Fastest Lap

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May 3, 2010
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カテゴリ: Super GT
今日は久しぶりにシューティング・レンジに出かけますのでこんな時間に更新です。

“ラブFN”さんからいただいたコメントへの返信というか、さらに突っこんだ内容の更新です。

ホンダが今季から投入したHSV-010GTの出現でスーパーGTは風雲急を告げる事態となりました。
もっぱら開幕前はエンジンの統一化によるイコール・コンディションでの戦いが大いに注目され“ここ”にばかり誰もかもが視線を向けていましたが、蓋を開けてみればやはり僕にとっては予想通り。
FNの戦いで新型エンジンの生みの苦しみを味わっているホンダ、トヨタのようなわけには行かないニッサン勢の苦戦。
とはいえこれはニッサンにとっても最初から想定内にあること。
FNに参戦していないニッサン勢がこれからどんなカタチでホンダ、トヨタを追撃するのか非常に楽しみです。
開幕戦、天候に翻弄されたライヴァルたちのミスで手繰り寄せることができた#24の勝利にはラッキーストライクの香りが漂っています。
今回の第3戦富士を見る限り、今季のニッサン勢はエンジン云々とかマシンの熟成などコンペティティヴな論点視点にスポットを当てる以前に落ち着いたレースができていないし、レース・ウィーク中すべてが空回りしているように見えます。

今季のスーパーGTはトヨタ系5ティーム。ホンダ系5ティーム。ニッサン系は昨季よりも減って3ティームに減少していますが、FIA-GT参戦のせいもあって中心となるNISMOティームのタイアをミシュランに変えたことが今季低迷の一端となってしまっているのは間違いありません。
今のスーパーGTではタイア・メーカー変更直後から結果を出せるほど甘いカテゴリーでないことはサーキットに足を運んで観ている多くのファンが一番良く知っているからです。
もう一つありますが、この問題は一番難しくニッサン勢が抱えるアキレス腱と言ってもいいかもしれません。スーパーGTは関係者やドライヴァーから「ハコのフォーミュラ」と形容されるカテゴリーです。しかしながら、技術的な観点から言えばハコのマシンがオープンホィールのフォーミュラとクロスオーヴァーすることは決してなく、限りなく近づくことはあっても交わったり重なることはないのです。
それでも「ハコのフォーミュラ」の形容がなくならないのは、テクニック、すなわちドライヴィング・テクニックやスキルにおいてはフォーミュラとほぼ同等のものが要求されるからに他ならないからです。
ここに視点を向けると今季のスーパーGTの勢力図がはっきりと見えてきます。
現在のポイント・ランキング順に各ティームのドライヴァーを並べてみます。

#1 脇坂寿一       TOYOTA
   アンドレ・ロッテラー 
#6 伊藤大輔       TOYOTA
   ビヨン・ビルドハイム
#35 石浦宏明       TOYOTA

#38 立川祐路       TOYOTA
   リチャード・ライアン
#18 小暮卓史       HONDA
   ロイック・デュヴァル
#24 JP・オリベイラ   NISSAN

#100 伊沢拓也       HONDA
   山本尚貴
#17 金石年弘       HONDA
   塚越広大
#12 松田次生       NISSAN
   ロニー・クインタレリ
#39 アンドレ・クート   TOYOTA
   平手晃平
#8 ラルフ・ファーマン  HONDA
   井出有治
#23 本山哲        NISSAN
   ブノワ・トレルイエ
#32 道上龍        HONDA
   中山友貴

第3戦終了時点でのランキング順に並べ、このデータに今季のフォーミュラニッポンでのシートデータを加えて列記すると下記の表のようになります。

スーパーGT        メーカー     FN ティーム  Egサプライアー
#1 脇坂寿一       TOYOTA   シートなし
   アンドレ・ロッテラー TOYOTA   #36 TOM’S   TOYOTA
#6 伊藤大輔       TOYOTA   シートなし
   ビヨン・ビルドハイム TOYOTA   シートなし
#35 石浦宏明       TOYOTA   #8 LeMans   TOYOTA
   大嶋和也       TOYOTA   #37 TOM’S   TOYOTA
#38 立川祐路       TOYOTA   シートなし
   リチャード・ライアン TOYOTA   シートなし
#18 小暮卓史       HONDA    #32 Nakajima  HONDA
   ロイック・デュヴァル HONDA    #1 Dandelion  HONDA
#24 JP・オリベイラ   NISSAN   #19 IMPUL   TOYOTA
   安田裕信       NISSAN   シートなし
#100伊沢拓也       HONDA    #2 Dandelion  HONDA
   山本尚貴       HONDA    #31 Nakajima  HONDA
#17 金石年弘       HONDA    シートなし
   塚越広大       HONDA    #10 HFDP   HONDA
#12 松田次生       NISSAN   シートなし
   ロニー・クインタレリ NISSAN   シートなし
#39 アンドレ・クート   TOYOTA   シートなし
   平手晃平       TOYOTA   #19 IMPUL   TOYOTA
#8 ラルフ・ファーマン  HONDA    シートなし
   井出有治       HONDA    #16 無限     HONDA
#23 本山哲        NISSAN   シートなし
   ブノワ・トレルイエ  NISSAN   シートなし
#32 道上龍        HONDA    シートなし
   中山友貴       HONDA    シートなし

ニッサン勢のFNでのシート獲得率が低いことに気づかれるでしょう。スーパーGTでニッサンをドライヴしていてFNでシートを獲得しているのはJPだけで、他の5名はFNでのシートがありません。
ここにサプライアーの意志が全く介在していないと言い切れるでしょうか?JPが獲得したIMPULのシートも本来ならウィリアムズのシートを喪失した中嶋が乗る可能性が大きかったはずです。サプライアーとて、今では単なるサプライアーではありません。トヨタも供給するからには条件を出す。そのくらいの意志が介在しても不思議はありません。
スーパーGTでのニッサン勢は3ティーム(NISMO、IMPUL、KONDO)すべてのエントラントがまったく違うメーカー(ミシュラン、ブリヂストン、ヨコハマ)のタイアを履き、FNで試せない新しいエンジンを使い、さらにFNを走っているドライヴァーがいないのでフィードバックが充分に得られないというトリレンマに陥っています。
不景気の影響はこういう部分に影響を及ぼします。ティームがティームの意思だけでシリーズを戦い動かすことが出来なくなっていきます。
FNで走っているドライヴァーを抱えていないからスーパーGTのチャンピオンは獲れない・・という意味ではありません。むしろGT純粋培養のドライヴァーのほうが際立った速さを見せることもあります。
しかし、FNと共通のパワーユニットに変更するというレギュレーションに変更された時点でこういう傾向が現出するであろうことは解っていたのです。
僕はニッサンがFIA-GTにGT-Rをエントリーさせる決断を下したのはこのことと無縁ではないような気がしています。
FNにエンジンを供給していないニッサンはGT-Rという最強のハコを有効活用し、ハコそのもの、あるいはパワーユニットそのもののポテンシャルが勝敗を分けるFIA-GTで技術力をアピールしようと思っているはずです。
例えばレクサスがリリースするハイエンド・フラッグシップ・スポーツLF-AはスーパーGTに参戦するよりもV10というパワーユニットのポテンシャルを最大限有効活用することを考えればV8にヴァージョンダウンしなければならないスーパーGTに参戦するより、V10のままエントリーできるFIA-GTにエントリーするほうが適切です。
発売前にニュルでのレースにエントリーしていることからもLF-AがFIA-GTへのエントリーを模索していることは間違いないはずで、ニッサンとしてはそれまでにFIA-GTでなんらかの結果を出したいはずです。

レース界は今、激動の時代に翻弄されています。自動車メーカーも同様です。
特に海外でのレース活動はかなり過酷です。このままでは日本のメーカーと彼らの技術力と頭脳のほとんどは中国や韓国などの特定の企業に買いまくられる危険性さえも出てきます。新車の発表や販売業績に一喜一憂している場合ではありません。水面下ではもっと危険な状態になっています。
日本人一人ひとりがそれを強く自覚する必要がありますし、今、政権を握っているおバカな政党がさらに日本を弱体化させる可能性も無視できません。
来年、再来年、僕が今憂慮していることが現実のものとして日本や日本企業を脅かしていないことを祈るばかりです。


*急いで更新したので一覧表が見難くなっておりますがご了承下さい。
それではみなさん良い休日を。





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Last updated  May 4, 2010 04:39:47 AM
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