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みなさんこんばんは。とうとう大晦日になりました。秋葉復興相も鈴木水脈政務官も辞任しましたね。映画サンセットを見ました。サンセットNapszallta監督&脚本ネメシュ・ラースロー2018年・第75回ベネチア国際映画祭コンペティション部門出品作品 1913年、ブダペスト。イリス・レイテルは、彼女が2歳の時に亡くなった両親が遺した高級帽子店で職人として働くことを夢見て、ハンガリーの首都ブタペストにやってくる。しかし、現在のオーナーであるオスカール・ブリッルはイリスを歓迎することなく追い払ってしまう。そして、この時になって初めて自分に兄がいることを知ったイリスは、ある男が兄カルマンを探していることを知り、イリスもブタペストの町で兄を探し始める。そんな中、ブタペストでは貴族たちへの暴動が発生。その暴動はイリスの兄とその仲間たちによるものだった。 ブダペストはハンガリーの首都だ。二十世紀初頭ハンガリーといえば、オーストリア=ハンガリー帝国の一角を担う存在だ。帝国といえば聞こえは良いが、新興国プロイセンに押され次々と領土を奪われ続けたオーストリアが、ようやく名目を保つために、或る程度ハンガリーの自治を認めた形で成立している。この時期よく知られている美貌の皇后エリーザベトの刺殺、皇帝の弟でメキシコ皇帝マクシミリアンの処刑など、皇帝一族にも立て続けに不幸が起こっており、長らく続いたハプスブルグ家も衰退に向かっている。タイトルサンセット=日没は、帝国の衰退を差す。 衰退の空気は人々を刹那的な思いに走らせる。イリスの元実家高級帽子店にやってくる、皇太子も含めたオーストリアの王侯貴族は、何やら怪しいプレイに没頭し、その犠牲になる庶民たちの怒りが沸点に向かって動き出す。外国からやってきたイリスは物語上の“まれびと”であり、真相を探る探偵役だが、同時に変わり果てた実家と失踪した兄に対して心を痛める当事者でもある。何者も恐れず危険も顧みず中心にずばりと切り込むイリスは何度も危険に遭うが、その度救われるのは主人公の役得だ。そんな主人公にカメラがぴったりと張り付き、一度も笑わぬ=安易な妥協を許さぬ彼女がカフカの如き迷宮から偽りを脱ぎ捨て出てくる姿を映し出す。 【バーゲンセール】【中古】DVD▼サンセット【字幕】▽レンタル落ち アカデミー賞価格:545円(税込、送料別) (2022/9/7時点)楽天で購入
December 31, 2022
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みなさんこんばんは。ゼレンスキー大統領は、21日アメリカを訪れ、バイデン大統領と会談し、議会でも演説しましたね。今日は実際にかつてパンデミックを体験した島を舞台にした小説を紹介します。封印の島〈上下〉The Island ヴィクトリア・ヒスロップみすず書房 コロナ禍で自粛されるまでは、エーゲ海クルーズは日本人にも人気の観光地の一つだった。白い壁の家、青い空と海のコントラストが美しく、旅行を満喫した経験のある人達も少なくない。しかしそんな島の一つに、ハンセン病患者のコロニーとなった島があったことは、あまり知られていない。 クレタ島にはかねてより多くのハンセン病患者がおり、1903年クレタ共和国により、スピナロンガ島がハンセン病患者のコロニーという決議がなされた。1957年隔離法は廃止され、施設も閉鎖。その当時島に残っていた28人の患者はアテネの総合病院に移送された。 発病がわかった途端、家族までが差別され、当事者は「死ぬまで島を出ることができない」と思いつめた初期の頃、治療法が見つかり、何人かに治験が行われる中期、そして島民が遂に島を出る終期までのコロニーの歴史がマクロな視点、主人公アレクシスの家族にまつわる歴史がミクロな視点で描かれる。 婚約者と結婚の話が大詰めになってきたアレクシスは、これまで過去を一切語ってこなかった母ソフィアから、突然島を訪れるよう言われる。ソフィアの曾祖母エレニから物語は始まり、祖母マリアと姉アンナへ続く。上巻は発病したエレニが島に赴き、子供達に学問を教えることで生甲斐を見出しながら亡くなるまで、下巻は年ごろになった娘たちの恋愛事情から始まる。それぞれのキャラクターはあまりひねっておらず、わかりやすい。また、過去のマリアやアンナのドラマが強烈すぎて、人生の一大決心をする現代時制のソフィアやアレクシスの決断が若干軽く見えてしまった。 著者は休暇旅行でギリシャを訪れた際に、エーゲ海クルーズで人気のクレタ島の近くにある島にこのような歴史があった事を知り、執筆に至った。 第二次大戦ではギリシャは地中海の要地として、連合軍とドイツとのせめぎ合いの場となった。離れ小島で本国から十分は物資補給が出来ていたとは考えづらいが、コロニーでは神学を学んだ青年がリーダーとなり、厳しい生活の中、作業班を組織化し、建物の整備や食糧の増産を行ったという。サイドストーリーとして描かれているリーダーの苦闘の日々も是非読んでみたい。2007年度ブリティッシュ・ブック・アワード新人賞。『中古』封印の島〈上〉『中古』封印の島〈下〉KSC
December 30, 2022
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みなさんこんばんは。ヒット曲「Romanticが止まらない」で知られるバンド・C-C-Bのメンバー・笠浩二さん(ドラム・ヴォーカル)が、脳梗塞のため60歳で亡くなりました。今日もマーガレット・アトウッド作品を紹介します。またの名をグレイス 下Alias Graceマーガレット・アトウッド 岩波書店上巻ではアイルランド出身のグレイスが、母を失い酒飲みの父と家族から離れて住み込みで働き始めた経緯が、精神科医に語る形式で紹介された。下巻は遂に核心の事件当日に話が及ぶ。上巻でも「私についてあれこれ書かれたことを考えてみる。冷酷な女悪魔だとか、身の危険を感じて、仕方なく悪党に従った罪のない犠牲者だとか、あまりに無知なため正しい行動がとれなかったとか、私を絞首刑にするのは司法による殺人だとか、私は動物が好きだとか、艶のある顔をしたすごい美人だとか、青い目をしているとか、緑の目をしているとか、髪の毛は鳶色だとか、茶色だとか、背が高いとか、あるいは平均以上の高さではないとか、健康そうで見苦しくない服装をしているとか、そう見せるために死んだ女のものを奪ったとか、仕事は手早くそつなくやるとか、怒りっぽいすねた性格だとか、見た目は卑しい身分には見えないとか、従順な性格の善良な女であり悪意がないとか、ずるくてひねくれているとか、頭は弱いが白痴よりややましだとか。そして、どうして、一度にこんなに違うものになれるんだろう、と考えてしまう。」皆が言うグレイスは私ではありませんよ、と示唆する場面が度々登場するが、下巻においても周囲の見方との乖離を訴える文言が続く。また、碌な教育も受けておらず愚かだから騙されたと彼女を見る周囲に対しても、「私はすべて覚えている。逮捕された時語ったこと、弁護士のマッケンジー先生にこう言いなさいと言われたこと、マッケンジー先生にさえ言わなかったこと、裁判の際に言ったこと、またそれとも異なる裁判後に語ったこと、それに私が言ったとマクダーモットが語ったことや、私が言ったはずだと語る第三者の話も。というのは、自分たちの考えたことを人に押しつけて、当人の口からしゃべらせる連中が常にいるからだ。それにその手合いというのは、祭りや見世物で、自分の声を木彫りの人形が話しているように見せかける手品師のようなもの。」と強かさと隠された知性を述べて見せる。しかしそれを言葉に出して第三者に示すことはない。 19世紀は交霊会など心霊現象の研究が盛んだった。なかなか真相にたどり着けないサイモンは押されてグレイスをある実験に差し出すが、そこでとんでもないことが。 アトウッド作品では虐げられた女性が抗うエネルギーが物語を動かしているが、本編もまたしかり。またの名をグレイス 下 (岩波現代文庫 文芸302) [ マーガレット・アトウッド ]楽天ブックス
December 29, 2022
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みなさんこんばんは。シンガー・ソングライターの吉田拓郎さんが年内で芸能活動を終了する意向だそうです。今日から2日間マーガレット・アトウッド作品を紹介します。またの名をグレイス 上Alias Graceマーガレット・アトウッド 岩波書店 1843年8月、アッパー・カナダのリッチモンド・ヒルで、裕福な独身地主トマス・キニアと、女中頭のナンシー・モンゴメリーが殺される。同じ家で女中として働いていたグレイス・マークスと、使用人ジェイムス・マクダ-モットが逃亡先のアメリカで捕まる。裁判はキニア殺人事件のみ行われ、ナンシー殺害に関しては審理不要。マクダーモットは早々に絞首刑に処せられたが、グレイスは記憶が定かでないため監獄に収監。 ここまでがカナダで実際に起こった事件の顛末だ。マクダーモットは直前までグレイスに唆されたと主張していた。若くて美しいグレイスは濡れ衣を着せられたのか?それとも唆す悪女だったのか?彼女に興味を持った若き精神科医サイモンは、聞き取り調査を開始する。 16歳で事件に関わり約30年間服役した、同国犯罪史上最も悪名高いと言われている女性犯グレイス・マークスの物語。昏き目の暗殺者同様こちらもキルトが登場。各章のタイトルは、その章の内容を示唆したキルトのパターン名で、最初のページにその図案が描かれている。 キルトのイメージといえば、様々なパターンを縫い合わせて一つの作品を作ることだ。本編も、グレイスがサイモンに語る/語らない場合の一人称、記事等の客観的描写、サイモンの三人称など様々な視点から物語を作り上げており、一つのキルトと言える。またの名をグレイス 上 (岩波現代文庫 文芸301) [ マーガレット・アトウッド ]楽天ブックス
December 28, 2022
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みなさんこんばんは。俳優の町田啓太さんと女優の玄理さんが結婚したそうです。めでたいですね。ひきこもり先生シーズン2を見ました。【放送予定】2022年12月17日(土)前編「どうでもよくない!」・24日(土)後編「言えなかったこと」<総合> 夜10時~11時13分(各73分)【作】梶本惠美【音楽】haruka nakamura【出演】佐藤二朗、鈴木保奈美、佐久間由衣、寺田心、玉置玲央、成海璃子、半海一晃、高橋由美子、加藤健一、麿赤兒、利重剛、室井滋、白石加代子、高橋克典 ほか【制作統括】山本敏彦(NHKエンタープライズ)・清水拓哉(NHK)【演出】一色隆司(NHKエンタープライズ)・田中健二(NHKエンタープライズ)前編「どうでもよくない!」元ひきこもりの上嶋陽平は、非常勤講師として梅谷中学校に2年ぶりに復帰。不登校生徒が集まるステップルームの他に3年A組の副担任サポートも担うことになった。着任早々、近くで起こったホームレス襲撃事件に梅谷中学校の生徒が関わっていたことが判明。職員室は修学旅行を自粛するかどうかで揺れていた。そんな中、陽平は修学旅行の準備に熱心だった松田篤人(寺田心)を励ますのだが、逆に篤人は陽平に反発する。シーズン2コロナで大人達はたくさんのものを諦めたと思っているかもしれないが学生達は一度しかない学生時代を沢山諦めた。諦めた先にあるのは「どうでもいい」という他人や自分に対する無関心で結果声をあげる先をなくした人が増えてしまった。シーズン1とは見違える穏やかな顔の校長後編「言えなかったこと」言いたいことは我慢しないで言っていい、と訴える陽平に、生徒たちは「やっぱり修学旅行に行きたかった」と本音を明かす。陽平は修学旅行を復活させるために、教育委員会の西村や、元校長の榊の励ましを受け、保護者会の説得に挑む。一方篤人の母親冴子が病気だと知った藍子は冴子に介護支援を受けるように説得するがなかなか聞き入れてもらえずにいた。物語は高校生だったけど大学生も小学生も皆この時期被った子達は皆にあるはずの思い出や行事がぽっかり空いてしまったんだね。そして我慢のはけ口が何も言えない人達に向いてしまう。麿赤兒 さん最後に出てきていい役ですね。そうか榊校長学校を作るか。フリースクールかな?岸辺露伴は動かないも第三弾ですね。【放送日時】第7話 「ホットサマー・マーサ」2022年12月26日(月) 総合 よる10:00~10:54第8話 「ジャンケン小僧」2022年12月27日(火) 総合 よる10:00~10:54(第1~3話:2020年12月放送、第4~6話:2021年12月放送)【キャスト】岸辺露伴:高橋一生泉京香:飯豊まりえイブ:古川琴音(第7話ゲスト)大柳賢:柊木陽太(第8話ゲスト)【スタッフ】原作:荒木飛呂彦「岸辺露伴は動かない」(第7話)「ジョジョの奇妙な冒険」(第8話)脚本:小林靖子音楽:菊地成孔/新音楽制作工房人物デザイン監修:柘植伊佐夫演出:渡辺一貴タイトルデザイン:本多伸二特殊メイク:梅沢壮一アクション指導:森﨑えいじ漫画作成:蒼木雅彦撮影:山本周平 田島茂照明:鳥内宏二美術:磯貝さやか音声:藤林★創スタイリスト:羽石輝衣裳制作:玉置博人ヘアメイク:荒木美穂映像技術:大西悠斗VFX:菅原悦史音響効果:谷口広紀取材:田中峰弥記録:上田悠莉編集:鈴木翔プロデューサー:桐山優衣制作統括:斎藤直子 土橋圭介 ハン サングン制作:NHKエンタープライズ制作・著作:NHK ピクス第7話 「ホットサマー・マーサ」長らくリアルな取材ができず、うつうつとしていた露伴は、バキンと名付けた子犬を連れて散歩に出かける。夏の強い日差しとマスクのせいでもうろうとしながら、見知らぬ神社に迷い込むと、そこには根元に大きな洞のある巨木があった。洞を塞ぐ柵の隙間をのぞくと中は祠のようだった。興味を引かれた露伴は中に入るが、気がつくとバキンを抱いたままうずくまってしまっていた。祠を出て家に戻ると、ところどころ様子がおかしいことにいぶかしさを覚える露伴。さらには、自分のベッドにはシーツにくるまった若い女がいて。穴に落ちて異世界に入ったアリスの如くあの世とこの世の境目=四辻に入って封印されていた神木の中身に入るという2つの禁忌を冒した露伴が陥る分身による報いを受ける。原因はコロナ禍による外出禁止というもう一つの禁忌。親子神主の少しずつフレーズの違うリフレインがコメディ第8話 「ジャンケン小僧」京香と打ち合わせ中の露伴のところに、漫画『ピンクダークの少年』を持ったファンの少年が突然尋ねてきた。ところが露伴は、仕事場にいきなり来るのは良くないと言って玄関扉を閉め、追い返してしまう。再び露伴の前に現れた少年は、今度はやぶから棒にジャンケンしようと提案する。行く先行く先に現れては、執ようにジャンケンを挑んでくる少年に露伴は…時折わざと画面を斜に撮った映像が挿入。2話の共通テーマは厄介なファンと四辻。安定の3を崩したことから?「あの世との境界線」からやってきた辻神が取り憑いたえらくこまっしゃくれた少年が露伴も気に入ってなかった3と4のこだわりを口にしてじゃんけん勝負を挑む。「動かない」のではなくコロナ禍の緊急事態宣言のせいで「動けない」岸辺露伴が2話では外出するし小僧との勝負で垂直移動するなどめちゃめちゃ活動的。ストレス解消できてめでたしめでたし。次はいよいよ海外ロケへ…という流れなのかな?なんかこの二人の服装似てる。【2023年05月26日発売】 NHKエンタープライズ|nep 岸辺露伴は動かない3【ブルーレイ】 【代金引換配送不可】楽天ビック(ビックカメラ×楽天)
December 27, 2022
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みなさんこんばんは。フィギュアスケートの全日本選手権はにアイスダンス後半のフリーダンスが行われ、前半首位の村元哉中選手と高橋大輔選手のカップルが合計でもトップとなり、3回目の出場で初優勝を果たしました。ドラマエルピス 希望あるいは災いを見ました。エルピス 希望あるいは災い出演眞栄田郷敦 岡部たかし 片岡正二郎 長澤まさみ 三浦透子 六角精児 梶原 善鈴木 亮平 山路 和弘 三浦 貴大 筒井 真理子 池津祥子 永山瑛太脚本渡辺あや監督大根仁第1話「冤罪とバラエティ」大洋テレビのアナウンサー・浅川恵那は、かつてゴールデンタイムのニュース番組でサブキャスターを務め、人気、実力ともに兼ね備えた女子アナだったが、週刊誌に路上キスを撮られて番組を降板。現在は、社内で“制作者の墓場”とやゆされる深夜の情報番組『フライデーボンボン』でコーナーMCを担当している。そんなある日、番組で芸能ニュースを担当する新米ディレクターの岸本拓朗に呼び止められた恵那は、ある連続殺人事件の犯人とされる死刑囚が、実は冤罪かもしれないと相談される。両親が弁護士という裕福な家庭で育った拓朗は、持ち前のルックスも手伝って、仕事の実力とは裏腹に自己評価が高く、空気が読めない男。とある理由で報道、ましてや冤罪事件とはもう関わりたくないと思っている恵那の気持ちなどお構いなしに、事件の真相を追うために力を貸してほしいと頭を下げる。しかし、拓朗がそこまで躍起になるのには、ある事情があって…。拓朗によれば、冤罪疑惑はある有力筋から得た情報だという。だが、かつて自分が報道したこともある事件だけに、にわかには信じられない恵那。そのうえ事件が起きたのは10年近くも前で、犯人とされた男の死刑もすでに確定している。恵那は、すでに風化した事件を掘り起こすことは得策ではないと一蹴するが、それでも拓朗は懲りずに、新入社員時代の指導担当で報道局のエース記者・斎藤正一を頼る。そして、事件当時の話を一緒に聞きに行こうと無邪気に恵那を誘うが…。第2話「女子アナと死刑囚」「真犯人は野放しになっている」、拓朗の言葉がまるで何かの合図だったかのように、行方不明になっていた中学2年生の女子生徒が遺体で発見される。首には、かつて世間を騒がせた連続殺人事件の被害者と同じく絞められた痕があり、遺体発見現場も同じ神奈川県八頭尾山の山中。これは偶然か、それとも。当時犯人として逮捕・起訴された、松本良夫死刑囚の冤罪を訴えていた拓朗の言葉に、わずかな可能性を見た恵那は、番組で過去の事件を調査報道したいと考える。しかし、プロデューサーの村井に取り合ってもらえるはずもなく、恵那はひとまず、一人で事件を洗い直すことに。そして、当時14歳で、逮捕当日に松本の家で保護されたヘアメイクのチェリーこと大山さくらが書きためた裁判記録をもとに、松本が殺人を犯したとされる日の足取りを確認すると、検察側のある主張に違和感を覚える。一方、事の重大さに気づき、一度は真相究明から手を引いた拓朗だったが、恵那が本格的に動き出したことを知り、自分も手伝いたいと申し出る。中途半端な覚悟に呆れつつも、とりあえず戦力として拓朗の力を借りることにした恵那。するとその矢先、担当弁護士の木村卓を通して面会を申し込んでいた松本死刑囚本人から、恵那宛てに手紙が届く。さらに、思いもよらない人物から1本の電話がかかってきて。某有名料理教室の広告みたいなエンディングが後半で 長澤まさみ さんの表情も変わり上手にできるはずのケーキが悲惨な状態に。同じくケーキを見つめる 三浦透子 さん。死刑執行は時の政府の意向によっても決められる政治と切り離せない行為でありある種のメッセ―ジでもある。第3話「披露宴と墓参り」恵那は、一刻も早く松本良夫死刑囚の冤罪を証明しなければと焦りを募らせる。そんななか、弁護士の木村から新聞記者の笹岡まゆみを紹介された恵那と拓朗は、新聞社が保有する当時の事件資料を手に入れることに成功。まゆみは政治部の記者だが、聞けば、一連の殺人事件の現場となった八頭尾山に思い入れがあり、事件について個人的に調べたところ、真犯人による犯行の可能性に行きついたという。強力な助っ人の登場に勢いづいた恵那は、早速、資料をもとに12年前に事件の捜査に関わった八飛署の刑事・平川勉を訪ねる。しかし平川は、すでに最高裁で判決が下されていることを理由に、「犯人は松本で間違いない」の一点張り。実際に取り調べを行った刑事にも話を聞こうとするが、すでに退職して所在は不明だった。ところが2週間後、拓朗が思わぬ方法で居場所を突き止め、恵那は松本の自供を引き出したとされる山下守元警部にインタビューを敢行。核心をつく質問に、どこか歯切れの悪い返答をする山下の様子を見て、恵那は当時の取り調べに、ある疑念を抱く。そして、撮影した映像を拓朗と編集していると、編集室のドア越しに、斎藤が中の様子をうかがっていて。「自分達の過ちだから自分達でなんとかするしかないじゃん」こうあってほしいマスコミの良心を体現する恵那。事件についてマスコミは本当に公正なのか。正義を名乗っているだけではないか。何でも吐く恵那とがつがつ食べる拓朗(だが全然おいしそうじゃなく何かを忘れるために食べてる)。第4話「視聴率と再審請求」恵那の画策により、被害者遺族ら事件関係者にインタビューした映像が『フライデーボンボン』で放送された。拓朗すら知らなかった恵那の“奇襲”に、村井たちスタッフはぼうぜん。オンエア後、放送不適切と判断されたVTRを独断で流した恵那は、名越から厳しい叱責を受ける。一方で、特集への反響は想像以上に大きなものとなっていく。恵那たちが次に着目したのは、犯人逮捕の決め手にもなった重大な目撃証言。事件当時、目撃者の西澤正は、「男が慌てたように山道から駆け降りてきて、自転車で立ち去る様子を見た」と証言したが、恵那らが申し込んだ取材にはかたくなに応じようとせず、拓朗は西澤の言葉にどこかうさんくささを感じる。そして、証言がうそなら再審もあり得るはずだと息巻くが、そこには“開かずの扉”と呼ばれる司法の高い壁が…。そんな矢先、恵那は弁護士の木村(六角精児)から、松本死刑囚に関する衝撃の事実を聞かされる。報道するまでは慎重な意見一辺倒だったが視聴率を味方につければころっと手のひら返しの上層部。勢いに乗る恵那に再審却下の報が。はっきり関係があるとは言わないだけに無言の圧力。思わせぶりな事だけ言ってやることはやっていく斎藤(笑)第5話「流星群とダイアモンド」松本死刑囚の再審請求が棄却され、責任を感じたチェリーが自殺を図る。しばらくすると、拓朗たちも特集の続編を制作することを禁じられ、あがらえない大きな力に脅威を感じた恵那は、制作中止の理由も問わぬまま、上層部の決定を静かに受け入れる。だが、世間の反響が大きく視聴率も良かっただけに、拓朗はどうしても納得できない。行き場のない正義感をまとった拓朗は、単独で、事件の目撃証言をした西澤の身辺を調べ始める。すると、西澤がかつて、事件のあった八頭尾山のふもとの町に住んでいたことが判明。さらに現地で聞き込みを続けると、西澤の息子・健太の親友だという男が現れ、西澤の新たな顔が浮かび上がってくる。そこに、いちるの望みをかけた拓朗は、男を介して、ある人物に接触を試みることに。一方の恵那は、元恋人の斎藤と再び良好な関係を築き始めていた。その矢先、同期で報道部の滝川雄大から、斎藤が警察に多大な影響力を持つ、とある大物政治家と親密な関係であることを聞かされて。何でもがつがつ食べていた岸本が食欲減退→恵那の「凄い事」発言で食べられるように。「バラエティの1コーナーのアナに今更誰も注目しない」と結構酷い事を言いながら「好きな女と食事くらいしたい」と殺し文句で帳消しにする斎藤。報道局>バラエティという局内位置づけは世間一般の見方。第6話「退職届と異動辞令」西澤正が「松本死刑囚を見た」というのはうそだった。逮捕の決め手となった目撃証言が覆されたことで、再審は現実味を帯び、恵那は再び奮い立つ。さらに、拓朗がつかんだこの事実は、かつて報道局に在籍していた村井の魂にも火をつけ、事が事だけに報道部に任せるべきだという恵那や名越の言葉をよそに、村井は『フライデーボンボン』で大々的に報じると宣言する。オンエア後、日本の司法を揺るがす新事実に世間の反応はすさまじく、あらゆるメディアが動き出し、情報提供者である西澤の元妻・吉村由美子も不安を隠せない。さらに、恵那たちの考えがいかに甘かったかを思い知らされる、取り返しのつかない事態が起きてしまう。社内では緊急幹部会が行われ、この大事な局面に、恵那が局の看板番組である『ニュース8』に“事件を追っていた記者”として出演することが決まる。本来なら古巣への凱旋出演を喜ぶところだが、恵那の中には、斎藤が副総理大臣の大門とつながっていると知ったときから、ある疑念が。その不安を払拭するべく、恵那は出番を待つばかりであった。拓朗や恵那の独白が挿入されるのだがこれ現在視点で言ってるのか終わった時点から言ってるのか?と思いながら見てる。報道は責任も取らない、ただ報道するだけだが影響は大きく事件解決を困難にする。SNSの影響でスピードを競うように流れるゼレンスキー大統領やオリパラのニュース。「冤罪とバラエティ」「女子アナと死刑囚」「披露宴と墓参り」「視聴率と再審請求」「流星群とダイアモンド」「退職届と異動辞令」毎度タイトルがえっどう繋がるの?の2題なんだけど話としてはちゃんと繋がってるという。4話は視聴率は上がるが再審請求が却下されるシーソーの上下の関係。第7話「さびしい男と忙しい女」副総理大臣の大門が八飛市出身だと気づいた恵那は、新聞記者のまゆみに大門の身辺調査を依頼。かつての斎藤の言動から、警察に対し絶大な力を持っていた大門が、事件に何らかの形で関与しているのではないかと考えたのだ。一方、経理部へ異動した拓朗もまた、引き続き事件を追っていた。しかし、新たな手掛かりは何も得られず、調査は八方ふさがり。このままでは松本死刑囚を救い出すどころか、事件は風化してしまう。落ち込む拓朗が村井に愚痴をこぼしていると、そこへ、とんでもないニュースが飛び込んでくる!やがて、まゆみの協力により大門に関わる重要人物のリストを手に入れた恵那は、ある仮説を立証すべく、多忙な自分に代わってその人物たちを調べてほしいと拓朗にリストを託す。局の看板アナウンサーに返り咲き、もはや自分とは違う世界の住人となった恵那の態度に、不満とどこか寂しさを感じる拓朗。するとその矢先、拓朗の元に意外な人物から電話がかかってきて。日々の忙しさにかまけて事件に関わる時間が減っていく恵那。変わらぬ熱量の拓朗。裁判所側の気まぐれで行われるDNA鑑定に踊らされる冤罪を信じる側の希望。そこに警察内部から飛び込んでくるとっておきのネタ。真犯人は別にいる。「組織は一枚岩じゃない」はよくも悪くも。第8話 「少女の秘密と刑事の工作」かつて迷い込んだ商店街で、暗がりのなか、えたいの知れない雰囲気と危険をはらんだ瞳で恵那(長澤まさみ)を惑わせた男。その人物こそが、大門副総理の有力な支援者である「本城建託」社長の長男・本城彰だという。あの男には何かある。そう直感した恵那に頼まれ、拓朗が調べると、彰に対する地元の評判は上々。だが一方で、その存在があまり知られていないことも分かった。八頭尾山で3人目の女子生徒が殺されてから、再び犠牲者が出るまでの12年間、彰は海外を転々としていたという。連続猟奇殺人の犯人について、ある“仮説”を立てた拓朗は、再び八飛市で聞き込みを行い、最後に殺された中村優香と親しかった高岡ひかるにたどり着く。ひかるは、亡くなった優香をどこか快く思っていない様子だったが、拓朗がある質問をすると、当時のことをぽつりぽつりと話し始めた。さらに、ひかるの携帯電話に残されていた写真が、拓朗をさらに突き動かすことになる。事件の真相に近づこうと突き進み、興奮気味に報告をしてきた拓朗に対して、恵那の反応は妙に鈍かった。強いいら立ちを隠せない拓朗はついに、恵那に“本心“を問い詰めたが、返ってきた言葉は。序盤の「危険な男だからこそついていきたい」女がわからない!拓朗→恵那のLINEで笑わせ正義は勝つ!と思わせての報道局スクープに潰される真実の残酷さで戦慄する。何でものみ込む覚悟を決めた恵那と駄目なものは飲み込めない拓朗のどちらに視聴者が感情移入するかわかっててのこのラスト。第9話「善玉と悪玉」DNA鑑定の結果をもってしても、本城彰が真犯人である事実は公にすることが許されず、行き場のない憤りを抱えた拓朗は、さらに、刑事の平川を脅迫した疑いで会社を解雇されてしまう。この一件で、背後に真実を闇に葬ろうとする巨大な力を感じた恵那は、無力な自分になすすべもなく、再び心身のバランスを崩していく。一方、大門副総理の娘婿で秘書の大門亨に接触を図った村井は、拓朗にジャーナリストを名乗らせ、亨と引き合わせる。村井によると、亨は真面目で正義感が強く、決して政治家の秘書に向いているとはいえない男。実際、過去には村井の力を借りて大門の告発を試みたこともあるという。結局、最後は権力と忖度に屈したという当時の話を聞いた拓朗は、志こそ違えど、村井も今の自分と同じように、目の前にある真実を握りつぶされたことがあると知り、驚く。そして、自分はこのまま終わらせるわけにはいかないと、本城逮捕の最大の壁である大門を排除する作戦に打って出る。亨もまた、いずれ大門の右腕となるであろう斎藤の存在が決め手となり、ある覚悟を決めていて。「俺たちは野心と欲望のバブル世代だから」正義感とかないと嘯きながら政治家のよくあるコメントで何かに火が付く村井。森友事件にまつわるある自殺を思い出した。綺麗に聞こえる言葉や見える風景ほど嘘っぽい。そして媒介するのがマスコミ。真実は悉く見ている何者かに潰される。最終回大門亨が死んだ。大門副総理の娘である妻と離婚し、事務所も退職し身ひとつになった亨が命を懸けて、大門に対するレイプ事件“もみ消し”疑惑を告発しようとしていたことを知る拓朗は、その死の意味を理解し、言葉を失う。一方の村井は、亨の正義を踏みにじり、自らの保身のため、身内の死をもってすべてに終止符を打とうとする大門のやり方、さらに、権力という名の悪から目をそらし、平然と報道を続けるマスコミのあり方に怒りを爆発させる。『ニュース8』のスタジオに殴り込んできた村井のただならぬ様子を見た恵那は、その真意を知りたいと、拓朗の元を訪ねる。しかし、亨を死に追いやったことに責任を感じ、かつての村井の忠告の意味を嫌というほど思い知らされた拓朗は、恵那の言葉に虚無感といら立ちを覚え、今度こそ、この一件から手を引くと宣言する。深い失意と恐怖に襲われる拓朗の言葉に、恵那が出した答えは!?斎藤だけが別の方向を見ていて二人は正面。この画像の通りのラスト。スキャンダルによって世の中がぐちゃぐちゃになった方がまだ「それまでは信頼されてた」ってことでまだましなのか。最近の街頭インタビューを見てるともっと一般市民は醒めてるし賢い。残ったものを災いではなく希望に。【楽天ブックス限定先着特典】エルピスー希望、あるいは災いー 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December 26, 2022
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みなさんこんばんは。メリークリスマス。日本付近には今シーズンこれまでの中で1番強い寒気が流れ込んでいるため、記録的な大雪となっている所があるようですね。今日は是枝監督の作品を紹介します。ワンダフルライフAfter Lifeナント三大陸映画祭 グランプリサン・セバスチャン映画祭 国際映画批評家連盟賞トリノ映画祭 最優秀脚本賞ブエノスアイレス映画祭 グランプリ、最優秀脚本賞サンダンスおよびロッテルダム映画祭 正式招待作品高崎映画祭 最優秀作品賞、最優秀助演男優賞(寺島進)、最優秀新人男優賞(ARATA)監督&脚本&編集是枝裕和出演井浦 新 内藤 剛志 谷 啓 寺島 進 由利 徹 内藤 武敏 伊勢谷 友介 志賀 廣太郎 阿部 サダヲ 香川 京子 木村 多江 一般の方々 天国への入り口に集まった死者達に待ち受けていた職員は7日の間に大切な思い出を1つ選ぶよう求める。その思い出を映像化して本人に見せ天国へ送りだすのが職員の仕事。だが望月の担当する渡辺だけは、なかなか思い出を選べずにいた。望月は彼に人生71年分のビデオを見せて思い出を選んでもらおうとする。そこに映し出された新婚時代の渡辺の妻、その映像に思わず目を奪われる望月。この夜を境に、望月、しおり、渡辺、それぞれの感情は大きく揺れ動き始める。 現在の是枝作品からは想像もつかないファンタジー。天国への入り口なのに雪も降るし公園もある、地球と変わらない風景。職員の前で語る死者の思い出がドキュメンタリーみたいだなと思っていたら、映画制作の準備を本格的にスタートさせた97年の夏からクランクイン直前までの6ヶ月、スタッフがそれぞれビデオカメラを持ち、老人ホームやとげぬき地蔵、オフィス街の公園、大学のキャンパスなど、様々な場所を訪れ、「ひとつだけ思い出を選ぶとしたら…?」というインタビューを行い集めた"思い出" は500で、その選ばれた10人が本人として映画に登場し、実際の思い出を語ったとか。そんな中でもフィクションらしいエピソードが入っていて職員望月にある変化が訪れる。山あり谷あり波乱万丈ストーリーというのではなく、思い出を決めて上映会が開かれるまでの一週間を淡々と描く。ストーリーに劇的がないので、逆に心情の変化を表現するのは俳優に託される。 若き井浦さんや伊勢谷さんが登場。伊勢谷さんは「選べる思い出なんかないが夢は見る」とふざけた事を言う若者で、井浦さんは軍服姿がお似合い。内藤武敏さんの若い頃を阿部サダヲさんが演じている。ワンダフルライフ【Blu-ray】 [ ARATA(井浦新) ]楽天ブックス
December 25, 2022
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みなさんこんばんは。今日はイブですが、今年もクリスマスがやってきましたね。クリスマスの定番ソングがタイトルになった映画を紹介します。ラスト・クリスマスLast Christmas監督ポール・フェイグ出演&脚本エマ・トンプソン出演エミリア・クラーク ミシェル・ヨー アンドリュー・リッジリー ヘンリー・ゴールディング ロンドンのクリスマスショップで働くケイト。華やかな店内で妖精エルフのコスチュームに身をまとうケイトは仕事に身が入らず、乱れがちな生活を送っていた。そんなある日、ケイトの前に不思議な青年トム現れる。トムはケイトが抱えるさまざまな問題を見抜き、彼女に答えを導き出してくれた。そんなトムにケイトは心をときめかせるが、2人の距離は一向に縮まることはなかった。やがてケイトはトムの真実を知ることとなるが。「去年のクリスマス 僕は君に真心を捧げたのに 君はそれを惜しげもなくぽいと投げ捨ててしまった 今年はそんなの御免だから 真心は別の人に捧げることにするよ」振られ男の決別宣言ながら、随所に振られた彼女への未練がにじみ出る。ある種情けない男の心情を描いたフレーズが毎クリスマス毎に流れる世界になった。歌う人が亡くなってもずっと残り続ける永遠の名曲に。 今回もいきなり彼氏に捨てられてアイシャドーが流れ落ちた悲惨な姿で登場する振られっこ登場。そこにどこからどう見ても素敵な彼氏候補が現れ、歌の内容を踏襲していくのかと思いきや、今回も確かにハートはヒロインに託されていたが、そのハートの中身といい、ケイトの姉のパートナーが女性だった事といい、移民問題も登場、人種も入り乱れ21世紀なりの様々なひねりが加えられていた。それでいてクリスマス特有の「人々はお互いに許し合うべき」という寛容の精神は変わらず。『ゲーム・オブ・スローンズ』で堂々ドラゴンの母を演じていたエミリア・クラークが、可愛くて男性に声はかけられるが真剣な恋には出会えず、家族との関係もいまいちで打ち込むことに出会えていない今どきの若者を演じている。クライマックスにはタイトルソングのフルバージョンを披露。ケイトがバイトしている店のオーナーの一目ぼれ相手は特別出演中の特別出演。いやあまだ元気だったとは!ラスト・クリスマス [ エミリア・クラーク ]楽天ブックス
December 24, 2022
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みなさんこんばんは。タレントの高見知佳さんが亡くなったそうです。高見さんはことし11月に検査でがんが見つかり、入院中だったということです。今日もシヴォーン・ダウド作品を紹介します。サラスの旅Solace of the roadシヴォーン・ダウドゴブリン書房アイルランドに向かうフェリーの乗客の車に、こっそりホリーが乗りこむ場面からこの物語は始まる。 ロンドンの児童養護施設テンプルトンハウスで育った14歳の少女ホリー・ホーガンは、ケアワーカーのマイコ(マイケル)が転職すると知り動揺する。恋愛感情を抱いていたわけではないが、この施設で友達やマイコ、ソーシャルワーカーのレイチェルと、ずっと暮らしていけると思っていたのだ。マイコのたっての勧めで面談した里親レイとフィオーナは優しくしてくれるが、ホリーは反発した態度を取り、学校にも居場所を見つけられずにいた。ある日、ホリーは引き出しの隅にしまわれた、ブロンドのウィッグを見つける。ウィッグをつけると、鏡の中の自分はぐっと大人びて、最高にクールでゴージャスな女の子―サラスに変わっていた。里親のもとを飛び出し、アイルランドめざしてヒッチハイクの旅に出たホリー/サラスの望みは叶うのか。 序盤ヒロインに感情移入するのは難しい。なぜならばレイがやんわり煙草をやめるよう言ってもその場限りの返事でごまかすし、しきりに外出を勧めるフィオーナに暴言を吐くシーンがあるからだ。 彼女はずっとこの家で暮らそうとは思っていない。「ママが今も、アイルランドのどこかしゃれたクラブでお客をとりこにしているのが、あたしにはわかる。だからあたしも踊るんだ。ママとあたしの故郷のアイルランドへ。そして一緒にステージに立ち、ふたりでショーをする。」 母親に遺棄されたとは考えておらず、無理やり引き離されたと感じている。ところがマイコ達の意見は違う。どちらが本当なのか。旅の途中でホリーが出会う人々との交流はロードムービー風で、並行してホリーと母親の関係が挿入される。真相がわかった時、よしながふみさんの漫画に出てくる「子供って奴はどうしてどんな仕打ちをされても親を慕おうとする!?」(『ジェラールとジャック』より)が沁みる。サラスとは、ホリーが大人ぶって旅をするために作り出した架空のキャラクターだが、ホリーという人物の過去を消してしまいたい思いの表れでもある。サラスの旅 [ シヴォーン・ダウド ]楽天ブックス
December 23, 2022
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みなさんこんばんは。俳優の渡辺徹さんが亡くなりましたね。今日はシヴォーン・ダウド作品を紹介します。十三番目の子 (児童単行本)The Ransom of Dond小学館シヴォーン・ダウドニスコール島の村には、古くから、ある言い伝えがあった。一人の女が産んだ13番目の子は、その13回目の誕生日に、いけにえとして暗黒の神ドンドにささげなくてはならない。その子の命と引き替えに、村は13年の繁栄が約束されるというのだ。明日は、13番目の子として生まれた娘ダーラの13歳の誕生日。この世で過ごす最後の夜。ダーラの前に、クロウタドリに姿を変えた空の神ルグが現れ、母メブの家に連れていかれる。そこで知った衝撃の真実とは。 戦時中でも珍しいと思うが、13人も子供を産んだら母親の体はぼろぼろだ。ましてや「産んだら、はい、終わり!」ではなく、13人それぞれの長い子育て期間がある。母親はそんな思いをして子供を産むのだから、恐ろしい予言があるのに、誰もわざわざ死なせるための生贄とわかっている子を生もうとしない。メブも13人目を生む母親になるつもりはなかった。ところが彼女が産んだのが男女の双子だったため、母親はどちらかを択ばなければならなくなる。 生贄とはつまる所、誰かを犠牲にして助かるシステムだ。当然後味は悪い。だからわざわざ“言い伝え”という、誰が決めたかわからない=故に誰も責任を取らなくていい=条件を前面に出すことで、村人は罪悪感を薄めることができる。指名された側も誰に反駁すればいいのかわからない。犠牲者を出す側にとっては都合がいい。 半面、当事者とその家族にとってはたまったものではない。普通は自分で生んだ子を慈しむために育てる。いいや、そもそも理由なんて考えずに育てる。それなのに、メブの場合は、村の繁栄-それもたった13年の-犠牲にするために、わざわざ愛する我が子を育てなければならないのだ。中盤ある秘密が明らかになるが、秘密にしていた者を責めるというよりも、その者自身に決断させてしまった村の掟の方が、新たな呪いに転じてしまっている。狭いコミュニティにありがちな悲劇だ。著者のシヴォーン・ダウドは2007年、47歳の若さで他界。本書は、ダウドが生前に完成させていた作品のうちの、最後の未発表作品。十三番目の子【中古】十三番目の子 /小学館/シヴォ-ン・ダウド(単行本)VALUE BOOKS
December 22, 2022
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みなさん、こんばんは。米航空宇宙局(NASA)の新型宇宙船「オリオン」が無人で月を周回する26日間の試験飛行を終え、地球に帰還しましたね。このミッションは月に宇宙飛行士を再び送ることを目指す「アルテミス計画」の一環です。劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデンを見ました。劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデンVIOLET EVERGARDEN THE MOVIE声の出演浪川 大輔脚本吉田 玲子監督石立太一戦時中に兵士として育てられ、愛を知らずにいた少女ヴァイオレット・エヴァーガーデンが、「自動手記人形」と呼ばれる手紙の代筆業を通じて、さまざまな愛のかたちを知っていく姿を描く。人々に深い傷を残した戦争が終結して数年、世界は少しずつ平穏を取り戻していた。新しい技術の開発によって生活も変わり、人々は前を向いて歩み始めた。ヴァイオレットも大切な人への思いを抱え、その人がいない世界を生きていこうとしていた。ギルベルトの母親の月命日、ヴァイオレットが彼の代わりを担うかのように花を手向けていたある日、彼の兄・ディートフリート大佐と鉢合わせる。ディートフリートは、ギルベルトのことはもう忘れるべきだと訴えるが、ヴァイオレットは「忘れることは、できません」と答える。そんな折、ヴァイオレットへユリスという少年から依頼の電話がかかってくる。一方、郵便社の倉庫で一通の宛先不明の手紙が見つかり。 放送前からワールドツアーを行い、世界各地で熱狂の渦を巻き起こした。作品世界へと誘ったオーケストラコンサートを経て「ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 - 永遠と自動手記人形 -」を公開。世界中で大きな反響を巻き起こした。今回は完結編。入れ子構造になっていて、かつて祖母がヴァイオレットに手紙を依頼したという女性が、祖母の歴史を辿るとともにヴァイオレットについても知っていく。監督はテレビ版で物語は完結していると思っており、吉田玲子の脚本を見てから仕事を引き受けた。2020年に映画自体完成していたが、京都アニメーション放火殺人事件により公開が遅れた。吉田玲子さんの脚本というのは、アニメ平家物語といい、NHKドラマといい状況は悲惨である。しかし悲惨な所から光を見つけ出してくるのが吉田脚本。今回の場合はヴァイオレットの純愛ですな。愛という概念を知らないはずなのに、お仕事では人々の愛情を感じ取って的確な言葉を作り出す有能な自動人形でありながら、長年思いを抱き続けているギルベルトに対しては思いを告げていいのか、自分が一緒にいていいのかためらってしまう。くー乙女ですな。きゅんきゅんします。京アニは独特の涙の書き方しますね。【特典】劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン【特別版】【Blu-ray】(特製A4クリアファイル(1枚)) [ 石川由依 ]楽天ブックス
December 21, 2022
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みなさまこんばんは。カタールワールドカップはPK戦の末、アルゼンチン代表 がフランスに勝利しましたね。1986年大会以来 36年ぶり、通算3度目の世界王者に輝きました。キャリア最後の FIFAワールドカップ となった メッシ がMVP賞です。今回はPKが試合を制する場面が多かったですね。今日はアントニー・バークリーのミステリを紹介します。服用禁止 (ヴィンテージ・ミステリ・シリーズ)Not to Be Taken原書房アントニイ・バークリー「わたしはこの日付をどうしても見過ごすことができない。そして毎年、その日が巡ってくると、決まって退廃的な一日に思えるのだ。終わりかけの夏と始まったばかりの秋の一番悪いところを合わせたような」「わたしはあの九月三日をどうしても忘れることができない。ひとりの男が苦悶のうちに死んでいくのを目の当たりにするなんて、とうてい忘れられないだろう」はいわかりやすい前振りをどうも。 アニーペニーで果樹栽培を営むダグラスと妻フランシスは、元電気技師のジョン・ウォーターハウスとその妻アンジェラと家族ぐるみの付き合いをしていた。ウォーターハウス家ではドイツ人のミッツィ・バーグマンをメイドとして雇っていた。9月3日「ジョンが具合が悪くなった」とミッツィ―がやってきて、医師のグレン・ブルームと連絡がつかないと取り乱す。行って見ると玄関でダグラスを出向かえたのはジョンで、二階で臥せっていたのはアンジェラという、誰が患者なのかわからない有様だった。ちょうどグレンの妹ローナがやってきて治療を施す。ローナはオックスフォード大学で優秀な成績を修め、ロンドンのフェミニスト界で高い地位に就いていたが、父が亡くなると兄を支えるためアニーペニーに戻ってきていた。 一時期持ち直したかと思われたジョンが亡くなった。ジョンの弟で実業家のシリルがやってきて検死解剖を要求し、ジョンの死は俄かに噂を呼ぶ。 ジョンの意外な素顔が明らかとなり、同時に関係者たちも複雑な仮面をかぶっていたことを知る。登場人物全てに容赦なく裏の顔があるので、もしかして語り手も?と推測したがそれはなかった。但し探偵役が素人なので、犯人は裁きを受けず、逆に犯人に開き直られてしまうという結果はカタルシスには程遠い。中盤で【読者に挑戦】コーナーがある。【送料無料】 服用禁止 ヴィンテージ・ミステリ / アントニイ・バークリー 【本】HMV&BOOKS online 1号店
December 20, 2022
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みなさん、こんばんは。ワールドカップの三位決定戦見ましたか?今晩は決勝戦ですね。今日は大河ドラマにも多数出演した登場人物も出てくる短編小説集を紹介します。蹴れ、彦五郎今村翔吾祥伝社「晴れのち月」タイトルの“晴れ”と“月”は武田信玄の別名「晴」信と、武田信玄の嫡男義信の妻の名前が本編で「月」音と設定されている事に起因する。心から愛してやまない二人の間で悩み苦しんだ義信が、最後に選んだのは晴れ=父ではなく月=妻であった、だから晴れのち月なのだ。 といっても、義信は謀反を起こしたわけではない。史実によれば、原因は義信の傅役である飯富虎昌らが信玄暗殺の密談をしていたことが露見し、連座制のような形で主君の義信も罪に問われた。真相は明らかにされておらず、今川と手切れを企んだ信玄と親今川派の義信の対立が顕在化していた事や、武田信玄が正室の嫡子義信ではなく、寵愛した諏訪御料人の息子勝頼を後継者にしたかった事が背景とされる。親子の確執に信玄のライバル・上杉謙信を絡ませているのがポイントだ。短編の中でよくも複雑な人間関係を作り上げたものだ。「蹴れ、彦五郎」海道一の弓取り今川義元が織田信長に討たれ、松平元康が今川を見限って織田方につく。しかし今川家はその後も存続し続けた。大河ドラマ「おんな城主直虎」でも尾上松也さん演じる今川彦五郎氏真が義元の貴族趣味を見習って蹴鞠に興じる姿が描かれてきた。偉大な父の衣鉢を継ぐことができなかったボンボン扱いだったが今村版氏真は少し異なる。「晴れのち月」でも戦国時代に珍しい夫婦愛が描かれたが、本編でも彼は自身よりも怜悧な妻・早川殿の後押しを得て領地を治め、蹴鞠で織田信長に勝負を挑む。「サッカー少年胸熱」とのコメントも。「孤城の城」意図したわけではないだろうが、「蹴れ、彦五郎」の脇役・氏規が主役になっている。北条・武田・今川はいわゆる甲相駿三国同盟を結んでおり、それぞれの娘を嫁がせていた。氏真の妻早川殿は氏規の姉にあたる。「蹴れ、彦五郎」で善人、「孤城の城」で悪人という描き訳ではなく、人物像は一貫している。秀吉の天下統一の総仕上げともいうべき北条攻めがメインの物語だ。北条攻めは全ての城が落ちたわけではなく、残っていた城もあった。『のぼうの城』の忍城城主成田長親も登場はしないが気概のある城主として話に出てくる。気概と言えば氏規のそれも大したもので、氏規の守っていた韮山城も十倍の敵を相手に四か月以上抗戦し、最終的に黒田官兵衛の説得により開城。北条家を残すために命を賭すことを厭わない家想いの北条兄弟には生きていて欲しかった。「黄金」彼が歴史上脚光を浴びたのは、清須会議の時だけである。彼の元服後の名前が何だったかなど、ほとんどの人は知らない。彼=三法師、のちの織田秀信の人生を描く。清須会議における織田の息子達の扱いを見ていると、老獪な秀吉が彼等を掌の上で転がしている様子が浮かぶ。だから駒として使われた以降の「織田信長の孫」として周囲が決断を重んじるという事はなかっただろう。彼は関ケ原の時も生き延びていた。ところがあまりにも周囲が自身を軽んじる発言をしたために。戦場で彼が見せる信長ばりの武威はここでしか見られない。 紹介した四編はいずれも偉大な男を父あるいは祖父に持つ男の物語である。先代が得た財産や地位を保つために無難な道をゆくか、己の信念に基づく道を進むべきかという分岐点が必ず彼等の前に現れ、選択によって彼等はいずれも敗者となる。ならば選択が間違っていたのかと思いきや、今村マジックによって、読者はきっとそう思わないはずである。出来過ぎたが故に誅殺された太田道灌の悲劇「瞬きの城」上杉家に反逆した新発田重家から見れば、大河ドラマで義の人と持ち上げられた直江兼続の違う面が見えてくる「山茶花の人」他ホラータッチの「三人目の人形師」「青鬼の涙」収録。デビュー以前のものや未発表のものを縁のあった出版社にて刊行。その縁については後書きで詳説しており、こちらも読みごたえあり。蹴れ、彦五郎 [ 今村翔吾 ]楽天ブックス
December 19, 2022
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みなさんこんばんは。戸田恵梨香さんが第1子妊娠を発表しました。松坂桃李くんがパパになりますね。大河ドラマ面白かったですね。鎌倉殿の13人The 13 Lords of the Shogun平家隆盛の世、北条義時は伊豆の弱小豪族の次男坊に過ぎなかった。だが流罪人・源頼朝と姉・ 政子の結婚をきっかけに、運命の歯車は回り始める。1180年、頼朝は関東武士団を結集し平家に反旗を翻した。北条一門はこの無謀な大博打に乗った。 頼朝第一の側近となった義時は決死の政治工作を行い、遂には平家一門を打ち破る。幕府を開き将軍となった頼朝。だがその絶頂の時、彼は謎の死を遂げた。偉大な父を超えようともがき苦しむ二代将軍・頼家。“飾り”に徹して命をつなごうとする三代将軍・実朝。将軍の首は義時と御家人たちの間のパワーゲームの中で挿げ替えられていく。義時は、二人の将軍の叔父として懸命に幕府の舵を取る。源氏の正統が途絶えた時、北条氏は幕府の頂点にいた。都では後鳥羽上皇が義時討伐の兵を挙げる。武家政権の命運を賭け、義時は最後の決戦に挑んだ。「鎌倉殿」とは鎌倉幕府将軍のこと。頼朝の天下取りは十三人の家臣団が支えていた。頼朝の死後、 彼らは激しい内部抗争を繰り広げるが、その中で最後まで生き残り、遂に権力を手中に収めたのが、十三人中もっとも若かった北条義時である。作 三谷幸喜【制作統括】清水拓哉 尾崎裕和【演出】吉田照幸【プロデューサー】大越大士 吉岡和彦 川口俊介出演小栗 旬 市川 染五郎 矢柴 俊博 中村獅童 中川大志 小泉孝太郎 杉本哲太 山本耕史 横田 栄司 阿南 健治 鈴木 京香 小池 栄子 草笛 光子 江口 のりこ 新垣 結衣 宮沢 りえ 青木 崇高 山崎 一 秋元 才加 岡本 信人 市川 猿之助 竹財 輝之助 山口 馬木也 國村 隼 梶原 善 小林 隆 栗原 英雄 佐藤 浩市 大泉 洋 西田 敏行 片岡 愛之助 迫田 孝也 田中 泯 八嶋 智人 佐藤 B作 菅田 将暉 松平 健 佐藤 二朗 金子 大地 新納 慎也 浅野 和之 品川 徹 芹澤 興人瀬戸康史 堀田真由 坂口健太郎 尾上松也 柿崎勇人 市村隼人 相島一之 三浦透子 石橋静河 平山祐介 シルビア・グラブ 山中崇 菊池凛子 関 智一 生田斗真第1回「大いなる小競り合い」1175年、平清盛が大権力者として君臨していた日本。伊豆の地では、北条義時が兄・宗時、姉・政子らとのんびり暮らしていた。しかし、流罪人・源頼朝が義時の幼なじみ八重と恋仲になり、男児が生まれたことで状況は一変。清盛から頼朝の監視を任されていた八重の父・伊東祐親は激怒する。頼朝が姿をくらます中、北条家にも捜索命令がくだり。家族を含め「自分のために動いてくれるのが当たり前」と思っている人達に全方位的アプローチされる義時。助命の代わりに「弓矢も持たぬ」と約束させられた頼朝は好意も忘れないが同じくらい恨みも忘れない。平家を始祖とする田舎豪族一家に訪れた新世界はドヴォルザークと共にやってくる。姫を守って馬を駆る主人公は間違いなくヒーローポジションだと思っていたらあっさり過去に遡り既成概念が覆される。頼朝は何も考えていないように見えて使える武器(源氏の嫡流・朝廷からの官位という箔づけ)を使って伊東家、北条家と平家筋の有力豪族の娘にアプローチしていたとも見える。息子を殺されて激おこだった頼朝もこの後木曽義高や義経と静御前のまだ目も明かない嬰児に対して残酷な命令を下す。ひとえに我が身を顧みて源氏の男子の執念深さを知っていたからだ。第2回「佐殿の腹」罪人・源頼朝を処断しようと兵を率いて迫る伊東祐親。しかし、北条義時の父・時政が頼朝をかばって対立。両勢力が一触即発の状態となる中、平清盛を後ろ盾に相模の武士団を束ねる大庭景親が現れる。一方、目まぐるしい展開に振り回される義時は、姉・政子らの助けを受けて頼朝と富士の山すそにいた。だがそれもつかの間、弓矢が放たれ緊張が走る。しーさまって誰。八重を思うと見せ嫡子もなく命を狙われる伊東を見限り政子・義時・山内と話す人とタイミングを正確に測る頼朝の説得力は挙兵の時更にパワーアップ。伊東と北条の「獲物はわたせん」子分同士の喧嘩に親分がきたぜの貫禄大庭景親。清盛に報告する重盛死後平家を率いる宗盛。アヴァンタイトルはしゃべっちゃった時政パパのテヘペロとカッコいい啖呵。をを!と思うがその責任を取るのはパパではなく義時。押し寄せる難題を次々片付けていったら自然とついてしまったスキルが彼の今後を支える。仲良し親子が決別することになる牧の方遂に登場。第3回「挙兵は慎重に」治承4年(1180)4月、源頼朝と引き離された八重は伊東祐親の家人・江間次郎(芹澤興人)の元へ嫁がされていた。対岸の江間館を見つめる北条義時。そんな折、頼朝の叔父・行家が北条館を訪ねてくる。怪しがる政子。しぶしぶ対面する頼朝だが、行家は平清盛へ反旗を翻した後白河法皇芹澤興人)の御子・以仁王の令旨を携えていた。 少なすぎる登場場面が寂しい渋い源三位頼政(品川徹 )しゃれこうべのストックどこから持ってくる文覚。八重に幸せっぷりを見せつける政子と気まずい頼朝。以仁王の乱を実は喜ぶ頼朝今回の彼を象徴する二面性。吹聴する伯父など怪しげな人しかこないガードが緩い北条家どうにかしよう。TLを見ていて気付いたけどあっそうか鎌倉時代バージョン「ステキな金縛り 」だった。義経と頼朝の仲を裂くお騒がせ伯父行家登場。平家は一枚岩だったが源氏はそれぞれの個性が強すぎる。「浪の下にも都の候ぞ」やがて海の底に沈む安徳帝誕生し清盛絶頂期。第4回「矢のゆくえ」治承4年(1180)8月、ついに挙兵を決断した源頼朝の一党は、伊豆国の目代・山木兼隆を討って初戦を飾るべく戦支度いくさじたくを始める。しかし、頼朝の乳母子である山内首藤経俊に助力を断られるなど、強大な平家の威光の前に思うように兵が集まらない。強気な兄・宗時とは対照的に、自身の浅慮を後悔する北条義時。そんな中、対岸の江間館で暮らす八重が義時に声をかけ。 挙兵まで毎夜「ステキな金縛り」 に悩まされる佐殿(段々バリエーションが)。「戦初めて」今回初々しい佐々木や新田がやがて北条執権を倒す側に。一本の矢が放たれたことで奥州の片手逆立ちできる器用なあんちゃんや木曾で知られたヤンキー夫婦で終わった人達の運命が変わっていく。第5回「兄との約束」闇夜にまぎれ、堤館と山木館を立て続けに襲撃した源頼朝の一党。見事に首級を挙げて勝利した頼朝は、北条義時の知恵も借り、坂東での政まつりごとの第一歩として土地の分配を始める。だが、これを知った平家方が激怒。相模では、奉行を務める大庭景親が梶原景時ら三千の兵を率いて出陣。伊豆でも、頼朝討伐に燃える伊東祐親が動き出す。これに対する頼朝は全軍を率いて鎌倉を目指すが。義経と因縁の梶原景時登場。地方の一代官を夜襲するのとは訳が違う大庭景親との石橋山合戦。煽るつもりが煽られるしー様。旗色を鮮明にしたくない三浦義村と義理堅い父義澄。洞窟にも来る ステキな金縛り ごっしー。平家滅亡まで続く?優秀な殺し屋善児は伊東家亡き後誰に仕えるのか。時政が冗談めかして言った「頼朝の首を持っていけば」が象徴する横行していた日和見と裏切り。だからこそ承久の乱で「いざ鎌倉」と御家人がはせ参じた堅い絆が尊くそれを作り上げるまでの過程が大変だったのであり、逆に元寇で御恩奉公の関係が崩れたことが鎌倉幕府滅亡の狼煙を上げた。第6回「悪い知らせ」大庭景親率いる平家方の前に大敗を喫した源頼朝の一党。この合戦で、北条家を引っ張ってきた宗時ら有力な坂東武者が戦死。敵の追撃から必死に逃れる頼朝は、信頼する従者・安達盛長らとともに石橋山山中に身を潜める。一方、兄・宗時の熱い想おもいに決意を新たにした義時は、再起を図るべく父・時政とともに甲斐を治める武田信義のもとへ向かった。どこへ行っても25里とごっしーから離れられず水かきだしまでやらされる貴公子頼朝。武士の情を見せたつもりが和田義盛の勘違いでボタンの掛け違い状態畠山重忠。愛息に家族が手を下した事を知る八重。実質北条家を託される義時。頼朝の書状を見もせずぐしゃりと潰すキーマン上総広常登場。 頼朝最大のピンチにして謎でもある「梶原景時はなぜ頼朝をはっきり確認したのに見逃したか」頼朝のオーラなど後から作った理由はあれど恨みも忘れないが恩も忘れない頼朝にとって景時の行為が彼への信頼感を絶対にした瞬間であり後の義経の運命への伏線ともなる。頼朝・頼家と将軍家二代にわたって乳母をつとめ更に頼家の妻もいる比企家。最強カードを持つ家の頭領が野望を持たずにいられるはずもなく今後北条家最大のライバルにのし上がってゆくキーパーソン楽しみ。第7回「敵か、あるいは」平家に幽閉された我が身を嘆く後白河法皇。丹後局へ救出に名乗りを上げない源氏への不満をもらす中、平清盛から挙兵した源頼朝が石橋山で大敗したと知らされ悔しさで顔がゆがむ。その頃、房総半島で再起を図る頼朝は有力豪族を味方に付けようと、千葉常胤のもとへ安達盛長を、上総広常のもとへ和田義盛と北条義時を送り込む。馬上で片手逆立ちが出来る人好きのする運動神経のいい奥州の兄ちゃんでいれば源平合戦で名を馳せる名将にはなれなくとも悲劇は避けられたのに「行って参ります」は笑顔でも戻ってくる時は寄る辺なき惨めな姿に。上総介に黄金を送り義経に軍勢を送る秀衡には中央に対する野心があったのか。今まで肩を抱き「そなたをこそ頼りにしている」のワンパターン台詞で皆を煙に巻いてきた頼朝が唯一「遅参するとは何事」と咎め「一戦交えても良い」と強気に出た事が功を奏するとことん運の良い男。女と見ると口説かずにいられない弱みは今回は良い方に出たが後妻打ちヒロイン亀の前登場。「新選組! 」では隊士達を一皮むけさせる通過儀礼として 芹沢鴨 だった佐藤浩市 さん 今回も頼朝&義時を一歩前に向かわせる一里塚になるか。頼朝の浮気にも動じず浮気相手の亀の前に行きがけの駄賃のように夫殺しを依頼されてもビジネスライクな三浦義村の優秀さよ。タイトル「敵か、あるいは」メインのこう疑う相手は上総広常だが考えてみれば梶原景時、和田義盛、そして最愛の弟義経でさえも、一度は味方になるものの…というわけで頼朝を巡る全ての相手を指すともいえる。流人暮らしの頼朝は相手を「敵か、あるいは」と厳しくチェックしてたわけで第8回「いざ、鎌倉」挙兵した源頼朝を討つため、追討軍を送る平清盛。後白河法皇は地図を広げ、丹後局らと戦況を占う。一方、奥州をたった源義経は、兄・頼朝との対面を夢見て歩みを進めていた。そのころ坂東では、上総広常らを加え勢いを増す頼朝が、鎌倉を目指して進軍。頼朝の命を受けた北条義時は、武田信義を味方に引き入れるため、再び甲斐へと向かう。 兄の待つ鎌倉に急ぎたい気持ちがあれどふと香る潮の香りに惹かれて海に行ったり目の前の富士山向かって駆けだしたりフリーダム義経。決断力もぴかいちで天才武将なのに選べる王道ではなく覇道派であることは冒頭エピソードでもわかる。 味方につくなり選挙の顔ならぬ先陣の顔扱いされる畠山重忠(美男だったらしい&のちに義時の義弟)。誰でもよかったお使いにだされすねる時政パパ。「親子の縁うすく主人が早く亡くなる」と全成に予言されたのに自身の性欲のため政子の鎌倉入りを一日遅らせてしまう頼朝の自業自得。虚勢を張るが学はなく頼りがいがある上総広常、いつまでも少年漫画みたいな事を言っている和田義盛、義時の懐刀的存在となっていく年下の三浦義村、序列は重んじる土肥実平、三浦義澄ら年配層と見事に寄せ集めの佐殿の軍の調整役が10代の若者義時。武田信義が「京へ上って平家を倒す」と言っていたがこの後平家を倒して京に上った木曽義仲も義経も大天狗ごっしー&丹後局に手もなく転がされ京の魔に捉われてしまうわけでぎりぎりまで上洛を粘って京に留まらず征夷大将軍のみを望んだ頼朝の作戦勝ち。第9回「決戦前夜」ついに鎌倉入りを果たした源頼朝の一党。敵対した平家方を捕らえるため、頼朝は競わせるように和田義盛と畠山重忠を派遣。これを知った北条義時と三浦義村は、祖父・伊東祐親と八重を救うため急ぎ伊東へと向かう。そのころ、都を出た平家の追討軍が東海道を進軍。甲斐では、出陣を約束した武田信義が義時の父・時政に。 武田信義と源頼朝のパワーゲームの駒に使われる平家期待の御曹司維盛率いる追討軍。戦ボケしている平家が水鳥に驚き逃走し坂東武者達の鎧は蔵から出してきたようなボロボロ。長年の平和が垣間見える両者の光景。これより形勢逆転しやがて波間に浮かぶことになる平家の赤旗。 源氏の棟梁と持ち上げてくれていても所詮所領と家が大事な坂東武者に西進を阻まれ改めて孤独をかみしめる頼朝。そこへ平清盛打倒という同じ志を持つ(顔は似ていない)弟が現れる。美しき兄弟再会の名場面。しかし強すぎる愛情はまた反対に振り切れれば同じだけの憎悪にもなりうる。頼朝が北条邸に隠れていることも石橋山への加勢も常に形成有利な方ばかりを選んできた三浦義村13歳が血を分けた祖父のために坂東武者の前に立ちはだかるこちらも名場面。八重に手をさしのべて無視されてもへこまない 新選組! 土方歳三からの転生組。平和ボケして水鳥の羽音に怖じて真っ先に戦場を逃げ出す情けない御曹司には描かれていない維盛。さすが重盛の嫡男。しかし一代の英雄清盛を越える人物は平家一門に現れず求心力を失った平家の落日「偉大な父の跡を継げない息子」という呪いは頼家・実朝にブーメランとなって降りかかる第10回「根拠なき自信」平家の追討軍を見事に退けた源頼朝。これを聞いた後白河法皇はほくそ笑み、平家の総帥・清盛は都を京へ戻すことを決断。奥州の覇者・藤原秀衡は義経の文を一読し、静かに源平の様子をうかがう。そんな中、鎌倉では八重が侍女として頼朝のそばで働き始めるが、北条義時の気づかいに亀が疑念を抱くなどそれぞれの思惑が入り乱れていた。「こちらとは比べ物にならないくらい美しい所」奥州攻めの遠因となる義経の平泉自慢。自分が頼めば3000の兵を送ってくれるくらい御館に愛されているのだと自慢する義経。当の御館は清盛と義経の両方に色よい返事を送り言質を取らせず証拠書簡も抹消と満点の回答をするフィクサー。大庭景親の決め台詞「あの時頼朝を殺しておけばとお前もそう思う時がくるかもしれぬの上総介」鎌倉幕府でこの後何度も発揮される乳母縁故により助命された山内首藤経俊とは異なり恐れも泣きもせず自分とかつての同僚の行く末を見据える大庭景親。 ヒヨドリがツグミであったように若武者姿も麗しい義経の幻に終わった佐竹の逆落とし。彼の提案した作戦は鵯越の逆落としとして背後を全く用心していなかった平家を壊滅状態に陥らせる。「九郎ほどの才があれば己一人で大願を成し遂げよう」御館の予言がやがて現実に。「戦は一人でするもんじゃねえんだよ」「しなくてもいい戦もある」と国際平和に通じる名言を義経に吐きながらも自分に対する暴言「老けた」であっさり戦を始めてしまう上総介&坂東武者。出兵してくれた見返りに坂東武者の争いに関わることを受け入れた頼朝と納得のいかない御曹司義経。平家物語 では維盛のトラウマとなってしまう富士川の戦いの結果を聞き大喜びのごっしー。清盛に助力を申し出る裏で文覚に清盛呪詛をリクエスト。義経の膝枕カウンセリングでひと財産つくれそうな政子。あんなに薄気味悪いのに法皇とのネットワークがある文覚恐るべし。 北条姉妹に厳しく都作法をレクチャーしている行為がブーメランとなりこの後後妻打ちで頼朝から酷い目にあう牧宗親登場。自分の分身・亀を育てながらわかりやすく前妻に嫌がらせをする亀の前も同様で因果は巡る。第11回「許されざる嘘」鎌倉では、源頼朝の新たな御所が完成。坂東武者に平家の旧領を恩賞として与えるなど着々と体制が整えられ、北条義時も慌ただしい日々を送っていた。だが、りくは、頼朝の舅しゅうとである夫・時政の処遇の低さに不満を募らせる。一方、都では平清盛が敵対勢力の掃討に乗り出し、その苛烈さに人々が恐れおののく。そんな中、平家討伐を焦る義経は集った兄たちの前で。親は異なる思いで名付けたろうに名前とは裏腹の悪事ばかりに手を染める善児。梶原善 さんの無表情がまたなんとも。タイトルは義経が義円についた嘘と頼朝が義時についた嘘。前者はただでさえ少ない源氏を自ら減らすことになり後者は実は許していなかった頼朝の恨みが機を得て晴らされた。源氏中心のドラマでは勇猛果敢な知盛以外大体凡庸扱いされる平家だが富士川の戦いで取り乱さない維盛を描いたように本編の宗盛も父から託された遺言を必死で果たそうとする孝行息子。予測を越えた人生を送ってきた清盛の予測すら越えたところで生き延び続ける頼朝が相手なので手ごわい。主が命じたことを特に何の屈託もなくそつなくこなせるのは確かに「善」き「児」ですよねぇ。「平清盛」 で平家全盛の頃平家に盾突く者を問答無用で斬っていた禿の無表情と通じるものがある。第12回「亀の前事件」北条義時から父・伊東祐親と兄・祐清の死を告げられ、憤る八重。義時は八重をいさめ、源頼朝から与えられた江間へと八重を送る。政子が懐妊し頼朝の嫡男誕生への期待が高まる中、比企能員が比企尼を伴い鎌倉に出仕。さらに、三善康信から推挙された官僚・大江広元らが都から下向し、新たな関係が動き出す。後妻打ちは後に尼将軍となる政子の気性の激しさを表すエピソードとして通常使われるが今回は頼朝が義時の技量を見極め時政が一旦頼朝を見限るに至る楔の回。御台所としての品格が備わる政子とまだ頼朝に拘る八重の対比。部外者だからこそ現在の鎌倉殿の問題点を指摘する大江広元。兄の愛を独占したいが働きどころを得ず鬱屈が溜まっている義経の罪を見逃さないのがいつも景時(今回の景時は讒言バージョンではない)。御家人への手前弟でも不問にできずさりとて愛情を振り捨てることもできない頼朝のとばっちりが牧宗親にふりかかる。八重の次は亀の前にアプローチする義村は女を手に入れることでマウンティング?見栄えキャラであることを受け入れる重忠。二代続けての乳人で御家人中の地位を一層高めて野心の片鱗は見せない比企。乳飲み子千寿が早々に政子から引き離されていたことが比企家接近のきっかけをつくる。当然政子の父時政に行くと思っていた乳母人の座が比企能員に行ったのは鎌倉殿と呼ばれても平家ほど結束の固い一族を持たなかった頼朝の御家人権力分散を図るバランス感覚。後に後白河法皇も同様のバランス感覚で頼朝を立てつつも京に上ってきた義経や義仲を厚遇する。第13回「幼なじみの絆」政子(小池栄子)が男児を出産し源頼朝の嫡男誕生に沸く鎌倉であったが、頼朝の浮気が大騒動に発展。激怒した北条時政は伊豆へと戻り、これを比企家の好機と捉えた能員は源義経らに近づく。そんな中、義時は八重のことを一途いちずに思い、鎌倉と江間を往復する日々を送っていた。一方、平家に敗北し再起を図る源行家は木曽義仲を頼り。比企家の企みに呆気なく乗せられ木曾行きが不意になった兄譲りの女好き義経となぜか行く所行く所女難の頼朝。“港港に女あり”を地で行きそうな年齢制限なしで出会う度口説いている従兄義村に比べ13話にしてやっと初恋が実る主人公義時の純情さよ。身内でごたごたしている源氏嫡流に比べて乳母子の今井兼平、その妹巴御前、兼平の妹との間にもうけた息子義高とミニマムゆえにまとまっている木曽源氏。厄介者の伯父行家を受け入れる懐の広さを見せ源氏同士で争わないと決めていた義仲がこの先変わってしまうのは都の魔力によるものか。僧侶二人の呪詛ならさぞや霊験あらたかに思われるがなぜかお互いの効果を消し合っているように見える。スター武将義経の陰に隠れた凡才ではなく理性的な判断ができるが間の悪いキャラクターとして描かれている蒲冠者範頼。曾我兄弟の仇討ちの時のあの一言もついうっかり言ってしまうのだ。アバンから時政がいないがその場所に違和感なくすっと入り込み会話にも無理なく混じっている比企能員の自然さがすごいなと思った。時政のように直情的ではなく世慣れていてこれは強力なライバルだ。第14回「都の義仲」嫡男・義高を鎌倉へと送った木曽義仲は、平家の追討軍を撃退して上洛。敗れた平宗盛(小泉孝太郎)は、三種の神器とともに都を落ち延びる。義仲の活躍に焦る源頼朝であったが、義仲と後白河法皇との関係が悪化すると、弟・義経を大将とし派兵することを決断。しかし、利益のない戦に御家人たちが不満を募らせる。八重も気にかける中、義時は。 木曾にいて地の利を生かしたからこそ多勢の平家にも勝てた義仲も気取った都風では身動きも取れず精彩を失っていく。義仲に三種の神器の重みがわからないように義仲の自らの武の証である刀を献上しても都人にはそのありがたさはわからない。まさかの昆虫博士だった義高のためにセミの抜け殻を渡しながらお互いにもう会うことはないだろうと思っている義高と義経。その予想は当たっているが義経が兄頼朝と夜を徹して語り合う機会もまた来ない。誰にも予測できない未来。丹後局とは不倶戴天の敵のはずだが今はまだそこまで溝はない九条兼実。鎌倉にいながら進言によって第一の褒美を得る頼朝。しかしもう一人の源氏清水冠者が現れ旗頭を得た御家人が反頼朝に立ち上がる。新選組! 歳三を前に彼の台詞「待たせたな」を言う上総介広常。理想的なごっしーシナリオは木曽義仲が都の平家を追い払い譲位が可能な三種の神器を平家から奪った後自分の領地に戻ることだったがいずれもかなわず膨れ上がった烏合の衆が暴徒化してえらいことに。大人の都合でもっと良い所へ連れていかれる安徳天皇と一生ひきずる縁を結ばれる大姫義高。第15回「足固めの儀式」源義経率いる一軍が迫っていると知った木曽義仲は、後白河法皇を捕らえて京に籠もる。一方、鎌倉では御家人たちが謀反を計画。上総広常も加わり、義仲の嫡男・義高を旗頭とし、都ばかりに目を向ける源頼朝の失脚をたくらむ。義時は御家人たちの計画を潰すため大江広元らと連携し。鎌倉殿と崇めながら所詮は我々が担いだ神輿にすぎずすげ替え可能と皆が見ていたことを百も承知の上で自分を脅かす者はこうなると皆の前で敢えて影響力の大きい上総介を成敗する作戦を立てた冷徹な頼朝。フェーズが違う作戦しか知らされていなかった(今はまだ)義時。逃げる姿に芹沢鴨み。今回の制裁は神輿に乗らなかったが間違いなくなり得る義高へのアピール。畠山重忠のいう事には何でも反対する義盛とそれを読んだ重忠のナイスパス。反乱軍が成功した場合も考えていた比企。今回は胸に一物あり本心を出さないキャラが多い。鎌倉殿とは別ルートの御家人ヘルプデスク政子。従来は義経への讒言で嫌われる景時だが今回はFBI長官フーヴァー&スパイみたいな役回りをやらされているが故に嫌われそう。これまでは「嫌だ」という権利が御家人にあったがこれからは嫌だといえばこうなると目の前で見本を見せられ言えなくなってしまう。今回で鎌倉の権力が逆転した。第16話「伝説の幕開け」御家人たちをまとめ上げた源頼朝は、弟・範頼を総大将、梶原景時を軍奉行とした本軍を派兵。八重に見送られた義時も従軍し、先発した義経と合流する。後白河法皇を捕らえ京に籠もる木曽義仲、福原を拠点に復権を伺う平宗盛に対し、鎌倉方は義経の天才的な軍略に導かれて奮戦。畠山重忠らが華々しく駆け。留守居部隊で赤ペン先生と化す大江広元。お手本梶原景時、細かすぎてわからない義時、勢いだけがある土肥などそれぞれ個性が出る中でなぜか絵手紙和田義盛。平家を倒す義のある戦であり法皇からのお墨付きを頂き最後まで頼朝と争うつもりがない。人柄的にも申し分ないにも関わらず滅びてゆく木曽義仲。この時代正しさは人を救わない。兔のような妻とは正反対の猛女巴と運命の出会いを果たす和田義盛。武運つたなく果てる木曽義仲。気配を感じたかのように立ち上がる義高は、敗軍の将の息子がどういうものかを知り尽くしている頼朝のもとに残される。何も知らない大姫の求めに応じながらも表情が今までと明らかに違う清水冠者。本作では奥州藤原氏の動きを頼朝がかなり警戒していた設定。水を得た魚の如く名だたる武将たちを従えていく義経とかなり的確に彼の計画を読む都でも人気者の畠山重忠。これだけ戦好きな義経だが戦がなくなった時彼の居場所は。狡兎死して走狗煮らるのことわざが頭を過る。スタッフは絶対 「終わりよければすべてよし」 パローレス役の 横田栄司 さんを見て史上最も可愛らしい 和田義盛 を作り上げようとしているに違いない。しかし最後に来るのが和田合戦という。武衛泣きbabyもとい金剛 俺たちの泰時 が大きくなる頃には安寧な世になることを願う義時だが承久の乱ではこの泰時が総大将となり戦を指揮する身に。義村がいきなり預けに来た未来の妻とご対面とこちらも人生のメインイベントが地味に起こっている。第17話「助命と宿命」源義経の軍略がさえわたり連勝に沸く鎌倉方。しかし、木曽義仲の討伐により鎌倉に再び暗雲が立ち込める。義仲の嫡男・義高を危険視する源頼朝は、戦勝報告のため範頼とともに鎌倉へ戻っていた義時に義高の処断を命令。大姫を思う政子は憤り、義高を救うため奔走する。一方、頼朝に試された義時は八重ら家族を思い。まるで 歴史探偵 を見ていたかのようにアヴァンタイトルで思いっきりフェイクニュースを肯定する義経。 工藤祐経を親の仇と付け狙うちび曽我兄弟。彼等もまた親の仇を忘れない息子達であり親を討った男が子供に仇討される輪廻は鎌倉将軍家まで延々続く。女装してますます麗しい義高。義時を信じなかったが故に敵の真っただ中に飛び込み敢え無く最期を遂げる。大姫の傷は一生消えることなく。 戦がない世では為政者は腕を振るえるが天才武将には居場所がなく常に闘争本能を抱えるかえって危険な相手。奥州藤原氏という有力なパトロン&法皇も味方につけた義経が頼朝にロックオンされる日はすぐそこに。かつて義仲の必死の訴えを破った義経の手紙が着てはもらえぬセーター扱いに。誰もが鎌倉殿の意向を気にする一種恐怖政治のような状態になってしまった鎌倉。政子の何気ない一言さえも御家人の生死を決する。目指していた坂東武者の世とはこんなものだったのか。巴にでれでれの和田義盛が癒し枠。実際は「捕まえたのに大姫に一言も断らずに何で勝手に殺したのか」と政子が頼朝を押す形で処刑された。私情優先御台所こわい。本当に女房姿で逃れたのか。いやお綺麗でした~。このドラマは初回から子供が戦の犠牲になる様を描いてきたけれど大姫もその一人。生き残ったにも関わらず7歳の初恋が13年も心身を蝕んでしまう。男は武家の頂点女は公家の頂点という頼朝の抜けない貴族発想の犠牲にさせられそうになりほぼ自殺のような形の病死。第18回「壇ノ浦で舞った男」苛烈さを増す源平合戦。必死の抵抗をみせる平宗盛率いる平家軍に対し、源頼朝は義経に四国、範頼に九州を攻めさせ、逃げ道をふさぎにかかる。しかし、範頼軍は周防で足止めをくらい、義時・三浦義村らが状況の打開に奔走。一方の義経軍も、後白河法皇の命により摂津から動けずにいた。そんな中、梶原景時の献策を一蹴した義経が。代筆恩人宗盛と息子を会わせたり腰越の芋の約束を覚えていたり義経が単に情のない人間ではなく“戦のためには情を捨てる”男であることをかっちり見せる。同様に“政のためには情を捨てる”兄頼朝と非常に良く似ている。そして義経の最大の理解者であるからこそその危険もわかっている景時。 父と法皇の狭間で苦労した重盛に対して頼りないと評価が低い宗盛だが、今回比較される碇知盛も登場しないまま全て悟ったような表情が印象に残る。戦いが終われば義経にの相談に乗ったり頼りになる人格者描写。頼朝が「宗盛にいざ会っても恨みよりも有難さが先に立つ」と述べるのも自然。暴走気味の義経と頼朝、義経と御家人のパイプ役として今回株が爆上がり蒲殿。御家人からはくそ真面目と言われても基本に忠実な姿勢が義経よりほんの少し長生きさせる。そして範頼と頼朝の仲を裂くのも起請文の“ある一語”で今回ドラマでは悉く手紙が人の仲を裂いていく。直接会ってれば。「平清盛 」は壇ノ浦と奥州征伐が駆け足で語られたため 神木隆之介 版義経は確か「自分が兄上の成していくことの人柱になるならば」と偉く達観して滅んでいったのですが今回の #鎌倉殿の13人 ではどうなっていくのか。第19回「果たせぬ凱旋」鎌倉入りを許されず京で悲嘆にくれる義経。義時は大江広元に知恵を借り、源頼朝と義経との関係修復を模索するが、後白河法皇はそれを許さない。愚痴をもらす頼朝に対し苦言を呈す八重。この状況を政子が憂う中、京では義経をめぐって里と静が対立。さらに源行家が義経に近づいて頼朝への疑心をあおり。彼がロックオンした源氏は全て亡びる人間デスノート行家。まがい物の髑髏にまですがろうとした頼朝の願いも空しく兄弟決裂。義経を戴き挙兵する事に積極的な国衡とずっと押し黙る秀衡の後継者泰衡。義経が辿る運命はこの時定まっており次回帰って来る九郎はおそらく完全な姿ではなく。義経追討にかこつけ地頭配備で西国統治も目論んだ頼朝だが地頭の評判が悪く大江広元VS丹後局会談であらかた却下される。平家の占有状態を長らく見て来たごっしーならではのバランス感覚だが猜疑心の強い頼朝には日和見主義に映り大天狗呼ばわりされる。 義経が静に「兄上に舞を披露」と告げた言葉は皮肉な理由として二人に跳ね返り助命嘆願するなら決して舞ってはいけない舞を舞う静御前。怒った頼朝を政子が止めて御家人の気持ちがあちこちゆれる名場面が次回やってくる。 ごっしー倒れる!シーンの3人の阿吽の呼吸がたまらない。まさか高貴なお方が自分に嘘をつくとは思っていない義経はあっけなく騙される。義経により奥州でも再び起こる兄弟不和。結束の固い(そして運の良い)一族だけが鎌倉時代を生き延びる。第20回帰ってきた義経京を離れ、奥州へ逃れた源義経。しかし、温かく迎え入れてくれた奥州の覇者・藤原秀衡が程なく死去。これを知った義時は、状況を探るため平泉行きを志願するが、義経の才を恐れる源頼朝(大泉洋)は、藤原国衡・泰衡兄弟の仲の悪さにつけ込み義経を討つように冷たく命じる。八重(新垣結衣)に見送られ、平泉へと発たつ義時。一方、捕らわれた静御前は鎌倉で。義経や義時から生きるために勧められても我が身を偽ることを良しとしなかった静御前。「昔を今になすよしもがな」で激怒した頼朝を政子が宥めて静に寄せられた同情を鎌倉殿夫妻への称賛に変えた逸話。女の意地を眼前で見せられた大姫が入内を拒むのも納得。「平家を亡ぼしたのはお前だ よくやった 大将軍だ 」兄がくれなかった最大級の賛辞を送り兄が聞く事のなかった戦話を喜んで聞いてくれた御館。若葉の中で送り出した若者に奥州を託し血のように赤い紅葉の中で斃れてゆく秀衡。奥州藤原氏の没落が始まる。わざと静御前とその子の行く末を自分に聞かせた事もわかった上で自分を信じてくれた秀衡への恩から首を差し出し奥州安堵を願い出る義経。対立しても最大の理解者だった梶原景時に託した鎌倉攻略の策。鎌倉幕府は義経の策通り新田義貞のまさかの海からの攻め稲村ケ崎攻略によって滅びる。この扮装でやり過ごしたであろう涙の勧進帳もなく弁慶の立ち往生もない。「こんなもんでどうでしょう?」と義経の前でコスプレする弁慶(最終形態は皆知っているのに!)と「世話になった」「よしてください」と少年漫画のような爽やかなやりとりをする義経の言葉にならない絆が描かれた。頼朝の子というだけで千鶴丸が殺されてからずっと続く「誰々の子(特に息子)」というだけで殺されてゆく幼子。そしてどんなに命脈を絶とうとしても生き残って仇を討とうとする男子もずっと続く。第21回「仏の眼差(まなざ)し」源義経を失った奥州に攻め込み、藤原泰衡を討ち取る源頼朝。義時・畠山重忠らが在りし日の義経をしのぶ中、頼朝は毅然と上洛に向けて動き出す。一方、京の後白河法皇は丹後局と今後の動静を憂慮し、きたるべき日に備えていた。そんな中、鎌倉では八重が子どもたちの世話に奔走。八重の明るい表情に、政子も目を細めるが。「悪であれば天が罰を下す」なら今回の事故は罰?鶴丸という名を聞き何かを思い出した表情を浮かべた冒頭から最後は決まっていた八重は水に沈んだ我が子の後を辿るように死ぬ。「御家人が争わぬ限りは戦は起こらない」フラグを立てる義村。比企と北条のマウント合戦(比企が食い気味)。 泰衡に義経を裏切らせ部下に泰衡を裏切らせて尚「これから大事なのは忠義」と言い放つ頼朝。ごっしーの八つ当たりで不憫な知康。現代ならばこっくりさんが好きなJKになっていそうな大姫。“今は”にこやか畠山夫妻と北条夫妻。妻をだしにしてうまくごっしーを振った年の功時政。新選組! 新見錦から三谷作品に戻ってきた相島一之。武家に好まれそうなはっきりした彫刻の運慶役。現妻と現夫の前で延々と元カノとの昔話をする鎌倉殿。この時生まれたのが時政・牧の方鍾愛の子であり、唯一の男子であった政範。だが彼は16歳で亡くなり彼の死が、畠山重忠の乱、牧氏事件と続く北条氏一族内紛のきっかけに。仲の良い北条ファミリーを見られるのも今のうち。第22回「義時の生きる道」源頼朝の上洛が決まり、命に従い随行する義時。大軍を率いて念願であった京へと上った頼朝は、後白河法皇、九条兼実と会談。今後の世のあり方を思い描く。そんな中、自分たちには利益のない上洛に、三浦義澄、岡崎義実、千葉常胤らが不満を募らせていた。一方、比企能員は比企家の地位を盤石にするため、一族の比奈を。息子は武士の頂点、娘は天皇家の頂点という頼朝の貴族的発想により勧められる大姫入内プロジェクト。天皇の後継者レース、頼朝は参戦すらできず、九条兼実は娘を嫁がせるが後継ぎを生んだのは丹後局の後援する源在子で土御門天皇の国母となる。夢枕その他で会い続けた腹に一物抱える傑者同士の対面で宣戦布告し孫に朝廷の権威を守り抜くよう遺言するごっしー。清盛、頼朝と時代のスターを見続けてきた法皇逝く。戦のない世を目指した頼朝が戦大好き坂東武者を抑えるために得た征夷大将軍位を巡りこの後翻弄される源氏一族。厳めしい顔で政子に近づいて次第に征夷大将軍位になった悦びを顔いっぱいに表現する所は大泉洋 ならでは。久々の心からの笑顔だったのでは。ヘッドロックをかけた過去を懐かしく思い出す北条姉弟。妻不在で大変な事になっている江間こども園。衣装の下に鎧を纏うなどどちらに転んでも良いように図る策士比企氏と鎌倉殿一点賭けの時政。義経の「どこで戦えばよいのか」という問いが今度は坂東武者に突き付けられる。朝廷の権威を守る事を託すのと同時に「楽しまれよ」が遺言とは 平清盛「遊びをせんとや生まれけむ」からのロングパスか。芝居では頼朝にマウント取りながらも裏ではスープカレーの美味しさを教えて貰った礼を言う九条兼実。第23回「狩りと獲物」嫡男・万寿の披露目の場とするため、御家人を集めて富士の裾野で巻狩りを行うことを決めた源頼朝。工藤祐経が賞賛する中、頼朝を憎む曽我十郎・五郎兄弟らが謀反を計画。梶原景時から企みを知らされた義時は、急ぎ五郎の烏帽子親である父・北条時政のもとへと向かう。不穏な気配が漂う巻狩りには、義時の愛息・金剛も。「成長著しい金剛」テロップでも優遇される俺たちの泰時 王道より覇道を伝授された真っ黒景時の必勝法は「毒餌を撒く」(万寿から却下される)万寿の放った矢が能員の足をとどめるのは彼の病気が比企一族の反映を押しとどめる比喩か。「浮気心が身を助ける」起こったシチュエーションは7話と同じ。危うく曽我兄弟の襲撃を逃れた頼朝だが声が聞こえなかったと義時にだけ語る頼朝。天運が尽きかけていると感じた時に知らされるまさかの温厚な弟蒲殿の不穏な動きが猜疑心に火をつける。第24回「変わらぬ人」源頼朝と万寿が巻狩りを終えて無事に戻り、喜ぶ政子。しかし、頼朝は自身に代わって鎌倉殿の座に就こうとした弟・範頼を許さず、余波が鎌倉を揺るがしていた。比奈(を傍らに、三浦義村、金剛と思いを巡らせる義時。そんな中、亡き許嫁いいなずけ・源義高を慕い続ける大姫(南沙良)は、頼朝が用意した縁談話を歯牙にもかけず。第25回「天が望んだ男」身に降りかかる不幸が続き、不安にさいなまれる源頼朝。政子が心配する中、過剰に助言を求められる全成は困惑し、実衣と思案する。一方、源頼家に長男・一幡が誕生。比企能員は鎌倉殿の継承に心を躍らせ、比企の台頭を危惧するりくは北条時政をたきつける。頼家から呼び止められた義時は、三浦義村から。後継誕生で悦びに湧く比企一族。これで鎌倉殿後継者の座は比企に転がってきたと喜んでいるが頼家が望む正妻は源氏縁の女性。出任せを言われて満足に抱きもしない祖父とご対面の悲劇の子一幡誕生。あれほど生きることに執着し「周り全ての者が自分を害さんと企んでいる」と疑ってかかっていた頼朝が神仏を含めた何者への恐れも執着も失くした途端に鈴の音と共にやってくる死の影。よりによってとっておきの和田義盛と巴のラブシーンを邪魔したのが惜しい鈴。結局の所思いっきり後ろを振り返った頼朝が皆に別れを告げるように残してゆく鈴の音。「どこぞの入道のように貿易をして」という台詞は 平清盛 で清盛に憧れていた頼朝を彷彿とさせる。「朝廷を支える」という意識を持っていた最後の武士頼朝が亡くなったことで後の承久の乱が。第26話「悲しむ前に」安達盛長が涙に暮れる中、義時は先を見据え、大江広元らと頼朝の嫡男・頼家を次の鎌倉殿とする新体制作りを始める。しかし、比企能員の力が増すことを嫌うりくが、夫・北条時政をたきつけてこの流れに対抗。鎌倉に不穏な空気が流れる中、狩りから戻った頼家は。 「頼朝が北条館に匿われている」という秘密が瞬く間に広まった第1回の如く頼朝危篤の報が御家人たちに広まる。「これで坂東武者の世が戻って来る」「馬から振り落とされるとはみっともない」今まで出てこなかった御家人の本音。三谷作品では水垢離をすると必ず祈願した相手が助からない。第1回と同じ問の頼朝に在原業平の「白玉か、何ぞと人の問ひし時、露と答えて、消えなましものを」を思い出す。業平もあの時答えていればよかったと悔やみ政子も人を呼ぶ前に頼朝に答えていればと悔やんだに違いない。まだ息のあるうちから半ば亡き者として死後の政権が話し合われ生前出家が行われて烏帽子が外されていく。葬儀場所の建設が進む中でただ一人助かる事を願う政子の献身と逝く主君を嘆く盛長。梶原景時畠山重忠に止められなければ医師を絶対斬る気だった。義弟より息子を取ったことで時政と政子・義時の間に亀裂が。牧の方がどんどんマクベス夫人になって来る。時政がマクベスになるには人が好過ぎる。マクベスに相応しいのは何気に態度が大きくなってきた鎌倉殿の舅比企能員。頼家の鎌倉殿就任で一歩先を行き三浦義村が御家人レースに復活第27回「鎌倉殿と十三人」土御門通親から源頼朝の死を知らされ、思案する後鳥羽上皇。鎌倉では宿老たちが居並ぶ中、新たに鎌倉殿となった源頼家が自身の方針を表明。これに北条時政と比企能員は共に困惑し、梶原景時は賛辞を贈る。その様子を政子に報告した義時は、弟・北条時連と愛息・頼時(坂口健太郎)を頼家のもとへ送り出し。ずっと蹴鞠をしながら話している後鳥羽上皇。アヴァンタイトルが名探偵後鳥羽上皇みたいになっており伝えられない頼朝の死因を一発で当てて見せる利発さを見せる。一方偽の髑髏を渡される頼家。院の近習から鎌倉の蹴鞠教師にとらばーゆした平知康。「わしはそんなに頼りにならぬか」ぽろぽろ夜に涙を流す鎌倉殿の美しさよ。13人の誘いを断りひとまず北条VS比企の闘争から逃げた重忠。「金は貰うがどっちにつくかは俺次第」一人だけクリント・イーストウッドみ八田知家。気が強くて怒りっぽく自身に実績も自信がないのもわかっているが故にもどかしくだからといって宿老に頭を押さえつけられているのに我慢がならない誇り高き鎌倉殿が見事。13人に対抗して6名の親衛隊設立を宣言し「鎌倉殿」と「13人」の対立構造を作ってしまう。「初代の息子だから二代目になっただけのことだ」と御家人も当然そう見ているしひしひしと感じるのもわかるが「俺はお前たちを信用しない。先代も信用なんかしていなかった」と宣言するのは若気の至りでそれを聞いた宿老達がどう思っているか。会社なら確実二代目でつぶれるパターン。第28回「名刀の主」北条時政と比企能員との争いにより、義時と梶原景時の構想から大きく逸脱し、13人まで膨れ上がった訴訟の取次を行う宿老たち。鎌倉殿となり気負う源頼家はこれを自身の力を侮っている結果だと捉えて憤慨し、北条時連・頼時ら若い御家人をそばに置いてけん制する。そんな中、13人の宿老たちが集まり常陸の御家人の土地争いについて評議を。 アヴァンタイトル今回はイケボ名探偵八田知家。サリエリだから他の御家人がバカに見えてしょうがない梶原景時。合議制はそれぞれが優秀であればこそ成り立つ。いきり立つと「表に出ろ!」の坂東武者には合わなかった。 安達藤九郎の嫁を無理やり奪おうとした件では母と伯父に怒られるみっともなさでミソをつけたが梶原対結城朝光の争いについては御家人の顔を立てた裁きを見せる頼家。頼家を名刀でないと見限った梶原が鎌倉を去る決意をする。あっという間に13人が11人になりパワーバランスが揺らぐ。13人の外から暗躍し始める義村。自分のアピールポイント=見栄えに納得する重忠。昼顔 が始まってしまう結城朝光&阿波局。呪詛しているのか嫉妬しているのか微妙な全成。張り合う比企VS北条に遂に運命の子が頼家の正室に宿る。 文武に優れ朝廷からも一目おかれ策略家で手を汚す事も厭わずそれ故に御家人の恨みを一手に買う大河史上最高の梶原景時をありがとう。引き際までかっこいい。伊東→梶原→北条と譲渡されるアサシン善児。第29回「ままならぬ玉」御家人たちのバランスが崩れ始めた鎌倉。義時は北条と比企との争いの激化を懸念し、頼時と比奈を前に決意を新たにする。そんな中、つつじが源頼家の次男・善哉を出産。三浦義村が乳母夫となるが、比企能員は長男・一幡こそが嫡男であるとけん制。一方、北条時政はりくから政子の次男・千幡を頼家の跡継ぎにと。盟友義澄が逝くのは悲しいが「一緒に逝こう」と言われると思わず手を振り払う時政(酷い)指示した証拠も巧妙に残さず口頭命令で全成に鎌倉殿呪詛を命じる時政&牧の方。最後に残された人形を拾った手は誰。国司となっても欲望が止まない鎌倉版マクベス夫妻。親子揃って「女子は茸好き」と信じている勘違い義時&頼時。未だ達成感が感じられないまま型破りな方法で問題を解決してきた頼時への嫉妬から頼朝縁の名前を奪う頼家。鎌倉殿のためと言いながら御家人同志が己の欲に暴走している様も冷静に見極めている決して暗君ではない頼家。梶原景時に続き安達、三浦と比較的良識派&穏健派の宿老が去り意図的にどんどん悪い顔が増えていく比企能員。頼家将軍就任の時の下を向いた時の笑みときたら。親の思惑を越えて自分と向き合って欲しいと訴えたせつにようやく心を向けて嫡男を決める頼家。「いつまで比企の好きにさせておくつもりだ」次第に自分の思いを口にするようになる義村。義時の嫡男と縁組しいよいよ中枢へ。ラッキーカラーの赤を身にまとわなくなり夫婦の間に隠し事も増えてしまった阿野夫妻だが甥を救ったことで改心した全成によって関係修復に向かう。だがその先は。第30回「全成の確率」源頼家に対して呪詛じゅそを行った疑いにより、詮議を受ける阿野全成。比企能員はその背後に北条家の暗躍があると確信し、対決姿勢をさらに強める。そのころ北条家では、夫・全成を巻き込まれて激怒した実衣が父・時政を追及。名乗り出ようとする時政だが、りくに止められる。義時は北条家を守るために一案を講じ、畠山重忠の助力を得て。鎌倉一露出が多い八田知家を嵐の中で阿野全成を斬らせる立場に回す鎌倉版水も滴るいい男。伯父の首桶を見たり若くして裁断を下す心労が強く遂に倒れる頼家。領地を多く持つ御家人が少ない御家人に分け与えるという案は決して悪くなかった。このまま彼の治世がつまずきつつも続いていれば 北条と比企の確執の犠牲になる阿野全成と実衣。彼等で終わりではなくこれは始まり。絶対呪詛が当たらない全成。もはやその名前(全て成す)さえ皮肉に見えた男が死に際で見せた大嵐を伝え聞き微笑む実衣。「全て比企に任せておけばいい」を素直に聞いてくれない孫頼家を抹殺し頼朝が立ったように武家の頂点に立つことを愚かな夢と言いつつ信じ切っている比企能員。あの圧を跳ね返して若き二代目鎌倉殿として命令を下す頼家。金子大地佐藤二朗 二人が創り出したひりひりする場面。幻のように瞬時に消えた13人宿老。毎回いろんな人から「何とかしなさい」と言われ眉間の皺が深まる義時。尼姿ケアで妹と会話のきっかけをつかむ政子。揉め事が起これば起こるほど楽しそうな義村。義時に頼られている重忠。頼朝弟についてあまりにも知らなすぎる義盛。平知康義仲・義経・頼家と全て源氏絡みのイベントで解官されるいかにも平家らしい人物。しかしこんな血なまぐさい時代を得意の蹴鞠でよく生き抜いた奇跡のような人物。第31回「諦めの悪い男」源頼家の後継者をめぐり、激しさを増す北条と比企の争い。比企能員はせつが産んだ頼家の長男・一幡を推し、早々に朝廷の許しを得ようと躍起になるが、大江広元らは取り合わない。一方、義時は比奈に頼んで比企の動向を探り、三浦義村にも相談を持ち掛ける。そんな中、政子のもとに北条時政、りくらが集まり。 「侮って平服で向かい討たれた」史実ではなく第15回御家人達の反乱を聞き前もって鎧を着こんでいたエピを繰り返しもう一人の諦めの悪い男比企能員を焙り出す。時政を信じきれずさりとて坂東武者の矜持も捨てられなかった比企能員滅ぶ。悪い顔の源仲章さりげなく初登場で源氏嫡流を絶やしていく。「坂東武者のてっぺんに北条が立つ」と言った時宗時は他の御家人を滅ぼす事まで想定していたのか。結果的にてっぺんに立つためにはかつての仲間と数限りない抗争を経なければならなくい宿命を背負う北条家。平家を滅ぼすために戦った仲間を倒すことに躊躇する義盛に対して世の流れに逆らわぬ事を決めた重忠。そうやってかつての感覚が薄れてゆき生き残るためにやむを得ぬ選択をしていく御家人達。重忠もまさか北条家縁戚の自分が次の標的になろうとは思ってもいない。眠り姫は目覚めた時には王子様はいるわ両親は喜ぶわその先には幸せしか待っていなかったのに頼家は眠っている間に出家させられてるわ妻側の一族は息子も含め母親と伯父祖父らに滅ぼされているわまるで悪夢。眠っている方が幸せだった鎌倉版スリーピングビューティ。第32回「災いの種」奇跡的に息を吹き返した源頼家。しかし後鳥羽上皇のもとには頼家危篤の報が届き、後鳥羽は考えを巡らせる。鎌倉では、政子のもとに義時、泰時らが集まり、新たな体制について話し合っていた。そんな中、一人で思いにふける比奈。一方、先を見据えるりくは時政に京との関係をより深めるように説き、愛息・政範も胸を高鳴らせる。そして、三浦義村は。あの舅が鎌倉殿が死にそうだと悲観して自害しそうには見えない程度には賢い頼家「わからないのか?次は三浦だぞ 和田だぞ」頼家の言葉がまるきりの嘘ではない事がわかるだけにもしここで御家人の誰かが頼家に加担していればと思えなくもない。絶望の淵に立たされた頼家の瞳が辛い。歴史にIFはあり得ないがもしこの時仁田の相談に義時がのっていれば。鎌倉ではいい人は生き残れない仁田忠常自身を追い詰めて死ぬ。史実では比企討伐の褒賞を受け取りに行き謀反を疑われて討伐されたことになっている。山中崇 さん初の京の雅な男。りくに花束を差しだす鎌倉マダムキラー。彼もまたこの後鎌倉に吹き荒れる嵐の起因となる。後鳥羽上皇の命名により三代目鎌倉殿源実朝爆誕の裏で少年善哉の前に現れた比企尼が「北条を許してはなりませぬ」呪いを吹き込み源氏三代滅びのゴングが鳴る。めっちゃイケボの九条兼実の弟慈円登場。この後丹後局と兼実の権力闘争の末ごっしーの第八皇子に天台座主を奪われる。しかし一代目は落馬二代目は病死三代目は暗殺とくれば鎌倉幕府は危ないと都も思うだろう。「狩りと獲物」富士の巻狩りで頼家が放った矢が比企能員の足に刺さる。今から思えば自身の病気が舅の息の根を止める暗示だったのかも。第33回「修善寺」鎌倉では政子の次男・源実朝を鎌倉殿とする新体制が始まり、北条時政が執権別当に就任。時政を裏で支えるりくは実朝の正室を京から迎えることを進言し、娘婿である平賀朝雅を通じて後鳥羽上皇に願い出る。しかし、御家人たちは派手に権力をふるう北条を敬遠。三浦義村の忠告に義時も苦笑する。一方、失意の源頼家は。 子供の頃に百科事典のコラムでこの先頼家にふりかかる運命はサイドストーリー扱いの 修善寺物語 を読んで、自分の娘が亡くなっていくのに悲しさをみじんも見せず生涯最高の面を作る夜叉王に何だこの狂気の人はと驚いた。今なら究極の美を目指す芸術家の狂気と理解できるが。三代目鎌倉殿として身に余る鎧をつけて廊下を通る実朝と酒浸りになり「鎌倉殿はこの儂」と叫ぶ頼家。アヴァンタイトルから不穏な空気が漂う。文官達が頼家について相談するなかずばっと「鎌倉殿は二人要らない」と発言する不良番長八田知家。兄の仇を知るが自分に善児は責められないと呟く義時。一幡の墓に目をやりながら次の指令=殺人を受ける善児だが現場で見た一幡の文字に心乱れ頼家が図らずも息子の仇を取る。善児もまた育てたトウに親の仇討ちをされる。親と子の仇討二題。アサシンの代替わり完了す。拾った仏像でお宝鑑定団を運慶に頼む和田義盛は義時が何も考えず酒を飲みたい相手に選ばれる。「いい顔だが悪い顔。迷いがある」と運慶に人物鑑定される義時。マクベス夫人牧の方の描く未来図を着々と実現する一代目執権時政。 朝廷を敬う心を幼い頃から植え付けるべく上皇の意を受けて都から送り込まれた知能派スパイ源仲章。さっそく実朝の乳母実衣の心をつかむ見栄えの良さと自信溢れる振る舞いは、見るからに善人の 三善康信が巻物を抱えて逃げるぶざまさと好対照。そもそもの始まりである富士の巻狩りから、偽者の獲物を見せられ褒められ周囲の望むように振る舞うことを期待された頼家。父の成した通り御家人達を従え鎌倉殿として立ちたい自我を周囲に翻弄され続け、迫り来る死に抗い力を尽くして舞台から去っていく頼家。第34回「理想の結婚」源実朝と後鳥羽上皇のいとことの婚姻が決まり、政子の心配をよそに喜ぶりく。一方、京では後鳥羽上皇が源仲章、慈円らと鎌倉の行く末について思いを馳はせていた。そんな中、北条時政から代々受け継ぐ惣検校職のお役目を返上するように求められた畠山重忠が、疑念を抱いて義時に相談。その義時ものえを。鎌倉殿英才教育開始。1限目武術(教師八田知家):2限目弓(教師和田義盛)。鎌倉殿だからといって一切手抜きをしない教師に鍛えられ3限目政治(教師大江広元)はおねむモードの鎌倉殿。課外授業の処世術(教師三浦義村)は女性を知らない鎌倉殿にはまるで訳がわからない。最後に届く政子の歌「自分を頼ってきた者を無碍にはできない」伊豆の小豪族の性根そのままに鎌倉幕府の裁きを進める頂点に立った時政の賄賂優先腐敗政治。前話にも伏線はあったが、比企の乱の時「食らいついていくだけ」と北条に従った畠山重忠も領土と地位を侵されてついに立ち上がる。畠山重忠の乱の序章。 3度目の正直で茸好きの女性が義時の前に現れた!と思ったらそんな甘い訳はなく再婚に反発していた泰時だけが、八田知家にも見抜けなかった、のえの本性を知る。当然話しても信じては貰えない。義時毒殺の噂もある継室登場。オスカー・ワイルド「理想の結婚」でも相方に秘密ありの設定。「時政の実子政範がいる限りお前は決して権力を握れない」と同じ源氏出身平賀朝雅に毒を吹き込む源仲章。最初こそ「とんでもない」という顔をしていたものの次第に笑いに複雑な感情が混じる。 雅だけではない都のミッション鎌倉リモートコントロールに利用されていく朝雅。第35回「苦い盃(さかずき)」源実朝の妻になる後鳥羽上皇のいとこ・千世が鎌倉へ到着。政子らが出迎えるが、愛息・北条政範の凱旋を心待ちにしていたりくは失意に沈んでいた。そんな中、娘婿・平賀朝雅が畠山重忠の嫡男・重保への疑惑をりくに告げる。一方、朝雅の振る舞いについて重保から相談された義時は、父・時政に。気に入った歌の作者が父と知って驚くと共に思いを歌にする思い付きを母に勧められ素直に頷く純真14歳の鎌倉殿。実朝が初めて出会った相手と交わす婚儀の杯、重忠と義時が別れを予感しつつ交わす杯のダブルミーニングタイトル。子離れして後妻巴とラブラブの和田家、かかあ天下の泰時を見て自分はこれでいいのか悩む若き鎌倉殿「お前一人の悩みではない」歩き巫女のアドバイスに救われる。「根拠なき裏表なき女子説」を唱えた八田殿と違い、さすが女性処世術講師だけのことはある三浦義村はのえの裏を一瞬で見抜くが「惚れているならいい」と達観。誰からも程よい距離感を保つ義村の処世術が三浦家を生き残らせる。義時と話しながら次第に目に涙をにじませる重忠。部屋の後ろには戦支度が。牧の方の理不尽な怒りによる討伐命令に比べ理に適った反論を繰り出し「あなたが戦うべき相手は」「あなたはわかっている」戦う相手が相手だけに躊躇う義時の背中を押して散ってゆく武蔵の雄畠山重忠。「将を射んとすればまず馬を射よ」原則に従い時政ではなく牧の方に愛息の死に絡めた畠山への疑惑を吹き込む平賀朝雅(いかがわしさ全開山中崇 さん素晴らしい)。踊らされる父を阻止しようとする北条家子供達。一言言われて大江と政子の間に何やら微妙な空気が(らぶ?)。 「一か月風呂に入ってない奴がいる」ギャグから始まり「雪の日は出歩くな」桜田門外の変で斃れる井伊直弼のような事を言われる実朝。折角の予言も「雪の日は転ぶからでは?」和田義盛の呑気な発言で台無しに。もはや癒しの最後の砦とは言え和田~!たった一人の愛息を亡くした牧の方に「皿が亡くなっても皿で食べた料理は忘れない」と慰めて(言いたい事はわかるが確かに皿の例えはちょっと)「我が子を皿に例えるのか」と火に油を注ぐ執権時政。“いい人だがそれは違う”感を醸し出す執権&父親の演じ方が素晴らしい。第36回「武士の鑑」深まる北条時政と畠山重忠との対立。りくを信じる時政は、源実朝の下文を得て御家人を招集。三浦義村、和田義盛(、稲毛重成らが集い、対応を協議する。一方、手勢を率いて鎌倉を目指す重忠。板挟みとなった義時は、政子、時房らと事態の収拾を図る。そんな中、父・義時を心配する泰時は。アヴァンタイトル今を盛りと鳴く蝉をバックに出陣を告げる重忠。蝉のBGMと言えば大河ドラマで何度も儚き命の比喩として用いられてきた。二度と会えない&戻らない事を察した二人の言葉少なき美しき別れだった。義時の便利な手札として使われ始める義村(そして本人も察している)と信条がどこにあるのかわからぬまま稲毛黒幕説を流布する八田知家。御家人達の心を執権から離すため暗躍する二人と筋書きを描く大江広元。いなくなっても寂しがられず重要視もされていないと知り寂しがる足立遠元。「皆の喜ぶ顔を見るのが好き」で他人の便宜を図っていた親分体質が自分でも気づかぬうちに利益誘導を図り御家人全てから背かれる権力者になっていた。自分を巧みに騙して窮地に追いやった息子を前に驚き→怒り→半ば息子誉め&半ば悔しさと表情をくるくる変える時政。今回どう描こうと悲劇にしかならないのに和田義盛を使って「畠山は俺と同じ臭いがする(今は精一杯否定するが後は)」と言わせたり説得で話がつかない時は腕相撲勝負を挑んだり側面作戦が重忠にあっさり【バカの一つ覚え】で見抜かれていたり喜劇にひっぱる三谷脚本。第37回「オンベレブンビンバ」政子、大江広元らと新体制を始動させた義時は、泰時を自身のそばに置き、強い覚悟で父・北条時政と向き合う。一方、時政を蚊帳の外に置かれ憤慨するりくは、娘婿・平賀朝雅を担いで対抗することを画策。三浦義村を誘い、反撃ののろしを上げる。北条家内の対立が激化する中、源実朝は和田義盛のもとへ。すっかり和田ゲストハウスがお気に入りの鎌倉殿。泰時の不在を寂しく思い御台の手をぱっとはねのけてしまうのはやはり。上総広常の話をわがものとして話盛りまくりの和田義盛と頬をつねられて取っ組み合いする巴御前を微笑んでみている実朝。理想の夫婦兼両親として見ているのでは。 永の別れを胸に秘め妻を伴わずやってきて家族と水入らずの時を過ごす時政の宴はトンでも擬音合戦に。本人に嫌がられ&怖がられているのをよそにりくのなりふり構わぬ平賀朝雅鎌倉殿擁立作戦は走り出してしまう。畠山重忠の妻で時政の娘さえ北条家へのひいきを拒む強さを持っていたのに。 鎌倉の様子を逐一報告させている情報通にして名絵描きの後鳥羽上皇の動きをよそに北条家内紛が続く。夫と息子娘を失い実父が息子を拉致するという骨肉の争いの渦中にいながら強く美しくなっていく政子。平仮名しかかけないのと京に詳しくないのが泣き所。大江殿との仲に期待!第38回「時を継ぐ者」激しさを増す北条親子による主導権争い。北条時政とりくは、三浦義村に命じて源実朝を屋敷へと連れ込み、鎌倉殿の座を娘婿・平賀朝雅へ譲るように迫る。対する義時は、泰時、時房、八田知家らを引き連れ、時政の屋敷を包囲。攻め込む機会を慎重に見定めていた。張り詰めた空気が鎌倉を覆う中、政子は。鎌倉殿を執権時政が監禁という重要な場に居合わせながら父の必死の伝言も忘れ(こんな時にもギャグ要員なのか)三浦義村の複雑な立場も理解できずただ思いだけで部屋に突っ込んでしまう和田義盛。彼がもう少し目端が利いていればこの先の悲劇はなかったという示唆。時政から義時へ時の字が受け継がれ執権の座も。当然謀反人の子が執権の座を?という不満が出てくることは織り込み済みで展開される義村と義時の田舎芝居に騙される御家人(八田知家を除いて)。知家が優れているのは肉体だけでないことを見せつけた回でもある。「父の最期をみとることもできない。あなたがそれを奪った」時政と二人だけの場で初めて息子としての心情を吐露する義時とそれを受け止める父親の顔になる時政。平賀朝雅に度重なる恨みをぶつけたことで後鳥羽上皇の怒りを買い初めて都で注目される北条家の次男坊。監禁されているのに和田義盛と武衛武林話で盛り上げる典雅な貴公子実朝。心配した妻を抱きしめるのにも躊躇するが祖父への情愛があり厳罰を処するつもりの義時には「私が乞うておるのだ」と鎌倉殿の顔を見せる前途有望な三代目。本作の平賀朝雅はどちらかというと巻き込まれ事故パターン。源仲章のささやきにのって政範を毒殺したがために時政夫妻からなりたくもない鎌倉殿候補にかつがれいかにも鎧が似合わない源姓の武将として殺される。第39回「穏やかな一日」いまだ源実朝と千世との間に世継ぎの誕生がなく、気にかける政子と実衣。義時は、御家人たちが謀反を起こさぬように政まつりごとの仕組みを改める。しかし、傲慢なやり方に三浦義村、和田義盛らが不満を募らせていた。一方、泰時は慣れない和歌に悪戦苦闘し、源仲章に相談を持ち掛ける。そんな中、成長した公暁が。表面穏やかながら後に起きる事件の伏線が顔を出すタイトル通りの回。ナレーター長澤まさみさん侍女で登場。北条家の専横が目立ち最後の坂東武者こと和田義盛が上総介を要求。キャスティングボートを握る三浦義村は義時に協力を約束しつつもいまいましさを募らせる。恋文を送るも相手にわかってもらえず勝利を喜びたいのに幼馴染とスキンシップする姿を見せられ繊細なメンタルがぼろぼろの実朝。妻にカミングアウトして抱きしめられても心の空洞は埋まらない。少年の時はわだかまりこそあったようだが青年となった公暁ははっきりと決意を秘めているよう。太平記 では フランキー堺 が演じていた長崎円喜に繋がる平盛綱爆誕。後期は北条家をしのぐ権勢を見せるが始まりは家人から。りくが去り謀を巡らす立場に立つのは実衣。立派に政ができそうな息子に実権を渡さない弟に戸惑う政子。「私は不要のようだ」わかりやすく実朝を脅迫する義時。ヘンリー4世では散々つるんだフォルスタッフを最後王となった元ハル王子が自覚的に捨てる。フォルスタッフは昔からの縁から昇進も夢ではないと思っているが有名な「お前など知らぬ」で切り捨てられる。さて 鎌倉殿の13人 版フォルスタッフ&ハル王子コンビの切ない別れはどう描かれる?第40回「罠と罠」閑院内裏の修復を計画する後鳥羽上皇は、鎌倉に引き受けさせるという藤原兼子の進言に心を躍らせ、慈円と共に笑みを浮かべる。一方、京から知らせが届いた鎌倉では、重い負担に御家人たちが反発。源実朝からも慕われる和田義盛が旗頭となり、八田知家らが集う状況を、義時が苦々しく思っていた。そんな中、信濃で一つの事件が起こり。これだけの髭面が由比ガ浜に並んだら壮観と言っていいのか迷う和田ズ。情に厚く武に長け信頼が厚いかつての上総介のポジションのついた和田義盛-最後の坂東武者を滅ぼすことで兄宗時が義時に託した坂東武者の世が完結する皮肉。北条がてっぺんに立つ世は坂東武者の利となるのか。我が家に伝わる秘策で義盛と鎌倉殿が和解しても義時が皆に諫められ常に計画を止めても運命はそれとは逆方向に舵を切る。自分の死後を考え始め用意周到が過ぎたか義時。木曽義高の時も和田義盛の時も。「和田殿を嫌いな人なんていない」鎌倉で始まる圧倒的不利な状況で始まる和田合戦。「起請文なんてちゃっちゃっと書いちゃえばいい」なんて言ってた義盛に対して書いて飲んでしまったら破れない覚悟満々の義村&知家(でも破る)。皆に母親呼ばわりされる巴御前。しかしあんなに予言的中したら殺されそうで心配な歩き巫女。「義時が鎌倉殿になったら」後の伊賀氏の変の伏線のような台詞を口にする伊賀の方。実朝の秘密を知って自分が原因だと名乗り出る千世。普段は喧嘩していても義盛を守るために起請文を迫る巴。風雲急を告げる鎌倉のそれぞれの妻たち。皆に謀反をたきつけながらいつの間にか姿を消す泉親平。まるでフランス革命のサンジェルマン伯爵みたいと思ったら映像でははっきりとあの人の顔が。鎌倉にちょっかいを出し始める西方。第41回「義盛、お前に罪はない」鎌倉を守るために大江広元とも共謀し、反北条の旗頭となった和田義盛の転落をもくろむ義時。戦を回避するべく源実朝と政子が奔走する中、三浦義村、八田知家ら有力御家人は、義盛の陣営に集い情勢を見定めていた。そんな中、父・義盛の安否を心配する朝比奈義秀らが打倒北条を目指して決起。一方、失意に暮れる泰時は。起請文を是非にも出したい4人組のコントめいた一幕から始まり最後は一番言われたかった台詞を一番言われたかった相手に言われた和田義盛(中の人が好過ぎて生命保険CMの話が来そうとの声)の壮絶な最期で終わる濃厚な2日間鎌倉攻防戦。内部の敵を全て滅ぼしたかに見えたが義時最大の敵誕生頼朝との歴史を知る最後の宿老(北条を除き)にして義時にとっては眼の上の瘤であった義盛も重忠同様「やりたくなかった戦」で命を落とす。ヘンリー6世に無視されたフォルスタッフと異なり自分のために慣れない鎧を着て戦場まで足を運んだ鎌倉殿にほだされた心の弱さがつけいる隙を与える。忠臣を目の前で討たれ自分が誘いだす罠扱いで形だけの鎌倉殿であることを見せつけられた実時が義時に対抗できる相手として西に目を向け北条氏悲願の坂東武者の世とは真っ向から対立する源氏の世を目指す。待ってましたの朝廷&実時抹殺の名分もここに立つ。 男顔負けの武将でありながら二人の夫を戦で亡くした武士の世の犠牲者でもあった巴御前。義盛との幸せな日々を最後に仏門に入り俗世の戦乱に背を向けたのはやりきった感があったから。危険だとわかればすぐに実家を選んだのえと好対照で常に夫と共にありたかった妻であった。第42回「夢のゆくえ」決意を新たにした源実朝は、後鳥羽上皇を手本として人任せにせず自ら裁定を下すことを決意。泰時をそばに置き、自身の政を進める。一方、鎌倉内での地位を盤石なものとした義時は、のえに勧められて執権を名乗ることを決断。未熟な実朝らをけん制する。実朝と義時との関係がうまくいっていないことに政子が気をもむ中、源仲章が京から戻り。実朝の夢に生霊として現れるウキウキ後鳥羽上皇。頼朝の夢に生霊として現れ「早く救ってくれ」と訴えたごっしー。生霊として夢に出る体質の天皇家と天皇家の生霊だけ夢に見てしまう余有難くない体質の源氏。「船を作って中国と貿易を行う」などと言い出したら #平清盛 から海の民がざっぱーん!義時と時房の悪企みも知らずみるみる赤い目になっていく実朝にオトナ代表として謝りたくなってしまう。「ごめんね大人ってキタナイんだよ」母の助言に再び光を取り戻す鎌倉殿。「まだ甘えた事を言っているのですか!」政子に喝を入れた丹後局だがこちらは亡き夫の所領はごっそり前夫との間に生まれた夫は貴族の養子になり院との間に生まれた娘は宣陽門院になりこちらも日本有数の財産持ちに。政子の平凡願望はわかり得なかったかも。鎌倉の土木全般を統べる八田知家の「三善殿とそう年は変わらない」発言にえええ!と驚いた視聴者多数。それで無理して船を引っ張って心臓発作とか?と心配したがそういう退場ではなかった。何事も見通せた知的官僚の大江広元の目が見えなくなりますます混沌とする鎌倉。八田殿の諸肌脱ぎは予測できたものの観覧席ポジションだった義村がなぜ脱いでいる?と疑問だったシーン。単に視聴者サービスか。ウラ話トークでいっていた号泣シーンですね。権力の頂点にいた人が一旦落ちて妻にも捨てられて、それでもまたかかあ天下の女性に寄ってこられて日向ぼっこしながら伊豆の小豪族なら至るであろう平穏な最後に向かってゆく。まさに政子が願っていた日々なのだがそこに至るまでには修羅が第43回「資格と死角」源実朝に嫡男が誕生せず、後継者問題がくすぶっていた鎌倉。そこに修行を終えた公暁が帰還。その胸には鎌倉殿となることへの強い意志を宿しており、乳母夫めのとである三浦義村と共謀する。一方、義時と実衣も実朝の言動に不満を抱き、思案を巡らせていた。そんな中、実朝の相談に対して後鳥羽上皇から返事が届く。これに政子や泰時は。大姫入内準備の時とは見違えるほど都と渡り合える度胸と交渉力を身に着けた政子。従三位を鎌倉殿と言い合う場面は頼朝と征夷大将軍を言い合う場面のオマージュ。法皇の子を産んだ丹後局は従二位でこれが皇族ではない女性の最高位に当たる。比企・阿野と乳人が常に殲滅されてきた運命を持つ源氏嫡流。公暁の乳人義村が義時との友情も捨てて最後に出た賭けは自らがイアーゴ―となってハムレット公暁に伯父ポローニアスこと実朝への敵意を燃え上がらせること。直衣始の時には死角にいた公暁が半年後雪の中で現れる運命の時迫る。歌舞伎でいうところの“やつし”(そんなにみすぼらしくない)でトキューサの前に現れ蹴鞠勝負を楽しむ後鳥羽上皇。肩ポンする物おじしないトキューサを気に入ったらしく親王鎌倉殿計画がとんとん拍子に進む。喜びの中鎌倉殿の資格を持つ公暁の悔しさや決意のかたさが皆の死角になっている。直衣始の図面にはあの大銀杏が(まだ有名ではない)。上る途中で靴に入った小石に気づく実朝。後方からじっと見る公暁。全てを見ているのは紙視点の視聴者だけというたまらん構図。あら「大江様見えないと思って言葉が大胆に」と思っていたらあっさり推し当人から重いと言われてしまった(笑)鎌倉きっての知性派で都事情にも詳しい大江の眼病は源仲章の台頭に繋がっていくのか。第44回「審判の日」後鳥羽上皇の計らいにより、右大臣に叙されることとなった源実朝。政子が愛息の栄達を喜ぶ中、鎌倉殿への野心に燃える公暁は三浦義村のもとを訪れ、鶴岡八幡宮で執り行われる拝賀式について密談を交わす。三浦館の動きに胸騒ぎを覚える泰時。一方、義時の周りでは、朝廷と鎌倉の橋渡し役として存在感を高める源仲章がのえを。北条家一門が右大臣が出る!と無邪気に十二神ごっこで喜ぶ一方で公暁が実朝暗殺計画を三浦義村と図るシリアスな場面の対比。髭も髪ものばしとても千日参篭が出来る状態ではなく俗世の欲望にまみれた最終形態になった公暁。北条一族とは一線を引いてきた彼の孤独な半生が垣間見える。ただ一人残った息子実朝に理解してもらえず頽れる尼御台。もし実朝が鎌倉幕府六波羅転居を言うのと頼家殺害の真相を知るのが逆だったら暗殺は回避されたのか。権力の頂点に立ったものの家族の絆がずたずたになっていく北条家。「あまり悪い顔の時は気の毒で言えない」と運慶に評された義時の悪い顔。「自分のしてきたことは正しかった」自分を鎌倉に引き止めた姉の前で覚悟を決めろと迫る弟はその裏で鎌倉を捨てる決意をした甥を排除する計画を着々と進めていた。過分な官位を授けたのも実朝のためというよりは鎌倉幕府を取り込んでしまうための上皇の策だが人の良い実朝にはそこまで読めない。芯の実力者たらんとマダムキラーにいそしみつつ義時の敵として立ちはだかるが太刀持ち役を最後に変わったことは慶事ではなく誤算だったことを仲章は知らず。真相を知るなり公暁の所に出向き謝罪し「共に鎌倉を源氏の手に」と手を握り合うのは実朝の本心なのだが「お前の気持ちはわかる」と言われた後の公暁の表情が明らかに変わった事には気づけない。世故に長けていればこういいつつも義時はだめだが泰時などに裏工作をしておくものだが。第45回「八幡宮の階段」京から大納言ら公卿を招き、鶴岡八幡宮で盛大に執り行われる源実朝の右大臣拝賀式。泰時が警固をする中、公暁は門弟と共に木の陰に潜んでいた。御家人たちに交じり、状況を静観する三浦義村。今後の鎌倉と自身の命運を賭し、儀式を見守る義時と時房。式を終えて楼門から出てきた実朝を公卿と源仲章が迎えて整列すると、牡丹ぼたん雪が降り積もる中。二人の舞台を見ているような対峙。一旦短刀を手にするもゆっくり落とし抵抗しない姿勢を見せる実朝。苦しい生を手放ししがらみのない世界へ旅立つことを寿ぐような笑みの実朝。いつか二人のもっと年を取った時の芝居が見たい。言葉をかけるタイミングをずっと待っていた舞台袖の義時。「ラストワードがあれ?」と驚いていた 生田斗真 演じる源仲章。血が流れ体が急速になっていく死にゆく者の自然な言葉だった。太刀持ち役を引き受けあっという間に晴れの舞台から滑り落ちて一気に死に向かった仲章。院お気に入りの実朝と院の臣下を殺した事がこの後朝廷との火種に。義時でなく仲章を討ったと知った時に止めれば公暁の運命は変わっていたか。源氏の中で武将としての名を貰えなかった公暁が縋ったいわくつきの髑髏。鎌倉殿を討って滔々と語るつもりの口上が血がにじみ読めなくなり再起が出来ると信じ三浦を頼った事と言い全てが甘すぎた幻の源氏四代目。 姿も歌も心根も志も全てがあまりにも美しすぎた鎌倉殿散る。「天命に逆らうな」はぼけてしまったおばばの世迷い事だが心に期すところのある実朝はまともに受け止めてしまう。このあたりもシェイクスピア的。一連の流れが絵のように美しかったが実質は残虐な鎌倉でのトップを狙ったテロ。実時の「源氏の手に政を取り戻す」という台詞を聞いて人を見る目が甘いと感じた公暁が「騙されるものか」と思うが本当にそう思うべきだったのは乳人だったが御家人が次々滅ぼされる中で生き残る道をとことん選ぶ嗅覚を持つ三浦義村。第46回「将軍になった女」新たな鎌倉殿を迎えようと朝廷に伺いを立てる北条義時、大江広元たち。実衣が野心を燃やし、三浦義村が暗躍する中、京では鎌倉への不信感をさらに高めた後鳥羽上皇が、藤原兼子、慈円と共に今後を見据え、鎌倉への圧力を強めていく。一方北条家では、思い悩む泰時をよそに、のえが愛息・政村を。W杯に負けぬ熱戦を戦い抜いた後鳥羽院とトキューサ。負けて勝つを成し遂げ得た新鎌倉殿三寅はまだ2歳。出自を問われて2度目も淀みなく言い切った慈円僧正の中の人お見事。りくと時政の間で繰り広げられた北条家後継者問題が義時の代で再び持ち上がる。トレードマークの赤い衣を脱ぎ捨てた後は憑き物が落ちたような表情になる実衣。あどけない少女が権力者の弟に嫁ぎ源氏嫡流の息子を持ったが故に見た夢は実の兄につぶされる。最後に残ったシスターフッドに比べ時房と義時の間には年齢差故の遠慮がありブラザーフッドと呼べる親密度はない施餓鬼をして励ますつもりが逆に励まされる政子。それはともかく「妻に5度逃げられ」と言い出した不幸続きの民は何かに呪われているのでは。大切なものを守るため変わってしまった弟に対抗するため自ら尼将軍宣言する政子。三浦義村の不敵な笑みが意味深。ちなみに今夜は脱ぎなし(笑)第47回「ある朝敵、ある演説」幕府の後継者争いが発端となり、乱れる京。朝廷の象徴である内裏が焼け落ちると、後鳥羽上皇は再建費用を日本中の武士から取り立てることを決める。しかし、北条義時は政子と大江広元の支持を得て、要求を先送りにすることを決断。泰時をはじめ御家人たちが後鳥羽上皇との関係悪化を心配する中、三浦義村は京で大番役を務める弟・胤義に。 予告された義村脱ぎ回。自分だけに院宣が来たと得意げだったが他の御家人にも送られていると知りすぐさま義時に知らせる世渡り上手の嗅覚は今回も衰えていない。京にいる弟と共にどちらにつくかわからない無気味なキャラだが義時にはその無気味さは見えていない。 伊賀の方にしてみれば後継者は泰時のままで兄は京都守護に行くなり殺され承久の乱の生贄とされ人柱にされたとしか思えない(これは誤解だが、上皇は明らかに義時の義兄だから殺したのだろう)。恨みつらみが積み重なり三度目の妻には優しい言葉で繕う事もしない義時に訪れる報いの時とは。三寅が将軍に選ばれたことで将軍になる芽が摘まれた源頼茂が内裏を焼くのは朝廷の完全なとばっちり。残り少ない源氏も無駄な事やってないで辛い時代を生き延びれば歴史に源氏の芽もあったのに。公武協調を説いた慈円が宮中を去りイケイケの藤原秀康が残る。「ある朝敵」=義時、「ある演説」=政子が言いかけてやめた「故右大将(頼朝)の恩は山よりも高く、海よりも深い」妹を守ったように弟を守る姉・政子。愛嬌しかないトキューサと真面目さしかない泰時の結束堅い残された北条ファミリーの面々。「ある朝敵」=義時、「ある演説」=政子が言いかけてやめた「故右大将(頼朝)の恩は山よりも高く、海よりも深い」妹を守ったように弟を守る姉・政子。愛嬌しかないトキューサと真面目さしかない泰時の結束堅い残された北条ファミリーの面々。第48回「ある朝敵、ある演説」最終回反目する北条義時を討ち取るため、義時追討の宣旨を出し、兵を挙げた後鳥羽上皇。これに対し、政子の言葉で奮起し、徹底抗戦を選んだ幕府は、大江広元や三善康信の忠言を聞き入れて速やかに京へ派兵することを決断。泰時、平盛綱らが先発隊として向かい、時房らが続く。そんな中、三浦義村は弟・胤義と。 全く夫に関心なしモードののえだが毒殺計画をばれたと知るやあっさり白状。これで安らかな最期を迎えるかと思いきや義時ののたうちまわる姿と声で幕。直前のあの発言があったため息子を殺された復讐なのか取り憑かれ暴走する弟を止めるためだったのか敢えて曖昧に。上皇様のため&都を守るために立ち上がったのに負けるとあっさり捨てられる不憫ズ。ごっしーの頃から朝廷の性格は変わらず 「麒麟がくる 」正親町天皇まで続く。特別出演ですらない吾妻鏡の承久の乱に読みふける 「どうする家康」 のいささか慌て者で落ち着きのない主役。 頼家を支えるために生まれた13人の宿老ではなく鎌倉幕府が確立するまでに亡くなっていったもう1ペアの13人もまた歴史を作った人だった。冒頭OPに剃髪姿の像もあった大江殿がすっかり「やっちまいましょう」の武闘派に。義時の息の根を止めるのは誰?の一種ミステリーだった最終回。クリスティのオマージュは「鏡は横にひび割れて」御家人同志の争いを見て来た泰時が御成敗式目を定め争いのない世を作り息子のためを思い穢れを全て我が身に纏おうとした父は奇しくもかつて目の前で死んだ上総広常と同じ姿に。大河ドラマ 鎌倉殿の13人 完全版 第壱集 ブルーレイ BOX【Blu-ray】 [ 小栗旬 ]大河ドラマ 鎌倉殿の13人 完全版 第弐集 ブルーレイ BOX【Blu-ray】 [ 小栗旬 ]大河ドラマ 鎌倉殿の13人 完全版 第参集 ブルーレイ BOX【Blu-ray】 [ 小栗旬 ]楽天ブックス
December 18, 2022
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みなさんこんばんは。中国共産党は第20期中央委員会第1回全体会議(1中全会)を開き、最高指導部を構成する党政治局常務委員を選出しました。習近平国家主席は総書記に選ばれ習指導部の異例の3期目が始まりましたね。今日から2日間 菅田将暉くんが出演する作品を紹介します。アルキメデスの大戦The Great War of Archimedes出演 菅田将暉 浜辺 美波 笑福亭 鶴瓶 小林 克也 柄本 佑 舘 ひろし 小日向 文世國村 隼 橋爪 功 田中 泯監督&脚本山崎貴音楽佐藤 直紀 日本と欧米の対立が激化する昭和8年、日本帝国海軍上層部は巨大戦艦・大和の建造計画に大きな期待を寄せていたが、海軍少将・山本五十六はその計画に待ったをかけた。山本は代替案を提案するも、上層部は世界に誇示する大きさを誇る大和の建造を支持していた。山本は大和の建造にかかる莫大な費用を算出し、大和建造計画の裏に隠された不正を暴くべく、天才数学者・櫂直を海軍に招き入れる。数学的能力、そして持ち前の度胸を活かし、大和の試算を行っていく櫂の前に帝国海軍の大きな壁が立ちはだかる。 冒頭は有名な戦艦ヤマト沈没シーン。なぜ大和が沈没するに至ったかは皆知っている。戦艦による戦闘ではなく航空機による戦闘に時代の流れが完全に移ってしまったにもかかわらず、戦前からの艦隊決戦思想が支配する日本で、日本最大級の戦艦として生み出された。ところがいざ戦に登場した時には活かす場所をなくしていた大和。最後は爆弾の的となって海の藻屑になっていく。松本零士さんの「宇宙戦艦ヤマト」は思い切り活躍できなかった大和を宇宙に飛ばして異星人の艦隊と戦を繰り広げ無念を晴らした。それくらい日本人にとっては悲劇の艦として愛着のある戦艦である。 本編では大和が作られていく経緯を『鎌倉殿の十三人』で御舘こと藤原秀衡と義経として共演した菅田将暉VS田中 泯の対立軸で描く。史実は皆の知る通りなので大和は結局建造されてしまうが、「自分の金ではないものならばいくら使っても気にしない」軍人の無責任体質とは一線を画し、無駄と知りながら滅びゆく日本の依り代として大和建造を推進する平山に、美しいものに目がない櫂が実は完成した大和を見たかった本心を見抜かれ、半ば乗せられた形で建造に協力するという裏話がフィクションで挿入されている。菅田くんはドラマでも映画でも突き抜けた天才役を演じる事が多く、今回もその類。立て板に水で計算式を口述しながらすらすらと数式を書いていく。舘ひろしさんが絶賛していたとか。 戦艦大和の建造をめぐるさまざまな謀略を描いた三田紀房による同名マンガを実写映画化。アルキメデスの大戦 Blu-ray 通常版【Blu-ray】 [ 菅田将暉 ]楽天ブックス
December 17, 2022
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みなさんこんばんは。ワールドカップクロアチアも頑張りましたが、メッシのいるアルゼンチンは強かったですね。そして決勝はフランスVSアルゼンチン。映画黒い司法 0%からの奇跡を見ました。黒い司法 0%からの奇跡Just Mercy監督デスティン・ダニエル・クレットン出演マイケル・B・ジョーダン ジェイミー・フォックス ティム・ブレイク・ネルソンブリー・ラーソン 黒人への差別が根強い1980年代の米アラバマ州モンロービル。犯してもいない罪で死刑宣告された黒人の被告人ウォルターを助けるため、新人弁護士のブライアンが立ち上がるが、仕組まれた証言や白人の陪審員たち、証人や弁護士たちへの脅迫など、数々の困難に直面する。 冤罪の死刑囚たちのために奮闘する弁護士ブライアン・スティーブンソンの実話を映画化。ウォルターは、人種や性別、障害などを根拠に、不当に逮捕・収監された人々に法的支援を提供する非営利団体「イコール・ジャスティス・イニシアチブ(EJI)」を、友人のエバ・アンスリーとともに何もないところから立ち上げた。映画でも語られるが、16歳のときには祖父を未成年の窃盗犯に殺害されるという事件に直面している。黒人の老人の命の軽さ、理不尽な理由で犯罪に走る少年たちを目の当たりにしたことが、ブライアンを法曹の道に突き進ませた。ハーバード大学ロースクール時代、司法修習生として死刑囚の支援をおこない、それがのちのEJI設立につながった。 映画の中で何度も言及されるが、モンロービルは映画『アラバマ物語』の架空の街のモデルと名乗っている。映画は黒人差別と闘った白人弁護士の物語で、ブライアンは「記念館に行ったか?」と住民に聞かれる。“差別のない町”のイメージが通暁している町で、実際にはブライアンに対する協力はなされず、住民たちの偏見も残っているのは何とも皮肉な話だ。架空のヒーロー、アティカス・フィンチに熱狂し、共感しながら、現代のアティカスことブライアンには反感を抱き、黒人差別を不当と感じることがない。諦めモードの死刑囚たちが、ブライアンの登場から希望を持ち始めていく様が生き生きと描かれる。 何度命を狙われてもおかしくないような脅迫を受けながら、正義を追求する思いを捨てなかったブライアンと仲間達の不屈の精神に胸が熱くなること請け合いだ。黒い司法 0%からの奇跡 ブルーレイ&DVDセット(2枚組)【Blu-ray】 [ マイケル・B・ジョーダン ]楽天ブックス
December 16, 2022
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みなさん、こんばんは。流通大手セブン&アイ・ホールディングスが、傘下の百貨店大手そごう・西武を売却する方向で最終調整に入りましたね。今日もジョージ・エリオット作品を紹介します。サイラス・マーナ―Silas Marner: The Weaver of Raveloeジョージ・エリオット光文社文庫19世紀の初め頃サイラス・マーナーという機織りがラヴィロー村のはずれの石積みの小屋に住んでいた 子供達は怖い者見たさでサイラスに近づいていくが子供達に気づいたサイラスが彼等をにらみつけると逃げていく 「無知なひとびとは、力はすなわち慈悲なりとは容易に考えられなかった。日々の暮らしに追いまくられ、熱い信心がもたらす恩恵に浴したこともないひとびとにとって、その 19世紀の初め頃、サイラス・マーナーという機織りがラヴィロー村のはずれの石積みの小屋に住んでいた。子供達は怖い者見たさでサイラスに近づいていくが、子供達に気づいたサイラスが彼等をにらみつけると逃げていく。何だか日本の民話『泣いた赤鬼』の赤鬼みたいだ。 もちろんサイラスだって最初から‘怖れられるおっさん’だったわけではない。ランタンヤードに来た当時は、青白い顔をした若者だったが、人付き合いが良いほうでなく、茶色の目は近視で飛び出していた。おまけに北方系の見てすぐわかる顔立ちで、村人達とは異質だったので何となく近寄り難かったというわけだ。但し、機織りの腕は確かだった。そんなサイラスをますます異端視させる事件が起こる。教会の祈祷会で斃れてしまい、意識喪失が一時間続いた。現代なら単なるてんかんの発作と見られるが、皆はサイラスが特別な苦行を課せられたのかもしれないと考えた。「課せられるだけの何かがあるのでは?」という発想が当時の一般的な考え方だ。 教会の信者仲間にウィリアム・デインという若者がいて、サイラスとはダビデとヨナタンと呼ばれるほどに親友になったが、一人の同じ女性を巡って争い事が起き、声の小さいサイラスが村を出ていく羽目になる。 ラヴィローで御神籤が引かれ、やってもいない盗みで有罪と出たサイラスは、ラヴィロー村では人も宗教も信じられず、ひたすら金を信じることになる。ところがその金も悪者の仕業で盗まれ、金があった所には金髪の女の子が置かれていた。サイラスはその子供を母と妹にちなんでエピ―と名付けて育て始める。 『アルプスの少女ハイジ』のアルムおんじとハイジのように、エピ―が登場してからサイラスの人生は変わり始める。子育てのあれやこれやを何もしらないサイラスを助けるドリー夫人をはじめとする近所の人達が優しい。また、村人たちもエピ―を通じてサイラスが悪い人ではないと思うようになる。前半は善良なサイラスを襲う過酷な運命と、裕福だが根性が汚いある一族の物語、後半はサイラスとエピ―の人情話になっている。 このままほのぼのハッピーエンドかと思われたが、エピ―とサイラスに劇的な事実がもたらされる。「天の恵みを門前ばらいなさりゃあ、それはもう迎えいれたもののもんになるんだ」「わたしたちのお家って、なんてすてきなんだろう!わたしたちほど幸せな家族って、どこにもいないね」 お互いの幸せを望みながらも、お互いが一緒にいることが何よりの幸せなんだと同じ方向を向いて微笑みあう親娘、血の繋がりはあっても二度と取り戻せない事があるのを痛感する実の親、勧善懲悪のおとぎ話的展開だった。2009年に英国ガーディアン紙が発表した、「英ガーディアン紙が選ぶ必読小説1000冊」選出。サイラス・マーナー (光文社古典新訳文庫) [ ジョージ・エリオット ]楽天ブックス
December 15, 2022
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みなさん、こんばんは。ワールドカップベスト4が出そろいましたね。今日もジョージ・エリオット作品を紹介します。ミドルマーチ 4Middlemarchジョージ・エリオット光文社文庫 ミドルマーチはタイトルの架空の街を中心とした群像劇なので、全ての人間関係を説明していると、それだけで書評が終わってしまう。 そんな中で堂々?ヒロインを張るドロシアの運命だけは追わないわけにいかない。理想に燃えて周囲の反対を押し切って結婚した相手カソーボンとの仲はやはり失敗で、迷惑な遺言条項まで残して先に亡くなってしまう。夫がしたただ一つのいいことは、その条項で成功したい思いはあっても叶わない貧乏青年でウィル・ラディスローが好きだという自分の気持ちにドロシアが気づいたことだ。ところが、そんなウィルの運命の扉を叩くのは、2巻で亡くなったフェザストーン老人の遺産受取人の義父で、人間的には堕落者のラッフルズ。彼はミドルマーチきっての名士バルストロードの過去を知っていた。 ラディスローは競売会場でラッフルズに会い、ラディスローの母親が実家ダンカーク家の盗品売買業から逃げて舞台に立ったという話を聞き動揺する。バルストロード氏は過去にダンカーク家に雇われ質屋業を営み、ダンカーク氏の死後未亡人と結婚し、妻が死ぬと財産を一人で相続。実はその財産は妻の孫であるウィル・ラディスローにわたっていたはずだった。 バルストロードの暗い過去が知れ渡り、彼から融資を受けたリドゲイトにも世間から疑惑の目が向けられる。町中の非難をものともせず、自分が辛い時に力になってくれたからとリドゲイトを支援するのがドロシアという配役もよくできている。誰もが羨む妻ロザモンドは「恥ずかしいから私ロンドンに行きたい!」とわがまま嬢様ぶりを発揮しているのに、「あなたに関して、不幸な誤解が生じていることは、存じています。最初にそれを聞いた瞬間から、私にはそれが誤解だとわかりました。あなたは悪いことのできる方ではありません。あなたが不名誉なことをされるはずがありませんもの」これを言われたリドゲイトが、今まで誰にも言わなかった事を全て話すのも納得。やはり王道ヒロイン、いい所を持っていく。第1巻で「聖女テレサが現代に現れたらどうなるか?」と問題提起された本作も、常に献身を最上の地位においていたドロシアが、名士にならずとも皆の尊敬を勝ち得るラストで答えを出す。「世の中がだんだんよくなっていくのは、一部には、歴史に残らない行為によるものだからである。そして、私たちにとって物事が思ったほど悪くないのは、人知れず誠実に生き、誰も訪れることのない墓に眠る、数多くの人々のおかげでもあるからだ。」 読者はあなたもまた無名の善人の一人である、と告げられたような気分になるだろう。今まで町で一番力を持ち、尊敬されていた人物が地に堕ちるというドラマティックを最終巻に持ってきたエリオット。群像劇を描くのが本当にお上手。読者にとって好きな人物、嫌いな人物があちこちに配され、裕福な者が必ずしも正しからず、貧しい者がかえって清廉潔白であるのはお約束。2009年に英国ガーディアン紙が発表した、「英ガーディアン紙が選ぶ必読小説1000冊」選出。ミドルマーチ4 (光文社古典新訳文庫) [ ジョージ・エリオット ]楽天ブックス
December 14, 2022
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みなさん、こんばんは。国会で救済新法が成立しましたね。今日もジョージ・エリオット作品を紹介します。ミドルマーチ 3 Middlemarchジョージ・エリオット光文社文庫 カソーボンが望んでいたのは従順な妻だ。ドロシアは勿論彼に従順だったが、いかんせん尊敬する夫として、彼に望む水準が高すぎた。そのためカソーボンは苦しくなり、一方で“もっともっと”と向上心を持ち続けるドロシアも不満を抱いていた。そんな時カソーボンが遺言補足書 “ドロシアがウィルと再婚するならローウィックの屋敷の相続権を失う”と書き残して世を去る。この事を最初にドロシア以外の第三者、例えば妹シーリアの夫サー・ジェイムズらが知ってしまうから性質が悪い。周囲はスキャンダルを避けようとウィルとドロシアを遠ざけようとするが、当のドロシアは訳がわからない。真面目な性格なので屋敷の管理をやりたいと言い出したり、全くの善意でカソーボンの生前に言っていた「自分の財産をウィルに分ける」というアイデアも実行したいと考えていた。やがてウィル、ドロシア双方がカソーボンの傍迷惑な遺言を知ることに。 うわー悲恋!嫉妬に駆られた夫が死後も妻を支配しようとする。しかも、妻を愛しての行為ではないからよけいに性質が悪い。 ところでミドルマーチにも鉄道敷設の話がやってくる。アメリカの鉄道敷設の際には反対運動が持ち上がったが、こちらでも白熱した議論が交わされる。メアリの父ケイレブは推進派で、牧師になるのもいまいちと考えていたフレッドも興味を持ち始める。 いや本当にガース家の人達はいい人ばかりだ。それにバルストロードの意を受けて排除されてしまったが、フェアブラザーはもっと幸せになっていい。「メアリがぼくを受け入れてくれないと言うのなら、どう道を誤ろうが、どうでもいいんです」と自棄を起こすフレッドに「ばかなことを言うんじゃないよ、フレッド君。愛を失ったあとでも、人は生きていけるけれども、いったん無謀なことをしたら、取り返しがつかなくなるんだよ」とあくまで大人の真っ当な助言をする。それどころかフレッドからメアリの気持ちを聞いて欲しいと頼まれて受ける。断れよそんなもん。「ぼくが合格するために勉強したということを、彼女は認めてくれてもいいと思います。ぼくが彼女のために努力しようとしていることを、信じてくれてもいいはずです」あーもう相変わらず甘えたちゃんな事言ってるなフレッド。こんなフレッドを見放さないケイレブとメアリに業を煮やしていたのはガース夫人。もともとフェアブラザー氏推しだっただけに「青春を謳歌しているこの若者が、彼よりもっと賢く、悲しみというものを知っている人たちの失望のうえにのさばっている。小夜啼鳥さながら自分の求愛についてさえずり、それに気づいていない。しかもその間、彼の家族は、女の家の家族のほうがこの青二才との縁組を熱心に望んでいると思っていたなんて」と激おこである。そして「若い人たちというのは、自分の望んでいること以外は、何も見えていないのですから。自分の望みが、どれほど他人を犠牲にしているかということなど、思いも及ばないのですものね」とちくり。もっと言ってやっていい。2巻に続いてフレッドを鍛え直したい巻であった。2009年に英国ガーディアン紙が発表した、「英ガーディアン紙が選ぶ必読小説1000冊」選出。ミドルマーチ 3 (光文社古典新訳文庫) [ ジョージ・エリオット ]楽天ブックス
December 13, 2022
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みなさん、こんばんは。クロアチアPK強いですね。そしてモロッコがアフリカ勢初のベスト4です。今日もジョージ・エリオット作品を紹介します。ミドルマーチ 2Middlemarchジョージ・エリオット光文社文庫ミドルマーチ市長のヴィンシー氏の長男フレッドは、大学の試験に落第し、病気の伯父フェザストーンの遺産を当てにして遊び暮らす。フレッドは幼馴染でフェザストーン氏の看護人をしてストーンコート屋敷で働いているメアリ・ガースとの結婚を望む。彼女はフレッドを愛しているが、危なっかしいと考えている。そもそもフレッドの母親ヴィンシー夫人が二人の結婚を認めていない。フレッドはメアリの父親ケイレブ・ガースに署名してもらった手形を担保として貸主に渡しており、その金を準備できず一家を窮地に陥らせる。 フレッドは、性懲りもなくメアリに「フェザストーン伯父にアルフレッドを見習いに出して前借すれば?」と提案。いやもとはといえば自分の借金なのに!なんで恋人の弟が働いて給料差し出さないといけないんだよ!アルフレッドの学費のために貯めておいた金も今回のフレッドの手形のためにだめになってるってのに!間違ってるよ!それなのに当のフレッドときたらこの言いぐさ。「ぼくはすごく惨めなんだよ、メアリ。ぼくがどれほど惨めかわかったら、君だってぼくに同情すると思うよ」「誰だって、運が悪いことはあるさ、メアリ。そして、払うつもりでも払えなくなってしまうことはあるんだよ。」あーなんかイヤだ。本当にどこかで聞いた懲りない人の台詞なんですもん。さすがにメアリも「利己的な人というのは、いつだって自分の苦悩を、何よりも大切に考えるのよね。」とぴしり。語り手たる作者も「自分が約束を破ったことで、どんな不都合や迷惑が生じるかについては、頭が回らなかった。なぜなら、ほかの人々の必要性について想像力を働かせるなんてことは、前途有望な坊ちゃんはふつうしないからだ。実際、私たちはたいてい、自分が過ちを犯したら、それによって苦しむ人がいるからこそ、過ちは犯してはならないのだ」フレッドを弁護しているのか微妙なニュアンス。フレッドの味方はメアリの父親のケイレブだけ。「あいつは、きっとそのうち成功する-包み隠しのない優しい男で、根はいい人間だー絶対に信頼できる」いやおとーさん、あなた誰にでもそう言ってるんでしょう。 当てにしていたフェザストーンの遺産は全然別の人に行ってしまい、ますます窮地に陥るフレッドのことはおいといて、我らがヒロイン・ドロシアに目を向ける。 ウィル・ラディスローは、従兄カースボンに嫌われていることがわかっていたし、ドロシアも夫が苦手意識を持っていることは知っていた。そこで伯父のブルック氏あてに手紙を書いて、夫が病気のため客の訪問を受け入れられないことをウィルに伝えて欲しいと頼む。ブルック氏は気を効かせてよせばいいのにウィルをティプトン屋敷に招くことを思いつくから、カソーボンの嫉妬がメラメラ燃え上がり、ドロシアは訳の分からない八つ当たりをされる。「ドロシアが、妻として願ってもない貞淑ですばらしい女性であることは、否定できない。しかし、その女性は、彼が考えていたよりも厄介な存在であることがわかったのだ。(中略)彼女が夫を批判していることは間違いない」どうにも身動きが取れなくなった男女三人恋物語(二人は既婚)の恋の行方は?2009年に英国ガーディアン紙が発表した、「英ガーディアン紙が選ぶ必読小説1000冊」選出。ミドルマーチ2 (光文社古典新訳文庫) [ ジョージ・エリオット ]楽天ブックス
December 12, 2022
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みなさん、こんばんは。静岡県裾野市の保育園で元保育士3人が園児への暴行の疑いで逮捕されました。宙づりにしたりしていたそうです。今日から5日間ジョージ・エリオット作品を紹介します。ミドルマーチ1Middlemarchジョージ・エリオット光文社文庫物語のヒロインであるドロシア・ブロックは「質素な服に身を包んでいたほうが目立つタイプの美人」と微妙なほめ方をされている。10歳そこそこで両親を亡くしたドロシアは、妹シーリアと後見人の伯父ブルック氏とティプトンの屋敷で暮らしていた。ジェイン・オースティンものと同様、女性が一人で自立して生きられる世の中にはなっていないが、ブルック氏も姪たちの結婚を急がせている風でもない。また、ドロシアは「強力なものや偉大なものに出会うと、何でもかんでも夢中になって、すぐに喜んで飛びつく。受難の道を求めたかと思うと、それを取り消してみたり、果ては、もともとは考えてもみなかった方面で受難をしょい込んでみたり、といった調子である。」のように、人生を偉大な目的に捧げることを熱烈に願っており、結婚イコールゴールとは考えていない。かといってモテないのではなく、温厚でハンサムな准男爵サー・ジェイムズという熱心な求婚者がいるが、当のドロシアは「妹のシーリアの結婚相手になってくれればいいなぁ」とアウトオブ眼中。シーリアはサー・ジェイムズの気持ちもドロシアの気持ちも知っているが、ドロシアに振られれば自分の事を見てくれるのでは?と多少打算的な事も考えている。そしてドロシアは学究生活に打ち込む厳めしい五十がらみの牧師カソーボン氏と婚約する。「この方は、高貴な内面生活というものを理解しておられるのだ。この方となら、魂の交わりというものが可能かもしれない。信条というものを、広やかな知識で照らしてくださる方。学問によって信仰の証明ができるのは、まさにこういう方なのだわ!」まあ、こういう思い込みはえてして空回りするのが常であるが、とにかくヒロインなので「ドロシアの推測は行き過ぎのように見えるかもしれない。しかし実際のところ、人生というものはいつだって、こういうふうに大雑把に結論を出さなければ、立ち行かなくなるものだ。その大雑把さのおかげで、文明が発達してさまざまな困難が生じていても、いままで結婚話がまとまってきたのだ。」と作者もフォローに廻る。 第一部は周囲の圧倒的否定的意見を尻目に、というか、「まあ彼女言ってもきかないだろうから」という若干諦めムードでドロシアとカソーボン氏の結婚が決まるまでを描く。第二部ではいきなりドロシアは新婚旅行先のローマで号泣。読者からすれば「ほーらね」って言いたいところなのだが、ここでもまた若い求婚者が。生真面目な割にはモテているヒロイン。 群像劇なのでいくつものドラマが並行して進行する。今回はドロシア中心にまとめた。2009年に英国ガーディアン紙が発表した、「英ガーディアン紙が選ぶ必読小説1000冊」選出。ミドルマーチ1 (光文社古典新訳文庫) [ ジョージ・エリオット ]楽天ブックス
December 11, 2022
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みなさんこんばんは。アメリカ司法省は、トランプ前大統領の自宅で見つかった機密文書などをめぐる捜査を加速させるため、独立性の高い特別検察官を任命したと発表しました。トランプ氏は、2年後の大統領選挙への立候補を表明しており、真相解明が進むのかが焦点です。今日もアニメ映画を紹介します。スチームボーイSteamboy監督&脚本&原案 大友克洋 脚本村井さだゆき声の出演沢村 一樹 鈴木 杏 小西 真奈美 寺島 進 津嘉山 正種 中村 嘉葎雄 児玉 清 舞台は19世紀半ば、栄華を誇る大英帝国。ある日、祖父からレイに「スチームボール」が届けられた。スチームボールを持つレイは、そのためにオハラ財団から逃げることになってしまう。そんな中、彼はスチームボールが歴史を塗り変える力を秘めていることとオハラ財団の目的を知る。科学が作りうる未来のため、「スチームボーイ」となったレイは、大空に飛びたつ。 発明と機械いじりの好きな少年が、祖父と父が開発した世紀の発明“スチームボール”をめぐる陰謀に巻き込まれていく。実際の19世紀英国の風景や建築物に基づく緻密な美術、錆びた鉄や蒸気のゆらぎなどの“質感”の描写にも要注目。1988年の「AKIRA」で世界に日本のアニメーションを知らしめた大友克洋が、製作期間9年、製作費24億円、作画枚数18万枚で描くスチームパンクアニメ。英語版吹き替えでは主役の少年をアンナ・パキン、祖父をパトリック・スチュアート、父をアルフレッド・モリーナが担当。蒸気機関車を発明したロバート・スティーヴンソンやヴィクトリア女王も登場。前者は重要な脇役としてかかわって来る。 新海誠監督が採用している俳優を声優にキャスティングするパターンのはしり。小西真奈美さん演じる若きスカーレット財団の総帥スカーレット・オハラ(『風と共に去りぬ』ヒロインと同じ名前!)は傲慢なお嬢様だけど最低限の倫理観は持っている。科学の平和利用を望む祖父と化学の可能性をとことん追求する(たとえその先に戦争があっても)父との板挟みにあう少年レイ。事故で半分キカイダーみたいになってしまった父。弱そうに見えて最後はほぼ上半身裸で毛が一つしない祖父(そこはアニメだから)など実写版さながらにキャラクターが立っている。パリ万博のパビリオンはおろか首都の建物もがらがら崩れていく。アニメはばんばん建物が壊せていいねえ。ラストが駆け足になってるけど原作幾つ分凝縮したのかな?スチームボーイ【Blu-rayDisc Video】 [ 大友克洋 ]楽天ブックス
December 10, 2022
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みなさんこんばんは。女子テニス元世界ランキング4位の伊達公子さんが1月に再婚していたことを自身のインスタグラムで報告しました。今日から2日間アニメ映画を紹介します。千年女優Millennium Actress脚本&監督今 敏声の出演鈴置 洋孝 小山茉美 山寺宏一 津嘉山正種 かつて一世を風靡した大女優・藤原千代子。三十年前忽然と銀幕から姿を消し、人里離れた山荘でひっそりと暮らしていた彼女の元に、時を越えて古びた小さな鍵が届けられる。鍵が記憶の扉を開くように、千代子は昔を語りはじめる。漕ぎ出すは、記憶の大海。その物語は千代子の生きた現実の時の流れから溢れだし、“映画”という幻想の海流を通って、太古から未来まで広がってゆく。そして、閉ざされた想い出に隠された千代子の情熱が浮かび上がってきた。 人気絶頂の最中引退した往年の名女優のもとへ、ドキュメンタリーを作ろうと立花源也とカメラマン井田恭二が訪れる。語られるのは女優の生涯。内容を要約するとありきたりだ。そして更に語られる内容が、女優がたった一人の男性を追いかける物語となると、これまた王道のラブストーリーなのでありきたり。だが、これらをアニメーションに落とすとありきたりにならなかった。 関東大震災の日に生まれた千代子は、ある雪の日に官憲に追われる男と出会い、蔵に匿う。男は一番大切なものだといって千代子に鍵を渡す。但しこの男性の顔がはっきりとは出てこない。“見た”“知っている”のはあくまで千代子と彼を執拗に追う傷の男だが、後に千代子が「もうあの人の顔が思い出せない」と言い出すため、最後まで彼の顔は出てこない。よって「実は鍵を渡した男はすぐ近くにいるのに千代子は気づかない」状況であっても視聴者にもわからない。 鍵の男を探す過程は千代子自身の生涯と、彼女が出演した映画を巧みに入れ替えながら登場する。つまり虚構でも現実でも千代子は男を探し続けている。ドキュメンタリーを撮影に訪れた男性二人もいつしか千代子の語る世界&映画の住人となって、空襲を受けたり宇宙に旅をする。千代子を目の敵にする女優、鍵の男を執拗に追う男が映画を変えても同じ役柄で登場し続けるように、立花源也ときたらその時々に応じて武将になったり車引きになったりコスプレにも対応している。 命尽きるその時まで一人の男性を思い続けた純愛!と思いきや、千代子が本当に好きだったものが明かされるラストの台詞が圧巻。千年女優 [ 今敏 ]楽天ブックス
December 9, 2022
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みなさん、こんばんは。今日はジョン・レノンの命日ですね。それにちなみ今日はビートルズがいない世界を描いた映画を紹介します。イエスタデイYesterday監督ダニー・ボイル脚本リチャード・カーティス出演ロバート・カーライル リリー・ジェームズ ヒメーシュ・パテル ケイト・マッキノンエド・シーラン(本人役) イギリスの小さな海辺の町で暮らすシンガーソングライターのジャックは、幼なじみの親友エリーから献身的に支えられているものの全く売れず、音楽で有名になる夢を諦めかけていた。そんなある日、世界規模の瞬間的な停電が発生し、ジャックは交通事故で昏睡状態に陥ってしまう。目を覚ますとそこは、史上最も有名なはずのバンド「ザ・ビートルズ」が存在しない世界になっていた。彼らの名曲を覚えているのは世界でただひとり、ジャックだけなので、例えば… ビートルズの歌を披露した時、皆に「いい曲ね」反応を聞と言われた時のジャック「うわ!今まで聞いたうちで一番わかりにくいジョークだWow, this is the most complicated joke I've ever heard. 」ニック「でもいい曲だNice song, though. 」「いい曲なんてもんじゃないぞ!(ビートルズの名曲なのに!と怒ってる) It's not a nice song. 」「そうさ相棒、漫画のキャラクターみたいに見えるからって自分を卑下するなよ。これはいい曲だよNo, it is, mate. Don't do yourself down just because you look like a cartoon character. It's a very nice song. 」「いいか、これはいい曲なんてもんじゃない。今まで書かれたうちで最も優れた歌だ! It's not a very nice song, Nick. It's one of the greatest songs ever written.」このように、ビートルズの存在を知っているジャックと記憶から消し去られている悪友のやり取りがコミカルに描かれる。 ビートルズの名声と才能をただ一人死ぬシンガーソングライターが横取りしちゃうといえばずるい男の話なのだが、一方でジョン・レノンがビートルズを作らないということは、彼が平穏に今も生き永らえているパラレルワールドが存在する。ビートルズファンにとってはそれもまた悦びなのだ。 そして迷ったジャックがジョン・レノンを訪ねた時のジョン・レノンの答え「君はいい生活をしたいのかい?なら好きな人に気持ちを伝えろよ。そして、出来る限り、誰に対しても真実を伝えるんだ。You want a good life? It's not complicated. Tell the girl you love that you love her. And tell the truth to everyone whenever you can. 」 ビートルズがいなくても、やはりジョン・レノンは偉大だった。つまりはパラレルワールドを舞台にしたコメディであっても、大いなるビートルズ&ジョン・レノン讃歌となっている。パラレルワールドで何が除外されているか確認するのも楽しみ。イエスタデイ [ ヒメーシュ・パテル ]楽天ブックス
December 8, 2022
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みなさんこんばんは。日本代表残念でしたね。ベスト8の壁がまたもや。今日もモーパッサンを特集します。今日は映画です。映画女の一生を見ました。女の一生Une vieヴェネツィア国際映画祭国際批評家連盟賞監督&脚本ステファヌ・ブリュゼ 男爵家のひとり娘として生まれ、17歳まで修道院で教育を受けてきた清純な娘ジャンヌは、親の決めた子爵ジュリアンと結婚し、幸せな人生を送るはずだった。しかし、ある時、乳姉妹だった女中のるロザリーの妊娠が発覚。その相手は夫のジュリアンだった。それ以降、ジュリアンの度重なる浮気や母の死、溺愛する息子ポールの裏切りと、ジャンヌの人生には数々の困難が待ち受けていた。 現代人が見たら「とてつもなく男運の悪い女性のひたすら不幸な一生を見て何が面白いのか」と思うだろう。反面教師としてモーパッサンはこの小説を書いたのか?すぐそばで行われている夫の不貞を知っても見て見ぬふりをするなど、いくらでも“賢い”選択肢があったが、賢くなるにはあまりにもジャンヌは純粋すぎ、そして無力だった。 乳姉妹の夫から身分を盾にほぼ強制的に関係を持たされ、果ては妊娠させられて当の本人の妻から「名前を言え」と言われるなど、どこまでも理不尽な扱いを受けるロザリーが強い。ジャンヌの恨みを受けても彼女を最後まで支え続ける彼女に対して、ロザリーどころか他の人妻にも手を出してしまうジュリアンが懲りない男で本当に情けない。ジャンヌが恋に落ちたとはいえ、両親も見る目がない。自分達が先に死ぬのだから、もう少し結婚相手の性格を見極めるべきだった。 嘆くだけの母親と始終家にいない父親を見ていればそうなるよな、の絵にかいたような一人息子ポールの放蕩っぷりも全く悪びれてない。「あれだけ苦労した母を自分が楽にさせたい」と思うどころか、嘘八百を並べて財産をむしり取ろうとする。これも苦労させまいと甘やかしたジャンヌの責任である。ジャンヌの救いは、ロザリーという自分より遥かに逞しく賢い女性と出会えたことだけだ。 フランスの文豪ギイ・ド・モーパッサンが1883年に発表し、これまでにも何度も映画化されてきた「女の一生」を映画化。女の一生 [ ジュディット・シュムラ ]楽天ブックス
December 7, 2022
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みなさんこんばんは。女優のミレーヌ・ドモンジョさんが亡くなりました。オットー・プレミンジャー監督の『悲しみよこんにちは』ではデヴィッド・ニーヴンさんと共演。フランスでは、1960年代の「ファントマ」と近年の「Camping」の両3部作など、コメディー映画への出演で人気を博しました。今日から2日間モーパッサンを特集します。今日は小説です。オルラ/オリーヴ園 モーパッサン傑作選 Le Horla/Le Champs D’oliviersギイ・ド・モーパッサン光文社古典新訳文庫「ラテン語問題La Question du latin」ラテン語教育に力を入れていることで有名なロビノー学園が、コンクールで優秀な成績を収めてきたのは、自習監督ピグダンの親父のおかげである。彼の個人教授を受けることになった僕は、ピグダン親父にある日煙草を勧める。僕はピグダン親父が近くの店で働く若い洗濯女にどうやら好意を持ったらしいと気づく。キューピッドを買って出た僕の顛末は。やはりモーパッサンというと『脂肪の塊』のイメージが強いが、この作品の軽さときたら。ラスト、ピグダン親父の台詞にはつい頷いてしまう。「オルラLe Horla」「五月八日。なんと気持のいい日だろう。(p32)」と清々しく始まった物語は十二日に熱を出して気が晴れなくなり「こうした不思議な感化作用は、いったいなにに由来するのだろう?(p34)」十六日に「やはりわたしは病気だ。ひどく熱がある。(p35)」遂に眠れなくなってしまう。やがて「もうだめだ!だれかがわたしの心を支配して思いのままに操っている(p72)」と悩み、家にはもう一人いるのではないか」という妄想に取りつかれる。「家にはもう一人いるのではないか」という妄想に取りつかれる。見えない誰かを追い払う方法とは?主人公の一人称語りのため、私の見るもの聞くもの、そして何より思考から読者が逃れられないのがミソ。モーパッサンには珍しくホラーもの。「離婚Divorce」公証人が離婚したいと相談に訪れる。彼は「容姿端麗にして、良家の独身女性。誠実なる紳士との結婚を希望。」という広告を見かけて、依頼人があるようなふりをして女性に近づく。なんだかんだのばしているうちに、なるようになった二人(ありがちだ)。しかしうまい話にはやはり裏があって。自身も誠実なる紳士ではなかったので引き分けでは。「オトー父子Hautot pere et fils」亡くなる間際に父が息子に「実は私には通う女性がいた。その女性が生活に困らないように何か残してやって欲しい」と頼む。息子は不身持な女性なんかに会いにいくもんかと思っていたが、父の遺言なので仕方がない。ところが会いにいくと思っていたような女性ではなかった。やがて息子は…。内容がわかってみるとえぐい。「ボワテルBoitelle」この地方の汚れ仕事を引き受けてきた気のいいボワテルの親父が、実らなかった恋について語る。モーパッサンには珍しく人種差別をテーマに据えている。それにしても「あんな肌じゃ汚れるのでは」とか皆の視線が痛すぎる。「港Le Port」マルセイユに戻ってきた船員たちは館に出かけて女性達と楽しもうともくろむ。その女性たちの一人から「セレスタン・デュクロって人、まだ船に乗ってる?」と聞かれた本人は驚く。実はその女性とは。「オリーヴ園Le Champ d’oliviers」かつて男爵、今は司祭となっているヴィルボワ神父は、いきなり訪ねて来た息子から行状を洗いざらい聞かされて顔色を変える。彼が下劣なかつての自分の生き写しであり、愛した女性からも受け継いだ悪い性格は、もう現世では変えることはできないと決心したヴィルボワ神父は。憐憫、恐怖、憐みと刻々変わるヴィルボワ神父の心情が丁寧に描かれている。「あだ花L’Inutile Beaute」結婚して11年間に7人の子供を産んだマスカレ伯爵夫人はそれでも30歳の美貌を称えられてきた。さぞや夫は愛妻家と思われるが、妊娠させた理由は夫の嫉妬だった。根拠なき夫の嫉妬を止めさせるために妻が採った方法は。妻の最後の台詞を真実と取るか、それともまた嘘だと取るかで意見が分かれそうだ。オルラ/オリーヴ園 モーパッサン傑作選 (光文社古典新訳文庫) [ モーパッサン ]楽天ブックス
December 6, 2022
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みなさん、こんばんは。ワールドカップのトーナメント戦日本は今晩深夜ですね。映画エヴァを見ました。エヴァAva監督テイト・テイラー出演ジョン・マルコビッチ コリン・ファレル ヨアン・グリフィス ジーナ・デイビス ジェシカ・チャスティン ジョアン・チェン 美しき暗殺者エヴァ。完璧な容姿と知性、そして圧倒的な戦闘能力。組織に命じられるまま完璧に任務をこなしながらも常に自問自答を繰り返していた、「なぜ標的たちは殺されるのだろうか」と。ある日、エヴァは全組織員が注目する極秘の潜入任務に臨むが、組織から事前に与えられていた重要な情報に誤りがあり、そのことでエヴァの正体に気づいた敵と熾烈な銃撃戦になってしまう。辛くも生き延びたエヴァは、関係者の中に自分を陥れようとしている存在を疑い、次第に組織への激しい不信感を募らせていく。そんなエヴァに、組織にとって危険因子となった彼女を秘密裏に始末しようする最強の殺し屋”サイモン”の魔の手が迫っていた。暗殺者VS暗殺者、血で血を洗う戦いの火蓋が今、切って落とされる。 「Why does someone want you dead?なぜあなたは殺されるの?」標的に必ず質問するエヴァから映画は始まる。そしてその様子を撮影する別のエージェント。標的は標的として見做し余計な接触を持たないのが暗殺者の常なのに、エヴァの儀式のような一連の問答は明らかに異常だ。余計な時間を取れば、暗殺失敗の危険性さえある。だから組織が彼女を危険視してもおかしくはない。 組織との戦いに加えてエヴァには家族との問題がある。かつて凄腕の暗殺者を演じたことのあるジーナ・ディヴィスが演じるのは、凄腕の暗殺者エヴァの母。役柄で太ったのか年齢でそうなったのか、結構でっぷり太っていてびっくり。余命わずかで疎遠だった娘との仲を修復しようとするが、娘もつんけんしていてお互いに距離の取り方がわからない。妹の恋人は賭ケグルイでエヴァの元カレでもある。組織内裏切者として最強の暗殺者から狙われるだけでも大変なのいに、サイドストーリーで結構難儀な問題を片付けていくエヴァがスーパーヒロインに見えるが、逆に家族の物語=ホームドラマ的要素が邪魔にも思える。後述する監督交代が起因か。撮影中のAVAの名前はイヴ。人気ドラマ『キリング・イヴ』(同名ヒロインがサイコパスの暗殺者である)との類似性から、スタジオは映画撮影後に主人公の名前変更を決定。この決定前にすべてのシーンが撮影されたため、キャストは追加録音及び撮影を行う必要があった。当初監督兼脚本の予定だったマシュー・ニュートンがDVなどで非難を浴びて降板し、チャステイン出演作「ヘルプ 心がつなぐストーリー」のテイト・テイラー監督が後任に。AVA/エヴァ【Blu-ray】 [ ジェシカ・チャステイン ]楽天ブックス
December 5, 2022
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みなさん、こんばんは。ブラジルのルラ大統領が返り咲きましたね。今日はカーク・ダグラス主演作を紹介します。星のない男MAN WITHOUT A STAR出演カーク・ダグラス クレア・トレヴァー監督キング・ヴィダー 流れ者のデンプシー・レイは貨物列車に便乗してある町へ流れ着いた。道中でジェフという若者を助け、ジェフはデンプシーに懐く。デンプシーは昔馴染みの酒場女アイドニーのもとを訪ね酒場で三角牧場の頭領ストラップに気に入られ、ジェフと一緒に牧夫として雇われることになった。牧場の仕事をしながら、デンプシーはジェフに、拳銃裁きや牛の扱いを教え、二人の間には次第に兄弟のような絆が生れていった。ある日二人は隣の牧場を訪問した。そこの娘テスとジェフはすぐに仲良くなり、夕食にも誘われたが、牧場主が鉄条網のことを話題にするとデンプシーはいきなり怒り出した。かつて牧場に鉄線を張り巡らせたことが原因で争いが起き、デンプシーの弟は命を落としていたのだった。それ以来デンプシーは鉄条網を嫌悪していたのだ。そんな中、牧場の新しいオーナーで美しい女性、リードが現れた。そして彼女は波乱を呼びそうな計画をデンプシーたちに話すのだった。カーク・ダグラスが流れ者のカウボーイを演じ、ガンアクションはもちろん、バンジョーを手に歌も披露する痛快西部劇。主題歌もついている。「Who knows, who knowsWho knows whi chaway the right way goesThe night is dark, the way is farFor a man without a star誰が知る、誰が知る正しい道を行くのは誰が知っているのか?夜は暗く、道は遠い星のない男のために」『星のない男』の“星”というのは、最初保安官のバッチを指すのかと思っていた。つまり法に定められた役職がなくても保安官のような役割を果たす男性なのかと思っていたら、星=つまり運命という意味らしい。定めのない、仕事のある所ならどこへでも行く風来坊の男の事を指すらしい。特に寂しい男という感じはせず、デンプシーは自らその定めを楽しんでいるかのようなキャラクターに描かれていた。 カーク・ダグラスが制作会社を通じて制作した最初の映画の1つで興行収入も良かった。カーク・ダグラスが映画で乗っている馬は、いわゆる馬界での映画スターで17の映画に出演している。馬の名前は「パイ」でスチュワートとダグラスに加え、グレン・フォードとオーディ・マーフィも乗せた。ジミー・スチュワートは中でもパイがお気に入りで「私が今まで一緒に働いた中で最高の共演者の1人だ」と語った。「遠い国」「ウィンチェスター'73」、「怒りの河」で見られるパイは1970年まで生き、カリフォルニアのジミー・スチュワートの牧場に埋葬された。星のない男(スペシャル・プライス)【Blu-ray】 [ カーク・ダグラス ]楽天ブックス
December 4, 2022
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みなさんこんばんは。ワールドカップ日本がスペインに勝ちましたね。今日はシリアの映画を紹介します。映画シリアにてを見ました。シリアにてInsyriated監督フィリップ・バン・レウ出演ディアマンド・アブ・アブード カイロ国際映画祭主演女優賞ヒアム・アッバス第67回ベルリン国際映画祭観客賞 シリアの首都ダマスカス。未だ内戦の終息は見えず、アサド政権と反体制派、そしてISの対立が続いていたが、ロシアの軍事介入により、アサド政権が力を回復しつつある。そんな中、戦地に赴いた夫の留守を預かるオームは、家族と共にアパートの一室にこもり、そこに身を寄せた隣人で、幼子を持つハリマ夫婦とともに、何とか生活を続けていた。ある日、ハリマの夫がレバノンへの脱出ルートを見つけ、今夜こそ逃げようとハリマに計画を話していた。脱出する手続きをするために、夫はアパートを出て行くが、外に出た途端、スナイパーに撃たれ、駐車場の端で倒れてしまう。 ベルギー人監督のフィリップ・バン・レウがシリア北部のアレッポに住む友人の父親が住居から3週間出ることができなかったエピソードに触発され撮影。 映画で戦争が描かれると、これはフィクションなのか、ノンフィクションなのかわからなくなる時がある。例えばアメリカで戦争が描かれれば、架空の物語だ。しかし今回のようにシリアが舞台になった場合「あれ?これ架空の話?それとも現実の話?」と迷ってしまう。残念ながら世界のどこかで戦争は起こっている。ウクライナが世界の注目を集めているが、シリアも内戦の最中にある。 シリアのニュースはあまり出てこないのでウクライナの様子と重ねて視聴した。いつ終わるとも知れない空襲。外に出ればどこからか撃たれるかもしれない恐怖。治安が保証されていないため、武器を持った強盗が普通の家に押し入ってくる。弱い立場の老人や子供、女性が真っ先に狙われる。赤ん坊の愛らしさも暴徒の前では役に立たない。国が国民を守れないのが戦争である。自分で守れる範囲には限りがあり、犠牲が生まれざるを得ない。それこそが本当の悲劇である。シリアにて [ ヒアム・アッバス ]楽天ブックス
December 3, 2022
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みなさんこんばんは。W杯ブラジルもポルトガルも決勝トーナメント進出が決まりましたね。今日も藤沢周平作品を紹介します。補巻 1 藤沢周平全集 第二十四巻藤沢周平文藝春秋 幼名を直丸といい、のちに鷹山と号した米沢九代藩主上杉治憲は、日向高鍋藩三万石の秋月家から、八代米沢藩主上杉重定の養子に迎えられ、明和4年(1767)、17才で上杉家の家督を継いだ。治憲がまだ12の少年だった頃、江戸の上屋敷で素読師範の藁科松柏に、領国が人別銭という悪税を課さざるを得ないほどの窮境にある事を教えられ、「それでは家中、領民があまりにあわれである」と涙した。 「ああ、何と心優しい名君だろう。」そう思った後で、現実をくぐり抜けてきたこの大人は、やや皮肉な見方をする。そうはいっても、あなたのその思いは、子供の一時の感傷に過ぎない。たとえここで奮起しても、幼い理想主義は、大人になれば現実主義に、たやすくとってかわる。政治は部下に任せ、忘れた頃に「そう思った頃もあったか。」と感傷にふけるが関の山。 ところが彼の決意は、元服して後も変わらなかった。大倹令を発し、自ら一汁一菜を用い木綿を着用し、殖産興業に務めた。執政の竹俣当綱は、剛胆で、豪快な夢を語り、一方、軽輩から出世して後に中老となった莅戸善政は、緻密で、地味だが実現可能な政策を打ち出す。この図ったような取り合わせの妙が面白い。この好対照の両輪と、バックアップする治憲がいて、国の立て直しという大事業に着手できたのだろう。中でも、大風呂敷と揶揄され、弱気になった当綱に治憲がかける言葉がいい。「人間誰にも欠くるところがある。(略)思うところを遠慮なく行えばよい。それが私のための恣意にあらず、藩のためにすることだというのは、見る者が見ればすぐにわかることだ。」太っ腹にして抑える所は抑える、こういう上司がいてくれたら、部下は思いきり動けるだろう。 馬廻組と五十騎組で鉄砲上覧をどちらが先にするかという争いに対しても、治憲の裁定は見事である。いわばメンツ争いなのだが、治憲は「藩が貧困に苦しんでいるのに、そんな重箱の隅をつつくような事で争うとは何事か。」と藩主の威光で押さえつけない。双方の心情に配慮し、武士の名誉心を巧みにくすぐる対処は、とても二十歳とは思えない。もしかしたら、この人ならば。当初の皮肉は引っ込んだ。理想が実現しなければ、すぐ現実という二者択一でなく、両方の利点をうまく取り入れた見つけ出し、うまく乗り切っていくのではないか。そう思えたからだ。 だからこそ、努力すればした分だけ報われる筋立てのドラマのように、うまくは行かない現実が描かれていく後半は哀しい。中でも-短編『幻にあらず』でも描かれているが-国を救わんと奮闘し、あげくに苦い挫折を味わう当綱の失脚は、『山月記』で遂に自らの野性を抑え得なかったもう一匹の虎を見る思いだ。彼だけではない。執政の者達は、満足した結果を残して去るのでなく、ちっとも減らない借金、結果の見えない事業に、ほとほとに疲れ果てた末、次々と致仕を選択する。更に天明の大飢饉という、不可抗力の災難まで降り掛かる。強い意志を持って臨んでいたはずの治憲までが、天に向かってヨブよろしく呼びかける。もちろんそれは一時の話で、すぐに治憲は民を守る為政者の立場に戻るのだが。 著者が倒れ、鷹山の死に至る所まで行かずに物語は終わるが、私はこの終わり方でいいと思う。漆の実が、自分が考えていたよりもっと小さな物であった事に気づいても-つまり理想と現実の落差に気づいても-その小さな物を積みあげ、やがて大きな実のある国を作り上げてゆく現実を予感させているからだ。補巻 1 藤沢周平全集 第二十四巻 [ 藤沢 周平 ]楽天ブックス
December 2, 2022
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みなさんこんばんは。東京八王子市の東京都立大学で、この大学の教授で社会学者の宮台真司さんが刃物のようなもので首や背中などを切りつけられました。今日も藤沢周平作品を紹介します。白き瓶/一茶 藤沢周平全集 第八巻藤沢 周平文藝春秋冒頭は、為さぬ仲の母に疎まれて、故郷を出てゆく弥太郎とその父・弥五兵衛の別離の場面から始まる。この様子は、一般に知れ渡っている「優しい眼差しの俳人・一茶」のイメージを裏切らない。しかし江戸に目を向けた弥太郎は、もう今までの彼ではない。泣いた事や、悄然として牟礼の方に引返して行った父親を瞬時に忘れた彼は、やがて会った事もない元葛飾派の先輩俳人の弟子を詐称して旅の路銀をねだり、晩年義弟との財産争いで骨肉の争いを繰り広げる、ふてぶてしい男になる。『白き瓶』は『小説長塚節』と副題がついているが、結核に冒されて37才で早世した歌人・長塚節を中心にした、明治大正文壇史といってもよい。小説というよりは、評伝に近い。ここで驚かされたのは、「お民さんは野菊のような人だ」と少年少女の控えめな純愛を書き綴った伊藤左千夫の、作品イメージとは裏腹の、数々の行状である。自分を脅かす恐れのある新進歌人・斉藤茂吉への執拗な攻撃、同じ正岡子規門下であった節が新聞連載を依頼された時の原稿料にこだわる態度。 藤沢氏が一茶と長塚節の両名を書く事に決めたのは、おそらく『旅の誘い』で「あなたの風景には誇張がない。気張っておりません。恐らくそこにある風景を、そのまま写そうとなさったと、あたしはみます」と言われた歌麿同様、両者が自分と似ているからだ。歌麿も一茶も節も、皆奇想や技巧をめぐらさず、あるものをあるがままに描こうとするタイプだ。 裕福な商家の旦那である俳人の成美から、一茶は「ぶしつけに貧しさを句にするようになった。あなたはご自分の肉声を出してきたということでしょうな。」と言われる。更に一茶の作風が変わらないのを見ると、成美は貧乏を描きすぎるなと警告する。長塚節も、師の正岡子規から学んだ「飾りや先入観を取りさって、自然の真相をつかむ」手法で、夏目漱石から依頼された朝日新聞の連載小説『土』を勇んで書き出す。しかし「真実の百姓を書いた小説」など読みたがらない読者の反応は散々で、とうとう連載短縮を打診されてしまう。自分の好きな事を職業にしている彼等は、「自分の思う所を文章にしたい。けれどそれでは売れない」という-おそらく藤沢氏も経験した-ジレンマにぶつかる。だがここで物語は終わらない。「だが、もういいだろうと一茶は不意に思ったのだ。(中略)のぞみが近づいてきたわけではなかった。若いころ、少し辛抱すればじきに手に入りそうに思えたそれは、むしろかたくなに遠ざかりつつあった。それならば言わせてもらってもいいだろう、何十年も我慢してきたのだ、と一茶は思ったのである。世間にも、自分自身にも言いたいことは山ほどあった。」節も、推薦してくれた漱石が自分の土を理解していないのを序文で悟るが、自らの歌作にうちこみ、とうとう「長い間心のなかで歌の形をとるのを待っていて、できたときはその待っていたものがようやく心の深部から出て来て日の目を見たような」境地にたどり着く。『滑稽で憎むべきもの-貧』と、貧と縁が切れない自分と正面から向き合う俳句を輩出し続けた一茶と、晩年の大作『鍼の如く』を生み出す節。売れるために、意に沿わないものを書くか。あくまでも自分の道を追求するか。文学者として、藤沢氏がどちらの生き方を称揚したのかは、言わずともわかるはずだ。白き瓶/一茶 藤沢周平全集 第八巻 [ 藤沢 周平 ]楽天ブックス
December 1, 2022
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