bandcampのお知らせで知ったデンマークのジャズ・ピアニスト、ヤコブ・クリストファーセン(1967-)のトリオのアルバム。 トーマス・フォンネスベックが参加したトリオなので、spotifyで聞いてみたら なかなか良かったので購入した一枚。 彼はデンマークの女性ヴォーカリストのシーネ・エイとのコラボが有名らしいが、 筆者は知らなかった。 筆者はシーネ・エイのアルバムをほとんど入手しているが、サイドマンとしての彼には関心を持ったことがなかったからだ。 クリストファーセン自身のリーダアルバムは数枚しかないようで、ChatGTPによると今回のアルバムを除き5枚あるようだ。 その中にはフォンネスベックと共演した「The Song I Never Sang」 (2020)も含まれている。 ディストリビューターによるとプログラムは『内省的なバラードからエネルギッシュなファンク風のトラック、ソウルフルなブラジルのリズムまでさまざまなムードのオリジナルに、伝説のデンマークのロックバンド、ガソリン(Gasolin 1968-1978)の「Hva'gor vi nu, lille du」や「Danny Boy」の全11曲』という構成。 クリストファーセンのピアノはスイング感こそそれほど強くないが、何よりその超強力な打鍵が圧倒的な迫力を感じさせる。
ベースのフォンネスベックは豊かな音色で、いつもながらの卓越した技術を発揮している。 ドラムスおラスムス・キルバーグは力強い骨太のサウンドで、パワフルなピアノやベースに引けを取らず渡り合っている。 最初の「Bargemon」は夢見るような愛らしいメロディーが特徴のバラード。 タイトルはフランスのプロヴァンス地方にある美しい自然景観や歴史的な建物が魅力的な小さな村の名前のようだ。 可憐なメロディーなのに、ガシガシと進んでいくのはミスマッチのように感じられるが、これがうまくはまっているのが不思議だ。 タイトルチューンはカントリー風で堅牢な演奏が、まさに地に足が付いた印象を与える。 「Country」はアルバムの中では穏やかなメロディーが印象的だ。 この曲や「Bargemon」でのクリストファーセンの柔らかい感触の作曲のセンスはなかなかユニークだ。 ただしアドリブになるととたんに硬派になるところが普通のミュージシャンとは違うところだ 「Hva' gor vi nu, lille du」は原曲が爽やかなのに対し、カントリー風味の重厚な解釈がユニークだ。 エレクトリック・ピアノを弾いている「Land of Lydia」は爽やかで、スピード感にも欠けない。
もう少し軽やかにできなかっただろうか。 「Excuse My Blues」はブルースながら、明るくノリのいい曲だ。 「Armando's Blues」はチック・コリアの作品が有名だが、これはクリストファーセンのオリジナルのようだ。 凄まじいスピードで爆走する演奏が、3分半に凝縮された有無を言わせぬ圧倒的な迫力で、聴き手を圧倒する。 ラストでテンポを落として締める演出もおしゃれだ。
1. Bargemon 2. A Good Day 3. Hva' gor vi nu, lille du 4. Country 5. Long Tail Dexter 6. Land of Lydia 7. Lost in Rio 8. Excuse My Blues 9. Break of Dawn 10. Playground 11. Pardon My Friends 12. Armando's Blues 13. Danny Boy
Jacob Christoffersen (p) Thomas Fonnesbaek (b) Rasmus Kihlberg (ds)
All composed by Jacob Christoffersen (except 'Hva' gor vi nu, lille du' by Kim Larsen, and 'Danny Boy')