Fastest Lap

Fastest Lap

February 13, 2007
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カテゴリ: Engineering
 11日にこの記事の第1話を僕が投稿してから、昨日12日に産経新聞において僕が書こうとしていた内容と重複する記事が一部ありましたので、若干変更を加えて第2話と第3話を掲載します。
 エルニーニョとカー・エンジニアリングの第2弾です。
 「kei56k」さんからの書き込みにもありましたが、今ラリー・シーンやレース・シーンは大きな転換点を迫られていると思います。本質的な部分に目を向ければ、20,000回転も回るエンジンの回転数制限だとか、1ユニット2レース使用だとか、コントロール・タイアがどうだのこうだの言ってる場合ではありません。
 今年のリスボア=ダカール・ラリーでは連覇を狙う三菱勢がVWのレース・トゥアレグを相手に大苦戦を強いられましたが、これも詰まるところエンジン形式による優位性であったような気がします。最終的には信頼性の部分に一日の長があったミツビシが連覇を達成しましたが来季への危機感は本人たちが最も感じているはずです。
 昨今のレース・フィールドではディーゼル・ターボが猛威を振るっています。この流れはルマン24時間レースで圧倒的な速さで勝利したアウディからで、今年は同じエンジン形式でフランスのプジョーが打倒アウディを目指して参入して来ます。ヨーロッパで省燃費リーン・バーン・ディーゼルの先駆者的なプジョーですから同じく新世代ディーゼルで高い技術力を持つフォルクス・ワーゲン・アウディの牙城を崩せるのかどうかも見ものです。
 リーン・バーンを含めた新世代ディーゼル・ターボというパッケージングが本物のレーシング・エンジンとなりうるのか?という議論をするにはもっと難しいテーマを並べなければならないのでここでは割愛します。要約すれば環境への影響を度外視した最高のパワー・ユニットを求めるのであればF1のような高回転型NAエンジン。環境への問題も配慮しつつある程度のパフォーマンスも維持するのであればディーゼル・ターボという選択になります。無論、これはあくまでも今の段階での話でしかありません。
 しかしながら、化石系の燃料を燃焼し動力を得るという形式はどちらも変わりませんし、厳密に比較すると差は出てくるものの窒素系化合物や炭素系化合物の排出量もともにゼロにできるわけではないのでどちらも真の意味で環境適応力が高いとは言えません。
 昨年9月、ホンダがRITE(地球環境産業技術研究機構)が共同で開発に成功したと発表したバイオ・エタノールは植物の食用としては使用できないセルロースを使ってガソリンの代替燃料を作るというものですが、これも燃焼してエネルギーに置換していることは事実なのでこれによって起こりうる問題の研究がされつくされなければ手放しで喜べるわけではありません。
 ではトヨタが世界に先駆けて送り出したハイブリッドはどうでしょう?これは化石系の燃料の消費を抑えるという面において革新的な部分も含んでいますが、これも化石系燃料の使用を断ち切れるほどの先進的なものではありません。

 さらにトヨタはリスボア=ダカール・ラリーにナタネを原料にしたバイオ燃料で走るランドクルーザーを走らせ全日程を完走させましたし、この車体の一部には植物由来のマテリアルを使っていて将来的には車体そのものを植物由来マテリアルで作るという構想もあるようです。
 ま、そんなこともあって、僕は本当のアドヴァンスド・カーを作り上げる大役をトヨタに託したのです。
 さてディーゼル・ターボとNA(自然吸気)エンジンに話題を戻しましょう。
 実はディーゼル・ターボだけでなく、通常のレシプロ・エンジン+ターボの組み合わせでも高回転型のNAエンジンから比べればレーシング・ユニットとしては熱交換効率が高いのです。
 今、「えっ?」と思った方々がほとんどだと思いますが、一般車の領域ではこの問題は解り難いのです。市販車と呼ばれる公道を走るクルマは乗りやすさや安全性、耐久性などを考慮してエンジン回転の上限を制御するためのフェイル・セイフであるリミッターが装着されています。これによって回転数が制限されている他、耐用年数などの関係からそのエンジンが引き出せる限界ギリギリの性能ではなく余裕のある領域をデチューンして使っていますので、どこまで回せるか、どこまで使えるのかが解りにくいのが現状です。
 そのため一般車ではNAエンジンもターボ・エンジンも常用回転域が重なるためターボの方が放熱が悪いと思われがちです。

第3話は明日掲載します。





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Last updated  February 13, 2007 08:25:42 PM
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