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【猿のごとく読み、人のごとく考える・その360・353冊目】 ・紹介する本 プライスレス 必ず得する行動経済学の法則 [ ウィリアム・パウンドストーン ] ・サノーさん一言コメント「行動経済学が明らかにする、人間の判断の矛盾。自分の意志という幻覚を知る」【サノーさんおすすめ度★★★★☆】・ウノーさん一言コメント「自分で選んでいるつもりでも、それは誰かの仕掛けに従っているだけかも知れません。仮説と検証から明らかになるのは、私たちの不合理です」【ウノーさんおすすめ度★★★★☆】 ・サノーさん、ウノーさん読書会 サノーさん(以下サ):ノーベル賞でも「常連」となった「行動経済学」のジャンルだが、その領域は広く、また挑む学者も多い。ウノーさん(以下ウ):そのなかで、いかに特異性があり、仮設と根拠とデータによって「新しい法則」を発見し証明する「競争」が展開しているわけです。サ:その結果、人間がいかに「不合理」で「あやふや」な生き物であるかが確認でき、それに対する認識と対応から、新しい「行動経済」が発生する。ウ:ブロックシステム、仮想通貨といった「新しいようでいて、古い」プロダクトも、世に出る時代となるわけです。サ:それはこの「行動経済学」の自立と重要性を醸成する。なぜなら、ベンダーや提供元は、このロジックの上で、プロダクトを組み上げるからだ。ウ:この本で言うと「アンカリング」とかですね。心理学をやっている人にはお馴染みの単語です。サ:船の錨(いかり)のように、心理的要因が留まるという傾向が、「数値」にも表れるという「現象」だ。ウ:データと根拠は、カーネマンとトベルスキーの「国連実験」です。ルーレットを回した大学生に「国連にアフリカ諸国の割合は何%か?」と質問し、その回答とルーレットで出た数字との相関性を検証した「実験」です。サ:質問の内容と全く関連しない「ルーレットの出目」が、質問の回答に見事に影響されている。ウ:つまり、なんでもいいから「直前の数値」を提示し、「期待の数値」に誘導することが可能であるということです。サ:高級ブランド店のウィンドウには、数百万から数千万の宝飾品を並べられ、店の中には数万円の財布や鞄を置かれている。ウィンドウの価格が大きければ大きいほど、財布や小物の値段を上げることができる。ウ:平均株価やダウ、為替指標も、全く同じ役割をしています。サ:アメリカの訴訟で、とてつもない額の「賠償金」を請求するのは、この「行動心理」を使用した「誘導」だとするなら、「正義」はどこにいったのか、疑いたくなる。ウ:行動経済学を知るのは、防御ともなります。都合のいい人の都合のいいロジックに乗せられてしまう前に、「仮説と検証」から導き出された「法則」を知っておくことは、とても大切なことです。【了】http://amzn.to/2EWcgPn
2018年02月28日
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【猿のごとく読み、人のごとく考える・その359・352冊目】 ・紹介する本【中古】 郵便配達夫はいつも二度ベルを鳴らす ハヤカワ文庫/ジェームズ・M.ケイン(著者),小鷹信光(訳者) 【中古】afb ・サノーさん一言コメント「破滅に向かう男女の、理由なき殺人。装飾を取り去った言葉の列に、アウトローの意味を知る」【サノーさんおすすめ度★★★★☆】・ウノーさん一言コメント「細かな描写に含まれた、伏線を楽しみます。ハードボイルドとミステリー、両方の楽しみ方ができる一冊です」【ウノーさんおすすめ度★★★★★】 ・サノーさん、ウノーさん読書会 サノーさん(以下サ):この作品は、映画が先だった。ウノーさん(以下ウ):『郵便配達は2度ベルを鳴らす』のタイトルで公開され、日本でも大ヒットでした。サ:主人公のフランクをジャック・ニコルソンが演じ、相手役のコーラはジェシカ・ラングだ。ウ:子供心に「なんだ、これ!こんなの許されるの?」と驚いたことを覚えています。サ:いま、読み返してみると、とても小学生が観る映画じゃなかったな。ウ:完全に「破滅型」ハードボイルドですよね。読み手は最初からフランクとコーラが破滅することが分かっているのに、読む手を止められません。サ:宿なし、ろくでなしの若者と、食堂のおかみさんとのロマンスから、「仕掛け」が始まる。ウ:淡々と「殺されること」になるコーラの亭主であるニックが、可哀そうでした。サ:殺人の理由、動機は、あまりにも身勝手で、自己中心的だ。ウ:でも、なぜか、それを全面的に否定できないのです。サ:「共感」ではなく、そういう「世界観」もあるかも知れないという、「好奇心」に近い感情だと思う。ウ:ミステリーとしては、計画は場当たり的だし、複雑なトリックが仕組まれているわけでもありません。サ:だが、登場人物の「クセ」や「小さな伏線」の重なりで、「傑作」の域にまで達している。ウ:映画の記憶がほとんどなかったので、新鮮な驚きをもって読めました。サ:一つだけ、内容と記憶と合致していたな。ウ:この作品に「郵便配達夫」は登場しません。遥か昔観たとき、「なんで?」「どうして?」と思ったのは、「そこ」でした。サ:読んだ直後は「殺伐」とした雰囲気が残っているから、しばらく経ってから、映画も再び観てみることにしよう。【了】http://amzn.to/2BSl0Dy
2018年02月27日
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【猿のごとく読み、人のごとく考える・その358・351冊目】 ・紹介する本 エンデの遺言 根源からお金を問うこと (講談社+α文庫) [ 河邑厚徳 ] ・サノーさん一言コメント「根源から問う、経済という妄想の本質。傑作ファンタジーに込められた真意を探る旅」【サノーさんおすすめ度★★★★★】・ウノーさん一言コメント「時間泥棒は、経済のでしょうか?お金の本質について考えることは、隠された矛盾に迫る行為でした」【ウノーさんおすすめ度★★★★★】 ・サノーさん、ウノーさん読書会 サノーさん(以下サ):『モモ』の著者、ミヒャエル・エンデによる、経済・貨幣崇拝への警鐘をまとめた書だ。ウノーさん(以下ウ):あのファンタジーに込められた「本当の意味」を探ることが、経済や「お金」の本質を考えることにつながるとは、思ってもみませんでした。サ:「モモ」に込められたメッセージとして、最初に思い浮かぶのは「時間」という「感覚」の貴重さと「儚さ」だ。ウ:そして、各々が自由に描く「幸せ」についてです。それは「心の中」で咲く「花」であり、それを咲かすのは「自分」というメッセージです。サ:だが、それは、ここで語られる「遺言」のプロローグでしかなかったわけだ。ウ:エンデさんが、経済、社会、金融、環境について、ここまで深く考え、研究し、取材していたことに、あらためて驚きました。サ:グローバル経済の「犠牲者」、ヘッジファンドの本質と格差、貨幣システムの矛盾、「お金」の果たす役割とその種類、どれも、改めて検証すると「あれ?なんか変だぞ!」と気づかされることばかりだ。ウ:特に「貨幣」と「経済活動」について、パン屋でパンを買うときの「お金」と株式取引所で扱われる資本としての「お金」、それは、本質的に異なり同一であることはあり得ないはずなのに、「貨幣」というルールにより「無理やり同化させられている」という指摘には、ドキッとさせられました。サ:労働の報酬としての「貨幣」と投資や運用における「貨幣」は、本来は別であるべき、という主張は、シルビオ・ゲゼルとルドルフ・シュタイナーの思想へとつながる。ウ:では、その矛盾を正すのか、その矛盾に沿って生きるのか、その問いかけは、私たちに深い思案をもたらしてくれます。サ:貨幣に頼らない、お金に頼らない「幸福」について、それぞれが考えるべき時がきているのだと思う。【了】http://amzn.to/2GLWovr
2018年02月26日
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【猿のごとく読み、人のごとく考える・その357・350冊目】 ・紹介する本 学問のすゝめ改版 (岩波文庫) [ 福沢諭吉 ] ・サノーさん一言コメント「自由であることの条件とはなにか。実学を伝える指導者の天道論」【サノーさんおすすめ度★★★★★】・ウノーさん一言コメント「日本近代化の目覚めは、学問の目覚めでもありました。封建制度から解き放たれる息吹を感じましょう」【ウノーさんおすすめ度★★★★★】 ・サノーさん、ウノーさん読書会 サノーさん(以下サ):「天は人の上に人を造らず」とは、素晴らしいキャッチコピーだな。ウノーさん(以下ウ):誰にでも分かりやすく、また、興味を抱かせる書き出しです。サ:良くも悪くも、明治という時代を先導した「先生」だ。ウ:後世の人は、気楽に賛否を唱えますが、実際に果たした役割、時代の変化において必要な人物であったことは間違いありません。サ:有名な書き出しのおかけで、自由平等、基本的人権の人と思いきや、さにあらず。ウ:誤解している人、多いですよね。「生まれながら貴賤の差別なく、自由自在、各々安楽にこの世を渡らしめ給ふ」と書いてあるのですから、階級や格差に対して否定しているのだと思います。サ:重要なのは「万物の霊たる身と心との働きを以って」という「人としての条件」だ。ウ:つまり、それぞれに相応しい「学問」をしないと、「身と心との働き」はなく、それに取組まなければ、せっかく「天」が与えた平等も、無駄にしてしまう、と教えてくれているのです。サ:それはもっと辛辣に、ストレートに伝えている。「人、学ばざれば智なし、知なき者は愚人なり」だ。ウ:その「学び」も「実学」を指定しています。武家の伝統教育である儒学、和学などではなく、日本語力、簿記、そろばんなどの学習の延長線上に「実業」があることが前提です。サ:そして、それらの学びは「天の道理」に即していなければならない。ウ:つまり、自制心とモラルです。その自覚こそ、新国家として生まれ変わる「日本」にとって、必要な「学問」であると「すすめ」たんですね。サ:だから、当時の状況から検証すると「異論」も出る。当時の「文字が読める知識層」には適応するが、このメッセージを読めない大多数の人々にとっては、「愚者」からの脱却は望めない話となってしまう。ウ:だからこそ、大学を開いたのだと思います。当時はまだ、新政府が生まれたばかりでメッセージを理解する人が少なかったとしても、いつかは、多くの人が学び、自由闊達に人生を楽しめる社会が来るために。サ:その「結果の未来」で「受験戦争」という「実学」ではない「学び」を子供たちが必至に追わなければならない「現象」が起きたことを知ったら、先生はどんな顔をするだろうか?【了】http://amzn.to/2EPBDSY
2018年02月25日
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【猿のごとく読み、人のごとく考える・その356・349冊目】 ・紹介する本 100円のコーラを1000円で売る方法 (中経の文庫) [ 永井孝尚 ] ・サノーさん一言コメント「価値とはなにか、価格とはなにか。軽快な小説でマーケティングの基本を学ぶ」【サノーさんおすすめ度★★★★★】・ウノーさん一言コメント「普段、気にしてない街角の景色も、実は、誰かのマーケティングの結果、生み出されたものだったとしたら。知っておくべき基礎知識を楽しく学べます」【ウノーさんおすすめ度★★★★★】 ・サノーさん、ウノーさん読書会 サノーさん(以下サ):マーケティングは、もっとも身近で、誰にでも関連するジャンルだ。ウノーさん(以下ウ):普通に、現代の世界で生きているなら、その「工夫」に触れない日はないですからね。サ:ものの価値は、購入されて初めて認められる。価格は、その価値が、購入者にとって、どれだけ「大切」であるかの意思表明に過ぎない。ウ:だから、売る人は買う人に向かって「どれだけ、あなたにとって価値があるか」を、しっかりと伝える必要があります。サ:この本のタイトルにもある「コーラ」の話しは、大学でマーケティングの授業があれば、だいたい引用される「クイズ」だな。ウ:この答えに迷うようでは、買う人に向かって「自分たちの価値」を伝えることなんて、できないかもしれません。サ:読んでいて思ったのは、やっぱり「フレームワーク」の重要性だ。ウ:物事を分解して、細かいレベルで考え、それをまた組み立てて、全体をみる。その作業を真摯に取り組めば、裏切られることはありません。サ:その前提として、この本で紹介されている、コトラーからドラッカー、ブルーオーシャン戦略、キャズム理論を押さえておけば、その作業を進める際の「軸」ができる。ウ:それを選択していきながら、「価値」を「創造」し、「顧客」を「創造」する。それが仕事の基本なのかも知れません。サ:「プライスレス」という「価値」も、忘れてはならない。ウ:それこそ、個人消費社会における「真髄」かもしれません。サ:ウチも「かけがえのない」というコピーを使用している以上、価値、価格を超えた「感動」を現実化していく必要がある。【了】http://amzn.to/2HJqPDF
2018年02月24日
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【猿のごとく読み、人のごとく考える・その355・348冊目】 ・紹介する本【中古】 裸の経済学 経済はこんなに面白い /チャールズウィーラン(著者),青木栄一(訳者) 【中古】afb ・サノーさん一言コメント「もっとも身近な学問であるはずの経済学を難しくしているものは、なにか?軽妙で分かりやすい事例から、世界経済の変容について知る」【サノーさんおすすめ度★★★★★】・ウノーさん一言コメント「経済学は、過去の学者の名前や専門用語を暗記する学問ではありません。グラフも方程式も必要とない本物を学びます」【ウノーさんおすすめ度★★★★★】 ・サノーさん、ウノーさん読書会 サノーさん(以下サ):「経済学」のジャンルは、微妙だ。ウノーさん(以下ウ):ですよね。数理と方程式とデータが、お金と国家と結びついて語られるわけですから。サ:右脳も左脳も必要で、さらには未来予知も必要な学問だが、その「目的」と「成果」については、たまに疑いたくなる。ウ:市場経済において、予測ほどアヤフヤなものはないかと。サ:そんな偏見も、ここまで「入門」としてわかりやすく解説してもらえば、だいぶ消えていく。ウ:グラフ・方程式・専門用語がほとんど出ないのは、ありがたかったです。サ:GAPの冬物セーター、バーガーキングのレジ、そこから、需要と供給、インセンティブ、経済学における情報の取り扱い方などを教えてもらえるのは、ありがたい。ウ:アメリカのバーガーキングのレジには「お客様がレシートを受け取らなかったら、それは無料と同じです」って書いてあったなんて、知りませんでした。サ:これは従業員による、売り上げの「ごまかし」をけん制した「施策」だが、その末端の事例から、世界経済での「ごまかし」へと展開しているのが面白い。ウ:金額や規模はもちろん異なりますが、同じような施策、同じような懸念が、ハンバーガーのレジでも、国際経済でも、同時に存在するというのは、経済学を身近に感じられる機会となりました。サ:「2050年までの展望」については、十年以上前に書かれた本だという前提をもって読むと、大きな気づきを得られる。ウ:もちろん「経済学」は万能ではありませんが、未来を予測する「根拠」が、違う「結果」として現れていることが確認できます。サ:このくらい「面白さ」があるなら、もっと人気が出てもいいのにな。ウ:大学で行われているのは「別の経済学」ですから。【了】http://amzn.to/2CC6MU3
2018年02月23日
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【猿のごとく読み、人のごとく考える・その354・347冊目】 ・紹介する本 人間の条件 (ちくま学芸文庫) [ ハンナ・アーレント ] ・サノーさん一言コメント「経済という虚構のシステムを崇拝する人間が辿る道は、退化か。本質に対する問いが、人間の条件を見出す」【サノーさんおすすめ度★★★★☆】・ウノーさん一言コメント「社会は、個々の人々から構成されています。集団としての成り立ちよりも前に、一人ひとりが独立して存在している意味に、気が付くべきです」【ウノーさんおすすめ度★★★★☆】 ・サノーさん、ウノーさん読書会 サノーさん(以下サ):近代社会における「理念」を考えるとき、この人を避けては通れない。ウノーさん(以下ウ):アーレントさんは、資本主義経済の在り方と未来を予見し、社会の貰いについて哲学の見地から警鐘を鳴らした人です。サ:この本においては、「労働」「仕事」「活動」の三つの観点から、人間が人間として存在する「条件」について規定し、そこに横たわる「矛盾」についての考察を行っている。ウ:この三つの観点は、日本語にすると同じような意味の単語ですね。サ:「労働」は生存活動、生存維持のための活動であり、「仕事」は「非自然性活動」に関連した「製作活動」であり、「活動」は人間の「多様性」に関連した公的空間における言論、政治を含めた諸条件だと規定されている。ウ:例によって「哲学」特有のカテゴリ分けの難解さが炸裂です。サ:だが、この「規定」を念頭に置いて、それぞれの解説を紐解いていくと、そんなに「広大無辺」な話しではない。ウ:無謀を承知で要約しみますと、「労働」は「必要・必然」の「奴隷化」であり、人間の生命としての必然、必要に屈服していたけど、産業革命以降の「道具」の劇的な進化により、労働からの「苦痛」がなくなり、「必要性」に属しているという「実感」がなくなり、「余暇」という「消費のみ」が行われる行為が台頭したと。サ:「仕事」においては、画一的な基準によって「等質化」され、消費社会の形成を助長した。結果、仕事の本質は変容し、「生産物」が市場で交換され、消費されるに過ぎない「価値」となってしまった。ウ:そして「活動」は「多様性」「他者性」「差異性」において、規定されるべきものだけど、「労働」と「仕事」においての「均一化」により「現れの空間」は「無駄」だとされ、その「価値」について議論すら薄まっていく、といった感じでしょうか。サ:それぞれ考察から、アーレントが示唆したのが人間の「動物化」だ。ウ:経済から派生した「効率化の追求」により、合理的でない「存在」の「無価値化」を心配したんですね。サ:まあ、そんな浅い話しでもないんだが、現状、ウチの理解力ではその程度となる。ウ:でも、そこに挑んでいる、そこに価値を見出している点で「人間の条件」には符号しているのだと思います。【了】http://amzn.to/2sOCnCk
2018年02月22日
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【猿のごとく読み、人のごとく考える・その353・346冊目】 ・紹介する本 一冊の手帳で夢は必ずかなう なりたい自分になるシンプルな方法 [ 熊谷正寿 ] ・サノーさん一言コメント「手帳は、単にスケジュールを管理するツールではなく、地図でありコンパスとなる。その使用方法で、現実を変える」【サノーさんおすすめ度★★★★☆】・ウノーさん一言コメント「手帳の達人からの、生き方管理術です。実績ある創意工夫を学びます」【ウノーさんおすすめ度★★★★☆】 ・サノーさん、ウノーさん読書会 サノーさん(以下サ):GMOグループを築き上げた熊谷代表の「手帳本」だ。ウノーさん(以下ウ):実績充分ですから、迫力あります。サ:夢と行動と思考の3つの手帳を利用し、サイクル化を習慣にするためのメソッドだ。ウ:やりたいこと、願望から、それに紐づいた「行動」を具体化し、行動から得た思考や内容をまとめ、整理して、また「願望」へとフィードさせていく。わかりやすくて、取り組みやすいメソッドです。サ:もちろん、実績ある企業家ならではの「コツ」や「ポイント」がある。書き方、読み方、見せ方も、親切に教えてくれる。ウ:「やりたいことリスト」や「夢・人生ピラミッド」「未来年表」は、他のメソッドやノウハウでもありますが、「3つの手帳」を意識した方法が「新しい」と感じました。サ:「整理」なんだよな。「願望」も「行動」も「思考」も整理して、自分が何を望も、何を行い、なにを考えたか、それを手帳という「常に身近に置くツール」で、いつでも、すぐに取り出せるようにする。それが出来れば、自分の「迷い」や「方向違い」を客観的に見れて、正しい方向へ修正することにつながる。ウ:時間管理の方法も分かりやすいです。長中期と短期の区別をつけて、どんな時間の使い方が、どの願望にどのように「有効」なのか確認することは、どんな仕事においても有効だと思います。サ:だが、問題は「ここまで一人でやれるか?」という点となる。ウ:そうなんですよね。本を読み、手帳をつくり、それをルーチンとして行える人は、少ないです。サ:この「初動」で「必要なこと」について、サポートできることを考えるとしよう。【了】http://amzn.to/2C9w8g6
2018年02月21日
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【猿のごとく読み、人のごとく考える・その352・345冊目】 ・紹介する本 心理試験 (春陽文庫) [ 江戸川乱歩 ] ・サノーさん一言コメント「しゃべり過ぎた男の完全犯罪未遂。小さな綻びから虚飾を引きはがす、明智の洞察力」【サノーさんおすすめ度★★★★★】・ウノーさん一言コメント「人は矛盾した生き物です。良かれと思って、良くないことに突き進みます」【ウノーさんおすすめ度★★★★★】 ・サノーさん、ウノーさん読書会 サノーさん(以下サ):乱歩先生初期の作品だが、巧みな心理描写と「あり得る」トリックにより、人気の高い作品だ。ウノーさん(以下ウ):文字通り「心理」がテーマで、それによって人は罪を犯し、罪を逃れようとし、罪を認めることになることが、よくわかります。サ:「心理学」に対する皮肉も、乱歩先生らしい。ウ:判事の笠森さんがおこなった「心理試験」では、犯人は「別の人」でしたね。サ:そこから「名探偵明智小五郎」と「秀才で勤勉家・蕗屋」との心理戦となるわけだ。ウ:自分を「守る」ためにとった行動の数々が、一つ一つ「証拠」へと変化していくさまは、さすがの江戸川乱歩です。サ:実によく練れていて、さすがの明智小五郎も「もしかして、降参?」と思わせるくらい、完全犯罪としての計画ができている。ウ:さらに「通常はこうだろう」という「常識」を巧みに利用した「証拠」は「敵ながらアッパレ」でした。サ:その「証拠」たちから、一点のくもり、陰りを探し出し、そこから一気に崩す。やっぱり明智小五郎には敵わないわけだ。ウ:やっぱり怖いのは「殺人」の「動機」です。あまりにも自己中心的で、自分勝手ですが、この「動機」を抱く「理由」は、誰もがもっている「感情」かもしれません。サ:だからこそ、人は生きているだけで価値があることを認め合い、その前提において社会を営んでいる事実を認識しなければならない。ウ:日本の推理小説で、ここまで論理的に組み立て、描写も含め綺麗に完結させたのは、この作品が最初のほうだと思います。サ:そして、その「理論」が犯人の「心情」によって打ち砕かれるという「もっていきかた」に、乱歩先生の面白さが滲み出ている。ウ:読んでおくべき、隠れた名作です。【了】http://amzn.to/2EHwwUU
2018年02月20日
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【猿のごとく読み、人のごとく考える・その351・344冊目】 ・紹介する本チーズはどこへ消えた? [ スペンサー・ジョンソン ] ・サノーさん一言コメント「くるはずだった未来が失われたとき、それが幻想に過ぎなかったことに気づけるか。全ての岐路で試される、本当の勇気」【サノーさんおすすめ度★★★★★+★】・ウノーさん一言コメント「小人とネズミの違いは、どこから生まれたのでしょう。成功した人も、失敗した人も、これから成功する人も、読むべき一冊です」【ウノーさんおすすめ度★★★★★+★】 ・サノーさん、ウノーさん読書会 サノーさん(以下サ):迷路の世界に生きる、小人とネズミの物語だ。ウノーさん(以下ウ):彼らの食料であり、生きる糧は「チーズ」です。サ:迷路におかれたチーズ、これを求めて、二つの種族は活動する。ウ:ある日、膨大な量のチーズが置かれた「C地区」が発見されます。そこに至るまでは、迷路をいったり来たり、小人もネズミも、色々な道筋を試していました。サ:ネズミは、ただただ、直観と歩行能力に頼って、小人は、推測や洞察、分担などの戦略も使いながら、チーズを追い求めていた。ウ:莫大なチーズを得た彼らに、安定と平穏の時が訪れます。サ:その時間は、恵みの時間であり、それまでの試行錯誤や苦労、戦略の数々が報われた結果だ。ウ:ところが、とつぜん「チーズはどこへ消えた?」となるわけです。サ:あるはずのチーズがない、昨日まで存在していた「恵み」がC地区から消えている、それの事態に直面した時、小人ネズミに現れる「変化」は、現実という「迷路」のなかで「仕事」や「報酬」、「成功」というチーズを探し求める我々が直面する「現実」と、重なるものとなる。ウ:この本は「変化」を捉えること「変化」の本質を解説し、「変化」によって起こり得る「失敗」と「回復」を、わかりやすく、面白く教えてくれます。サ:「知能」や「経験」、「予測」や「戦略」が、いかに「変化」への対応に「役立たない」かを示唆している。ウ:「役立たない」どころか、「変化」への対応を遅らせ、感覚を鈍らせながら「衰退」へと誘う要素であることが理解できます。サ:それは、浅読みだ。そうではなく、それらの「要素」の前に、やるべきこと、整えるべきことがあるということを教示している。ウ:確かに、「絶滅」の直前に気づくことを、事前に理解していたなら「知能」は変化へ適切に対応する「武器」になりますね。サ:「人間が見えている世界は、その人が見たいと思っている世界だけ」というのは、真理だと思う。ウ:さらに「危機」や「危険」に直面し、「恐怖」と「不安」に捉われると「さらに、見たいものしか見ようとしない」というのは、とても大切な「教訓」です。サ:「知性」や「教養」や「データ」の前に、知っておかなければならない「法則」を学ぶ必要がある。ウ:それを優しく、面白く教えてくれるのは、こういった本ですね。サ:「油断」や「傲慢」といった表現だけでは片づけられない「法則」を、知る必要がある。ウ:そして、いつも「なぜ?」という問いかけを、忘れないようにしたいです。【了】http://amzn.to/2EB1ptT
2018年02月19日
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【猿のごとく読み、人のごとく考える・その350・343冊目】 ・紹介する本じゃじゃ馬ならし (白水Uブックス シェイクスピア全集) [ ウィリアム・シェイクスピア ] ・サノーさん一言コメント「だまし、だまされ、じゃじゃ馬は、ならされていく。目まぐるしい展開で、笑わせ続ける達人のワザ」【サノーさんおすすめ度★★★★★】・ウノーさん一言コメント「台詞に笑い、顔で笑い、間とタイミングに笑います。喜劇の合間に、シェークスピアが見つめた人間の性を知ります」【ウノーさんおすすめ度★★★★★】 ・サノーさん、ウノーさん読書会 サノーさん(以下サ):シェークスピアには、ジャンルがある。ウノーさん(以下ウ):細かいカテゴリもありますが、最上位は「悲劇」か「喜劇」です。サ:その二つは、まさに「陰陽」のごとく、世界の表と裏が一体であり、不可別のものであることを教えてくれる。ウ:とても、同じ人が生み出した物語だとは思えないほど、その内容は異なります。サ:まあ、当然のことながら、雰囲気からして全く違う。王さまの亡霊から復讐を命じられるのと、二人の姉妹の結婚を巡る物語では「世界観」が異なる。ウ:今回のお話しは「恋愛もの」でありつつ、「だまし、だまされる」がテーマです。サ:序幕からして、すでに「仕掛け」が満載だ。ウ:劇中劇なんですよね。道で転がっていた「酔っぱらい」を殿様が屋敷に連れてきて、それ人を「殿様」として扱うように命じるところからスタートです。その「酔っぱらいの殿様」に献上する劇が『じゃじゃ馬ならし』というわけです。サ:この冒頭の仕掛けから「だましあい」が始まっているわけだ。ウ:大富豪バプティスタの二人の娘を巡る、壮絶な「だましあい」ですね。サ:モテモテで美女なのは妹の「ビアンカ」、暴れ者で破天荒なのが姉の「キャタリーナ」、二人の父は「一計を案じて」、「キャタリーナ」が結婚しなければ、「ビアンカ」は結婚させないという策を打ち出す。ウ:そこからはシェットコースターです。「ビアンカ」に一目ぼれした留学中のボンボン「ルーセンシオ」と召使い「トラーニオ」、「ビアンカ」に求婚中の「ホーテンシオ」とその親友の「ペトルーキオ」、それぞれが「なりすましたり」「入れ替わったり」、ドタドタとバタバタを繰り返しながら、物語は「それぞれの結婚」へと進んでいきます。サ:テンポは、もちろん速い。だから、観劇に行く前に、この原作を読んでおくことをオススメしたい。ウ:でないと「誰が」「誰に」「だまされている」のか、というこの物語の「笑いどころ」をスルーしてしまう可能があります。サ:オチやネタを原作で事前に知っていたとしても、この物語の楽しさは損なわれない。ウ:むしろ、増加すると思います。そして観劇の「間」の楽しさ、人の生きた表情、姿の面白さを堪能できると思います。【了】http://amzn.to/2EKB783
2018年02月18日
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【猿のごとく読み、人のごとく考える・その349・342冊目】 ・紹介する本 式亭三馬集 (叢書江戸文庫) [ 式亭三馬 ] ・サノーさん一言コメント「裸の空間で繰り広げられる、裸の世間。軽妙な語りと、絶妙な隠喩で、江戸の人々が蘇る」【サノーさんおすすめ度★★★★★】・ウノーさん一言コメント「お風呂に入れば極楽です。飾りや嘘を脱ぎ捨てた江戸の人々を笑いましょう」【ウノーさんおすすめ度★★★★★】 ・サノーさん、ウノーさん読書会 サノーさん(以下サ):「浮世」という言葉には、不思議な風情がある。ウノーさん(以下ウ):なんとも自由でおおらかなで、それでいて「淫靡」な感じです。サ:連想するのは「浮世絵」か。ウ:江戸文化の体表格ですね。版画に封じ込められた市井に暮らす普通の人々の自由闊達な姿は、まさに「浮世」のあり様だと思います。サ:あとは「落語」だな。浮世を憂い、浮世を笑い、浮世に泣く。日本人のもつ「無常観」を「笑い飛ばす」感覚は「浮世」だ。ウ:今日の一冊は、落語から生まれた「滑稽本」というジャンルですね。サ:なにしろ、「娯楽」の選択肢が少ない時代、落語の面白さ、楽しさを直接体験できる機会は限られていて、さらに都会に住む人々の「特権」であったわけで、それを文字にして、日本各地に広げていったのだから「滑稽本」は、江戸文化全体の醸成に貢献した「メディア」だったと言える。ウ:江戸の大衆にとって安息の地「銭湯」が、舞台です。サ:文字通り、赤裸々な「やりとり」が展開する。ウ:今も昔も「人の話題」が変わらないことに、びっくりします。サ:芸能人のスキャンダルから、身内へのグチ、恋バナ、自慢話、まったく変らないな。ウ:違うのは場所です。江戸時代は「銭湯でお風呂」、現代は「スマホでネット」です。サ:この本は、実は「江戸のマナーガイド」の役割も果たしていた。ウ:桶に着けてある布は「ふんどし」なので、それで顔を洗わないといった実践的なものから、江戸っ子は自分たちの土地に、並々ならないプライドをもっているから、それを直接批難しない、というマナーとしての注意点まで、見事に伝えています。サ:ちなみに同じシリーズに「浮世床」というのもある。ウ:こちらは、理髪店が舞台です。こちらも、江戸の昔から、人が「つい本音」で語ってしまう場所だったんですね。サ:普段、いかに我々が本音を「着飾って」いるかを知るにも、よい本だ。ウ:200年も前の本なのに、笑いのツボが現代でも通じるのだから、「人なんて、まったく、たいしたことねぇ」というのは、真実ですね。【了】http://amzn.to/2BwAkW2
2018年02月17日
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【猿のごとく読み、人のごとく考える・その348・341冊目】 ・紹介する本 ネクスト・ソサエティ 歴史が見たことのない未来がはじまる [ ピーター・ファーディナンド・ドラッカー ] ・サノーさん一言コメント「知の巨人による予見の書。16年前に書かれた未来に生きる我々に贈られたメッセージ」【サノーさんおすすめ度★★★★★】・ウノーさん一言コメント「巨人の肩の上にいた偉大な賢人には、未来は見えていたみたいです」【ウノーさんおすすめ度★★★★★】 ・サノーさん、ウノーさん読書会 サノーさん(以下サ):意外とドラッカーの本を紹介していないことに、気が付いた。ウノーさん(以下ウ):けっこう読んでるつもりだったんですが、それは随分と前だったみたいで。サ:世界的な偉人であることは間違いないが、日本での人気は、特に高い。ウ:そりゃそうですよ。短いセンテンスで、「ずしっ」胸にくる箴言の数々は、ドラッカーさんの代名詞です。それも他人事ではない身近な話から、社会全体、人類全体への話まで、幅広く、楽しい。学びがいがある先生です。サ:この本を読むと、ドラッカーも「日本が好き」だということが、全体から理解できる。ウ:日本だけではないと思いますが、愛情あふれた表現や内容は、日本人として嬉しくなります。サ:「ネクスト・ソサエティ」とは「知識社会」だ。若年人口の減少、労働の多様化、製造業地位の変化、IT、それらによってもたらされるのは、「知識」が価値であり価値を生む源泉だとする社会だと解説している。ウ:知識は資金よりも容易に国境を越え、教育機会の万人化により、本人の知識欲求により「上方」への移動が自由で、生産知識を万人がもつことにより「成功と失敗が並存する社会」となる。それらの「予言」は、まさに「いま」と言えます。サ:それでも「社会が大事」とし「日本の先送り戦略」の「意図」と、もたらされる「結果」についての考察は、いま表面化しつつある「問題」の根底にあるものを、的確に突いている。ウ:「解決不能と思われる社会問題は、次の世代にやってもらう」その戦略から脱しないと、いつまでも「進歩」は訪れないということです。サ:「終身雇用」「輸出戦略」「官民協調」どれも「満足に機能しているものはない」と、ドラッカーは断じている。ウ:難しいのは「変化」している事実を、どう受け入れ、どう「変化」するかだと思うのですが、「変化」には「恐れ」が伴うから、「先送り」している人が多い気がします。【了】http://amzn.to/2o2WOX8
2018年02月16日
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【猿のごとく読み、人のごとく考える・その347・340冊目】 ・紹介する本 リヴァイアサン(1)改訳 (岩波文庫) [ トマス・ホッブズ ] ・サノーさん一言コメント「人間は、神が造りたもうた存在ではない。その宣言が、新しい世界を創造した。社会契約説の祖にして、その後の国家を定義した哲学者」【サノーさんおすすめ度★★★★★】・ウノーさん一言コメント「人々が集団で生きるという矛盾を深く追求し、その思想から新しい社会を創造しました。神様にも王様にもお願いせずに、自分たちの摂理で、社会を築きましょう」【ウノーさんおすすめ度★★★★★】 ・サノーさん、ウノーさん読書会 サノーさん(以下サ):タイトルからだと「ファンタジー小説」だと勘違いする人も多いかもな。ウノーさん(以下ウ):荒ぶる海竜の名前ですものね。ちなみに「山よりも巨大な怪獣」である「ビヒモス(ベヒーモス)」という著作も、同じ哲学者です。サ:社会契約説の祖にして、自然法を提唱し、社会における個々の権利と、その自由の在り方を説いたのが「ホッブズ」だ。ウ:教科書にも出てるから、名前は知っているという方は多いと思います。サ:16世紀後半から17世紀、封建制度が根底から覆され、社会そのものの在り方が変わろうとしていた頃の人物だ。ウ:国の王様が「俺は神様から王権をもらったわけ。だから、逆らうなんてとんでもない」と主張していたんですよね。サ:「王権神授説」だな。現代の人から見れば「荒唐無稽」な権利論だが、キリスト教を軸として社会が成り立っていた時代だったのたがら、それほど不自然な主張ではない。ウ:「信仰」という人々の「拠り所」と「教会」という「権威」が、長い歴史のなかで「権力」を構成していったのですから、主張したくなる気持ちはわかります。サ:それに対し「人間が神による被造物であると考えなければならない根拠、神が国王に統治権を与えた根拠はない。むしろ権力の基礎は市民同士の合意であり、権力は合意の上で統治者に委託されるのが妥当」だと主張した。ウ:まあ、乱暴なまとめですが、「神様は神様としてアリだけど、社会はそれとは無関係ですよね」と、様々な角度、様々な考察から説いたわけです。サ:この社会契約説の背景には、常に「自然状態」という概念がある。ウ:ジョンレノンの「イマジン」です。想像してごらん、国なんて存在してなかったなら・・・という仮説です。サ:この仮説において「ルソー」との共通項が生まれる。ウ:それが「国家の正当性の原理」というわけです。サ:当時も今も、それは障害と困難を伴う主張となる。ウ:そうですね。信仰は遺伝子レベルで、その存在を確立していますから。サ:そこで、「その前提を( )に入れて、その前提をないもの」として、その架空のゼロ地点からの考察を展開した。ウ:それによって、封建国家の「なにが」「どこが」矛盾していて、本来の自然界における在り方とはなにかを明確にすることが可能となったわけです。サ:ホッブズの哲学を学ぶとき、知るのが「権利」と「権力」がもつ「毒」だ。ウ:まさに伝説の魔物級です。その毒におかされないためにも、血清となる学びを得ましょう。【了】http://amzn.to/2EJFOia
2018年02月15日
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【猿のごとく読み、人のごとく考える・その346・339冊目】 ・紹介する本 天才! 成功する人々の法則 [ マルコム・グラッドウェル ] ・サノーさん一言コメント「天才の新しい定義。先天的でなく後天的な結果であることを証明する、考察とデータ」【サノーさんおすすめ度★★★★★】・ウノーさん一言コメント「人間の能力は、やっぱりそれほど差はありません。差がでるのは、やるか、やらないかの選択の結果だけです」【ウノーさんおすすめ度★★★★★+★】 ・サノーさん、ウノーさん読書会 サノーさん(以下サ):こういう本を、あの勝間女史が翻訳しているとは。ウノーさん(以下ウ):やっぱり、テレビでお馴染みのお姿は「仮面」なんですかね。サ:内容は、アメリカの売れっ子ルポライターが、世の中の「天才」「成功者」「大企業家」のデータを収集し、変わった角度から分析、考察を繰り返し行った結論だ。ウ:面白いです!カナダの超人気スポーツである「アイスホッケー」のプロ選手の「共通要素」が「1月~3月生まれ」であるというデータは、自分ではどうしようもない「生まれ月」が「将来の進路」に大きく影響していることを証明しています。サ:これが「運」だという論旨も、とても参考になる。新約聖書の『福音書』にちなみ「マタイ効果」だとネーミングするのも、実にアメリカらしい。ウ:マタイ効果のローテーションも、説得力があります。「成功している人は特別な機会を与えられる可能性がもっとも高く、さらに成功する。金持ちがもっとも減税の恩恵を受け、できのいい生徒ほど良い教育を受け、注目される」というのは、事実です。サ:そこだけ捉えると誤解されそうだが、この本では踏み込んで「普遍的な法則」についても説かれている。ウ:「1万時間の法則」です。音楽学校のバイオリニストのデータが紹介されています。サ:総練習時間が4000時間だと将来は「音楽教師」、8000時間だと「バイオリニスト」、1万時間を超えて初めて「トップクラス」つまり「芸術家」の仲間入りなわけだ。ウ:このデータは、「才能とはなにか?」という疑問に対し、一つの解答を示しています。サ:スタンフォード大学のルイス・ターマンの研究も興味深い。IQがずば抜けて高かった「天才児」たちの追跡調査だ。ウ:4分の1が、大学に行かなかった(行けなかった)んですね。サ:上位と下位のグループで、もっとも「違いを生む要素」となったのは「家庭環境」だ。ウ:これも「生まれ月」と同じで、自分では「なんともできない」要素であることに注目です。ちなみに、この研究を行ったターマン博士は「IQテスト」を作った人です。サ:「IQテスト」を作った人が、幸福と成功はテストでは判明しないことを立証したわけだ。【了】http://amzn.to/2ErRyqw
2018年02月14日
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【猿のごとく読み、人のごとく考える・その345・338冊目】 ・紹介する本 モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか (講談社+α文庫) [ ダニエル・H.ピンク ] ・サノーさん一言コメント「アメとムチから、モチベーションへの移行。人間に備わる本来の生存と欲求ではない、新しい目的の創造」【サノーさんおすすめ度★★★★★】・ウノーさん一言コメント「マネージメントも温故知新です。古きを知り、新しきを生む、そのサイクルが社会全体のり質を向上させます」【ウノーさんおすすめ度★★★★★】 ・サノーさん、ウノーさん読書会 サノーさん(以下サ):またすいぶんアレなタイトルだな、と思いきや。ウノーさん(以下ウ):訳者は、大前先生です。サ:原題の『Drive』だと、日本では「運転」と誤解されるからか?ウ:さすがにそんな理由ではないと思いますが、タイトルからの印象より、遥かに踏み込んだ「モチベーション論」が展開されています。サ:この本とは別の、いろんなところで出てくる『マズローの5段階欲求』がピラミッドなら、こちらは「ビル型」の「モチベーションについての考察」だな。ウ:初期段階は一緒です。生存、サバイバルの欲求、生殖の本能を満たすことが「行動目的」として挙げられています。サ:その次の「モチベーション2.0」から分岐する。こちらの展開は「信賞必罰」を軸とした社会と「個」の確立と対立が軸となる。ウ:生存のため「やむを得なく」集団化し、社会を形成してきた人間が、経済の成長と社会の成熟に伴い、その「矛盾」に気づいてきている、という話しです。サ:これは、日本人にはピンとこないかも知れない。社会制度、会社制度の庇護のもとで成立する社会に長年親しみ、そのなかで成長したのだから、自己否定に直結する「テーマ」だ。ウ:でも、この本で突き付けている「モチベーション2.0」が、この先「機能しなくなる要因」と「現代日本が抱える課題」と不思議なほど符合しています。サ:主な7つの要素から、さらに抽出してみると「創造性を蝕む」「依存性がある」「短絡的思考を助長する」あたりか。ウ:では、どうすればよいか。この本では「ソーヤー効果」という処方箋です。サ:『トム・ソーヤーの冒険』で語られている、本来人間に備わっている「人間には、学びたい、創造したい、世の中をよくしたい」という欲求があり、それが「モチベーションの源泉」だというわけだ。ウ:でも実際には、「学校で刷り込まれている哲学」は強力で、なかなか現実界へ適合させるのは難しいです。サ:だからこそ、「先にやってみて、できちゃった人」の言葉を聞き、学ぶことが重要なんだ。そして、「できちゃった人」は「それを伝える義務」があるのだと思う。【了】http://amzn.to/2EmjkEz
2018年02月13日
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【猿のごとく読み、人のごとく考える・その344・337冊目】 ・紹介する本 マルタの鷹改訳決定版 (ハヤカワ・ミステリ文庫) [ ダシール・ハメット ] ・サノーさん一言コメント「乾いた空気のなかで淡々と進む、命のやりとり。ハードボイルドというジャンルを確立した、始点となる一冊」【サノーさんおすすめ度★★★★★】・ウノーさん一言コメント「探偵、謎の美女、謎に満ちた秘宝、そして張り巡らされたトリック。人を惹きつけてやまないテンプレートは、この作品から始まりました」【ウノーさんおすすめ度★★★★★】 ・サノーさん、ウノーさん読書会 サノーさん(以下サ):フィクションには「ハードボイルド」といジャンルがある。ウノーさん(以下ウ):根強い人気です。日本でも多くの人気作家の方が息の長い作品を生み出していますし、映画やドラマでも、名作と呼ばれる作品が多く存在します。サ:そのハードボイルドを確立させたのが、この本の著者であるハメットであり、その後レイモンド・チャンドラーやロス・マクドナルドといった「巨匠」が誕生することにより、世界中で支持されるジャンルとなった。ウ:いつもの「お約束」が確立していて、ミステリーほど謎が入り組んでいないのに、惹きつけられてやまない魅力が、そこにはあります。サ:謎の美女がふらりと探偵事務所にやってくる。依頼の内容は珍奇だが、報酬はべらぼうに高い。ウ:次に、唐突に「殺人事件」です。依頼に関係する人や仲間などが、いきなり殺されます。サ:そして、その容疑は、主人公にかけられる。ここで、報酬以外の「動機」がプラスされ、「謎」を解く必然性が浮かび上がる。ウ:「神秘的なアイテム」も、ハードボイルドの世界にはつきものです。怪しい世界の話が、ストーリーに厚みを加え、さらなる好奇心を呼びます。サ:ざっと、見渡してみても、この「テンプレート」を守った作品は「無数」に存在する。ウ:ひとつの「発明」です。この要件、この要素を含めると「ハードボイルド」は「名作」と同じ輝きを放ちます。サ:もちろん、そこに工夫を加える、想定を超える仕掛けを展開するなどの「努力」があって、バリエーションが生まれ、オリジナリティーとなる。ウ:あ、ひとつ重要な要素を忘れてました。それは「男の美学」です。サ:まあ、女性が主人公のハードボイルドもあるが、ほとんどの作品の骨格は、この「美学」という要素でできている。ウ:通常では選択しない行動、利害ではなく「自分なりの正義」を信じ、困難を克服していく主人公の姿に、我々はしびれます。サ:これって、日本では『寅さん』なんだよな。よそからみると「つまらない意地はって、損ばかりしている」んだけど、その人にとっては、それはとても大切な「哲学」で、譲れない点がブレない。そんな魅力をハードボイルドの名作は兼ね備えている。ウ:ヒロインと結ばれないのも、共通しています。サ:今度、『男はつらいよ』を、ハードボイルドという視点から観てみることにしよう。【了】http://amzn.to/2EiPQrg
2018年02月12日
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【猿のごとく読み、人のごとく考える・その343・336冊目】 ・紹介する本 まぐれ 投資家はなぜ、運を実力と勘違いするのか [ ナシーム・ニコラス・タレブ ] ・サノーさん一言コメント「不確実性科学入門。確率という虚言に惑わされないための基礎知識」【サノーさんおすすめ度★★★★★】・ウノーさん一言コメント「この結果は、たまたまですか?それとも必然?起こり得ない事象などない世界に、私たちは生き、考え、行動しています」【ウノーさんおすすめ度★★★★★】 ・サノーさん、ウノーさん読書会 サノーさん(以下サ):大胆なタイトルだが「不確実性科学」を「投資」という活動から眺める仕掛けがなされている。ウノーさん(以下ウ):例によって「数理」は難しいです。でも、「債権トレーダー・ジョン」に起こった出来事から「確率」を「帰納」で捉えることの問題点について、知ることができました。サ:現代において、経済という指標は、行動の結果を広くカバーする結果を数値化している。ウ:「経済学」も多くのデータと事例、「起こった過去の出来事、変化を分析し、それが起こる状況」について、計算により導き出しています。サ:つまり「確率」だ。要素と要因を見える化することによって、「未来」を予測し、現状から「次の一手」を選択肢として提示する。ウ:その活動において、100%とされるものはありません。だって、人間の活動、人間社会の構成は「不確実」という前提で成り立っているからです。サ:つまり、もし明日「世界規模の地殻変動」が発生すれば、為替や株価を含む全ての指標は「確率では導かれない結果」となる。ウ:その事実を無視して、「起こり得ない問題」として処理されるから、「私たちの脳は正しく確率を理解できるほど、良くできてはいない」という認識が必要となるわけです。特にリスクヘッジ、危機管理において「まぐれ」という要素を認識し、「運」とはなにかを把握する必要を教えてもらいました。サ:「ライプニッツの可能世界」思考の有効性が確認できる。「たまたまうまくいっている世界」が存在するなら「たまたまうまくいっていない世界」も同時に存在するという示唆は、「運」の本質を伺い、その前提における「実力」を再定義してくれる。ウ:「全ての白鳥が白いとは限らない」ということを、日々の生活、日々の認識のなかで、忘れていく。そしてオーストラリアで「黒い白鳥」が発見されるんですね。サ:それは続編の『ブラック・スワン』への予告だ。ウ:文学、哲学、生物学や脳医学までカバーしながら、「まぐれ」について書かれているので、ウチはこちらのほうがオススメです。サ:「まぐれ」に騙される感情を認識し、それに揺さぶられない「理性」を育てるのも、こちらの方が上だと思う。【了】http://amzn.to/2BOAzNr【猿のごとく読み、人のごとく考える・その343・336冊目】
2018年02月11日
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【猿のごとく読み、人のごとく考える・その342・335冊目】 ・紹介する本 【中古】 君の名は 第3部 / 菊田 一夫 / 河出書房新社 [文庫]【ネコポス発送】 ・サノーさん一言コメント「すれ違いラブロマンスの金字塔。現代にも通じる、男女の複雑な心模様。メロドラマのお約束の数々は、ここから生まれた」【サノーさんおすすめ度★★★★☆】・ウノーさん一言コメント「結ばれない人を想うことは、罪なのでしょうか。幾多の試練を乗り越える物語は、多くの人を惹きつけます」【ウノーさんおすすめ度★★★★★】 ・サノーさん、ウノーさん読書会 サノーさん(以下サ):例の大ヒットアニメーションと同名だが、内容もテーマ全く異なる。ウノーさん(以下ウ):こちらは60年前の作品ですから、こちらが先です。サ:すれ違い型ラブロマンスの元祖にして、傑作だと言ってもいいだろう。ウ:大空襲の最中に出会った「春樹」と「真知子」の物語ですが、よくもまあ、これだけすれ違えるものかと、感心してしまいました。サ:もともとが「連続ラジオドラマ」だから、人気が高まるにつれ、物語が膨らんでいったんだろう。ウ:そうすると、同じようなエピソードでも、前回を超えた刺激を視聴者に与えるために様々なアイデアが出て、面白くなっていくんですよね。サ:連載漫画とかでも、同じだよな。伏線のつもりがなかったエピソードが、あとからのアイデアで伏線となったり、敵の戦闘力が桁違いに増えていっても、それを超える成長があったり、「連載」という形態は反響によって変化できるから、傑作となるのは理屈として理解できる。ウ:でも、それが「長く続けるため」となると、飽きられたり、見限られたりしますが、それを補う演出や変化が伴うと「長寿」となるわけです。サ:手を変え品を変え「二人はすれ違い続ける」んだが、それぞれのエピソード、出来事の裏側にある「心理」を見事に描いているから「リアリティーあるメロドラマ」に仕上がっている。ウ:悪役側の理屈や心情にも理解できる要素がある。「異常な行為」も「憎しみ」という根拠をもって展開するから、ついつい引き込まれてしまいます。サ:単純な「勧善懲悪」に陥らず、とはいえ「善が勝つ」というシナリオは、見事だと思う。ウ:「改心ぶり」が凄すぎて、ご都合主義な感じになるところもありましたが。サ:それも含めて「メロドラマ」なんだ。皆が求めている「シーン」を、焦らして、焦らして、焦らしたうえで提供する。これは「演出」においての「定石」だと言える。ウ:まあ、そんな「裏読み」しなくても、充分面白い「名作」です。【了】http://amzn.to/2BmRiGA
2018年02月10日
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【猿のごとく読み、人のごとく考える・その341・334冊目】 ・紹介する本 『LEAP!』スティーブ・ファーバー著・白川房子訳 ・サノーさん一言コメント「あなたは、仕事に情熱を感じるか。そもそも仕事における情熱とはなにか。当たり前の慣習に疑問を抱くことから始まる、情熱の意味を探る物語」【サノーさんおすすめ度★★★★★】・ウノーさん一言コメント「荒波、高波、さざ波、生きていれば色々あります。いっそ、乗りこなすことに喜びを見出すのも、風流です」【ウノーさんおすすめ度★★★★★】 ・サノーさん、ウノーさん読書会 サノーさん(以下サ):冒険ミステリー系・ビシネス啓発書だ。ウノーさん(以下ウ):カリスマ社長の謎の失踪、後継した、「対人能力が欠如した新社長」、その対応に翻弄される女性・ジャニス、そしてその相談を受ける著者・スティーブ。伏線を張りながら「誰もが迷い、戸惑っている状況」から、物語はスタートします。サ:ジャニスが、スティーブに訴える「相談事」は、現代社会に暮らす我々が抱える「課題」、組織と自分の在り方、自分の理想と現実の捉え方、組織における義務と責任について、如実に描かれている。ウ:スティーブへの「お願い」はアドバイスだけではなく「前社長を捜してほしい」という「ミッション」も含まれます。サ:そこから、彼の思考と検証がスタートするわけだが、そこで颯爽と登場するのが「サーファー風メンター」となる「エッジ」なわけだ。ウ:エッジは、著者が教えてもらった色々な「先生」のエッセンスが凝縮して生まれたキャラクターだと感じました。サ:酸いも甘いも嗅ぎ分け、「究極のリーダーシップ」を主張する姿は、ビシネスマンの「憧れ」そのものかもしれない。ウ:リーダーシップとは「いつもしっかりとした根拠があり、流行に左右されず、非常に個人的で、もともと恐ろしいもの」であり「危険が頂点まで達している状態で、自分の信奉する理想を毎日生きるように求められる」というのは、ちょっとハードル高すぎだし、厳しすぎのような感じでしたが。サ:だから、それを笑い飛ばす「OS!M」の解説が必要となるわけだ。「オー、シット!モーメント」つまり「おお怖い、やばい瞬間」に意識を戻すこと、自分が自分であることの認識をもつというメソッドを与えてくれたわけだ。ウ:なにか重要なことをするとき、またはしようとするとき、頭がイカれて恐怖ですくむのは「人間に埋め込まれた指示器だ」この示唆は、リーダーシップにおける「行動原理」の一端を指摘していると思います。サ:そして「Love、Energy、Audacity、Proof」、その連続である「LEAP」を知ることとなる。愛を育み、エネルギーを生み出し、大胆さを目覚めさせ、証を与えるというフローを認識し、実践する人、それが「リーダー」だという定義に至る。ウ:アメリカらしさ満載ですが、力強いメッセージであることは間違いないです。サ:ウチも自分の仕事について、見直すきっかけをもらった。ウ:「私たちの仕事を愛するお客様のために、私たちの仕事を愛する」そこから逆算して、設計と行動をすること、これは深い学びとなりました。【了】http://amzn.to/2BRrinE
2018年02月09日
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【猿のごとく読み、人のごとく考える・その340・333冊目】 ・紹介する本 羅生門/鼻/芋粥改版 (角川文庫) [ 芥川龍之介 ] ・サノーさん一言コメント「人間のオモテとウラ、内と外。両面から見つめた作家の、自意識への挑戦」【サノーさんおすすめ度★★★★★】・ウノーさん一言コメント「鼻は、顔の真ん中にあって、人を印象付ける大切な部分です。でも、本当の自分の鼻の姿を知る人は、どれだけいるでしょうか」【ウノーさんおすすめ度★★★★★】 ・サノーさん、ウノーさん読書会 サノーさん(以下サ):この作品は、もともとは、夏目漱石に読んでもらおうと思って創刊した『新思潮』に掲載した短編だった。ウノーさん(以下ウ):芥川龍之介が文壇デビューを果たした頃の、初期の作品です。サ:これを読んだ夏目先生は、いたく感心し、方々への推薦を行った。ウ:そにより、龍之介の文人としての道が始まり、ついには、文芸という極みを模索するようになったのですね。サ:それが「良いこと」だったのかは、誰にもわからない。ただ、後世を生きる我々が、こういった素晴らしい作品を楽しめる幸せは確実にある。ウ:もっと生きて、もっと書いて欲しかったです。サ:以前、紹介した『河童』と比較しながら読むと、さまざまな発見がある。ウ:この『鼻』は、初々しくも真摯な「文芸」に対する想いが感じられます。サ:題材は、お得意の『今昔物語』からのものだ。ウ:今回収録されている、『羅生門』や『芋粥』と同じです。サ:鼻肥大する奇病にかかった「内供(ないぐ)」が、その変化を嘆きながらも、折り合いをつけて生活する滑稽さと、それをみた人々の周囲の反応、「世情」という、幻覚の移ろいを描いた物語だ。ウ:鼻が伸びてしまった内供さんが、食事をとる景色では、芥川が開花させた「文芸」のワザを楽しむことが出来ます。サ:テンポよく、わかりやすく、もの哀しく、そして可笑しく。弟子の持った板に、鼻を乗せて食事をする滑稽さが、周囲の好奇心とあわせ、伝わってくる。ウ:そして内供さんが悩み苦しんでいるのは「自尊心」そのものであることを指摘し、それを読み手に理解させながら、周囲の「無理解」も滑稽に描いています。サ:鼻が短くなった時の、内と外の変化、周囲の反応の変化に、「内供」は、戸惑う。ウ:他人から、どう思われるか?その意識が「肥大」すると「自意識過剰」です。その心の動きが「苦しみの本体」だとした龍之介の「指摘」は、著者自身の生き様と合わせ、厚みと重さをもって、伝わってきます。サ:そして、周囲の変化も、敏感に描き切っている。ウ:人々の「同情」がどのようなものか、その「同情」が、どのように変化するのか。稀代の文芸人の眼差しを知るには、うってつけの一冊です。【了】http://amzn.to/2E9sggA
2018年02月08日
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【猿のごとく読み、人のごとく考える・その339・332冊目】 ・紹介する本 モナドロジー/形而上学叙説 (中公クラシックス) [ ゴットフリート・ヴィルヘルム・ライプニツ ] ・サノーさん一言コメント「全てが予定調和なのか。合理論者が導き出した、世界を構築するモナドへの憧憬」【サノーさんおすすめ度★★★★★】・ウノーさん一言コメント「目に見えない精神の世界と目に見える物質の世界を行き来しながら、著者が挑んだ世界を学びます」【ウノーさんおすすめ度★★★★☆】 ・サノーさん、ウノーさん読書会 サノーさん(以下サ):「モナド」という「単一」である「究極単位」を仮説として設定し、その考察と実験から、世界を構成する「精神」と「物質」の関連性を説こうとした「哲学」だ。ウノーさん(以下ウ):同時代の「スビノザ」さんと、よく比較されます。サ:同じ「合理論」だが、スピノザよりも「神的」にエキセントリックだ。ウ:でも、どちらも「実在」について「物質が存在すること」ではないという結論に至っています。サ:この本では「モナド」と「アトム(原子)」の基本的な概念の相違を説明し、複合体として世界を形成しているが、あくまでも「単一」であるという設定から、既存の物理学の領域ではない論理を展開している。ウ:もともと、ライプニッツさんは「理系」ですからね。数学や自然科学でも多く発見を遺し、功績も認められた人です。サ:さらには政治家だ。政治というアプローチから、社会を構成するものを分解し、幸福と健全化を目指していた。ウ:なにしろ、ドイツは戦争に次ぐ戦争の時代で、人口が激減していて、その原因の一つが「宗派争い」だったわけですから、「教会における神」から「本来の神」へと「本質を転換」する必要があったんですね。サ:「予定調和」の思想は、合理主義のなかでも分かりやすく、また多くの人が合意しやすい内容だ。ウ:「倫理的世界」と「物理的世界」は予定調和の関係であって、秩序そのものであるという考え方ですね。サ:分かりやすく言うと「倫理的社会」である「精神と心」において良好であれば、「物理的社会」である「富と肉体」が良好となることは「あらかじめ決められているルール」であると伝えている。ウ:これは「よい行為は、良い心から発生し、それは報われる」と主張した『原因と結果の法則』と同じ内容です。サ:『引き寄せの法則』とも同じだ。倫理的であり「正しい心」は「報われる」というのは「すでに決まっている」から、社会は両面において安定すべきである、という理論となる。ウ:こう考えると昨今の「スピリチャル」も元をたどれば「哲学」なのかも。サ:だからこそ、心が大切なんだな。【了】http://amzn.to/2C01JfS【猿のごとく読み、人のごとく考える・その339・332冊目】
2018年02月07日
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【猿のごとく読み、人のごとく考える・その338・331冊目】 ・紹介する本 竹取物語 ビギナーズ・クラシックス (角川文庫 角川ソフィア文庫) [ 角川書店 ] ・サノーさん一言コメント「日本ファンタジーの起点。5人の貴公子を破綻させたのは、穢れなき天女」【サノーさんおすすめ度★★★★★】・ウノーさん一言コメント「大人になってから読むかぐや姫の物語は、示唆に富む神秘の物語でした。織り込まれた暗号に挑んでみましょう」【ウノーさんおすすめ度★★★★★】 ・サノーさん、ウノーさん読書会 サノーさん(以下サ):日本人なら誰でも知ってる、「日本昔話し」の代表格だ。ウノーさん(以下ウ):でも、多くの人が知っているのは「あらすじ」だけで、全部を読んだ人は、なかなかいません。サ:竹を割ったら中から赤ん坊がいて、それが美しい姫に成長、5人の求婚者が現れるが「無理難題」を出して諦めさせ、その評判を聞きつけた「帝」が口説きにくるが、それも振り切り、月に帰っていく、というあらすじだけで充分だからな。ウ:でも、しっかり読むと「とんでもない本」なんですよね。サ:まず、姫が5人の求婚者に与えた「難題」が凄い。ウ:仏陀が使用した石鉢、蓬莱山の玉の枝、火鼠の皮衣、龍の首の五色玉、燕の子安貝、その5つは、実在していた痕跡がある「お宝」が含まれています。サ:宇宙人である「かぐや姫」が地球にやってきて、この5つの宝を何故集めようと思ったのか、これを集めると「なにが起こるのか」という疑問がわく。ウ:急に『X-File』みたいな話しになっていますが、大丈夫ですか。サ:さらに「帝」が姫をさらおうとした際に「きと影になりぬ」と表現した「ワザ」だ。ウ:実体がなくなったんですよね。影絵のように平面になって、さすがの「帝」もあきらめて帰ったというトピックです。サ:当時の「表現力」や「空想力」で、これほどのイリュージョンを思いつくだろうか。ウ:さらにミステリーは続きます。月に帰るのを阻止しようした二千人以上の兵士が動けなくなり、美しい衣をまとった瞬間、かぐや姫は全ての感情が消え、月に上ってきます。サ:そして、姫が「帝」にプレゼントした「手紙」と「不死の薬」を、なぜか「富士山」で燃やしてしまう。ウ:手紙にはなんと書いてあったのでしょう?そして「不死身」となれる機会を「帝」はなぜ、放棄したのでしょうか。サ:現代にも通ずるミステリーが、この物語にはある。ウ:この作品の最大のミステリーは「作者不詳」であることです。これほど、日本中に知れ渡った「物語」なのに、誰が書いたかは「謎」なんです。【了】http://amzn.to/2BbEX7S
2018年02月06日
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【猿のごとく読み、人のごとく考える・その337・330冊目】 ・紹介する本 新訳 ハイパワー・マーケティング あなたのビジネスを加速させる「力」の見つけ方 [ ジェイ・エイブラハム ] ・サノーさん一言コメント「1回100万以上のセミナーを完売させる、カリスマのノウハウ。基本に忠実であることが、新しい手法の前提となる」【サノーさんおすすめ度★★★★★】・ウノーさん一言コメント「言う通りに行動すれば、それは間違いなく方程式として成り立ちます。多くの人がそれをできないのは、なぜでしょうか」【ウノーさんおすすめ度★★★★☆】 ・サノーさん、ウノーさん読書会 サノーさん(以下サ):普通にビシネス書を読む人なら、この著者を初見の人はいないだろう。ウノーさん(以下ウ):ジェイ・エイブラハムほど、マーケティングのノウハウで、その名が知れ渡っている人はいないと思います。3Cや4Pなどといった「理論」ではなく、「たった一つの方程式」を読み手がどう捉えるかに集約している点が、さすがだと思います。サ:色々なメソッドがあるが、その基礎となり、土台となるのが、この「考え方」だと言ってもいいだろう。ウ:顧客数を上げ、一人当たりの平均販売数を上げ、購入頻度を上げる、「たった、これだけのこと」です。サ:それぞれの要素が25%上がると、売り上げは2倍になる。ウ:数理的な考え方はそれだけです。あとは、実践、どうやって、どのように現実化していくかを解説してくれています。サ:これも「基本」に忠実であることが求められる。とにかく「テスト」すること、無数の「指し手」の中から、自分たちの商材にあった「最善の一手」を見出すまで、やり続ける。ウ:あってはならないのは「思考停止」と「活動停止」です。とにかく、もがく、動き、試してみる、そのサイクルを回すことが、マーケティングだと定義しています。サ:実は、これが難しい。多くの人が、否定されることを恐れ、バカにされることを恐れ、多くの手を実施する前に、傷つき、諦めていってしまう。ウ:「そして、元の穴倉に戻っていく」わけですね。そういった意味では「起業」や「独立」は、「戻れる穴倉」を塞いでしまうわけですから、「やるしかない」状況となる「いい手」なのかもしれません。サ:そして「独立」しても、「一人ではない」ことを知らなければならない。本書で紹介されている「ジョイントベンチャー」という手段は、もっと日本で普及すべき手段だと思う。ウ:自分たちが気づかない魅力や課題でも、外からだと理解できることも多いですし、お互いのメリットを組み合わせることによって、新しい世界が切り開けるのは「仕事」の世界だけではないです。サ:それには、豊かな想像力と、引出しとなる教養が「土壌」となる。ウ:「本は読んどけ」ということかと思います。【了】http://amzn.to/2GMBzRt
2018年02月05日
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【猿のごとく読み、人のごとく考える・その336・329冊目】 ・紹介する本 めざせ!レインメ-カ- 「お金を降らす」トップセ-ルスの技法50 [ ジェフリ-・J.フォックス ] ・サノーさん一言コメント「組織に利益をもたらすものは、社会に利益をもたらすも人。基本的なマナーから心構え、その上を行く戦略を学ぶ」【サノーさんおすすめ度★★★★☆】・ウノーさん一言コメント「雨が降らないと、樹は育ちません。会社も同じです。恵みの雨をもたらす人になることを目指しましょう」【ウノーさんおすすめ度★★★★☆】 ・サノーさん、ウノーさん読書会 サノーさん(以下サ):「アメリカ流・営業手本」とでも言える一冊だ。ウノーさん(以下ウ):大雑把な気構えから、細かいアドバイスまで、親切丁寧な印象を受けました。サ:ここで書かれている有名なメソッドしては「ブレックファースト・ミーティングのすすめ」や「一流の服装のすすめ」か。ウ:朝のミーティングが有効なのは、間違いないです。でも、その理由の解説が、こと細かで楽しいです。サ:朝ごはんは安く、メニューに迷うこともなく、アルコールも入らず、なおかつキャンセルされづらいというのは、実体験と検証を繰り返して生まれた根拠だ。ウ:「営業先では、コーヒーを飲んではいけない」というアドバイスも有名です。サ:メモが取れない、時間がもったいない、という理由も書いてあるが、著者の主張は「気遣い」の重要性を説いている。ウ:けっきょく、人としての気遣い、心遣いができる人が「レインメーカー」なわけです。サ:「顧客を喜ばせるには、どうしたらいいだろうか」この自問と回答を繰り返していくうちに、「自分なりの回答」が得られていく。ウ:それを、意識しながら実践して「微調整」を繰り返していくと「レインメーカー」になれるわけですね。サ:いや、さすがにそんなに簡単な話ではない。そういう土台を元に、プロダクトを発展させ、変化に対応できる体制と仕組みを構築できなければ「組織全体に利益をもたらす人」にはなれない。ウ:そして、大切なのが「自分の仕事に敬意を払うこと」です。当たり前のように仕事をし、当たり前のようにお金をもらっていますが、それらは自分の実力なのではなく、全て「仕事」という「お客様との懸け橋」が存在するからこそ、成立するのです。サ:「幼稚なメソッド」だと偏見を持つ前に、基本を知り、基本を身に着けておくことは「営業」や「販売」に限定されない普遍のステップだと思う。【了】http://amzn.to/2BSKwEX
2018年02月04日
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【猿のごとく読み、人のごとく考える・その335・328冊目】 ・紹介する本 敦煌改版 (新潮文庫) [ 井上靖 ] ・サノーさん一言コメント「洞窟に置かれた六千巻もの経典。誰が、何のために、それを行ったのか。広大な中国西部を舞台に展開する、一人の男の運命」【サノーさんおすすめ度★★★★★】・ウノーさん一言コメント「シルクロードの光と闇です。戦乱を生きた人々がなにを想い、なにを遺したのかを、虚構から描きます。井上文学の最高峰にして、人の矛盾を知る一冊です」【ウノーさんおすすめ度★★★★★】 ・サノーさん、ウノーさん読書会 サノーさん(以下サ):遥か古代の道、シルクロードは、大陸を貫き、多くの人々が夢と冒険を求めて往来した「人類の道」そのものでもある。ウノーさん(以下ウ):浪漫です。西と東をつなぎ、地球全体の「文化」が往来した場所です。サ:と、同時に、長い長い戦国時代により、常に戦場が生まれては消えていった地域だ。ウ:20世紀初頭、この地域は世界中の考古学者の憧れの場所となりました。サ:宗教、言語、民族、遺伝子、それらがぶつかり合い、混沌を生み出した場所は、「発見」を求める学者にとっては「聖地」のようなものだ。ウ:その発見の一つが、洞窟の中で発見された無数の経典です。サ:キリスト教でも、似たような発見があった。『死海文書』の話は、誰でも聞いたことがあるだろう。ウ:某アニメでも登場した単語ですから、有名ですよね。でも、この物語の「起点」となっている『敦煌文書』は、知っている人は少ないです。サ:状況は、同じなのにな。未開の地で、あるはずのない「文書」が、洞窟から大量に発見され、長い年月にわたり、研究の対象となっている。ウ:そして「誰が、いつ、なんのために置いたのか」が「不明」だという点も共通してます。サ:この物語は、その「謎」について、フィクションの観点から迫ろうとしている。ウ:主人公の「行徳」、武将「王礼」は、井上先生が生み出した「架空の人物」です。この物語は「敦煌文書の発見」という史実のトピックを題材にした「小説」です。サ:だが、その前提を途中で忘れる。井上靖という「天才」の筆が描き出す「生々しい戦乱の荒野」が、読み手をその時代、その場所へと引きずり込む。ウ:戦乱の世に翻弄されながらも生き抜く主人公、不思議な縁で結ばれた女たち、そして「二対の首輪」を巡る駆け引きが、巨大絵巻のように展開していきます。サ:この物語を堪能するのに、オススメの「手段」がある。ウ:まずは『平山郁夫の画集』を観ておくのが、とても良いと思います。サ:大きな図書館にはあるし、もし可能なら美術館でシルクロードを題材にした作品を何点か観ておく。ウ:この物語の舞台を日本画の巨匠から教えてもらえるのですから、こんな楽しいことはないです。サ:文学と絵画、二人の天才を魅了した「敦煌」に、一度は行ってみようと思う。【了】http://amzn.to/2BPGQnv
2018年02月03日
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【猿のごとく読み、人のごとく考える・その334・327冊目】 ・紹介する本 EQリーダーシップ 成功する人の「こころの知能指数」の活かし方 [ ダニエル・ゴールマン ] ・サノーさん一言コメント「目に見えない感情と情緒を、見える化する。新しいジャンルを切り開いた一冊」【サノーさんおすすめ度★★★★★+★】・ウノーさん一言コメント「人が集団で暮らすようになって、一つの進化が発生しました。それは、他人を思い、自分を知る機能です」【ウノーさんおすすめ度★★★★★+★】 ・サノーさん、ウノーさん読書会 サノーさん(以下サ):一世を風靡した「ビッグタイトル」だ。ウノーさん(以下ウ):「EQ」は大ブームでしたね。関連するメソッド、関連するビジネスは世界中で生まれ、いまも脈々と指示を集めています。ウ:「第二の知性」として、「自制心」と「共感力」が、社会、ビジネス、会社において、どのように作用し、どのように関連しているのかを、丁寧に解説してくれている。サ:そして、その対処方法を踏み込んで教えてくれているから、これほどの支持を集めたのだと思います。サ:自分の感情を知り、それを見つめ、そこからその「動機」を紐解いていく一連の流れは、心理療法として確立していたメソッドだ。それを「EQ」という新語とともに、ビジネスの現場、会社のマネージメントに落とし込んで展開した点に、この本の成功はある。ウ:でも、あらためて読み返してみると、随所に「あやしい系」のメソッドが見え隠れしてますね。サ:そのバランス、その匙加減が素晴らしい。本来、杓子定規で、見える世界が全てだと信じ切っている人にとって「思いやり」や「先回りした優しさ」は、目に見えなければナンセンスなものだと捉えてしまう。それを「指数」という数理のメソッドを用いることにより、「見えない次元」の話を、あたかも「見える」ように感じさせてしまうのが、この本の真骨頂だと思う。ウ:ここでも何度かテーマとして取り上げた「フロー状態」の解説も、素敵です。サ:さすがにフロー状態に導かれるメソットでは踏み込んでいないが「超集中なんてオカルト」という偏見をもっている人にとっては、認識を改める機会となるだろう。ウ:EQを最大化するのは「開き直り」、というのはどうなんでしょうか?サ:そこだけとらえれば乱暴だが、「動機づけ」の重要性を把握した上で検討するのは有効なメソッドだ。ウ:アンガーマネージメントを学ぶ前には、必読の一冊です。サ:「感情」を「殺す」のではなく、「豊な感情」を育み、この世界の「多様性」を認めた上で、「感情とうまくつきあう」、この学びは、ビジネス、会社での人間関係だけでなく、あらゆる面で有効となる。ウ:年に一度、読み返す価値のある一冊です。【了】
2018年02月02日
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【猿のごとく読み、人のごとく考える・その333・326冊目】 ・紹介する本次郎物語 第1部/下村湖人【1000円以上送料無料】 ・サノーさん一言コメント「子供の成長に必要な要素を大人が与えることが、教育なのではない。与えないことから育まれる人間性の一端を知る」【サノーさんおすすめ度★★★★☆】・ウノーさん一言コメント「自然児・次郎の体験と成長を楽しみましょう。忘れていた子供の頃の思い出が、蘇ります」【ウノーさんおすすめ度★★★★★】 ・サノーさん、ウノーさん読書会 サノーさん(以下サ):第五部の青年編まで続き、第六部は未完となった、大人と子供、教育と社会を巡る物語の初巻だ。ウノーさん(以下ウ):多くの教科書にも載っていたので、なんとなく覚えている人は多いと思います。サ:「本田次郎」の幼年から青年までを、淡々とした描写と子供の成長と、それを取り巻く大人の事情を丹念に描いている。特に支持が多いのが、幼年期を描いた、この巻だ。ウ:子供の無垢な「残忍性」、無知なるがゆえの「本質を理解する力」が、物語の合間から読み取れます。サ:著者は「教師」であり「教育論者」だった。大人が子供を「過剰に教育」するという危険性にいち早く気づき、子離れと親離れを提唱した人だ。ウ:次郎の体験は、著者の体験と重なります。サ:実の母親が「孟母三遷の教え」に従って、実の子を「里子に出す」というのは、非常識なようでいて、「優先度」の認識を誤った場合は「あり得る」という示唆だ。ウ:作家自身の「その時」の「生々しい感情」「子供心に強く思ったこと」が、次郎にことごとく反映されています。サ:実母の死去や、里親と肉親に向けられた「複雑な感情」は、自身の「体験談」だと言えるだろう。ウ:もちろん、そればかりではないです。「名作」として支持されているのは、当時の世相や子供たちの生活が生き生きと描かれ、大人たちの「都合」によって振り回されながらも逞しく成長する「次郎」の姿に、胸が打たれます。サ:親戚の家に「家出」したり、自分で花火を作ろうとして爆発させたり、次郎少年の奔放ぶりが、楽しい。ウ:そして、次郎の父親、祖父、祖母の立場で語られるのは、やっぱり「教育論」です。実の母親が死の直前で語った、「子供って、ただかわいがってやりさえすればいいのね」という言葉には、湖人が目指した教育の姿を知ることができます。サ:自己重要感の醸成は、教育の重大な使命かもしれない。自立もまた然り。状況に対応する知恵や人に想いを伝える技術は「教育」であり、「成長」と混同しないように、と教えてもらった。【了】http://amzn.to/2GB7eVK
2018年02月01日
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