カーでもスポーツ・カーとは呼びません。 街乗りでは物凄く不便さを感じさせるほどでも、一度サーキットに連れ出せば物凄い至福の時間が過ごせるクルマが僕にとって真のスポーツ・カーです。そういう分類に自身のNA2も含まれるでしょう。 ですがポルシェ911ターボはそこまでの不便や苦痛さを感じさせること無く新しいスポーツ・カーの在り方を訴えかけてくれます。これが僕にはショックでした。 かつてはスポーツといえばフェラーリが代名詞でしたが、少なくともロード・ゴーイング・スポーツというセグメントで見ると今や立場はポルシェと逆転しています。 例えば最新型同士をスペック上で比べるだけでも価格では400万近くポルシェの方がリーズナブル。最高出力は911が480ps/6000rpm、F430が490ps/8500rpmで数値だけを見ればF430が勝っていても発生回転数を見れば911が圧倒的に有利です。まァ、これが3.6リットルのツゥイン・ターボ・エンジンと4300cc自然吸気エンジンの違いですが。 トルクもしかり。911は63kgmという途方も無いトルクを1950rpmから5000rpmのほぼ全域で発生するという恐るべきターボ・セッティングです。ちなみにこれは98RONのハイオクタン・ガソリンを使った実測値で公称値ではないそうなのでさらに驚かされます。一方のF430はNAということもあって分が悪いです。頑張っているとは言っても47.4kgm/5250rpmと、発生回転域ともども心細いばかりです。 これを911はリア・シップ、オール・ホイール・ドライヴで路面に伝え、F430はミドシップの後輪駆動ですから0~100km/h加速の比較はタイム云々を言うまでも無く問題になりません。1秒近くF430が遅くなります。 唯一、F430が911ターボに勝てるのはトランク容量ぐらいでしょう。これに関しては911は105L、F430は250LですのでF430が圧勝です。しかし、どうです?トランクの容量でだけ勝てるフェラーリってのもちょっと微妙じゃないですか?あとは好みもあると思いますがインテリア・デザインもフェラーリの方が若干勝ってますかね。 ただし、僕はこの程度の比較で終わりにしません。環境適合性の一つの指標である二酸化炭素排出量・・・・コレで比べるとどういうことになるでしょう。 911は307g/km。F430は420g/kmでここでもやはりNAエンジンの弱さを露呈する結果となっています。 新世代の全天候型スポーツ・カーのベンチ・マークとなっているポルシェ911ターボのティプトロニックを体感できるというのは07年になってから最高のイヴェントの一つになるでしょう。今から期待の大きいイヴェントです。
February 16, 2007
コメント(6)
昨日まで連載しましたエルニーニョとカー・エンジニアリングにたくさんのかたがいらっしゃって下さりありがとうございます。感謝致します。 国内外からお越しいただき、取り合っていただけるか否かは別として、研究所や企業、大学等など多くの方の目に触れただけでもラッキーだと思っています。どうか研究者の皆様、未来に残せる革新的な環境技術の開発をお願いいたします。 ところで、昨日、脚に使っているSCが機嫌を損ねました。原因は不明です。 現在複数台所有しているクルマの中では唯一ドノーマルのクルマで脚として乗るには最も適しています。 NA2はほとんどサーキット走行用の仕様で一般道の走行は無理(多分無理)なのでガレージに入れたままですし、もう一台のTRDスポーツMは気軽に乗れるものの、やはり様々な部分を強化してあるため街乗りはしにくく、特に都内の渋滞路は話になりません。 そういった意味でSCがもっとも乗りやすいため現在はメインの脚として使っていたのですが何の前触れも無くエンジンが掛からない状態に・・・・ しかも出先でのことだったのでかなり厄介なことに。JAFには加盟していますが僕個人が持っているカードのロード・サーヴィスの方が使えるためそちらを呼んで運んでもらうことに・・・ それでも東京への搬送料は結構なものですし、おかげさまでヴァレンタインは台無しです。 新しいNSXやレクサスのフラッグ・シップLF-Aがリリースされるまでの繋ぎ的役割だったのですが、ちょっと微妙な展開になってきました。まだ1年も経ってない間に起こった原因不明のトラブルなので、その内容によっては乗り換えもあるかもしれません。
February 15, 2007
コメント(11)
昨日からの続きになりますが、NA(自然吸気)ユニットとターボ・ユニットをレーシング・エンジンに置き換えてみると現在ではF1のNAエンジン(自然吸気)が20,000回転オーヴァーという途方もないピッチで回ります。 一方、ターボ過給するレシプロ・レーシング・エンジンは近年は少ないので80年代後半から90年代のターボ全盛期のエンジンを例にとってみます。 ミハエル・シューマッハーが搭乗していたことでも知られるザウバー・メルセデスC9あたりがターボ・ユニットの一つの完成形でしょう。88年や89年に全盛期を迎えていたWSPCにスイスのザウバー・ティームと手を組んで参戦しレース・シーンでシルバー・アロウの復活果たしたメルセデスのC9は5,000ccV8ツゥイン・ターボというエンジンを搭載していましたが公称では720ps前後を発揮していました。 現在のF1エンジンの出力は800馬力前後ですので若干出力としては落ちます。しかし、F1のV8、2.5リットルが20,000回転で800馬力を発揮しているのに対し、C9のV8、5,000ccは市販車より若干高い程度の7,000回転あたりで720psを発揮していました。 お解りでしょうか?20,000回転と7,000回転での発熱量の違いは推して知るべしですからクーリング・システムも自ずと変わってきます。 市販車(一般車)領域で言われていることとレーシング・カーなどのコンペティション・モデルで考えられることは全く違います。確かに排気タービンが持つ発熱量も馬鹿には出来ませんが、問題なのはエンジン単体の発熱量のほうですから20,000回転のエンジン冷却はフォーミュラのパッケージングであればこそ出来ている冷却効率でしょう。 そんな市販車に近いターボ・エンジンが何故レーシング・ユニットのように使えるかと言えば、900kgを切る車輌重量に80kgmを超えるモンスター・トルクを有している点でしょう。この最大トルクを発生する回転域は未発表でしたのでどの回転域なのかはハッキリしませんが5,000ccのV8で、最大出力の発生回転数が7,000回転であること踏まえれば3,500から4,500回転あたりが実用的なトルク発生領域となります。 低中速はトルクを使い、ストレート・スピードはパワーで乗せるという走り方が可能になります。この考え方が昨今のディーゼル・ターボにも当てはまります。リーン・バーンでそんなに高い回転域には回さずにターボ・トルクで走るという考え方です。これはターボ技術やターボ・チューンが進化したからこそ使える手法でもありますし、スプリント用マシンと耐久用マシンの根本的な設計思想の違いでしたがこれも近年は色分けが難しくなってきています。 FIA-GTや日本のスーパーGTなどは明らかにスプリント・レースのための技術で耐久を走っていますしGP2もそうです。 GP2に関して否定的な方がいらっしゃいますが僕がGP2に注目している理由はここにもあります。スプリントに使うエンジンとしては異例なほどトルキーなエンジンです。通常フォーミュラは回してなんぼのエンジンが主体で、アッパークラスのフォーミュラほどその傾向が強くなるのが世界的な傾向です。ところがこのエンジンは性格そのものがトルク指向のエンジンのようで、回してピーク・パワーを維持して走るという単純なスキルではタイムを削ることは難しいようです。 僕がかねてから今後F1にステップ・アップして行くドライヴァーはGP2経験者が圧倒的に多くなると予見している最大の理由はここです。F1も回転数削減、ディーゼル投入の検討、ハイブリッド化の検討などが行われています。基本的にトルクを重視しそれを上手く利用するこれから主流になるであろう走りと、パワーを最後の一滴まで搾り出して攻めるかつての走りは根本的に違うからです。 無論そこにあるエンジニアリングへの思想、ドライヴィング・スキルも大きく変わります。ついでに補足するとフェルナンド・アロンソやロバート・クビカ等のスタイルを持つドライヴァーがこれから厳しくなるだろうと予想する根拠もここにあります。 脱線しましたので修正します。今後、レーシング・エンジンがゆるゆると回してモンスター・トルクで走らせる時代が来ると明らかにカー・エンジニアリングでは大きな変動、あるいは下克上が起こるかも知れません。高回転型自然吸気エンジンからリーン・バーン型ターボ・ディーゼル時代の到来は日本でもかなり厳しい現実を突きつけてくるはずです。例えば、ホンダやスバルなど乗って楽しいクルマを作っているメーカーほどディーゼルへのノウハウが少ないのも現実です。 しかし、リーン・バーン・ディーゼルが今後の環境問題を一掃してくれることは考えにくく、ヨーロッパを軸に始まった新世代ディーゼル技術への取り組みも僕は基本的には認めていません。結局のところ化石系(バイオ燃料も含めて)の燃料を燃焼するパワー・ユニットでは限界を迎える時代がもうそこまでやってきています。 オールド・カーやヴィンテージ・マシンは良いとノスタルジーに浸ってられる時代ではありません。一刻も早く現在のクルマの楽しさを受け継ぐ斬新なマシンの開発が待たれます。真の意味でのアドヴァンスド・マシンを開発したメーカーが少なくともむこう10年はカー・エンジニアリングの頂点に君臨することは間違いないでしょう。 世界に誇るべき革新的な変革の発信地が日本になってくれることを僕は願ってやみません。
February 14, 2007
コメント(2)
11日にこの記事の第1話を僕が投稿してから、昨日12日に産経新聞において僕が書こうとしていた内容と重複する記事が一部ありましたので、若干変更を加えて第2話と第3話を掲載します。 エルニーニョとカー・エンジニアリングの第2弾です。 「kei56k」さんからの書き込みにもありましたが、今ラリー・シーンやレース・シーンは大きな転換点を迫られていると思います。本質的な部分に目を向ければ、20,000回転も回るエンジンの回転数制限だとか、1ユニット2レース使用だとか、コントロール・タイアがどうだのこうだの言ってる場合ではありません。 今年のリスボア=ダカール・ラリーでは連覇を狙う三菱勢がVWのレース・トゥアレグを相手に大苦戦を強いられましたが、これも詰まるところエンジン形式による優位性であったような気がします。最終的には信頼性の部分に一日の長があったミツビシが連覇を達成しましたが来季への危機感は本人たちが最も感じているはずです。 昨今のレース・フィールドではディーゼル・ターボが猛威を振るっています。この流れはルマン24時間レースで圧倒的な速さで勝利したアウディからで、今年は同じエンジン形式でフランスのプジョーが打倒アウディを目指して参入して来ます。ヨーロッパで省燃費リーン・バーン・ディーゼルの先駆者的なプジョーですから同じく新世代ディーゼルで高い技術力を持つフォルクス・ワーゲン・アウディの牙城を崩せるのかどうかも見ものです。 リーン・バーンを含めた新世代ディーゼル・ターボというパッケージングが本物のレーシング・エンジンとなりうるのか?という議論をするにはもっと難しいテーマを並べなければならないのでここでは割愛します。要約すれば環境への影響を度外視した最高のパワー・ユニットを求めるのであればF1のような高回転型NAエンジン。環境への問題も配慮しつつある程度のパフォーマンスも維持するのであればディーゼル・ターボという選択になります。無論、これはあくまでも今の段階での話でしかありません。 しかしながら、化石系の燃料を燃焼し動力を得るという形式はどちらも変わりませんし、厳密に比較すると差は出てくるものの窒素系化合物や炭素系化合物の排出量もともにゼロにできるわけではないのでどちらも真の意味で環境適応力が高いとは言えません。 昨年9月、ホンダがRITE(地球環境産業技術研究機構)が共同で開発に成功したと発表したバイオ・エタノールは植物の食用としては使用できないセルロースを使ってガソリンの代替燃料を作るというものですが、これも燃焼してエネルギーに置換していることは事実なのでこれによって起こりうる問題の研究がされつくされなければ手放しで喜べるわけではありません。 ではトヨタが世界に先駆けて送り出したハイブリッドはどうでしょう?これは化石系の燃料の消費を抑えるという面において革新的な部分も含んでいますが、これも化石系燃料の使用を断ち切れるほどの先進的なものではありません。 またモーターは放熱性が低いため温暖化が進んだ環境下での使用ではモーターの寿命なども懸念され、モーターやバッテリー系のトラブルを抱える可能性は極めて高くなります。これが前回記述したクーリングに関わる部分です。 さらにトヨタはリスボア=ダカール・ラリーにナタネを原料にしたバイオ燃料で走るランドクルーザーを走らせ全日程を完走させましたし、この車体の一部には植物由来のマテリアルを使っていて将来的には車体そのものを植物由来マテリアルで作るという構想もあるようです。 ま、そんなこともあって、僕は本当のアドヴァンスド・カーを作り上げる大役をトヨタに託したのです。 さてディーゼル・ターボとNA(自然吸気)エンジンに話題を戻しましょう。 実はディーゼル・ターボだけでなく、通常のレシプロ・エンジン+ターボの組み合わせでも高回転型のNAエンジンから比べればレーシング・ユニットとしては熱交換効率が高いのです。 今、「えっ?」と思った方々がほとんどだと思いますが、一般車の領域ではこの問題は解り難いのです。市販車と呼ばれる公道を走るクルマは乗りやすさや安全性、耐久性などを考慮してエンジン回転の上限を制御するためのフェイル・セイフであるリミッターが装着されています。これによって回転数が制限されている他、耐用年数などの関係からそのエンジンが引き出せる限界ギリギリの性能ではなく余裕のある領域をデチューンして使っていますので、どこまで回せるか、どこまで使えるのかが解りにくいのが現状です。 そのため一般車ではNAエンジンもターボ・エンジンも常用回転域が重なるためターボの方が放熱が悪いと思われがちです。第3話は明日掲載します。
February 13, 2007
コメント(4)
暖冬という言葉は聞きなれて、東京では初雪が降らないのでは?とまで言われても危機感を持たない僕たち。 平均気温が1℃上昇したということが発表されてもピンとはこないのでしょう。やがてアフリカ・サヴァンナでは熱波に見舞われ、温帯域に四季がこなくなる可能性が示唆されても他人事です。 東京圏に雪が降らないのは単に暖冬だけの影響ではなく、北極圏から周期的に放出蓄積を繰り返す寒気をコントロールしている北極振動が蓄積期にあるため寒気が南下しにくいことも原因の一つに挙げられているようですが、あきらかに温暖化は進んでいるのでしょう。 気温が1℃上がるだけでも大気中の成分や湿度が大きく変化する可能性があるため、男女に関わらず皮脂分泌や発汗状態のバランスが崩れ始めるので肌の手入れは忙しくなります。 それだけに止まらず、定常的に温かくなると光化学スモッグの発生やウィルスの蔓延も指摘されているだけに健康被害、環境破壊が更に促進されると加速度的に温暖化が進み環境破壊もすすんで行くでしょう。 僕はカー・エンジニアリングも無縁ではないと思っています。 ただし、既に言われているようなエコ・・すなわち省燃費やハイ・ブリッド技術のようなものをさして言っているのではありません。 もっと更に突っ込んだエンジニアリングです。これは一般車においてもレーシング・カーにおいてもです。 例えば気温が上がることによって人間の代謝機能に変化があるようにエンジンの冷却効率も変化しますので従来と同じクーリング・システムでは上手く機能しない可能性も出てきます。また、前述しましたが気温が上がれば大気中に含まれる成分バランスも変化するため高燃焼効率という意味では燃焼のマネジメントを大幅に見直す必要も出てくるでしょう。 一般車からやらなければ意味の無いことですが、レーシング・カーにとっては更に深刻な問題でしょう。路面温度が今以上に上昇すれば予想しきれないタイアのグレイニングやセパレーションが引き起こされる可能性が大きくなります。 さらにレーシング・カーの場合は熱変換効率がシビアになりますからシミュレーション仕切れなかった気温変化がそこに絡み合ってくると当然冷却系のトラブルや、マシンの色々な部分に使われているオイルの急激な劣化をも促進してしまい操縦系統にまで支障をきたす恐れがあります。熱に弱い電装品は言うに及ばずです。 トヨタがついにビッグ・スリーを抜いて1位になると噂されていますが、コレだけの資金力があるのなら是非、有効な資本投下と技術開発をしていただきたいと思います。 温暖化を防ぐ技術は勿論ですが、これからデリケートに変わっていく環境のなかに対応できる本当のアドヴァンスド・カーを作り上げて欲しいものです。 恐らく、トヨタならそれを作り上げる技術力と底力があるでしょう。ホンダにも技術力はありますが資本力で劣ります。未来にまだクルマが生き残っていることを願ってこの大役をトヨタに託したいと思う今日この頃です。
February 11, 2007
コメント(6)
1月1日の新年早々「スーパー・スポーツの意識調査」のアンケートに御協力いただきました皆様、ホントにありがとうございました。感謝致します。 遅れてしまいましたが、集計と僕自身のアンケートを掲載いたします。エントリーNo.1 ASTON MARTIN DBS(アストン・マーティンDBS) エントリーNo.2 Ferrari 599(フェラーリ599) エントリーNo.3 Lamborghini Murcielago LP640 Roadster(ランボルギーニ・ムルシエラゴLP640ロードスター) (問1)所有して乗りたいと思うクルマを1台選び、簡単な理由を添えてください。 御協力いただきました7名様で得票数4票を獲得して堂々の1位を獲得したのはやっぱりLamborghini Murcielago LP640 Roadster・・・世界的な大人気で、今や日本ではカタログ刷りも追いつかないほどで麻布や江戸川のショウルームに見に行っても残念ながらもらえません。ま、これはしかたありません。NSXも省略版以外は有料でしたし・・ 続いて2位はFerrari 599の2票ですがASTON MARTIN DBSも1票獲得していますのでこの差はあってないものか、あるいはもっと差がつくものなのか未知数です。 (問2)これらのクルマでイメージする(ボディ)カラーを教えて下さい。 あくまでも1位に選出された方が選んだイメージ・カラーだけをリスト・アップしますと・・・ASTON MARTIN DBS(アストン・マーティンDBS)ブラック・メタリック Ferrari 599(フェラーリ599) ロッソ・コルサ2票、でも綺麗なイエロー(ジアッロ・モデナ)も捨てがたいということで一応ピック・アップします。 Lamborghini Murcielago LP640 Roadster(ランボルギーニ・ムルシエラゴLP640ロードスター) ムルシエラルゴは最もイメージ・カラーが分かれました。パール・ホワイト、ジアラ(イエロー)、グリジオアンタレス(シルバー)、ネロぺガス(ブラック)と4色ピック・アップされています。フェラーリと違って「これっ!」といったイメージ・カラーがないのかも知れません。 しかし、これをネガティヴに考えるのはどうかな?とも思います。確かに確固としたコーポレート・カラーを持つフェラーリやマセラティはメリットもありますが、反面デメリットもあります。 フェラーリがロッソ・コルサしか売れない。あるいは売れたとしても目立たないとしたら、それだけで少数かも知れませんが「赤以外は駄目だ」と顧客のイメージを縛り付けてしまっている可能性もあると思います。 僕もロッソ・コルサのF40に乗っていた旧フェラーリ・オーナーですので痛いほど良く解ります。逆説的に言えばロッソ・コルサが似合わないフェラーリは成功しません。 そんな視点から見る限りランボは恵まれているのかも知れません。イメージ・カラーの決定打が無いためにより幅広いユーザーをターゲットにすることが出来ています。これはランボのかなり強力なセールス・ポイントになるでしょう。 (問3)知っているクルマだけで結構です。これらのクルマが最も似合うと思う絶景ポイント、絶好のマッチング・ポイントだと思われるポイントを挙げて下さい。この設問に関しては僕の個人的な見解をここでご紹介させていただきます。 ASTON MARTIN DBS(アストン・マーティンDBS) 今現存するどんなイタリアン・スーパー・スポーツよりもフィレンツェに似合うと思いますし、ロンドン、トーキョー、ニューヨーク、パリなど世界の都市に似合うアヴァンギャルドな不思議な魅力と色香に満ちています。 また、ミッレミリアの舞台ともなった僕が大好きなトスカーナのラティコーサ峠とフータ峠もバッチリですが、僕が思うASTON MARTIN DBSの「ここ!」はフランスの世界遺産モンサン・ミッシェルです。海上にぽつんと聳え立つ巡礼地の威容は言うまでも無く壮観にして威厳に満ちていますが、この地にはASTON MARTIN DBSがぴったりだと思います。 Ferrari 599(フェラーリ599) 599に関してはラスヴェガスのカジノあたりしかイメージできません。というのも、アンケートのご指摘にもありましたが、残念ながら僕もこのフェラーリ599のデザインに関しては色気もセンスもないと思っています。 確かにディメンション的には素晴らしいバランスを実現していますし、細かく作りこまれ必然性のある造形美は評価するだけのものになっていますがパッケージングそのもののデザイン手法は今時アメ車にも無いほど美しいと感じられるものがありません。 V8ミドシップF430あたりならロッソ・コルサ、ジアッロ・モデナが似合いますし、色んなシチュエーションで「さすがフェラーリ!」と思わせてくれるでしょうが、この599はどうでしょうかね・・・・少なくとも僕の評価としては微妙なところです。 Lamborghini Murcielago LP640 Roadster(ランボルギーニ・ムルシエラゴLP640ロードスター) ちょっとマニアックになるかもしれませんが僕が選ぶランボルギーニ・ムルシエラゴLP640ロードスターが似合う場所はギアの要塞で有名な澳門(マカオ)です。 F3の世界一決定戦が行われる公道コースとしても知られるマカオ・ギア・サーキット界隈にあるギアの灯台からオランダ通りあたりは大航海時代のポルトガルの名残りがありますし、セナド広場や聖アントニオ教会付近もアジアとヨーロッパの空気が混じりかなり濃い目の雰囲気をもっているのでランボの強烈なキャラにはマッチングするかな~と・・・しかも、モナコに匹敵する世界屈指の公道コースの舞台でもありますしね。 イタリア国内ではシチリア島のパレルモから東へ行ったサンタエリアに聳え立つカーポ ザフェラノ岬。南仏プロヴァンスのような茶褐色の屋根を持つ白壁の家屋が立ち並ぶ情緒はランボと対照的ながら共に美しく映えると思います。 (問4)ここにノミネートされた3台以外に憧れているクルマがあるという方、是非そのクルマを教えて下さい。 お二人がピック・アップされてましたが僕も2台ほどピック・アップしたいクルマがあります。今回比較した3台のここがどうも・・・という部分と絡めて折を見て書いて行きたいと思います。 クルマもワインに似ていて国や地域、天候でその表情ががらっと変わりますのでそんな部分も踏まえながら書いてみたいと思います。 (問5)この3台のここが嫌い、あるいはこのクルマ嫌いというご意見がありましたら教えていただけますか? 僕の場合は若干ありますのでこの件に関しても時機を見て書いていこうと思います。皆さん解っていると思いますが、僕の記事は歯に衣着せませんのでその点だけ御了承下さい。 最後に御協力いただいた皆様ありがとうございました。次回も御協力お願いいたします。
January 11, 2007
コメント(2)
あけましておめでとうございます。 本年もよろしくお願いします。「Fastest Lap」新年1発目のブログは是非皆様にお尋ねしたくアンケート型ブログとさせて頂きます。特に良くお越しいただいている皆様にはお骨折りいただきたいと思います。これから3台のスーパー・スポーツ・カーを挙げます。知ってるクルマもあれば知らないクルマもあるでしょうから、知らないクルマに関する質問はスルーしていただいて結構です。エントリーNo.1 ASTON MARTIN DBS(アストン・マーティンDBS)イギリス生まれの血統書つきのスーパー・スポーツで最近ジェイムズ・ボンド最新作「007カジノロワイアル」で登場したレース用エヴォリューション・モデル。V12気筒エンジンをフロントに搭載し後輪駆動。エントリーNo.2 Ferrari 599(フェラーリ599)いわずと知れたイタリアの名門フェラーリの量産フラッグシップ・モデル。近頃、正規ルートで日本に初上陸した模様・・・こちらもV12エンジンをフロント・ミッドにマウントし後輪駆動。エントリーNo.3 Lamborghini Murcielago LP640 Roadster(ランボルギーニ・ムルシエラゴLP640ロードスター)こちらもイタリアでフェラーリと双璧をなすスーパー・スポーツ・カー・ビルダー。近年、ドイツ・アウディ社の資本傘下に収まってからエンジニアリングやマテリアルなどのクォリティに更なる磨きをかけて、世界的にユーザーを増加させています。こちらもランボルギーニのイメージ・リーダー。ランボルギーニ自体がアヴァンギャルドの象徴的存在ですが、こちらはエンジンをレーシング・マシンの典型ともいえる運転席後方のミドシップに搭載し、強烈な640馬力を4輪で路面に伝えるオール・ホイール・ドライヴを採用しています。恐ろしい・・・以上の3台(アルファベット順)ですが、この3台が直接ライヴァル関係にあるかといえばちょっと微妙です。共通点はすべてV12エンジンを搭載していること、2シーターであることぐらいです。駆動方式やエンジン搭載位置は微妙に変わりますし、キャラクター・コンセプトもエンジニアリング・コンセプトも全く異なるので、メカニカル面やエンジニアリング的に比較するのはナンセンスなのでちょっと面白い指向でこの3車の比較アンケートを実施したいと思います。(問1)所有して乗りたいと思うクルマを1台選び、簡単な理由を添えてください。 (問2)これらのクルマでイメージする(ボディ)カラーを教えて下さい。ASTON MARTIN DBS(アストン・マーティンDBS)Ferrari 599(フェラーリ599)Lamborghini Murcielago LP640 Roadster(ランボルギーニ・ムルシエラゴLP640ロードスター) (問3)知っているクルマだけで結構です。これらのクルマが最も似合うと思う絶景ポイント、絶好のマッチング・ポイントだと思われるポイント(出来れば具体的に。例えばFerrari 599はモナコ、ローズ・モンテカルロのエントランス前等・・・)を挙げて下さい。この設問がメインとも言えますのでよろしくお願いします。ASTON MARTIN DBS(アストン・マーティンDBS)Ferrari 599(フェラーリ599)Lamborghini Murcielago LP640 Roadster(ランボルギーニ・ムルシエラゴLP640ロードスター) (問4)ここにノミネートされた3台以外に憧れているクルマがあるという方、是非そのクルマを教えて下さい。 (問5)この3台のここが嫌い、あるいはこのクルマ嫌いというご意見がありましたら教えていただけますか? 以上5つです。ご協力ありがとうございました。お応えいただける場合はペーストしてコメントとして書き込んでいただいても結構ですし、長くなりそうな方はこのテーマで投稿していただいても結構です。これはあくまでもどんな印象をお持ちなのか客観的に見るために実施しますのでネガティヴな意見もどんどん書いていただけると幸いです。販売店の方の参考にもなるんではないでしょうか?多数のリターンお待ちしていますのでユニークなあっと驚くようなコメントよろしくお願いします。(問3)も含めて僕なりの答えはもうすでに出来上がってますが、先入観になってしまうといけないのでここでは掲載しません。折を見て僕なりの意見という形で掲載いたします。みなさん、よろしくお願いします。
January 1, 2007
コメント(15)
これ、かなり良いです。 ジェームズ・ボンドに3台も潰されたアストン・マーティンDBSはやはりベースとなるDB9を遥かに凌ぎ、トップ・レンジのヴァンキッシュさえも脅かすマシンに仕上がっているそうです。 仮想敵車は無論、NAベースとしては最高のサーキット・エントリー・マシン、ポルシェ911カレラGT3でしょう。 今や、サーキット・ランにお誂え向きのクルマはフェラーリからポルシェにシフトしてきた感が強いですね。フェラーリ599も正直僕は魅力を感じませんでした。ここのところフェラーリがリリースするクルマのほとんどに魅力を感じません。 サーキット・ランが目的ならポルシェ911GT3RSを選ぶでしょうし、ソフィスティケートされたスポーツ・ラグジュアリーを狙うならランボルギーニ・ムルシエラゴか、ガヤルド。 あるいはこのイギリスの至宝アストン・マーティンDB9でしょう。 ここ数年、フェラーリからはときめきが消失してしまいました。『フェラーリ』という響きには未だに特別な響きは残されていますが、その佇まいを見て魂が揺さぶられることはなくなってしまったのです。 今のままでは、少なくとも僕は今後二度とフェラーリ・オーナーになることはないと思います。F40で終わりそうな感じです。今のフェラーリからは威光も魅力も何故か感じることが出来ません。ミドシップではなくなったからとか、そんな単純な理由ではないと思います。 それに比べこのDBSの色気は何たることでしょう。 このクルマは断じてスポーツ・カーではありません。スポーツ・ラグジュアリー・カーです。しかしながら、良く見るとそのソフィスティケートされた佇まいの中にはうねるような野性味あるボディ・ラインや、控えめながらも明確に主張してみせるドライ・カーボン・パーツをあしらったレーシング・ライクな雰囲気があり、クルマが大好きな男をその気にさせるには十分すぎる色香を放っています。 そう、ここなんですよ。ここ!色香がもっとも大切です。その艶やかな佇まいがない限り、これだけのコストを投じて乗りたいとは思いません。最近のイタ車では間違いなく、僕はランボのほうが良いです。V型12気筒、V型10気筒をミッドマウントし、中速のトルクを犠牲にすることなく量産車でありながら高回転指向(量産車の範囲では)のセッティングをしてある点は官能的すぎます。 アストンもV型12気筒で6,000ccという燃費など考えてはいけないようなパワー・ユニットを搭載し、0~100km/h加速を3秒台中盤でやってのけるそうです。このことからも中速のトルクは申し分なく、比較的高回転指向に振られているユニットであることは簡単に想像がつきます。でなければ4WDマシンではないので4秒は切れません。 参考までに、BMW M5は0~100km/h加速を4.96秒で達成します。これが現実です。アルピナB6でも4.46秒を要します。さて4WDのガヤルドがどのくらいかというと4.12秒で4秒は切れません。ちなみにF430はガヤルドよりも遅いのでここでは触れません。4秒を切るということがどれだけのこと意味し、どんな情報をこちらに与えてくれるかはもう明白ですよね。 例えばポルシェ911ターボは3.6秒で、ケータハムCSR260などは3.5秒ですから、アストン・マーティンDBSがいかに切れ味のある動力性能を見せるかお解りいただけるでしょう。 ジェームズ・ボンドがボンド・カーに選ぶのも無理は無い筋金入りの伊達クルマです。 う~~む、欲しい!けど、マジ高い! ちなみにフォードが売りに出しているアストン買収に名乗りをあげると噂されているBMWとVW・・・・かなり牽制球を投げ合ってましたがどうなったんでしょうか? そうこうしている間に、世界に冠たるコングロマリット『ルイ・ヴィトン・モエ・ヘネシー』グループがついにラグジュアリー・スポーツ・メーカーの買収に動き出すとの情報も・・・ 僕はどちらかというとアヴァンギャルドな思考回路を持ってますので『ルイ・ヴィトン・モエ・ヘネシー』グループの買収に反対はしません。むしろ大歓迎です。 ジェームズ・ボンドといえばシャンパーニュも切っても切り離せないアイテムですが、『ルイ・ヴィトン・モエ・ヘネシー』グループはその名にも冠されているようにモエ&シャンドンの力が大きく関わっている企業で、小さくても特別なシャンパーニュ・メゾンの販売権なども仕切っている企業で、ハリウッドへのコネも強く、アストンが今後大きく飛躍する可能性が十分にあります。 前作のピアース・ブロズナンをはじめニコラス・ケイジやジェニファー・ロペスなどスーパー・スターの顧客をたくさん抱えているアストンにとっては正にターニング・ポイント! BMWやVWなどではなく、僕としては『ルイ・ヴィトン・モエ・ヘネシー』グループに買っていただき、アストンには確かなクルマ作りに専念していただきたいものです。
December 4, 2006
コメント(3)
今日は、「ペナルティと性能調整に物申す~第3回~」の予定だったのですが帰宅が遅れて原稿が仕上がってませんので明日に順延させていただきます。 楽しみにしていて下さった皆様、本当に申し訳ございません。 ところで先日取り上げさせていただいたランボルギーニ・ムルシエラゴLP640ヴェルサーチに続き、気になる一台がまたも発表されました。 アウディ傘下に収まってからというものランボルギーニは元気が良いです。これだけランボが元気になったので僕としては結構嬉しかったりします。 反面、フェラーリは可哀想なぐらい霞んでしまってますが・・・ 今回、僕が注目したのは07モデルをベースに仕立てられた限定185台のランボルギーニ・ガヤルド・ネラです。 そうなんです。最も気になるのはこのネーミング・・・「ネロ」ではなく「ネラ」なんですよ・・女性形ではありませんか・・ 御婦人専用仕様ですか? 詳しいことは良く解らないのですが、なんでもホイールやルーフ、サイドシルやスポイラー部分がマットブラックでブラック・アウト化され、ホワイト・ウィンカーにダーク・カラーでブラックアウトされたテール・ランプなどおおよそ女性専用仕様?(僕が勝手にそう思い込んでいるだけです)とは思えぬ凄みと迫力です。 インテリアはどちらかといえば古典的なブラックとホワイトのツートンという面白味に欠ける組み合わせですが、ある意味このクラシカルな?手法は新鮮かもしれません。 何故かって? 考えてもみて下さい。フェラーリがこのブラックとホワイトのツートンで内装仕上げても全然スタイリッシュではありません。それどころか非難轟々でしょう。センス無いとか、没個性的だとか、駄作とか、ありとあらゆる表現方法を用いられてこき下ろされます。そういった意味ではランボルギーニだけに許されるエスプリであり、ランボルギーニだけが上手く纏えるデザイン・エッセンスであることは間違いないと思います。 ただし、どうしても気になるのは「ネラ」というネーミングです。今まで、事あるごとにフェラーリと比べられ続けたランボですがフェラーリは女性的、ランボは男性的と言われ続けました。 そのパワー・シェアリングの逆転を狙ったキャンペーンの一環なのでしょうか? 確かにこのランボ、スタイリッシュな御婦人が乗ったらノック・アウトされそうですが、といったところでじゃあ誰が似合いますか?という論争になるとパッとは思い浮かびません。 イメージで言ったら誰が似合うのでしょうか?日本の有名人でガヤルド似合う御婦人・・もし、この人はと思う方がおりましたら是非書き込んで下さい。僕個人としてはランボに似合う御婦人イメージできないんですがね・・ しかし、世界限定185台の御婦人専用ランボ(しつこい)「ネラ」、日本には12台が導入される予定だそうですが、詰まるところこのランボのエスプリ満載のマシンを手に入れることが出来る可能性があるのはたった12人だけということです。 やれやれですね・・
November 9, 2006
コメント(2)
昨日も取り上げましたランボルギーニの兄貴分であるアウディR8がついにパリ・サロンで正式にデビュウしました。とは言っても昨夜取り上げたムルシエラゴではなく、その弟分ガヤルドと兄弟車となるクルマです。 昨夜のランボルギーニ・ムルシエラゴLP640ヴェルサーチに続き、僕が最も注目していたクルマの一台です。 このモデルは2003年にアウディ・ルマン・クワトロの名でフランクフルト・ショウに出品されました。 ルマンを連覇したアウディのイメージ・リーダー的なマシンとして開発されています。このマシンはランボルギーニ・ガヤルドと基本コンポーネンツを共有して開発されてきたにも関わらず、最終的にはガヤルドのV10ではなく、まずは4.2リットルV8仕様でリリースされることになりました。 残念ではありますが1年後にV10エンジン搭載ヴァージョンもリリースされる予定だと言われてますのでV8ヴァージョンを先行投入してアピールしたいアウディ首脳陣の考えも理解はできます。 何しろアウディにとっては初の自社製スーパー・スポーツであるだけに喜びはひとしおでしょう。そういった面でも逸早く市場に送り出したかったのだと思います。ランボとアウディの異母兄弟は今後眼が離せません。 事実このインゴルシュタットの自動車メーカーは世界的に伸び悩んでいるドイツ車メーカーの中で最も攻め込んでいるメーカーですし、ディーゼル関連技術も踏まえ一部にはルマン・クワトロにディーゼル・ターボ・エンジンを搭載する噂まであったほどです。 実際、僕はこのR8の出来次第では真剣に購入を考えていた1台です。 市販車としてはかなり先鋭的とも言える直噴エンジンのドライサンプ方式を備え、ランボに搭載済みのeギアはセミオートマティック・トランスミッションとしての完成度はかなり高いものです。どうやら彼らはこのトランスミッションの第二世代を鋭意開発中らしく、この第二世代のeギアをV10エンジンとともに機が熟すのを待ってエントリーさせる模様です。 僕自身かなり真剣に想いを募らせていたモデルだけに今後の動向をきっちりチェックしていきたいと思います。 近いうちに特集記事も書けたら良いな~と思ってますが時間が微妙なところです。
November 3, 2006
コメント(2)
今季、ルマン24時間レースでディーゼル・エンジンを搭載して圧勝したアウディR10打倒を目指したフレンチ・ライオンが発表されました。 来年のルマン24時間レース制覇を目指したプジョーのプロトタイプ・マシン「908」はクローズド・ボディにバンク角100度の5.5リッターV12ディーゼル・エンジンを搭載してR10に真っ向勝負を挑みます。 電子制御デヴァイスはWRカーで培われたノウハウが活かされていると公表されており、中でも電子制御デフの技術には定評があるプジョーだけに総合力ではアウディ陣営に引けはとらないでしょう。 フロント・ノーズは吊り下げたような先鋭的なデザインでダウン・フォースをはじめとする空力処理されたフェアリング・ラインはいかにも走りそうな印象です。 このフォルムに関してはアウディR10よりもかなり洗練されて見え、フレンチ・デザインのかなり艶やかなシルエットとなっています。 プジョーと言えば92年と93年にグループCカー「905」があるだけに来年のアウディとの直接対決は見所満載です。しかも、どちらも欧州メーカーの中ではクリーン&パワフルなディーゼル・エンジン開発においてイニシアティヴを握っているメーカーの直接対決だけにレース前にも熾烈な開発競争と熟成が行われることは必至です。 僕にとってはどちらも好きなメーカーだけに応援する際はちょっと複雑な気もしますが、それよりも気になるのはエンデュランス・レースの世界ではディーゼル・エンジンが猛威を振るってますが日本メーカーとの格差はどのくらいあるんでしょうかね? 日本はディーゼル離れが進んでいるので、この辺りの技術開発は立ち遅れているのでは?と思うのですが・・・どうなんでしょうかね?
October 11, 2006
コメント(2)
かねてからデヴューが噂されていたレクサスのスーパー・スポーツが来年の日本GPで発表されるという情報が入ってきました。 まァ、「富士で発表」の信憑性はともかく、レクサスLF-Aコンセプトに搭載されていたF1譲りのV10エンジン・ユニットは見送られることになったようです。 また開発当初から噂されていたハイブリッド・モデルに搭載されるシステムは来春発売となるLS600hと基本的には同じ5リッターV8プラス・モーターを流用することになりそうです。最高出力はLS用では430ps以上と控えめですが、エンジン単体でも400psを搾り出す上、GSでは200ps近く発生しているモーターをボルト・オンするのですからアウトプット自体はかなり強力です。 しかも、こちらはレクサスGTを名乗るフラッグ・シップ・スポーツですから、そのパフォーマンスたるや推して知るべしです。 しかし、未だにドライヴ・トレーンとエンジンの組み合わせはハッキリしておらず、予想されているのはV8ユニット単体モデルはFR、V8プラス・モーターは4WDでリリースされると言われていますが確定ではありません。 国外では「エレクトリック・フェラーリ」の異名を持つレクサスGTのデヴューがいよいよ現実のものとなってきたようです。 トヨタにとっては2000GT以来の本格フラッグシップ・スポーツとなりますから自動車関係のジャーナリストたちもかなり気になってはいるようですが、僕の方はLS430の件もありますから今のところは静観しております。 また、情報が入り次第取り上げます。 いよいよ明日は鈴鹿でのGP最終戦の第一ラウンドとも言うべき予選が行われます。 雨ならルノー有利、晴れならフェラーリが鉄板だと思いますが、人間の集中力というのは断定や特定のできない底力を備えていますのでこの部分に注目してみたいと思っています。 非常に楽しみなグランプリ・ウィークになりました。
October 7, 2006
コメント(2)
Lexusにとって待望のフラッグ・シップが投入されます。国内販売分の年内販売分はほぼ完売状態だそうで、リリースされてから購入しても年明けぐらいの納車にしかならないようです。日本名の旧姓「セルシオ」は相変わらず日本では強いようですがちょっと待って下さい。確かに日本人にとっては欧州の強豪と初めて真正面から渡り合ったパーソナル・サルーンであるだけにどうしても贔屓目になりがちですが、本当にこれで良いのか?と苦言を呈する方が結構いらっしゃるのもまた事実。特に、欧州の自動車誌のホーム・ページや、欧州でリリースされる自動車誌を見ているとかなり厳しい内容のインプレッションが記されています。確かに、僕自身もブログで何度も書いているように培われた精神風土に由来するヨーロッパと日本の価値観の相違があるにしても、ここまで書かれるとへこみます。かなり凹みますが、これもしかたないだろうと僕は思い始めてます。1,000万円近辺で販売されるというニュー・レクサスLS430のハイライトは戦慄を禁じえないハイテク装備の集大成です。僕は決してハイテクが嫌いなのではありません。マン・マシン・インターフェイスを追究していく上でのハイテクは大歓迎ですし、クルマの基本性能を上げていくための技術は大賛成です。ところがLS430のハイテクはそんなたぐいのものではありません。ちなみにこれから記述する「」内の文章は欧州の自動車評論家の言葉をそのまま抜粋、あるいは要約したものです。「自動でクルマを制御する装置をセットすれば、LS430はクルマそのものが進路を決め、高速道路のゲートをくぐり、決定した車線の中央をひたすら走り続ける」「ドライヴァーが衝突の危機に気づかなかったとしても全自動で制動するのは当然として、緊急回避のためのステアリング操作を行った瞬間、LS460は足回りを瞬時に固めてステア操作の応答性を高める」らしいのです。僕は正直、ここまでの時点ですでに没個性的なクルマになってしまっているように思います。誰が乗っても同じように動くAIクルマ?のように思えてなりません。更にです。「じゅうぶんな駐車スペースをみつけたなら、コンソールのボタンを押せば、あとは腕組みしたままクルマ自身が車庫入れしてくれるのを見守っていれば良く、これなら高価なアルミを縁石でこすったり、自分で選んだクルマの大きすぎる巨体を持て余すこともない」と言うのです。しかし、です。こういったドライヴァーたくさんいますよね。大きなクルマに乗ってる割に下手くそなドライヴァー。まともに駐車スペースにも入れられないドライヴァー。気のせいかそういうクルマに乗ってる方ほど、自分勝手なのか?下手くそなのか?判別しかねる駐車をして自己満足しています。こういったマナーの悪さを少しでも無くそうという苦肉の策?なのかも知れませんが、ここまでするのはどうなんでしょうね?より、下手くそが増殖し「下手なら高級車のレクサスを買え」ということになりイメージは悪くなると思うのですが、さすが世界2位のトヨタさん心が広いのでしょうか?それともそういう下手な方を取り込んで高級車市場に食い込んでいこうという打算?が含まれているのでしょうか?さらなる戦慄が続きます。「LS430の前後はレーダーによって監視されていて、追突が避けられない状況では鞭打ちを最小限に食い止めるためにヘッドレストが自動で動いて頭部をサポートするだけでなく、もし脇見や居眠りなどによってドライヴァーが前方を見ていないと判断すると、けたたましいブザーとフラッシュによってドライヴァーの意識を喚起させるための行動をLS430自体がとり始め、同時にクルマ自身がドライヴァーの操作を代行して制動する」というのです。ここまでくるともう開いた口が塞がりません。僕にしてみれば「まずいだろ、これ・・」という感じでしかありません。確かにパッシヴ・セフティだけでなく、アクティヴ・セフティ技術は重要ですが、ここまでやってしまうとドライヴァー側に運転の難しさや、厳しさへの認識が欠落するように思えます。居眠り助長になりませんか?クルマの楽しみ方はそれぞれです。僕のようにピンと張った緊張の中でクルマの限界を楽しみたいドライヴァーもいれば(いつもではありません)、ごく普通に大変な思いをすることなく安全に乗りたいと言う方もいるでしょう。これは、どちらが正しくて、どちらが間違っているという論点ではありません。どちらの場合も、「同乗者や歩行者の命を預かってドライヴィングする」というドライヴァーの基本的な緊張感さえも奪いかねないハイテクのように思えてなりません。僕がこういうと、「それはドライヴァーのモラルの問題だからこれらの技術の向上とは関係のないものだ」と反論する方もいるとは思いますが、意識や思想などというのは時代の流れが生み出し、その時代に生きる方々に定着し癒着していくものです。むしろこれらのドライヴァー・エイドが全く無い時代であったならドライヴァーはクルマに頼るという概念はまったくないはずです。ハイテクがまずいというつもりはさらさらありませんが、こういった傾向のハイテクはいかがなものでしょう?ドライヴィングにたいして適度な緊張感を持たないドライヴァーが増えるばかりでなく万が一これらのデヴァイスを使っていて何らかの突発的不具合などで隣のクルマと接触したなどという事故が起こったとき、ハイテクに頼り切った下手くそなドライヴァーが言う台詞がなんとなく想像できてしまう部分も怖いです。「クルマが勝手にぶつけたので私のせいじゃありません。ですからトヨタ自動車と話し合ってください」と・・・冗談抜きで将来こんなドライヴァーが出てこないとは言えませんよ。トヨタさん。そのあたりのドライヴァーへの啓蒙はしっかりできるんですよね?いままで以上に品位も技術も無いドライヴァーが増えるのは我慢できません。どなたかのブログで新型のメルセデス発表会でレクサスの名前さえ出てこなかったようなことが書かれてましたが、こんなクルマ作ってしまったら欧州メーカーは多分笑ってますよ。ま、笑ってないまでにもホッとしてるでしょう。あと数年はトヨタに脅かされることはないと。欧州の方々がクルマに求めているのはこんなものではありません。自身でステアリングを握って、好きなときに好きなところに行ける。でも、その過程で愛機が故障してしまったらそれはそれでしょうがない。結果重視の日本、過程も重要な欧州。むしろ、その過程にこそ自身のオリジナリティやアイデンティティを見い出し楽しみを演出することを知っている方々です。また、これも海外の自動車ジャーナリストによる言葉ですが、「キャビンのしつらえには失望させられた。ビッグ・サイズのジャガーやメルセデス、アウディに感じられるような特別な空間にいるという感覚をLS460は全く与えてはくれない。本物のウッドがフェイクに見えるうえ、車格相応とは思えない低質感素材もあり、インテリア全体の雰囲気はとんでもなく巨大化したトヨタ車そのもので、洗練された高級車に期待するような味わい深さが感じられるものではない」とバッサリ!!更にクルマそのものが持つパフォーマンスに関してはここに掲示するのも抵抗があるほど厳しい内容です。「レクサスの旗艦には、ただただ驚くばかりのハイテク装備が満載されているが、クルマそのものがどうかといえば、きわめて普通。驚くばかりに平凡だ。4.6リッターV8DOHCエンジンは380psとなかなかパワフルで排気量あたりの出力としては高水準だが、代償としてトルク・カーヴのピークが今時珍しいほど高回転側に寄っていて50.2kgmの最大トルクを得るためには4,100rpmまで回さなければならない。8段ものギアを持つATはラグジュアリーのためではなく、このエンジンのために必要に迫られての補完装置なのではないか?とさえ思える。走らせれば無類のスムースさに感心はするものの、ATは最適なギアを絶え間なく選択し続けるため1段飛ばしも頻繁に行う。こうして選択されたギアに間違いはなく、エンジン特性を最大限に活かしてはくれる。だが、こうした所作から感じられる全体的な印象は「余裕」というより「高効率」であり、この種の高級車にふさわしいかどうかは疑問である」疑問である、と締めていますがどう見ても肯定でないことは内容から見ても明らかです。また、僕個人の見解としては「重すぎ」の感は否めません。5リッターV10エンジンを搭載するM5でさえも1,830kgを実現しているにも関わらず、4.6リッターV8のレクサスLS460が1,945kgと115kgも重いのは努力不足と言われてもやむを得ないでしょう。様々なハイテク・デヴァイスのせいで重くなっていたとしても、アウディやジャガーのようにアルミ・ボディを採用するなどして軽量化する努力はするべきだったと思います。 僕の総論としては言葉にすることが難しい感性領域でのチューニング(調律)がはっきり言ってトヨタは上手いとは言えません。昔よりはかなり良くはなりましたが・・国内にもこの部分に優れた作り手はいますが、それも手放しで賞賛できるわけではないのであえて書きません。この辺りの感性領域(いつも言ってますが)に訴えるエッセンスというのは理屈や数値ではありません。セルシオのときからそうでしたがLS430になっても変わらない点は、エンジニアリングやテクノロジーで作り上げる部分に関しては欧州車を明らかに超えていると思いますが、それ以外の感性や感情に働きかける芸術的な洗練度や完成度という点での商品性が極めて乏しいように思えてなりません。レクサスを愛用されている方には非常に申し訳ないのですが、僕はこのクルマのプライスは高いと思ってしまいます。何もLS430に限ったことではありません。GSもISもです。1,000万円が高いというわけではありません。以前、僕はBMW735iを脚として使っていたことがありますが、あのクルマの900万やNSXの900万を高いとは思いませんでしたし、今で言うならポルシェ911ターボに1,800万払う方が安い買い物だと思います。あるいは、アストン・マーティンDB9クーペの1,800万のほうが良いと思ってしまいます。「セダンと比べろ!」というお怒りの声があるかも知れませんのでセダンで挙げれば、300万の出費をプラスして1,330万のBMW M5かアウディのRS4にします。正直、このレクサスLS430を選ぶ意義が見い出せないような気がします。700万円前後のクルマとしてなら競争力はありますが、大台の1,000万で勝負できる内容ではないと思えます。 また、公平を期すため初代のセルシオから乗っている方が僕の友人におりますから、あとは実際に拝見させてもらってから追記の記事を書きたいと思います。その方も早々に予約したそうですので・・ブランドは自分自身のエゴを貫き通せなくなったら失墜が始まります。しかし「レクサス・ブランド」などと言われてますが、僕はまだ残念ながらブランドと呼ぶには早すぎると思います。ブランドというのは、ある国の人たちや何パーセントの人たちだけが認めただけではそもそもブランドとは呼べません。つまり、北米で認められてもヨーロッパで認められていないレクサスはまだブランドの域には達してないということです。トヨタさん。どうしてもレクサスをブランド化したいなら、売却される予定のアストン・マーティン買ったらどうですか?アストン・マーティンをレクサス・チャンネルで扱えば一気に高級車市場のネーム・ヴァリューが上がりますよ。そのためなら安い買い物だと思います。人気blogランキングへ 楽天ブログ★アクセスランキング
September 9, 2006
コメント(4)
第2話 4WDに対する認識や考え方、捉え方はメーカーによって微妙な温度差があります。スバルはクルマの安全や理想を前提に、まず4WDありきの考え方があります。ところが、昨夜ご紹介したホンダのレジェンドに搭載されたスーパー・ハンドリングAWDは舗装路でもニュートラル・ステアに近い形でコーナリング・フォースを得られるようなセッティングを実現するためのトルク・スプリット型4WDですが、4輪をそれぞれ個別コントロールしています。これは、安定性を目指したものではあっても4WDの走破性を目指したものとは正確が違うと思います。とは言え、昨夜の記事でも言ったようにどちらの考え方もヴィークル・ダイナミクスに対するアプローチであることに変わりはありません。 フェラーリをいとも簡単に置き去りにするブガッティEB110Sの登場後、スーパー・スポーツ4WD化の流れは止まりそうにもありません。コンセプト・モデルやスタディ・モデルまで含めるとかなりの数になります。ランボルギーニのフラッグ・シップ、ムルシエラゴや、ポルシェ911ターボ(997)に至るまで現代のクルマにはもはやジャンルの垣根なく4WDは不可欠となり、これからも4WDのクルマが開発されていくことは必至です。 ハイブリッドを利用した4WDシステムも登場しています。このシステムが発展すれば「c250d」さんが指摘された「私だけが実現可能かどうか分からないのに 4WDそれも個別に駆動していくものが良いなどと頭でっかちに言っていました三菱の方は若造の意見を丁寧に聞いてくださいました(自然界で一番早い動物は4足で蹴り4足で操舵します) 30年たって思い返してみるといまそれに近づいて着ています」という言葉も真実性を帯びます。ハイブリッドはハイブリッドで、あくまでも単独で機能するわけではありませんが今の技術でも条件を整えて、短い時間に特定すれば瞬間的に100ps近い出力を搾り出すことが可能です。無論システムの重量が問題になってきますが、これからもっと研究が進んでこれらのモーターを統合制御できるようになれば4輪それぞれを自由自在にコントロールして走り、曲がり、止まるを実現するようになるでしょう。ただ、ここで記事を終えてしまっては「僕らしさ」がありませんよね。いつも、お越しいただいている方々にとってこれでは満足できないはずです。安心して下さい。僕の見解はもうちょっと違った部分にあります。まだ、「何故、フェラーリの魅力の翳り」という記事を書いたのか、その本当の意味をまだ明かしてません。単刀直入に申し上げます。4WDというパッケージングは、今、自動車エンジニアリングやテクノロジーが直面している運動エネルギーの基本原理や法則という物理限界を人間自身の技術や英知で乗り越えようとする第一歩であると僕は考えています。物理的法則の限界を少しずつ手を変え品を変え高めてきた人間がぶち当たっている壁は意外と高いものです。これを打破し、あるいは倒壊させるほどの英知を人間は持っているのか?ここへのアプローチとチャレンジの一端が「まずクルマのAWD化」なのです。もう何度も言ってますので今更言うまでもありませんが、4輪でトラクションを得られるクルマと、2輪でしかトラクションを得られないクルマとでは限界は大きく変わってきます。ただし、現在の技術では4WDが絶対に越えられない壁があり、2WD並にマシンを軽く仕上げることができません。この一点をエンジニアリングやテクノロジーによってクリアできたとき、そこには新しい地平線(目標)が出現することは間違いありません。ここまで書けば僕が「フェラーリの魅力の翳り」で書いたことの意味が見えてくるはずです。今こそAWD化へのチャレンジを始めなければ、もう既にそのことにチャレンジしているライヴァルに大きく水を開けられてしまうことが目に見えているからです。そうなれば将来、フェラーリのマシンは未だに2駆で乗れるノスタルジーはあるけど、速くも無く、安全でもないクルマへと成り下がってしまう可能性があるのです。このことはクルマに関わる仕事をされている方ほど良く理解できるのではないかと思います。最後に、現在フェラーリを置き去りにするキング・オブ・キングスはやはりブガッティがリリースしているヴェイロンです。価格は四捨五入すると2億円にも達するマシンで16気筒エンジンを4機のターボ・チャージャーで過給し、アウト・プット1,000psを超える代物ですが、4WDのため重量は約1,900kgに達してしまいます。ここがウィーク・ポイントですが、それでも0-100km/h加速をなんと3秒未満で実現し、F1マシンの加速さえも凌ぐ地球上の最速マシンです。ちなみに100km/hを超えてから、つまり速度が乗ってからの加速はF1のほうが速いです。念のため・・・人気blogランキングへ 楽天ブログ★アクセスランキング
September 7, 2006
コメント(0)
「Fastest Lap」のBBSに「c250d」さんから興味深い書き込みをいただきましたので今日の記事ネタとして使わせていただきます。以下が「c250d」さんから書き込んでいただいた内容です。「大学の2年生の当時三菱は海外ラリーで華々しく活躍していました 我部のOBが三菱自動車に就職していて現役の部員に意見を聞きたいとの事で本社ビルへ呼ばれ話をさせていただきました ずいぶん昔のことなので全部は覚えていませんが これからの自動車はどうなるか?みたいな内容でした 部員の大半はFRでオーソドックスなレイアウトが良いとの意見でしたが 私だけが実現可能かどうか分からないのに 4WDそれも個別に駆動していくものが良いなどと頭でっかちに言っていました三菱の方は若造の意見を丁寧に聞いてくださいました(自然界で一番早い動物は4足で蹴り4足で操舵します) 30年たって思い返してみるといまそれに近づいて着ています1時間くらい話をして5千円くらいもらった気がします すごく率のいいバイトだったと覚えていますしかし三菱が4駆を走らせるのはしばらくたってからでした」4WDからAWDへ・・第1話僕もはっきりとした記憶ではありませんが、やはりまだ大学生だったころ、80年代の半ばです。スイスのジュネーヴ・ショウだった?と思うのですが(もしかしたらパリ・サロンかも・・)フェラーリが、あるショウ・モデルを発表しました。フェラーリ408(間違っていたらごめんなさい)と名づけられたこのスタディ・モデルが日の目を見ることはありませんでしたが、このマシンにはフェラーリが感じていた「ある種の脅威」が盛り込まれていました。それはフェラーリにとって最初で最後のフルタイム4WDモデルだったのです。それよりも前のこと、世界ラリー選手権がグループBの規格で争われていた時代、ポルシェがロスマンズ・カラーで送り込んだユニークなモデルがありました。ポルシェ959とよばれた限定生産のホモロゲーション・モデルはボクサー・エンジンをターボで過給し、その凄まじいアウト・プットを4WDシステムによって伝達するというものでした。折りしもWRCではプジョー、アウディ、ランチアがターボ過給、プラス4WDという過激なモンスターで覇を競い合っていました。押しもおされぬ空前(?)の4WDブームでした。皆さんが「4WD」という言葉を聞いたとき真っ先に思い浮かべることってなんでしょう?一般的なクルマの知識をお持ちの方の場合、微妙な捉え方の違いこそあれ「走破性」ではないかと思います。「どんな悪条件の道でも、路面コンディションでも4WDであれば大丈夫」これが一般的な4WDへの認識だと思うのです。しかし、この「走破性」が一体どこからくるものなのかちょっと考えて見ましょう。4WDは四輪全てが駆動輪となる駆動システムです。このメリットはエンジン・パワーを効率よく、無駄なく路面に伝えられることです。これがいわゆるトラクションと呼ばれるもので、これが良ければ馬力はそこそこでも走りますし、これが悪ければ幾らパワーがあってもまともには走ってくれないでしょう。そこで、ダートやグラベルを走ることが多いラリーでは4WDが主流となり、今では常識にさえなっています。ところが現在は「悪路だから4WD」とは言えない時代でもあります。ホンダのレジェンドに搭載されたスーパー・ハンドリングAWDは舗装路でもニュートラル・ステアに近い形でコーナリング・フォースを得られるようなセッティングを実現するためのトルク・スプリット型4WDです。4輪全ての駆動力をモニターしながらトルク配分をしてコーナリングしやすくするハイテク・ディヴァイスです。このシステムの目的は「走破性」ではありません。安全かつ安定感を持ってコーナリングするためのディヴァイスであることが解ります。すなわち、車両を安定させれば様々な路面コンディションのなかでもトラクションを含めた安定性が増すので、ひいてはそれが走破性に繋がるということになります。ヴィークル・ダイナミクスの原点が4WDにあるといっても過言ではありません。車両を統合制御するには4輪を制御することは必要不可欠だったのです。フェラーリもそれが21世紀には必要だ、と考えていたからこそ408というスタディ・モデルを発表したのです。ところが、このモデルの開発を担当したエンジニアはフェラーリの内紛や政争の餌食となって去ります。そして数年後、突如としてイタリアのモデナで復活した名車(名社)ブガッティのフラッグ・シップ・モデルEB110Sのプラット・ホームやコンポーネンツを担当したのです。彼がフェラーリで立ち上げたノウハウによってEB110Sはプロデュースされました。V12エンジンはIHI製のターボ4基でさらに武装され、560psというアウト・プットを4WDによって路面に叩きつけるという恐ろしいパッケージングを持つクルマでした。あのミハエル・シューマッハーがベネトン時代に黄色のEB110GTを購入したのはあまりにも有名な話です。フェラーリを置き去りにするクルマの元祖、ブガッティEB110Sの登場からスーパー・スポーツの4WD化が加速していきます。無論ポルシェ959はもっと早くに誕生していますがホモロゲ・モデルで量産車とは言えないことを考えると、4WDスーパー・スポーツ第1号車はブガッティEB110Sと考えて良いでしょう。ポルシェも959以来カタログ・モデルに4WDが増え続けています。すなわち、現代のカー・エンジニアリングにおいて4WDはある種の必然として考えられていることがうかがい知れます。現在ではアンチ・ロック・ブレーキがまるで標準装備になったことと同じようなニュアンスのものとして、4WDが捉えられていると言っても過言ではありません。次回、第2話へと続く。人気blogランキングへ 楽天ブログ★アクセスランキング
September 7, 2006
コメント(2)
新しくリリースされた997モデルの911ターボはホントに凄い出来らしい。 ライヴァルのフェラーリF430やランボルギーニ・ガヤルド、アストン・マーティンV8ヴァンテージ等のライヴァルがひしめく中にあって、とても評価が良いようです。 この中で2駆なのはFRのアストン・マーティンとMRのフェラーリF430だけ。ポルシェ911ターボとランボルギーニ・ガヤルドは4WDです。 この中で世界的に最も評価が高いのは意外かも知れませんがガヤルドです。このクラスのクルマにしては異例?とも言えるマルチ・シリンダー。しかもV10。そのV10にはeギアと呼ばれるセミ・オートマが組み合わせられます。それでいて、ガヤルドの素晴らしいコンポーネンツは1,520kgというウェイトを実現しています。 フェラーリF430がV8、F1マティックを搭載し1,528kg。ポルシェ911ターボはフラット6に6段MTで1,585kgあるにも関わらず、V10のランボルギーニ・ガヤルドが1,520kgというのはかなり頑張って軽量化したと言えます。 スーパー・スポーツが各々違う目標を定めて進んでいく中で、一際ポルシェは自身のあるべき姿を追究しているのでしょう。ニュー・モデルがリリースされるたびに確実に進化していることでもそれは解ります。 ランボルギーニもアウディ・フォルクスワーゲンの血を取り入れて混血となったことで、新たなイタリアン・スポーツの新境地を拓いているように見えます。これは間違いありません。 事実4WD化したムルシエラゴとガヤルドはフェラーリでもポルシェでもないキャラクターを手に入れました。このまま時間を重ねれば明らかにフェラーリを脅かす存在になります。 アストンはその佇まいが特別ですから、このクルマだけは走りで全てを語ることは出来ません。走りに見合った優雅さを持ち合わせたセレブ専用車ですので、アストンだけは異質の存在と言えます。 このなかで最もクラシカルなのは良くも悪くもフェラーリのようです。感性領域へのアプローチは未だ健在で、この点だけはぴか一なようですがそれ以外は明らかにライヴァルに遅れを取っています。 6~7年前のポルシェとフェラーリならフェラーリにアドヴァンテージがありましたが、今の2台は最高速チャレンジ以外ではほとんどポルシェに軍配が上がるそうです。 実質的な性能面でもフィーリングにおける分野でも・・・ アストンは元々、自己表現や自身の哲学が貫徹されているクルマです。 ポルシェは熟成という手段を積み重ね、半ば驚異的ともいえるテクノロジーやエンジニアリングの進化で(深化で)恐ろしい驚速マシンに仕上がっているようです。 ランボルギーニはアウディの4WD技術を手に入れて、他のクルマたちを過去の遺物にしてしまうほどの洗練と変貌を手に入れました。フェラーリの立ち位置だけが変わらないのです。確かに主役の立ち位置は変わりませんが、時代そのものがかわり世代交代がないとは言い切れないのもまた事実です。ブランドののれん価値が失墜すればネーム・ヴァリューも簡単に消失してしまうでしょう。本当にフェラーリはこのままで良いのでしょうか?変わらないことがフェラーリの真骨頂なのかも知れませんが、このままでは魅力が半減し、やがて無くなってしまうのは必至ですFormula 1でもそうですが量産車でのフェラーリはもっと厳しい位置に立たされているのかも知れません。人気blogランキングへ 楽天ブログ★アクセスランキング
September 6, 2006
コメント(2)
以前からお越しいただいて方々にはご存知かと思いますが、これは今年の6月28日に僕のブログに掲載した記事です。「前後オーヴァー・ハングのバランスとホイール・ベースの長さを慎重に吟味しながら設計されたのはフォード・フォーカスWRC2006です。ホイール・ベースはIMPREZAよりも95mm長く、クサラWRCよりも85mm長いホイール・ベースを持っているにもかかわらず、全長差はIMPREZAに対して63mm短く、クサラに対しては166mm長いのです。このことからも、フォーカスの前後のオーヴァー・ハングは極めて短いことが解ります。フォーカスはエンジンの搭載位置、サスペンションのジオメトリー等でまだまだ熟成の余地がありますが、WRC 2006のパッケージング自体は悪くないと思うので、今後外野の声や雑念に惑わされずに熟成を重ねていけばクサラを撃墜するマシンになることは可能でしょう。その甲斐と運が味方したこともあって第8戦アクロポリスでフォーカスは1位と3位でフィニィッシュしています。スバルもこういったクレバーで速いマシン作りが求められています。最先端の技術ばかりで速くなればエンジニアはいらないですし、常に新しいことを試すことがプラスになるとは限りません。前回のコラムでも書きましたがぺターのスタイルは一見地味に見える針の穴を通していくような精緻なドライヴィングです。そんなぺターのスタイルには安定性と回頭性のバランスに優れたマシンが絶対条件です」そしてこれが6月29日に掲載した記事です。「シトロエンが常勝軍団として君臨しているのは偶然ではありません。類稀なロウブのテクニックは言うに及ばず、そのロウブのドライヴィングにクサラがぴたりと当てはまっていることでずば抜けた勝率をキープしているのでしょう。思い出してみて下さい。シトロエンの強さと速さの根底にあるものは国内でダイハツのストーリアが君臨し続けた理由と同じなのです。前後のオーヴァー・ハングを切り詰め、車体そのものをコンパクトに軽く作り、しっかりサスペンションとタイアの能力が使いきれるように足回りの配置とセッティングを決めるという極めてベーシックな手法によるものです。昨日のコラムで僕はこう書きました。最新の自動車エンジニアリングのトレンドと言えばクルマの四隅にタイアを配置して、シャシが持つ能力とタイアが持つ能力の双方をしっかり使えるようにすることです。最近のコンパクト・カー(軽自動車を含む)はほとんどがこの手法をベースにして設計生産されています。タイアが四隅にあれば前後左右への荷重移動もしやすいため回頭性の高いマシンになります。また、その一方でホイール・ベースは延伸されますので安定性は高まります。回頭性と安定性をバランスさせるなら前後のオーヴァー・ハングは切り詰め、回頭性を犠牲にしない程度にホイール・ベースを確保するのが強いマシンのセオリーとも言えます。そして、この前後のオーヴァー・ハングは無論エアロダイナミクスにも影響を与えています、と。これが競争力を持ったマシンを仕上げるための第一歩なのです。厳しいことを言うようですが、熱意や情熱、あるいはハイテク満載のWRカーを図面上で作っても、それが結果的に競争力のあるマシンになるほど、今の自動車エンジニアリングは甘くはありません。重量バランスはもちろん大事ですが、それ以上にボディ・サイズと実質的な質量はもっと重要です。フォーカスのWRC2006モデルはWRC03やWRC04モデルとはルックスだけでなく根本的に設計思想そのものを変えたようです。その形から察するに「ようやく解ってきたようだな」という印象を受けます。空力が馬鹿にできない時代だからこそ、緻密なハンドリングが要求される時代であればこそ、この形でなければ勝てないんです。前後のオーヴァー・ハングは出来るだけ短く、ホイール・ベースは出来るだけ長く、重量物の搭載位置はなるべく中心に集める。具体的にはトレッドとホイール・ベースで結んだ長方形の中にレイアウトすることが理想です」この記事を書いたのが第8戦のアクロポリスの後のことで、2ヶ月以上前に書いた記事なのですが・・・今、ラリー・ジャパンが北海道で開催されている真っ最中ですが・・来ました。ついにフォードが来ました。アクロポリス後の第9戦はフォードのグロンホルムは3位でしたが、続く第10戦、ラリー・フィンランドも1位。そして第11戦のラリー・ジャパンを迎え、今、フォードのグロンホルムは2位のセバスチャン・ロウブに11秒差を付けトップを快走しています。この分だとフィンランド、ジャパンとグロンホルムが連勝しそうです。3位にもフォードのミッコ・ヒルボネンがつけていて、いよいよフォードのシトロエン撃墜態勢の気配がちらほらと・・・こちらもF1同様、フォードのグロンホルムが全部勝ったらまだ逆転があるだけに解らなくなりました。とは言っても全部は無理でしょうけどね・・いずれにせよ来年はシトロエンの独走をフォードが許さないでしょうから、また面白くなりそうです。スバルももうちょっと頑張ってくれんかな?人気blogランキングへ楽天ブログ★アクセスランキング
September 2, 2006
コメント(6)
丁度1ヶ月前の8月1日にこの「Fastest Lap」で速報をお伝えしたFerrari P4/5 Pininfarinaがついにロール・アウトした模様です。製作費用はすでに300万ドルに達しているそうでフェラーリENZOをベースにしたレーシング・スポーツはぺブルビーチ・コンクールデレガンスでお披露目される予定だとか・・かっくいい~ぞ~、羨ましいぞ~およそ4億円にも達する美しいフェラーリはマニアには垂涎のアイテムであることは必至。でも、個人ユーザーがオーダーしたワンオフ・モデルですから量産は無さそうです。美しいということは時として罪です。世の中には美しい御婦人というのは意外と多いのですが、残念ながら美しいクルマとなるとそんなにたくさんあるわけではありません。むしろ極めて少ないと言うべきです。近年では稀に観る美しいクルマです。いや、美しいマシンです。人気blogランキングへ楽天ブログ★アクセスランキング
September 1, 2006
コメント(9)
FIA-GT選手権第2戦ブルノではザクスピード・サリーンS7R(Car NO.9)が文字通りブッちぎりで優勝しました。マセラティとアストンマーティンが凌ぎを削る中に突然出現した超新星です。ツゥイン・ターボ・エンジンを搭載するサリーンS7Rの完成度はかなり高く、2位のアストン・マーティンDBR9(Car NO.5)に1分以上の大差をつけてチェッカーをくぐりました。マセラティMC12 GT1は昨年王者のCar NO.1のM・バーテルス/A・ベルトリーニ組が4位に入るのが精一杯で連覇に黄色信号が点灯・・・・と思ったら、第3戦のオッシャーズレーヴェンはマセラティMC12 GT1が1-2フィニッシュを飾り、第2戦で2位を得たCar NO.5のアストン・マーティンが3位のポディウムに登壇しました。このサリーンS7Rの出現でマセラティVSアストン・マーティンという一騎打ちの様相に変化が見られ、GT1クラスは一転して混戦模様です。ポルシェ996GT3RSRやフェラーリ430GT2などGT2クラスも群雄割拠ですのでシリーズ・チャンピオンが読めません。ハコのレースはやっぱり面白いです。オープン・ホイールも良いですけどハコは親近感あります。かといって緊張感が無いわけではありません。こういう良いレースを目の当たりにするととっても嬉しくなります。日本にはSuper GTがありますがレギュレーションが大きく違いますから重なることはありませんが、ともに個性があって良いレースだと思います。皆さんも是非一度見てみて下さい。ハコの良さを解っていただけると思います。人気blogランキングへ楽天ブログ★アクセスランキング
August 31, 2006
コメント(5)
全く恐ろしいことです。GT3でさえもストリート・ユースのその完成度の高さは絶品であったのに、ポルシェはまだ納得していないようなのです。なんと少量生産のGT3RSをリリースし、日本には30台から40台程度が来日するそうです。噂によれば既に完売だとか・・・正直、GT3とBMW M6を秤に掛ければ僕はまちがいなくGT3を選びます。「何故?」って思った方には申し訳ありませんが、とにかく僕はバランスを重視します。アウトプットを重視する方はM6を選んでいただいて結構ですが、パワーで豪快に走る印象がどうしても拭えないM6はハッキリ言って僕の趣味ではないんです。繊細な走りの中にこそダイナミックなスポーツのプレゼンテーションがあると僕は思ってますので、最初から豪快な印象を与えるクルマは悪く言えば大味なだけという印象を与えかねません。僕にとっての素晴らしいマシンはとにかくバランスが取れていて、イメージ通りに攻め込んでいけるマシンですから、なにか一つに偏ったスタイルのものには興味がありません。GT3は見かけも走りもマッスルな印象があるものの、決して嫌味なほどのものではありませんのでピーキーなフィーリングの更に奥にある、一握りの人間だけが引き出せる領域をストイックに追究していく楽しみをGT3は間違いなく持っているでしょう。例えばGT3の電子制御ディヴァイスの一つヨーコントロール機能は完全なカット・オフもできるようで、これを外せばGT3の性格は豹変するはずです。現行の997になってからは特にアンダー・ステア方向にセッティングされていますが、この機能を解除すればRR特有の曲がりができると思います。特にあれだけレイン・フォースによる強化が行われたGT3RSはもう衝撃的な曲がりを披露してくれることは間違いないはずです。最後に価格です。共に1,500万円を超える2車ですが、僕の個人的な印象から言わせていただきますと、正直M6のほうは高いと思ってしまいます。V10というトピックスを踏まえても、このプライスを満たしてくれるだけのドライヴィング・プレジャーがあるかどうか?微妙なところです。少なくと僕の場合はM6という選択肢はないと思います。もしGT3を除いて1,500万円という対価に見合った買い物をしようと思うなら、僕の場合は「Aston Martin V8 Vantage」を選ぶと思います。M6と同じ、プレミアムGTと呼んで差し支えないクルマで、ルックスは好みが分かれるかもしれませんが僕はVantageを選ぶでしょう。結論を言うと僕の選択肢はGT3です。本当のところはキッチリ乗って評価したいところですが、スペックに基づいた予想できる範囲内でのシミュレーションでした。人気blogランキングへ
August 24, 2006
コメント(4)
かつて70年代、ヨーロッパのツーリング・カー選手権を席巻しタイトル争いを繰り広げた両雄、ポルシェ911とBMW 3.0CSL。その後、911は連綿とそのアイデンティティを受け継ぎましたが、3.0CSLの直系となる6シリーズは一時カタログ・モデルから削除され、ライヴァル関係は終焉を迎えたのです。それぞれに違ったスタンスやスタイルのファンがいて両雄相容れずの感が強いポルシェ・カレラとBMWクーペですが最近になって少しばかり状況が変わり、宿命の対決が再燃しそうな気配が濃厚なのです。5シリーズの頂点に位置するM GmbH製E60のM5に搭載される90度V10、5リットル・エンジンを載せたM GmbH製のE63、M6がリリースされました。こうなってくると、911 VS M6の宿敵としての構図が盛り上がって来ます。M6は大排気量のマルチ・シリンダーNAという生粋の高回転型(市販車レヴェルでの)ユニットですので、911でもターボではなく、同じNAのGT3が直接的なライヴァルとなるでしょう。この2台、価格もお互いを強く意識したのかPORSCHE 911 GT3が1,575万円、BMW M6が1,560万円と僅か15万円の差でしかありません。このレヴェルのクルマを購入するときに15万円の差を気にする人はいないでしょうから、プライスの面でもがっぷり四つに組んだ争いです。M GmbHの前身Motorsport GmbHはF1のエンジンやツーリング・カーはもとより、ルマン用のプロトやマクラーレンF1などの高級スポーツカー用のエンジンまで手がけるディヴィジョンで、例えて言えばトヨタのTRD、ニッサンのニスモのような存在です。そんなワークス・ディヴィジョンが仕立てたM6。僕も乗ったことは無いのでいい加減なことは書けませんが、507ps/7750r.p.m、53kg-m/6100r.p.mというスペックを持つV10ユニットは前述したようにM5と同一のものですが、若干ファイナル・セッティングが違うようです。しかしながら、パワー・ユニットと車輌質量を考慮するとハイパワーGTといった味付けで、少なくともスポーツカーでは無さそうです。当然4ドア・セダンのM5と2ドア・クーペのM6とではクルマ作りそのものが違うはずですから、キャラクターからいってM6のほうが攻め込んで作られていることは間違いないでしょう。BMWのクルマ全てに言えることですが、彼らはエンジンやシャシを始めとするサウンドやヴァイヴレーションなどのセッティングが非常に上手く、この点に関しては下手なスポーツ・カー・メーカー顔負けです。しかもマルチ・シリンダーのレシプロ・エンジンともなれば航空機のエンジンを手がけていたBMWの十八番でもあります。一方、NA(自然吸気)3,600ccボクサー・エンジンを搭載するポルシェ911GT3は最大出力415ps/7,600r.p.m、最大トルク41.3kg-m/5,500r.p.m.と、全てのスペックでM6に譲ります。エンジンのパフォーマンスに関して言えばM6はかなり期待できると思いますが、やはり走りそのものを連想したとき、その質量を踏まえると「重そうだ」という印象は拭えません。これでもルーフ・パネルをCFRPに置き換えるなどして軽量化に努めたようですが、いかんせんラグジュアリー・カーですから徹底的なリデューシングは施されていませんので、このサイズを考えると頑張ってはいますが重量は1,710kgあります。ちなみに同じエンジンを積むM5は1,830kgで120kgも重いのですが、ドアが4枚あることを考えるとM5のほうが頑張って軽量化しているように思えるのは僕だけでしょうか?気になるのはライヴァルGT3のウェイトですが、ここではやはりGT専用メーカー「ポルシェ」の面目躍如といったところでしょうか。彼らはGT3のウェイトを1,395kg!!と、アスリート・クラスのウェイトまではいきませんがスポーツマン・クラスのウェイトまでシェイプすることに成功しています。ま、この点を比べただけでもこの2台の性格や素性はハッキリと見えてきます。「ハンドリング・マシンのポルシェ911GT3」と「パワー・アウトプット・マシンM6」といったところでしょう。恐らく、M6はこの重量にして、この馬力だとかなりタイア依存度の高いクルマになっていると思います。M6が装着するタイアはピレリP-ZEROコルサ。サイズはフロント255/40ZR19、リア285/30ZR19と実はM5と全く同じ組み合わせです。この辺りが僕にはかなり気になるところです。M6も高級車の例に漏れず、電子制御ディヴァイスがふんだんに盛り込まれていますから簡単にクルマを潰してしまうようなことはないと思いますが、注意は必要でしょう。さてポルシェ911GT3はどうでしょう?タイアは専用仕様のミシュラン「パイロット・スポーツ・カップ」を履き、フロント235/35ZR19、リア305/30ZR19と前後の偏平率を変えている手法はM6と同様ですが、よりファットなサイズを装着しています。どちらも怪物としての資質はバッチリのようです。さすが高速長距離移動が日常茶飯事行われているお国柄と言えます。次回は両車に装備された電制ディヴァイスなどを考慮しながら、メーカー公称データを元に検証します。可能であれば、アウトバーンでこの2台のステアリングを握ってみたいものです。おにぶーさんもそう思いませんか?人気blogランキングへ
August 23, 2006
コメント(0)
最近といってもかなり立ちますが、この問題に僕は久方ぶりに憤慨している。僕自身、憤慨に至るほどのことは滅多にないのですが、この事件にはかなり憤慨してます。兵器転用が可能なラジコン・ヘリを中国に輸出しようとしてヤマハ発動機が捜索され、静岡県警と福岡県警が動いている問題です。中国は日本を仮想敵国としているにもかかわらず、そういった国に対して軍事利用転用が可能な高性能小型ラジコン・ヘリを輸出しようというのはどういう考え方に基づくものなのでしょう?「軍事転用できるという認識はなかった」とエンドレス・テープのように責任逃れをしていますが、そこまで想定できないような技術者しかいないのなら、そんな危険なものを作ることは任せられませんから止めていただいて結構です、ということになりませんか?それって、明らかに「恥の上塗り」ですよ?自分たちの技術が盗まれ、それをコピーされてそのマーケットでは競争力を持てなくなる可能性だって否定できません。あの国はどんな商品も海賊版やコピー品の天国ですから。日本人の危機管理、危機意識というのはいったいどこへ行ってしまったんでしょうか?こんなちっぽけな島国の人間だからこそ考えなければならない重要案件だと思うのですが、ヤマハの人たちにはそれが大いに欠落していたのでしょう。自分たちがどんなものを作っていて、それはどういった危険な側面をも持ち合わせているのか良く考えていただきたい。それが判断できない人間に、それを作る資格も、販売する権利もない。「売れれば良い」という考え方なら、それはやがて自分自身の首を絞めることにしかならないでしょう。ヤマハは自分たちの認識の甘さを十分反省して国民にしっかりと謝罪すべきです。
August 6, 2006
コメント(3)
ブルー・ヴィクトリーとトライデントFerrari ENZOをベースとするMaserati MC12がデヴューしたのは2004年3月のジュネーヴ・ショウでの出来事でした。このMC12はレース界から離れているマセラティ社再興を目的とし、勝つためのGTマシンを製作したことが始まりでした。挑戦的で堂々としたシルエットからもそれは見てとれます。マセラティのフラッグシップがもつエレガントさはそこには無く、マッシヴでソリッドな、いかにも走りそうな戦闘的フォルムを持つコンペティション・モデルとしての存在感。それは見せ掛けではなく、2004年9月のデヴュー2戦目には初優勝し、昨シーズンは安定した戦いぶりを発揮してコンストラクターズ・チャンピオンを獲得しました。ところがMC12のベースとなったENZOは昨年サーキット専用仕様のエヴォリューション・モデル「FXX」をリリースし、共にコンペティツィオーネとしての資質を十分に見せ付けたのでした。ところが「トライデント」は新たなるコンペティツィオーネをリリースしました。その名も「Maserati MC12 Corsa」。ルックス的には大きな変更点は確認できません。しかし、元々630psを発揮する6,000ccのV12エンジンは排気量を変えずに755psまでスープ・アップされ、より高回転化されているようです。また、重量も「Super GT」を走るGT500マシンと同程度の1,150kgまでダイエットされています。理想は1,100kgを若干切るぐらいが理想ですが、製造コストやメンテナンス性などとのバランスを考慮した結果かもしれません。このディテールを見ても解りますがFIA-GT選手権で活躍しているMC12コンペティツィオーネがMC12 Corsaのベースとなっていることは疑いようがありません。現在もFIA-GT選手権で最強マシンの名を欲しいままにしているMC12の最終進化系MC12 CorsaはなんとMC12に因んでか僅か12台のみ。プロトタイプの3台を含めてもたった15台しかリリースされません。FXXが29台販売されたことを考えると、理解に苦しむほどの少量生産なのです。採算度外視なのかも知れませんし、FXXのようなサーヴィス・パックをつけることも考えての判断かもしませんが、12台はあっという間に完売してしまうのではないでしょうか?もっとも、サーキット以外は向かないマシンではありますが・・日本での販売価格は1億5000万円前後とのこと・・・買えるものなら買いたいものですが不可能です。絶対に無理です。どうあがいても、騒いでも、ごねても、無理なものは無理です・・ひと目見るだけでも叶いませんでしょうか?コーンズ&カンパニー・リミテッド様・・・人気blogランキングへ
August 2, 2006
コメント(4)
67年のデイトナ24時間レースでフェラーリ330P4が3台の隊列を組んで1-2-3フィニッシュを飾った記録は今なお語り継がれ、受け継がれています。この年は330P4はコンストラクターズ・タイトルを獲得し、更に自動車エンジニアリング史上最も美しく合理性の高いデザインと謳われ、いまなお根強いファンがいることでも知られています。そんなレーシング・スポーツが蘇ったのです。ま、これは昨夜の記事でも書いたのですが思ったよりも反響がよく、アクセスもいつもよりは多かったのでいい気になって第2弾を実施する運びとなりました。まず、ここで明らかにしておきたいことがあります。フェラーリF40やF50はスーパー・スポーツですが330P4は断じてスーパー・スポーツではありません。強いて言うなら「レーシング・スポーツ」です。しかしながら、現代においてこのジャンルに相当するコンセプトのクルマを探し出そうとしても、どれもこれも少しばかり符合しない点があるようにも思えます。もちろん何台か似たような生い立ちを持つ同一カテゴリーの生産車がありますが、そういった少量生産車の中にしかこのジャンルのクルマがないのは少しばかり残念です。そんな時にENZOが登場し、ENZOをベースにマセラティがMC12を送り出し、更にフェラーリはFXXに昇華させ、同じようにマセラティはMC12コルサを送り出し、スーパー・スポーツ再興に向けてイタリアは必死だな~という感じでした。MC12なんかは良い線行ってますが、でも、どこか違うんですよね・・単なるノスタルジーかな?とも思うのですがなんとなく違うんですよ。何故だかしっくりこない。古きものからの脱却?成長し続けることこそスポーツカー・メーカーの使命?確かに素晴らしいのだけれど、ハートを直撃されるほどのインパクトが脱落してたんですよ。ここのところ・・ブガッティEB110Sは結構インパクトがありましたが、あれ以来魅力を感じるクルマが少なかったことは事実でした。そこに起死回生の、会心の一撃ですよ。僕はしばし圧倒され、絶句しました。「こんなのP4じゃない」なんていう人がいたら僕は言いたい。「キミたちはこのイコノグラフィにメッセージを感じないのですか?」と。単なるレプリカや似てるだけのクルマにしなかったピニンファリナ恐るべし、ですよ。しかも単なるお遊びグルマにしないために風洞まで使って仕上げていった心意気はイタリア最高峰のカロッツェリアならではでしょう。パフォーマンスでもENZOの上を行くようですが、これも担当したピニンファリナのスタッフたちはフェラーリ330P4は「レーシング・スポーツ」だから、という考え方が根底にあったからこそだと思います。現代に蘇った、たった一台のP4/5はあらたな時代のレーシング・スポーツの在り方を直接的にでも間接的にでも教えてくれるのではないか?僕はそんな気がしています。人気blogランキングへ
August 1, 2006
コメント(0)
1965年、スポーツカー選手権に勝利するために製作されたスポーツプロトタイプ「330P4」。このモデルは67年にスポーツカー選手権を獲得するためにフェラーリが製作しました。ル・マン24時間ではライヴァルであるフォードに敗れて2位に終わったものの、67年のシリーズ・タイトルを獲得しました。今でこそF40やF50、さらにはENZOやFXXといったスーパー・スポーツがフェラーリのフラッグシップとして認知されていますが、このP4は後のフェラーリのデザインを大きく導くことになるシンボリック・モデル、シンボリック・デザインとして君臨することになります。そのP4を現代のテクノロジーで蘇らせたフェラーリ・フリークの方がいらっしゃいます。ジェームズ・グリッケンハウス氏。この名前を聞いて映画監督だとすぐに閃いたアナタは凄いです。この方がピニンファリナに製作を依頼したのですが、さすがピニンファリナやることが違います。レンダリングしたモデルをさらに風洞で実験し本格的に開発し、そのままショウに出品しても良いぐらいの出来。しかも、P4/5ピニンファリナのベースになっているのは新車のENZO。ジェームズ・グリッケンハウス氏が直々に探し出してピニンファリナ工房に持ち込んで1台製作されたのだそうです。V12エンジンやトランスミッションに変更は無いものの、ENZOから更なる軽量化が施され重量は1,200kg。ホイール・ベースはオリジナルのENZOと同様ですがタイア・サイズは大径化し前後20インチのホイールを装着しています。(国産車では20インチなんてありえませんね)また、ENZOよりもかなり低く設定された全高や、よりスタイリッシュに仕上げられたボディラインによりCd値が向上したことによって0-100km/hも最高速もENZOを凌ぐ数値を叩き出しているそうです。ただし、残念なのはこの「Ferrari P4/5 Pininfarina」は正式モデルではなく個人顧客のオーダーによるモデルということでデザイナーは発表されていません。うわさではマセラティ・バードケージ75をデザインしたジェイソン・カストリオータとされていますが、この辺りの正確な情報はありません。しかしながらハッキリしているのは、近年フェラーリのデザインは躍動的ではあっても艶やかさが希薄で、官能的ではあってもノーブルな佇まいは色褪せて行く傾向にありました。ところがいかがでしょう?この容姿端麗かつノーブルな佇まいを持ちながら、ソリッド感に満ちた戦闘的なフォルムは・・FXXとは明らかに路線を異にしていますが、こちらも艶やかさは捨てがたいものがあります。FXXはかなり男性的ですが、Ferrari P4/5 Pininfarinaからは貴婦人的なオーラを感じます。僕的には撃墜されました。このご婦人に。久方ぶりにハートを鷲づかみされてしまいました。人気blogランキングへ
August 1, 2006
コメント(4)
いや~また凄いクルマがポルシェからリリースされるようです。フルバケ標準でノーマルのGT3から20kgも軽量化されてるんだとか・・ビックリです。一度乗ってみたいものです。PORSCHE 911 GT3 RS。ただ、乗ってみたいという興味はあるんですが、昔のように「欲しい」とは思わなくなってしまったんですよね~何故だか解りませんが・・今日も天気悪いです。雨が降りそうな気配ですね。
July 6, 2006
コメント(0)
第3話「何かを犠牲にするぐらいじゃなければスポーツ・カーじゃない」という論調が昔はありました。現代においてこんな論調を展開すれば矢面に立たされることになるのは必至です。そんな時代はもう終わりを告げようとしています。何かを犠牲にしなければスポーツできない時代はもう終わりました。美学や哲学でスポーツを語る時代は終わり、21世紀は美意識の時代です。各々の美意識に基づいた、100人いれば100通りのスポーツがある時代に、100台中1台しかスポーツ・カーが無いという時代は不自然です。ルックスでアピールするスポーツ・カー。パフォーマンス絶対主義のスポーツ・カー。意のままに操る楽しみを分かち合えるスポーツ・カー。種類は様々です。僕個人の主観で言わせていただけるならスポーツ・カーとは「人間が全ての能力を傾けて意のままに操る楽しみと苦しみを分かち合うことの出来る存在」であると断言します。そして現在、国産車の中でこの条件を満たしてくれるクルマは数えるほどしかありません。しかも、現行モデルが存在している生産中の車種となればさらに限定されます。AP1(S2000、現行モデルはAP2)とGD型IMPREZAは間違いなくその中に挙げられるクルマです。スポーツ・カーがこれからの時代に生き残って行くためにこの2台には今後も頑張って欲しいと思います。「Miss K」のIMPREZAと「Miss Y」のAP1のバトルは今後も続いていくでしょう。あの二人の競争心にも注目しておきます。
June 22, 2006
コメント(1)
全35件 (35件中 1-35件目)
1