森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2021.03.05
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森田先生のお話です。

とらわれたときはとらわれになりきればよいのです。
悲しみは悲しみのまま、苦しみは苦しみのままであるよりほかに仕方がないように、とらわれはとらわれるより仕方がありません。
なおここでいうとらわれとは、広く言えば「注意の集中」であり、狭く言えば「注意の固着」であります。(自覚と悟りへの道 74ページ)

ところが別のところではこうも言われています。
とらわれがなくなれば、神経症は全治する。
とらわれを離れれば非常に便利で、生活が自由自在になります。
(森田全集第5巻 240ページ)

「とらわれ」については、すっきりと整理しておく必要があると考えています。

このことを別の言葉でいえば、何かに「とらわれている」と言ってもよいと思います。
この瞬間はとらわれるしかありません。

とらわれたときは、大いにとらわれるほうがよいのです。
大いにとらわれると、また新たな感情が発生することもあります。
気づきや発見もあります。興味や関心も生まれてきます。
アイデアや工夫も生まれてきます。

逆に言うと他のことを考えながら上の空でとらわれていると、そのようなものは生まれてきません。これが森田先生の言われている、とらわれる時はとらわれ尽くせということだと思っています。

しかし、同じことに、ずっととらわれていると大変なことになります。
神経症の場合は、不安や恐怖、違和感、不快感にずっととらわれてしまう。
目の前にとらわれる対象が現れても、それに対しては蚊帳の外になる。
自分が気になっているとらわれから離れられなくなるということになります。


私たちが生活していると時間の経過があります。
時間の経過とともに頭の中に湧き上がってくる感情はどんどん変化しています。
また目にするもの、自然や周囲の状況も、絶えず変化流動し消長しています。
その変化に対してきちんと対応はされていますか。
ここが肝心なところです。変化流動という自然現象を見逃してはいけない。

明鏡には及ばない、ただの鏡でよいが、鏡は物がくれば映り、去ればまたその影をもとどめない。そういう風に心はさらさらと流れていく。

整理すると、まずいったんは目の前のことにとらわれ尽くすことが大切だということです。
しかし、次の瞬間、時間の経過とともに、自分の感情、周囲の状況も刻々と変化しているわけですから、その変化に常にベクトルを合わせて、とらわれる対象にどんどん飛び移っていく。
変化に合わせて、変化の波に上手に乗りながら、バランスを意識して、人生を駆け抜けていくというイメージでしょうか。

この点から神経症の蟻地獄に陥っている人を見ると、対応方法に問題があるということです。
一つのことにいったんとらわれると、あまりにもそれにのめりこんでいる。
そして変化の波に気づかなくなっている。あるいは意識して無視している。
傍から見ると馬耳東風というイメージです。

とらわれたことで何とかなることでしたらすぐに対応していく。
どうにもならないことなら、後ろ髪をひかれる思いがしても、放り投げて、次のことにとらわれていく。あきらめる、きっぱりと縁を切っていくことです。

その方向で生活していけば何ら問題は発生しないはずです。
もちろんすぐに習得することはできません。
生活の発見会の集談会の仲間が協力してくれるはずです。
これが自分の生活の中で縦横無尽に応用できるようになれば、神経症は克服できます。





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Last updated  2021.03.05 06:40:43
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