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2009.07.23
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冒頭のお詫び
後の記事 「トムラウシ遭難事件再考」 にて書きましたが、「トムラウシ山遭難は何故起きたのか」(山と渓谷)の記述によれば、実際にはこの記事のような事実はなく、死者と生存者の間に装備の差はほとんどなく、亡くなった方もみんなゴアテックスなど透湿防水素材の雨具を着ていた、とのことです。以下、記事自体はそのまま残しておきます。




事故は23日で1週間を迎えるが、道警は装備の差が生死を分けたとみて、死亡者の着衣を詳しく鑑定する方針だ。旅行社側が必要な防寒着の準備を客に求めていたか、ガイドらが客の服装に注意を払っていたかも調べる。
ツアーは2泊3日で四十数キロを縦走するコースで、遭難時は55~69歳の15人に男性ガイド3人という構成だった。このうちツアー客7人、ガイド1人の8人が亡くなった。
道警幹部によると、一行は登山中、ひんぱんに風雨に打たれ、遭難した最終日の16日も強い風雨にさらされた。北海道の2千メートル級の山は、夏でも風雨に見舞われれば体感温度は零下になるとされる。
18人はみなフリース素材の服の上からカッパやウインドブレーカーなどの上着を着ていたが、死亡した客7人の上着は夏用とみられる生地で、発見時、雨がしみ込み、中がぬれていたという。
体温低下を防ぐにはニット帽やフードなどで頭部から首筋を冷やさないようにする必要もあるが、死亡した7人は機能性が低いフードしかかぶっておらず、雨が首筋などを冷やし、短時間で低体温症に陥った可能性があるという。
ただし、死亡したガイド1人は防寒機能がある上着だったという。

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やはり、生死の境目は衣服の差だったようです。
それにしても、私は当然に全員がゴアテックス(あるいは、その他の透湿防水素材※)の雨具を着ていたのだと思っていたので、前の日記に

まさかみんなゴアテックスの雨具は着ていたはずですが、ゴアテックスといえども万能ではない、ということですね。古くなってくるとゴアテックスの薄い皮膜が破れて浸水するようになったり、あるいは撥水性が失われたり表面に土などが付着して、換気能力が低下して蒸れるようになったりします。

と書いたのですが、その「まさか」だったようです。上記の記事によると、「助かった10人は全員が、強い雨に長時間打たれても雨を通しにくく、防寒機能もある上着」で、凍死した7人は「防寒、防水機能が低いウインドブレーカー」となっています。
記事には「ゴアテックス」やその他の商標名は出てきませんけれど、表現から推測するに、亡くなった方はゴアテックスなど透湿防水素材の雨具ではなかった、ということでしょう。

夏山とは言え、森林限界を超える山でゴアテックスなどの雨具を持っていなかったとしたら、雨の中1日行動すれば、頭の先からつま先まで全身ずぶ濡れになるのは当然です。装備の致命的な欠陥と言えます。15人の参加者のうち7人、半数近くがそのような状態とすると、この団体はやはり大雪山を3日かけて縦走するだけの装備を欠いていたと言わざるを得ません。

いずれにしても、山には必ず透湿防水素材(ゴアテックスなど)の雨具を持っていく、これもまた山登りの際自分の命を守る知識の一つと言えるでしょう。

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※透湿防水素材について

例えばビニールは水を通しませんが、湿気も通しません。だから、ビニール製の雨ガッパで山に登ると、蒸れてしまって雨に濡れたのと変わらないくらいびしょ濡れになり、雨具の意味をなしません。
それに対し、透湿防水素材は、液体の水よりは小さく、気体の水蒸気よりは大きな微細な穴が無数に開いた素材(1平方センチに、億単位の穴が開いている)で、水は通さずに湿気は通します。
これだと、カッパを着て運動してもあまり蒸れないので、最近では登山用の雨具は、透湿防水素材製のものがほぼ全てを占めています。透湿防水素材にはいくつかの製品がありますが、圧倒的なシェアを占めているのがゴアテックスです。ほかに、エントラント、ドライテックなどもあります。ドライテックはゴアテックスに匹敵するくらいの能力があるようですが、その他の素材は透湿能力の点でゴアテックスには及ばないようです。

ただし、ゴアテックスと言えども無敵ではありません。普通の衣服を着ていても、厚着に過ぎれば蒸れますから、その上にゴアテックスの雨具を着れば、やっぱり蒸れます。(裸の上に雨具を着るわけではありませんから)
そして、ゴアテックスの防水能力そのものは相当の耐久性がありますが、透湿能力は年月とともに衰えます。ゴアテックスの表面は撥水加工がされているのですが、この撥水能力が次第に失われるためです。
撥水性がなくなると、雨具の表面が濡れた状態になります。濡れるということは表面に水の被膜ができるわけですから、微細な穴が水で目詰まりして湿気を通さなくなり、蒸れるようになってしまうのです。
低温でアイロンをかけると、撥水性は回復するようです。さらに、ゴアテックス用の撥水剤(スプレー式やつけ込み式)もあるので、これを使うことによっても撥水能力は回復します。
もう一つ、ゴアテックスの表面にゴミや汚れが付着すると、これも目詰まりによって透湿能力を奪う原因となります。加えて、素材そのものは完全防水ですが、古くなると縫い目から浸水、ということも起こり得るようです。


私のゴアテックスの雨具は、長年の間に表面に土埃が定着してしまっています。乾燥しているときは汚れているように見えないのですが、濡れると雨具の表面が茶色に汚れていることが分かります。完全に定着してしまっていて、洗剤で洗ってもまったく落ちません。
加えて、撥水性も完全に失われており、そのせいで蒸れ蒸れの雨具となってしまっています。
ただ、そんな透湿性の失われた状態でも、雨が降っていないときにウィンドブレーカーの代わりに着ると、まったく問題なく使えます。
私は、年末年始に八ヶ岳に登るときすら、このゴアテックスの雨具を使っています。ペラペラのナイロン生地1枚ですが、風を通さないから、マイナス15度以下の猛吹雪の中でも、雨具の下にセーターすら着ていなくとも、歩いている限りは全然寒くないのです。足が止まってしまえば、もちろん寒いですが。





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最終更新日  2016.11.16 06:57:12
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