Fastest Lap

Fastest Lap

November 23, 2007
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カテゴリ: Super GT
 「タイアとシャシのマッチングは無視できない」。
 僕は昨年から言い続けてきました。現状では偶然そのタイアのコンストラクションにマッチしたシャシ&エンジンのパッケージングでなければ競争力を持ちません。
 しかし、一方でこういうマシンが作れたとしても誰が乗っても勝てるかといえばそれも違います。今季のスーパーGTのNSXが良い例です。#8とそれ以外のNSXには明確な径庭がありました。それこそがドライヴァーのみが引き出せるマシンのゾーンといえるかも知れません。
 この点に関しても昨年から書いていますので今更同じことを書くつもりはありません。
 いずれにせよエンジンの出力やドライヴァーの技量だけに頼って勝てるほど現状は甘くありません。F1においてはホンダやBMWはかなり高い出力をマークしていますがフェラーリ、マクラーレンと渡り合えていません。
 FNでも出力でホンダが勝っているにも関わらず2期連続でタイトルをトヨタ・エンジンに奪われています。これを見ても解るようにパワーを一滴漏らさず使い切るシャシとタイアのパッケージングこそがタイトルに近づくための必要十分条件でしょう。
 スーパーGTで言うならNSXはこの部分を鍛え上げたためにどんなコースにもアジャストできる懐を備えたと言うことができます。
 話をマカオに戻すと、今回マカオを走ったドライヴァーの中で全日本F3に参戦していたオリヴァー・ジャーヴィス、大嶋和也、塚越広大、ロベルト・ストレイト、伊沢拓也の5人を除いてユーロやイギリスF3出身のドライヴァーで現状のF1やFNで即戦力として結果が望めるドライヴァーがどのくらいいるかと言えば難しいでしょうね。習熟期間半年から1年かけてアジャストできる順応性があるかないか、といったところでしょう。
 また全日本出身のこの5人がどのくらいやれるかといえばそれも微妙です。力不足という意味ではなくFNの場合はまず操縦系統を扱うための筋力が不十分ですし、F1には時期尚早です。

 リザルトだけを見て勝った負けたというだけなら13位ですが、ロメインと全く同じマシンを用意できない(用意しようとしない)ASMで最後尾スタートから13位フィニッシュという結果を残せただけでも十分進歩しています。彼はそれなりに力があるFNやGP2のティームからエントリーすれば十分に通用するレヴェルになっています。ただし、FNの場合は操作系の重さが半端ではないので、彼の場合も操縦系に耐えうる筋力のレヴェル・アップが必要となるかもしれません。FNではF1マシン以上に身体を作る必要があります。
 おそらく彼自身はヨーロッパにこだわるかも知れませんが、現時点の自身の技量を正確に判定する上できちんとしたマシンを用意してくれるティームで走るべきです。
 最後に不本意な結果に終わった今シーズンのFN。こういう結果がファン離れを加速させてしまうことをFNのプロモーターの方々は肝に銘じておく必要があります。F1の燃料温度問題に関してもそうですが、つまらない勘違いや認識の甘さなどが無情な結果を往々にして招いてしまうことがあります。
 スキッドブロックの計測ポイントで1箇所だけ規定値に届かなかったそうで小暮君は本当に残念ですが車検に適合しなかったのですから止むをえません。一方F1はキミ・ライコネンからチャンピオンを取り上げるのは可愛そうだという温情だけでBMWザウバーとウィリムズを失格にしませんでした。茶番もはなはだしい判断です。違反があれば断罪する。これをせずに成立してしまうスポーツになったらどこかの誰かさんが言ったようにF1はもうスポーツではありません。ドーピングした選手を失格にしなかったようなものですから。
 スキッドブロックの計測ポイントで1箇所だけ規定値に届かなかったというよりも燃料の温度違反は確信犯的重罪です。ピーク・パワーにはそれほど影響しませんが燃焼効率には関わるのでこの違反を罰しないのは主催者側の良識を疑わざるをえません。フェラーリのチャンピオン争いが絡んでいなければ明らかに失格になる案件です。結果的にフェラーリの不利益になる裁定は下さなかったということでしょうね。
 ま、これはスポーツというよりも政治的駆け引きが重視されるF1での世界でのお話。FNだけはそんなくだらない政争にまみれてほしくはないものです。だからこそこんな結果は見たくはありません。
 Nakajima Racingの田坂エンジニアはリアに2mmパッカーを装着しておけば良かったと言っていたそうですがこれはエンジニアだけの責任ではありません。スキッドブロックを装着するというレギュレーションそのものに問題があるのです。
 モノコックそのものの下部にスキッドブロック同様の働きを持つチャンネルを最初からモノコックと一体成型で製造し、この部分に大幅な磨耗や欠損がなければ車検はOKというシステムにすべきです。スキッドブロックの厚みを計測するシステムが失格裁定を下すためのものではなく、純粋にコーナリング・スピードを押さえ込むためのものとすればシャシと一体化してしまえば良いはずです。
 少なくとも観客もFNのドライヴァーも誰が最もチャンピオンに相応しいか解っています。これを見ていた子供たちも小暮君が最も速くてカッコよかったと解っているでしょう。車検は悪質な違反を取り締まるためのものであり、誰よりも速く走ったドライヴァーの夢を挫くものであってはなりません。これは日本のモータースポーツの将来を担っていく子供たちの夢までをも挫く結果になってしまうからです。
 コーナリング・スピードを抑制するという錦の御旗にも近い言葉の影にレース・エンジニアに必要以上の難しさを与えるばかりか、本来の車検のあるべき姿を失ってしまっている現状は実に憂慮すべき内容です。
 FNの問題点に関してはこれだけではありませんがグレー・ゾーンをなくすための明快なレギュレーションと車検システムを確立してほしいものです。そうでなければファン離れを助長することこそあれファンの拡大はままなりません。










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Last updated  November 23, 2007 11:59:12 PM
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